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「コロナウイルス、布地で72時間生存…感染力もそのまま」

https://news.yahoo.co.jp/articles/a6396ed3601b21b59739ab0f373acad4c06bbbdc

2021/2/25(木) 10:28 中央日報

新型コロナウイルスがポリエステルなど繊維の表面で最長72時間まで生存できるという研究結果が出た。 BBCは24日、英デモントフォート大学の研究陣が、ポリエステル、ポリコットン(ポリエステルと綿を合成した材質)、純綿に、新型コロナウイルスと非常に類似したウイルス「HCoV-OC43」を飛沫形態で付着させた後72時間にわたり観察した結果、ウイルスはポリエステルの表面で72時間、純綿で24時間、ポリコットンで6時間生存したと報道した。 繊維表面に生存する間ウイルスの伝染力はそのままだったことが明らかになった。ただウイルスが付着した布地を洗った洗濯機を通じてウイルスが他の服を汚染することはないと調査された。 研究陣は純綿に付着したウイルスを完全に除去するためには洗濯洗剤を必ず使わなくてはならず、水温は摂氏67度以上に上げなければならないとも勧告した。 研究を主導したケイティ・レアード微生物学博士はこれら繊維の材質が医療従事者のユニフォームによく使われ感染のリスクがあるとし、「ユニフォームを家に持ち帰れば他の表面にウイルスを残しかねない。医療従事者の作業服は病院で洗ったり産業用洗濯で処理しなければならない」と話した。 こうした内容が盛り込まれたレアード博士ら研究陣の論文は現在同僚学者の審査を受けている。

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BCG接種国は新型コロナの死亡者が20分の1 回復者の98%が抗体保有のデータも

https://www.dailyshincho.jp/article/2020/12190557/?all=1

週刊新潮 2020年12月17日号掲載

98%の回復者に抗体が

 新型コロナに感染した後、抗体は短期間で消えてしまう可能性が指摘されてきたが、研究によってほとんどの回復者が半年後にも抗体を保有していたことがわかった。さらに、BCG接種がワクチンの役割を果たしているという指摘も。

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 報道でご存じの方も多いと思うが、横浜市立大学の研究グループが、新型コロナに感染して回復した376人を調査した結果、大半の人が半年後にも抗体を保有していたのだ。同大医学部臨床統計学教室、山中竹春主任教授が説明する。

「新型コロナウイルスに感染すると、多くの種類の抗体が体内にできます。その一部が再感染の阻止を担う中和抗体です。われわれは感染して回復した方から6カ月後に採血し、本学で微生物学が専門の梁明秀(りょうあきひで)教授が開発した抗体検査を用い、4種類の抗体を測定しました。その結果、ほとんどの回復者に残っている抗体が同定されました。さらに特殊な実験室で中和抗体を測定すると、98%の回復者に残っており、日本初の大規模データとして認められたのです。これまでの報道から受ける印象と、だいぶ異なる結果でした」

 事実、夏ごろには、抗体は2~3カ月で消える、という報道が目立った。

「ただ、イギリスや中国の先行研究も、論文のデータを見ると“時間の経過とともに抗体の量や中和抗体の強さは多少減っても、多くの人が(抗体検査の)陽性であり続けている可能性”が読み取れました。だから抗体の量は、報道されるほどは劇的に減っていないだろう、と考えていましたが、100%に近い人に抗体や中和抗体が残っているとまでは、予想しませんでした。今回の成果は、精度が世界最高クラスの抗体検査技術に依拠しているところが大きいと思います」

 むろん、この調査結果は収束への見通しに大いに関係するはずだ。

「中和抗体を保有しているとウイルスが細胞に入るのをブロックするので、保有していない人にくらべ、再感染の確率は低くなるといえます。ワクチン開発の臨床試験でも“中和抗体が保有されているかどうか”は評価項目となります。一般に、ワクチンで作られる免疫が、自然感染で獲得した免疫を大きく上回るとは考えにくく、もし自然感染による獲得免疫が2~3カ月で消えるようなら、ワクチンによる免疫もそれ以下になる可能性があった。自然感染した人の中和抗体が6カ月以上は保持されるとわかって、ワクチン開発にも期待が持てると思います」

 そして、次のように締めくくるのだ。

「新型コロナのような新興感染症では、得られる情報が限定的であるため、SNSやネットメディアの発達と相まって、悪い情報が一気に広まりやすい。その点、データをていねいに取って客観的な議論を重ね、多くの人が思っていたことと異なる結果を出せたことには、意味があると思います。また、予防のためのワクチン開発と、感染した場合の治療薬開発を両輪で推し進めれば、収束への見通しも立ってくると思います」

 日本人を対象にした調査だったが、山中主任教授の見解では、イギリスや中国のデータとくらべてもさほど矛盾がないという。

BCG接種国は死亡者数が20分の1

 さらには、日本人にとってはBCGが奏功していると指摘するのは、元金沢大学医学部講師で医学博士の山口成仁氏である。

「日本株を含むBCGを接種していたアジア及び中近東10カ国をA群、日本株BCGを接種していたアフリカ大陸16カ国をB群、ロシア株を含むBCG接種が義務化されていた15カ国をC群、BCGの接種義務がなかったか、日本株とロシア株以外のBCGが接種されていた19カ国をD群とします。これらのビッグデータをもとに、各国の新型コロナによる100万人あたりの死亡者数を比較しました。するとA群とB群は22・5人、C群は90人なのに、D群は512人でした。日本株のBCG接種国は、日本株もロシア株も接種がない国とくらべ、死亡者数が20分の1。100万人あたりの死亡者が9・7人だった日本にかぎれば、50分の1以下です」

「臨床と微生物」11月号にも掲載されたこのデータは、どう読めばよいのか。

「BCGが特異な自然免疫、細胞性免疫を活性化させて、新型コロナによる重症化を防いでいると考えられます。特に日本は、1935年以降に生まれた人はみな接種を受けている。日本人の95%以上が、新型コロナのワクチンをすでに接種しているのと同じ状況です」

