カテゴリー
コロナ 対策 社会現象

自宅療養者にポカリスエットを提供 「神対応」「太っ腹」と称賛の大塚製薬の取り組み、経緯を聞いた

https://news.yahoo.co.jp/articles/55502096258bd5f5625793ad3c816af82f6c419e

2021/9/7(火) 17:20 ねとらぼ

 「ご自宅で水分補給を必要とされる方々に、ポカリスエットをお送りします」――大塚製薬が自宅療養者にポカリスエットを提供すると発表し、「神対応」「太っ腹」と反響を呼んでいます。実施の経緯などについて聞きました。 【画像】自宅療養者に届けるポカリ  この取り組みは「ポカリスエット900ml」12本、「ポカリスエット アイススラリー100g」36個を自宅療養者に置き配で届けるというもの。9月6~17日の8~15時まで専用サイトから募集を行っています(1日の規定量を超える申し込みがあった場合は抽選)。  大塚製薬に問い合わせたところ、実際の申込数は非公表としつつも、「SNS中心に反響があり、多くのお申込みをいただいております」とのこと。なお申込数の上限などは非公開としています。  同社はヘルスケア関連企業として全国の自治体と包括連携協定を締結し、災害時などに支援活動を行っています。しかし今回の取り組みは協定によるものではなく、自治体関係者の負担が大きくなっている現状を受けて「大塚製薬としてご自宅でのセルフケアを余儀なくされている方に直接ご支援できる方法を模索した結果、今回の取組みに至りました」と説明しています。  「また、発汗時の水分・電解質補給に適した製品としてポカリスエットを選択しました」(大塚製薬)  取り組みを告知するツイートには、「ポカリスエットは飲む点滴だと思っております」「必要な方へ届くといいですね」「何て素敵なお声がけ」「一企業がこんなことやるなんてすごい」など称賛の声が多く寄せられています。

カテゴリー
コロナ ワクチン 対策

「鼻からスプレーするだけ」 三重大学が開発中の新型コロナワクチン 研究者は「世界一効果がある」

https://news.yahoo.co.jp/articles/f8ac7c3150d918f3b1a988193d1f851f066c332b

2021/9/7(火) 17:54 CBCテレビ

 「世界一効果がある」、研究者がそう豪語する新型コロナワクチンの開発が三重大学で進んでいます。  鼻から接種する画期的なワクチンを取材しました。  全国で接種が進む新型コロナワクチン。  これまでに1回目の接種を終えた人は59.3%、2回目を終えた人は47.9%となっています。  そんな中、三重大学で開発が進められているのは、これまでとは全く違うタイプのワクチンです。  「最も大きな特徴は、針は一切使わずにスプレーで。シュッと両鼻に吹き付けるだけで、抗体を作ることができる画期的なもの」  (三重大学大学院感染症制御医学 野阪哲哉・教授)  野阪教授は、去年3月から三重県菰野町の企業などと共同で、鼻に風邪のウイルスを混ぜたワクチンをスプレーすることで、全身に抗体を作る新型コロナワクチンの開発を進めています。  「4℃で半年以上は大丈夫(保管できる)。主に重症化や発症を抑えるという目的だけであれば、半年か1年に1回で十分」  (野阪哲哉・教授)  すでに動物実験を終えていて、結果は良好だといいます。  「効力は私たちが驚くほどある。人に優しくて、よく効くワクチン。(副反応で)熱が出る確率は極めて低い」  (野阪哲哉・教授)  しかし、実用化には大きな課題があるといいます。  「100億円とか、お金がかかってきてしまう。そこの予算をどうするか。一刻も早く、日本だけではなく世界で使われるように。特に途上国も含めて、世界中で使われるようになってほしい」  (野阪哲哉・教授)  野阪教授は、早ければ2年後には実用化できればと話しています。

カテゴリー
コロナ 対策

カクテル療法の重症化率1・3% 大阪の病院

https://news.yahoo.co.jp/articles/80798adb84c921f3c2a2f1a8491ccef9994ebf9b

2021/8/31(火) 19:58 産経新聞

新型コロナウイルスの感染拡大で医療体制が逼迫(ひっぱく)する中、患者の重症化を防ぐ切り札とされる治療法「抗体カクテル療法」に期待が寄せられている。中等症専門の大阪市立十三市民病院(同市淀川区)では7月末の導入後、1カ月間に投与した78人のうち重症化したのはわずか1人。投与が遅れると効果が低下する課題もあるが、西口幸雄院長は「早く治療すれば助かる命がある」と力を込める。(小泉一敏) 抗体カクテル療法は、「カシリビマブ」と「イムデビマブ」の2つの中和抗体を組み合わせた点滴薬を投与。軽症段階から使える国内初の新型コロナ治療薬となる。 同病院では7月29日から導入。8月30日までに20~90代の78人に投与したところ、その後に重症化したのは1人だけで、重症化率は約1・3%だった。投与しない場合の重症化率は5%程度とされており、明らかに高い効果が表れているという。西口院長は「これまで軽症者の薬は特になかった。何もできず指をくわえていたが、いい薬ができた」と手応えを口にする。 投与後は倦怠(けんたい)感や肺炎の症状が治まり、解熱剤ほどの即効性はないものの、ウイルスの減少に合わせて2、3日で熱が下がるなど症状の改善がみられる。 薬の扱いやすさも評価する。2つの抗体の解凍から混合、点滴の針を打つまでが20分強で、点滴を始めて約30分で終了。通常の医療の点滴とほぼ同じ作業でもあり、医療従事者にとって難易度は低いという。 西口院長は「一般的なワクチンは患者自身の体内に抗体を作らせるが、(抗体カクテル療法は)抗体を直接体内に入れる。原始的な方法だが分かりやすく、効果もある」と説明する。 一方で課題もある。発症から原則7日以内の投与が求められ、遅れると効果が低下するとされる。同病院では7日目に投与した7人のうち、3人の症状が一時的に悪化。重症化した1人は6日目の投与だったといい、「発症して日が浅く、ウイルス量が少ないときに投与しなければ効果がない」とする。 同病院では現在、患者に抵抗力のある若い世代が増えたほか、抗体カクテル療法を対象者に積極的に投与していることもあり、7月以降の平均入院期間は8・6日で、感染「第4波」(3~6月)の12・5日から大幅に短縮。整備する70床のうち使用しているのは40床弱だが、市の方針を受け9月1日から90床に拡充し、さらなる感染拡大に備える。 西口院長は「患者はいきなり症状が悪くなるケースもあるが、みな軽症や中等症を通ってくる。センターのようなものを設置して軽症・中等症者を早く確認し、抗体カクテル療法で治療することができないか」と提言する。

