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「ワクチン2回」の表現はハラスメントか? 岩田健太郎氏がSNS上の論争に持論

https://news.yahoo.co.jp/articles/e4a99b20ad5a614abeae1ddf3e852e2e622bb1fd

2021/8/23(月) 17:06 東スポWEB

 神戸大学教授で感染症の専門家である岩田健太郎氏が23日、ツイッターを更新。ネットで繰り広げられているフルチン論争に見解を示した。 【写真】UFOからコロナ予防策レクチャーか  ネット上では新型コロナウイルスのワクチン接種を2回済ませて2週間経った状態のことを「フルチン」と表現することがはやっているが、それに対して「セクハラじゃないか」と不快に思う声も上がっている。2回のワクチン接種を済ませたことを英語で〝fully vaccinated〟ということから、略してフルチンになっている。  ツイッターで「フルチン」と検索すれば、「あと2週間でフルチンやで」「明日2回目うつからフルチンになれるわ」「私がフルチンになるのはおそらく10月」などがいっぱい出てくる。たくさんの人がためらいなくフルチンと使っていることが分かる。  この表現がセクハラか否かのフルチン論争に岩田氏が持論をツイート。「ダーティワードを不快に思うのは個人の自由。が、その言葉が誰かを対象に使われたり、使わせたりしないのであればハラスメントではない。誰の誰に対するハラスメントなのか」「フルチンが不快なら、『これからは私の前でそれ言わないで』といえばいいだけの話。SNSで使うのは個人の自由。不快に思うのも個人の自由」などと連投した。  もし自分がフルチン状態になったとしても、公の場では気を付けた方がいいのかもしれない。

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副反応?コロナ?症状だけで区別困難…感染した医師

https://news.yahoo.co.jp/articles/a28dd0a94c9d2358ab73b29b2601cb80284b28dd

2021/8/24(火) 18:34 テレ朝NEWS

 新型コロナウイルスのワクチン接種が進むなか、「新たな問題」も起きているようです。ワクチンの副反応かそれともコロナの症状か判断が難しいと実際に感染した医師が警鐘を鳴らしています。  23日に公表された政府の集計。新型コロナのワクチン接種で、2回の接種終えた人が、全国民の4割を超えました。  23日からは大阪や埼玉で、アストラゼネカ製ワクチンの接種も始まり、今後も接種の加速が期待されますが、接種後の発熱に関して、厚生労働省は「ワクチンを受けた後、2日間以上、熱が続く場合や症状が重い場合、医療機関等への受診や相談をご検討下さい」と呼び掛けています。  コロナ感染の発熱を接種後の副反応と思い込み、受診を控えてしまう恐れがあるというのです。  国立病院機構本部DMAT事務局・小早川義貴医師:「僕の場合も熱と倦怠(けんたい)感だけだったので、そうなると(判別するのは)難しいですね」  災害派遣医療チームとして、「ダイヤモンド・プリンセス」などの対応にもあたった小早川医師は、5月、1回目のワクチンを接種。その日の夜から熱が出たといいます。  国立病院機構本部DMAT事務局・小早川義貴医師:「当然、1回目の後だったので、僕の周りの医師たちも『副作用でしょ』みたいな感じだったので、そう言われると副作用かなという気にもなって」  ところが翌日も、熱は38度を超えていました。  国立病院機構本部DMAT事務局・小早川義貴医師:「(接種翌日の)夕方にくしゃみとか鼻水が出てきたので、ワクチンだと気道症状は出にくいのは知っていたので、コロナっぽいかなと思った」  その後も熱は下がらず、医療機関で検査を受けると、新型コロナウイルスの感染が確認され、16日間の入院。  国立病院機構本部DMAT事務局・小早川義貴医師:「なかなか症状だけで区別は難しいので、それはPCRしないと分らないので、副作用以外も考えて対処した方がいい」  一方で、家族への感染はありませんでした。  国立病院機構本部DMAT事務局・小早川義貴医師:「(接種後)体調が悪ければ、仮に副反応だとすれば2日間くらいで収まるので(家族とスペースを)分けておけば間違いない」

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ワクチン接種に関するチチパスの持論、母国ギリシャ政府が怒り

https://news.yahoo.co.jp/articles/b1a8199b833d244bacb15ece9da5f090eac9a499

2021/8/20(金) 10:08 JIJI.COM AFP BB news

【AFP=時事】ギリシャ政府は19日、同国を代表する男子テニス選手のステファノス・チチパスStefanos Tsitsipas)が、新型コロナウイルスのワクチンを接種するのはツアーで義務化された場合のみと発言したことについて批判した。 【写真特集】コートの外のテニス選手~試合中とは違う表情  世界ランキング3位のスター選手であるチチパスについて、ギリシャの政府報道官は記者会見で「彼にはワクチン接種に関する選択肢を自分で構築するための知識もなければ、学習やリサーチなどの作業もしていない」と指摘すると、「彼は偉大なアスリートだ。しかしながら、ワクチンの必要性やワクチンが臨床試験に十分な時間をかけていることを評価する能力に関しては危うい」との認識を示した。  米シンシナティ(Cincinnati)で今週開幕したウェスタン&サザンオープン(Western & Southern Open 2021)に出場しているチチパスは先日、まだ新型コロナワクチンを打っていないと明かし、「ワクチン接種が必須事項とは誰からも言われていない。いずれ打たなければならないのは十分に承知の上だが、これまでのところツアーに出場する上では義務化されていないから、まだ打っていない」と語った。  また「自分は若く、25歳以下のカテゴリーだ。ワクチンの臨床試験はまだ十分ではなく、未知のものだと思っている。副反応も出ている」としつつ、「知り合いで打った人も何人かいるのは分かっていて、別に反対してはいない。ただ、自分たちの年代としては、接種の必要がある理由は何も見当たらない」と主張。  そして、誰も打つことを強制されるべきではないと付け加え、「自分としては、改良型のワクチンが製造され、リスクを上回るメリットをもたらしてくれるのを望んでいる」と話した。  今年の全仏オープン(French Open 2021)で準優勝を果たしたチチパスのこうした発言を受け、報道官は「他の分野においても優れた存在感やパフォーマンスを発揮することができ、幅広いソーシャルグループにとって考え方の基準になるような人物が、このような見解を示すときには二重の注意を払うべきだ」と述べた。【翻訳編集】 AFPBB News

