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社会問題

気になる新たな論文が…「旅行者のコロナ感染者は4倍超」

https://news.yahoo.co.jp/articles/089dcb9866b48bf57397965ca6de984f0a74fcd8

2020/12/30(水) 9:26 日刊ゲンダイデジタル

 東大の研究チームが12月に「Go To トラベル(以下、Go To)」の利用と発熱などの症状の関連を調査した研究が話題になった。  それは約2万5000名のアンケート調査を解析し、回答前1カ月間に新型コロナウイルスの感染が疑われる5つの症状を経験したかどうかと、「Go To」の利用との関連を解析したもので、5つの症状のすべてで「Go To」利用者の発症割合が高かった。  ただし、東大の論文では、それがコロナ感染かどうかの確認はなされていなかった。  続いて発表されたのが「2020年8月か9月に旅行に行った者は新型コロナウイルス感染と診断されやすかったか?」という論文。  この論文は経済産業研究所のホームページ上で発表されたもので、同研究所で行われた「新型コロナウイルス流行下における心身の健康状態に関する継続調査(研究責任者=宗未来・東京歯科大学准教授)」のデータの一部を用いて解析が行われた。  この論文がさらに踏み込んでいるのは、「コロナにかかったと医療機関で診断されましたか?」と直接確認した点だ。  そのほか「今年の8月か9月に1泊以上の旅行に行ったかどうか」「過去1カ月にコロナに関係する症状(発熱、咳、喉の痛み、だるさ、息苦しさ、味覚・嗅覚の障害、下痢)を経験したか」などを質問しており、全国から1万6642名の有効回答を得た。  さまざまな調整を行って解析したところ、8月か9月の1泊以上の旅行と、コロナ感染の診断との間には、統計的に有意な関係性がみられた。「コロナ感染が診断された」という人は、旅行をしていない人では0.4%だったが、旅行をした人では1.8%。7つの症状はいずれも旅行した人で割合が高かった。「コロナ治療中」の回答者は、旅行していない人では0.1%、旅行した人では1.2%。 「この結果は旅行とコロナ感染の因果関係を示すものではなく、旅行をする人はコロナ感染リスクが高い行動も取りやすい可能性や、旅行先で開放的になり密な環境での外食などのリスク行動を取りやすい可能性があるなど、慎重な解釈が必要です。ただ、数値で有意差がみられたことは確か。この調査は第1回目で、2021年10月末まで同じ人を対象に計5回行います。すべての結果がそろえば、もっとはっきりしたことが言えるかもしれません」(共著者の関沢洋一経済産業研究所上席研究員)  やはり長距離の移動は避けたい。

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対策

「コップに菌いたらイヤ」 口つけずうがい、小5の発明

https://news.yahoo.co.jp/articles/84e60468c1818ecb820f7a5ea068f06a525e186d

2020/12/29(火) 9:31 朝日新聞デジタル

 今年の三重県発明くふう展で、鈴鹿市立鼓ケ浦小学校5年の川崎海空(みく)さん(10)が最高位の知事賞に選ばれた。新型コロナ禍の中、「コップに口をつけずにうがいができないかな」と考えた作品だ。末松則子市長を11日に表敬訪問して成績を報告した。 【写真】知事賞になった「うがい安心水キャッチ」 「く」の字に曲がったストローを水が通る  作品名は「うがい安心水キャッチ」。タピオカドリンクを飲む時に使うような太めのストローを熱で「く」の字に曲げ、手に持てるよう、穴を開けたペットボトルのふたにつけた。  一方を水道の蛇口にあてると、水がストローを通って、無理な姿勢をとらなくても口に入る。歯ブラシにストローをつけたものと、家から近い海岸で拾った流木で作ったスタンドとセットになっている。  「コップに菌がついていたらいやだなと思ったのがきっかけで、苦労したのはストローを曲げる方法。何十回も失敗した」と川崎さん。熱のあて具合で溶けたり折れたりの連続だったという。  サーフィンと空手と、何か新しいものをつくることが好きな川崎さん。両親によると「次は何をつくろうか」と毎日考えているような少年だという。双子の女の子、海美(みう)さんも発明好きで、ライバルでもある。  県発明くふう展は今年で49回目。167点の応募があったという。(中根勉)

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感染症 社会問題

一人当たりの病床数は“ダントツ”の日本が「医療崩壊の危機」に陥る理由

https://news.yahoo.co.jp/articles/4a0754d258255e90e5f132387864316beb2a0b4c

2020/12/30(水) 7:06 PHPオンライン衆知

新型コロナウイルスの感染者が急増し、医療崩壊の危機も叫ばれている。しかし、欧米と比べると、感染者はまだまだ圧倒的に少ないはず。なぜ、日本の医療体制はここまで脆弱なのか。社会保障の専門家が解説する。 ※本稿は、鈴木亘著『社会保障と財政の危機』(PHP新書)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

早かった危機宣言

コロナ禍は、平時にはなかなか見えにくかった日本社会の諸課題を浮かび上がらせているが、医療分野も例外ではない。 特に驚かされたのが、重症者数も死亡者数もまだそれほど多くなかった2020年4月1日の段階で、日本医師会が早くも「医療危機的状況宣言」を行い、医療崩壊の危機が迫っていると発表したことである。 この時点の重症者数は累計で62人、死亡者数累計は57人(クルーズ船乗船者の11人を除く)にすぎなかったが、1日当たりの新規感染者数は前日の3月31日から200人台に跳ね上がり、累計で2348に達していた。 このため、首都圏を中心に、新型コロナ患者の受け入れ病床が、早くもひっ迫する事態となったのである。 しかしながら、欧米などの世界各国に比べれば、重症者数・死亡者数はもとより、新規感染者数でさえ、我が国はケタ違いに少ない状況であった。しかも、我が国の医療機関は、世界各国に比べて、人口当たりの病床数(ベッド数)が特に多いことで知られている。 例えば、2017年時点で、日本の人口1000人当たり病床数は13.1と、先進各国(OECD加盟国)平均の4.7を大幅に上回る。それにもかかわらず、早くも医療崩壊寸前の状況になったと聞き、本当なのかと驚いた国民が多かったに違いない。