カテゴリー
コロナ 対策

ワクチン副反応対策で注目 「鎮痛剤」の基本知識を薬剤師が解説

https://news.yahoo.co.jp/articles/81a42bfc093a7ccea47e9bda189d84da84023c61

2021/8/26(木) 6:15 デイリー新潮

 新型コロナワクチンの接種が進むとともに、副反応への対策として市販の痛み止め薬を買う人が増え、店頭では品薄状態になっているとも伝えられている。 【図表】薬剤師に相談するメリットとは “意外な病気”が発見された事例の一覧  特に入手が難しくなっているといわれるのが、アセトアミノフェンという成分の鎮痛薬(商品名:「タイレノールA」など)だ。しかし、厚労省はアセトアミノフェンだけでなく、イブプロフェン(商品名:「イブ」、「リングルアイビー」、「ナロンメディカル」など)、ロキソプロフェン(商品名:「ロキソニンS」など)といった成分の鎮痛薬も副反応に使用してよいとしている。そうとなれば、入手しやすさはぐんと上がるだろう。ワクチン副反応対策で注目が集まる「鎮痛剤」。薬選びは「商品名」でなく「成分名」が大事。市販の痛み止めで、おさえておきたい四つの成分

新型コロナウイルスと鎮痛剤をめぐる騒動については、以下の関連記事を参照)  関連記事:〈新型コロナ〉“飲んではいけない鎮痛薬”? 真偽を薬剤師が解説  https://www.dailyshincho.jp/article/2021/07070615/  選択肢が多いことは、店頭での品切れ、パニックといった状態をなくすには良いことだが、一方で「何を選べばいいのか」「どう違うのか」と迷う方もいるかもしれない。  先日は元SMAPメンバーでタレントの中居正広(49)が、副反応対策のため鎮痛剤をドラッグストアで探し、パッケージに「生理痛」と書いてあるのを見て“自分が飲んでよい薬なのか”を薬剤師に確認したとラジオで発言して話題となった。  そもそも鎮痛剤とはどういう薬なのか。薬剤師としてブログやSNSで消費者向けの情報を発信している久里建人さんの著書『その病気、市販薬で治せます』から、鎮痛剤について一般消費者が知っておいて損はない基礎的な解説を以下、引用して紹介しよう。  なお、市販薬は同じブランドのシリーズでも商品によって成分が異なることがあるため、購入の際には必ずパッケージに表示された成分を確認することをお勧めする。店頭の薬剤師に相談する際には、ワクチンの副反応対策という用途とあわせて、希望があれば商品名よりも成分名を告げたほうが確実だ。

薬選びは「商品名」でなく「成分名」が大事

店頭の薬剤師に相談する際には、ワクチンの副反応対策という用途とあわせて、希望があれば商品名よりも成分名を告げたほうが確実 (※写真はイメージ)

 体調不良で向かったドラッグストアの薬売場で、愕然(がくぜん)とした経験はありませんか。何なんだ、この種類の多さは……、と。  ドラッグストアの薬売場では、そのあまりの種類の多さに立ちすくみ、パッケージを見比べながらウンウン唸っているお客さんをよく見かけます。市販薬はとにかく種類が豊富です。似たような効果の薬だけでも数十種類あり、薬選びに困るのは当然です。  たとえば解熱鎮痛剤と呼ばれる痛み止めの商品は、厚労省から製造承認が下りているもので現在400種類以上はあります。正直にいえば、ドラッグストアの薬剤師でさえ「聞いたこともないような薬」がごまんとあるのです。  では、薬剤師はどのように薬を見比べ、評価しているのか。着目するのはもちろん「成分」です。お客さんから聞かれた際にも、薬の成分を知っていればその特徴をある程度答えることができます。それに、実は市販薬の成分には、ジャンルごとにいくつかの“パターン”があるのです。そのパターンを知っていれば、薬の特徴は一目瞭然です。  違いがなさそうで、意外とあるのが市販薬。個々の薬の知識を通じて、市販薬選びの“心構え”を提案していきたいと思います。

おさえておきたい四つの成分

 市販の痛み止めには、おさえておきたい四つの成分があります。伝統派の【アセチルサリチル酸(アスピリン)】、新興勢力の【イブプロフェン】と【ロキソプロフェン】、穏健派の【アセトアミノフェン】です。他にもあるのですが、これらの成分が鎮痛薬市場の四大勢力といっていいでしょう。この四つを知ることで、初めて「痛み止め」という広大な地図の全体像が見渡せます。ひとつずつ見ていきましょう。バファリンとイブ、どう違う? 花粉症薬、何が一番いい? じつは処方薬と同じ薬? 定番の常備薬から、水虫薬、痔の薬、発毛剤、精力剤など人には言いにくい薬まで、最新の成分と実際の効能を薬剤師が徹底解説

