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効果は? 安全性は? 新型コロナワクチンについて知っておきたいこと Q&Aで医師が解説

https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20210120-00217893/

2021/1/20(水) 18:00 忽那賢志 | 感染症専門医

新型コロナの世界的な流行の打開策として期待されているワクチン接種が海外では開始されました。

新型コロナワクチンについて、これまでに分かっていること、海外の接種開始後の状況などについてまとめました。

新型コロナのワクチンってどんなワクチン?

mRNAワクチンが効果を発揮する機序(DOI: 10.1056/NEJMoa2034577)
mRNAワクチンが効果を発揮する機序(DOI: 10.1056/NEJMoa2034577)

海外ではファイザー/ビオンテック社が開発したワクチン(BNT162b2)とモデルナ社のワクチン(mRNA-1273)が承認され接種が開始された国が増えてきています。いずれもm(メッセンジャー)RNAワクチンという新しい技術を用いたワクチンです。

これらのワクチンでは、mRNAというタンパク質を生成するために使用する情報細胞を運ぶ設計図が、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイク蛋白、つまりウイルス表面のトゲトゲした突起の部分を作る指示を伝える役割を果たしています。

ワクチンが接種されると、mRNAは注射部位近くのマクロファージに取り込まれ、スパイク蛋白を作るように指示します。

その後、スパイク蛋白はマクロファージの表面に現れると、このスパイク蛋白に対する抗体が作られたりT細胞を介した免疫が誘導されることで、新型コロナウイルスに対する免疫を持つことができます。

生きたウイルスはワクチンの中には入っておらず、また遺伝情報を体内に接種すると言っても、それによって人間の遺伝子の情報に変化が加わることもありません。

新型コロナワクチンの効果は?

ファイザー/ビオンテック社、モデルナ社のmRNAワクチンの比較(DOI: 10.1056/NEJMoa2035389、N Engl J Med 2020; 383:2603-2615を参考に筆者作成)
ファイザー/ビオンテック社、モデルナ社のmRNAワクチンの比較(DOI: 10.1056/NEJMoa2035389、N Engl J Med 2020; 383:2603-2615を参考に筆者作成)

どちらのワクチンも「ぱねえ効果」を示しています。

2つのmRNAワクチンは大規模なランダム化比較試験という信頼に足る臨床研究によって、どちらもプラセボ群と比較して90%以上という非常に高い効果が示されています。プラセボというのは偽薬のことで、2つの臨床研究では生理食塩水が注射されています。

ちなみにワクチンの予防効果90%とは、「90%の人には有効で、10%の人には効かない」 または「接種した人の 90%は罹らないが、10%の人は罹る」という意味ではありません。

「ワクチンを接種しなかった人の発症率よりも接種した人の発 率のほうが90%少なかった」という意味であり、言い換えると「発症リスクが、10分の1になる」とも言えます。

では「ワクチンで90%以上の予防効果」というのは、他のワクチンと比べてどうなのでしょうか。

例えば、最も効果が高いワクチンの一つとしては麻疹ワクチンが挙げられ、予防効果は95%と言われています。

一方、インフルエンザのワクチンは、シーズンによっても異なりますが、一般的には50%程度の予防効果です。

新型コロナウイルス感染症はウイルス性呼吸器感染症であることから、一部では新型コロナワクチンもインフルエンザワクチンの予防効果に近いのではないかという予想もされており、ワクチンの承認をする機関である米国食品医薬品局(FDA)は予防効果50%以上を承認の基準にしていましたが、これを大きく上回る予防効果が示されたことになります。

すでに人口の2割がワクチンを1回接種したというイスラエルでは、接種から7日以内に感染が確認されたのが4484人、8日から14日以内が3186人だったのに対し、15日から22日経過した人では、感染者数は353人だったとのことですので、1回の接種でもある程度の効果は見込めるようです。

ワクチンの効果には、感染を防ぐ効果とは別に「重症化を防ぐ効果」も期待されます。

感染を防ぐことはできなくても、ワクチンを接種することで重症化を防げるようになれば、それだけで非常に大きな価値があります。

例えば、インフルエンザワクチンは、接種してもインフルエンザに罹ることはありますが、重症化を防ぐ効果があるとされています。

今回の2つのワクチンでは、

・ファイザー/ビオンテック:重症化した10名のうち1例がワクチン接種群、9例がプラセボ群

・モデルナ:重症化した30名のうち0例がワクチン接種群、30例がプラセボ群

となっており、重症化を防ぐ効果もぱねえと言えます。

「ワクチンを最も必要とする人に、ワクチンが十分効果を発揮するのか」というのも重要なポイントです。

ワクチンを最も必要とする人とは、新型コロナに感染した際に重症化するリスクが高い、高齢者や基礎疾患を持つ方です。

今回のワクチンでは、新型コロナで重症化リスクが高いとされている、高齢者、基礎疾患のある人で効果があるかどうかは非常に重要なポイントですが、ファイザー/ビオンテック社のワクチンは「65歳以上のワクチン有効率94.7%」、モデルナ社のワクチンは「重症化リスク群のワクチン有効率90.9%、65歳以上のワクチン有効率86.4%」と発表されており、重症化リスクの高い人でもぱねえ効果が期待できそうです。

新型コロナワクチンの安全性は?