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高校生のワクチンに対する誤解に驚いた…!若い世代の「ワクチン不信」の根にあるもの

2021/8/4(水) 7:02 現代ビジネス

 「新型コロナワクチンも、HPVワクチンのようにあとから危険と分かったらと心配」  先日、高校で子宮頸がんなどを予防するためのHPVワクチンに関する授業を行った際、事前のアンケートである生徒のそんなコメントを目にしたという、産婦人科専門医の稲葉可奈子さん。この生徒に限らず、誤解によりワクチンに対して不安を抱いている若者は少なくないという。新型コロナワクチンとHPVワクチンに関する知識を広める活動を行う稲葉さんに、日本の若い世代に「ワクチン不信」が起こる背景について解説してもらった。※以下、稲葉さんによる寄稿。 【漫画を読む】セックスのとき、「女性の体内」で何が起きているのか ———- 【稲葉 可奈子(いなば かなこ) プロフィール】 産婦人科専門医・医学博士。みんパピ! みんなで知ろうHPVプロジェクト代表、コロワくんサポーターズ、予防医療普及協会顧問、メディカルフェムテックコンソーシアム副代表。京都大学医学部卒業後、東京大学大学院で博士号取得。現在は関東中央病院産婦人科勤務、4児の母。 子宮頸がんの予防や性教育など、正しい知識の効果的な発信を模索中。 ———-

若い世代ほどワクチン接種に消極的

〔PHOTO〕Getty Images

 新型コロナウイルス感染症の第5波真っただ中ですが、新型コロナワクチンの接種も着々と進んできています。2021年8月2日時点で5,116万人以上、人口のおよそ4割が1回目の接種を終えています(首相官邸の情報より)。ワクチンの供給不足が報じられていますが、それはワクチン接種が順調に進んでいることの裏返しでもあります。  自粛生活に限界を迎えつつある中で、感染を抑えつつ生活を元に戻していくための希望の光がワクチンです。医療従事者からはじまったワクチン接種は、高齢者や基礎疾患のある人に続き、基礎疾患のない若い世代へと接種が進んできています。  一方で、いくつかの研究や調査(※1)により、若い世代ほどコロナワクチンを接種したくない割合が多いことが明らかとなっています。また、30~40代を主とする1,438人の男女を対象にした意識調査(※2)によると、自身の子どもへのワクチン接種について17%が接種させたくない、29%はわからない、と回答しています。自身や子どもへの新型コロナワクチン接種をためらう理由として多いのは、いずれの調査においても「副反応や安全性への懸念」です。  現状はワクチンの需要に供給が追いついておらず、接種したい人がまだ接種しきれていない状況ですが、接種が先行している他国の状況をみても、いずれ接種率が頭打ちとなることが予想されます。 接種しない人の中には、強い信念をもって「接種したくない」という人と、「よくわからないしなんとなく不安なのでまだ様子をみたい」と接種を躊躇される人とがいます。  この傾向は、新型コロナワクチンに限った話ではなく、HPVワクチンでも同様です。  わたしは産婦人科医なので、HPVワクチンの説明をする機会も多いのですが、「なんとなく不安」な人というのは、正確な情報が届いていないため判断材料がない、もしくは、自分で調べてもネットにはあまりに多くの情報が氾濫しており、どれを信じてよいか分からない(往々にして不安な情報の方が印象に残ります)ため、判断しきれないまま接種をためらっています。  そういう人の中には、かかりつけ医に質問し、正確な医学情報に基づいた説明を受けることで不安が払拭される人もいますが、医師に質問する機会がない人もいます。

接種率が70%から0.6%に落ちたHPVワクチン

 ここで少し、HPVワクチンについて簡単に説明します。 ———- ・HPVワクチンは、HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染を予防するためのワクチン ・HPVは子宮頸がんや中咽頭がん、肛門がんなど、いくつかのがんや尖圭コンジローマの原因となるウイルス ・子宮頸がんは30代後半から40代に多く、その9割が子宮摘出などの治療が必要となるため、ワクチンとがん検診による予防が非常に重要 ・2013年にHPVワクチンは定期予防接種化され、小6~高1の女子は無料で接種できる ・定期予防接種化された直後、副反応を疑う症状が大きく報道され、厚労省はいったん積極的勧奨を差し控えた ・その後の国内外の研究により、安全性とさらなる有効性のエビデンスが蓄積されているにもかかわらず、積極的勧奨は差し控えられたまま ・当初約70%あった接種率が、積極的勧奨差し控えにより0.6%にまで低下し丸8年が経過 ———-  その間、通知が届かなかったためにHPVワクチンを無料で接種できることを知らずに接種の機会を逃してしまった人も多数います。 ようやく2020年10月に自治体から通知をだすように厚労省が通達を出したことで、個別通知を送る自治体が増え、少しずつ接種者数が増えてきていますが、世界的にみたらまだまだ接種率は非常に低いです。

公的機関、マスメディアによる発信の責任の重さ

 予防できる病気である子宮頸がんを予防する機会を逃している人が多くいる状況を見過ごすことができず、積極的勧奨が差し控えられたままでも、まずはみんなに知ってもらえたらと、2020年に「みんなで知ろうHPVプロジェクト」を専門家有志で立ち上げました。  かかりつけ医である小児科や学校現場を通して情報提供するサポートをしたり、接種対象者やその保護者向けにマンガや動画、ゲーム、クイズなどのコンテンツを制作しています。その活動の中で感じているのは、  ・8年前の報道が強く印象に残ったまま、その後、HPVワクチンについての報道を聞かないので、そのままなのだと思っていた、という人が少なからずいる  ・マスコミも、厚労省が積極的勧奨を差し控えたままの状況でどこまで安全性や有効性を報じてよいか悩ましく思っている  ・自治体や学校も、厚労省が積極的勧奨を差し控えたままの状況でどこまで情報提供してよいのか戸惑っている  ということです。  HPVワクチンについて知らなかった、もしくは、なんとなく不安に思っていた人に、正確な情報提供をすると、  ・知っていたら無料で接種したかった  ・こういうの学校で教えてくれたらいいのに  という声が多数届きます。