 アセチルサリチル酸は1897年にドイツで開発された、昔ながらの痛み止めの代名詞です。ヤナギの木の抽出物を分解したサリチル酸を元に作られた成分で、高い鎮痛作用が評価され、世界中で使われるようになりました。今でも日本の病院で使われている薬ですが、現代においては痛み止めというよりも、血栓をできにくくする薬(抗血小板薬)として認知されています。代表的な市販薬には「バファリンA」がありますが、アセチルサリチル酸だけを鎮痛成分として配合した薬は今やかなり少数で、同じバファリンシリーズでも「バファリンプレミアム」はアセトアミノフェンとイブプロフェンの配合薬でアセチルサリチル酸は使われていませんし、「バファリンEX」はロキソプロフェンが成分です。 (記事注:アセチルサリチル酸(アスピリン)は、厚労省がワクチンの副反応に使えるとした「非ステロイド性抗炎症薬」に属します。米国疾病予防管理センターのサイトでは、医師に相談した上で副反応に使える成分として、イブプロフェン、アセトアミノフェンとともに紹介されています)  これに対して商品数が多いのは、新興勢力の【イブプロフェン】という成分です。イブプロフェンはアセチルサリチル酸(アスピリン)の弱点を克服するために作られた薬です。その経緯を簡単に紹介します。  イブプロフェンは、イギリスのブーツ社で作られました。発見したのはスチュワート・アダムスさんという薬剤師で、同社の研究部門に身を置いていました。  その頃の彼の仕事は、副作用が少なく効き目の高い関節リウマチの薬を作ることでした。当時はアスピリンが鎮痛薬として有名でしたが、大量に摂取すると重篤な副作用が生じることがあったため、イギリスでは1950年代には人気を失っていたのです。  そのためアダムスさんは、アスピリンに代わる、副作用の少ない鎮痛薬を作るための研究を重ねました。10年越しの研究の末、開発された成分は【イブプロフェン】と名付けられ、1961年に特許を申請、その8年後に病院用の処方薬として発売されます。市販薬としてドラッグストアで売られるようになったのは1983年のことで、アメリカでも翌年から市販化されました。アダムスさんは2019年1月に95歳で亡くなりましたが、その物語はBBCのニュースにもなり、世界を変えた鎮痛剤の発見が称えられました。なお、これほどの快挙を成し遂げたアダムスさんではありますが、生前に会社から支払われた特許料は1円もなく、「この薬で損をしたのはたぶん自分だけだろう」と冗談のように語っていたそうです。  イブプロフェンは日本では頭痛・生理痛薬の成分として、「イブ」シリーズをはじめ多くの商品に使われています。イブプロフェンを配合した鎮痛薬には「アダムA錠」という商品もありますが、これが開発者アダムスさんからとられた名前なのか、それとも先行商品「イブ」から“アダムとイブ”の連想でつけられた名前なのかはメーカーに問い合わせても分かりませんでした。

日本人には定番の「ロキソニン」、穏やかな「アセトアミノフェン」

 もう一つの新興勢力は【ロキソプロフェン】。「ロキソニンS」等の成分です。これもまた、胃への副作用が少ない痛み止めとして開発されました。  ロキソニンは“内弁慶”な薬です。開発したのが日本の製薬企業ということもあり、日本国内では幅を利かせた存在ですが、国外に出ると存在感はほぼありません。2018年時点で中国やベトナム、タイなど海外27カ国の市場に出ていますが、先述の【イブプロフェン】の代表的な製品である「ブルフェン」が米国・英国をはじめ90カ国以上で承認されているのと比べると、その販路は非常に限定的です。私自身、海外のドラッグストアで「ロキソニンを下さい」と聞いても、「それは何の薬ですか?」と首をかしげられた経験が何度もあります。  世界保健機関(WHO)が効果や経済性などを総合的に評価した必須医薬品モデルリスト「WHO model list of essential medicines」の2019年版にも、アスピリンもイブプロフェンもアセトアミノフェンも入っていますが、ロキソプロフェンはありません。だから薬として劣っているというわけではありませんが、海外では入手困難なので、鎮痛薬を購入したい場合はイブプロフェンなどで代替する必要があるでしょう。  さて、最後の派閥である【アセトアミノフェン】は、誕生は1800年代と古い成分ですが、痛み止めとして世界的に使用されたのは1949年以降とされています。アセトアミノフェンは穏健派の薬です。今まで見てきた三つの薬と違い、胃への負担の心配がなく、何より胎児や小さな子供への影響が少ないことから、妊婦さんやお子さんにも使いやすいという特徴があります。医療用の薬はカロナールといい、代表的な市販薬には「タイレノールA」があります。  アセトアミノフェンの欠点は、炎症を抑える効果が弱いことです。他の3つの痛み止めが炎症と痛みを両方取り除く効果のある成分であるのに対して、アセトアミノフェンには炎症を抑える作用はほとんどないと考えられています。そのため市販薬においては、関節痛や歯の痛みなどの炎症を伴う痛みには、別の薬を選ぶ方が好ましいとされています。また、効果もマイルドです。アセトアミノフェンはある程度の量を飲むと高い鎮痛効果を得られることが分かっていますが、日本の市販薬に配合されるアセトアミノフェンの量は抑えられているので、医療従事者からすると「え? これしか入ってないの?」と思うことでしょう。他の痛み止めと比べると、効果で見劣りするかもしれません。  いかがでしょうか。どれも同じように見えて、実は成分ごとの違いはさまざまです。そして、多くの市販の鎮痛薬は、四大成分のいくつかが併せて配合されていたり、さらに別の成分が追加されていたりして、とても複雑です(複数の成分を掛け合わせることで効果が増強されると考えられているためです)。なかなか簡単な比較はできないからこそ、断片的な情報で自己判断するより、薬剤師・医薬品登録販売者に「これとこれは何が違うの?」と個別に聞くことをお勧めします。

デイリー新潮編集部 2021年8月26日 掲載

カテゴリー
コロナ 対策

“抗体カクテル療法”外来患者にも使用認める方針

https://news.yahoo.co.jp/articles/5ee647a077db26d7eb1804fb27004f73be758e32

2021/8/24(火) 23:30 テレ朝NEWS

厚生労働省は、新型コロナウイルスの軽症と中等症向けの治療に使う点滴薬『抗体カクテル療法』について、外来の患者にも使用を認める方向で調整していることがわかりました。これまでは、入院か医師や看護師を配置した宿泊療養施設に限って投与が認められていました。

カテゴリー
コロナ 対策

ワクチンを2回打っても防げない「ブレイクスルー感染」 ~現行法では限界に来た政府の感染対策

https://news.yahoo.co.jp/articles/ca42e3f42a637ed11720e5233b5b4dccfb5b3750

2021/8/23(月) 11:30 ニッポン放送

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月23日放送)に慶應義塾大学教授で国際政治学者の細谷雄一が出演。政府による今後の新型コロナウイルス対策について解説した。 【写真】これが最後!本日8月23日18時からワクチン予約を受け付ける自衛隊大規模接種センター

