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「不織布マスクNG」ルールの音楽イベントにネット上で批判の声

https://news.yahoo.co.jp/articles/a874a05af1b6144da45a2518ae0764f5bda0141b

2021/8/28(土) 8:28 日刊スポーツ

8月27~29日に群馬県利根郡片品村のほたか牧場キャンプ場で開催される音楽イベント「GLOBAL ARK 2021 -The 10th Anniversary-」が設けた「不織布マスクNG」といったルールに対して、ネット上で批判の声が続出している。 【写真】太眉卒業の井上咲楽が小顔シルエットマスクを持つ 今年10周年を迎える同イベントは公式サイトにて、「おしゃれマスク」がドレスコードで、「不織布マスクはNG」と明記している。「マスクも昨今はファッションの一部。デザインマスク、手作りマスク、夏用冷感マスク・クールマスク、ネックゲイターなど、思いっきりカッコイイマスクをつけてマスクファッションを楽しみましょう」と来場者に呼びかけた。 公式サイトには不織布マスクをNGとする理由についても記載されており、「会場は野外であるため、換気が良く、イベントは長時間のため、この度のイベントに於いては不織布マスクではない方がいいと言うことに当てはまります」と持論を展開している。「マスク内部が蒸れやすいこともデメリットでしょう」「不織布マスクは使い捨てであり、落としたりすると誰のものか分からなくなります」「落ちてるマスクと言うのはあまり気分のいいものではありません」などと主張した。 なお、アルコールの販売は行わず、入場時の検温は実施するとのことで、感染防止対策を一切しないわけではない。しかし、イベントのフェイスブックページでは8月13日、「ひとり3本くらいまでなら持ち込みをOKとし、お酒は家飲み感覚で、テントやバンガロー内にてのみ飲酒をお楽しみ頂く形となります」と酒類の持ち込みを認める内容を投稿している。 上記のルールに対して、ネット上では「ありえない」という批判が続出。「出演者は誰も疑問に思わないのか」「屋外だからオッケー! みたいなの怖い」「今の時流としてはオシャレよりも防疫の方が上」といった声が寄せられている。

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新型コロナ陽性患者「医療代返せ!」 4時間居座り病院は返金

https://news.yahoo.co.jp/articles/6dbbc636e21d4a82769156146badd9b87cfab54d

2021/8/27(金) 19:46 FNNプライムオンライン

新型コロナウイルスと闘う医療機関で、診察をめぐり金銭トラブルが起きた。 東京都内にある「目黒の大鳥神社前クリニック」の防犯カメラの映像。 事の発端は、7月中旬。 都内のクリニックに、微熱とせきの症状を訴え、50代の男性が来院したことから始まった。 目黒の大鳥神社前クリニック・北村直人院長「(50代の男性には)、仮に新型(コロナ)だった場合、重症化する可能性もあるということから、採血かレントゲンかやっておきませんか? 保険でしますのでと言ったところ、自分は糖尿病もあるので、ぜひお願いしたいということだった」 この時、PCR検査や診察を受け、男性は診察料を支払って帰宅。 翌日、陽性が判明したため、男性に電話で伝えると、その数日後、自宅療養を終えた男性が、診察料の全額返済を求め病院に乗り込んできた。 目黒の大鳥神社前クリニック・北村院長「自分は“新型コロナ陽性”だったから、医療費がかからないはずなんだと。負担があったのはおかしいということを言い出して。PCR検査はお金がかからないが、診察料などは発生しますと言ったら、『そんな話は聞いていない』と言い出して」 定められた機関で行われたPCR検査の費用はかからないが、初診料などの自己負担分は、患者が支払うことが定められている。 しかし、男性は「全額返済しなければ帰らない」と、およそ4時間、病院に居座った。 この対応で、診察は、数時間にわたってストップ。 病院の待合室は、予約で訪れた患者であふれ、中には、診察を諦めて帰った人もいたという。 その後、警察が駆けつける事態に発展するが、男性が居座り続けたため、クリニックは、やむを得ず男性に全額返金したという。 しかし病院には、テレビを見た人から、「患者に対しての対応としてどうなのか」などの、心ないクレームも多数入っているという。 また、通常の業務に支障が出ているとして、直接の連絡を控えるよう、クリニックが呼びかける事態になっている。

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新型コロナの医療崩壊の元凶は開業医の不作為であり、政府は強い対策で臨むべきだ

https://news.yahoo.co.jp/articles/d38d5bb943193ec843246055c39b9b89ce0b21cb

2021/8/27(金) 5:31 東洋経済オンライン

 新型コロナウイルス・デルタ株の流行で連日のように医療現場の窮状が伝えられている。医療提供体制の問題が指摘されながら拡大がなかなか進まない。 東京都は改正感染症法16条の2に基づき民間病院への協力を要請したが効果はあるのだろうか。何しろ、市井の多くの診療所やクリニックは1年半以上も「熱のある方は保健所へ連絡を」と張り紙したまま、頬かむりして新型コロナの診療に協力していない。勧告や名前の公表ぐらいでは効かないのではないか。

 また、大規模病院や療養施設への応援、在宅療養者へのオンラインによる診療支援といった程度では不十分だ。一般の診療所の開業医がインフルエンザの場合と同様に外来診療や往診に応じる体制を作る必要がある。一方で、分科会の医師の一部や知事などが主張する国民へのより強力な活動制限、ロックダウンなどはすべきでない。以下、説明したい。 ■感染力が強くなる一方、致死率は低下  まず、新型コロナの被害は第4波までと現状の第5波とでは大きく異なる。簡潔に言えば、新型コロナはより広まりやすくより死ににくい病気になりつつある。テレビや新聞の多くが新型コロナのデルタ株についてネガティブな材料ばかりを強調して報道しているが、データからは異なる姿が見えてくる。

 5月中旬をピークとする第4波についてデータを7日移動平均で見るとピーク時には感染者数(検査陽性者数)は6400人、死者数のピークは100人前後で推移した。これに対し、8月20日は感染者数は4倍の2.5万人に達し、その後も2.2~2.3万人で推移しているが、死者数は30~35人で推移し、陽性者数に対する死者数の比率は圧倒的に少なくなっている。下のグラフの山の大きさを見るとわかりやすい。したがって重症者の数は増加しているが比率でみると小さくなっているのだ。

 (外部配信先では図表を閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)  季節性インフルエンザが流行すると国内で1年間に1000万~1500万人が罹患し、約1万人が亡くなる(注)。ワクチンや治療薬にも限界があるからだが、ほかの病気と同様に外来診療を行っている。新型コロナもワクチンや重症化を防ぐ薬も揃いつつあるし、医療現場には換気や防護服など感染制御をしながら治療にあたって回復を促すノウハウが、積み上がってきている。つまり、インフルエンザ並みに診療できる条件が揃いつつある。