モデルナ社のmRNAワクチンの副反応 プラセボ群との比較(DOI: 10.1056/NEJMoa2035389)
モデルナ社のmRNAワクチンの副反応 プラセボ群との比較(DOI: 10.1056/NEJMoa2035389)

どちらのmRNAワクチンも基本的には安全性に大きな問題はないと考えられます。

しかし、どんなワクチンであっても100%安全なものはありません。

というかむしろ、軽微はものも含めるとほとんどの人になんらかの副反応は起こるでしょう。

最も頻度が高い副反応は注射した部位の痛みで、どちらのワクチンも6-9割くらいの人で痛みを訴え、特に接種後12~24時間は痛みが顕著なようです。さらに、臨床研究に参加した人の約1%が「重度の」痛みであったとのことで、インフルエンザワクチンなどと比べてもかなり痛いワクチンだと思われます。私が打たれたら泣いちゃうかもしれません。

またワクチンを接種した部位はしばらく赤く腫れ、しこりができることがあります。

だるさや頭痛も比較的一般的な副反応のようですが、高熱が出ることは多くはないようです。

これらの副反応は一般的に数日以内に消失し、解熱薬にも反応します。

一般的に、副反応は高齢者よりも若年者の方が多く、2回目の接種では1回目よりも多くの副反応が起こるようです。

また、こうした副反応は具合の悪い高齢者の方にはときに危険となることもあるようです。

ノルウェイでは、衰弱した80歳以上の高齢者がワクチン接種後に発熱、嘔吐、下痢などの症状を訴えた後に亡くなられる事例が増えていると言われています。

衰弱した高齢者では接種するかどうか慎重に判断した方が良いかもしれません。

アナフィラキシー反応が起こる頻度(筆者といらすとや作成)
アナフィラキシー反応が起こる頻度(筆者といらすとや作成)

最も懸念される副反応はアナフィラキシー反応などのアレルギー反応です。

臨床研究ではワクチン接種群がプラセボ群と比べて特にアレルギーが多いというわけではありませんでしたが、アメリカやイギリスで接種が始まってからアナフィラキシーの事例が報告されています。

アナフィラキシーの原因と考えられているのは、両方のワクチンに含まれているポリエチレングリコール(PEG)と呼ばれる物質です。

アメリカ疾病管理予防センター(CDC)はPEGやポリソルベートなどのPEG誘導体にアレルギーのある人はmRNAワクチンの接種を控えるよう推奨しています。

実際にアナフィラキシー反応がどれくらいの頻度で起こるのかについてですが、アメリカで190万人に1回目の接種をしたところ21人にアナフィラキシー反応が起こった、とのことです。つまりおよそ10万人に1人にアナフィラキシー反応が起こる計算になります。

インフルエンザワクチンなど一般的なワクチンのアナフィラキシー反応の頻度は「100万人に1人」程度とされていますので、それと比べると頻度は高いと言えるでしょう。

しかし、例えばペニシリンという抗生物質では5000人に1人くらいの頻度で重度のアレルギー反応が起こるのと比べると、決して頻度が高いわけではありません。

ペニシリンのアレルギー反応はよく知られていることからニュースにはなりませんが、新型コロナワクチンは世界中で注目されているため、どうしても目立ってしまいますが、冷静にリスクを評価する必要があります。

なお、この21人のアナフィラキシー反応を起こした方のうち17人はサルファ剤や卵などなんらかのアレルギーがあり、うち7人が過去にアナフィラキシーを起こしたことがあったそうです。

71%の人が接種15分以内、86%の人が接種30分以内にアナフィラキシー反応が出現しており、ワクチン接種後30分程度は慎重に様子を見るようにしましょう。

なお、この21人のアナフィラキシー反応を起こした方々は皆さん退院されており、迅速に、適切に対応すれば命に関わることはありません。

アレルギーをお持ちの方は、接種するかどうか医師と相談して決めるようにしましょう。

現時点でワクチンの副反応の全てが分かっているわけではなく、特に長期間経過してから明らかになる副反応については今後明らかになる可能性もあります。

しかし、その他の予防接種では、重篤な副反応は通常投与後数日から数週間で起こるものであり、長期間経過してから現れる副反応は稀です。

新型コロナワクチンの効果の持続期間は?

新型コロナワクチンの臨床研究は2020年の夏以降に実施されているものですので、どれくらい効果が持続するのかについては情報がありません。

モデルナ社のワクチンの第1相試験のデータからは、中和抗体が4ヶ月間持続していますが、実際の予防効果については分かりません。

今後、追加接種が必要なのか、いつ打つべきかについても分かっていません。

これらについては、今後明らかになってくるでしょう。

新型コロナワクチンを接種すれば周りの人にうつさなくなる?

これまでに報告されているワクチン臨床試験の結果では、新型コロナの発症を防ぐ効果は示されていますが、無症候性感染(症状がないけど感染している状態)に関する情報については不足しています。

つまり、ワクチンを接種して防げるのは感染そのものではなく、症状が出ることを防げるだけで感染はしてしまうのではないかという懸念は残っています。

新型コロナウイルスに感染した人の最大40%程度は無症候性感染者とされており、この無症候性感染者からも周囲の人に感染が広がることがあります。

そういう意味では、ワクチンが無症候性感染をも防ぐことがはっきると分かるまではマスクの着用、3密の回避、こまめな手洗いは継続する必要があります。

子どもはワクチンを接種できるの?

現時点では小児に対するワクチン接種は推奨されません。

ファイザー/ビオンテック社のワクチンは16歳以上、モデルナ社のワクチンは18歳以上の患者を対象に臨床研究が行われており、国内での承認もまずはこの年齢層が対象になると考えられます。

日本国内でのワクチンの優先接種対象者は?

現時点での新型コロナワクチン優先接種対象者(筆者といらすとや作成)
現時点での新型コロナワクチン優先接種対象者(筆者といらすとや作成)

厚生労働省ではワクチンの優先接種対象者を協議しており、医療従事者、高齢者、基礎疾患を有する方を優先することを決定しており、また高齢者等が入所・居住する社会福祉施設などの職員も高齢者に次ぐ接種順位とすることが協議されています。

ワクチン接種が優先される基礎疾患とは、

・慢性呼吸器疾患

・慢性心疾患

・慢性腎疾患

・慢性肝疾患

・神経疾患・神経筋疾患

・血液疾患

・糖尿病

・疾患や治療に伴う免疫抑制状態(悪性腫瘍、関節リウマチ・膠原病、肥満を含む内分泌疾患、消化器疾患、HIV感染症など)

などが検討されています。

日本国内での今後のワクチン接種の予定は?

ファイザー社のmRNAワクチンは2020年12月18日に承認申請が出されました。

2月中旬には承認される見通しとのことであり、優先接種対象者については早ければ2月下旬からワクチン接種が開始されます。

モデルナ社のmRNAワクチンについては1月下旬から国内治験を開始するとのことであり、承認申請はもう少し先になりそうです。

結局、新型コロナワクチンは打った方がいいの?