西村経済再生担当大臣、新型コロナ対策で企業の休業措置も視野

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

西村経済再生担当大臣は8月22日に出演したNHKの番組で、新型コロナ対策の人流の抑制について、「昨年や今年の4月、5月は大型連休を活かし、企業は休むということで対応した。そうした強い措置も選択肢の1つとして考えなくてはいけない」と話した。また、「いまある法律のなかで何ができるか工夫して行きたい」と、現行法の範囲内で対応を検討する考えを示している。 飯田)人流の抑制ということをずっと言い続けているなという感じもありますが、どうご覧になりますか? 細谷)コロナの感染拡大を防ぐためには、マスクをすることや可能な限り3密を避けること、そして人流を抑えること、さらにはワクチン接種などがあるのですが、今回の「ブレイクスルー感染」はマスクをしていても感染するということもありますし、ワクチンを2回受けても感染する。すると結局、人の流れを減らさなくてはいけないということになります。 飯田)ブレイクスルー感染では。 細谷)しかし、人流抑制は経済に最もマイナス効果があります。マスク、ワクチンでしたら経済活動ができますけれども、人流抑制ということになると、経済活動ができなくなるのです。だから、トータルのバランスとして、これしかないけれども、これをやると経済に悪影響があるということで、政治判断がとても難しい状況だと思いますね。 飯田)まさにそこの部分で、オーストラリア、ニュージーランドなども、「感染ゼロ戦略」は無理だと。オーストラリアなどは戦略断念という報道が出て来ています。 細谷)イギリスやアメリカは、ワクチンを2回打てば重症化がほとんどない、死亡者もほとんど出ないということで、いままでのインフルエンザと変わらないというような戦略に転換したわけです。日本はワクチンがまだそこまで進んでいないということもあって、いまの日本は「とにかく感染を止める」ということだと思います。国ごとに戦略を常に転換しながら、最善の方法を探しているということだと思います。 飯田)昨年(2020年)のこの時期であれば、各国で都市封鎖などで対応するということになっていましたが、ワクチンが出て来てから、少しずつ変わるところがあるのですか? 細谷)基本的にはワクチン接種2回を菅総理も目標にして、早いピッチで進めて来たわけです。スタートは遅かったですけれどもね。しかし、ブレイクスルー感染はワクチンを2回打っていても感染するということですから、そういう意味では、何をしたら止められるのかわからない。答えがない状態だと思います。そのなかで、果たして経済活動を止めたままでいいのかと。国民側の不満がいま大きくなっているのではないでしょうか。 飯田)その辺りの状況を見ながら、入院基準の見直しや緊急事態宣言の発出条件の見直しなどが出て来ています。この辺りは、「ゼロコロナ戦略」ではなくて、というところを見越したものなのですかね。 細谷)1つは、そもそも日本は法的にロックダウンができない、あるいは難しいということが言われていました。さらにもう1つ難しい問題は、感染症対策に関して、日本は他の国とは違い、とにかく地方自治体に権限があるのです。そうすると、中央政府ができることは限られています。そのなかで強い措置も取れない。この矛盾が政府内での無力感に近いものになっていると思います。 飯田)その辺り、いまある法律のなかで工夫して行きたいということがありますが、最終的には憲法の壁にもぶつかりますか? 細谷)安全保障はいままで有事法制と言われていました。有事法制がないときには、戦争が起きても、戦車はウインカーを出して、赤信号では止まらなくてはいけない。実はこの有事法制はうまく切り替えられているのですが、例えば福島原発事故の際や、感染症に関しては、法的な制限ができない、非常に難しい状況になっているのです。原発事故や地震などのときに、政府はどのように、より強力な措置が取れるかというところで、限界になっていると。現行の法では限界になっていると思いますね。 飯田)いままでは例外的に、そういうことを考えずに済んで来たということなのですか? 細谷)もっと言うと、国民の善意にほぼすべて委ねるのです。安保法制は、「外国が日本に攻めて来ない」という外国の善意に任せていたのですが、今回の感染症の問題は、「国民の善意に任せている」わけです。ではもし国民がこの善意、つまり感染拡大しないような行動変容や人流抑制について、言うことを聞かなかったらどうするかというと、「どうしようもない」というのがいまの状況だと思います。 飯田)なるほど。