特集「余裕のはずが『病床逼迫』の戦犯! コロナ拒絶病院に政府の無策・無慈悲」より

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感染症 社会問題

疫学者700人がコロナ禍で「絶対にしない行動」

ワクチン接種が始まってもマスクは必須に

The New York Times

https://toyokeizai.net/articles/-/395385?utm_source=yahoo&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=related

2020/12/14 東洋経済ONLINE

新型コロナウイルスのワクチン配布が近づいているが、専門家の多くは国民の大半の接種が済むまでは、以前の日常が戻るとは考えていない。

疫学者700人を対象としたニューヨーク・タイムズの非公式調査では、最低でも人口の7割が接種を済ませるまでは自らがとっている予防的行動を変えるつもりはない、との回答が約半数を占めた。その一方で3割の専門家は、自らの接種が済んだ後は行動を多少変えると回答した。

元の生活に戻るには「あと何年もかかる」

極めて効果的なワクチンが広く行き渡れば、来年の夏に今より自由な生活様式を安全にスタートさせられるようになる、と回答した疫学者は少数にとどまった。中には「ワクチンの臨床結果は期待できるものだった。2021年の夏までに、あるいは夏の間に以前の生活に戻れると楽観している」(ミシガン州立大学のケリー・ストラッツ助教授)とする回答もあった。

しかし疫学者の大多数は、ワクチン接種が始まったとしても多くの行動を安全に再開できるようになるまでには1年かそれ以上かかり、一部の行動については以前の状態には2度と戻らないかもしれない、と答えている。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校のカリン・ミシェルズ教授は「以前の生活様式をだいたい取り戻す」には、おそらくあと何年もかかると回答した。「私たちはウイルスとともにある生活を受け入れなくてはならない」。

疫学者が懸念しているのは、さまざまな不確定要素だ。ここには免疫の持続期間、ウイルスの変異、ワクチン配布の障壁、ワクチン接種を拒否する人々の動向などが含まれる。

感染悪化が予想される本格的な冬が目前に迫った今、疫学者たちは予防策を徹底し、新たな生活様式を取り入れている。その対策は、一般的なアメリカ人が行っているものよりもはるかに厳しい。

日常生活における23の行動について疫学者に尋ねたところ、過去1カ月間に行ったことがある、との回答が多数を占めた行動は3つしかなかった。屋外で友人と会う、予防策を講じることなく郵便物を受け取る、食品や医薬品の買い出しなどの雑用に出かける、の3つだ。

それ以外の行動については、調査に応じた疫学者はほぼ全面的に避けている。そうした行動の中には多くのアメリカ人が現在行っているものもある。この1カ月間でスポーツ、演劇、コンサートの会場に足を運んだり、よく知らない人と会ったり、結婚式に出席したり葬式に参列したことがある、と回答した専門家はほとんど1人もいなかった。

「知らない人が近くにいると以前よりも不安を覚える。そうした感覚はこれからも続くだろう」(カリフォルニア大学サンフランシスコ校でポスドク研究員を務めるエリコット・マセイ博士)

冬の休暇に「祝い事」はしない

クリスマス、ハヌカーといった冬の休暇の予定については、サンクスギビング(感謝祭)と同様、家族だけで過ごすか、祝い事はしないとする回答が4分の3に達した。

調査票の中で示した一連の行動のうち、どれが最も安全で、どれが最も危険かとの問いに対しても、大方の意見が一致した。屋外での行動や物体の表面に触れることについては、あまり危険視されていない。危険視されているのは、屋内での行動や大規模な集まりだ。ただし危険度のレベルについては、疫学者の間でも見解にばらつきが見られた。

マサチューセッツ大学のリーランド・アッカーソン准教授は「屋内に多くの人が集まるのが、状況としては最も危ない」と回答。「屋外で少人数、かつソーシャルディスタンスを確保して予防策も行えばリスクは最も低くなる」とした。同氏はこの1カ月間で、友人とハイキングに出かけたほか、郵便物を予防策なしに開封し、雑用にも出かけたと答えた。

半年前に行った同様の調査でニューヨーク・タイムズは疫学者に次のような質問を投げかけた。通常の生活を取り戻せるのはいつになるのか——。これに対して疫学者の多くは、日常生活の多くが通常に戻るのには1年かそれ以上かかると答えていた。あれから感染状況はさらに悪化。その一方で治療法は改善してきているため、今回の調査ではパンデミックの中で疫学者の生活様式がどのようなものとなったかに質問の的を絞った。

今回の調査に対し、ミネソタ大学のレイチェル・ウィドーム准教授はこんなコメントを寄せてくれた。「笑うに笑えない。前回調査を受けたときは、アメリカなら世界の先頭に立って問題に素早く対処するだろうと先行きをものすごく楽観していた。前回は、今頃には状況は良くなっていると思うと回答したが、大間違いだった。状況は劇的に悪くなっている」。

感染の速度を大幅に遅らせるか止めるためには、「集団免疫」を達成する必要があるが、この集団免疫については、人口の7割が免疫を獲得しなければ達成されないとする回答が大半を占めた。従来の生活の多くを安全に再開するには集団免疫が極めて重要で、それを安全かつ最速で達成する方法がワクチンの接種だ。ただし、ワクチンを接種した人がウイルスを拡散し続ける可能性については、科学的な解明がまだ終わっていない。

ワクチン接種しても、まだ安心できない

自らがワクチン接種を済ませた後はこれまでよりも多くの日常行動を安心して再開できるようになる、とする回答は全体の3分の1に迫った。それでも安心して行える行動は、同じくワクチンを接種した人との社交など一定のものに限られる、とする回答も見られた。自身がワクチン接種を済ませ、なおかつアメリカで集団免疫が達成されるまではコロナ前の生活様式を復活させない、と答えた専門家も少数ながら存在する。

「変えるのは一部の行動だけ。それ以外は今の状態を維持する」と回答したのは、非営利団体ヘルスパートナーズ・インスティテュートのガブリエラ・ヴァスケス・ベニテス上級研究調査員だ。「自身のワクチン接種が済めば、近場での小旅行に出かけたり、少数の身内と屋内で集まったりするようには多少なると思う。それでもマスク着用やソーシャルディスタンスの確保といった感染対策は続ける」