「やりすぎ」だった厚労省

新型コロナ患者の受け入れ病床がひっ迫した理由はいくつかあるが、まず第一に、厚生労働省による感染症対策のレベル設定が高すぎたことが挙げられる。 一言でいえば「やりすぎ」であり、この新型コロナウイルスの特性や医療現場の実態に適合していなかった。その後、医療現場の声を聞きながら修正が図られてきたが、厚生労働省の対応は遅く、小出しであった。 感染症法では、症状の重さや病原体の感染力の強さなどから、感染症を一類から五類の感染症、指定感染症、新感染症、新型インフルエンザ等感染症の8つに分類している。 新型コロナウイルスは指定感染症に指定されたが、これは病原性ウイルスが何かは特定されているが、従来の分類に分けられない新たな感染症であるという意味である。 対応策は政令でかなり柔軟に設定できる仕組みとなっているが、二類相当の感染症と位置付けたため、非常に高いレベルの感染症対策が求められることになった。 二類感染症とは結核やSARS、鳥インフルエンザ(H5N1)が分類されるカテゴリーである。ただ、実際に政令で定めた対応は、二類感染症を超える扱いで、どちらかといえばエボラ出血熱などが分類される一類感染症に近いものになっていた。 具体的には、(1)PCR検査で陽性になった者は、たとえ無症状者や軽症者でも強制的に医療機関に入院させる、(2)まだ陽性と確定していない段階だが、症状などから感染症が疑われる疑似症患者も入院措置をとる、(3)入院後は感染の恐れが完全になくなったことが確認されるまで隔離を続けることとなった。

一般病床の受け入れを増やせぬ理由

第二に、大学病院、公立・公的病院、民間病院などの受け入れ可能病床を、なかなかスムーズに拡大できなかったことが、病床のひっ迫を招いた。 もちろん、各都道府県は、域内の病院を集めた説明会を何回も開いたり、個別に交渉を行うなどして、一般病床を少しずつ空けるよう懸命の調整努力を行ってきた。 しかし、感染症指定病院ではない普通の病院にとって、新型コロナ患者を受け入れることは大変ハードルが高い。まず、新型コロナ患者の対応には、感染症専門医や訓練された医療スタッフが必要となる。 また、院内感染を防ぐためには、新型コロナ患者専属の医療スタッフを張り付け、既に世界的にひっ迫していた防護具を十分に用意しなければならない。彼らの家族への感染を防ぐためには、病院の近くのホテルに長期滞在してもらうなどの対応も必要である。 陰圧室(空気感染を防ぐために、気圧を低くしてある病室)や隔離用の障壁なども急遽設置しなければならない場合もある。したがって、都道府県が依頼できるのは、どうしても広さやマンパワーに余裕のある大規模病院に限られる。 さらに、こうした病院は空き病床がそもそも少ない。我が国の入院医療サービスの価格(診療報酬)は、基本的に患者が病床にいないと計算できない仕組みであり、検査代・手術代などの治療費以外に、ただベッドを使っているだけで請求できる診療報酬部分が意外に大きい。 したがって、病院経営は「病床を埋めてナンボ」の世界と言われ、いかに空き病床を少なく管理するかが医業収益の決め手となっている。もし新型コロナ患者を受け入れるとなると、高い収入が期待できる他の病気の入院患者を断らなければならなくなる。 さらに、風評被害などで、入院だけではなく、外来の患者数までも減少する可能性が高い。医療スタッフに対する差別も発生する。これでは、各病院とも、なかなか受け入れを了解できる状況ではない。

金銭的補償の問題

さらに、新型コロナ患者数が急増している都市部では、そもそも厚生労働省・都道府県による一般病床の数量規制(病床規制)が厳しく行われており、普段から病床が足りないぐらいである。 その上、近年は「地域医療構想」によって、高度急性期病床や急性期病床を削減・転換するよう、病院に「圧力」がかけられてきた。特に公立・公的病院については、再編統合や病床数の適正化案の作成期限が2020年3月に迫るというタイミングであった。 こうした事情もあり、各都道府県の担当者は、医療機関との調整が非常にやりにくかったはずである。 せめて、新型コロナ患者に対する診療報酬を大幅に引き上げられれば、調整も進めやすいのであるが、2020年2月から4月前半までは、病院に対する金銭的補償はほとんど存在しない状態であった。 厚生労働省が新型コロナ重症者への診療報酬を倍増させたのは、ようやく4月半ばのことであった。さらに、それでは全く採算が取れないという現場の声を聞き入れ、3倍増にしたのは何と5月末のことである。 また、空き病床確保に対する交付金が措置されたのは第二次補正後の6月半ばのことであった。あまりにも遅く、小出しの対応と言わざるを得ない。 どうしてこのような「戦力の逐次投入」ばかり行うのだろうか。これは厚生労働省の担当部局の想像力欠如(先読み能力不足)やロジスティクスの甘さもさることながら、診療報酬変更が「中医協」(中央社会保険医療協議会)で了承を得る仕組みとなっていることが大きい。 関係者間の高度な合意形成と利害調整が求められ、小回りが利かない中医協の問題点については拙著『社会保障と財政の危機』(PHP新書)で述べたので、興味がある方はご一読いただきたい。

都道府県間の協力関係が希薄

第三に、都道府県間の協力関係が希薄で、都道府県をまたいだ病床の融通がほとんどできないことも、特に都市部の病床が簡単にひっ迫してしまった原因である。 例えば、東京都内の病床がひっ迫しても、周辺の県の協力を得ることができないのだ。病床の調整作業は基本的に都道府県が担っており、せっかく調整できた病床を他県に譲ることなど、都道府県の首長や職員の立場では発想ができない。 しかも、近年、地域医療構想によって、病床削減や機能別病床の適正化についても、都道府県の責任が強く求められ、都道府県ごとに進捗状況を競わされてきた。 簡単に言えば、厚生労働省による都道府県別の分断統治が進んできたのである。このため、たとえ都道府県がお互いに病床を融通し合おうと思っても、もはやそのためのパイプも存在しない状況である。

機能分化の遅れと勤務医不足

出典:鈴木亘(著)『社会保障と財政の危機』(PHP新書)

お互いに譲り合う協力関係が機能していないのは、都道府県内、市区町村内も同様である。 今回、ベッド数のみならず医療スタッフの不足も指摘されているが、周辺の中小病院や診療所はコロナ禍でむしろ患者数が減っているのだから、診療時間を少なくするなどして、応援にかけつけることができるはずである。 しかし、我が国の場合には、大規模病院と中小病院、診療所は、普段から競争関係にある。なぜなら、患者はどこの医療機関に行ってもよい「フリーアクセス」の制度となっているからである。 例えば、読者の皆さんが体調が悪いと思った場合、近くの診療所に行ってもよいし、中小病院に行ってもよいし、大きな総合病院に行ってもよい。医療機関から見れば、お互いが皆、商売敵である。 このため、我が国はもともと医療機関間の連携・協力関係が進みにくい。この点、イギリスやデンマーク、オランダなどの「かかりつけ医」制度が発達している国々では全く状況が異なる。体調が悪いと思った場合には、まずは近くの「かかりつけ医」に行かなければならないルールである。 かかりつけ医が手に負えない病気であると診断して初めて、紹介状を持って病院に行くことになる。 診療所(かかりつけ医)と病院の役割分担が異なるため、普段から地域内で協力・連携し合う関係が成立している。これは、必ずしもかかりつけ医に最初に行くことが義務付けられていないフランスやドイツでも同様である。 我が国の場合、かかりつけ医制度や、医療機関間の役割分担(機能分化と連携)の必要性が叫ばれて久しいが、なかなか進まない。 第四に、そもそもの問題として、我が国は病院の勤務医が恒常的に不足している。一方で、診療所の開業医数にはかなりの余裕がある。今回の新型コロナウイルスに限らず、災害時などにおいても、簡単に病院がパンクしてしまう背景には、病院の勤務医不足の問題がある。