カテゴリー
コロナ 対策

コロナワクチン2回接種を終えた高齢者こそ行動自粛が必要【新型コロナ 重症化を防ぐ最新知識】

https://news.yahoo.co.jp/articles/6091c69eaeb9e96acf8e0688387ec3d0bb7cc6f9

2021/8/24(火) 9:06 日刊ゲンダイDIGITAL

新型コロナ 重症化を防ぐ最新知識】  20日の新型コロナウイルスの全国の新規感染者数は2万5859人、入院が必要なのは1万2249人、重症者72人、死者29人となった。  さすがにこれだけ新型コロナの感染者が増えれば、旅行やゴルフに出かける中高年は少ないだろうが、心の底では「ワクチンを2回打ったから大丈夫だろう」と考えている人もいるはずだ。  実際、大阪府が3月以降の感染者8.5万人を調査したところ、未接種で感染した人は8万3207人で、うち重症化した人は1984人、死亡1557人。一方、2回接種後2週間経ってから感染した人は317人で重症者や死亡者はゼロだったという。  ならば、オレは大丈夫と思う人はいるかもしれない。  しかし、イスラエルの惨状を聞けばそれが間違いだと気づくはずだ。 ■イスラエルでは1週間の死者の97%が60歳以上  イスラエルでは8月13日から50歳以上の3回目の新型コロナワクチンブースター接種)を開始した。  ナフタリ・ベネット同国首相は直近1週間で死亡した78人中76人は60歳以上だったことを明かし、「3回目接種の必要」と発言したからだ。  同国では世界最速でファイザー製ワクチンの接種を行い、16歳を超える人の8割以上は2回目のワクチン接種を完了。新規感染者は一時0人になった。ところが最近では8000人を超える新規感染者が出ており、過去1カ月の重症者の8割は60歳以上だった。  このため、同国では8月1日から少なくとも5カ月前に2回目の接種を終えた60歳以上を対象に3回目の接種を開始、既に60歳以上の半数が接種を終えたという。  同国の医療保険制度を担う団体が3回接種を完了した14万9144人と2回目接種の67万5630人を比べたところ、接種後感染者数は前者が37人、後者が1064人だったという。これを単純感染率で見ると、前者が0.0248%、後者が0.1575%となる。  このことから、調査を行った団体は3回接種は感染防止と重症化阻止に役立つとしているが、それはワクチンは3回打っても少なくとも感染はするという意味でもある。  では、20日時点で65歳以上の2回接種者が3030万5890人いる日本で、イスラエルの2回目接種者と同じ0.1575%の感染率になったとすると感染者数はどうなるのか?  単純計算で4万7731人だ。これはあくまでも65歳で2回目接種を終えた人で、ワクチン効果が薄れる接種後5カ月での話。時間と共にその数は増える可能性が高い。日本では年末以降に65歳以上の2回目接種者はこうしたリスクがついて回るということだ。弘邦医院の林雅之院長が言う。 「大阪府のデータは接種から5カ月以内のものなので今後を考える上ではイスラエルのデータを重視すべきです。イスラエルで高齢者の重症者や死者が多いのは、そもそも高齢者は基礎疾患を持つ人が多く、入院や死亡リスクが高いからです。そのことは日本の高齢者も自覚しなければなりません。高齢者は若い人に比べて免疫も衰えていて、自身も気づいていない基礎疾患を持っている。いくらジムなどで肉体を鍛えたとしても若い人と同じではないのです。ですから、ワクチンを2回接種したことを過信してはいけません。いまはワクチン未接種の若い人に感染、重症化リスクが高いとする物語が語られていますが、依然として気をつけなければならないのは、高齢者です。よく陸で溺れると表現されますが、呼吸器疾患は苦しい。感染しないことが大切です。今後は人混みに極力出かけないこと、マスクはきちんと着用すること、食事と睡眠をしっかりとることが大切です」

カテゴリー
コロナ 対策

日本でも確認された「ラムダ株」…ワクチンは有効?デルタ株より危険?【医師が解説】

https://news.yahoo.co.jp/articles/8631c98c6313a99d3866faa58799cf09e83424ad

2021/8/24(火) 8:01 幻冬舎GOLDONLINE

全国で新型コロナウイルスの感染者が急増するなか、ついにペルー由来とされる「ラムダ株」の感染が確認されました。感染力はどれだけ強いのか、ワクチンの効き目はどれくらいか。未だ情報が少ないラムダ株について、世界での研究報告を紹介します。

次に猛威をふるうのは「ラムダ株」?増え続ける変異株

米疾病予防管理センター(CDC)は、「ウイルスは突然変異によって絶えず変化し、新しい株が、現れたり消えたり存続したりします。米国では、複数の株が出現しました。新たな新型コロナウイルスの株が増え、今では、2020年1月に患者が感染した、オリジナルの株はもはや存在しません」と述べます(※1)。 たしかに、英国で見つかり主流であった「アルファ株」は減り、今では2020年10月にインドで報告された「デルタ株」が世界中で猛威を振っています。また2020年12月にペルーで検出された「ラムダ株」は、南米を中心に広がっています。 CNNによると、米国では2021年7月に、テキサス州ヒューストンのメソジスト病院で、最初のラムダ株の症例が報告されました(※2)。これまでに米国でラムダ株の症例1,060人が特定されています。 日本でも先日、初のラムダ株の感染者が確認されました。ギリシア文字の順で考えると、ラムダ株は次の流行になる?と疑問に思われるかもしれません。でも実際どうなのでしょう? ※1 https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/variants/understanding-variants.html ※2 https://edition.cnn.com/2021/08/07/health/lambda-coronavirus-variant-wellness-explainer/index.html

CDCとWHOとでは「ラムダ株の認識」が異なる

CDCは、変異株をそれぞれ「懸念される変異株(VOC)」「注目すべき変異株(VOI)」「甚⼤な被害が想定される変異株(VOHC)」という3つの異なるカテゴリーに分類しています(※3)。 VOCは「伝染性の増加、重篤な患者(例:入院数や死亡数)の増加、治療またはワクチンの有効性の低下などの証拠がある変異株」、VOIは「それらに影響を与える可能性のある変異株」、VOHCは「予防措置や医療対策の効果が、以前に流行していた株より著しく低下している証拠がある変異株」を意味します。 CDCは、アルファ、ベータ、デルタ、ガンマ株をVOCとして分類。ただし、ラムダ株は、VOCやVOIとはしておらず、同センターのウェブサイトでも症例は公表していません。なお、これまで米国ではVOHCは確認されていません。 一方、WHOは、変異株をVOCとVOIの2つに分類し、アルファ、ベータ、デルタ、ガンマ株はVOC、ラムダをVOIとしています(※4)。 ※3 https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/variants/variant-info.html ※4 https://www.who.int/en/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants/

ワクチンは有効?大流行する?研究者によって違う見解

これまでのところ、ラムダ株に対するワクチンの効果について、研究結果が分かれています。 東京大学医科学研究所の研究者らによる査読なしの報告によると、ラムダ株は、ワクチンに耐性がある可能性があります(※5)。一方、ニューヨーク大学の研究者らによる、別の査読なしの報告では、モデルナ社やファイザー社製ワクチンは、依然としてラムダ株に効くことが示唆されています(※6)。 2021年8月18日のロサンゼルス・タイムズによると、今のところ専門家は、ラムダ株がデルタ株に代わって、米国で主流となることを示唆するデータはあまりないようです(※7)。 ただし、WHOの疫学者マリア・バン・ケルコフ博士は「ラムダが『決して重要ではない』と言っているわけではありません。私たちは積極的に話し合い、利用可能なすべての情報源から、できるだけ多くの情報を収集しようと積極的に取り組んでいます」「ラムダ株のスパイクタンパク質には変異があり、アミノ酸が欠失し、懸念される特徴がありました。ウイルスに変化があれば、ワクチンの効果を阻害する可能性があります」と語ります。 スタンフォード大学臨床ウイルス学研究所所長ベンジャミン・ピンスキー博士は、「ラムダ株が注目される理由の1つは、L452Qという変異です。この変異は、デルタ株や、イプシロン株に見られるL452Rという変異と類似しています。ワクチンを接種した免疫系にL452R変異があると、ウイルスが体内の細胞に侵入するのを防ぐ抗体の効果が3倍も低下することがわかっています」「私たちは、このウイルスが変異して、既存のワクチンを回避する可能性に備える必要があります。ただし、最新のワクチン技術は、新型コロナウイルスの変化に迅速に対応できるので有望です」と語ります。 ※5 https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2021.07.28.454085v1 ※6 https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2021.07.02.450959v1 ※7 https://www.latimes.com/california/story/2021-08-18/how-worried-should-we-be-about-the-lambda-variant-of-the-coronavirus