(注)インフルエンザの死者は2018に3325人、2019年に3575人なので新型コロナよりも大幅に少ないというコメントがまま見られるがこれはデータの背景を無視した誤りだ。新型コロナは陽性者の全部報告が義務づけられ、2020年6月18日以降は厚労省の事務連絡で検査陽性者の死はすべて新型コロナによる死と報告してよいことになり、過剰計上となっている。だが、インフルエンザの場合は患者が進んで診療を受け、かつ、ほかの疾患を抱えていた場合には医師による検死で確定されたものに限られる。国立感染症研究所では超過死亡概念でインフルエンザの死者年間約1万人と推計している。

■移動制限でも感染抑止はできず、経済を潰す  他方、こうした広まりやすいウイルスを人の移動制限で抑え込むのは困難だ。人の移動と感染拡大との連動性が失われていることもデータで確認できる。 人の移動制限は効果が薄いのに対して経済に及ぼす打撃が大きく、極めて非効率なのだ。諸外国のロックダウンも変異株がはやるたびに繰り返す羽目に陥っている。(参考記事「根拠なき緊急事態宣言はもはや人災でしかない」「日本とコロナ、改革すべきは医療制度と財政政策」)。

 感染症対策に携わる医師は、「個々人が半径2メートル以内の感染対策、すなわちマスク着用によって飛沫を浴びない、こまめな手洗い、換気をきっちり行うことの効果はとても高い。本来はそれさえできれば、人の移動を制限することは必要ない」と話す。  さらに、「子どもの感染が問題になっているが、10代以下の子どもは新型コロナで1人も死んでいない。しかし、季節性のインフルエンザでは乳幼児や10代以下の子どもたちが死ぬ。2019年にも65人が亡くなっている。子どもにとっては明らかに季節性インフルエンザのほうが怖い」という。

新型コロナの被害状況、人口比で見た感染者数、重症者数、死者数がかねて欧米よりも大幅に少ないのは周知のとおりだ。これは今も変わらない。一方、日本の人口当たり病床数はOECD(経済協力開発機構)諸国中で最多、医師数はやや少ないがアメリカとほぼ同程度だ。病床の総数は130万床、医師数は32万人である。(参考記事「起こるはずのない「医療崩壊」日本で起きる真因」「コロナ「医療逼迫」に「国民が我慢せよ」は筋違い」)

 ところが、足元で入院加療を要する患者が21万人、重症者は2000人にも満たない状況で、医療崩壊が起きるのは、新型コロナに対応できる病床数が少なく、診療に携わる医師が極端に少ないからだ。8月18日時点の報告で、新型コロナ向けにすぐに対応できる病床数として確保されているのは3万6314床、重症者用では5176床にすぎず、宿泊療養施設が3万8577室だ。日本の特徴は病院の81%が民間であり、また病床を持たない診療所も新型コロナ診療に携わっていないところが多い。

 対してEU(欧州連合)諸国では公的病院が66%である。そのうえで、すでに昨年から欧米先進国では新型コロナ患者の多くは自宅で療養し、外来診療・往診で治療を受け、悪化・重症化の兆しが出たら入院する形だ。日本で自宅療養が問題なのは、医師が診療せず不安なまま放置され、悪化したときには手遅れという状態になるからだ。多くが軽症で治るのだから外来診療や往診ができれば、状態に応じて入院やICUでの措置が決められるので対応がスムーズになる。

■開業医と勤務医の格差、歪んだ資源配分  日本の医療提供体制が特異なのには理由がある。戦後、地域医療を再建するため、開業医は優遇税制、診療報酬制度で保護された。そうした中で、日本医師会は資金力をつけ、その推挙する候補が議員になるといった形で、国政から市町村に至るまでの大きな政治的影響力を持つに至った。  他方、多くが救急医療を担う日本の公立病院の勤務体系は過酷で、これは今に始まったことではない。新型コロナの流行以前から問題視されていた。働き方改革で一般労働者の時間外労働は年間360時間まで、例外的な場合の上限が720時間となったが、大病院の救急救命医や研修医などは時間外労働の上限が年間1860時間で、これ自体が過労死レベルだ。実際にはこれを超えて働き、過労死や過労自殺に至るケースもある。

 このような状況なので、資金のある人は自分の勤務を自由に管理できる開業医を選び、その結果、開業医の数は余剰になり、ムダな検査、ムダな投薬で収益を確保し、経営を成り立たせようとする。日本の社会保障費の膨張の大きな要因の1つともなり、悪循環が続いている。  医療行政や政治にも詳しいピクテ投信投資顧問のエコノミスト、市川眞一シニア・フェローは「価格体系が間違っているので資源配分がゆがんでいる。地域の開業医が守られるように公定価格を付けてしまっているがゆえに、基幹病院の数が足りなくなり、新型コロナの医療逼迫・崩壊という事態にもつながっている。過酷な勤務をしている医師の賃金が上がらないのに、医療費のムダ遣いは増えている」と指摘する。

 ついでに言えば、診療報酬制度の引き下げには日本医師会が抵抗するため、薬価引き下げで帳尻を合わせることが多い。製薬会社が新薬を開発してもすぐにあまり儲からなくなるため、ワクチンや新薬を開発するインセンティブを下げてしまっているという実態もある。  日本医師会は医師たちを代表する位置づけとして、政府に対応しているが、実際には任意団体で32万人の医師のうち会員は17万人だ。うち開業医8万3000人、残りは勤務医や研修医だが、勤務医は医師会に入っていても忙しく医師会の活動などできないので、成功した開業医の利権団体になっている。つまりは新型コロナについては何の苦労もしていない医師たちを代弁する組織である。

 内部事情に詳しい医師は「東京都医師会の尾崎治夫会長は『医師会は任意加入団体だから会員に強制なんてできない。皆の意見を伝えるだけの団体だ』と言っている。それなら、医師の代表として政府との交渉の窓口になっているのはおかしいではないか」と憤る。 ■国難で動かない医師を公定価格で守り続けるのか  メディアの多くは新型コロナと闘う公立病院の医師・看護師たちの姿を取材して、これと対比して「国民の危機意識が低い」といった報道姿勢だ。こうした対立構造を演出しているのが、記者の取材に対し「国民の気の緩み」といった発言を繰り返す日本医師会の中川俊男会長をはじめとする幹部や政府の対策分科会の医師たちである点には注意が必要だ。

