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病床使用率リストを独自入手「幽霊病床」の実態が明らかに 補助金の受け取りも

https://news.yahoo.co.jp/articles/a47d377d974a1673d633a4fabd8f3f78c7619eb8

2021/9/6(月) 22:59 日テレNEWS24

東京都内の医療機関で、新型コロナウイルス患者を「すぐに受け入れ可能」と申告しながら、ほとんど受け入れていない、いわゆる「幽霊病床」の実態が日本テレビの独自取材で明らかになりました。 【動画でみる】病床使用率リスト入手「幽霊病床」実態とは  ◇◇◇

■東京の感染状況 入院患者は増え続け、重症者も高止まり傾向

日テレNEWS

東京の新型コロナウイルスの新規感染者は、5日まで14日連続で前の週の同じ曜日を下回りました。しかし、小池都知事は、「陽性者だけ見ると減少し始めているが、入院患者や重症者は過去最多の水準。『医療非常事態』という認識」としています。 実際、入院患者は増え続けていて、4日には4351人と過去最多を更新しました。重症者も連日お伝えしていますが、高止まり傾向です。

■「幽霊病床」実態明らかに 病床使用率リスト独自入手

日テレNEWS

病床のひっ迫が続いてきた中、厚生労働省と東京都は先月23日、東京都内のすべての医療機関に、新型コロナウイルス患者用の病床を増やすことなどを要請しました。東京都知事と厚生労働大臣が連名での要請は異例のことです。それほどの状況でした。 そんな中、新型コロナウイルス患者を受け入れている、都内172の病院の病床使用率をまとめたリストを日本テレビが入手しました。このリストによって「幽霊病床」の存在が明らかになりました。 「確保病床」というのは、病院側が申告した新型コロナウイルス患者をすぐに受け入れ可能な「即応病床」のことです。都内172の病院で、先月31日の時点で、全部で5967病床あるうち、受け入れていた入院患者は4297人、病床使用率は72%でした。日テレNEWS

さらに個別に見ていきますと、病院によって0%から900%の大きな開きがあります。申告数を上回る患者を実際には受け入れていたり、感染させる心配がなくなった患者を一般病棟に移して、次の新型コロナウイルス患者を受け入れるなどして、病床使用率が100%を超えている病院が50施設ありました。その一方で、病床使用率が40%未満の病院が27施設ありました。 退院が一度に多くでて、一時的に病床使用率が下がったケースもあるかもしれませんが、中には0%という病院も7施設ありました。 受け入れ可能と申告していながら実際は使われていない病床、「幽霊病床」ともいわれています。これまでこうした問題があるとはいわれていましたが、今回初めて数字として明らかになりました。 病床使用率が低い病院に話を聞くと、「ワクチン接種などもあり人手不足」「施設が古く設備が不十分なため、本当に緊急でなければ受け入れられない」とか、「軽症は受け入れるが、中等症以上は人も必要になるので難しい」などと説明しています。 今は、基本的には中等症以上で入院となるため、「軽症のみ」と条件がつくと、患者を入れられず、「幽霊病床」となってしまう状況もあります。こうした「ミスマッチ」の解消も必要なのです。 しかし、「即入院可能」と申告しているわけですから、病院の申告数と実態がかい離している状況は問題です。

■「幽霊病床」で補助金の受け取りも

日テレNEWS

また、補助金の問題もあります。こうした「確保病床」については、国から補助金が支払われているのです。 重症者用ベッド1床につき、最大1950万円、重症以外の患者のベッド1床につき、最大900万円の補助金が、申請をすると国から医療機関に支給されています。 また、これとは別にコロナ患者がいない時も即入院可能とするために、ほかの患者を受け入れないで、ずっとベッドを空けてキープしておくとなると、病院の収入に影響がでますので、コロナ患者の入院がない間は、日割りで「空床確保料」というのも支給されています。 仮に補助金をもらっているのに、患者の受け入れがないとなると不適切です。こうしたことから東京都と厚生労働省は、申告に見合った受け入れを求めていますが、関係者は、「実態は把握しているが協力してもらっている以上、ダメとは言えない」として、確保病床の申告数の見直しには慎重な姿勢を示しています。

■「医療者として一番の活躍時」病床使用率100%の病院も

日テレNEWS

一方で、4床確保で4人受け入れと、100%の受け入れを続けている八王子市の病院を取材しました。 清智会記念病院では、第1波から常にコロナ患者を受け入れていて、これまでに150人以上の対応にあたってきたそうです。当初はスタッフの理解を得るのに苦労もありましたが、治療を続ける中で、今ではスタッフ側から「増床しましょう」という声まであがっているということです。 ただ、この病院では地域の救急医療も担っていて、そう簡単にコロナ病床に切り替えることはできない現実もあり、今ある病床を効率的に回すことに力を入れているということです。 清智会記念病院・横山智仁理事長「感染症の認定看護師というのもやり始めた病院で唯一いなかったので。地域の医療スタッフなどの知識を共有できたし、僕らの知識も上がったので、医療者として今が一番の活躍時なんじゃないかと」 このように、なんとか貢献しようという病院もあります。新型コロナウイルス患者を積極的に受け入れているほかの病院からは、「補助金を申請しておきながら、実際は受け入れていない病院もある。まじめに対応している病院から見ると残念だ」と不満の声もでています。

医療体制に詳しい国際医療福祉大学の和田耕治教授は、「病床使用率が低い病院には、受け入れができない背景や理由を確認し、都などが近隣の医療機関との連携や対応を支援することも大切」「今、少し感染者が減る傾向が見える中で、こういう時こそ再流行に備えて、今後において患者受け入れができるようしておかないといけない」と指摘しています。  ◇◇◇ この「幽霊病床」の問題が解決しなければ、患者の受け入れが、都が確保した病床数の7割程度でストップすることが続きかねません。 また病院側に立つと、積極的に受け入れている病院との不公平感もでます。「幽霊病床」の問題を放置することなく、政府も都も病院の支援をし、病院も対応してもらいたいです。

(2021年9月6日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)

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失敗学の研究者が見た、日本人の「ゼロリスク」信奉

https://news.yahoo.co.jp/articles/11c17cecd85cca2088f17a6aabc34ab601c47273

2021/9/12(日) 17:30 Newsweek

「信者」を減らさないと、日本の将来は暗い。東京五輪を機に、チャンスとリスクを議論して判断できる日本へと変わるべきだ

KEVIN COOMBS-REUTERS

人間は何かを行う前に、「チャンス」と「リスク」を秤(はかり)に掛けて判断する。東京五輪では、選手が国民に感動を与えることがチャンスで、試合場の選手団や観客から新型コロナウイルスが広がるのがリスクである。 【写真特集】フクシマの10年 しかし、テレビや新聞はリスクだけを報道し、秤に掛けるような議論は進まなかった。結局、時間切れで中止にはならず、IOC(国際オリンピック委員会)にいいように引き込まれて大会は始まった。 五輪開催が失敗だったか成功だったかは、閉会式まで分からなかった。たまたま日本の金メダルが予想以上に多かったから、JNNの世論調査では「開催してよかった」「どちらかといえばよかった」と思う人が61%になった。 もしも予想以上に少なかったら、五輪はコロナ第5波の主因として失敗の烙印を押され、自民党は今秋の総選挙で大敗しただろう。 筆者らは、20年近く「失敗学」と称して多くの失敗を分析してきた。そこで分かったことだが、日本人の中には感情的な「ゼロリスク」信者が多く存在する。ゼロリスクは「安心」とも言い換えられる。安心の達成レベルは人それぞれで異なり、いくら説明しても絶対に安心できない人もいる。 福島第一原発事故では「放射線は年間1ミリシーベルトでもイヤだ」という人が多く、「自然放射線の2.1ミリシーベルトよりも少ないですよ」と言っても議論にならなかった。ゼロリスクは信念であり、信者に秤は要らない。 東京五輪を中止寸前まで追い込んだ最大の力は、このゼロリスクである。議論は要らない、イヤなものはイヤなのである。でもこの信者を減らさないと、日本の将来は暗い。 昨年10月、東京大学の筆者のオンライン講義での出来事だが、招聘した外部講師が「日本人の1年間の死亡者の130万人に比べれば、これまでのコロナ死亡者数はたかだか1600人だから、インフルエンザ相当だよね」と口を滑らせたら、直後にチャットで炎上した。 大学では原発と軍事の議論はタブーだが、それに感染症が加わった。ゼロリスク信者にとっては、死亡者は過去も将来もゼロでなければならない。今年になってもワクチン忌避という形で、ゼロリスク信者の学生たちが顕在化している。 筆者のような理系人間は、大学入学当初の微積分でイプシロン-デルタ論法という解析を教わるが、そこで「ゼロに限りなく近いがゼロではない」という表現を身に付ける。この表現は「失敗学」では正しく、ゼロリスクはあり得ない。