米国ではラムダ株は減少中、感染者の99%がデルタ株

CDCのデータによると、米国では2021年8月8日から8月14日の調査にて、約99%がデルタ株と確認されています(※8)。 前述のロサンゼルス・タイムズによると、これまでにカリフォルニア州で検出された152件のラムダ感染者は、4月に88件。それ以降毎月の感染者数は減り、5月43人、6月8人、7月はわずか2人でした。 シアトルのフレッドハッチンソンがん研究センターの進化生物学者トレバー・ベッドフォード博士は、ニューヨークタイムズに「ラムダ株は、デルタ株ほど懸念されておらず、地球全体で支配的になるとは考えていません」「ブラジルで最初に確認されたガンマ株に比べ、ラムダ株は特定されてからしばらく経ちますが、アメリカではほとんど侵入していません。私はデルタ株に注目すべきだと思います」と述べます(※9)。 ※8 https://covid.cdc.gov/covid-data-tracker/#variant-proportions ※9 https://www.nytimes.com/2021/07/08/health/lambda-variant-covid-peru.html

南米でもラムダ株は減少中だが…情報格差が招いた混乱

ペルーのカエタノ・エレディア大学の微生物学者で、ラムダ株の出現を記録したパブロ・ツカヤマ博士らの、査読なしの報告によると、ペルーでは、ラムダ株が、2021年1月、2月、3月、4月にそれぞれ20.5%、36.4%、79.2%、96.6%に拡大しました(※10)。 Our World in dataのデータでは、ペルーでの変異株の情報は、2021年6月12日のラムダ株が81%、その後のデータはありません。ただし、感染者数は、4月(100万人あたりのCOVID症例数:4月13日 301人)をピークに減少(100万人あたりのCOVID症例数:8月19日 37人)しています(※11・12)。 ツカヤマ博士は、ニューヨークタイムズに「ラテンアメリカには、ゲノムサーベイランスと新しい変異体の追跡検査を行う能力が限られています。そのため、情報の格差が生じ、ラムダ株に対する懸念が高まっています」「これまでに発生したどの株よりも悪くなるとは思いません。ただ、あまりにも情報が少ないため、多くの憶測が飛び交っているのです」といいます(※13)。 日本でも、国民が混乱しないように、正確で透明性のある情報を伝えて欲しいと思います。 さて、ジョンズホプキンス・ブルームバーグ公衆衛生学部アンナ・ダービン博士は、ニューズウィークに「適者生存(生存競争で環境に最も適したものだけが生き残って子孫を残しうること)です。複製されたウイルスは突然変異を起こします。最も高い力価で複製できるもの、あるいはよりよく感染するものが生き残ることになる。なぜなら、ある株はより簡単に広がり、他の株は消滅するからです」と語りました(※14)。 今のところ、新型コロナウイルスは、ウイルスに都合よく変異し続けています。 ※10 https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2021.06.26.21259487v1.full ※11 https://ourworldindata.org/coronavirus ※12 https://ourworldindata.org/covid-cases ※13 https://www.nytimes.com/2021/07/08/health/lambda-variant-covid-peru.html ※14 https://www.newsweek.com/origin-lambda-covid-variant-explained-1617480 大西 睦子 内科医師、医学博士 星槎グループ医療・教育未来創生研究所 ボストン支部 研究員

大西 睦子,医療ガバナンス学会

カテゴリー
コロナ 対策 社会問題

医師・看護師はもう限界!デルタ株で高まる「自衛隊野戦病院」の必要性

https://news.yahoo.co.jp/articles/55ce7581519fc73436c13ebe51e0325c3f749bfe

2021/8/24(火) 6:01 DIAMOND online

 私は、本連載で以前(連載275回)から、野戦病院を新型コロナ対策の「切り札」として提案してきた。デルタ株が猛威を振るっている今になって、野戦病院が現実的なコロナ対策案として浮上している。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人【この記事の画像を見る】 ● 各界も「野戦病院」の設置を訴え始めた  尾崎治夫・東京都医師会会長や松本正義・関西経済連合会会長などが、新型コロナウイルス感染症の急拡大への対策として「野戦病院」を設置すべきだと提言している。福井県は、実際に100床の病床を持つ「野戦病院」を体育館に設置した。  ただし、これらは、現状のコロナ病床確保の方法の延長線上のものを想定しており、私が提案してきた自衛隊による「野戦病院」と、大きな違いがある。  現在、コロナ病床の確保は、自治体ごとに、都道府県知事の権限で行われている。「感染症法」が改正されて、都道府県知事らは、病院に対しコロナ患者の入院を受け入れるよう「勧告」できる。  しかし、この方式は限界を露呈している。個別の病院がコロナ患者用に転換できるのは、せいぜい数床ずつだからだ。  例えば、大学病院や大病院のがん、心臓病などの高度な治療・手術を維持する必要性を主張されたら、専門家でない知事らは言い返せない。「精神論」で粘って、病院側が病床を1床、2床と切り売りするように最小限、新型コロナ用に明け渡しているのが現状だ(第273回)。  また、医師会の中心メンバーである開業医は、コロナ患者の受け入れが病院経営を直撃するため引き受けたがらない。コロナ患者に対応するための機材、人材が十分ではないという問題もある(高久玲音『やさしい経済学:コロナが問う医療提供の課題(2)患者受け入れが病院収益に影響』)。  今の体制では、野戦病院を現在の病床確保の方法の延長線上でつくっても、同じ問題に直面することになるのではないだろうか。