 その一方で、医師会や分科会はこの1年半、医療体制の拡充に本気で取り組まず、政府や自治体の「お願い」に対し追加手当ばかり要求してきた。民間病院や開業医の診療への参加は心あるごく一部の医師による自主的なものにとどまっている。民間経営とはいっても、公的インフラとして診療報酬で守られているのだから、パンデミック危機という国難で動かないのなら、今後も見据えて診療報酬制度の抜本的な見直しを行うべきだ。  大手メディアは専門家、専門家と持ち上げるが、「民間で診るのは無理」とできない理由をあげつらう人々が真のプロフェッショナルといえるのだろうか。また、いつまでこの逃げ口上を続けるつもりだろうか。どんな業界でもプロであればできるようにさまざまな連携や協力、工夫をこらして解決に努力するものだ。実際にそうしている医師も少ないが存在する。

 今年2月に新型コロナは法的に「新型インフルエンザ等感染症」として位置づけられ、感染症対策としては、国民の私権を最大限に制限できるようになった。ところが、新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長や知事たちはもっと制限できるよう法改正せよという。全体主義国家を目指せというのか。  学校の夏休みを延長せよという尾身氏の発言が注目されているが、たびたびの対面授業の削減は、将来を担う子どもたちの教育に禍根を残しうる。新型コロナのまん延防止の観点だけでは決められないことで違和感がある。このような事態を招いているのは、政府が決断力を持たずに、分科会に頼っているためだ。「政府が対策案を分科会に諮る、という状態は完全に役割が転倒している。野党も国会で尾身さんに答えさせるのがおかしい。官邸がまったく機能しなくなっている」とピクテの市川氏は指摘する。【2021年8月27日10時20分追記】尾身会長の発言部分に不正確な部分がありましたので、修正しました。

 本来、分科会はあくまでも感染症の専門家として政府に意見を具申する立場だ。新型コロナに対してどういう戦略を取るのかについては、感染症の専門家の意見のほかにも社会的、経済的、政治的なさまざまな観点の情報・意見からも総合的に考えて、政府、つまりは菅首相が最終的に決断すべきものだ。 ■医療のための国民ではなく、国民のための医療を  政府は新型コロナから逃げている医療従事者にもっと強い権限を行使するべきだ。医療関係者に医療の提供を要請する法律の条文としては、改正感染症法16条の2の他に、新型インフルエンザ等対策特別措置法31条もある。 この法律ではコロナ診療を、直接に法的拘束力を持って医療者に強制することができる。その不服従には行政処分を行うという運用もありうる。ちなみに、特措法の改正で今年2月には飲食・宿泊業者などを念頭に事業者が従わない場合の過料を定めた。

 一般の守られていない事業者を対象に、十分な補償もせずに素早く過料の規定を導入しておいて、なぜ、公的制度で守られている医師に強制力を働かせようとしないのか。特措法31条を抜かずの宝刀にしておかずに、その運用も検討するべきだ。「既得権益を打ち破る」と就任時に語った菅首相の政治力が問われる。

大崎 明子 :東洋経済 解説部コラムニスト

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「ワクチン打ちたいが打てない」「2回接種後の生活は…」都民アンケートで見えた“コロナ禍を生きる術”

https://news.yahoo.co.jp/articles/45053dee4f1ea428b36bed97f45678ade7fc7cf7

2021/8/27(金) 19:31 FNNプライムオンライン

新型コロナのワクチン接種に関する都民へのアンケート結果が26日、東京都から発表されました。この調査を行った東京都の「東京iCDC(東京感染症対策センター)」リスクコミュニケーションチームのリーダーで、政府の新型インフルエンザ等対策推進会議委員の奈良由美子放送大学教授に話を聞きました。 【画像】ワクチン接種についての都民アンケートの詳細を見る

国や自治体に伝えてほしい3つの情報

ーー現在の感染状況をどうみていますか 「爆発的な感染拡大」「災害級の」とも表現されるような感染状況のなか、自宅療養を余儀なくされるかたが増えるなど、不安を感じているかたも多いと思います。こういう状況において、国や自治体、専門機関には、実効性のあるリスク管理を行うとともに、3つの情報を送ってほしいと思います。 1つはリスクの特性や大きさの客観的な分析情報、2つめはリスク管理機関がとっている・とろうとしている具体的な対策・対処方針に関する情報、そして3つめはリスクを小さくするために個人がとりうる対策についての情報です。この3つをセットで出すことが大切です。 とくにリスク管理に関する情報は重要です。ひとは、それまで意識していなかったリスクについてただ知らされるだけでは、不安が高まったままになるからです。恐怖だけを喚起されても思考停止に陥ることもあります。個人が何をできるかを知り、自分ならできると信じて実行することは、リスクを客観的に小さくするだけでなく、不安を小さくすることにもつながります。 リスクを完全にゼロにすることはできません。しかし、段階的に小さくすることは可能です。個人のレベルで言えば、まずは、マスク着用や密を避けるなど、基本的な感染予防の徹底することですね。そしてもし自分が感染して自宅療養者になったら、あるいは家族がそうなったら、と想定して、自然災害に備えるのと同じように準備をしておくことも、現在の深刻な感染状況のなかでは必要だと思います。 例えば体温計やパルスオキシメーター、経口補水液、レトルトのおかゆ等を準備しておく。医療機関や緊急連絡先をあらかじめ確認しておく。また、感染しないためには・感染した場合にはどうするかを家族で話し合っておくことも重要です。症状変化の際の対応や家庭内感染の防止策等について、厚労省や東京iCDCといった機関が自宅療養に関する留意事項やハンドブックを発信していますので、そういった情報にあらかじめ目を通しておくことも有効だと思います。   ーー政府に求めたいことは 「人はコミュニケーションせずにいられない」という言葉があります。明確な言語によるメッセージだけからでなく、表情、仕草、身につけているもの、ふるまい、ある行動をとった(とらなかった)などからも、相手は実に多くのメッセージを受け取っているのです。その意味で、コロナ対策についての明確なビジョン、ポリシーを伝えてきれていない政府のコミュニケーションには問題があると言わざるを得ないと思います。 例えば、「なんとしても感染拡大を抑える」との言語メッセージを送りながら、昨年はGo To トラベル、今年はオリンピックがありました。これに対しては、「災害級の感染状況と言うならば東京は被災地ということになり、そこで大イベントをするというのは、いったいどういうことなのか」「感染拡大防止のためだからと国民には外出の自粛を求めているのに、国境を越えての人流をうむというのは、どういうことなのか」といった声が、国民から多く聞かれます。つまり、国民は矛盾するメッセージを受け取っているということです。 研究活動の一環として、2020年4月から全国の市民のかたがたと対話型ワークショップを続けています。国や行政のコロナ対策をめぐっては、市民の皆さんから一貫して語られる言葉が3つあります。それは、『ビジョン』『エビデンス』『サポート』です。 このうち『エビデンス』については、「緊急事態宣言の発令や解除の判断の根拠が分からない」「飲食店への時短協力要請の根拠が知りたい」「オリンピック開催の判断根拠が分からない」「調べてみると、基準があることが分かった」など評価できないという声と少ないですが評価できるという声があります。 また、『サポート』についても、「経済的な補償がほしい・足りない」「補償してもらって助かった」「情報提供の支援が足りない」「あって良かった」と、両方の受け止めがありました。 しかし、『ビジョン』については、評価できるという受け止めは見られません。「政府のビジョンが見えない」「どのようなポリシーでコロナ対策を行おうとしているのかが分からない」「場当たり的に感じられる」「迷走している」といったような声ばかりです。 日本はどのようなビジョンを持ち、どのようなポリシーでコロナに向かいあうのか。これを早い段階で明確に打ち出し、国民と共有しておくべきだったと思います。さらには、そのメッセージと一致した施策を打ち続けることが重要でした。むろん、未知のウイルスを相手にして、時々刻々と状況が変わるなかでは、施策の内容、場合によってはポリシー自体の修正が必要なこともあるでしょう。しかしその場合でも、修正の根拠・エビデンスを示すべきです。 ニュージーランドや台湾は感染流行初期からコロナを押さえ込むポリシーを国民にメッセージとして発信し、そのメッセージと整合した施策がとられてきました。たとえわずかでも感染者が出るとロックダウンしますが、ポリシーが国民と共有されているため、すぐに実行できます。 一方、ゼロ・コロナ政策の是非は別として日本はそこにぶれがあるので、緊急事態宣言が出ても実効性のある施策としては機能しきれていません。言っていることとやっていることが違うから国民は戸惑い、反発さえ生じます。さらに深刻なのは、このようなことが繰り返されるなかで次第に信頼が失われていっていることです。いずれ新型コロナが収束して社会を立て直すときに一番必要なことは人々の信頼です。 ーーメディアの発信について 感染流行が長く続き閉塞感のあるなかでは明るいニュースがあることは大切で、その観点からオリンピックでの選手の活躍ぶりが報道されたことは良かったと思います。ただ、それまでの感染を伝えてきた内容や報道量から一変した手のひら返しの印象がありました。オリンピックの最中も感染状況や医療体制は悪化を続け、深刻化していましたので、そうした状況を、例えばL字画面などを活用して伝えてほしかったです。 それから、若者の路上飲みを盛んに取り上げていましたが、実態としては、自粛をしている若者のほうが多いのです。東京iCDCが行ったアンケート調査でも20代30代の若年層の約9割はマスクをし、8~9割は密を避け、7~8割は家族以外との会食をひかえるなどして自粛生活を送っています。 これは若い世代だけではありません。居酒屋で大人数でお酒を飲んでいる40代50代の人たちのの映像もそうですが、実際には会食を控えているかたが多い。自宅で食事をしている姿は、絵としては地味かもしれませんが、どれもこれも、このコロナ禍のなかでの現実の姿であって、世の中では起きていることをバランスよく伝えてほしいと思います。