ゼロを業務目標にすると災害が起きても報告しなくなる

Newsweek Japan

労働災害を防ぐために「ゼロ災運動」を展開している企業も多いが、ゼロを業務目標にすると災害が起きても報告しないというズルが横行する。 タイタニック号はunsinkable(沈まない)と絶賛されたが、技術者は「最大で4水密区画で浸水しても沈没は免れる」としか言っていない。実際、氷山に衝突して6区画で浸水すると、設計どおりに沈没した。不沈神話はあり得ない。 東京五輪では、8年前の招致贈賄疑惑から、ロゴ盗用問題、新国立競技場計画の撤回、森喜朗組織委員会会長(当時)の女性蔑視発言、開会式直前の演出担当者辞任まで多くの失敗が目についた。でも、これらはマスコミが調査して責任を追及し、失敗を「なかったこと」として看過・隠匿したわけではない。 こうした失敗は「よくある」失敗である。過去の類似の失敗もデータ集(例えば筆者の『失敗百選』)から簡単に検索でき、優秀なブレーン(今なら自然言語を分析できるAIでもよい)がいれば事前に予想できる。 「失敗学」では滑った、転んだ、忘れた、遅れたの類を「つい、うっかり」の失敗と呼ぶが、従業員がそれで失敗しても会社は倒産しない。 一方で、想定外で発生確率は低いが、起きたら致命的になるという「まさか」の失敗もある。東日本大震災の巨大津波で誘発された福島第一原発事故がこの典型例だ。東京五輪開催で誘発された医療崩壊も、典型例になる可能性が高かった。 もしも有観客の会場でクラスターが生じ、家族感染で広がり、関東一円の感染者が一時期のニューヨーク並みに1日当たり約2万人で重症病床が満床になったら、政府転覆の暴動が起きていたかもしれない。ただ今回はそこまで深刻なレベルに至っていない。 「まさか」の失敗は類似事例が過去のデータにないので、グーグル検索でなく、自分の脳で事故のシナリオを想定しないとならない。福島原発では「外部電源が30分以上喪失することはないと国が決めたから」と言い訳して、30分後のシナリオを事前に想定しておらず、この思考停止が損失を拡大した。 これから日本は五輪の経験を生かして、何を変革していけばよいのだろうか? まずは、自分の脳の中にチャンスとリスクの秤を用意して、自分の論理で判断することが大事だろう。 くれぐれもワイドショーであおられた話を簡単に信用して、リスクを過大評価してはいけない。また、議論した後で面倒になり、「何も変えない」という不作為を選ぶこともやめるべきである。

五輪の赤字額は0.9兆円、致命的なリスクと見なすのは酷だ

明日からでよい。「隗(かい)より始めよ」で、身近なことから変革を始めていこう。 大学教員としては学生に、コロナに抗して大学に来て実験して論文を書くチャンスと、コロナに感染するリスクとを秤に掛けて、自分の力でやりたい方向へ進んでほしいと思う。筆者の研究室では、学生全員がリモートデスクトップのアプリを用いて、自宅から実験室のコンピューターやロボットを動かしている。 コロナでオンライン業務を強いられたが、そこで分かったことは日本のデジタル化の遅れだ。手っ取り早く「3密」を避ける方法は最新版のDX(デジタルトランスフォーメーション)で、若者はそれを事もなげに実行するから頼もしい。 東京五輪では国内外の観客がお金を落とさなかったので、大きな赤字が生まれた。しかし、これまでにコロナ対策で使った政府予算の43兆円に比べれば、赤字額は0.9兆円で2%にしかならず、致命的なリスクと見なすのは酷だ。 日本人選手はインタビューで、開催してチャンスの場を与えてくれた人々に感謝していた。彼らは国家の名誉ではなく、個人の自己発現を求めて戦ったのである。秤に掛けたらチャンスのほうが重かったと筆者は思う。 令和の時代は、何事も自分で考えて、自分で人生を切り開く力が見直されている。おかしなことは見過ごさずに変えていこう。 (※巨大スポーツイベントの未来、「傲慢」と「卑屈」が残した教訓、行き場のない不安と不満……本誌9月14日号「五輪後の日本」特集では、いくつもの側面から東京五輪を振り返る)

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「ヤバい、ヤバい」女性悲鳴も…体ぶつけ合う観客たち 批判殺到「密フェス」現場のカオスな実態

https://news.yahoo.co.jp/articles/207aa73714128daa929feed49d72e895562cd2ae

2021/8/30(月) 20:49 JCASTニュース

 愛知県常滑市内で2021年8月29日に行われたヒップホップ系の野外フェスティバル「NAMIMONOGATARI」で、参加者らが密状態になって踊るような写真や動画がツイッターなどに投稿され、物議を醸している。 【動画】参加者で密状態だった会場の様子  ラッパーのZeebraさん(50)らが問題を認めて、ツイッターで謝罪する事態になった。ルール違反があったとして、愛知県や常滑市は主催者に抗議し、主催者は、「お詫びと経緯のご説明」とする謝罪文を公式サイトに出した。 ■出演者のZeebra「開けてみたら危険な状況でした」  会場となった「Aichi Sky Expo」では、参加者がぎっしりとすし詰め状態になっている。  「止まる気ないですよね!」。出演者の男性がステージを走りながら会場の参加者に声をかけると、ワーと大声を出して参加者が手を突き上げた。  これは、野外フェスのステージ上から撮られた動画の1シーンだ。  出演者が大声で声をかけると、参加者も大声で呼応し、歌や演奏が始まると、みな飛び上がってカオスともいえる状態になった。  野外フェスの会場は、スマホでの撮影が認められており、ツイッターやインスタグラムには、参加者が撮った写真や動画も次々に投稿されている。それらを見ると、参加者が踊りまくって、体をぶつけ合うモッシュのような状態になり、若い女性が「ヤバい、ヤバい。めっちゃヤバい!」とぶつけられるなどして悲鳴を上げるようなものもあった。  NAMIMONOGATARIの公式サイトによると、2005年よりスタートした日本最大級のヒップホップ系野外フェスで、8月29日の日曜日は、Zeebraさんら大物アーティストが多数出演した。新型コロナウイルスの感染対策としては、サイト上などで、マスク着用や大声の禁止、1メートル目安のソーシャルディスタンスを守ることなどを参加者に呼びかけていた。  ところが、投稿された写真や動画を見ると、マスクをしていない人も多く、大歓声で踊りまくるような状態だ。また、お酒を飲んでいる人の姿も見られた。  愛知県では、8月8日にまん延防止措置が発令され、感染者が1日で2000人を超える事態となって、27日には緊急事態宣言が出された。それだけに、ネット上では、主催者側などの対応に疑問や批判が噴出し、ツイッター上などで釈明する出演者も出た。  Zeebraさんは30日、「県のルールに則ってると聞いていたので出演しましたが、開けてみたら危険な状況でした」とツイッターで告白し、当日はマスクの着用徹底などを伝えたが、「そもそも出演すべきでは無かったという意見もごもっとも」だとして、「ヒップホップシーンを牽引する立場として責任を感じてます」と謝罪した。