国は「推奨」は出しますが「義務」ではなく、必ず接種をしなければならないわけではありません。

ワクチン接種をするかどうかは個人個人の判断に委ねられることになります。

ご自身の年齢、基礎疾患から接種によるメリットとデメリットを天秤にかけ、メリットが上回ると判断したときに接種するようにしましょう。

ちなみに私は、医療従事者ですし、重症化リスクの高い「男性・高血圧・肥満」の三冠王ですので、たとえ泣くほど痛くても打ちますよ。

【参考】

New England Journal of Medicine. Covid-19 Vaccine — Frequently Asked Questions

一般社団法人日本感染症学会 ワクチン委員会 COVID-19 ワクチンに関する提言(第1版)

CDC. Interim Clinical Considerations for Use of mRNA COVID-19 Vaccines Currently Authorized in the United States.

【この記事はYahoo!ニュースとの共同連携企画記事です。】

忽那賢志感染症専門医

感染症専門医。2004年に山口大学医学部を卒業し、2012年より国立国際医療研究センター 国際感染症センターに勤務。感染症全般を専門とするが、特に新興再興感染症、輸入感染症の診療に従事し、水際対策の最前線で診療にあたっている ※記事は個人としての発信であり、組織の意見を代表するものではありません。本ブログに関する問い合わせ先:skutsuna@hosp.ncgm.go.jp、研究プロフィール:https://researchmap.jp/kutsunasatoshi

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ノーベル賞の日本薬「イベルメクチン」、新型コロナ致死率80%減少効果=英国・韓国報道

https://news.yahoo.co.jp/articles/4939e4329f7e8a7853526489b0c4b0802a88d789

2021/1/5(火) 11:15 WOW KOREA

ノーベル賞の日本の抗寄生虫薬「イベルメクチン」が新型コロナウイルス致死率を最大80%まで減少させるとの主張が提起された。 【関連写真】この記事の写真をもっと見る  4日(以下、現地時間)英国「デイリーメール」によると英国リバプール大学のウイルス専門学者アンドリュー・ヒル博士が全体臨床試験資料を総合分析した結果、イベルメクチンが投与された患者573人の中では8人、プラセボ(偽薬)が投与された患者510人の中では44人が死亡したことがわかった。  イベルメクチンは1970年代に開発された駆虫剤として、頭ジラミなどの寄生虫感染治療に広く使用されている。  イベルメクチンを新型コロナウイルス治療薬として研究している科学者らは、この薬が新型コロナウイルスのライフサイクルを妨害するものと見ている。  同件についてヒル博士は「イベルメクチンは患者の身体で新型コロナウイルスが除去されるのにかかる時間を大きく短縮させることがわかった」と説明した。  このような臨床試験はエジプトでも行われているが、症状が軽症の患者200人のうちイベルメクチンが投与された100人は5日で新型コロナウイルスが消えた反面、プラセボが投与された100人は10日かかったという。  重症患者200人を対象に進行された臨床試験では、イベルメクチンが投与された100人は6日間、プラセボが投与された100人はウイルスが消えるのに12日間を要したことがわかった。  臨床試験で使用されたイベルメクチンの容量は大部分が0.2~0.6mg/kgだったが、12mgの高容量が投与された臨床試験も1件あった。今回の臨床試験は世界保健機構(WHO)が依頼したもので、主に開発途上国でおこなわれた。  これを前に、イベルメクチン効果については昨年4月、オーストラリア・モナーシュ大学研究チームが発表していた。  現在、計7100人の新型コロナウイルス患者が参加している他のイベルメクチン臨床試験結果も今後数か月以内に発表されるものとみられる。  しかし、医学界の一部では臨床試験が大部分の参加者数が少なく、使用されたイベルメクチンの容量がそれぞれ異なり、さらに他の薬と並行して投与されたケースもあるとして、結果に疑問を投げかけている。  イベルメクチンは他の薬と並行して投与された場合、急激な血圧低下、肝臓の損傷、嘔吐、下痢、腹痛、めまいなどを引き起こす可能性があると伝えられた。  なお、イベルメクチンは2015年ノーベル医学生理学賞を受賞した大村智氏が1970年代に静岡県で採取した土壌から発見した「放線菌」と呼ばれる新種の細菌で開発した寄生虫感染症の治療薬として世界的に知られている。

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新型コロナに感染しても「軽症で済む人」と「重症化する人」の決定的な違い

https://news.yahoo.co.jp/articles/a8b3643eb3a35e64072245b8def3fff6fb861db7

2021/1/1(金) 11:16 PRESIDENT ONLINE

新型コロナの感染者のうち、どんな人が重症化しやすいのか。順天堂大学医学部の小林弘幸教授は「原因は、本来、身体を守るはずの免疫細胞が暴走するサイトカインストームだ。免疫の暴走を食い止めるには、『レギュラトリーT細胞』が欠かせない」という――。 【この記事の画像を見る】  ※本稿は、小林弘幸・著、玉谷卓也・監修『免疫力が10割 腸内環境と自律神経を整えれば病気知らず』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。 ■「重症化」はICUでの治療が必要な状態  国内における新型コロナウイルス感染症では、感染しても約80%の患者が無症状か軽症で済むものの、高齢者や基礎疾患のある患者を中心に約15%は重症肺炎になり、約5%は致死的なARDS(急性呼吸促拍症候群)という呼吸不全に至ります。  新型コロナウイルス感染症において「重症化」というのは、この5%を指します。  ARDSに陥り、ICU(集中治療室)での治療が必要となった状態です。  重症化から回復しない場合、数日のうちに呼吸不全は呼吸困難へと進行し、深刻な炎症に陥った心肺は機能しなくなるため、ECMO(エクモ)という人工心肺装置を装着。ここまで至ると、残念ながら8割方の患者は命を落としてしまいます。 ■ウイルスの毒性だけならインフルエンザのほうが怖い  これを聞くと、「新型コロナウイルスはなんと恐ろしい毒性を持っているんだ」と思うのですが、こうした症状の悪化の原因はウイルスの病原性だけではないことがわかっています。  ウイルス単体の毒性でいえば、インフルエンザウイルスのほうがよほど怖いのです。  では、なぜ世界で100万人以上もの方が命を落としているのか?   その答えが、「サイトカインストーム」です。  本来、わたしたちの身体を守るはずの免疫細胞が火の嵐のように暴走し、全身に炎症を引き起こす免疫の過剰反応が、この感染症の重症化の原因なのです。  これは、2020年5月に、量子科学技術研究開発機構理事長で前大阪大学総長の平野俊夫先生によってあきらかにされています。