鈴木亘(学習院大学経済学部教授)

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社会問題

「空気を読む日本人」ほど、なぜか「自粛警察」になってしまう“意外なワケ”

https://news.yahoo.co.jp/articles/23d554f720e456f2a85fb1cf0ff7f6de0956553f

2020/12/29(火) 7:31 現代ビジネス

「バカ、死ね、潰れろ!」と…

写真:現代ビジネス

 「コドモアツメルナ オミセシメロ マスクノムダ」  こんな貼り紙が千葉県八千代市の駄菓子屋『まぼろし堂』の門に貼られた。 【写真】メンタルの強い人が、なぜか絶対にやらない「意外なこと」があった!  「最初にこみあげてきたのは、恐怖の感情でした。ほかにも何かされるんじゃないかって」と語るのは、店主の村山保子さんだ。  これが貼られたのは、4月29日のこと。村山さんは、その1ヵ月も前の3月28日から店を自主的に閉めており、休業告知もしてあった。  「近所の方はうちの休業は知っていたと思うので、離れた所から来た人かもしれません。私たちは何も悪いことはしていません。なのに、どうしてこんなことをされないといけないのか。『自粛警察』なんて言われていますが、やっていることは犯罪と一緒じゃないでしょうか」  今年、「自粛警察」という言葉がすっかり一般化した。正義をふりかざして他者に同調を強要するこの現象は、とくに自粛期間中に顕著になった。いま再び新型コロナの感染者数が増えている。自粛警察の動きも再び活発になるのは間違いない。  鴻上尚史氏と佐藤直樹氏の共著である『同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか』が大きな話題となっている。これも、コロナが顕在化した同調圧力のウラ側にある、日本人の国民性や文化を鋭くえぐり出しているからだろう。  神奈川県横浜市の居酒屋『バンバン番長』は、店の入口に貼っていたポスターに、「バカ、死ね、潰れろ!」と書きこまれ、営業自粛を知らせる店側の貼り紙にも「そのまま辞めろ!」と落書きされた。  さらにこれらがニュースで報じられると「なぜ店を閉めないんだ」などのいやがらせの電話がかかってきたという。

スッキリする…

 「こっちだって困らせようと思って営業しているわけではないんです。生活するためには、営業時間などのルールを守って工夫しながらやっていくしかない。書き込みされたのは4月29日ですが、その頃でもお客を入れたのは昼ランチのみで、夜はテイクアウトで対応していました。ゴールデンウイーク中は店を閉めるかどうか、かなり悩んでいました。でも、あんな書き込みをされたら休むしかないですよ。本当に世の中ギスギスしていると思います」(店主の飛田和晃さん)  こうした被害にあった店は各地にある。中でもパチンコ店や、感染拡大の元凶と名指しされた「夜の店」などは、自粛警察の最大のターゲットになった。これらの業種が特に狙われたのはなぜなのか。『同調圧力』の共著者、鴻上尚史氏が語る。  「分かりやすい敵、叩いても誰からも文句を言われる筋合いはないだろうと思われる敵だったからでしょうね。攻撃する側には、政府の自粛要請に乗っかっていれば、とりあえず自分が攻撃されることはない、否定されることはないという意識がある。同時に、ネットに店の名を晒すとか、感染者の名前や住所を晒してリツイートされたり、『いいね! 』が押されることで、自分の存在意義が確認されたような気になる。そうした時代の風潮が、攻撃の度合いを加速させているのだと思います」  攻撃には生理的な背景もあると指摘するのは、医師の梅谷薫氏だ。  「私たちが抱く感情、特に『不安』という感情は、特定の行動をとることで解消されます。自粛警察と呼ばれる現象も、不安解消のための行動と言えます。さらに他者を非難したりバッシングしたりすると、ドーパミンなどの快感ホルモンが出て、スッキリするのです」

大義名分と正義

 とはいえ、闇雲に攻撃したのでは、自分のほうが叩かれる。そこで振りかざされるのが「正義」だ。梅谷氏が続ける。  「他者を罰するためには『大義名分』が必要です。自分にとっての『正義』といってもよい。自粛要請が出ているのに営業を続けるパチンコ店などは、大義名分や正義をふりかざす恰好のターゲットになる。ネット社会になってから、こうした歪んだ正義感で他人を支配しようとする傾向が強まり、今回のコロナでさらにその傾向が増大されたと思います」  「出る杭は打たれる」という諺にもあるとおり、もともと日本社会は欧米に比べて同調圧力が強い社会だといわれてきた。その理由を、『同調圧力』の共著者である、佐藤直樹氏が解説する。  「日本には細々とした『世間のルール』というものがたくさんあり、皆が守らなくてはいけないと思っています。日本人は、法律学で最も大事な権利も人権も信じていません。つまり法律を信じていない。では、何を信じているのかというと、世間のルールを信じているのです」  この「世間」が同調圧力を読み解くヒントになる。佐藤氏が続ける。  「日本人が一番恐いと思っているのは『世間』から排除されることなので、そうされないために、みんな几帳面に世間のルールを守っています。会社という世間に属している会社員の言動も同じです。そこで、その世間や会社などのルールから外れていると見なした人に対して、自粛警察のような強い同調圧力がかけられるのです」

日本と欧米の「違い」

 日本と欧米のこの違いは、今回のコロナの対応に表れている。心理学者の榎本博明氏が解説する。  「ドイツやフランスでは、再びの感染増加にともなってマスクの着用が義務化され、違反者に対しては罰金が科せられることになりました。それに対して、個人の自由や人権を尊重する文化で育った欧米の市民から、自由や人権の侵害だという批判の声が上がり、さまざまな反対運動も起こっている。市民の怒りの対象は、法で規制した政治権力に向かっているのです。  一方、日本は法的な規制は行わず、自粛の要請で対処しています。日本では、国民の自己犠牲によってコロナ対策が成立しており、明らかな規制の対象がいないため、不満の矛先が同じ市民に向かっているのです」  コロナの第一波の際、確かに欧米政府はロックダウンや外出禁止令など強権的な法でコロナを抑えにかかった。  「欧米は、法のルールに則った形で強硬策をとりました。なぜ強硬な手段をとらなくてはならないかというと、皆が言うことを聞かないからです。ロックダウンの際は反対デモがあり、マスク着用義務についても、反対のデモが起きています。一方、日本の場合は自粛と要請。しかも罰則はありません。法的な強制力がなくても『同調圧力』があるから、それが法律の替わりになる。自粛に応じない人間に対して、国からではなく世間から、『空気を読め』という圧力がかかるのです」(前出・佐藤氏)  コロナを理由に家族との面会を禁じるのは人権侵害だとして、イタリアの刑務所では暴動も起きた。日本の刑務所でも、同様の措置がとられているが、日本では抗議活動は起こっていない。コロナ下のいま、面会できないのは仕方がないと「空気を読んでいる」のだ。