HPVワクチンの不安が新型コロナワクチンにも波及

〔PHOTO〕iStock

 啓発活動の一環で先日、高校生にHPVワクチンについての話をしました。  「有害事象」と「副反応」の違いについて、コロナワクチンを例にとりながら説明をすると、HPVワクチンについてもコロナワクチンについても、非常によく理解してもらえました。接種したあとに起こったあらゆるよくない事象を「有害事象」といい、ワクチンとの因果関係があるものもないものも全て含まれます。そのうち、ワクチン接種との因果関係があるものを「副反応」といいます。  「新型コロナワクチンの接種後に〇人死亡」という報道は、あくまで有害事象であって、因果関係があるかどうかについてまでは言及していません。同様に、過去にHPVワクチンの副反応と疑われた症状も、あくまで有害事象であって、それが副反応かどうかについては検証が必要です。HPVワクチンの場合、研究の結果、当時報道された有害事象とHPVワクチンには因果関係があるとはいえない、ということが分かったので、ほかの予防接種と比べて特別に危険なワクチンではないのです。  しかし、授業前のアンケートで「新型コロナワクチンも、HPVワクチンのようにあとから危険と分かったらと心配」というコメントを見つけて、正しい情報が一部の10代、そしてその親世代には届いていないことを改めて実感しました。  授業では、HPVワクチンは決して危険なワクチンではないこと、それがちゃんと研究と検証により確認されていること、そして、新型コロナワクチンについても全世界でしっかりモニタリングされており、現状想定されうるメカニズムで将来的なリスクは懸念されていない(あれば実用化されていない)ということを説明し、理解されましたが、HPVワクチンへの不安が新型コロナワクチンにも波及しているまさに典型的なケースでした。  昨年、世界的に権威のある医学雑誌『Lancet』に発表された研究(※3)によると、日本は世界の中でワクチンの安全性や有効性に対する信頼が最も低い、とされています。この論文の中で、2013年に厚生労働省がHPVワクチンの積極的勧奨を差し控えたことがその原因ではないかと分析されています。  WHO(世界保健機関)は2019年に、「世界の健康に対する10の脅威」の1つに、ワクチンの信頼性の低下をあげています。ワクチンの接種率が低下すると、麻疹(はしか)などワクチンで予防できるはずの病気が流行してしまいます。  守れる命を守るためにも、ワクチンの存在は欠かせません。ただ、予防接種は健康な人が予防のために接種するものですので、当然、リスクが大きいものは許容されませんし、実際のリスクにかかわらず、「危険かもしれない」と思っている人が接種したくないと思うのも当然です。エビデンスに基づいた安全性と有効性を公的機関がしっかりと分かりやすく発信し、国民に理解してもらう努力が必要ですし、そのために専門家の存在があると思います。

コロナ対応に追われる今だからこそ、HPVワクチンの早急な検討再開を

 新型コロナウイルス感染症は、老若男女問わず感染しうる、重症化リスクや死亡率がHPVに比べると高いウイルスです。日常生活や経済活動に大きな影響を与え、世界中で感染が猛威を奮っているからこそ、国を挙げて感染対策にあたっています。国も自治体も、マンパワーも予算もとにかく今はコロナ対策が優先となっています。  しかしながら、病気はコロナだけではありません。感染症はコロナだけではありません。  すでに有効なワクチンがある感染症については、エビデンスに基づいた有効性と安全性についての情報を国民に伝え、接種の機会を平等に与えることは、国民の健康を守るためにも非常に重要です。  コロナ対応に追われているからと、HPVワクチンの積極的勧奨を差し控えたままにしておくことは、HPVワクチンの信頼が不当に低いままとなり、それにより新型コロナワクチンの安全性に対しても必要以上の懸念を持たれてしまうことになりかねません。  HPVワクチンの積極的勧奨はすぐに再開できるわけではなく、差し控えを決定した副反応検討部会での検討が必要となります。検討する上でのエビデンスはこの8年の間に十分に蓄積されています。  HPVワクチンの問題は、HPVに限った問題ではなく、ワクチン全般への信頼、ひいては新型コロナウイルス感染症対策にまでかかわる問題です。国をあげてコロナに立ち向かっている今、その最大の武器がワクチンです。ワクチンへの信頼が求められる今だからこそ、HPVワクチンの積極的勧奨についての早急な検討再開が求められるのではないでしょうか。  ※記事の内容は2021年8月3日現在の情報に基づきます。 ———- ※1

https://www.mdpi.com/2076-393X/9/6/662 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000079.000016981.html https://kyodonewsprwire.jp/release/202103282912 ※2 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000079.000016981.html ※3 https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)31558-0/fulltext ———-

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妊婦のワクチン接種、流産のリスク変わらず…米CDCが安全性示すデータ確認

https://news.yahoo.co.jp/articles/48c92e5e3677450d6ddcccca27112135d1ccaa09

2021/8/12(木) 12:51 読売新聞オンライン

【ワシントン=船越翔】米疾病対策センター(CDC)は11日、妊婦に向けた新型コロナウイルスのワクチン接種について、流産のリスクは高くならず、安全性を示すデータが確認できたと発表した。その上で、妊婦に対して接種を受けるよう改めて求めた。

 CDCの研究グループが、妊娠から20週以内にファイザーモデルナ製を接種した約2500人のデータを分析した。接種していない妊婦と比べ、流産のリスクに差は見られなかった。副反応に関しても、妊娠していない人と異なる症状は確認されなかったという。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、5月時点で米国内でワクチンを1回以上接種した妊婦は23%にとどまる。インド由来の変異ウイルス「デルタ株」が猛威を振るう中、専門家から接種率の低さを危惧する声が上がっていた。

 CDCは妊婦の接種は「個人の判断による」との見解を示していたが、CDCのロシェル・ワレンスキー所長は11日の声明で「未接種の妊婦の感染が深刻になる中、接種の緊急性が高まっている」と強調した。

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鼻で吸うコロナワクチンが臨床試験へ、高い効果が期待されるこれだけの理由

https://news.yahoo.co.jp/articles/fe45753b1848d5740f6637345a0e05d66782477b

2021/7/27 NATIONAL GEOGRAPHIC

注射器不要のうえ腕への接種より効果的、「一石二鳥」と専門家

研究者たちは、経鼻ワクチンが新型コロナウイルスの感染をどの程度防ぐことができるかを調査している。(PHOTOGRAPH BY RJ SANGOSTI, THE DENVER POST, GETTY IMAGES)