■「免疫の暴走」サイトカインストーム  「サイトカイン」とは、免疫細胞同士が互いに協力したり、ウイルスとの戦いを有利に進めたりするために使う、免疫細胞が出す物質のことを指します。  例えば、司令官役のヘルパーT細胞が、抗体をつくるようB細胞に指示したり、ウイルス撃退の実行を担うキラーT細胞に出動要請をかけたりするのにも使います。  しかし、サイトカインにはガソリンのように危険な側面もあります。サイトカインの産生量が度を越せば、炎症は拡大して内臓や血管の機能不全を引き起こします。  その「やり過ぎ」の状態がサイトカインストームです。  平野先生の研究によれば、主に肺組織にいるマクロファージ(ウイルスを貪食したり、ウイルスの情報をヘルパーT細胞に伝えたりする免疫細胞の一種)から放出されるサイトカインが“主犯”とされています。  ウイルスに感染した細胞がSOS物質を放出し、免疫細胞を呼び寄せ活性化したり、マクロファージからサイトカインを放出させたりします。そのサイトカインに刺激された免疫細胞や組織細胞がさらにサイトカインを放出します。  このようにして、新型コロナウイルスの感染が引き金となり、免疫細胞や組織細胞によるサイトカインの産生が続いたのち、その共鳴を一気に増幅させる「IL-6アンプ」というスイッチが押されます。  そして、細胞間のサイトカイン放出の呼応が一気に増加し、サイトカインによる炎症はまたたく間に広がり、心肺が機能不全を起こすほどの肺炎となるのです。 ■サイトカインストームを未然に防ぐには  サイトカインストーム自体は、インフルエンザなどほかの重症化リスクのあるウイルスでも起こり得ることですが、新型コロナウイルスはとくに起きやすいことが脅威となっています。  そして、このサイトカインストームにおいて、もうひとつ炎症を悪化させるファクターがあります。それが、「免疫ブレーキの故障」です。  免疫の働きが正常な状態であれば、ウイルスの感染に対して免疫応答(ウイルスなどの外敵に対処する免疫細胞の一連の反応)が行われたあと、免疫細胞たちに「撤収」を呼びかける細胞がいます。  それが、「レギュラトリーT細胞」です。  ヘルパーT細胞、キラーT細胞と同じT細胞の一種で、免疫細胞たちを制御することが役割です。この細胞が正常に機能していれば、サイトカインストームも抑制されたはずなのです。  しかし、新型コロナウイルスに感染し、重症化した患者の血液中からは、このレギュラトリーT細胞を含むT細胞全般が極端に減ってしまっていることがわかっています。原因はまだまだ研究途上ですが、ふたつの理由が想定されています。

■レギュラトリーT細胞が減少する2つの理由  ひとつめは、新型コロナウイルスの感染によってT細胞が減少しているのではないか、というものです。  どうやら新型コロナウイルスは組織細胞だけでなく、免疫細胞であるT細胞にも感染し、減少させている可能性があると考えられています。ただこれはまだ仮説の段階で、今後の研究が待たれます。  そのほか、炎症を起こしているほかの箇所へ動員されてしまっている可能性や、T細胞が生き続けるために必要な因子が枯渇してしまっている可能性などがあります。  重症者の体内では、キラーT細胞も減少していますが、司令官の役割を担うヘルパーT細胞と調節役のレギュラトリーT細胞の減少が著しく、これが免疫力低下の一因となり、サイトカインストームの発生を食い止めることができなくなっていると考えられています。  ふたつめは、基礎疾患や生活習慣の乱れです。  免疫細胞はわたしたちの身体から生み出される、身体の一部分です。そのため、健康状態を悪化させるような生活習慣や、基礎疾患による臓器の不調があれば、免疫細胞も不健康となり、正常に機能しません。  とくに、レギュラトリーT細胞は腸に多く生息する免疫細胞です。腸内環境が著しく悪化している身体では、新型コロナウイルスが感染する前からレギュラトリーT細胞が少なく、サイトカインストームを起こしやすい状態にあることが予想されます。 ■“不健康”が重症化を招く  これらの要因のなかでも、基礎疾患や生活習慣の乱れによる“不健康”がレギュラトリーT細胞減少の原因となっている点は、極めて重要です。  なぜなら、実際に国内外における新型コロナウイルスの死亡者の多くは、肥満症、あるいは糖尿病や高血圧などの基礎疾患を抱える患者であるからです。  そのような患者は、レギュラトリーT細胞の減少や機能低下によって、そもそもサイトカインの産生を誘発しやすい状態にあると考えられます。  こうした重症化の仕組みからわかるのは、新型コロナウイルスへの対処においては、外からの感染予防のみならず、自らの身体を“健康”に保ち、レギュラトリーT細胞を含む免疫細胞が適切に活動できるような「10割の免疫力」を維持することが非常に重要である、ということなのです。 ———- 小林 弘幸(こばやし・ひろゆき) 順天堂大学医学部教授 1960年、埼玉県生まれ。スポーツ庁参与。順天堂大学医学部卒業後、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属小児研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学医学部小児外科講師・助教授などを歴任。自律神経研究の第一人者として、トップアスリートやアーティスト、文化人のコンディショニング、パフォーマンス向上指導にも携わる。近著に『名医が実践! 心と体の免疫力を高める最強習慣』、『腸内環境と自律神経を整えれば病気知らず 免疫力が10割』(ともにプレジデント社)。新型コロナウイルス感染症への適切な対応をサポートするために、感染・重症化リスクを判定する検査をエムスリー社と開発。 ———-