愛知県はマスク着用徹底などを求めたが、当日は守られず

 会場のAichi Sky Expoは、愛知県所有の施設で、愛知国際会議展示場が運営会社になっている。  騒ぎを受けて、愛知県の大村秀章知事は、8月30日の会見で、事前に感染対策の徹底を呼びかけていたのに密状態で開催されたのは「極めて遺憾」だとして、今後は主催者による施設の利用を拒否することを明らかにした。  また、常滑市の伊藤辰矢市長も29日、事前に感染防止のルールを守るように働きかけていたとして、「皆さんの言う『ルールが守られていないのが事実なら』、私も腹立たしい」とツイッターで苦言を呈した。30日の市議会でも、冒頭のあいさつで触れたといい、「市民の努力を愚弄する悪質なイベント」だと主催者に抗議文を送ったことも明らかにした。  野外フェスについて、県の国際観光コンベンション課は30日、主催者に確認したところでは、日曜日はチケット購入者とスポンサー関係者で計約8000人が参加していたとJ-CASTニュースの取材に答えた。前日の土曜日もフェスが行われたが、アマチュアの大会だったため参加者は約1500人だったという。  県のルールでは、イベントの上限は5000人となっているが、チケットの販売は、まん延防止措置の発令前だったので、救済措置による国の基準内になるとした。  フェスの開催前には、密状態になる心配があったため、県と愛知国際会議展示場、主催者の3者で会合を持ち、主催者にヒアリングを行った。そこで、マスク着用の徹底、ソーシャルディスタンスの確保、飲酒の禁止を要請し、主催者もそれを約束した。しかし、当日には、規制されていない状態だったため、展示場を通じて主催者に約束の履行を促した。 「事前に確認したことが守られておらず、ハシゴを外された状態でした。お酒についても、SNS上の写真などを見ますと、会場で販売されていたのではと想定できます。こうしたことについて、本日抗議することにしました」  野外フェス後には、出演者の1人が名古屋市内のクラブでアフターパーティーの深夜イベントをしていたと指摘されている。この点については、「SNS上で見ただけですが、もし事実だとすると、速やかに帰宅することを求めるルールに違反していると思います」と話している。

主催者「結果として、認識の甘さがあった」

 主催者のオフィスキーフ(名古屋市)は、8月30日夕になって、公式サイトすべてを使って、「お詫びと経緯のご説明」とする謝罪文をアップした。開催の経緯については、次のように釈明した。 「今年の3月に開催を発表し、開催に向けて準備をしておりました。準備が進んでいく中、8月18日までの10日前までの時点で、今年の開催が可能な事、過度な飲酒でなければお酒の提供も可能という状態で愛知県から話を頂き、10日前から会場の設営に入りました。   そして、その日から常滑市が蔓延防止重点処置地域に指定され、人数制限が5000人へと縮小されました。その時点でチケット販売が5000枚を超えていた為、愛知県の指示に従い、8月20日でまずチケット販売を終了し、毎年行ってた(原文ママ)子供向けプロジェクトの中止を決めました。その時点で売れているチケット枚数に関しては入場可能という指示も同時に頂きました。この時点で酒類の販売の自粛要請も頂いていましたが一部キャンセルできない物を販売しますと愛知県担当者に報告をし、過度の飲酒にならない様、お一人様二杯までとし、アルコールはアルコールチケットで販売をし杯数の管理をしていました。   そして会場内の感染予防対策として、ソーシャルディスタンスステッカー、エリア外飲食の禁止、飲食時以外のマスク着用のお願いなど、イベント会場内でその期間できる範囲以内の対策を講じました。その後、8月27日イベントの前日に緊急事態宣言が愛知県に発令されてしまいました。イベント当日を翌日に迎え、全ての準備が終わっていたタイミングでした。そのタイミングでイベントを中止や延期にする事が物理的にできませんでした。   蔓延防止重点処置地域になった時点でチケットの販売を止めるという事がその時点でできる大きな対策の一つでした。   しかし、イベント当日は8000人を超える観客が来場し、ソーシャルディスタンスは守られず、常に密な状態になってしまいました。主催者側としてはアーティストの入れ替わりの全ての間にナレーション付きの注意喚起の説明を流し、会場のメイン大型画面には注意喚起として、(1)会場内は必ずマスクの着用をお願いします(2)お客様同士ソーシャルディスタンスをお守りください。(3)声を発しての鑑賞はご遠慮ください。(4)飲食などでマスクを外す際は声を発さないようにお願いします(5)飲食は決められたエリアでお願いします(6)体調が悪くなったら遠慮せず係員に申し出ください。(7)熱中症対策の為小まめな水分補給をお願いします。と言った文書を表示しナレーション付きでお客様に直接認知を促していました。また、フロア地面には1メートル間隔のソーシャルディスタンスシールも貼っていました。途中改善されない状況を重く捉え、司会からの強い注意喚起としてマスクをしないとイベントが中断になってしまうとの事も促してはいましたが、結果として、大規模な音楽イベントの感染予防対策に対する認識の甘さが全国の皆様に多大なご心配をかけてしまった事を心より深く反省致しております」 (J-CASTニュース編集部 野口博之)

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“受けたくない”理由ばかり、行列のできる会場ばかりのマスコミ報道…このままでは若者がワクチン接種に消極的に?

https://news.yahoo.co.jp/articles/5e0b69d0865f6077cf38dc88b7586d6877164ee4?page=1

2021/8/31(火) 16:43 ABEMA TIMES

 若者の新型コロナウイルスワクチン接種に関する報道をめぐり、政府の分科会メンバーでもある大阪大学大学院の大竹文雄教授(行動経済学)が26日朝、「この見出しのつけ方が、若者のワクチン接種率に大きな影響を与える可能性について報道機関は真剣に考えるべきだと思います」とツイートした。 【映像】接種率に悪影響?新聞見出しに専門家“苦言“大竹教授のツイート

 大竹教授が問題視したのは、東京都が公表した、20代では男性のおよそ6割、女性ではおよそ7割が接種に前向きな回答で、2割弱が否定的な回答だったとのアンケート結果についての報道。朝日新聞デジタルが『ワクチン、若年層の2割弱「接種しない」 都が調査結果』との見出しを付けた記事を配信。さらにYahoo!ニュースが『若年層の2割弱「接種しない」都』との見出しを付けたことだった。  一方、記事が配信された翌日、東京・渋谷に開設された予約のいらない若者向け接種会場には残暑の中、長蛇の列ができた。翌日には混雑緩和のため抽選券を配布するも倍率は6倍を超え、当選しなかった若者が肩を落とす様子などが連日盛んに報じられている。小池都知事

 こうした状況を受け、東京都の小池百合子知事は「若い人の2割弱がワクチンには否定的だというデータもあるが、一方でこれだけ多くの若い方々が会場に集まったということは、8割は逆にワクチン接種の意思があるとも理解がされるわけで、若い方々の接種意欲はきわめて高いということを示していると受け止めている」と話している。

■平石アナ「“分からない”と答えた2割の若者の気持ちも大切だ」

瓜生原氏

 SNSで拡散するネットニュースは記事の本文を読まない人も多く、見出しの力はとりわけ大きい。同志社大学ソーシャルマーケティング研究センター長の瓜生原葉子氏も「大竹先生のご指摘の通りだと思う」と話す。  「接種を受けるかどうか決められていない、もしくは接種したくないという人は不安を抱いていたり、(安全性に)確信を持てないでいたりする人だということが分かっている。人というのは恐怖、脅威の感覚から自己防衛的になりリスクを取らなくなりがちだということが先行研究などでも報告されているので、受けない人のことを強調しない方が良かったのではないか」。

 ともに20代であるBlackDiamondリーダーのあおちゃんペとテレビ朝日の田原萌々アナウンサーは「10人中2人は打たないという意向を固めているのかと知ったら、“じゃあいいかな”と思ってしまうかもしれない」、「打ちたいと思っている人がなぜ打とうと思ったのかを検証して発信すれば、より多くの人に打ってもらえるんじゃないかな」とそれぞれコメント。言い回しで変わる印象

 ジャーナリストの堀潤氏は「ジャーナリズムの悪い癖だが、権力の監視役であるということで、上手くいっていない点の方を見出しに付けがちだ。だから逆手に取った形で小池さんに“8割は打ちたいと言っている”と言われてしまう。ワクチンを受けようと思っている人のことよりも、受けようと思わない人の方にニュースバリューを見出した意味についてもっと説明するべきだし、確かに8月はこういう状況だが、9月、10月、11月と、どんな計画が立てられているのか、どうなっていくのかについての提案が見出しに取れるように変わっていくといいのではないか」。都のアンケート