春の時点と比べて、各種のリスクに対する捉え方が変わり、それに応じて自らの行動を変えた、とする回答は79%に達した。科学は日進月歩する、というのがその理由だ。

リスクの捉え方に関する春からの変化としては、屋外での社交、物の表面に触れること、児童の通学に対する懸念が薄れたとする回答があった。その一方で強まったのが、屋内の空気感染やマスクを着用しないことへの懸念だ。

今回の調査では、アメリカ疫学研究学会の会員と個別の疫学者に電子メールで回答を依頼。調査期間は11月18日〜12月2日で、案内を送付した約8000人の疫学者のうち700人から回答を得た。4分の3が学術機関所属。新型コロナに部分的にでも関連する研究を行っている回答者の割合も、全体の4分の3を占めた。

一般国民に対する感染対策の呼びかけが十分に効果を上げていないこと、またアメリカ国民の間で科学不信が高まっている現状に失望や怒りを感じていると答えた疫学者は多かった。マスク着用や外出規制といった対策が政治のおもちゃにされてしまったことで、悪影響が長期に及ぶことを疫学者は恐れている。

「専門家としても、一個人としても、このウイルスには自らの至らなさを思い知らされた」と、スタンフォード大学のミシェル・オッデン准教授はコメントした。「アメリカという国の対応が、ここまでぶざまなものになるとは夢にも思わなかった。課題は山積している」。

コロナ後に残る「長期的な影響」とは

今後の見通しについては、ワクチンのおかげで来年夏にはどこかの段階で以前の生活を部分的に取り戻せるようになる可能性がある、とする回答も見られた。ただ、極めて効果的な治療薬が開発されない限り、現在の予防策は一定程度維持される必要がある、との回答もあった。大多数の疫学者が今後も必要な措置として言及しているのが、マスクの着用だ。

「公共の場で大人数が密になって集まったり、飛行機などの公共交通を利用したりしたときに(科学者の)私が個人的に安心できるような状態になるまでには、まだ数年かかると思う」(ノースイースタン大学のベス・モルナー准教授)

新型コロナが身体に与える危険性が後退したとしても、ほかの面で長期的な影響が残ると警告する疫学者もいた。

「メンタルヘルス(心の健康)のケアは今後も極めて重要な問題であり続ける」との回答を寄せたのは、ペンシルベニア大学でポスドク研究員を務めるダニエル・ヴェイダー博士だ。「世の中のストレスは高まっている。コロナによって引き起こされた不安や悲しみに、多くの人々が生涯悩まされ続けることになる」という。

(執筆:Margot Sanger-Katz記者、Claire Cain Miller記者、Quoctrung Bui記者)
(C)2020 The New York Times News Services

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コロナ後遺症で歩けず抜け毛も 「大事な人のこと考えて行動を」

https://news.yahoo.co.jp/articles/0706df4668c6ddfd18d666224e34b7ab050bb16b

2021/2/11(木) 12:12 FNNプライムオンライン

2020年に新型コロナウイルスに感染し、重症化した女性が、陰性となった今も後遺症に苦しんでいる。 女性は、「大事な人のことを考えて行動を」と訴えている。 2020年12月に感染確認の遠藤怜子さん(35)「先生がいらして、『実はコロナに感染しました』と」 女性は2020年10月、東京・江戸川区の病院に入院し、病院スタッフ以外と接触はなかったが、12月4日に感染を伝えられた。 病院では、12月7日までにスタッフ8人の感染が確認された。 遠藤さん「(持病もあるため)気を付けていたのに、かかってしまって。本当に死んじゃうのかなって」 女性は治療を受けて回復し、陰性となって退院した。 現在は実家で生活しているが、後遺症に苦しみ、歩くこともままならない。 遠藤さん「抜け毛がとにかくひどくて、脱毛があったりとか。ご飯は砂利の味がして、(病院からは)一度来てくださいって言われるんですけど、わたしがまず動くことができない」 女性は、声楽家として活動していたが、復帰の見通しは立っていない。 遠藤さん「(声楽家復帰は)無理かなって思っています。もうできないのかなって。支援を得られないのかと、問い合わせてみたんですけど、どこも無理ということだった」 女性は、感染者が減少傾向となっても、気を緩めるべきではないと訴える。 遠藤さん「自分の家族や大事な人が“もしなったら”って、その“もし”の部分を考えたら、少しは(行動も)変わるかなと」

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WHO調査団メンバー「コロナは中国から始まったと思う」

https://news.yahoo.co.jp/articles/8201aec215a53a381daeeb298fa5933ac1c11beb

2021/2/11(木) 23:01 読売新聞オンライン

 【ジャカルタ=一言剛之】中国湖北省武漢市で新型コロナウイルスに関する現地調査を行った世界保健機関(WHO)国際調査団のメンバー、オーストラリア人研究者のドミニク・ドワイヤー氏は10日夜、豪放送局ナインニュースのインタビューに対し、「新型コロナは中国から始まったと思う」とする見解を述べた。

 微生物学と感染症の専門家であるドワイヤー氏は「中国以外の地域から始まったとする証拠は極めて限られている」と指摘し、コウモリを媒介して感染した可能性が最も高いとの考えを述べた。中国側の対応については「見解の相違や熱の入った意見の応酬はあったが、誰もが正しいことをしようと努めていた」と評価し、調査でウイルスへの理解が深まったと強調した。