順天堂大学医学部教授 小林 弘幸

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「日本モデルに再現性はない」コロナ民間臨調“460ページ報告書”に記された真実――文藝春秋特選記事

https://news.yahoo.co.jp/articles/fe38fcd174636e3e0eecd9b9b45f700b4a6cd5d9

2020/12/31(木) 6:12 文春オンライン

「文藝春秋」12月号の特選記事を公開します。(初公開:2020年12月5日)  新型コロナウイルス感染症への日本政府の一連の対応のなかで、これまで何がうまく行き、何が失敗だったのか?――第3波の勢いが強まる今、その検証は欠かせない。 【写真】この記事の写真を見る(4枚)  そんな中、「新型コロナ対応・民間臨時調査会」(小林喜光委員長=コロナ民間臨調)が、政策決定に関与した関係者たちの貴重な証言を集めた『調査・検証報告書』を発表した。  今年5月、緊急事態宣言を解除するにあたり、安倍晋三首相(当時)は「日本モデルの力を示した」と胸を張り、政府の対策の成功であるかのように強調した。しかし、その「自己採点」は正しいのか――。

83人の関係者へヒアリング

安倍晋三氏と菅義偉氏 ©共同通信社/文藝春秋

 こうした点を検証すべく、コロナ民間臨調は安倍前首相のほか、菅義偉官房長官(当時・現首相)、西村康稔新型コロナ対策担当相や専門家会議副座長だった尾身茂コロナ分科会長(7月に改組)のほか官邸や厚労省の官僚も含め83人もの関係者へのヒアリングを行った。  その結果、今年6月までに行われたコロナ対応について、いくつもの新事実が当事者の口を通じて明らかにされている。  その一つが、感染が増えだした3月、政府の水際対策が後手に回った経緯だ。欧州からの帰国者に対しての上陸制限措置に遅れが生じた。中国と韓国に対しては3月5日、発行済みの査証(ビザ)は無効とし、観光目的の来日自粛を要請する方針を政府は固めた。ところが欧州ほぼ全域に対しては、4月3日にならないと発動されなかった。どうしてそんなことが起きたのか。  ある官邸スタッフは報告書の中でこう明かす。

“緊急事態宣言慎重派”だった菅義偉氏

「同時期に行った一斉休校要請に対する世論の反発と批判の大きさに安倍首相が『かなり参っていた』ことから、更なる批判を受けるおそれが高い旅行中止措置を総理連絡会議において提案することができなかった」  そして「今振り返るとあの時欧州旅行中止措置をとっておくべきだったと思う。あれが一番、悔やまれるところだ」と告白している。  また、安倍前首相も重要な証言を残している。ヒアリングに対し、最も難しかった判断として4月7日に出した緊急事態宣言を挙げ、「ずいぶん論争があった。経済への配慮から結構慎重論があった」と振り返っている。  報告書によれば3月28日ごろ、安倍首相が「早めに出した方がいい雰囲気だよな」と話したのに対し、西村コロナ担当相は「早めに出す方がいいと思っています」と応じていた。だが、これに一貫して慎重論を唱えていたのは菅官房長官で、「経済へのダメージを懸念していた」という。これは今現在、Go Toトラベルキャンペーンなどの存続にこだわる菅首相の姿勢とも重なる。  加えて安倍首相の判断を難しくしたのが、小池百合子東京都知事の存在だった。

小池発言が「ターニングポイントになった」

 小池都知事は3月23日、「都市の封鎖、いわゆるロックダウンなど、強力な措置を取らざるをえない状況が出てくる可能性がある」と述べ、国民の危機感が一気に高まった。  一方、報道を通じて繰り返された小池都知事の発信は誤解を呼んだ。日本の新型インフルエンザ等対策特別措置法では予定されていない罰則措置を伴う欧州のような都市封鎖を想起させ、買い占めが起きたり、SNS上で「4月1日に東京でロックダウンが起きる」という根拠のない噂が広がったりした。  安倍前首相はヒアリングに対し「小池さんがロックダウンという言葉を使ったため、その誤解を解く必要があった。それを一回払拭しなければならない。あの法律の下では国民みんなが協力してくれないことには空振りに終わっちゃう。(略)そのあたりが難しかった」と述べた。また西村コロナ担当相も、「(発言が)ターニングポイントになった。結果としては緊急事態宣言が遅れた部分があったと思う」と証言している。

「日本モデル」の基礎は危ういものだった

 こうして出された緊急事態宣言の下、商店や企業の営業自粛や、接触を避ける国民の行動変容によって、5月末には感染が一旦は収束に向かったのは事実だ。だが、ある官邸官僚は「泥縄だったけど、結果オーライだった」という言葉を残している。  報告書作成を主導した独立系シンクタンク「一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ」理事長の船橋洋一氏は、こう総括する。 「場当たり的でも結果が出れば政治的には評価される。ただ、それでは将来に同様の危機が到来した時の再現性はない。つまり、『日本モデル』の基礎は危ういものだったと言わざるをえず、成功物語にさせてはいけない」  466ページにわたる報告書のポイントについて、船橋氏が解説したインタビュー手記「 検証 2020年のコロナ対策 」は、発売中の「文藝春秋」12月号および「文藝春秋digital」に掲載されている。  そこには、冬のコロナ対応を監視していくためのエッセンスが詰まっている。

広野 真嗣/文藝春秋 2020年12月号

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コロナで症状出る人と出ない人の違いは? 帯津医師、免疫力に注目

https://dot.asahi.com/wa/2020052900005.html?page=1

帯津良一2020.6.1 07:00週刊朝日

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「自然免疫」。

【写真】免疫学の大家だった安保徹さん

*  *  *
【ポイント】
(1)自然免疫が見直されるようになってきた
(2)中医学はずっと自然免疫に注目してきた
(3)自分の生き方を見直して自然免疫を高めよう