● 医師や看護師の派遣、現実は厳しい? 日本のメリット・デメリット  尾崎会長はテレビ番組で、野戦病院には今までコロナ治療に関わっていないクリニックや大学病院などの医師や看護師が従事する形を想定するという旨を発言した(参照)。  しかし、その医師・看護師らが、自分の病院・クリニックの患者の治療が大事だと主張したら、説得できないだろう。結局、自治体と病院の交渉が難航し、野戦病院に派遣されるのは、最小限の人数とリソースにとどまってしまうのではないだろうか。  また、以前指摘したのだが、野戦病院への医師・看護師の派遣は、おそらく労災などの補償の問題が生じる懸念がある(第264回・p3)。例えば、スポット勤務した医師が、新型コロナに感染した場合、2週間隔離となる。本来の勤務先に出勤できなくなるので、その間の金銭的な補償の問題が発生するのだ。  このように、自治体が野戦病院を設置しようとしても、実現にはさまざまな問題があると思われる。  実際、野戦病院の設置に否定的な東京都は、その理由として現在確保しているコロナ病床が「各医療機関の努力で出してもらったギリギリの数字」だからという。そして、「都内の病院の役割分担や地域性などを考慮して、医療関係者らと現在の体制を組んできた」と説明し、「今ある医療資源を最大限使うことがまず先決」と主張する(毎日新聞『コロナ病床増やしても…東京都が「野戦病院」をつくらない理由』)。  では、無理やり今の医療体制から絞り出して、「野戦病院」を設置すべきかというと、そうとも言い切れないのではないか。現状の医療体制を無理に崩さないほうがいいという考え方もあり得ると思う。  国民皆保険制度により日常的な医療体制が整備され、基礎疾患を持つ人の症状が管理されていることが、日本の新型コロナの重症者、死亡者が欧米に比べて非常に少ない「ファクターX」の一つかもしれないと私は考えている(第262回・p5)。  例えば、英国と比較してみよう。

● 英国はコロナ医療にすぐシフトできたが 日常的な医療体制は日本よりも過酷?  英国では、昨年3月にロックダウンを実行したと同時に10日間程度で、国内の医療体制を新型コロナ用にシフトした。しかし、それはがんを除く不要な手術を延期し、退院可能な患者はすべて自宅療養に切り替えて実施したものだった(ピネガー由紀『日本人が知らない英国「コロナ病棟」のリアル 現地在住看護師が語る医療崩壊を防ぐ仕組み』)。  つまり、英国では、日本の何十倍も新型コロナ感染症の患者を出しながら、医療崩壊を起こさなかったことは事実なのだが、重症化する患者や死亡者が多かったことについて、日常的な基礎疾患の管理ができていないからだと思われると、筆者の知人である臨床医は指摘していた。  実際、私が英国に在住していた時に、ナショナルヘルスサービス(NHS:無料の国営医療サービスシステム)へ友人を連れていったことがある。その時は、3カ所病院をたらいまわしにされ、診察を受けられるまで、9時間かかった。  また、NHSでは、普段は風邪や季節性インフルエンザでは病院での入院はおろか、診察すらしてもらえない。NHSの受付窓口で簡単に診断されて処方箋をもらい、薬局で薬を買って自宅で休むだけだ(第277回・p2)。  つまり、英国の日常的な医療のレベルは日本と比べて高いとはいえない。それが、日本と欧米の新型コロナの重症化率、死亡率の差につながっているのではないか。ゆえに、日本の現状の医療体制を崩してコロナ対応に向けることには、慎重であるべきだと思う。  それでは、野戦病院の設置は非現実的な案と切り捨てるべきか。私はそうは思わない。

● 合理的に考えて、自衛隊が野戦病院をつくるべき  8月12日の東京都のモニタリング会議は「現状の感染状況が続くだけでも、医療提供体制は維持できなくなる」と警鐘を鳴らしている。新しい発想の対策が必要とされているのは間違いない。  そこで、私が提案してきたのが、自衛隊による大規模野戦病院の設置である(第275回)。  まず重要なことは、「自衛隊」が野戦病院をつくることだ。自衛隊には、医官、看護官がそれぞれ約1000人ずつ在籍している。現在、ワクチンの大規模接種センターに医官約90人、看護官約200人が派遣されている。しかし、その業務は8月25日に終了する。  彼らは、いわゆる一般の病院・クリニック、そして医師会の「外側」に存在している。  医療崩壊を防ぐためには、限られた既存の病院・クリニックのリソースをやりくりするよりも、その「外側」に存在する自衛隊に出動してもらい、その人材、機材を加えるほうが、合理的なのではないだろうか。  その上、自衛隊の医官・看護官が「戦場の医師・看護師」であることも重要だ。「救命救急医療」の専門家であり、新型コロナ治療の研修期間は、一般病院・クリニックの医師・看護師が研修するよりも短期間で済む。「即戦力」となり得る存在なのだ。  さらに、自衛隊による「野戦病院」設置の意義は、「集約のメリット」を出せることにある。それは、エクモ・人工呼吸器などの機材、医師、看護師が病院ごとに配置されるよりも、病床を何百床、何千床の単位で1カ所にまとめることで、比較的少ないリソースで、多くの患者を診ることができることだ。  これは、日本以外の諸外国では当たり前のやり方だ(上昌広『「医師多数・コロナ患者少数」の日本が医療崩壊する酷い理由』)。だが、残念ながら日本の現状の医療体制では実現はほぼ不可能である。  だから、日本で、大規模なコロナ専用病院をつくれるとすれば、それは自衛隊しかない。この連載で提案してきたように、まずは東日本と西日本に1カ所ずつ、大規模野戦病院を設置するのである(第275回)。