 現行の新型コロナウイルスワクチンは、重症化や死亡を防ぐ効果に優れ、変異型のウイルスに対してもかなりの防御力を発揮する。しかし、感染を100%防げるわけではない。そこで科学者らは、より強力で長続きする免疫をもたらす新しいワクチンの投与方法を模索している。有望な方法の1つは、腕に注射する代わりに、鼻の中に噴霧する「経鼻ワクチン」だ。 ギャラリー:人類が地球を変えたと感じる空からの絶景 写真23点  免疫学者によると、経鼻ワクチンはウイルスが鼻や上気道の粘膜を介して自然に感染する方法に近いため、より優れた予防効果が得られる可能性がある。どこから投与するかは、免疫反応に違いをもたらすのだ。現在、鼻腔スプレーによって投与される6種の新型コロナワクチン候補で第1相臨床試験が行われている。 「持続的かつ長期的な免疫反応を起こしたいのであれば、局所的にワクチンを接種する必要があります」と話すのは、米ハーバード大学で腸や鼻の粘膜組織における免疫を研究する免疫学者、ホセ・オルドバス・モンタニェス氏だ。  腕にワクチンを打てば、抗体やT細胞(病原体に感染した細胞の除去や免疫の調整などを担う重要な免疫細胞)が血管全体に分布するような、全身的な規模での免疫を作り出す。だがこの方法では、免疫細胞がウイルスの侵入箇所に集中しないため「最適ではない」という。  一方、経鼻ワクチンは、上気道や、可能性としては肺の免疫も大幅に向上させ、局所的な抗体の反応やT細胞の応答を引き起こす。おかげで免疫細胞は、ウイルスが到着してすぐにそれを捕らえ、破壊できるようになる。 「大きな利点は、感染部位で免疫を生み出すところだと思います」と米コロンビア大学の免疫学者、ドナ・ファーバー氏は語る。「ウイルスが入ってくる場所にこそ免疫が必要です」  腕への接種は、体の芯から外側に向かってワクチンを行き届かせるようなものだ。まず体全体で免疫を作り、その抗体の一部が気道や鼻腔に流れ込む。しかし、鼻腔スプレー方式はその逆で、免疫力が高まるのは感染部位が先、他の部分が後だ。「基本的に一石二鳥です」と米アイオワ大学の小児呼吸器科医ポール・マックレイ氏は話す。  マックレイ氏らは、経鼻ワクチン候補をマウスやフェレットに1回投与するだけで重症化を防げるという論文を、7月2日付けで学術誌「Science Advances」に発表した。7月中には米国内の3つの施設で、18~75歳の健康な成人80人を対象に臨床試験を開始する予定だ。また、7月19日~23日に開催された米国ウイルス学会の年次大会で、米メイッサ・ワクチン社は、同社の新型コロナ用の経鼻ワクチン候補をアフリカミドリザルに1回投与したところ、有望な結果が得られたと発表した。

より実用的なワクチンを目指して

 粘膜をターゲットにしたワクチンは新しいものではない。承認されている経口ワクチンは、ポリオ(小児まひ)用やコレラ用など数多くある。経鼻ワクチンが呼吸器系の免疫を強めるように、経口ワクチンは腸管の粘膜組織の免疫を強める。  経口生ポリオワクチンをはじめ、経口ワクチンは多くの場合、注射よりも効果がある。しかし、経鼻ワクチンはワクチン全体の中ではまだ珍しい存在だ。今回の新型コロナのパンデミック(世界的大流行)でその状況が変わることを期待している人は多い。 「新型コロナによって、今まで目の前にありながら目立たない存在だったものが、加速度的に開発されるようになりました」と米ワシントン大学の遺伝子治療研究者、デビッド・キュリエル氏は語る。氏は、アカゲザルに経鼻ワクチンを投与したところ良好な免疫反応が得られたという研究結果を、3月17日付けで学術誌「Cell Reports Medicine」に発表した。  また氏は、接種が簡単になることがこの手のワクチンのもう一つの利点だと指摘する。医療システムが確立されていない国々では特に大きなメリットだ。  現在承認されているワクチンは非常に有効だが、世界中の全人口に接種するには量が足りない。一方で、パンデミックは収束にはほど遠く、特にインドや一部のアフリカ、南米の国では深刻だ。注射針は供給不足になる可能性があるが、それを使わずにすむことは有利に働くだろう。新型コロナワクチンは、経鼻や経口ワクチンによる「粘膜免疫」の新たな時代をもたらすかもしれない。

組織に“定住”している免疫細胞

 免疫系の話になると、多くの人は血液を思い浮かべるだろう。免疫細胞は、血管内をパトロールして侵入者を探す監視員に例えられる。しかし、過去10年以上の間に免疫系に関する理解が進んだ結果、多くの免疫細胞は組織の中にあることがわかってきた。  例えば、T細胞の95%以上は組織や臓器に“定住”し、皮膚、腸、脳、肝臓、肺にそれぞれ異なる集団が存在する。主に抗体をつくるB細胞やT細胞と同じリンパ球の仲間であるナチュラルキラー細胞(NK細胞)のうち、子宮NK細胞は妊娠中に子宮の組織の再構築を担う。また、ミクログリアと呼ばれる免疫細胞は脳にあるが、決して血管内に入ることはない。胎児期の早い段階で中枢神経系に移動し、個体が生きている間、ずっとそこに留まる。  このような組織に特異的な免疫細胞は、病原体を記憶するだけでなく、その病原体が最初に体内に侵入した場所も記憶しているので、ワクチンにとっては好都合だ。  免疫系はこのような“インプリンティング(刷り込み)”と呼べるような洗練された方法を身に付けたのだと、ハーバード大学の免疫学教授、ウルリッヒ・フォン・アンドリアン氏は説明する。氏は、特定の病原体が体内に侵入した場所を免疫系が記憶していることを、マウスを使って初めて実証した研究者だ。  免疫系が新たな脅威に対して活性化するのは、「抗原提示細胞」と呼ばれる特殊なマクロファージなどの細胞が、体内に散らばったウイルスの小さな断片を拾い上げ、T細胞に提示したときだ。いわば免疫系による“インテリジェンス・ブリーフィング(情報説明)”だ。  これはリンパ節で行われる。リンパ節は全身に存在するが、特に首、脇の下、そして鼠径(そけい)部(太ももの付け根のお腹側)に多い。提示で伝えられる内容には、特定の脅威についてだけでなく、それが最初に発見された場所の情報も含まれていることを、フォン・アンドリアン氏は画期的な実験で示した。  2003年に氏らが行った実験では、マウスから取り出したT細胞を別々のシャーレに入れ、それぞれリンパ節、皮膚、腸から採取した抗原提示細胞と混ぜ合わせた。約1週間後、T細胞を再びマウスに注入すると、腸の抗原提示細胞から情報を提供されたT細胞は、すぐさま腸へと戻った。そして、長い間そこに留まり、侵略に備えていた。  フォン・アンドリアン氏によると、病原体と最初に遭遇した部位へ移動する方法をT細胞が教わるのもリンパ節だ。鼻の組織に最も近いリンパ節は首にあり、ワクチンを打つ場所である腕につながるリンパ節は「町内の別の地域」にあるようなものだという。 「感染症にかかったら、鼻腔内の粘膜表面が感染し、まず上気道のT細胞や免疫系が準備します。その後、これらの細胞はその場に留まり、常駐して、番兵のように機能することになります」。そう話すのはスウェーデン、カロリンスカ研究所の免疫学者で、T細胞を研究しているマルカス・ブッゲルト氏だ。「腕にワクチンを接種しても、そのようなT細胞応答は得られません」