 コロナ騒動が起きてから、免疫力への関心が高まっています。免疫とは「疫病」から「免」れるということですから、注目されるのは当然といえます。コロナに同じように感染しても、症状が出る人と出ない人がいます。その違いは免疫力にあるのではないかというのが、気になるところではないでしょうか。

 免疫に関する研究は近年、急速に進んでいて、いろいろなことがわかってきています。その一つは、「自然免疫」と「獲得免疫」の役割についてです。

 これまでにも書いてきましたが、自然免疫は生まれつき備わっている仕組みです。細菌、ウイルスといった外敵が体内に入ってくると、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞などが、それらに対抗して活躍します。マクロファージは「大食い」という意味を持っていて、外敵を丸呑みします。

 もう一つの免疫の仕組みである獲得免疫は、外敵との戦いによって身につけていく能力で、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、B細胞などが担当します。

 西洋医学ではこの獲得免疫が注目されてきました。特定の病原体に対して、画期的な戦い方をするからです。天然痘をはじめとする各種ワクチンは、人工的に獲得免疫をもたらす方法です。それによって救われた命は計り知れません。

 ただ、近年は自然免疫が見直されるようになってきています。マクロファージにしても、樹状細胞にしても、外敵に見境なく飛びかかるのではなく、精巧な病原体センサーを何種類も備え、相手の正体を正確に把握しているのです。

 そのうえで、その病原体の断片をヘルパーT細胞などに提示します。そこで獲得免疫が動き出すのです。つまり自然免疫は獲得免疫にとって、欠かすことのできない役割を担っているのです。

 私たちが「免疫力を高めよう」といったときは自然免疫のこと。もともと持っている免疫の力を高めよう、ということなのです。しかも、それが獲得免疫も含めた全体の免疫力を高めることにつながるのです。

 私はコロナに感染して症状が出る人と、出ない人の違いはこのへんにあるのではないかと思っています。

 中医学の世界では免疫という考え方がありません。病原体(病邪)に対抗するのは「気」の働きです。気は中医学の中心的な概念ですが、日本人にはわかりにくいかもしれません。気の力が低下した状態を「気虚」と呼んで、それを改善させるのが「補気」です。漢方薬でいえば、四君子湯、六君子湯、補中益気湯などがその役割をします。

 中医学は4千年の歴史を通して自然免疫に注目してきました。補気とはつまり、自然免疫を高めることなのです。

 免疫学の大家、故・安保徹さんは「自然の摂理に反した生き方をしていれば、免疫力が落ちてしまう」とおっしゃっていました。コロナに負けないためには、まずは自分の生き方を見直し、自然免疫を高めることが大切なのかもしれません。

週刊朝日  2020年6月5日号

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対策

コロナを「99.99%」不活化 殺菌用LEDを量産へ

https://news.yahoo.co.jp/articles/a50b7b840e306c0ad077e38d14daa91a717accf6

2020/12/23(水) 11:06 朝日新聞デジタル

発光ダイオ―ド(LED)大手の日亜化学工業(徳島県阿南市)は、LEDで紫外線を照射して新型コロナウイルスを不活化して殺菌にも利用できる装置を開発したと発表した。一定の条件下で99・99%の不活化効果があると実証され量産体制を整えたという。 【写真】「もう元には戻れない」コロナ感染、住吉美紀アナが流した涙  同社によると、LEDで光の波長の短い深紫外線を新型コロナウイルスに照射することで、ウイルスのRNA(リボ核酸)にダメージを与え、遺伝情報(ゲノム)を複製する働きを弱める効果がある。  260ナノメートル(ナノは10億分の1)の波長が最も効果があるとされているが、光出力を高めることで280ナノメートルの波長でも同程度の効果が得られることが分かった。  深紫外線LEDは波長が265ナノメートルのものは推定寿命が約2千時間とされる。一方、280ナノメートルにすると約2万時間と寿命が10倍になる利点もあり、需要が高まることが見込める。  同社は深紫外線LEDを12個直列に並べた試作機を作り、ウイルス学が専門の野間口雅子・徳島大大学院教授らに実験してもらった。その結果、波長280ナノメートルの試作機で30秒間照射すると、新型コロナを99・99%不活化することが実証されたという。  流水で手洗いをした場合や消毒用アルコールでも同程度の不活化効果があるとされるが、試作機の距離を殺菌対象から数ミリまで近づければ一瞬で同じ効果が得られる。このため、空気清浄機やエアコンなど家電の内部に取り付けたり、紙類などの消毒に活用できたりする可能性がある。ただし人体への影響を考慮すると、肌に直接照射することは困難という。  17日に徳島市内で記者会見した同社の鎌田広専務取締役は「業界最高レベルの製品として量産化の体制も整っている。年明けにも、試作機のハンディー照射器を徳島大学や県に寄贈したい」と話した。(雨宮徹)

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「コップに菌いたらイヤ」 口つけずうがい、小5の発明

https://news.yahoo.co.jp/articles/84e60468c1818ecb820f7a5ea068f06a525e186d

2020/12/29(火) 9:31 朝日新聞デジタル

 今年の三重県発明くふう展で、鈴鹿市立鼓ケ浦小学校5年の川崎海空(みく)さん(10)が最高位の知事賞に選ばれた。新型コロナ禍の中、「コップに口をつけずにうがいができないかな」と考えた作品だ。末松則子市長を11日に表敬訪問して成績を報告した。 【写真】知事賞になった「うがい安心水キャッチ」 「く」の字に曲がったストローを水が通る  作品名は「うがい安心水キャッチ」。タピオカドリンクを飲む時に使うような太めのストローを熱で「く」の字に曲げ、手に持てるよう、穴を開けたペットボトルのふたにつけた。  一方を水道の蛇口にあてると、水がストローを通って、無理な姿勢をとらなくても口に入る。歯ブラシにストローをつけたものと、家から近い海岸で拾った流木で作ったスタンドとセットになっている。  「コップに菌がついていたらいやだなと思ったのがきっかけで、苦労したのはストローを曲げる方法。何十回も失敗した」と川崎さん。熱のあて具合で溶けたり折れたりの連続だったという。  サーフィンと空手と、何か新しいものをつくることが好きな川崎さん。両親によると「次は何をつくろうか」と毎日考えているような少年だという。双子の女の子、海美(みう)さんも発明好きで、ライバルでもある。  県発明くふう展は今年で49回目。167点の応募があったという。(中根勉)