同調しないと不安

 この極端な違いはどうして生まれたのか。前出の梅谷氏は、こう指摘する。  「日本は長らく大陸からの武力介入を受けず、独自の発展を遂げてきました。その間、『ガラパゴス』とも呼ばれるような閉鎖された環境が維持された結果、他国とは異なるさまざまな慣習やルールが生まれました。その典型がムラ社会のルールです。農業を中心とする日本のムラ社会では、互いに気をつかい合い、場の『空気』を読むような態度が尊重されてきました。個人ではなくムラという集団の規律を重んじ、ムラに忠誠を尽くすことが何より重視され、それから外れることを禁じる風潮が形成されたのです。これが無言の圧力である『同調圧力』の背景にあるものです」  同調圧力が著しく大きくなって社会が逼塞したのが戦時中だ。  「戦時中は『欲しがりません、勝つまでは』という同調圧力が世間全体にかかり、『隣組』などがこの圧力を担っていました。戦時中の隣組は、まさに自粛警察です。世間はこの当時とあまり変わることなく、今日まで来たのだと思います」(前出・佐藤氏)  梅谷氏のいう「ムラ社会」、佐藤氏のいう「世間」が担っている同調圧力社会を、社会学者の内藤朝雄氏は「中間集団全体主義」という言葉で解説する。  「日本を語る際の重要なキーワードが、中間集団全体主義です。日本は、学校や会社、自分がたまたま属したグループが小さな世界となり、そこでの論理や秩序がすべてとなってしまいます。仲間内で当たり前とされるムードが、広い社会の普遍的な理念やルールに競り勝ち、小さな共同体に呑みこまれていく。  むしろそれが社会の当たり前の形だという感覚、そしてその感覚を抱かせる仕組みが広がっているのです。そうした社会のことを中間集団全体主義社会というのですが、これがあるため会社員は社畜になり、学校では学校の奴隷のような生徒が生まれてしまいます。その集団に同調しないと不安になるところから、自粛警察やいやがらせが生まれてくるのです」

自粛警察ユーチューバーが語る

 とはいえ、同調圧力のすべてがマイナスかというと、そうではない。  「例えば日本の犯罪率の低さは、同調圧力に拠る部分も大きい。同調圧力が強いため、逸脱行為が抑止されて、犯罪までいかないのです。日本の殺人率はアメリカの17~19分の1、ヨーロッパと比べても3~4分の1です。韓国・中国と比較しても2分の1から3分の1で、日本は圧倒的に治安がいい。これは『他人に迷惑をかけてはいけない』という世間のルールが同調圧力となって働いているためでしょう」(前出・佐藤氏)  一概に「悪」と言えないところに、同調圧力や自粛警察の問題の根深さがある。  実際に「自粛警察」と呼ばれた人は、どう考えているのだろうか。自粛要請期間中、自治体からの要請を拒否して営業を続けたパチンコ店まで出向き、店に通う客とのやりとりの動画を顔出しで公開した「自粛警察ユーチューバー・令和タケちゃん」に話を聞いた。  「ざっくりいえば、緊急事態宣言で皆が自粛している最中、開き直ったパチンコ利用者があまりにも目にあまったので、言論の自由の範囲で政治活動として呼びかけました。ナンバープレートに落書きをしたり、物を壊したりといった他の自粛警察のような犯罪行為はしていません。  相手が逆上したので売り言葉に買い言葉で激しいやりとりになりましたが、当時は平時ではなく有事でしたから、国の指針に反して社会を混乱に招く人たちに抗議しただけです」  正義感から「政治活動」に立ち上がったのかと尋ねると、令和タケちゃんはこう答えた。  「正義感というよりも使命感です。誰もやらないからやった。国もやらない、誰も抗議しない、影響力のある人が発信するわけでもない。だから私は公道を使って、あくまで政治活動として客に注意を行ったのです。  本来なら国がやるべきことで、一般人がやるべきことではない。政治が強制力のある特措法を作るとかしないといけません。そうした法的な根拠がないから、日本だけが『自粛のお願い』などというヘンな日本語を使い、法的な強制力がないから同調圧力になってしまうのです」  タケちゃんも、同調圧力がよいとは考えていないのである。

人は快適なほうへ従う

 私たちはどうしたらこの同調圧力から逃れることができるのか。鴻上氏は、こう語る。  「唯一の『世間』とは別の緩い『世間』に複数所属して、強力な『世間』から来る同調圧力を弱めていくこと。別の緩やかな世間とは、会社や学校とは異なるサークルでもいいし、ボランティアグループでも良い。そして、世間話ではなく『社会話』のスキルをあげて、自分と全く関係のない人達との会話を楽しめるようになることが重要だと思います。結局、それぞれが自分のできるやり方で同調圧力と戦うしかないのだと思います。でも、同調圧力に従わず、自分のやりたいことをやるのはとても快適なことなので、徐々に多くの人が追従していくことを期待します。人は快適なほうへ従いますから」  佐藤氏の意見はこうだ。  「同調圧力から逃れるには、お中元やお歳暮は贈らないとか、世間のルールをなるべく緩く考えていくことが重要だと思います。上司が帰るまで帰れないといった世間のルールがあるけれど、コロナでリモートワークが広がった今、そんな悩みもなくなっていくはずです。それが過労死の解消にもつながっていく。せっかくコロナでこういうことがわかったのだから、世間のルールを少しずつゆるめていくことを意識的に考えていったらいいのではないでしょうか」  コロナ禍は日本社会の構造と歪みを浮き彫りにした。「災い転じて福となす」チャンスになる可能性もあるのだ。

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感染症ニュース

保健所が厚労省に「2類指定を外して」 体制の見直しで医療逼迫は一気に解消へ

https://news.yahoo.co.jp/articles/90f09de6db33e3f50b92baafe22d55a4e1ba2bfd

2020/12/27(日) 5:59 デイリー新潮

「働いている人が減ったとは感じない」

世論に流され……

 12月8日、全国保健所長会が厚労大臣宛てに「緊急提言」を送っている。新型コロナウイルスは現在指定感染症(2類相当以上)の扱いだが、これを緩めてほしいというものだ。メディアは保健所の逼迫を受けて「医療崩壊だ」「外出するな」と叫ぶが、本当に必要なことは指定感染症2類扱いの見直しではないのか。 【写真】感染拡大後も賑わう「新宿」  ***