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新型コロナに感染しても「軽症で済む人」と「重症化する人」の決定的な違い

https://news.yahoo.co.jp/articles/a8b3643eb3a35e64072245b8def3fff6fb861db7

2021/1/1(金) 11:16 PRESIDENT ONLINE

新型コロナの感染者のうち、どんな人が重症化しやすいのか。順天堂大学医学部の小林弘幸教授は「原因は、本来、身体を守るはずの免疫細胞が暴走するサイトカインストームだ。免疫の暴走を食い止めるには、『レギュラトリーT細胞』が欠かせない」という――。 【この記事の画像を見る】  ※本稿は、小林弘幸・著、玉谷卓也・監修『免疫力が10割 腸内環境と自律神経を整えれば病気知らず』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。 ■「重症化」はICUでの治療が必要な状態  国内における新型コロナウイルス感染症では、感染しても約80%の患者が無症状か軽症で済むものの、高齢者や基礎疾患のある患者を中心に約15%は重症肺炎になり、約5%は致死的なARDS(急性呼吸促拍症候群)という呼吸不全に至ります。  新型コロナウイルス感染症において「重症化」というのは、この5%を指します。  ARDSに陥り、ICU(集中治療室)での治療が必要となった状態です。  重症化から回復しない場合、数日のうちに呼吸不全は呼吸困難へと進行し、深刻な炎症に陥った心肺は機能しなくなるため、ECMO(エクモ)という人工心肺装置を装着。ここまで至ると、残念ながら8割方の患者は命を落としてしまいます。 ■ウイルスの毒性だけならインフルエンザのほうが怖い  これを聞くと、「新型コロナウイルスはなんと恐ろしい毒性を持っているんだ」と思うのですが、こうした症状の悪化の原因はウイルスの病原性だけではないことがわかっています。  ウイルス単体の毒性でいえば、インフルエンザウイルスのほうがよほど怖いのです。  では、なぜ世界で100万人以上もの方が命を落としているのか?   その答えが、「サイトカインストーム」です。  本来、わたしたちの身体を守るはずの免疫細胞が火の嵐のように暴走し、全身に炎症を引き起こす免疫の過剰反応が、この感染症の重症化の原因なのです。  これは、2020年5月に、量子科学技術研究開発機構理事長で前大阪大学総長の平野俊夫先生によってあきらかにされています。

■「免疫の暴走」サイトカインストーム  「サイトカイン」とは、免疫細胞同士が互いに協力したり、ウイルスとの戦いを有利に進めたりするために使う、免疫細胞が出す物質のことを指します。  例えば、司令官役のヘルパーT細胞が、抗体をつくるようB細胞に指示したり、ウイルス撃退の実行を担うキラーT細胞に出動要請をかけたりするのにも使います。  しかし、サイトカインにはガソリンのように危険な側面もあります。サイトカインの産生量が度を越せば、炎症は拡大して内臓や血管の機能不全を引き起こします。  その「やり過ぎ」の状態がサイトカインストームです。  平野先生の研究によれば、主に肺組織にいるマクロファージ(ウイルスを貪食したり、ウイルスの情報をヘルパーT細胞に伝えたりする免疫細胞の一種)から放出されるサイトカインが“主犯”とされています。  ウイルスに感染した細胞がSOS物質を放出し、免疫細胞を呼び寄せ活性化したり、マクロファージからサイトカインを放出させたりします。そのサイトカインに刺激された免疫細胞や組織細胞がさらにサイトカインを放出します。  このようにして、新型コロナウイルスの感染が引き金となり、免疫細胞や組織細胞によるサイトカインの産生が続いたのち、その共鳴を一気に増幅させる「IL-6アンプ」というスイッチが押されます。  そして、細胞間のサイトカイン放出の呼応が一気に増加し、サイトカインによる炎症はまたたく間に広がり、心肺が機能不全を起こすほどの肺炎となるのです。 ■サイトカインストームを未然に防ぐには  サイトカインストーム自体は、インフルエンザなどほかの重症化リスクのあるウイルスでも起こり得ることですが、新型コロナウイルスはとくに起きやすいことが脅威となっています。  そして、このサイトカインストームにおいて、もうひとつ炎症を悪化させるファクターがあります。それが、「免疫ブレーキの故障」です。  免疫の働きが正常な状態であれば、ウイルスの感染に対して免疫応答(ウイルスなどの外敵に対処する免疫細胞の一連の反応)が行われたあと、免疫細胞たちに「撤収」を呼びかける細胞がいます。  それが、「レギュラトリーT細胞」です。  ヘルパーT細胞、キラーT細胞と同じT細胞の一種で、免疫細胞たちを制御することが役割です。この細胞が正常に機能していれば、サイトカインストームも抑制されたはずなのです。  しかし、新型コロナウイルスに感染し、重症化した患者の血液中からは、このレギュラトリーT細胞を含むT細胞全般が極端に減ってしまっていることがわかっています。原因はまだまだ研究途上ですが、ふたつの理由が想定されています。

■レギュラトリーT細胞が減少する2つの理由  ひとつめは、新型コロナウイルスの感染によってT細胞が減少しているのではないか、というものです。  どうやら新型コロナウイルスは組織細胞だけでなく、免疫細胞であるT細胞にも感染し、減少させている可能性があると考えられています。ただこれはまだ仮説の段階で、今後の研究が待たれます。  そのほか、炎症を起こしているほかの箇所へ動員されてしまっている可能性や、T細胞が生き続けるために必要な因子が枯渇してしまっている可能性などがあります。  重症者の体内では、キラーT細胞も減少していますが、司令官の役割を担うヘルパーT細胞と調節役のレギュラトリーT細胞の減少が著しく、これが免疫力低下の一因となり、サイトカインストームの発生を食い止めることができなくなっていると考えられています。  ふたつめは、基礎疾患や生活習慣の乱れです。  免疫細胞はわたしたちの身体から生み出される、身体の一部分です。そのため、健康状態を悪化させるような生活習慣や、基礎疾患による臓器の不調があれば、免疫細胞も不健康となり、正常に機能しません。  とくに、レギュラトリーT細胞は腸に多く生息する免疫細胞です。腸内環境が著しく悪化している身体では、新型コロナウイルスが感染する前からレギュラトリーT細胞が少なく、サイトカインストームを起こしやすい状態にあることが予想されます。 ■“不健康”が重症化を招く  これらの要因のなかでも、基礎疾患や生活習慣の乱れによる“不健康”がレギュラトリーT細胞減少の原因となっている点は、極めて重要です。  なぜなら、実際に国内外における新型コロナウイルスの死亡者の多くは、肥満症、あるいは糖尿病や高血圧などの基礎疾患を抱える患者であるからです。  そのような患者は、レギュラトリーT細胞の減少や機能低下によって、そもそもサイトカインの産生を誘発しやすい状態にあると考えられます。  こうした重症化の仕組みからわかるのは、新型コロナウイルスへの対処においては、外からの感染予防のみならず、自らの身体を“健康”に保ち、レギュラトリーT細胞を含む免疫細胞が適切に活動できるような「10割の免疫力」を維持することが非常に重要である、ということなのです。 ———- 小林 弘幸(こばやし・ひろゆき) 順天堂大学医学部教授 1960年、埼玉県生まれ。スポーツ庁参与。順天堂大学医学部卒業後、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属小児研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学医学部小児外科講師・助教授などを歴任。自律神経研究の第一人者として、トップアスリートやアーティスト、文化人のコンディショニング、パフォーマンス向上指導にも携わる。近著に『名医が実践! 心と体の免疫力を高める最強習慣』、『腸内環境と自律神経を整えれば病気知らず 免疫力が10割』(ともにプレジデント社)。新型コロナウイルス感染症への適切な対応をサポートするために、感染・重症化リスクを判定する検査をエムスリー社と開発。 ———-