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見えない飛沫、正しく回避 スパコン「富岳」で可視化

https://news.yahoo.co.jp/articles/c9289d342f5bb2a299f914e1b97aab165f0a930b

2020/10/18(日) 23:28 産経新聞

 理化学研究所のスーパーコンピューター「富岳」で新型コロナウイルス対策の評価を進める同研究所などのチームが発表した飛沫(ひまつ)に関するシミュレーション結果。マスクによる感染予防効果や飲食店のテーブルでどこに座ると飛沫を受けるリスクが高いかなどを分析した。見えない飛沫が可視化されていることで、日常生活を送る上でも参考になりそうだ。理研の坪倉誠チームリーダー(神戸大教授)は「感染リスクがどこにあるのか、それに対してどういう対策を取ればいいのか啓発したい」と話している。 【イラスト】飲食店のテーブルで感染者(手前)の正面に座った人が浴びる飛沫のシミュレーション  ■20分会話で咳1回分  会話しているときと歌っているとき、そして、せきをしたときでは、飛沫の飛び方はどう違うのか。  会話をしたときなどに飛ぶ飛沫には、床や机などにすぐ落下する比較的大きな飛沫と、粒の大きさが5マイクロメートル(1マイクロは千分の1ミリ)程度以下で空気中を長時間漂うエアロゾルがある。  会話では1分間に約900個の飛沫、エアロゾルが飛び、歌の場合は1分間に約2500個飛ぶ。一方、強いせきを2回すると、合計で3万個ほどが飛ぶことが分かった。  20分程度の会話をすると、せき1回と同じ程度の量が発生。歌唱しているときには会話と比較して数倍が、より遠くまで飛び、カラオケ1曲ほどに当たるおよそ5分でせき1回分が飛散するという。  また、歌唱時を想定し、マスクやフェイスシールド、マウスガードでどの程度飛沫の飛散を防げるのかについてもシミュレーションを実施。フェイスシールドやマウスガードはマスクと比べ、相当量のエアロゾルが漏れ出ていた。  坪倉氏は「いずれにしてもエアロゾルは漏れてしまう。大きな飛沫への対策とは別に、小さな飛沫への対策を考える習慣が大事だ」とし、マスクなどの装着と換気をあわせて行う必要があるとしている。  ■隣席が最も危険  感染拡大を防ぐため、営業時間や酒類の提供時間短縮などが求められてきた飲食店。「密」になりやすく、言葉を交わす機会も多い状況で、感染リスクも高い。  シミュレーションでは、飲食店でテーブル(縦60センチ、横120センチ)を4人で囲み、うち1人の感染者が、正面、はす向かい、隣の相席者に向かって1分間程度の会話をしたケースを想定。座る場所によって届く飛沫の数がどう違うかを調べた。  その結果、飛沫は話しかけた相手に対してまっすぐに飛ぶ性質が強いことから、話しかけた人以外にはほとんど到達しないことや、感染者が相席者に均等に話しかけた場合には隣席にもっとも多く届き、次いで正面、はす向かいの順になった。隣は正面に比べて5倍の飛沫が届き、はす向かいは正面の4分の1程度に減ることが判明した。  ウイルスを想定した「新しい生活様式」として、「食事は対面ではなく横並びで座ろう」と推奨されてきたが、状況に応じた対策が必要となりそうだ。  坪倉氏は「隣の人との間にパーティションを立て、前方への飛沫はマウスガードなどで抑えるといった対策が有効ではないか」としている。  ■マスクは鼻も覆って  他人に飛沫を飛ばさない点から着用が求められ、罰則付きで義務化している国もあるマスク。その防御効果についてもシミュレーションが行われた。  6秒間かけて深呼吸をしたときに、体内に取り込まれる飛沫やエアロゾルの量を評価したところ、マスクをしていると上気道(鼻腔から咽頭)に入る飛沫数を3分の1まで低減できることが分かった。とりわけ大きな飛沫についてはブロックする効果が高いという。 坪倉氏は「自分を守るためにも、マスクは鼻も覆ってしっかりつけてほしい」と注意を促した。  ただ、エアロゾルに対しての効果は限定的で、マスクをしていない場合とほぼ同じ数の飛沫が気管の奥にまで達するという。  マスクと顔の隙間からの侵入を阻止することは難しいといい、感染を防ぐには換気などの対策との併用が重要だとしている。  一方、フェイスシールドでもシミュレーションを実施。大きな飛沫の防御効果は高いが、エアロゾルについては隙間からの侵入が避けられず、自分が発した飛沫でもエアロゾルが大量に漏れ出すことが示された。  「フェイスシールドは着け方で飛沫の飛び方が変わる」といい、正しく装着するよう気を付ける必要があるとした上で、可能な限り、マスクを着用するように呼びかけている。  ■合唱は交互に並んで  年末が近づき、ベートーベンの合唱付き交響曲「第九」のシーズンとなり、合唱などが今年はどうなるか、気にかけている向きもありそうだ。こうしたことも念頭に、シミュレーションではコーラスの際のリスクについても評価した。  機械式の換気設備が行き届いているコンサートホールなどを会場に、コーラスで全ての人が歌っている状態の中に、1人の感染者がいることを想定。距離をとることや人数を絞ること、マウスガードの効果などをみた。  コーラスでは多くの人が同時に発声することから、その気流の影響もあり、前方への飛沫の飛散が強まるという。ただ、人を少なくすることで、直接飛沫を受けるリスクは下がり、互い違いに並ぶことによっても前列へのリスクは低減された。  マウスガードを着用して合唱した場合のシミュレーションでは、前方への流れが抑制されることで、一定のリスク低減効果があることも示された。ただ、「マウスガードよよりマスクの方が防御効果は高い」(坪倉氏)ため、可能な限りマスクを使用し、特に換気設備が整わない場で合唱の練習をする際などは、感染予防の各種ガイドラインを参照するよう求めた。

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インフル感染後はコロナにもかかりやすい? 「ダブル感染」リスクを減らすには

https://news.yahoo.co.jp/articles/c44b2c84e2c134515e15e2128b607602d88d24de

2020/10/17(土) 8:00配信 AERA dot.