感染症パンデミックは「螺旋」状に推移する災害

ーーコロナ禍の学生の状況は 4年間の大学生活のうち、2年近くがコロナ禍での自粛生活で占められてしまっています。オンライン授業でキャンパスにも行けない、アルバイトもできないという学生が多くいます。実際、全国大学生協連が行った調査では特に新入生が感じているのは「孤独」でした。また、経済的にも厳しい状況になっている学生も増えています。ひとりで抱え込まずに専門機関や周囲の人に助けを求めてほしい。 さきほども述べたように、ほとんどの若い人は感染防止対策を続けています。コロナのパンデミックを乗り越えるために、大切な役割を果たしています。若い人たちが社会貢献への徒労感や政治に不信を抱えたまま社会に出ることは将来の大きな不安要素になりえます。若い人を感染拡大の加害者のように扱うのではなく、感染防止への感謝やねぎらいの言葉を伝えたいと思います。 一方で若い人はレジリエント(しなやかな強さ)でもあります。「僕たちは大学に入ってからずっとこうで、これしか知らない。この生活の中で楽しみを見つける」という学生もいます。コロナが収束したあと、若い人たちのこうしたしなやかな強さが社会を作っていくのだと思います。   ーー今後の感染状況は わたしは感染症学の専門家ではないので詳細なことは答えられませんが、しかし、おそらくは収束までにはまだ時間がかかるでしょうし、「災害」と呼ばれているような状況もすぐには終わらないと思います。感染拡大は全国規模になっていて、病床が逼迫するなか、患者の広域搬送を試みてもどこも受け入れが困難になっているなど、もはや広域災害の様相をみせています。 そもそも、感染症パンデミックは「災害」です。国連防災機関 (UNDRR)は、生物学的ハザードによる感染症パンデミックを、災害として明確に位置づけています。 自然災害は、発生から救出活動、避難所や仮設住宅の設置、復旧、復興と「直線」状に推移していきます。いっぽう感染症パンデミックは感染が拡大したりおさまったりが繰り返される「螺旋(らせん)」状に推移する災害です。誰もが長期に渡って疲弊することになります。 市民からは「せっかく私たちがここまで自粛して時間稼ぎしたのに」という声を聞きます。「時間稼ぎをしているあいだに、政府は有事に対応できる医療システムの検討やロックダウンを行う場合の法整備をしてくれると思っていた。だけど、しなかった」という声です。 「これまでに、誰が、何をすべきだったのに何ができなかったのか」については、検証したうえで今後の教訓として次のパンデミックに活かしていかなければなりません。それとともに待ったなしの深刻な感染状況下にあって、今からでもできる何かを行うには「今」がもっとも早いタイミングです。「公」と「私」それぞれがなすべきことをただちに行うことが必要だと思います。