 テレビ朝日の平石アナウンサーは「ワクチンを打つ・打たないの話は“ワクチン・ハラスメントだ”と言われかねないぐらいセンシティブな事柄になっている中で、見出しが与える影響は考えていかないといけない。打ちたいと思っている人たちの気持ちもきちんと伝えていくところも大事かもしれないし、実は小池さんも言った“2割は打ちたくないから8割は打ちたい”も気を付けるべきところで、“分からない”も2割いる。“イエス”か“ノー”かだけではなく、“分からない”と答えた人たちの思いも含めて見出しによって操られてしまう。そこも懸念すべき点だと思う」と指摘した。カンニング竹山

 カンニング竹山は「とある新聞社の人の話を聞いてびっくりしたのは、紙媒体が売れなくなってきたことでネットに記事を出す。しかしそこでは閲覧数を増やしてお金を入ってくるようにするしか生き残っていけない。そういう構図の中では、2割を出した方が多少はセンセーショナルになるということになる。しかしそれでは社会のことを考えていないんじゃないか、と言われてしまう。権力をチェックしなくてはいけないし、小池都知事が“8割”と言ったことに対しても記事を書かなくてはいけないと思う」と話した。

■堀氏「渋谷の行列はこうだ、とやって終わりにするのは寂しい」

接種会場は他にも

 都では渋谷以外にも接種会場を用意しているが、予約の方法も含め、そうした情報の報道が少ないとの意見もある。  瓜生原氏は行動変容の観点から「やはり若い人は“乗り遅れないように”と思ってしまう。特に商品ではなく生命に関わるような問題なので、それを助長しないことがとても大事だ。どこに行けば打つことができて、どこが空いているといったこともちゃんと提示していくことが大事ではないか」と指摘。  慶應義塾大学の若新雄純特任准教授は「批判するのであれば、何割が受けたくないではなく、受けたいと思っている人のうち、どれくらいがまだ受けられていないかとか、どれくらい予約が取りづらいかといったことも指摘すべきだと思う。もっと言えば数字だけではなくシステムの問題や、この地域はスムーズに予約ができているが、この地域はできていないなど、具体的な解決につながる指摘も必要だ」、カンニング竹山は「ラジオを聞いていると、接種センターの予約状況を説明している局がある。同じようなことを若者向けに対して説明していかないと、あのニュースの画だけでは、“やばい、俺も早く打ちたい”か、“面倒くさそうだな、でもどうせ打てないだろうからやめとくか”となってしまうと思う」と苦言を呈した。平石アナ

 平石アナウンサーは「テレビは“感情のメディア”だから、本当に行列の映像が大好きで、それこそスーパーから動物園からラーメン店から、放っておくとすぐそっちにワーっと走っていく。本当はそこにデータや解説が付いてこないと、実態はよく分からない。実際は他にも接種会場はあるし、若者が受けられるところもある」。堀氏

 堀氏は「僕が取材した中で非常に印象に残っている話が、自衛隊の大規模接種センターの受付の問題だ。当初、官邸はとにかく電話でやれと言っていた。しかしそのためには大規模なコールセンターではないと捌ききれないと、必死で押し返してインターネット予約にしたそうだ。見えている現象をパパっとそれっぽく取り上げたり、何となくアンケートを取って、その結果を現象に当てはめて紙芝居のように伝えたりするのがマスコミの役割ではないと思う。SNS上にも今回の行列のような映像がバーッとあふれているからこそ、そこに乗らず、舞台裏でどういう意思決定がされて、どこにエラーがあるのかをきっちり調査報道することが求められている。東京都内には各大学や企業による会場もあるわけだし、接種を促していくためにも、そうした情報の発信が大切になる。渋谷の行列はこうだ、とやって終わりにするのは寂しい」と訴えた。

■周囲の大人が不安に応えるべき

瓜生原氏による調査より

 こうしたメディア環境の中、周囲の大人たちは若者に対してどのように振る舞えばいいのだろうか。  瓜生原氏は前出の調査結果を引いて「私が学生を対象に行った調査によれば、4月9日~6月4日の間に、“自分が政策を立てる側だったとしたら、どうやって若者の感染を予防し、ワクチン接種を進めるか”を授業の中の課題にしてみた。そこで受け身、他人事だった問題が自分事になり、認識が大きく変わった。さらに6月4日~6月11日の頃になると、職域接種が報じられるようになり、不安が解消されたので受けてみたいと言う学生が増えてきた。自らコミットしてみること、あるいは不安に思っていることに大人が応えてくれたり、信頼できる人がいたりすることが大きな変化を生んだのではないかと思っている」と分析。若新氏

 大学生と接する機会がある若新氏は「確かにメディアは“他の世代と違って若者は打たないと言っている人が多い。それは権力の失策になるんじゃないか”という言い方をするためにネガティブな打ち出し方をしているのかもしれない。ただ、若い世代の判断に影響を与えるのは国に失策があったかどうかよりも、家庭の中、あるいは頼りにしている大人との会話だと思う。親世代が子どもとコロナやワクチンについて話せるよう仕向けていくということも大事だと思う」と指摘。「コロナ禍の1年半で、大人といっても誰を信じればいいのかと、信頼感が相当損なわれてしまったと思う。信頼できるリーダーが出てきて、私の責任の下、ここはこう大丈夫だからこうしてくれという人が出ないと、若者は何を信じていいか分からないとも思う」と話していた。

(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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「不織布マスクNG」ルールの音楽イベントにネット上で批判の声

https://news.yahoo.co.jp/articles/a874a05af1b6144da45a2518ae0764f5bda0141b

2021/8/28(土) 8:28 日刊スポーツ

8月27~29日に群馬県利根郡片品村のほたか牧場キャンプ場で開催される音楽イベント「GLOBAL ARK 2021 -The 10th Anniversary-」が設けた「不織布マスクNG」といったルールに対して、ネット上で批判の声が続出している。 【写真】太眉卒業の井上咲楽が小顔シルエットマスクを持つ 今年10周年を迎える同イベントは公式サイトにて、「おしゃれマスク」がドレスコードで、「不織布マスクはNG」と明記している。「マスクも昨今はファッションの一部。デザインマスク、手作りマスク、夏用冷感マスク・クールマスク、ネックゲイターなど、思いっきりカッコイイマスクをつけてマスクファッションを楽しみましょう」と来場者に呼びかけた。 公式サイトには不織布マスクをNGとする理由についても記載されており、「会場は野外であるため、換気が良く、イベントは長時間のため、この度のイベントに於いては不織布マスクではない方がいいと言うことに当てはまります」と持論を展開している。「マスク内部が蒸れやすいこともデメリットでしょう」「不織布マスクは使い捨てであり、落としたりすると誰のものか分からなくなります」「落ちてるマスクと言うのはあまり気分のいいものではありません」などと主張した。 なお、アルコールの販売は行わず、入場時の検温は実施するとのことで、感染防止対策を一切しないわけではない。しかし、イベントのフェイスブックページでは8月13日、「ひとり3本くらいまでなら持ち込みをOKとし、お酒は家飲み感覚で、テントやバンガロー内にてのみ飲酒をお楽しみ頂く形となります」と酒類の持ち込みを認める内容を投稿している。 上記のルールに対して、ネット上では「ありえない」という批判が続出。「出演者は誰も疑問に思わないのか」「屋外だからオッケー! みたいなの怖い」「今の時流としてはオシャレよりも防疫の方が上」といった声が寄せられている。