順天堂大学医学部教授 小林 弘幸

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一人当たりの病床数は“ダントツ”の日本が「医療崩壊の危機」に陥る理由

https://news.yahoo.co.jp/articles/4a0754d258255e90e5f132387864316beb2a0b4c

2020/12/30(水) 7:06 PHPオンライン衆知

新型コロナウイルスの感染者が急増し、医療崩壊の危機も叫ばれている。しかし、欧米と比べると、感染者はまだまだ圧倒的に少ないはず。なぜ、日本の医療体制はここまで脆弱なのか。社会保障の専門家が解説する。 ※本稿は、鈴木亘著『社会保障と財政の危機』(PHP新書)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

早かった危機宣言

コロナ禍は、平時にはなかなか見えにくかった日本社会の諸課題を浮かび上がらせているが、医療分野も例外ではない。 特に驚かされたのが、重症者数も死亡者数もまだそれほど多くなかった2020年4月1日の段階で、日本医師会が早くも「医療危機的状況宣言」を行い、医療崩壊の危機が迫っていると発表したことである。 この時点の重症者数は累計で62人、死亡者数累計は57人(クルーズ船乗船者の11人を除く)にすぎなかったが、1日当たりの新規感染者数は前日の3月31日から200人台に跳ね上がり、累計で2348に達していた。 このため、首都圏を中心に、新型コロナ患者の受け入れ病床が、早くもひっ迫する事態となったのである。 しかしながら、欧米などの世界各国に比べれば、重症者数・死亡者数はもとより、新規感染者数でさえ、我が国はケタ違いに少ない状況であった。しかも、我が国の医療機関は、世界各国に比べて、人口当たりの病床数(ベッド数)が特に多いことで知られている。 例えば、2017年時点で、日本の人口1000人当たり病床数は13.1と、先進各国(OECD加盟国)平均の4.7を大幅に上回る。それにもかかわらず、早くも医療崩壊寸前の状況になったと聞き、本当なのかと驚いた国民が多かったに違いない。

「やりすぎ」だった厚労省

新型コロナ患者の受け入れ病床がひっ迫した理由はいくつかあるが、まず第一に、厚生労働省による感染症対策のレベル設定が高すぎたことが挙げられる。 一言でいえば「やりすぎ」であり、この新型コロナウイルスの特性や医療現場の実態に適合していなかった。その後、医療現場の声を聞きながら修正が図られてきたが、厚生労働省の対応は遅く、小出しであった。 感染症法では、症状の重さや病原体の感染力の強さなどから、感染症を一類から五類の感染症、指定感染症、新感染症、新型インフルエンザ等感染症の8つに分類している。 新型コロナウイルスは指定感染症に指定されたが、これは病原性ウイルスが何かは特定されているが、従来の分類に分けられない新たな感染症であるという意味である。 対応策は政令でかなり柔軟に設定できる仕組みとなっているが、二類相当の感染症と位置付けたため、非常に高いレベルの感染症対策が求められることになった。 二類感染症とは結核やSARS、鳥インフルエンザ(H5N1)が分類されるカテゴリーである。ただ、実際に政令で定めた対応は、二類感染症を超える扱いで、どちらかといえばエボラ出血熱などが分類される一類感染症に近いものになっていた。 具体的には、(1)PCR検査で陽性になった者は、たとえ無症状者や軽症者でも強制的に医療機関に入院させる、(2)まだ陽性と確定していない段階だが、症状などから感染症が疑われる疑似症患者も入院措置をとる、(3)入院後は感染の恐れが完全になくなったことが確認されるまで隔離を続けることとなった。

一般病床の受け入れを増やせぬ理由

第二に、大学病院、公立・公的病院、民間病院などの受け入れ可能病床を、なかなかスムーズに拡大できなかったことが、病床のひっ迫を招いた。 もちろん、各都道府県は、域内の病院を集めた説明会を何回も開いたり、個別に交渉を行うなどして、一般病床を少しずつ空けるよう懸命の調整努力を行ってきた。 しかし、感染症指定病院ではない普通の病院にとって、新型コロナ患者を受け入れることは大変ハードルが高い。まず、新型コロナ患者の対応には、感染症専門医や訓練された医療スタッフが必要となる。 また、院内感染を防ぐためには、新型コロナ患者専属の医療スタッフを張り付け、既に世界的にひっ迫していた防護具を十分に用意しなければならない。彼らの家族への感染を防ぐためには、病院の近くのホテルに長期滞在してもらうなどの対応も必要である。 陰圧室(空気感染を防ぐために、気圧を低くしてある病室)や隔離用の障壁なども急遽設置しなければならない場合もある。したがって、都道府県が依頼できるのは、どうしても広さやマンパワーに余裕のある大規模病院に限られる。 さらに、こうした病院は空き病床がそもそも少ない。我が国の入院医療サービスの価格(診療報酬)は、基本的に患者が病床にいないと計算できない仕組みであり、検査代・手術代などの治療費以外に、ただベッドを使っているだけで請求できる診療報酬部分が意外に大きい。 したがって、病院経営は「病床を埋めてナンボ」の世界と言われ、いかに空き病床を少なく管理するかが医業収益の決め手となっている。もし新型コロナ患者を受け入れるとなると、高い収入が期待できる他の病気の入院患者を断らなければならなくなる。 さらに、風評被害などで、入院だけではなく、外来の患者数までも減少する可能性が高い。医療スタッフに対する差別も発生する。これでは、各病院とも、なかなか受け入れを了解できる状況ではない。