文=MONIQUE BROUILLETTE/訳=桜木敬子

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ワクチン接種で100ドル支給を、バイデン米大統領が州政府に要請 感染拡大受け

https://news.yahoo.co.jp/articles/99527473085f4658ece0d955ccc0a2d524f52235

2021/7/30 BBC NEWS japan

アメリカのジョー・バイデン大統領は29日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、新たにワクチンを接種する人に100ドル(約1万1000円)を支給するよう州政府に呼びかけた。 また連邦政府職員に対し、ワクチン接種の要件を厳格化した。連邦政府はアメリカ最大の雇用主で、約200万人の職員を抱える。 この要請では、職員にワクチン接種証明を提示するよう求めており、それができない場合は、検査とマスク着用が義務付けられる。 米疾病対策センター(CDC)によると、アメリカでは29日までに全人口の49.4%、18歳以上の60.3%がワクチン接種を終えている。 ホワイトハウスでの記者会見でバイデン大統領は、一連の施策は感染力の高いデルタ株の流行を受けたものだと説明。「ワクチン未接種者のパンデミック」によって状況が悪化していると述べた。 「大勢が死にそうになっているし、死ななくていいはずの人たちが死んでしまう」と、大統領は警告した。 また、100ドルの給付はすでにワクチンを打った人たちにとって不公平に見えるかもしれないと認めた上で、「ワクチンを受ける人が増えれば、それは全員の利益になる」話した。 ワクチン給付の予算は、1兆9000億ドル(約200兆円)規模の新型コロナウイルス経済対策「アメリカン・レスキュー・プラン(アメリカ救済計画)」が使われる予定。 さらに、アメリカ政府はワクチン接種時に従業員に有給休暇を与える中小企業に「満額を補償する」予定だと大統領は述べた。 ワクチン接種を拒否する連邦職員は解雇されないものの、ホワイトハウスの今回の発表は、アメリカ全土の雇用主に規範を示す目的もあった。 会見の中で民主党のバイデン大統領は、主に共和党支持者の保守派層の間で広がる、ワクチンを危険視する風潮にも言及した。 大統領は、ワクチンに「政治的な要素は何もない」と強調。新型ウイルスのワクチンは共和党政権下で開発・承認されたもので、バイデン政権はその流通を推し進めているのだと説明した。 6月に発表された研究によると、新型ウイルスによる死者の99%が、ワクチンを打っていない人だったという。 CDCの最新データによると、アメリカでは18歳以上の約7割が少なくとも1回、ワクチンを受けている。しかし、接種率は地域によってばらつきがある。感染が拡大している南部や西部の州ほど、感染率が低い傾向にある。 こうした状況の中、アメリカではCOVDID-19関連死が1週間に2000人近くに上っている。新規感染者は1日当たり約6万人と、過去3カ月で最多となっている。 CDCは27日、新型ウイルスの感染が拡大している地域について、ワクチン接種済みであっても屋内ではマスクを着けるべきとする助言を発表した。 ニューヨークやカリフォルニアなど数週では、公共の屋内施設でのマスク着用を義務付けるなど、さらに対策を徹底している。 (英語記事 President Biden calls for $100 vaccine incentive)

(c) BBC News

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メダルとコロナの「Wラッシュ」で、日本に起こる3つのこと

https://news.yahoo.co.jp/articles/955e7e2594b0c1a094bc936b4e0134f7d856a267

2021/7/30 DIAMOND online

● 五輪の盛り上がりとコロナ感染者の急増 これから東京はどうなる?  連日、オリンピックでの日本勢のメダルラッシュで東京は沸いています。日々金メダルが増える一方で、同じタイミングで発表される新型コロナの感染者数も急増しています。過去最大の感染者数が報告されるような状況となり、これから東京はどうなってしまうのでしょうか? 【この記事の画像を見る】  私は経済に関する未来予測が専門です。実はここ数カ月、いろいろなメディアで予言してきた未来予測どおりの状況になってきています。  そのとおりになった未来予測を整理しておきたいと思います。  (1)政府は2021年の春は経済より五輪を優先する形で緊急事態宣言を延長し続ける (2)東京五輪は予定通り開催される (3)選手村ではパンデミックは起きないが、五輪開催中に都内では第5波が拡大する  ここまでは予測が的中しました。心配なのはこの後だと思います。実はこの先についても企業向けに以下のような未来予測をしています。  東京にこれから起きることを整理するとこのようなことになります。  (4)2021年夏、感染者数は大幅に増えるが死者数が低い状態にとどまるだろう (5)変異種のデルタ株が猛威をふるう可能性は高いが、その被害も限定的に収まるはず (6)結果として日本経済はこの夏を境にアフターコロナに向かうだろう  これは何度も繰り返しお伝えしていることですが、私の予測はあくまで統計学的な証拠から得られた未来予測です。医学的な予測とは手法や判断基準が異なる点はご了承ください。