● 大規模野戦病院の具体案…英国のナイチンゲール病院を踏まえて  場所は、東日本は朝霞駐屯地、西日本は伊丹と宇治の駐屯地とする。病床は、前回の私の提案では重症・中等症用としていたが、現在のニーズに合わせて変更したい。患者の重症化を防ぎ、死亡者を出さないことが最重要であるため、中等症用にそれぞれ2000~4000床ずつ用意する。  これは、英国の野戦病院(ナイチンゲール病院)設置を参考にしている(第282回・p2)。この病院は英国軍の支援で、最大4000床の中等症用病床を持ったロンドン・エクセルセンター国際会議場の病院など、全国各地に短期間で建設された(“In case of emergency: The Army and civil assistance” )。  病院開院後は、英国軍の軍医約600人が派遣されてNHSの医師・看護師と協力した。また、機器のメンテナンス、病院内店舗管理など、幅広い臨床支援活動を行った(Financial Times “Military medics to work in UK hospitals as Covid admissions sore”)。  自衛隊の大規模野戦病院設置は、軽症者を自宅療養とする政府の新方針の実施にも適している。英国軍を事例にすると、「コロナ航空タスクフォース」を設置し、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドなどの地方や、離島から英国本土への患者の緊急搬送などを行ってきた(Covid Support Force: the MOD’s contribution to the coronavirus response)。  日本でも、自宅療養の軽症者の情報を自衛隊に集約しておき、中等症化した際には、ヘリコプター等も使用して地方から大規模野戦病院へ即座に移送できるようにするのだ。  英国は、昨年3月、新型コロナのパンデミックの初期段階で大規模野戦病院を設置し、英国軍の支援体制をとった。結局、野戦病院はほとんど使われることがなかったのだが、先回りして体制を整えていたことが重要だ。  日本では、現行の医療制度の範囲で何ができるかを必死に考えてきたが、医療崩壊の危機に直面し、ひたすら国民の行動制限を求めることしかできなかった。  デルタ株の急拡大に直面し、さらなる新しい変異株の拡大のリスクもある今、現行制度の範囲内の対応では限界がある。新しいシステムを先回りしてつくり、病院にも入れず死を迎えるような悲劇は起きないと、国民が落ち着くことができる体制を築く必要がある。

上久保誠人

カテゴリー
コロナ 対策

【解説】ワクチン接種進むも感染拡大なぜ? 専門家「2回接種すれば絶対感染しないということではない」

https://news.yahoo.co.jp/articles/aa15cbd5d24a2a711063169e5052ede03d98091f

2021/8/23(月) 20:53 8カンテレ

厳しい感染状況が続く中、ワクチンはどこまで効果を発揮しているのか? ワクチンに関する疑問をウイルス感染免疫学が専門の近畿大学・宮澤正顯教授に聞きました。 【動画で見る】ワクチン接種進むも感染拡大なぜ? 専門家「2回接種すれば絶対感染しないということではない」

止まらぬ感染拡大…ワクチンの効果は?

カンテレ「報道ランナー」

――Q:2回接種が国民の4割、一方で陽性確認は過去にない規模になっている。どう解釈すればいい? 【近畿大学医学部 宮澤正顯教授】 「ワクチン打ってても感染してしまう人は出ます。2回目接種すれば絶対感染しないということではない。ワクチンはあくまでも感染したときに発症したり、重症化したりするのを抑えると」 厚生労働省の調査では、8月10日からの3日間、感染が確認された約5万7000人のうちワクチンを1度も接種していない人は82%。 一方で、2回接種した人は、わずか3%にとどまっています。カンテレ「報道ランナー」

【近畿大学医学部 宮澤正顯教授】 「ワクチンを打っている人たちの間では、明らかに新規感染者として報告される人の割合下がってる。もちろん2回打てば重症化したり入院したりするリスクは、うんと下がると。デルタ株であっても、2回打っていれば9割近くにまで下がるということは分かっている。ワクチンの効果は明らかである」

アストラゼネカ製ワクチンは打つべき?

カンテレ「報道ランナー」

では、大阪市で23日から接種が始まったアストラゼネカ製のワクチンはどうなのでしょうか? 従来株への発症を予防する効果は、約70%と、ファイザーやモデルナに比べて低く、ごくまれにおこる副反応として血栓症ができるリスクも指摘されていますが…カンテレ「報道ランナー」

【近畿大学医学部 宮澤正顯教授】 「確かに血栓症を起こす危険性はまれだけれどある、それは事実。しかし、それよりもワクチンを打って新型コロナウイルスの発症を防ぐことのメリットの方がはるかに大きい。メリットの方がずっと大きいのだからこれを打つべきだと、ヨーロッパでも保健担当者が認めている。治療法もかなり分かっている。それに対応する方法も、臨床の先生は開発しているし、知識も共有しているということなので、まれに起こったとしても対処してもらえる」 宮澤教授によると、血栓が生じるメカニズムが分かっているため、アナフィラキシーショックと同様に対処できるといいます。

一方、因果関係は不明とした上で厚生労働省が公表している「ワクチン接種後の死亡事例」(8月4日時点で834例)については… 【近畿大学医学部 宮澤正顯教授】 「偶然ワクチンを打った日に、もともとの持病で亡くなったとか、そういう方もいっぱいいる。科学的に言ってもファイザー、モデルナについてワクチンと死亡を科学的に結びつけることは今のところない」

マスクなしで生活できる日はくるのか

カンテレ「報道ランナー」

――Q:デルタを念頭に全国民の何割打てばマスクなしで生活できる? 【近畿大学医学部 宮澤正顯教授】 「難しい。とにかくまず、若い人たちにたくさん打たないとダメだろうと思います。動き回る世代の人たちにたくさん打つということを進めていかないと、6~7割でも感染してる人たちたくさん出ますからね。8~9割いかないと難しいかなという気がします。マスクは、しばらく取れないと思いますよ。ウイルス側だけの問題じゃなくて、人間の行動の問題が非常に大きいので、そこをしっかり考えてもらうと収まっていくかなという気がします」

まだまだ警戒を緩めるわけにはいかない新型コロナウイルス。 ワクチンには期待しつつも、当面はこれまでの感染対策が求められることになりそうです。

(カンテレ「報道ランナー」8月23日放送)