「ワクチン接種に関する都民アンケート調査結果」

続いて、東京iCDCリスクコミュニケーションチームが行ったワクチン接種に関する都民アンケートの調査結果についても設問ごとに話を聞きました。 (調査:東京都に住所を有する20代から70代までの人にインターネット調査 調査期間:2021年7月16日~7月17日) Q1 あなたは新型コロナワクチン接種を受けようと思いますか 全体の8割が、すでに接種したあるいはこれから接種する、と答えています。20代30代の層でも接種済み・接種したいという人が60~75%います。接種しない人をどうするかという議論も大事ですが、まずは、接種したいけれど予約が取れないという状況の改善が必要です。 Q2 ワクチン接種を受けない理由 接種を受けない理由は「副反応が心配」「健康被害が心配」「効果に疑問」が上位です。これらはどの年代、性別でも多く選ばれていますが、年代があがるにつれて、また女性のほうが、これらを理由に接種しない・接種を迷う傾向が強くなっています。 「注射の痛みがいや」「手続きがめんどう・分からない」「外出がめんどう・時間がない」、また「自分は重症化しない」といった理由は、男性で比較的多く見られます。とくに「感染しても自分は重症化しない」は、20代男性に顕著に多くなっています。デルタ株の置き換わりで若年層でも重症化するリスクが高まっているという客観的事実を伝えていくことが重要です。 ワクチン接種では、効果、副反応を含め、ワクチンに関する知識を得ながら、ご本人が納得して判断することが大切です。ですから、年代、性別に対応しながら、接種に関する意思決定を支援することができるような情報を発信したりしくみを整えたりすることが必要です。また、受けやすい時間や場所で接種できる環境をつくること、予約しやすいしくみを整えることも求められます。 Q5 現在のコロナ対策 マスク着用や手指衛生などしている割合は9割を超えていますが、日中・夜間の外出を控える、県境をまたぐ移動を控えるなどは3月に実施した調査よりも1割程度実施割合が減っています。 自粛が長引くなかで、都民のみなさんが苦労されていることがうかがえます。しかし、感染性の高いデルタ株に置き換わり、その影響があるなかでは、もうしばらく、感染対策を徹底することが必要となりそうです。 Q3 2回接種後の行動はどうなるか マスク、手洗い、換気など8割前後が「変わらない」としていますが、「減る」との回答も5%程度見られます。 家族以外との飲食、日中の外出、県境をまたぐ移動、これらが「増える」とした回答は2割を超えています。ワクチン接種を済ませたら、こうしたことをしよう・できると、楽しみにされています。 ただ、ワクチン接種を終えても、感染リスクはゼロにはなりません。実際、ブレークスルー感染(ワクチン接種後の感染)も世界で確認されていて、基本的な感染予防策を続けることが必要です。 不自由な生活が続く中、QOL(クオリティ オブ ライフ 生活の質)は確かに下がっています。それでも、ライフ=命を守ることが大前提で、ワクチン接種で重傷化・死亡のリスクが下がることはとても大きいことです。 Q4 ワクチンについての考え方 自分や社会のリスクを下げるためにワクチンを打つべきという回答が7割となっています。それとともに、「接種は個人の判断にもとづくべき」「接種できない/しない人を差別してはいけない」と考える人も8割にのぼり、多くのひとがワクチン接種に関する自己決定権を尊重している傾向もうかがえます。 ワクチン接種のインセンティブについては、受け入れやすいものとそうでないものがあることが分かりました。ワクチンを接種した人だけが参加できる飲み会やイベントのようなワクチン未接種者に不利益をもたらすようなインセンティブは、人々は受け入れにくい。 一方、ポイント付与やお見舞いのように利益を分かち合えるようなものについては、比較的、人々は受け入れやすいと言えます。 ワクチンが有効なリスク管理手段であることは間違いありません。社会のなかで接種をどのように進めるのか、これも大きなビジョンをもってコロナ対策のポリシーのもとに位置づくべきものだと思います。

取材を終えて

きょう(27日)から、東京・渋谷では若者向けの予約不要のワクチン接種が始まりましたが、昨夜から行列ができ午前7時半に受付終了になりました。接種に来た若者は「自分たちはワクチンを打たないのではなく打てないんだ」と話していましたが、まさに今回のアンケート結果を物語るものでした。 奈良教授は柔らかな語り口で、災害レベルといわれるこのパンデミックをどう受け止めて、どう乗り越えるのかについてこたえてもらいましたが、そこにはコロナ禍を生きる多くのヒントがあると思います。

  【執筆:フジテレビ報道局 解説委員室室長 青木良樹】 

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政府の「万策尽きた」に違和感 感染症の専門家らが共同声明

https://news.yahoo.co.jp/articles/31440feb198544f6a12487abaa7d8d231780e130

2021/8/27(金) 19:34 毎日新聞

 国内の感染症や物理学の専門家ら科学者約40人が共同で、新型コロナウイルス対策として政府や自治体に対し、感染予防効果の高い不織布マスクの着用を国民に促すことや、適切な換気方法を周知することを求める声明を発表した。代表者の本堂毅・東北大准教授(臨床環境医学)は27日、記者会見を開き「自粛や行動変容だけが感染対策ではない。専門家の知見が十分活用されていないのに、政府や自治体が『万策尽きた』と言うのは違和感がある」と訴えた。 【承認ワクチン3社】接種間隔や年齢、有効性の違い  声明は、空気中に漂う微粒子のエアロゾルが新型コロナの主要な感染経路だと最新の研究から明らかになっていることを指摘する一方、「ウレタン製や布製マスクでは、エアロゾルの吸入阻止に無力だ」と主張。海外ではウレタン製マスクが禁止されている国があることを挙げ、日本でも国や自治体が法的制度を整えたりすることで、不織布製のように高い感染予防効果のあるマスクの着用を国民に促すよう求めた。  屋内ではエアロゾルが長時間、空気中に滞留するが、1時間に2回程度の短時間の窓開けでは十分な換気ができないことや、冷暖房の効果を保つために窓開けすらされていない店舗があることも指摘。人が集まる狭い密閉空間では、空気清浄機や、室温を保ったまま換気できる熱交換換気を活用して、適切に換気をするよう国民に促すことを、国や自治体に求めた。  その上で、声明は「人と人の交わりの場で実効性のある対策がとられれば、必ずしも感染は広がらない」として、人の動きの抑制やロックダウン(都市封鎖)の議論をする前に「効果の明らかな基本(の対策)が徹底されるための措置を速やかに実施すべきだ」と主張した。27日の会見に同席した、医師で法学者の米村滋人・東京大教授は「日本では科学的に合理的な感染症対策が行われているのだろうか」と疑問を投げかけた。