金銭的補償の問題

さらに、新型コロナ患者数が急増している都市部では、そもそも厚生労働省・都道府県による一般病床の数量規制(病床規制)が厳しく行われており、普段から病床が足りないぐらいである。 その上、近年は「地域医療構想」によって、高度急性期病床や急性期病床を削減・転換するよう、病院に「圧力」がかけられてきた。特に公立・公的病院については、再編統合や病床数の適正化案の作成期限が2020年3月に迫るというタイミングであった。 こうした事情もあり、各都道府県の担当者は、医療機関との調整が非常にやりにくかったはずである。 せめて、新型コロナ患者に対する診療報酬を大幅に引き上げられれば、調整も進めやすいのであるが、2020年2月から4月前半までは、病院に対する金銭的補償はほとんど存在しない状態であった。 厚生労働省が新型コロナ重症者への診療報酬を倍増させたのは、ようやく4月半ばのことであった。さらに、それでは全く採算が取れないという現場の声を聞き入れ、3倍増にしたのは何と5月末のことである。 また、空き病床確保に対する交付金が措置されたのは第二次補正後の6月半ばのことであった。あまりにも遅く、小出しの対応と言わざるを得ない。 どうしてこのような「戦力の逐次投入」ばかり行うのだろうか。これは厚生労働省の担当部局の想像力欠如(先読み能力不足)やロジスティクスの甘さもさることながら、診療報酬変更が「中医協」(中央社会保険医療協議会)で了承を得る仕組みとなっていることが大きい。 関係者間の高度な合意形成と利害調整が求められ、小回りが利かない中医協の問題点については拙著『社会保障と財政の危機』(PHP新書)で述べたので、興味がある方はご一読いただきたい。

都道府県間の協力関係が希薄

第三に、都道府県間の協力関係が希薄で、都道府県をまたいだ病床の融通がほとんどできないことも、特に都市部の病床が簡単にひっ迫してしまった原因である。 例えば、東京都内の病床がひっ迫しても、周辺の県の協力を得ることができないのだ。病床の調整作業は基本的に都道府県が担っており、せっかく調整できた病床を他県に譲ることなど、都道府県の首長や職員の立場では発想ができない。 しかも、近年、地域医療構想によって、病床削減や機能別病床の適正化についても、都道府県の責任が強く求められ、都道府県ごとに進捗状況を競わされてきた。 簡単に言えば、厚生労働省による都道府県別の分断統治が進んできたのである。このため、たとえ都道府県がお互いに病床を融通し合おうと思っても、もはやそのためのパイプも存在しない状況である。

機能分化の遅れと勤務医不足

出典:鈴木亘(著)『社会保障と財政の危機』(PHP新書)

お互いに譲り合う協力関係が機能していないのは、都道府県内、市区町村内も同様である。 今回、ベッド数のみならず医療スタッフの不足も指摘されているが、周辺の中小病院や診療所はコロナ禍でむしろ患者数が減っているのだから、診療時間を少なくするなどして、応援にかけつけることができるはずである。 しかし、我が国の場合には、大規模病院と中小病院、診療所は、普段から競争関係にある。なぜなら、患者はどこの医療機関に行ってもよい「フリーアクセス」の制度となっているからである。 例えば、読者の皆さんが体調が悪いと思った場合、近くの診療所に行ってもよいし、中小病院に行ってもよいし、大きな総合病院に行ってもよい。医療機関から見れば、お互いが皆、商売敵である。 このため、我が国はもともと医療機関間の連携・協力関係が進みにくい。この点、イギリスやデンマーク、オランダなどの「かかりつけ医」制度が発達している国々では全く状況が異なる。体調が悪いと思った場合には、まずは近くの「かかりつけ医」に行かなければならないルールである。 かかりつけ医が手に負えない病気であると診断して初めて、紹介状を持って病院に行くことになる。 診療所(かかりつけ医)と病院の役割分担が異なるため、普段から地域内で協力・連携し合う関係が成立している。これは、必ずしもかかりつけ医に最初に行くことが義務付けられていないフランスやドイツでも同様である。 我が国の場合、かかりつけ医制度や、医療機関間の役割分担(機能分化と連携)の必要性が叫ばれて久しいが、なかなか進まない。 第四に、そもそもの問題として、我が国は病院の勤務医が恒常的に不足している。一方で、診療所の開業医数にはかなりの余裕がある。今回の新型コロナウイルスに限らず、災害時などにおいても、簡単に病院がパンクしてしまう背景には、病院の勤務医不足の問題がある。

鈴木亘(学習院大学経済学部教授)

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感染症 感染症ニュース

新型コロナ どうして、これほど「無症状」感染者が多いのか?

https://news.yahoo.co.jp/articles/c342abf8d9387caf7e77b7eeaa13984c524c371a?page=1