● 感染者数と死者数の推移から考える ワクチンの威力  ひとことでまとめると、東京五輪がきっかけで東京では新型コロナが爆発的に増加し、医療崩壊に近い状態に達する可能性があるのですが、死者数という指標で見ると被害が限定的になることが予測されます。そして、そのメカニズムが広く理解されるようになることでコロナは怖れる病から共存する病へと変わる。こうしてこの夏以降、アフターコロナ社会が始まるという予測です。  まず根拠となるデータを見ていただきましょう。最初に見ていただきたいのが世界最大の感染者数を出したアメリカ合衆国の感染状況のグラフです。  大谷翔平選手の活躍に沸くMLBの試合を見ていらっしゃる方はお気づきだと思いますが、アメリカの球場ではマスクをしない観客が大量に押し寄せて大声で大谷選手を応援しています。日本人からすれば、「こんなことで大丈夫なのか?」と思うのですが、グラフを見ていただくとほぼほぼ大丈夫な状況になっていることがわかります。  きっかけは明らかにワクチンです。アメリカではバイデン新政権が発足早々に「100日で1億回接種」の方針を打ち出し、その目標はわずか59日で達成されました。3月末段階で国民の3分の1が接種を終え、この時期以降、感染者数グラフは急速に減少し、低い水準で推移しています。  直近でアメリカの100人あたりの接種回数は102回です。ひとり2回接種が必要なことを考えると、完全に免役ができている人はまだ人口の半分程度になるわけですが、「ワクチン接種が広がることで、社会はアフターコロナに移行できる」というのは事実だといえます。  先ほどの予言(3)で「選手村ではパンデミックは起きないが、五輪開催中に都内では第五波が拡大する」と予測したのはこのワクチンの接種率が根拠です。

● 五輪中の第5波拡大が避けられない 構造的な理由  オリンピック選手は8割がワクチンを接種していてPCR検査も受けています。それでも一定数の感染者は出ていますが、そもそものワクチン接種率が高く、(ルールが緩いことが危惧されているとはいえ)バブル方式で隔離もされているので、お互いから感染する確率は実はそれほど高くはない。選手村の部屋の中でどんちゃん騒ぎをしている声がするという報道はありますが、クラスターリスクはそもそもそれほど高くはない集団なのです。  一方で、東京都民は違います。日本もワクチン接種回数はリカバリーを始めていますが、それでも100人あたりの接種回数はまだ61回。ワクチンを2度打ち終わった人を多めに見積もっても、まだ3割の集団免役率でしかありません。その大多数に相当するのは優先接種した3800万人の高齢者ですから、絶対数として見れば若者にはまだワクチン接種を完了した人が少ないのです。  そのような状況でも、五輪のメダルラッシュで沸いて、ついつい浮かれて人々が外に出てしまいます。いくら「五輪は家で観戦しましょう」と政府が呼びかけても、トライアスロンや自転車競技、ウインドサーフィンなど屋外で行われる競技では、一目見ようという観客が大挙して訪れます。  ブルーインパルスが飛行すれば大勢の人が撮影に出かけ、金メダル獲得の瞬間を目にした後は感動にひたるためにお酒を買いに外出する。そもそも、オリンピックを地元・東京で開催しながら、都民全員が家に閉じこもるというのは想定上無理があるのです。  そのことから私は「ひとびとの外出が増えることで五輪期間中に第5波は大幅に拡大する」と予測したのですが、結果はその通りになりました。しかし、私は同時に「その際の第5波の死者数は実は少ない」とも予測しました。  背景となる要因が二つあります。一つは昨年夏の第2波を見ても分かるとおり、感染者数が多くても夏のコロナは死のリスクが低い。これがひとつめの要因です。そして二つめの要因は、ワクチン接種率が低いといっても高齢者の多くがすでにワクチン接種を終えているという事実です。  図を見ていただくと分かります。図2は日本の感染者数のグラフです。さきほどのアメリカのグラフと異なり、図表の中で赤線で印をつけた今年2月の段階では、まだワクチン接種は医療従事者への先行接種がようやくはじまったばかり。一般の高齢者への接種が本格化したのは5月以降です。  グラフを見るとまさにそれを裏付ける状況となっています。2月に緊急事態宣言がいったん解除されたあと、3月に第4波が襲い、感染者も死者数も第3波と同じ水準で立ち上がります。ここで、図表の下側の死者数のグラフに注目してください。3月から4月にかけて増加傾向にあり、2度目の危機が訪れていたのです。しかし、ワクチン接種が進んだ5月以降、日本の死者数は激減していきます。  実は、日本の新型コロナの死者の95%は60歳以上が占めていました。そしてファイザーとモデルナのワクチンは2度接種することで95%の感染予防効果が実証されています。つまり高齢者層にほぼ100%の比率でワクチン接種を行うと、日本全体で9割の死亡リスク(つまり95%×95%)は理論的に減らすことができるのです。  そして、死者数のグラフを見ていただくと分かるのですが、この7月、東京で第5波が急激に拡大している中でも、死者数は収束に向かいつつあります。これが4番目の予測である、「2021年夏、感染者数は大幅に増えるが死者数が低い状態にとどまるだろう」の根拠です。  ここで若い人に注意していただきたいのですが、死なないとはいえワクチンを打っていない20代、30代の感染者は爆発的に増加していますし、重症者もそれに比例して増えています。  若い人は死ぬ確率は低いのですが、免役を持たない新型の伝染病ですから感染すれば発症する確率は高いです。中症化ないしは重症化することで高熱が出て呼吸の苦しい日が続き、かなりつらい思いはするわけです。この理解が不足しているので、若者の無防備な外出はあいかわらず止まりませんし、医療現場の苦労は続いているというわけです。