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新型コロナ陽性患者「医療代返せ!」 4時間居座り病院は返金

https://news.yahoo.co.jp/articles/6dbbc636e21d4a82769156146badd9b87cfab54d

2021/8/27(金) 19:46 FNNプライムオンライン

新型コロナウイルスと闘う医療機関で、診察をめぐり金銭トラブルが起きた。 東京都内にある「目黒の大鳥神社前クリニック」の防犯カメラの映像。 事の発端は、7月中旬。 都内のクリニックに、微熱とせきの症状を訴え、50代の男性が来院したことから始まった。 目黒の大鳥神社前クリニック・北村直人院長「(50代の男性には)、仮に新型(コロナ)だった場合、重症化する可能性もあるということから、採血かレントゲンかやっておきませんか? 保険でしますのでと言ったところ、自分は糖尿病もあるので、ぜひお願いしたいということだった」 この時、PCR検査や診察を受け、男性は診察料を支払って帰宅。 翌日、陽性が判明したため、男性に電話で伝えると、その数日後、自宅療養を終えた男性が、診察料の全額返済を求め病院に乗り込んできた。 目黒の大鳥神社前クリニック・北村院長「自分は“新型コロナ陽性”だったから、医療費がかからないはずなんだと。負担があったのはおかしいということを言い出して。PCR検査はお金がかからないが、診察料などは発生しますと言ったら、『そんな話は聞いていない』と言い出して」 定められた機関で行われたPCR検査の費用はかからないが、初診料などの自己負担分は、患者が支払うことが定められている。 しかし、男性は「全額返済しなければ帰らない」と、およそ4時間、病院に居座った。 この対応で、診察は、数時間にわたってストップ。 病院の待合室は、予約で訪れた患者であふれ、中には、診察を諦めて帰った人もいたという。 その後、警察が駆けつける事態に発展するが、男性が居座り続けたため、クリニックは、やむを得ず男性に全額返金したという。 しかし病院には、テレビを見た人から、「患者に対しての対応としてどうなのか」などの、心ないクレームも多数入っているという。 また、通常の業務に支障が出ているとして、直接の連絡を控えるよう、クリニックが呼びかける事態になっている。

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新型コロナの医療崩壊の元凶は開業医の不作為であり、政府は強い対策で臨むべきだ

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2021/8/27(金) 5:31 東洋経済オンライン

 新型コロナウイルス・デルタ株の流行で連日のように医療現場の窮状が伝えられている。医療提供体制の問題が指摘されながら拡大がなかなか進まない。 東京都は改正感染症法16条の2に基づき民間病院への協力を要請したが効果はあるのだろうか。何しろ、市井の多くの診療所やクリニックは1年半以上も「熱のある方は保健所へ連絡を」と張り紙したまま、頬かむりして新型コロナの診療に協力していない。勧告や名前の公表ぐらいでは効かないのではないか。

 また、大規模病院や療養施設への応援、在宅療養者へのオンラインによる診療支援といった程度では不十分だ。一般の診療所の開業医がインフルエンザの場合と同様に外来診療や往診に応じる体制を作る必要がある。一方で、分科会の医師の一部や知事などが主張する国民へのより強力な活動制限、ロックダウンなどはすべきでない。以下、説明したい。 ■感染力が強くなる一方、致死率は低下  まず、新型コロナの被害は第4波までと現状の第5波とでは大きく異なる。簡潔に言えば、新型コロナはより広まりやすくより死ににくい病気になりつつある。テレビや新聞の多くが新型コロナのデルタ株についてネガティブな材料ばかりを強調して報道しているが、データからは異なる姿が見えてくる。

 5月中旬をピークとする第4波についてデータを7日移動平均で見るとピーク時には感染者数(検査陽性者数)は6400人、死者数のピークは100人前後で推移した。これに対し、8月20日は感染者数は4倍の2.5万人に達し、その後も2.2~2.3万人で推移しているが、死者数は30~35人で推移し、陽性者数に対する死者数の比率は圧倒的に少なくなっている。下のグラフの山の大きさを見るとわかりやすい。したがって重症者の数は増加しているが比率でみると小さくなっているのだ。

 (外部配信先では図表を閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)  季節性インフルエンザが流行すると国内で1年間に1000万~1500万人が罹患し、約1万人が亡くなる(注)。ワクチンや治療薬にも限界があるからだが、ほかの病気と同様に外来診療を行っている。新型コロナもワクチンや重症化を防ぐ薬も揃いつつあるし、医療現場には換気や防護服など感染制御をしながら治療にあたって回復を促すノウハウが、積み上がってきている。つまり、インフルエンザ並みに診療できる条件が揃いつつある。

(注)インフルエンザの死者は2018に3325人、2019年に3575人なので新型コロナよりも大幅に少ないというコメントがまま見られるがこれはデータの背景を無視した誤りだ。新型コロナは陽性者の全部報告が義務づけられ、2020年6月18日以降は厚労省の事務連絡で検査陽性者の死はすべて新型コロナによる死と報告してよいことになり、過剰計上となっている。だが、インフルエンザの場合は患者が進んで診療を受け、かつ、ほかの疾患を抱えていた場合には医師による検死で確定されたものに限られる。国立感染症研究所では超過死亡概念でインフルエンザの死者年間約1万人と推計している。

■移動制限でも感染抑止はできず、経済を潰す  他方、こうした広まりやすいウイルスを人の移動制限で抑え込むのは困難だ。人の移動と感染拡大との連動性が失われていることもデータで確認できる。 人の移動制限は効果が薄いのに対して経済に及ぼす打撃が大きく、極めて非効率なのだ。諸外国のロックダウンも変異株がはやるたびに繰り返す羽目に陥っている。(参考記事「根拠なき緊急事態宣言はもはや人災でしかない」「日本とコロナ、改革すべきは医療制度と財政政策」)。

 感染症対策に携わる医師は、「個々人が半径2メートル以内の感染対策、すなわちマスク着用によって飛沫を浴びない、こまめな手洗い、換気をきっちり行うことの効果はとても高い。本来はそれさえできれば、人の移動を制限することは必要ない」と話す。  さらに、「子どもの感染が問題になっているが、10代以下の子どもは新型コロナで1人も死んでいない。しかし、季節性のインフルエンザでは乳幼児や10代以下の子どもたちが死ぬ。2019年にも65人が亡くなっている。子どもにとっては明らかに季節性インフルエンザのほうが怖い」という。

新型コロナの被害状況、人口比で見た感染者数、重症者数、死者数がかねて欧米よりも大幅に少ないのは周知のとおりだ。これは今も変わらない。一方、日本の人口当たり病床数はOECD(経済協力開発機構)諸国中で最多、医師数はやや少ないがアメリカとほぼ同程度だ。病床の総数は130万床、医師数は32万人である。(参考記事「起こるはずのない「医療崩壊」日本で起きる真因」「コロナ「医療逼迫」に「国民が我慢せよ」は筋違い」)

 ところが、足元で入院加療を要する患者が21万人、重症者は2000人にも満たない状況で、医療崩壊が起きるのは、新型コロナに対応できる病床数が少なく、診療に携わる医師が極端に少ないからだ。8月18日時点の報告で、新型コロナ向けにすぐに対応できる病床数として確保されているのは3万6314床、重症者用では5176床にすぎず、宿泊療養施設が3万8577室だ。日本の特徴は病院の81%が民間であり、また病床を持たない診療所も新型コロナ診療に携わっていないところが多い。

 対してEU(欧州連合)諸国では公的病院が66%である。そのうえで、すでに昨年から欧米先進国では新型コロナ患者の多くは自宅で療養し、外来診療・往診で治療を受け、悪化・重症化の兆しが出たら入院する形だ。日本で自宅療養が問題なのは、医師が診療せず不安なまま放置され、悪化したときには手遅れという状態になるからだ。多くが軽症で治るのだから外来診療や往診ができれば、状態に応じて入院やICUでの措置が決められるので対応がスムーズになる。

■開業医と勤務医の格差、歪んだ資源配分  日本の医療提供体制が特異なのには理由がある。戦後、地域医療を再建するため、開業医は優遇税制、診療報酬制度で保護された。そうした中で、日本医師会は資金力をつけ、その推挙する候補が議員になるといった形で、国政から市町村に至るまでの大きな政治的影響力を持つに至った。  他方、多くが救急医療を担う日本の公立病院の勤務体系は過酷で、これは今に始まったことではない。新型コロナの流行以前から問題視されていた。働き方改革で一般労働者の時間外労働は年間360時間まで、例外的な場合の上限が720時間となったが、大病院の救急救命医や研修医などは時間外労働の上限が年間1860時間で、これ自体が過労死レベルだ。実際にはこれを超えて働き、過労死や過労自殺に至るケースもある。

 このような状況なので、資金のある人は自分の勤務を自由に管理できる開業医を選び、その結果、開業医の数は余剰になり、ムダな検査、ムダな投薬で収益を確保し、経営を成り立たせようとする。日本の社会保障費の膨張の大きな要因の1つともなり、悪循環が続いている。  医療行政や政治にも詳しいピクテ投信投資顧問のエコノミスト、市川眞一シニア・フェローは「価格体系が間違っているので資源配分がゆがんでいる。地域の開業医が守られるように公定価格を付けてしまっているがゆえに、基幹病院の数が足りなくなり、新型コロナの医療逼迫・崩壊という事態にもつながっている。過酷な勤務をしている医師の賃金が上がらないのに、医療費のムダ遣いは増えている」と指摘する。