【小川祐希】

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日本のお粗末なコロナ対策の犯人は誰なのか

https://news.yahoo.co.jp/articles/4d26f46c521b33cd7539c6b060f726cf46e3005d

2021/8/28(土) 15:04 Newsweek

政府が悪いと言いたくなるがそれは思考停止。どこがどう悪いのかを知り改善できることを検討せよ【河東哲夫(本誌コラムニスト・元外交官)】

財務省も悪気があって支出を渋っているのではないが YURIKO NAKAOーREUTERS

新型コロナ禍での東京パラリンピックが始まった。外国の選手や役員に感染が続発したら病床を確保できるのか? その時の通訳はどうする? ボランティアに生命の危険を冒させるのか──。 【画像】自衛隊機が撮影した沖縄空域飛行の中国機と飛行ルート 思考が麻痺、あるいはIPC(国際パラリンピック委員会)にろくにものを言えないから、危ないと分かっていてもそのまま突っ込む神風パラリンピック。「政府が悪い」と言いたくなるのだが、それもまた別の形の思考麻痺だ。 民主主義の歴史が浅い日本では政府と言えば「お上」か「敵」かの両極端で、自分たちがつくったもの・使うものという意識が足りない。コロナ対策についても、政府のどこがどう悪いのかを調べないと問題の解決にはつながらない。 まず、政府のやることはどうしてこんなにのろく、生ぬるいのか。政府、つまり各省庁の手は、大きく言って法律と予算に縛られている。戦前の専制政治を繰り返さないため、戦後の政府はその力を大きく制約されている。 感染症でロックダウン(都市封鎖)でもしようものなら、それを正当化する憲法・法律の条項がないために、政府は補償要求の訴訟で負け続けるだろう。 そして現在の法律の限られた範囲で緊急事態を宣言しても、それは飲食店への休業補償金支給などを意味するから、中央と地方の財政をつかさどる財務省と総務省の了承を得なければならない。 だが国の予算は使途がきっちり決まっているので年度の途中には出しようもなく、特別立法で補正予算でも取っておかないと迅速・柔軟な対応はできない。仮に予算が確保されても実際に支出するにはゴマンという資料を作って財務省を説得しなければならない。緊急事態も首相の一存ですぐ宣言、というわけにはいかないのである。 財務省も悪気があって支出を渋っているわけではない。二言目には財政黒字化の必要性を叫ぶ財務省ですら、実際には一般会計の歳出約107兆円の約41%を国債発行で調達しているのが実情だ。 今回のコロナ禍で病床も医師も不足する足りないづくしになったのは、戦後、結核を撲滅したからと言って感染症に対処する体制、つまり隔離病棟や全国の保健所をミニマムにまで縮小してきたためだ。 その犯人は予算を削った財務省と言いたくなるのだが、それもまた財務省には酷な話だと思う。筆者も、膨れ上がる一方の医療費を賄うためには不要な歳出の整理が必要だと思っていたし、それは日本の社会がほぼ一致して認めてきたところだろう。

「一億総ざんげ」するしかないのか?

となると、お粗末なコロナ対策に特定の犯人はおらず、社会全体の責任、一億総ざんげすべし、ということになる。だが、それではらちが明かない。今の体制の中で変えられるところを早急に変えていくのが、政府の腕の見せどころなのだ。 例えば、感染症病棟や集中治療病床に瞬時に衣替えできる医療施設を確保する、機器購入など必要な費用に助成金を出す、などだ。 ニュースを見ていると、保健所が患者や病院との連絡で修羅場になっているが、「有事」に保健所の人員を速やかに確保するためには、医師・看護師・職員のOBを「予備役」としてプールしておく。そして開業医も有事の「予備役」としてネットワーク化しておく。平時の患者を周囲の病院にカルテ付きで委任して、開業医自身は大病院で感染症患者の診療に当たれるように研修もしておく。 これらは既に一部着手されているが、そこまで来るのに1年以上もかかっている。このスピード感のなさ……。だからやっぱり「悪いのは政府!」だろうか。

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ワクチン副反応対策で注目 「鎮痛剤」の基本知識を薬剤師が解説

https://news.yahoo.co.jp/articles/81a42bfc093a7ccea47e9bda189d84da84023c61

2021/8/26(木) 6:15 デイリー新潮

 新型コロナワクチンの接種が進むとともに、副反応への対策として市販の痛み止め薬を買う人が増え、店頭では品薄状態になっているとも伝えられている。 【図表】薬剤師に相談するメリットとは “意外な病気”が発見された事例の一覧  特に入手が難しくなっているといわれるのが、アセトアミノフェンという成分の鎮痛薬(商品名:「タイレノールA」など)だ。しかし、厚労省はアセトアミノフェンだけでなく、イブプロフェン(商品名:「イブ」、「リングルアイビー」、「ナロンメディカル」など)、ロキソプロフェン(商品名:「ロキソニンS」など)といった成分の鎮痛薬も副反応に使用してよいとしている。そうとなれば、入手しやすさはぐんと上がるだろう。ワクチン副反応対策で注目が集まる「鎮痛剤」。薬選びは「商品名」でなく「成分名」が大事。市販の痛み止めで、おさえておきたい四つの成分

新型コロナウイルスと鎮痛剤をめぐる騒動については、以下の関連記事を参照)  関連記事:〈新型コロナ〉“飲んではいけない鎮痛薬”? 真偽を薬剤師が解説  https://www.dailyshincho.jp/article/2021/07070615/  選択肢が多いことは、店頭での品切れ、パニックといった状態をなくすには良いことだが、一方で「何を選べばいいのか」「どう違うのか」と迷う方もいるかもしれない。  先日は元SMAPメンバーでタレントの中居正広(49)が、副反応対策のため鎮痛剤をドラッグストアで探し、パッケージに「生理痛」と書いてあるのを見て“自分が飲んでよい薬なのか”を薬剤師に確認したとラジオで発言して話題となった。  そもそも鎮痛剤とはどういう薬なのか。薬剤師としてブログやSNSで消費者向けの情報を発信している久里建人さんの著書『その病気、市販薬で治せます』から、鎮痛剤について一般消費者が知っておいて損はない基礎的な解説を以下、引用して紹介しよう。  なお、市販薬は同じブランドのシリーズでも商品によって成分が異なることがあるため、購入の際には必ずパッケージに表示された成分を確認することをお勧めする。店頭の薬剤師に相談する際には、ワクチンの副反応対策という用途とあわせて、希望があれば商品名よりも成分名を告げたほうが確実だ。

薬選びは「商品名」でなく「成分名」が大事

店頭の薬剤師に相談する際には、ワクチンの副反応対策という用途とあわせて、希望があれば商品名よりも成分名を告げたほうが確実 (※写真はイメージ)

 体調不良で向かったドラッグストアの薬売場で、愕然(がくぜん)とした経験はありませんか。何なんだ、この種類の多さは……、と。  ドラッグストアの薬売場では、そのあまりの種類の多さに立ちすくみ、パッケージを見比べながらウンウン唸っているお客さんをよく見かけます。市販薬はとにかく種類が豊富です。似たような効果の薬だけでも数十種類あり、薬選びに困るのは当然です。  たとえば解熱鎮痛剤と呼ばれる痛み止めの商品は、厚労省から製造承認が下りているもので現在400種類以上はあります。正直にいえば、ドラッグストアの薬剤師でさえ「聞いたこともないような薬」がごまんとあるのです。  では、薬剤師はどのように薬を見比べ、評価しているのか。着目するのはもちろん「成分」です。お客さんから聞かれた際にも、薬の成分を知っていればその特徴をある程度答えることができます。それに、実は市販薬の成分には、ジャンルごとにいくつかの“パターン”があるのです。そのパターンを知っていれば、薬の特徴は一目瞭然です。  違いがなさそうで、意外とあるのが市販薬。個々の薬の知識を通じて、市販薬選びの“心構え”を提案していきたいと思います。