● デルタ株はどこまで拡大する? 日英の感染状況を考察  さて、そのような状況下で猛威をふるう変異種によって、未来がさらにどうなるのか、新たな不安を覚える人もいらっしゃると思います。そこで5番目の予測、「変異種のデルタ株が猛威をふるう可能性は高いが、その被害も限定的で収まるはず」についての根拠を見てみましょう。  デルタ株はインドで広まって、インドの旧宗主国であるイギリスにも広まりました。イギリスの感染状況は以下のグラフの通りです。  アメリカと違い、イギリスではワクチンで収束したはずの新型コロナが5月になって急拡大しています。この急拡大分の大半を占めるのがインド発祥の変異種・デルタ株です。  ロックダウンが徹底されたイギリスで、なぜここまで変異種が広まったのか?イギリスの専門家によれば、渡航者の多さがイギリスのデルタ株パンデミックの原因になったといいます。ワクチン接種が進み、ビジネスに関する海外渡航のルールが緩和された時期と、デルタ株の流行が始まった時期が重なっているからです。  そして、このことは東京にとっても非常に悪いニュースです。なぜならこの7月、東京には世界中から五輪関係者が集まってきているからです。  私は「選手村は大丈夫だ」と言いましたが、問題は大会会場を埋め尽くしている大会関係者です。言い換えればジャーナリストとスポンサーということになるのですが、こういった方々は選手とは異なり、組織委員会もその行動をコントロールすることは実質的に不可能な状態になっているのは読者の皆様もご存じの通りです。  すでにデルタ株は東京の発症でも3割まで増加してきていて、そのリスクは五輪開催で当然のことながら急上昇しています。  問題はワクチンが効くかどうかですが、報道によるとイギリスで変異種に感染した人の中には、ファイザー以外にアストラゼネカのワクチン接種者も多いようです。2度の接種でファイザーがデルタ株に対して88%の有効性であるのに対して、アストラゼネカは60%の有効性にとどまるといった研究結果もあります。このあたりワクチンメーカーの構成が違う(ファイザーとモデルナ)東京の場合、デルタ株の被害はイギリスほどにはならない可能性はあると思います。  そして、私が一番重視しているのは、デルタ株がまん延し始めたイギリスのグラフでも死者数は収束している点です。これから先、デルタ株についていろいろなことが分かってくると思いますが、報道によればワクチンを接種している場合、感染はしても中症化も重症化もしにくいという研究発表があり、その点については東京にとって明るい予測要素になりそうです。  実は「ワクチン接種が進むことでコロナの死亡リスクが大幅に減る」ということは、コロナ対策の前提条件の変化を意味します。これまでは「免疫がないために感染しやすく、感染すると死亡リスクが大きい」という前提で新型コロナは新型インフルエンザ等感染症に指定されています。  法定の感染症であるがゆえに、治療現場では医療関係者の負担が高くなっています。しかし、医療関係者も入院患者の多くもワクチン接種が進んだという新しい前提下では、この対応の見直しを早めたほうがいいかもしれません。なぜなら医療現場では新型コロナの第5波拡大にともない、「それ以外の救える可能性がある命が救えなくなる」という危惧が高まっているからです。  日本はコロナという病との共生を考えるべき段階に来ていると、とらえるべきではないでしょうか。

● 夏を境に日本経済は コロナと共生する「アフターコロナ」へ  さて最後にもう一つ、事実関係はさておいて興味深いグラフをご覧いただきたいと思います。インドの感染状況です。  インドはアメリカに次ぐ世界2位の感染者数を記録した国です。しかもアメリカとは異なり全人口に行きわたるワクチンの量が確保できず、大半の国民はワクチンも治療薬もないまま新型コロナのパンデミックを迎えました。  一時は死者の埋葬も間に合わないというほどの被害だったインドですが、5月に入り、感染者数が急速に減少していることがグラフから分かります。  この原因については、あくまで医学的な事実は分からないと申し上げておきます。しかしNHK BSのドキュメンタリーで興味深い現地報道をしていましたので紹介したいと思います。要するにワクチンが手に入らないインドの国民は、代わりに薬局で安価に手に入るイベルメクチンを飲んで自衛を始めたというのです。  イベルメクチンはノーベル賞を受賞した大村智博士が開発に関わった抗寄生虫薬です。用途がまったく違う治療薬なのですが、新型コロナが出現した当時、既存の薬の中で新型コロナに対抗できる薬がないか広く探された中で、イベルメクチンに治療薬としての効果があるのではないかと注目されました。  そこで、陰謀論的に興味深いことが起きています。アフリカやアジアなどワクチンが入手できない国で自衛的にイベルメクチンを飲む人が増えた一方で、世界保健機関(WHO)、米食品医薬品局(FDA)、米感染症学会のいずれもがイベルメクチンをコロナに適用しないように勧告したのです。  そもそもイベルメクチンは多くの国々で処方箋なしに購入できる、いいかえると副作用のリスクが非常に少ない薬です。それでもそれらの機関では危険性を広く注意喚起して、先進国ではこれから治験をした後でその有効性を確認しようという態度をとっています。  状況を勘繰れば、特許の切れた市販薬がコロナに効くとなるとビジネスモデル的に困るひとたちが一定数いて、それらのひとたちの政治力がかなり大きいようだというようにも見える政治的な展開です。  公的機関は「世界各国でイベルメクチンを飲んだことでコロナから回復した人がたくさんいる」という事実は「治験による信頼性とは異なる」と意見表明しています。医学研究者の立場としてはそうなのでしょう。ただ経済学的には、これら貧しい国々を中心にイベルメクチンの需要はこの先、急拡大すると思います。  医学で権威のある人たちが認めなくても、統計学の観点で図4を見ればイベルメクチンとインドのコロナ収束に「相関傾向がない」と考える人は少数派のはずです。そして多くの製薬会社にとって残念なことなのかもしれませんが、イベルメクチンは実質的に新型コロナ治療薬として、それらの国々に広まっていくはずです。  結局、これらの事実を見ていると最後の予測、「結果として日本経済はこの夏を境にアフターコロナに向かうだろう」という希望が見えてきます。  ワクチン接種は、ワクチンが思ったほど届かないという問題を抱えつつも、高齢者中心にワクチンがいきわたるところまでは到達できました。状況はこのあと、さらに良くなるでしょう。  新型コロナのもうひとつの問題である「治療薬がない」という問題も、科学者の努力か経済原理かどちらが原動力になるかは分かりませんが、それほど先ではない時期に解決されることでしょう。  繰り返しになりますが、予測としては東京のコロナ感染者数はこの夏、急増すると予想されます。しかしそのコロナがおよぼす意味が、この夏を境に変わる。そして世界経済はコロナにおびえてこもる段階を過ぎて、コロナと共生しながら前に進む時期へと変化するだろうと私は予測しています。  (百年コンサルティング代表 鈴木貴博)  訂正 記事初出時より以下の通り表記を改めました。 40段落目:新型コロナは2022年1月末まで指定感染症にされています→新型コロナは新型インフルエンザ等感染症に指定されています 41段落目:法定の指定感染症であるがゆえに→法定の感染症であるがゆえに 41段落目:治療現場では防護服の着用など医療関係者の負担が高くなっています→治療現場では医療関係者の負担が高くなっています 41段落目:この指定の見直しを早めたほうがいいかもしれません→この対応の見直しを早めたほうがいいかもしれません (2021年7月30日14:41 ダイヤモンド編集部)