 ついでに言えば、診療報酬制度の引き下げには日本医師会が抵抗するため、薬価引き下げで帳尻を合わせることが多い。製薬会社が新薬を開発してもすぐにあまり儲からなくなるため、ワクチンや新薬を開発するインセンティブを下げてしまっているという実態もある。  日本医師会は医師たちを代表する位置づけとして、政府に対応しているが、実際には任意団体で32万人の医師のうち会員は17万人だ。うち開業医8万3000人、残りは勤務医や研修医だが、勤務医は医師会に入っていても忙しく医師会の活動などできないので、成功した開業医の利権団体になっている。つまりは新型コロナについては何の苦労もしていない医師たちを代弁する組織である。

 内部事情に詳しい医師は「東京都医師会の尾崎治夫会長は『医師会は任意加入団体だから会員に強制なんてできない。皆の意見を伝えるだけの団体だ』と言っている。それなら、医師の代表として政府との交渉の窓口になっているのはおかしいではないか」と憤る。 ■国難で動かない医師を公定価格で守り続けるのか  メディアの多くは新型コロナと闘う公立病院の医師・看護師たちの姿を取材して、これと対比して「国民の危機意識が低い」といった報道姿勢だ。こうした対立構造を演出しているのが、記者の取材に対し「国民の気の緩み」といった発言を繰り返す日本医師会の中川俊男会長をはじめとする幹部や政府の対策分科会の医師たちである点には注意が必要だ。

 その一方で、医師会や分科会はこの1年半、医療体制の拡充に本気で取り組まず、政府や自治体の「お願い」に対し追加手当ばかり要求してきた。民間病院や開業医の診療への参加は心あるごく一部の医師による自主的なものにとどまっている。民間経営とはいっても、公的インフラとして診療報酬で守られているのだから、パンデミック危機という国難で動かないのなら、今後も見据えて診療報酬制度の抜本的な見直しを行うべきだ。  大手メディアは専門家、専門家と持ち上げるが、「民間で診るのは無理」とできない理由をあげつらう人々が真のプロフェッショナルといえるのだろうか。また、いつまでこの逃げ口上を続けるつもりだろうか。どんな業界でもプロであればできるようにさまざまな連携や協力、工夫をこらして解決に努力するものだ。実際にそうしている医師も少ないが存在する。

 今年2月に新型コロナは法的に「新型インフルエンザ等感染症」として位置づけられ、感染症対策としては、国民の私権を最大限に制限できるようになった。ところが、新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長や知事たちはもっと制限できるよう法改正せよという。全体主義国家を目指せというのか。  学校の夏休みを延長せよという尾身氏の発言が注目されているが、たびたびの対面授業の削減は、将来を担う子どもたちの教育に禍根を残しうる。新型コロナのまん延防止の観点だけでは決められないことで違和感がある。このような事態を招いているのは、政府が決断力を持たずに、分科会に頼っているためだ。「政府が対策案を分科会に諮る、という状態は完全に役割が転倒している。野党も国会で尾身さんに答えさせるのがおかしい。官邸がまったく機能しなくなっている」とピクテの市川氏は指摘する。【2021年8月27日10時20分追記】尾身会長の発言部分に不正確な部分がありましたので、修正しました。

 本来、分科会はあくまでも感染症の専門家として政府に意見を具申する立場だ。新型コロナに対してどういう戦略を取るのかについては、感染症の専門家の意見のほかにも社会的、経済的、政治的なさまざまな観点の情報・意見からも総合的に考えて、政府、つまりは菅首相が最終的に決断すべきものだ。 ■医療のための国民ではなく、国民のための医療を  政府は新型コロナから逃げている医療従事者にもっと強い権限を行使するべきだ。医療関係者に医療の提供を要請する法律の条文としては、改正感染症法16条の2の他に、新型インフルエンザ等対策特別措置法31条もある。 この法律ではコロナ診療を、直接に法的拘束力を持って医療者に強制することができる。その不服従には行政処分を行うという運用もありうる。ちなみに、特措法の改正で今年2月には飲食・宿泊業者などを念頭に事業者が従わない場合の過料を定めた。

 一般の守られていない事業者を対象に、十分な補償もせずに素早く過料の規定を導入しておいて、なぜ、公的制度で守られている医師に強制力を働かせようとしないのか。特措法31条を抜かずの宝刀にしておかずに、その運用も検討するべきだ。「既得権益を打ち破る」と就任時に語った菅首相の政治力が問われる。

大崎 明子 :東洋経済 解説部コラムニスト

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「ワクチン打ちたいが打てない」「2回接種後の生活は…」都民アンケートで見えた“コロナ禍を生きる術”

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2021/8/27(金) 19:31 FNNプライムオンライン

新型コロナのワクチン接種に関する都民へのアンケート結果が26日、東京都から発表されました。この調査を行った東京都の「東京iCDC(東京感染症対策センター)」リスクコミュニケーションチームのリーダーで、政府の新型インフルエンザ等対策推進会議委員の奈良由美子放送大学教授に話を聞きました。 【画像】ワクチン接種についての都民アンケートの詳細を見る