 連日ワイドショーで紹介される医療関係者の悲鳴を聞くかぎり、全国の病院がいまにも崩壊しそうに感じられるが、はたしてそれは実態なのか。医師や看護師が次々と退職したと話題になった、大阪市の十三(じゅうそう)市民病院の前で、何人かの来院者に話を聞いた。  ご主人が肝臓がんで入院した80代の女性は、 「5階に入院してから主人と会えていません。着替えをもってきても渡すのは看護師さん。妻の私でも主人と会われへんのは、コロナ対策いうことみたいですわ。要は、コロナの人が大勢いるから健康な人はなるべく来ないでくださいねと。私も来るのは嫌ですけど、仕方ないですわ」  持病があって通院する70代の女性は、 「ここから入ってください、院内ではこの動線に沿って動いてください、というようになっています。でも主治医の先生が替わったとかはないですね。働いている人が逃げ出したという報道も見ましたが、働いている人が減ったとは感じません。ただ、検査技師とかが結構やめてるみたいやね」

医師「若者にとってはただの風邪」

 物々しい雰囲気は伝わるが、コロナ患者を受け入れると、どう負担がかかるのか。関西の開業医が語る。 「11月から、うちもPCR検査をしていますが、大きくは告知していません。コロナが疑われる患者さんの来院時は、職員に下がってもらい、私一人で検査を行います。指定感染症2類相当として扱われているので、一般の患者と動線を分ける必要もあり、行うのも昼休みか夕方の診療後です。職員の安全確保や消毒の手間を考えると大変です。うちが認定機関に手を挙げたら、翌日には契約書が送られてきたから、自治体もコロナを受け入れる医療機関を増やしたいのでしょう。しかし、うちも1月以降、患者は3割ほど減っていますし、知り合いの小児科は10分の1にまで減っている。そういうなか民間医療機関が受け入れるのは難しい」  そして、つけ加えた。 「現場の医師の感覚で言えば、コロナは若年者にとってはただの風邪です」  この開業医の話からは、コロナ患者を受け入れると、たしかに病院は大変な状況に陥る、しかし、言われているほど怖い病気ではない、という二つのことがわかる。では、いま行うべきはなにか。医師でもある東京大学大学院法学政治学研究科の米村滋人教授は、 「医療逼迫の真の原因は、日本の医療体制そのものにあります」  と言って、説く。 「日本では医療法上、病院の監督権限をもつ都道府県知事らが、各医療機関の医療内容に関して直接的な指示や命令を行うことは認められていません。だから、公的医療機関に対しては国や自治体が事実上指示できても、民間に対しては要請しかできません。このため、ほとんどが公的医療機関であるイギリスやフランスと違い、民間病院が81%を占める日本ではいま、一部医療機関に負担が集中し、医療従事者が疲弊する事態になっています。また、医療機関に人員を派遣するなどの公的措置もなかったので、各医療機関は内部で人員をやりくりし、不慣れな者も含めてコロナ患者の治療に当たることを余儀なくされ、医療従事者間にも負担の偏りが生じています」  そして、こう訴える。 「政府も分科会もGoToに予算を割き、感染者が増えたら一時停止にするなど、その時々の感染状況に踊らされた、近視眼的な対策に終始しています。ここまでわかることが増えても、相変わらず場当たり的な対応しかしないなら、専門家として失格です。必要なのは半年先、1年先を見据えた具体的な提言。医療崩壊を防ぐために、コロナ受け入れ病院に人員を派遣した医療機関や個人に給付金を支払うなど、医療資源を均衡化するためのお金の使い方が必要です」

煽るテレビ、新聞の責任は

 政府は追加経済対策に、新型コロナの感染拡大防止策として5兆9千億円を盛り込んだが、そのごく一部を割いて不均衡を是正すれば、医療の逼迫は抑えられるはずだ。それをせずに末端にツケを回すなら、もはや政治ではあるまい。  加えて、新型コロナ患者を受け入れた医療機関の関係者の多くが、なぜ悲鳴を上げる事態になるのか、考える必要がある。 「感染者が欧米の数十分の1なのに、日本で医療逼迫が起きているのは、ひとえに新型コロナを指定感染症の2類相当として扱っているからです」  と、東京大学名誉教授で食の安全・安心財団理事長の唐木英明氏が指摘する。 「感染者数がピークでも1日2千~3千人で済んでいる日本は、5万~20万人の欧米から見れば感染対策に成功している。欧米の状況と比較するのは重要で、多くの政治判断は相対的な基準を拠り所に行われるからです。たとえば10万人当たりの感染者数をくらべれば、2類扱いを維持すべきかどうかは明らか。2類扱いだから医療が逼迫し、指定病院は一般患者が遠のいて赤字になり、医療関係者や保健所はオーバーワークを強いられ、その家族まで風評被害を受ける。インフル同様5類にすれば受け入れ可能な病院も増えるのに、それができないのは、新型コロナは“死ぬ病気だ”という意識を国民に植えつけた専門家、テレビ、新聞のせいです」

保健所も「2類相当の扱いを緩めてほしい」

 どこも報じないが、12月8日、全国保健所長会が厚労大臣宛てに「緊急提言」を送っていた。そこには、 〈災害時に準じた対応を余儀なくされています。2020年2月1日の指定感染症の指定以降、数カ月にわたり危機的な状況が継続していることを以下の現状とともにお伝えいたします〉  という文言に続き、保健所の逼迫状況が書かれ、 〈感染拡大の状況は地域により異なるので、現行の指定感染症(2類相当以上)の運用を、全ての感染者に対応することが困難である地域においては、感染症法上の運用をより柔軟に対応すること等を、以下に提案する〉  として、2類相当の扱いを緩めることで、保健所の逼迫状況を解消してほしい旨が綴られている。  テレビも保健所の逼迫を報じているが、常に「だから感染拡大を防げ」「外出するな」という結論に導かれている。新型コロナの感染者に、致死率5割を超えるエボラ出血熱並みの対応を求められている保健所の悲鳴は無視され、世論を煽る材料に使われているのだ。 「週刊新潮」2020年12月24日号 掲載