おさえておきたい四つの成分

 市販の痛み止めには、おさえておきたい四つの成分があります。伝統派の【アセチルサリチル酸(アスピリン)】、新興勢力の【イブプロフェン】と【ロキソプロフェン】、穏健派の【アセトアミノフェン】です。他にもあるのですが、これらの成分が鎮痛薬市場の四大勢力といっていいでしょう。この四つを知ることで、初めて「痛み止め」という広大な地図の全体像が見渡せます。ひとつずつ見ていきましょう。バファリンとイブ、どう違う? 花粉症薬、何が一番いい? じつは処方薬と同じ薬? 定番の常備薬から、水虫薬、痔の薬、発毛剤、精力剤など人には言いにくい薬まで、最新の成分と実際の効能を薬剤師が徹底解説

 アセチルサリチル酸は1897年にドイツで開発された、昔ながらの痛み止めの代名詞です。ヤナギの木の抽出物を分解したサリチル酸を元に作られた成分で、高い鎮痛作用が評価され、世界中で使われるようになりました。今でも日本の病院で使われている薬ですが、現代においては痛み止めというよりも、血栓をできにくくする薬(抗血小板薬)として認知されています。代表的な市販薬には「バファリンA」がありますが、アセチルサリチル酸だけを鎮痛成分として配合した薬は今やかなり少数で、同じバファリンシリーズでも「バファリンプレミアム」はアセトアミノフェンとイブプロフェンの配合薬でアセチルサリチル酸は使われていませんし、「バファリンEX」はロキソプロフェンが成分です。 (記事注:アセチルサリチル酸(アスピリン)は、厚労省がワクチンの副反応に使えるとした「非ステロイド性抗炎症薬」に属します。米国疾病予防管理センターのサイトでは、医師に相談した上で副反応に使える成分として、イブプロフェン、アセトアミノフェンとともに紹介されています)  これに対して商品数が多いのは、新興勢力の【イブプロフェン】という成分です。イブプロフェンはアセチルサリチル酸(アスピリン)の弱点を克服するために作られた薬です。その経緯を簡単に紹介します。  イブプロフェンは、イギリスのブーツ社で作られました。発見したのはスチュワート・アダムスさんという薬剤師で、同社の研究部門に身を置いていました。  その頃の彼の仕事は、副作用が少なく効き目の高い関節リウマチの薬を作ることでした。当時はアスピリンが鎮痛薬として有名でしたが、大量に摂取すると重篤な副作用が生じることがあったため、イギリスでは1950年代には人気を失っていたのです。  そのためアダムスさんは、アスピリンに代わる、副作用の少ない鎮痛薬を作るための研究を重ねました。10年越しの研究の末、開発された成分は【イブプロフェン】と名付けられ、1961年に特許を申請、その8年後に病院用の処方薬として発売されます。市販薬としてドラッグストアで売られるようになったのは1983年のことで、アメリカでも翌年から市販化されました。アダムスさんは2019年1月に95歳で亡くなりましたが、その物語はBBCのニュースにもなり、世界を変えた鎮痛剤の発見が称えられました。なお、これほどの快挙を成し遂げたアダムスさんではありますが、生前に会社から支払われた特許料は1円もなく、「この薬で損をしたのはたぶん自分だけだろう」と冗談のように語っていたそうです。  イブプロフェンは日本では頭痛・生理痛薬の成分として、「イブ」シリーズをはじめ多くの商品に使われています。イブプロフェンを配合した鎮痛薬には「アダムA錠」という商品もありますが、これが開発者アダムスさんからとられた名前なのか、それとも先行商品「イブ」から“アダムとイブ”の連想でつけられた名前なのかはメーカーに問い合わせても分かりませんでした。

日本人には定番の「ロキソニン」、穏やかな「アセトアミノフェン」

 もう一つの新興勢力は【ロキソプロフェン】。「ロキソニンS」等の成分です。これもまた、胃への副作用が少ない痛み止めとして開発されました。  ロキソニンは“内弁慶”な薬です。開発したのが日本の製薬企業ということもあり、日本国内では幅を利かせた存在ですが、国外に出ると存在感はほぼありません。2018年時点で中国やベトナム、タイなど海外27カ国の市場に出ていますが、先述の【イブプロフェン】の代表的な製品である「ブルフェン」が米国・英国をはじめ90カ国以上で承認されているのと比べると、その販路は非常に限定的です。私自身、海外のドラッグストアで「ロキソニンを下さい」と聞いても、「それは何の薬ですか?」と首をかしげられた経験が何度もあります。  世界保健機関(WHO)が効果や経済性などを総合的に評価した必須医薬品モデルリスト「WHO model list of essential medicines」の2019年版にも、アスピリンもイブプロフェンもアセトアミノフェンも入っていますが、ロキソプロフェンはありません。だから薬として劣っているというわけではありませんが、海外では入手困難なので、鎮痛薬を購入したい場合はイブプロフェンなどで代替する必要があるでしょう。  さて、最後の派閥である【アセトアミノフェン】は、誕生は1800年代と古い成分ですが、痛み止めとして世界的に使用されたのは1949年以降とされています。アセトアミノフェンは穏健派の薬です。今まで見てきた三つの薬と違い、胃への負担の心配がなく、何より胎児や小さな子供への影響が少ないことから、妊婦さんやお子さんにも使いやすいという特徴があります。医療用の薬はカロナールといい、代表的な市販薬には「タイレノールA」があります。  アセトアミノフェンの欠点は、炎症を抑える効果が弱いことです。他の3つの痛み止めが炎症と痛みを両方取り除く効果のある成分であるのに対して、アセトアミノフェンには炎症を抑える作用はほとんどないと考えられています。そのため市販薬においては、関節痛や歯の痛みなどの炎症を伴う痛みには、別の薬を選ぶ方が好ましいとされています。また、効果もマイルドです。アセトアミノフェンはある程度の量を飲むと高い鎮痛効果を得られることが分かっていますが、日本の市販薬に配合されるアセトアミノフェンの量は抑えられているので、医療従事者からすると「え? これしか入ってないの?」と思うことでしょう。他の痛み止めと比べると、効果で見劣りするかもしれません。  いかがでしょうか。どれも同じように見えて、実は成分ごとの違いはさまざまです。そして、多くの市販の鎮痛薬は、四大成分のいくつかが併せて配合されていたり、さらに別の成分が追加されていたりして、とても複雑です(複数の成分を掛け合わせることで効果が増強されると考えられているためです)。なかなか簡単な比較はできないからこそ、断片的な情報で自己判断するより、薬剤師・医薬品登録販売者に「これとこれは何が違うの?」と個別に聞くことをお勧めします。