国や自治体に伝えてほしい3つの情報

ーー現在の感染状況をどうみていますか 「爆発的な感染拡大」「災害級の」とも表現されるような感染状況のなか、自宅療養を余儀なくされるかたが増えるなど、不安を感じているかたも多いと思います。こういう状況において、国や自治体、専門機関には、実効性のあるリスク管理を行うとともに、3つの情報を送ってほしいと思います。 1つはリスクの特性や大きさの客観的な分析情報、2つめはリスク管理機関がとっている・とろうとしている具体的な対策・対処方針に関する情報、そして3つめはリスクを小さくするために個人がとりうる対策についての情報です。この3つをセットで出すことが大切です。 とくにリスク管理に関する情報は重要です。ひとは、それまで意識していなかったリスクについてただ知らされるだけでは、不安が高まったままになるからです。恐怖だけを喚起されても思考停止に陥ることもあります。個人が何をできるかを知り、自分ならできると信じて実行することは、リスクを客観的に小さくするだけでなく、不安を小さくすることにもつながります。 リスクを完全にゼロにすることはできません。しかし、段階的に小さくすることは可能です。個人のレベルで言えば、まずは、マスク着用や密を避けるなど、基本的な感染予防の徹底することですね。そしてもし自分が感染して自宅療養者になったら、あるいは家族がそうなったら、と想定して、自然災害に備えるのと同じように準備をしておくことも、現在の深刻な感染状況のなかでは必要だと思います。 例えば体温計やパルスオキシメーター、経口補水液、レトルトのおかゆ等を準備しておく。医療機関や緊急連絡先をあらかじめ確認しておく。また、感染しないためには・感染した場合にはどうするかを家族で話し合っておくことも重要です。症状変化の際の対応や家庭内感染の防止策等について、厚労省や東京iCDCといった機関が自宅療養に関する留意事項やハンドブックを発信していますので、そういった情報にあらかじめ目を通しておくことも有効だと思います。   ーー政府に求めたいことは 「人はコミュニケーションせずにいられない」という言葉があります。明確な言語によるメッセージだけからでなく、表情、仕草、身につけているもの、ふるまい、ある行動をとった(とらなかった)などからも、相手は実に多くのメッセージを受け取っているのです。その意味で、コロナ対策についての明確なビジョン、ポリシーを伝えてきれていない政府のコミュニケーションには問題があると言わざるを得ないと思います。 例えば、「なんとしても感染拡大を抑える」との言語メッセージを送りながら、昨年はGo To トラベル、今年はオリンピックがありました。これに対しては、「災害級の感染状況と言うならば東京は被災地ということになり、そこで大イベントをするというのは、いったいどういうことなのか」「感染拡大防止のためだからと国民には外出の自粛を求めているのに、国境を越えての人流をうむというのは、どういうことなのか」といった声が、国民から多く聞かれます。つまり、国民は矛盾するメッセージを受け取っているということです。 研究活動の一環として、2020年4月から全国の市民のかたがたと対話型ワークショップを続けています。国や行政のコロナ対策をめぐっては、市民の皆さんから一貫して語られる言葉が3つあります。それは、『ビジョン』『エビデンス』『サポート』です。 このうち『エビデンス』については、「緊急事態宣言の発令や解除の判断の根拠が分からない」「飲食店への時短協力要請の根拠が知りたい」「オリンピック開催の判断根拠が分からない」「調べてみると、基準があることが分かった」など評価できないという声と少ないですが評価できるという声があります。 また、『サポート』についても、「経済的な補償がほしい・足りない」「補償してもらって助かった」「情報提供の支援が足りない」「あって良かった」と、両方の受け止めがありました。 しかし、『ビジョン』については、評価できるという受け止めは見られません。「政府のビジョンが見えない」「どのようなポリシーでコロナ対策を行おうとしているのかが分からない」「場当たり的に感じられる」「迷走している」といったような声ばかりです。 日本はどのようなビジョンを持ち、どのようなポリシーでコロナに向かいあうのか。これを早い段階で明確に打ち出し、国民と共有しておくべきだったと思います。さらには、そのメッセージと一致した施策を打ち続けることが重要でした。むろん、未知のウイルスを相手にして、時々刻々と状況が変わるなかでは、施策の内容、場合によってはポリシー自体の修正が必要なこともあるでしょう。しかしその場合でも、修正の根拠・エビデンスを示すべきです。 ニュージーランドや台湾は感染流行初期からコロナを押さえ込むポリシーを国民にメッセージとして発信し、そのメッセージと整合した施策がとられてきました。たとえわずかでも感染者が出るとロックダウンしますが、ポリシーが国民と共有されているため、すぐに実行できます。 一方、ゼロ・コロナ政策の是非は別として日本はそこにぶれがあるので、緊急事態宣言が出ても実効性のある施策としては機能しきれていません。言っていることとやっていることが違うから国民は戸惑い、反発さえ生じます。さらに深刻なのは、このようなことが繰り返されるなかで次第に信頼が失われていっていることです。いずれ新型コロナが収束して社会を立て直すときに一番必要なことは人々の信頼です。 ーーメディアの発信について 感染流行が長く続き閉塞感のあるなかでは明るいニュースがあることは大切で、その観点からオリンピックでの選手の活躍ぶりが報道されたことは良かったと思います。ただ、それまでの感染を伝えてきた内容や報道量から一変した手のひら返しの印象がありました。オリンピックの最中も感染状況や医療体制は悪化を続け、深刻化していましたので、そうした状況を、例えばL字画面などを活用して伝えてほしかったです。 それから、若者の路上飲みを盛んに取り上げていましたが、実態としては、自粛をしている若者のほうが多いのです。東京iCDCが行ったアンケート調査でも20代30代の若年層の約9割はマスクをし、8~9割は密を避け、7~8割は家族以外との会食をひかえるなどして自粛生活を送っています。 これは若い世代だけではありません。居酒屋で大人数でお酒を飲んでいる40代50代の人たちのの映像もそうですが、実際には会食を控えているかたが多い。自宅で食事をしている姿は、絵としては地味かもしれませんが、どれもこれも、このコロナ禍のなかでの現実の姿であって、世の中では起きていることをバランスよく伝えてほしいと思います。

感染症パンデミックは「螺旋」状に推移する災害

ーーコロナ禍の学生の状況は 4年間の大学生活のうち、2年近くがコロナ禍での自粛生活で占められてしまっています。オンライン授業でキャンパスにも行けない、アルバイトもできないという学生が多くいます。実際、全国大学生協連が行った調査では特に新入生が感じているのは「孤独」でした。また、経済的にも厳しい状況になっている学生も増えています。ひとりで抱え込まずに専門機関や周囲の人に助けを求めてほしい。 さきほども述べたように、ほとんどの若い人は感染防止対策を続けています。コロナのパンデミックを乗り越えるために、大切な役割を果たしています。若い人たちが社会貢献への徒労感や政治に不信を抱えたまま社会に出ることは将来の大きな不安要素になりえます。若い人を感染拡大の加害者のように扱うのではなく、感染防止への感謝やねぎらいの言葉を伝えたいと思います。 一方で若い人はレジリエント(しなやかな強さ)でもあります。「僕たちは大学に入ってからずっとこうで、これしか知らない。この生活の中で楽しみを見つける」という学生もいます。コロナが収束したあと、若い人たちのこうしたしなやかな強さが社会を作っていくのだと思います。   ーー今後の感染状況は わたしは感染症学の専門家ではないので詳細なことは答えられませんが、しかし、おそらくは収束までにはまだ時間がかかるでしょうし、「災害」と呼ばれているような状況もすぐには終わらないと思います。感染拡大は全国規模になっていて、病床が逼迫するなか、患者の広域搬送を試みてもどこも受け入れが困難になっているなど、もはや広域災害の様相をみせています。 そもそも、感染症パンデミックは「災害」です。国連防災機関 (UNDRR)は、生物学的ハザードによる感染症パンデミックを、災害として明確に位置づけています。 自然災害は、発生から救出活動、避難所や仮設住宅の設置、復旧、復興と「直線」状に推移していきます。いっぽう感染症パンデミックは感染が拡大したりおさまったりが繰り返される「螺旋(らせん)」状に推移する災害です。誰もが長期に渡って疲弊することになります。 市民からは「せっかく私たちがここまで自粛して時間稼ぎしたのに」という声を聞きます。「時間稼ぎをしているあいだに、政府は有事に対応できる医療システムの検討やロックダウンを行う場合の法整備をしてくれると思っていた。だけど、しなかった」という声です。 「これまでに、誰が、何をすべきだったのに何ができなかったのか」については、検証したうえで今後の教訓として次のパンデミックに活かしていかなければなりません。それとともに待ったなしの深刻な感染状況下にあって、今からでもできる何かを行うには「今」がもっとも早いタイミングです。「公」と「私」それぞれがなすべきことをただちに行うことが必要だと思います。

「ワクチン接種に関する都民アンケート調査結果」

続いて、東京iCDCリスクコミュニケーションチームが行ったワクチン接種に関する都民アンケートの調査結果についても設問ごとに話を聞きました。 (調査:東京都に住所を有する20代から70代までの人にインターネット調査 調査期間:2021年7月16日~7月17日) Q1 あなたは新型コロナワクチン接種を受けようと思いますか 全体の8割が、すでに接種したあるいはこれから接種する、と答えています。20代30代の層でも接種済み・接種したいという人が60~75%います。接種しない人をどうするかという議論も大事ですが、まずは、接種したいけれど予約が取れないという状況の改善が必要です。 Q2 ワクチン接種を受けない理由 接種を受けない理由は「副反応が心配」「健康被害が心配」「効果に疑問」が上位です。これらはどの年代、性別でも多く選ばれていますが、年代があがるにつれて、また女性のほうが、これらを理由に接種しない・接種を迷う傾向が強くなっています。 「注射の痛みがいや」「手続きがめんどう・分からない」「外出がめんどう・時間がない」、また「自分は重症化しない」といった理由は、男性で比較的多く見られます。とくに「感染しても自分は重症化しない」は、20代男性に顕著に多くなっています。デルタ株の置き換わりで若年層でも重症化するリスクが高まっているという客観的事実を伝えていくことが重要です。 ワクチン接種では、効果、副反応を含め、ワクチンに関する知識を得ながら、ご本人が納得して判断することが大切です。ですから、年代、性別に対応しながら、接種に関する意思決定を支援することができるような情報を発信したりしくみを整えたりすることが必要です。また、受けやすい時間や場所で接種できる環境をつくること、予約しやすいしくみを整えることも求められます。 Q5 現在のコロナ対策 マスク着用や手指衛生などしている割合は9割を超えていますが、日中・夜間の外出を控える、県境をまたぐ移動を控えるなどは3月に実施した調査よりも1割程度実施割合が減っています。 自粛が長引くなかで、都民のみなさんが苦労されていることがうかがえます。しかし、感染性の高いデルタ株に置き換わり、その影響があるなかでは、もうしばらく、感染対策を徹底することが必要となりそうです。 Q3 2回接種後の行動はどうなるか マスク、手洗い、換気など8割前後が「変わらない」としていますが、「減る」との回答も5%程度見られます。 家族以外との飲食、日中の外出、県境をまたぐ移動、これらが「増える」とした回答は2割を超えています。ワクチン接種を済ませたら、こうしたことをしよう・できると、楽しみにされています。 ただ、ワクチン接種を終えても、感染リスクはゼロにはなりません。実際、ブレークスルー感染(ワクチン接種後の感染)も世界で確認されていて、基本的な感染予防策を続けることが必要です。 不自由な生活が続く中、QOL(クオリティ オブ ライフ 生活の質)は確かに下がっています。それでも、ライフ=命を守ることが大前提で、ワクチン接種で重傷化・死亡のリスクが下がることはとても大きいことです。 Q4 ワクチンについての考え方 自分や社会のリスクを下げるためにワクチンを打つべきという回答が7割となっています。それとともに、「接種は個人の判断にもとづくべき」「接種できない/しない人を差別してはいけない」と考える人も8割にのぼり、多くのひとがワクチン接種に関する自己決定権を尊重している傾向もうかがえます。 ワクチン接種のインセンティブについては、受け入れやすいものとそうでないものがあることが分かりました。ワクチンを接種した人だけが参加できる飲み会やイベントのようなワクチン未接種者に不利益をもたらすようなインセンティブは、人々は受け入れにくい。 一方、ポイント付与やお見舞いのように利益を分かち合えるようなものについては、比較的、人々は受け入れやすいと言えます。 ワクチンが有効なリスク管理手段であることは間違いありません。社会のなかで接種をどのように進めるのか、これも大きなビジョンをもってコロナ対策のポリシーのもとに位置づくべきものだと思います。