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相次ぐ看護師の離職 医療現場を下支えする現場密着

https://news.yahoo.co.jp/articles/ebe2557e512612dad6e282b85020e5255c444a91

2020/12/26(土) 23:30 テレ朝news

年末年始が迫る中、今週、日本看護協会は会見を開き、感染症指定医療機関などの 21.3%で新型コロナを理由とした離職があったという調査結果を発表しました。 SNSにはこんな投稿も…。 「Go toで人(ひと)集り(だかり)が凄く、私達は会食、旅行は勿論ダメです。 税金払ってなんの楽しみもなくて、税金使って楽しんで感染した人の為に また同僚が苦しむのを考えてたら退職しようと決意しました。」 都内の病院で働く、離職を決めた看護師にも話を聞くことができました。 離職を決めた看護師 「ちょっと怖かったなっていうのはあります。同期8人いたんですけど3人やめました。」 今年4月からあこがれだった看護師として働き始めましたが、新人研修もないまま、 いきなり現場で働くことに…。 離職を決めた看護師 「こんなに頑張っているのにちょっと使命感では続けられないかなっていうのが 常にギリギリで動いている状態なので」 こうした医療現場を陰ながら支えている人たちがいます。 消毒室と書かれた部屋に置かれていたのは赤い袋。そこに感染症・タオルとの文字。 これは新型コロナ病棟から出てきた洗濯物です。 指定感染症の患者が触れたシーツやタオルは、原則病院内で消毒をしないと外に出すことができません。 洗濯物に触れる際は、個人防護具を装着し作業に当たりますが、実は病院の職員ではありません。 病院の寝具などを扱う企業のスタッフです。 株式会社 東基 矢部 徹也 社長 「病院の医療従事者の方々の手間をなるべく減らすように、そういったところでこちらがお手伝いする。」 手書きで「リネン汚物庫・立入禁止」と書かれた部屋にも…赤い袋。 病院内で処理しきれない物は、袋を二重にし、表面を消毒。 段ボール箱に入れられ未消毒と分かるようにしてクリーニング工場へと運ばれます。 病院から洗濯物を回収するのはコロナ専門のチームです。 工場にトラックが到着。1日に5・6軒の病院を回り、集められた段ボールは、なんと160箱。 この膨大な数を処理するために活躍しているのがオゾン消毒庫です。オゾンが行きわたるよう 袋に穴をあける際は、防護具を身に着けます。およそ4時間半後…。 工場のスタッフ 「はい、OKです。」 オゾンが、隅々まで行きわたったかどうか、チェック。 ここからは通常の洗濯物として扱われていきます。 さらに消毒を兼ねた熱水による洗濯工程を経て再使用されていきます。 年末年始、病院に休みはありません。病院からの洗濯物は、途絶えることなく工場へと運ばれます。 株式会社 東基 矢部 徹也 社長 「国民の命を守る、健康を守るというところで強い使命感を持って働いていらっしゃる方々を 支えるために、私たちもなくてはならないサービスとして、「絶対に止めることはできない」 そういった思いを非常に強くしながら、使命感を持って仕事しているというところです。」

テレビ朝日

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新型コロナは130年前に一度流行していた? 当時は数年で落ち着き、普通の風邪に

https://news.yahoo.co.jp/articles/4cdb6399a60bb4abd33cfe71dfb90596a8cd9aa0

2020/12/18(金) 17:00 デイリー新潮

専門家「外出自粛、時短営業は効果なし」

渋谷を行き交うマスク姿の人たち

 新型コロナ第3波を迎え、各都道府県は外出自粛要請や時短営業などの感染対策を行っている。しかし、専門家によるとこれらの対策の効果は見込めないという。さらに、過去にコロナウイルスが流行し、その後自然に消滅していたという説も浮上したのだ。 【疫病の流行】ヨーロッパの人口の“3割が犠牲”になったことも  ***

 人命が10万人単位で奪われる可能性に言及する人はいなくなったが、日々の報道からは、われわれに安閑としていられる猶予があるとは思えない。新型コロナウイルスの猛威を前に、進度は遅いが巨大な台風に備えるかのように、最大限の警戒をすべきだと訴える声が、日増しに大きくなっているからである。  たしかに、発表される数字や自治体の対応を見るかぎり、台風は刻々と迫っているかのようである。重症病床の使用率が70%を超えた(12月8日時点、以下同)大阪府は、今月4日から15日まで、不要不急の外出を控えるよう府民に呼びかけた。また、東京では16日、1日当たりの新規感染者数が過去最多の678人を数えた。  ワイドショーがこうした数字や状況を、明日にも世の末が訪れるかのような勢いで強調しているのは、周知の通りである。そのうえ、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長も、NHKの番組で6日、「GoToトラベルを含め、人々の動きと接触を短期間に集中的に減らすことが、感染を鎮静化するために必須」だと発言。これでは国民が冷静さを保つのは、簡単ではなかろう。  しかし、いまの状況をあえて冷静に眺めれば、悲観的な材料は決して多くなく、叫ばれている医療の逼迫にしても、不可抗力ではないことに気づかされる。たとえば、京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授は、大阪府の外出自粛要請について、 「いまさらそれを行うのはナンセンスです」  と言い切り、自身が考案した「目玉焼きモデル」を用いて説明する。これは感染状況を五つの同心円で説明するもので、真ん中がゾーン1とされ、外側に向かってゾーン2、3、4、5と広がる。ゾーン1はどんちゃん騒ぎをする飲み屋などを、続くゾーン2は家庭内感染など、3は一般人エリア、4はかなり防衛している人、5は引きこもりを示している。 「第一に、外出自粛や時短営業を行ったところで、ゾーン3~4の人を5に追いやるだけだからです。都会ではゾーン1はすでに燃え尽き、次のゾーンに入っています。ウイルスが好む冬になったことで、ゾーン3のなかでゾーン2に近い部分も、すでに燃えてしまっていて、いずれ鎮火します。要は、どんちゃん騒ぎさえしなければ、食事やコンサート、映画に行っても問題なく、外出自粛や時短営業をしても、収束スピードは変化しません」  次に第二の理由だが、 「いまの感染の波は、すでにピークアウトしています。大阪は推定感染日、東京は発症日で見て、ともにピークは11月12日。以降は下降フェーズに入っています。テレビなどでは医療の逼迫が騒がれていますが、それは新規重症者のピークが発症日のピークに、10日ほど遅れるからです。東京はすでに重症者数が減り始めていますし、大阪の重症者も1~2週間で減少傾向に入っていくと思われます」

波は「ヒトコブラクダ」

 現在、大阪の重症者病床使用率が7割を超えた、と騒がれているが、 「どんなに増えても、85%を超えることはないでしょう。大阪府もそれを理解しているから、さほど焦っていないのだと思います」  と、宮沢准教授。12月になっても、東京都の1日当たりの感染者数が過去最高を更新している状況は、どう説明できるのか。 「クラスター対策も兼ねて濃厚接触者へのPCR検査を積極的に行ったため、感染者が一時的に増えたように見えるだけです。濃厚接触者には無症候者も多いはずで、彼らは持っているウイルス量も少なく、ほかの人にうつすとは考えにくい。感染者数は再び減少していくと思います。ピークアウトする理由も目玉焼きモデルで説明できます。たとえば、大阪では7~8月に接待を伴う飲食店で感染が増えましたが、いまは普通の飲食店での感染が多くなっています。つまり夏にゾーン1、秋に2が燃え尽きて、いまは元来ゾーン3だったところが燃えている。それも10月下旬から11月上旬にかけ、ほぼ燃え尽きていると考えられるのです」  次の波についても、 「大都市ではもう一度、感染者数が急増する見込みはないし、波が起きたとしても、今回ほどの高さにはならないでしょう。北半球でも南半球でも、感染の大きな波は冬に迎えていますが、それはごく一部を除き、ヒトコブラクダ型になっているんです。目玉焼きモデルのゾーン2に近いゾーン3が生じることも、一度起きたらもう起きません。今後、このウイルスは、秋から冬への季節の変わり目に感染者が増えるくらいになるのではないでしょうか」  そして、こう加える。 「私も冬を迎えるまでわからない部分がありましたが、もう99%読めました。1月以降は感染者も減少し、3~4月には安心できるようになるでしょう。“五輪で外国人を入れると”と心配する人もいると思いますが、心配ありません。また、ウイルスの毒性も日本型より欧米型のほうが低い可能性が高いです」  ジタバタしなくても、普通に感染対策をしていれば、自然に収束を迎えられるというのである。