 新型コロナインフルエンザの「ダブル流行」はこない、といった見方を示す専門家が実は結構いる。南半球で流行がなかったことや、体内でのウイルスの生存競争など、さまざまな説がある。とはいえ、感染のリスクが消えたわけではないので、常に最新の情報を知って備えたい。 【比較表】症状、重症度、治療法…インフルエンザと新型コロナの違いは?

 新型コロナとインフルエンザの“ダブル感染”のリスクはどうか。  東京都健康長寿医療センター呼吸器内科の山本寛部長は、「あくまでも一般論」とした上で、 「インフルエンザへの感染が起こると、そのあと3週間ぐらいは気道の防御機能が落ちます。そのときに二次性の感染症が起こることはわかっています。それを踏まえると、インフルエンザの感染後は、新型コロナにも感染しやすくなるので、注意が必要でしょう」  との考えだ。重症化のリスクについては、水野医師がこう指摘する。 「今、新型コロナでは長引く症状が問題になっています。回復した後でも肺が大きなダメージを受けていることがあります。そう考えると、症状が残っている人がインフルエンザにかかると、重症化する可能性があります」  これからの時期、手洗いやマスク以外にしておきたい対策は、「やはりインフルエンザの予防接種です。特に高齢者と持病がある人は受けたほうがいい」と岡部所長。 「インフルエンザの予防接種の有効性は100%ではなく、接種してもかかる人が少なからずいます。ですが、症状を軽くするとか、肺炎になりにくく死亡を防ぐとか、そういう効果は期待できます。10月に接種すると、インフルエンザ流行の兆しがみえる11月以降の感染リスクを下げることができます」  今年、国が用意したワクチンの供給量は、最大約6300万人分。65歳以上の高齢者などへの優先接種を10月1日から始めている。「流行が始まってから接種しても間に合わない」(岡部所長)というから、高齢者や持病がある人は後回しにせず、早めに済ませておきたい。  なお、高齢者らへの優先接種は10月25日まで。早めにかかりつけ医や近くの医療機関に問い合わせておきたい。

 対策として“うがい”を提案するのは山本部長。 「インフルエンザウイルスが増殖する際、『ノイラミニダーゼ』という酵素が必要になります。この酵素は歯周病菌が作り出し、口腔内や咽頭(いんとう)の粘膜に多く存在するので、こまめにうがいをすることでこの酵素を減らせます。手洗いをするときに一緒にするとよいでしょう」  うがいは、うがい薬を使わず、水道水で。うがい薬に含まれている成分が粘膜を傷つけてしまうことがあるためだ。  予防といえば、新型コロナのワクチンの状況も気になる。政府は全国民に行き渡る量のワクチンの確保を目指し、国内外の製薬会社と基本合意を済ませた。最終段階の臨床試験を実施しているワクチン候補は、米・ファイザー社や英・アストラゼネカ社などの10種類ほど。  WHOは、年末までにワクチンが準備できる見込みを示したが、岡部所長は、「世界レベルでのワクチンの確保は来年後半になるだろう」と慎重な姿勢を見せる。 「しかも、これは臨床試験が適切に進んで、結果が順調だった場合の話。ワクチンが早期に使えるようになることは望ましいですが、焦らないほうがいい。どんなワクチンも割合は低くても副反応は起こります。あとで不備が見つかって信頼が揺らげば、ワクチン接種をちゅうちょする人たちも出てきます」 (本誌・山内リカ、亀井洋志) ※週刊朝日  2020年10月23日号より抜粋

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『飛沫量』を大学が計測…大声で歌うと普通の会話の11倍 カラオケ店を想定した飲食伴う場合は14倍に

https://news.yahoo.co.jp/articles/38357916491b8ee81ad66939a4a2e62a56db5bac

2020/10/15(木) 17:26配信 東海テレビ

 新型コロナウイルスの感染予防に必要なものは、なんといってもマスク。これは飛沫が広がることを防ぐためですが、15日、愛知県の豊橋技術科学大学が「歌うと飛沫はどれくらい増えるのか」という実験の結果を公表しました。 豊橋技術科学大学の飯田教授: 「学生さんに歌を歌ってもらったり喋ってもらって、声の大きさが大きくなると、どのくらい空気の速度が上がるかを調べてみました」  豊橋技術科学大学で流体力学の研究を専門とする飯田明由教授。15日午前の記者発表で、学生とともに行った実験の結果を報告しました。  今年4月から「マスクを着用すると飛沫をどれくらい防げるのか」についての研究を進め、高性能の不織布マスクで飛沫を80%程度抑制できることなどをまとめました。  新型コロナウイルスの感染予防対策に大きく貢献する実験と分析。中でも学生が体を張って行ったのが、歌った時の飛沫量の計測です。  実験室でマイクではなく測定機に向かって歌を歌い、普通に話した時と歌った時の飛沫量を比較しました。その結果…。 飯田教授: 「学生さんに歌ってもらうと、普通の声で歌ってもらうと4倍くらいになって、大声で歌うと11倍でした」  さらに、飲食を伴うカラオケ店を想定し、モノを食べて口の中に唾がたまっているような状態で歌を歌ってもらう実験も。そうすると…。 飯田教授: 「通常我々が普通に喋っている時に比べると、14倍くらいたくさん飛沫が出ます」  飲んで、食べて、歌って…。カラオケを想定した実験では飛沫量が14倍になるという実験結果に。  飯田教授は今回の実験結果をもとに、感染リスクの高い場所での換気の方法や、感染を防ぐ人の配置などについて、研究を進めていくことにしています。