取材を終えて

きょう(27日)から、東京・渋谷では若者向けの予約不要のワクチン接種が始まりましたが、昨夜から行列ができ午前7時半に受付終了になりました。接種に来た若者は「自分たちはワクチンを打たないのではなく打てないんだ」と話していましたが、まさに今回のアンケート結果を物語るものでした。 奈良教授は柔らかな語り口で、災害レベルといわれるこのパンデミックをどう受け止めて、どう乗り越えるのかについてこたえてもらいましたが、そこにはコロナ禍を生きる多くのヒントがあると思います。

  【執筆:フジテレビ報道局 解説委員室室長 青木良樹】 

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政府の「万策尽きた」に違和感 感染症の専門家らが共同声明

https://news.yahoo.co.jp/articles/31440feb198544f6a12487abaa7d8d231780e130

2021/8/27(金) 19:34 毎日新聞

 国内の感染症や物理学の専門家ら科学者約40人が共同で、新型コロナウイルス対策として政府や自治体に対し、感染予防効果の高い不織布マスクの着用を国民に促すことや、適切な換気方法を周知することを求める声明を発表した。代表者の本堂毅・東北大准教授(臨床環境医学)は27日、記者会見を開き「自粛や行動変容だけが感染対策ではない。専門家の知見が十分活用されていないのに、政府や自治体が『万策尽きた』と言うのは違和感がある」と訴えた。 【承認ワクチン3社】接種間隔や年齢、有効性の違い  声明は、空気中に漂う微粒子のエアロゾルが新型コロナの主要な感染経路だと最新の研究から明らかになっていることを指摘する一方、「ウレタン製や布製マスクでは、エアロゾルの吸入阻止に無力だ」と主張。海外ではウレタン製マスクが禁止されている国があることを挙げ、日本でも国や自治体が法的制度を整えたりすることで、不織布製のように高い感染予防効果のあるマスクの着用を国民に促すよう求めた。  屋内ではエアロゾルが長時間、空気中に滞留するが、1時間に2回程度の短時間の窓開けでは十分な換気ができないことや、冷暖房の効果を保つために窓開けすらされていない店舗があることも指摘。人が集まる狭い密閉空間では、空気清浄機や、室温を保ったまま換気できる熱交換換気を活用して、適切に換気をするよう国民に促すことを、国や自治体に求めた。  その上で、声明は「人と人の交わりの場で実効性のある対策がとられれば、必ずしも感染は広がらない」として、人の動きの抑制やロックダウン(都市封鎖)の議論をする前に「効果の明らかな基本(の対策)が徹底されるための措置を速やかに実施すべきだ」と主張した。27日の会見に同席した、医師で法学者の米村滋人・東京大教授は「日本では科学的に合理的な感染症対策が行われているのだろうか」と疑問を投げかけた。

【小川祐希】

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日本のお粗末なコロナ対策の犯人は誰なのか

https://news.yahoo.co.jp/articles/4d26f46c521b33cd7539c6b060f726cf46e3005d

2021/8/28(土) 15:04 Newsweek

政府が悪いと言いたくなるがそれは思考停止。どこがどう悪いのかを知り改善できることを検討せよ【河東哲夫(本誌コラムニスト・元外交官)】

財務省も悪気があって支出を渋っているのではないが YURIKO NAKAOーREUTERS

新型コロナ禍での東京パラリンピックが始まった。外国の選手や役員に感染が続発したら病床を確保できるのか? その時の通訳はどうする? ボランティアに生命の危険を冒させるのか──。 【画像】自衛隊機が撮影した沖縄空域飛行の中国機と飛行ルート 思考が麻痺、あるいはIPC(国際パラリンピック委員会)にろくにものを言えないから、危ないと分かっていてもそのまま突っ込む神風パラリンピック。「政府が悪い」と言いたくなるのだが、それもまた別の形の思考麻痺だ。 民主主義の歴史が浅い日本では政府と言えば「お上」か「敵」かの両極端で、自分たちがつくったもの・使うものという意識が足りない。コロナ対策についても、政府のどこがどう悪いのかを調べないと問題の解決にはつながらない。 まず、政府のやることはどうしてこんなにのろく、生ぬるいのか。政府、つまり各省庁の手は、大きく言って法律と予算に縛られている。戦前の専制政治を繰り返さないため、戦後の政府はその力を大きく制約されている。 感染症でロックダウン(都市封鎖)でもしようものなら、それを正当化する憲法・法律の条項がないために、政府は補償要求の訴訟で負け続けるだろう。 そして現在の法律の限られた範囲で緊急事態を宣言しても、それは飲食店への休業補償金支給などを意味するから、中央と地方の財政をつかさどる財務省と総務省の了承を得なければならない。 だが国の予算は使途がきっちり決まっているので年度の途中には出しようもなく、特別立法で補正予算でも取っておかないと迅速・柔軟な対応はできない。仮に予算が確保されても実際に支出するにはゴマンという資料を作って財務省を説得しなければならない。緊急事態も首相の一存ですぐ宣言、というわけにはいかないのである。 財務省も悪気があって支出を渋っているわけではない。二言目には財政黒字化の必要性を叫ぶ財務省ですら、実際には一般会計の歳出約107兆円の約41%を国債発行で調達しているのが実情だ。 今回のコロナ禍で病床も医師も不足する足りないづくしになったのは、戦後、結核を撲滅したからと言って感染症に対処する体制、つまり隔離病棟や全国の保健所をミニマムにまで縮小してきたためだ。 その犯人は予算を削った財務省と言いたくなるのだが、それもまた財務省には酷な話だと思う。筆者も、膨れ上がる一方の医療費を賄うためには不要な歳出の整理が必要だと思っていたし、それは日本の社会がほぼ一致して認めてきたところだろう。

「一億総ざんげ」するしかないのか?

となると、お粗末なコロナ対策に特定の犯人はおらず、社会全体の責任、一億総ざんげすべし、ということになる。だが、それではらちが明かない。今の体制の中で変えられるところを早急に変えていくのが、政府の腕の見せどころなのだ。 例えば、感染症病棟や集中治療病床に瞬時に衣替えできる医療施設を確保する、機器購入など必要な費用に助成金を出す、などだ。 ニュースを見ていると、保健所が患者や病院との連絡で修羅場になっているが、「有事」に保健所の人員を速やかに確保するためには、医師・看護師・職員のOBを「予備役」としてプールしておく。そして開業医も有事の「予備役」としてネットワーク化しておく。平時の患者を周囲の病院にカルテ付きで委任して、開業医自身は大病院で感染症患者の診療に当たれるように研修もしておく。 これらは既に一部着手されているが、そこまで来るのに1年以上もかかっている。このスピード感のなさ……。だからやっぱり「悪いのは政府!」だろうか。