130年前にも流行

 実は過去にも、流行したコロナウイルスが自然に消えていった、と思しき例がある――。そんな例を挙げるのは、東京大学薬学部の池谷裕二教授である。 「風邪の原因になる一般的なコロナウイルス、OC43が発見されたのは半世紀ほど前です。ところが、1890年代にインフルエンザが大流行し、世界で100万人が死亡した当時の遺品をいま調べると、インフルエンザのウイルスは確認されず、実はOC43であった可能性が指摘されています。当時の死亡率は4%で、高齢者ほど重症化しやすかったそうですから、今回の新型コロナウイルスと同様です。ということは、当時の大流行がどうなったのかは、いま未来を占ううえで、とても参考になります」  当時の状況だが、 「流行の波が生じては消え、というサイクルを繰り返すたびに致死率は下がり、数年で落ち着きました。こうしてOC43は、毎年冬に流行する、ごく普通の風邪になり、私たち成人の90%が抗体を持っています。同様に今回の新型コロナウイルスも、いずれ収まることが予想されます。さらに、ワクチンという現代型の武器が開発されれば、流行の収束を加速させられるのかもしれません」  130年前はワクチン以前に、治療法も予防法もなかったであろうことを考えれば、収束までの道のりがはるかに短くなることは、容易に理解できよう。 「週刊新潮」2020年12月17日号 掲載

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コロナによってインフルが激減!いいことかと思ったら

https://article.yahoo.co.jp/detail/7d60bc134595a4b05f09aa942e15ebd855d2067f

2020/12/24(木) 12:05配信 TBSラジオ

今年はインフルエンザが激減しているとニュースになっていますが、その要因の可能性として最近よく目にするのが「ウィルス干渉」と言う言葉です。一体なんなのか。そしてこの先に何が起きるのか?12月23日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。

まずは「ウイルス干渉」とはどういうことなのか?富山県衛生研究所の大石和徳所長に伺いました。

★ウィルス干渉って何?

富山県衛生研究所 大石和徳さん
「それはどういう仕組みかって言うと、ウィルス感染を受けると、ウイルスに対するこの個体が持っている「自然免疫」って言うんですけど、抗ウイルス活性を持ったサイトカインが出てくんですよ。でそれが他のウィルス感染を抑えるって言うことは、現象的にはよく知られてることなんですね。ひょっとすると、ウイルス干渉が起こっているのかもしれない」

コロナウイルスが干渉して、インフルエンザウイルスを抑え込んでいる、ということなんです。

ウイルス干渉というのは、どういう仕組みかと言うと、例えばコロナウイルスに感染すると、体の中に免疫効果のあるタンパク質=サイトカインが出てくる。それがインフルエンザウイルスに干渉して、インフルエンザ感染を防ぐ、抑え込む、という仕組み。

あるウイルスが広く蔓延すると、発症しないまでも、ウイルスをどこかで浴びることで、体内にこうした変化がありうると。

もちろん、コロナ対策として感染防止策を行なっていることも影響しているはずですが、それだけで、ここまで極端に減るとは考えにくい。

だから「ウィルス干渉」が大きな要因だと考えられるということでした。

では、ウイルスが干渉して「コロナの流行でインフルエンザが抑え込める」なら、その逆に、「インフルエンザが流行すればコロナを抑えられる」のではないのか?治療法が確立しているインフルエンザの方がマシですよね。

というわけで、「インフルでコロナを封じ込めることはありうるのか?」元小樽市保健所長でインフルエンザに詳しい医学博士の外岡立人さんに伺いました。

★インフルエンザでコロナを抑え込める?

医学博士 外岡立人さん
「ありますね。呼吸器に感染するウイルスはたくさんある。コロナウイルスも、インフルエンザも呼吸器系に感染する。ですからインフルエンザが活発に世界中に流行している時は、コロナウイルスは流行しなかっただろうといえますね。しかし、これだけコロナがたくさん増えて、流行して、変異株も沢山できて、世界中に広がっている段階では、いくらインフルエンザでも、それを抑えるのは無理で、逆にそう言ったコロナウイルスを押し除けるだけの力を持ったインフルエンザが出てきたら、逆にそのインフルエンザも怖いですよね。」

外岡さんは新型インフルエンザなどにも詳しい方なのですが、確かに「インフルエンザウイルスがコロナを抑え込む」ことはありうる。でも、コロナを押し除けるくらいのインフルエンザウイルスだったら、コロナより、そちらの方が怖いという事で、インフルでコロナを押さえ込むという発想は浅はかでした・・・

では、次の疑問。コロナはともかく、現状は、インフルエンザが激減している。これはこれでいいことなのでは?と思って伺ったんですが、実は、これも問題があるそうです。再び外岡さんに伺いました。

★インフルエンザが激減するとワクチンを作るのが難しくなる

医学博士 外岡立人さん
「今年インフルエンザが流行しなかったとしたら、来年度、どういうインフルエンザが出てくるか予想が難しいですね。今年流行したインフルエンザから、WHOは来年度のインフルエンザワクチンを考えるんです。今年流行してなかったとしたならば、来年度はどのタイプのインフルエンザが流行するか、予想が非常に難しいから、ワクチン作りも、すごく難しいですよね」

インフルエンザと一口に言っても型の種類は様々。A型とB型があり、そのA型B型の中でも、いくつか種類に別れます。

通常は、今年流行したインフルエンザから、「その型のインフルは今年流行して、もう集団免疫ができているから、来年は流行しないだろうな」などと考えながら、翌年の流行を想定し、翌年用のワクチンを考える。だから流行しないと、翌年のワクチンがうまく作れず、翌年以降、大流行するリスクが出てくる、ということでした。

コロナ禍でインフルエンザが流行しないのは、不幸中の幸いかと思っていましたが、実はその影響は翌年に出てくるかもしれないということで、改めて、コロナの影響の大きさを感じます。

◆12月23日放送分より 番組名:TBSラジオ「森本毅郎 スタンバイ!」

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昨年比「600分の1」の衝撃 日本のインフルエンザ「消滅状態」は続くのか

https://news.yahoo.co.jp/byline/mamoruichikawa/20201205-00210138/

市川衛 | 医療の「翻訳家」 2020/12/5(土) 8:00

インフルエンザ定点あたり報告数2019年20年比較(厚労省データより筆者作成)