2020/11/22(日) 10:20配信 NIKKEI STYLE

 新型コロナウイルス感染症で厄介なのは、誰が感染を拡大させているのかが見えづらいことだ。 呼吸だけで感染力 スーパースプレッダー驚きの飛沫量  土曜日の晩には「元気」だったので大勢の人と接したが、月曜日になって咳、熱、疲労感に襲われ、感染していたことに気がついた。米疾病対策センター(CDC)の推計によれば、そんなふうに症状が出る前の人がウイルスをうつすケースは、感染例のおよそ半数を占める。  だが、さらに実態をつかみにくいのは、ウイルスに感染していても全く症状が出ない人のケースだ。CDCによれば、全米の感染例のうち、そうした無症状の感染者は4割に上るという。  発症前(pre-symptomatic)に他人に感染させる人や、無症状(asymptomatic)の人がなぜこんなにも多いのか。知らない間に感染が広がるのは、インフルエンザやかぜなどのウイルスも同じだ。しかし、新型コロナウイルス感染症では極端に把握が難しく、したがってコントロールも難しい。  問題の一つは、病状の現れ方がよくわかっていない点にある。高齢者のほか、肥満、喘息(ぜんそく)、糖尿病などの既往症を抱えている人の方が、重症になるケースが多いことは明らかになっている。しかし、感染しても重症化を免れる人についてはよくわかっていない。  現在、無症状あるいは軽症になるメカニズムや、そうした人からどのように感染が拡大するかを予測するモデルについて、競うように研究が進められている。今のところ、遺伝的要因や年齢、免疫系における個人差が複合して、症状の重さを左右しているのではないかとの結果が出てきている。 ■無症状者を把握する難しさ  無症状での感染拡大を調査しようにも、そうしたケースがどれくらいの頻度で起こっているのかを把握することが最大の難関となる。どこも調子が悪くない人は、そもそも検査に行くこともないだろう。  中国やアイスランドのように広範な検査を行った場所でさえ、信頼性の高いデータは少ない。理由の一つは、検査を受けた人が後になって発症したかどうかを、十分な期間を設けて追跡する調査が行われていないためだ。2020年7月22日に学術誌『ネイチャー』に掲載された論文では、パンデミック(世界的な大流行)発生当初の中国、武漢においては、発症前のウイルス保有者による感染を保健当局が知らなかったため、感染例の87%が見逃されていたと推測されている。

 症状が全く出ない人による感染を調査することは困難なため、そのような人にどのくらいの感染力があるのかは不明瞭だ。CDCは、無症状者の感染力は症状があるケースの75%ほどではないかと推定している。これは、症状の有無や程度によって、体外に排出されるウイルスの量や感染力にどのような違いあるかについて調べた研究に基づいている。だが同時に、この数字について注意を促してもいる。いわゆる「ウイルス排出」の仕組み自体があまり解明されていないからだ。  無症状の人はそもそもウイルスの量が少ないのかもしれない。あるいは、コウモリのような免疫系を持っているのかもしれない。「コウモリはウイルスを保有していますが、全く症状が表れません。特殊な免疫反応によってウイルスを抑え込んでいるようなのです」。米アイオワ大学教授で微生物学と免疫学が専門のスタンリー・パールマン氏はそう説明する。  こうした説は、中国で最近行われた研究の解明に役立つかもしれない。6月18日付で学術誌『ネイチャーメディシン』に掲載された論文によれば、無症状の人は全般的に免疫反応が弱く、ウイルスと闘う武器である抗体をあまり作らないことが示唆されたという。 ■若さの背景にあるもの  研究者たちはまた、どんな人が無症状や軽症になりやすいのかを調べている。英国の1730万件近い医療記録の分析によれば、新型コロナウイルス感染症は高齢者では死亡に至るリスクが高い一方で、若者の大半は重症化しない。  重症化するかどうかについて「関連性が圧倒的に強い要素は年齢です」と、米ハーバード大学ブリガム・アンド・ウィメンズ病院感染症科の診療部長と医学部教授を兼務するポール・サックス氏は言う。  しかしそれは、一般的に若者の方が健康であるという単純な理由からではない。新型コロナウイルスが細胞に感染する際の入り口となる「ACE2(アンジオテンシン変換酵素2)」というタンパク質を多く持っている人は、より高リスクなのではないかとの説がある。高齢者は全身や、ウイルスにさらされやすい鼻にACE2を若者より多く持っているのだ。また、肥満の人もACE2が多い。  注目が集まっている説は他にもある。若者の方が一般的に呼吸器系のウイルスに感染することが多く、それが新型コロナウイルスに感染したときの危険度を下げているのではないかというものだ。「すでに複数種類のコロナウイルスに暴露されているため、新型コロナウイルスに対する部分的な防御態勢が出来ているわけです」とサックス氏は説明する。  20年7月15日付で学術誌『ネイチャー』に掲載された、査読済みだが編集前の論文では、特定の種類のコロナウイルスに感染して回復した人は、新型コロナウイルスを撃退したり軽症に抑えたりできるような「メモリーT細胞」を保有しているのではないかと主張されている。  あるいは、無症状の人は単に遺伝的に運が良いだけではないかと示唆する研究もある。特定のタイプのACE2遺伝子を持つ人は、新型コロナウイルスに感染しやすかったり、炎症を起こしやすいせいで肺にダメージを受けやすかったり、血管が収縮して症状が重くなりやすかったりする。イタリアとスペインで実施された調査の結果、特定の血液型の人は入院に至るリスクが高いとする報告も出された。しかし、それを否定する、より大規模な調査結果が、7月に入って複数発表されている。