鈴木貴博

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米国、ワクチン接種完了後もマスクの着用を推奨 2ヶ月で方針転換した背景

https://news.yahoo.co.jp/articles/1d2555a521bf720c0b028b432fe6a51938483607

2021/7/29 Newsweek

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は2021年7月27日、米国内の感染拡大地域を対象に、新型コロナウイルスワクチンの接種を完了した人にも屋内でのマスクの着用を推奨する指針を発表した。学校の教職員や学童・生徒、来訪者も同様に、ワクチン接種の有無にかかわらず、マスクの着用が推奨される。 ●動画:2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開 ■ 「デルタ株」の感染拡大で、2ヶ月で方針転換 CDCでは、5月中旬、「新型コロナウイルスワクチンの接種を完了した人は新型コロナウイルスを他者に感染させづらい」との科学的データを根拠に、ワクチン接種の完了を条件としてマスクの着用は原則不要としていた。 しかし、インドで最初に確認された「デルタ株」の感染拡大を受け、わずか2ヶ月で従来の方針を転換することとなった。 米国ではデルタ株の感染拡大が急速に広がっていることがその理由だ。6月19日には1日の新規感染者数が1万1480人にまで減少したが、7日間平均が7月27日時点で6万人を超えている。7月23日時点で新規感染者のうちの83.2%がデルタ株に感染したと推定されている。 ■ ワクチン接種しても、無症状で他者にウイルスを感染させる CDCのロシェル・ワレンスキー所長は「米国で主流となっているデルタ株はこれまでのウイルスとは異なる」とし、「まれにワクチン接種を完了した人への感染も確認されている」と警鐘を鳴らす。 CDCの調査によれば、ワクチン接種の完了後にデルタ株に感染した人のウイルス量は、ワクチン未接種でデルタ株に感染した人と同等であった。つまり、ワクチン接種を完了した人は、無症状であっても、他者にウイルスを感染させる可能性がある。 一方で、入院患者や重症者、死亡者の大多数はワクチン未接種者だ。CDCの推定によると、新型コロナウイルス感染症の入院患者の約97%はワクチン未接種者で占めている。 ワレンスキー所長は「新型コロナウイルスワクチンはデルタ株の発症リスクを7分の1に低下させ、ワクチン接種を完了すれば、デルタ株による入院リスクや死亡リスクを20分の1に下げられる」とワクチン接種の有効性を示し、ワクチンを接種するよう国民に呼びかけている。 ■ ワクチンのデルタ株への有効性はやや低い 新型コロナウイルスワクチンのデルタ株への有効性は他のウイルス株に比べてやや低いとみられる。イングランド公衆衛生局(PHE)ら、英国の研究チームが7月21日に医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)」で発表した研究論文によると、ファイザーの新型コロナウイルスワクチン「BNT162b2」の2回接種後の有効性は、英国で最初に確認された「アルファ株」で93.7%であったのに対し、デルタ株では88.0%にとどまった。 また、アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチン「ChAdOx1 nCoV-19」の2回接種の有効性は、アルファ株で74.5%、デルタ株で67.0%であった。なお、いずれも1回接種後の有効性は極めて低く、デルタ株で30.7%、アルファ株でも48.7%にとどまっている。

松岡由希子

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中国製ワクチンは「水ワクチン」?…シンガポール「シノバック接種した人はコロナ検査もう一度受けて」

https://news.yahoo.co.jp/articles/b740349c7d67a701511a07a83fbec8aec26b369e

2021/7/3(土) 18:01 朝鮮日報

 シンガポール政府は新型コロナワクチン接種者に対し、集まりに参加する時の検査を免除しているが、中国製ワクチン「シノバック製ワクチン」を接種した場合は例外的に新型コロナ検査を再度受けさせることにした。現地メディア「ザ・ストレーツ・タイムズ」が1日(現地時間)、報道した。シンガポール保健省は同日、「(シノバックが変異型ウイルスの)デルタ株(インド株)感染を防ぐという証拠は十分でない」と理由を明らかにした。 ■ワクチン接種率OECD1位はイスラエル、日本が最下位…韓国は?  全世界的に中国製ワクチンの免疫力に対する疑問が相次いで取りざたされている。今年1月からワクチンを接種しているインドネシアでは最近、新型コロナ感染者が急増している。インドネシアで接種されているワクチンの90%がシノバック製だ。今月1日の一日の新規感染者数は2万4836人で、昨年5月(4000人台)に比べ約5倍の増加となった。首都ジャカルタとジャワ島は新型コロナ感染者で医療崩壊寸前だと米CNNは報じている。  しかも、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、優先接種対象者としてシノバックの接種を2回受けた医療従事者26人のうち、先月だけでも10人が新型コロナで死亡し、約500人が陽性となったという。

 同様に、接種のほとんどがシノバック製ワクチンであるチリやアラブ首長国連邦(UAE)では、接種率が高いのにもかかわらず、新型コロナ感染者が減らないという現象が起きている。昨年12月からワクチン接種を開始したチリの接種完了率は55.5%だが、新規感染者数は毎日3000人に達する。100人当たりの接種回数が152.1回で世界第2位のUAEでも、感染者数は2000人台だ。このため、UAEは1日、インドなど新型コロナの感染が拡大している14カ国について、自国民の渡航を禁止した。  もう一つの中国製ワクチンである「シノファーム」製ワクチンの効果にも疑惑が取りざたされている。シノファームを主に接種しているモンゴル、セーシェル、バーレーンなどで最近、新型コロナが拡散している。人口335万人のモンゴルでは、全人口の58.7%が1回以上、52.1%が2回接種を終えたが、今月1日の一日の感染者数は4861人に達した。イスラエルのよりも接種率が高いセーシェルでも、新型コロナ感染急増によりこのほどロックダウンを強化した。  韓国政府は今月1日から海外でワクチン接種を終えた韓国人・外国人に対して2週間の隔離措置を免除することにした。免除対象のワクチンはファイザー、ヤンセン(ジョンソン・エンド・ジョンソン)、モデルナ、アストラゼネカだけでなく、中国製ワクチンのシノファーム、シノバックも含まれている。中国製ワクチンを免除対象に入れるのは韓国が初めてだ。