デイリー新潮編集部 2021年8月26日 掲載

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モデルナ製ワクチンに異物 一部使用中止に

https://news.yahoo.co.jp/articles/90b13b98ed003aea161cc70c71e65a746dc1673b

2021/8/26(木) 6:18 日テレNEWS24

厚生労働省は、異物の混入が見つかったとして、モデルナ製の一部のワクチンの使用を中止すると発表しました。 厚生労働省によりますと、今月16日以降、モデルナ社の一部のワクチンに異物が混入しているという報告が、東京都・埼玉・茨城・愛知・岐阜の各県の職域接種と自治体による大規模接種、あわせて8つの会場から、あわせて39件、武田薬品工業に寄せられたということです。 異物が見つかったのは、スペインの「ロビ」という会社の工場で作られた同じ「製造ロット番号」のものだったということで、それと同時期に同じ製造ラインで作られた2つのロットを含め、3つのロット番号のあわせて約160万回分について、使用を中止するよう呼びかけました。この160万回分は、全国の863の会場に納入されていて、それらの会場には26日、連絡するということです。 各接種会場では、それぞれのワクチンの小瓶について、異物混入がないか確認してから使うことになっていて、今回の異物は、その段階で見つかったため、異物入りのワクチンを打った人は確認されていないということです。 一方、それらのロット番号のワクチンの一部は、既に接種に使われていますが、厚労省は、今のところ、健康被害の報告はないとしています。 異物が何であるかは調査中ですが、これまでに、ゴム片が混入した例が海外で報告されているということです。厚労省は、「製造過程で、ワクチンの小瓶に、ゴムの栓をとりつける際に、ゴムのかけらが入り込むことは、ほかのワクチンでも報告されている」と述べ、仮にゴム栓の場合、滅菌されている上、このワクチンは、静脈ではなく筋肉に打つため、異物で血管がつまるリスクはないと考えられると説明しています。 厚労省によりますと、日本向けのモデルナ社のワクチンは、すべてスペインの「ロビ社」の工場で製造されており、この工場ではこれら3つのロット番号のワクチンを製造した後の時期に、大規模なメンテナンスを行っていて、その後に作られたワクチンについては、問題がないとみて、使用を中止していないということです。 また、3つのロット番号のワクチンを既に接種した人に、個別に連絡することは想定していないということで、心配な場合は、かかりつけ医などに相談してほしいと述べました。 厚労省は、これらのワクチンの使用中止によって、接種予定が遅れるなどの影響を最小限にするよう、代替のワクチンを供給するとしています。

<使用中止のモデルナワクチンのロット番号> 3004667 3004734 3004956

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首相「明かりはハッキリ見え始めた」…ワクチンはデルタ株にも有効と強調

https://news.yahoo.co.jp/articles/bf8202d737d64169757f5bc2ab3a0e02594dbc42

2021/8/25(水) 21:55 読売新聞オンライン

 菅首相は25日夜、新型コロナウイルス対策として緊急事態宣言の追加発令などを決めたことを受け、首相官邸で記者会見した。首相は「国民の協力をいただきながらこの危機を何としても乗り越えていく」と述べた。そのうえで、1兆4000億円の予備費の使用を週内に決定することを明らかにした。 【動画】菅首相の似顔絵入り湯飲み、寄せられた注文数は何と…!

 首相は、ワクチンはインド由来の変異ウイルス「デルタ株」にも効果があると強調し、接種率が向上していることから「明かりははっきりと見え始めている」と指摘した。宣言の期限となる9月12日での解除については、ワクチン接種の状況や重症者数、病床使用率などを踏まえて判断する考えを改めて示した。

 衆院解散については、「選択肢は非常に少なくなってきている。あくまでも新型コロナ対策を最優先するとたびたび申し上げてきている。そういう中で判断していきたい」と述べた。衆院選前の党役員人事については、「まったく白紙だ」と語った。

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全国初 新型コロナ軽症・中等症の入院患者を受け入れる地域中核病院が破綻 友愛会(大阪)が民事再生

https://news.yahoo.co.jp/articles/d6385d0fb6a41190c6b47a7f57454ea2a747257a

2021/8/27(金) 18:48 帝国データバンク

 医療法人友愛会(社団)(TDB企業コード:586748728、資産の総額241万8400円、大阪府大阪市福島区海老江2-1-36、理事長松本直彦氏、従業員185名)は、8月26日に大阪地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日弁済禁止の保全処分および監督命令を受けた。  申請代理人は坂川雄一弁護士(大阪府大阪市北区西天満4-8-17 宇治電ビルディング11階、はばたき綜合法律事務所、電話06-6363-7800)ほか3名。監督委員には阿多博文弁護士(大阪市中央区高麗橋3-1-14 高麗橋山本ビル5階、弁護士法人興和法律事務所、電話06-4707-6206)が選任されている。  当法人は、1938年(昭和13年)創業、55年(昭和30年)8月に法人改組した大阪市福島区内で「松本病院」を運営する医療法人。内科、外科、脳神経外科、整形外科、循環器内科、心臓内科、形成外科など幅広い診療外来を設置し、本館周辺に複数の病棟を開設。24時間の救急医療にも対応するほか、関係会社を通じて特別養護老人ホームの運営にも乗り出していた。手術室や集中治療室の刷新、MRIなど先進医療機器の導入なども図っていたが、そうした設備投資に伴う借入金が重荷になり資金繰りが悪化。2002年には借入金が整理回収機構へ譲渡される事態となっていたが、2013年に金融取引を正常化させるとともに、2015年10月には新病棟を完成させた。  病床数は一般病棟93床・回復期リハビリテーション病棟49床・地域包括ケア病棟44床・ハイケアユニット13床の計199床にのぼり、さらに院内には検体検査、生理検査、内視鏡検査、X線検査などを行う医療設備を設置。地域の中核病院としての役割を担い、手術執刀件数の増加や手術単価の上昇に加え、90%を超える病床稼働率を確保した2020年3月期は年収入高約27億5300万円を計上し、経常段階で約1億6700万円の利益を確保していた。  しかし、新病棟開設に伴う先行投資負担が重く、取引金融機関からは返済猶予を受けていた。2020年12月には当病院で、病棟看護職員をはじめ入院患者、病棟職員が新型コロナウイルスに感染していることが判明。外来患者数が大きく落ち込むなか、2021年1月からは緊急事態宣言下における新型コロナウイルス患者受け入れ病床不足の解消に向けて大阪府から強い要請を受け、一部の病床を軽症・中等症対応としていたものの、これにより外来患者数は一層落ち込み、さらに人件費など経費負担が増加したことで資金繰りがひっ迫。スポンサー支援を受けて再建を目指すこととなった。  負債は約52億円。