■「無症状」にもいろいろある?  他の一般的な感染症でも、無症状のまま感染を拡大させることはありうる。だが、研究は重症患者に注目して行われることが普通であるため、無症状者が関わるケースは見落とされがちだ。  こうした見えない感染の実態を把握するための調査が、16年秋から18年春にかけて米ニューヨーク市で行われていた。市内の複数箇所の214人を対象に毎週、かぜの原因となる従来型のコロナウイルスやインフルエンザウイルス等、18種類の呼吸器系ウイルスの検査を実施した。1年半の調査の結果、陽性のケースのうち、なんと55%が無症状であり、ほとんどのウイルスにおいて無症状感染の割合は70%を超えた。  とはいえ、こうした無症状者の感染力について、特にインフルエンザ研究者の間では見解が分かれている。 「長年、議論されていることです」と話すのは、香港大学公衆衛生学院の教授で疫学・生物統計学分野を率いるベンジャミン・カウリング氏だ。「インフルエンザウイルスの潜伏期間は1、2日です。感染はすばやく起こり、多くの場合、症状は軽く済みます。患者の行動歴をたどって感染した経緯を調べようと思っても、大変難しいものです」  新型コロナウイルスの感染経路を突き止めることは容易ではないが、カウリング氏が言うには、最長で約2週間という長い潜伏期間のおかげで、接触者を追跡したり無症状感染者を特定したりするチャンスは増える。ただし、ここで注目すべきことがある。感染していることを告げられると、そう言えば全く症状がなかったわけではない、と考え直す人がいることだ。 「症状について聞かれて初めて、体調が良くなかったことを思い出すのです」とカウリング氏は述べる。「喉がイガイガする、頭痛があるなどの軽い症状や、調子が悪いものの、感染による症状なのか寝不足のせいなのかよくわからない、というグレーゾーンがあるのです」  新型コロナウイルス感染症の症状とされるものは日々増えつつあるので、何がそれに当たるのかについて混乱があるのも無理はない。現在では、味覚や嗅覚の喪失、足の指が紫色になるほか、吐き気や下痢など消化器系の症状なども、典型的な症状の中に含まれている。6月18日付で学術誌『ネイチャーメディシン』に発表された論文によれば、明確な症状がない人でも肺にダメージを受けていることがあるという。  つまり、これまで完全に無症状と思われてきたケースは、あまりに症状が軽いために、本人も感染を疑わなかっただけかもしれない。「なんとなく調子が悪いけれど、まさか新型コロナのせいだとは思わないような症状です」。米テキサス大学オースティン校で感染症のモデルを研究する統合生物学の教授、ローレン・アンセル・マイヤーズ氏はそう話す。  こうしたグレーゾーンについての知見を深めることが、ウイルスの感染拡大を抑える鍵になるかもしれない。 「軽い症状にどんなものが多いのかがわかれば、感染者を迅速に特定し、隔離することができるようになるでしょう」とマイヤーズ氏は言う。「完全に無症状というケースが思ったよりも少ないのであれば、今後の道筋や活動制限の緩和方針に大きな影響を及ぼすかもしれません」

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感染症

HPVワクチン、日本でも男性に接種拡大へ 12月4日に厚労省審議会で審査

https://news.yahoo.co.jp/articles/5712ba01caf76a6e2531ad5cfd26e3d46598a731

2020/11/20(金) 17:02配信 BUZZFEED japan

子宮宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルスHPV)への感染を防ぐとして、日本では女性のみが接種対象として承認されているHPVワクチン。公費でうてる定期接種も小学校6年生から高校1年の女子が対象となっている。しかし、HPVは男性もかかる中咽頭がん、肛門がん、陰茎がんなどの原因となることでも知られている。HPVワクチン「ガーダシル」を製造販売しているMSD株式会社が男性への適応拡大を承認申請しているのを受けて、厚生労働省薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は12月4日、男性接種への適応拡大について審査することを決めた。先進国では男性への接種が当たり前になっており、日本は周回遅れで世界標準に追いつこうとしている。【BuzzFeed Japan Medical/岩永直子】 【写真】乳がんと闘ったお母さん 18歳の娘が撮った写真に勇気づけられる。

4価ワクチンを男子にも適用申請

HPVには200種類ほど型があるとされ、性交経験がある人の8割が感染しているありふれたウイルスだ。 MSDが製造販売しているのは、HPVの中でも特にがんになりやすい「16型」「18型」、性器にできる良性のいぼである「尖圭コンジローマ」の原因となる「6型」「11型」の計4種類を防ぐ4価ワクチン「ガーダシル」。 このワクチンについて、MSDは今年2月12日男性にも適用を拡大するよう製造販売承認の一部変更を承認申請していた。 HPVは中咽頭がん、陰茎がん、肛門がんなど男性のかかるがんにも関わることがわかっており、異性間・同性間問わず性的接触でうつしあう。国立がん研究センターによると、中咽頭がんは日本で年間約1800人が診断され、男性が女性の5倍近くにのぼる。 北海道大学大学院生殖・発達医学分野の特任講師のシャロン・ハンリー氏のデータによると、世界では77か国が男子接種を承認し、アメリカ、イギリス、オーストラリアなど24か国で公費接種も行われている。 世界では男子も含めて公費接種の国が増えてHPVワクチン不足となっており、男性と成人女性は若年女性を優先するようWHOが推奨するほどだ。ほとんどうたれずに余っている日本への医療ツーリズムも盛んに行われてきた。 そんな中で、日本の男性は接種後に何か問題があった場合も、公的補償の枠外で自己責任でうつことしかできなかった。

MSD広報「広く接種されることを望む」定期接種化も

MSD広報は、今回、適応拡大が求められている男性の対象年齢などは「承認されるまでは明かせない」として公表していない。承認後は速やかに販売を始めたいとしている。 女性のように無料でうてる定期接種になるかどうかについては、「今後の厚労省での議論になる」とするが、「子宮頸がんに限らず、HPV関連疾患の予防のために広く接種されることを望みます」として定期接種化を期待しているという。https://news.yahoo.co.jp/articles/5712ba01caf76a6e2531ad5cfd26e3d46598a731

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名古屋大学 新型コロナ 人工の抗体 速やかに作ることに成功

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200919/k10012626211000.html

2020年9月19日 4時33分 NHK NEWS WEB

新型コロナウイルスに感染すると体内にできる「抗体」と同様のたんぱく質を速やかに人工的に作ることに名古屋大学などの研究グループが成功し、細胞への感染を抑えることも確認できたと発表しました。研究グループは、新しい治療薬の開発などに応用できる可能性があるとしています。

抗体を作ることに成功したのは、名古屋大学の村上裕教授と名古屋医療センターの研究グループです。

新型コロナウイルスに感染すると、体内に「抗体」と呼ばれるたんぱく質が作られ、その後、ウイルスが細胞に入り込むのを防ぐとされています。

これまで、抗体を人工的に作るには少なくとも数週間かかっていましたが、研究グループは10兆を超える人工の抗体の中から特定のウイルスに結びつくものを速やかに選び出す「TRAP提示法」という新しい技術を開発し、新型コロナウイルスに対する抗体を4日間で作ることに成功したということです。

また、人工的に作った抗体は新型コロナウイルスだけと非常に強く結合する特徴があり、ウイルスの細胞への感染を抑えることが確認できたということです。

研究グループでは、この抗体を感染の有無を調べる検査や新しい治療薬の開発に応用できる可能性があるとしています。

研究成果は、アメリカの科学雑誌「サイエンス・アドバンシズ」の電子版に19日、掲載されます。