4日、厚生労働省は最新のインフルエンザの国内発生状況(11月23日~29日分)を発表しました。

昨年は同時期に、全国で27,393件の発生が報告されましたが、今年は46件でした。昨年比でおよそ600分の1という、いわば「消滅状態」とも感じられる数字です。

今年の冬は、新型コロナとインフルエンザが同時流行する、いわゆる「ツインデミック」が不安視されていました。要治療者・入院者が急増することで、病院機能がパニックになる、と指摘する声もありました。

インフルエンザの流行は、年によって前後しますが11月下旬から12月にかけて発生します。ここ10年で、1月以降に流行が発生したのは2015/2016シーズン(2016年第1週)しかありません。

去年と今年の、国内のインフルエンザ報告数(定点あたり)の推移をグラフにすると下記のようになります。

インフルエンザ定点あたり報告数2019年と2020年の比較(厚労省データより筆者作成)
インフルエンザ定点あたり報告数2019年と2020年の比較(厚労省データより筆者作成)

2019年が青の線、2020年が赤の線です。ご覧の通り、去年はこの時期(48週)にかけて報告数が急増し流行状態になっていましたが、今年はゼロを示す横軸とほぼ一致しており、流行が起きていないことが分かります。

「希望」とも思えるこの状態、この先も続くのでしょうか?

もちろん未来予測は出来ませんが、参考になるのが、この7月にいち早く「ウィズコロナの冬」を迎えた南半球の国々のデータです。

南半球の国々でも確認された「インフルエンザ消滅」

南半球は日本など北半球と季節が逆です。日本では夏の7月ごろ、例年ならインフルエンザが流行する冬を迎えました。

南半球の国のひとつ「オーストラリア」の流行データを見てみます。

グラフは、WHO(世界保健機関)の「Influenza surveillance report」より取得しました。期間は、2019年の3月6日から今年の9月6日までです。

WHO Influenza surveillance reportより 赤丸・矢印などは筆者記入
WHO Influenza surveillance reportより 赤丸・矢印などは筆者記入

棒グラフが、インフルエンザ陽性となった検体数。赤の線グラフは陽性率(検体のうち、陽性になったものの割合)です。

2019年の7月ごろには大きなピークがあり、流行が起きたことが分かります。ところが今年の7月(というか4月以降)は、ほぼゼロです。

オーストラリアの他の南半球の国々のデータも見ましたが、同様のインフルエンザ「消滅状態」が起きていました。

コロナ対策はインフルも減らす?

なぜインフルエンザの報告数が減ったのでしょうか。もしかすると、新型コロナの影響で、症状があっても病院に行かないなどして把握されていない患者がたくさんいるのではないか?という疑いも出てきます。

ただ、オーストラリア保健省が出しているレポートを読んでみたところ、そういうわけでもなさそうです。

こちらは、オーストラリアにおける、今年に入ってからのインフルエンザの検査数と陽性になった割合を示したグラフです。

AUSTRALIAN INFLUENZA SURVEILLANCE REPORT No. 10, 2020 より  一部筆者により和訳・補足
AUSTRALIAN INFLUENZA SURVEILLANCE REPORT No. 10, 2020 より  一部筆者により和訳・補足

青い線グラフは、インフルエンザ検査の数の月ごとの変化です。8月にかけて大幅に増えていることがわかります。

一方、棒グラフがインフルエンザの陽性率(行われた検査のなかで、陽性となった率)ですが、4月以降ほぼゼロの状態が続いています。

検査は多く行われているのに、ほとんど検出されていないわけですから、流行は本当に起きていない可能性が高いと言えそうです。

なぜこの冬シーズン、インフルエンザの流行が記録的に低く抑えられたのか。先述のレポートの中で、オーストラリア保健省は次のように指摘しています。

新型コロナウイルス感染症の流行に関連して行われた公衆衛生上の対策や、メッセージを多くの人が守っていることが、インフルエンザを含む急性呼吸器感染症の感染拡大に影響を与えている可能性が高い。

出典:AUSTRALIAN INFLUENZA SURVEILLANCE REPORT No. 10, 2020 より

新型コロナ対策で行われている取り組みは、考えてみれば当然ですが、インフルエンザ対策としても有効です。また、コロナ感染拡大の影響で、国を超えた移動が大幅に減ったことも感染の防止に役立っていそうです。

この冬の日本、そしていちはやく冬を迎えた南半球の国々の状況は、「社会の多くの人が同時に感染症の対策をとると、その効果は驚くほどてきめんに現れる」という可能性を示しています。

「慢心」ではなく「希望」と捉える大切さ

この冬「ツインデミック」、すなわち新型コロナとインフルエンザが同時流行することによって医療機関が大混乱し、失われないで済むはずの命がたくさん失われる事態が心配されてきました。

現状の日本のデータ、そして南半球の事例からは「私たち一人ひとりが、すでに行っている感染対策を着実に続けていれば、そんな不幸な事態を防げるかもしれない」という「希望」が示されたと捉えるのが、役に立つ考え方なのかもしれません。

・適切なマスク着用

・3密(特に多人数の会食)を避ける

・帰宅時などに手を洗う

いま「第3波」と呼ばれるコロナ陽性確認者の増加が報道される中で、上記のような対策を続けて本当に意味あるの?って、ついつい思ってしまうこともあります。

でも間接的ではありますが、インフルエンザに関するこれまでのデータは、そういう地味ですぐには意義を実感できない対策が、ちゃんと効果をあげていることを示しつつあります。

この記事を書くために、データをグラフにしたり図にしたりしてつらつらと眺めていたところ。。。全国で、そういう地味で面倒なことを粘り強く続けている人たちの姿が急に思い浮かんでしまい、ちょっと目頭を熱くしてしまいました。

この一人ひとりの頑張りの先にはきっと「希望」がある!ということを、個人的には確信した次第です。急に感情的でスミマセン。

感染対策、ちょっと面倒で先が見えないように思えるときもありますが、より前向きな未来につながると信じて、続けていこうと思います。

(いちかわ・まもる)医療の「翻訳家」/医療ジャーナリスト/メディカルジャーナリズム勉強会代表/京都大学医学部非常勤講師。00年東京大学医学部卒業後、NHK入局。医療・福祉・健康分野をメインに世界各地で取材を行う。16年スタンフォード大学客員研究員。【主な作品】(テレビ)NHKスペシャル「腰痛 治療革命」「医療ビッグデータ」ためしてガッテン「認知症!介護の新技」など。(書籍)「脳がよみがえる・脳卒中リハビリ革命(主婦と生活社)」「誤解だらけの認知症(技術評論社)」など。※記事は個人としての発信であり、いかなる組織の意見も代表するものではありません