https://news.yahoo.co.jp/articles/089dcb9866b48bf57397965ca6de984f0a74fcd8
2020/12/30(水) 9:26 日刊ゲンダイデジタル
東大の研究チームが12月に「Go To トラベル(以下、Go To)」の利用と発熱などの症状の関連を調査した研究が話題になった。 それは約2万5000名のアンケート調査を解析し、回答前1カ月間に新型コロナウイルスの感染が疑われる5つの症状を経験したかどうかと、「Go To」の利用との関連を解析したもので、5つの症状のすべてで「Go To」利用者の発症割合が高かった。 ただし、東大の論文では、それがコロナ感染かどうかの確認はなされていなかった。 続いて発表されたのが「2020年8月か9月に旅行に行った者は新型コロナウイルス感染と診断されやすかったか?」という論文。 この論文は経済産業研究所のホームページ上で発表されたもので、同研究所で行われた「新型コロナウイルス流行下における心身の健康状態に関する継続調査(研究責任者=宗未来・東京歯科大学准教授)」のデータの一部を用いて解析が行われた。 この論文がさらに踏み込んでいるのは、「コロナにかかったと医療機関で診断されましたか?」と直接確認した点だ。 そのほか「今年の8月か9月に1泊以上の旅行に行ったかどうか」「過去1カ月にコロナに関係する症状(発熱、咳、喉の痛み、だるさ、息苦しさ、味覚・嗅覚の障害、下痢)を経験したか」などを質問しており、全国から1万6642名の有効回答を得た。 さまざまな調整を行って解析したところ、8月か9月の1泊以上の旅行と、コロナ感染の診断との間には、統計的に有意な関係性がみられた。「コロナ感染が診断された」という人は、旅行をしていない人では0.4%だったが、旅行をした人では1.8%。7つの症状はいずれも旅行した人で割合が高かった。「コロナ治療中」の回答者は、旅行していない人では0.1%、旅行した人では1.2%。 「この結果は旅行とコロナ感染の因果関係を示すものではなく、旅行をする人はコロナ感染リスクが高い行動も取りやすい可能性や、旅行先で開放的になり密な環境での外食などのリスク行動を取りやすい可能性があるなど、慎重な解釈が必要です。ただ、数値で有意差がみられたことは確か。この調査は第1回目で、2021年10月末まで同じ人を対象に計5回行います。すべての結果がそろえば、もっとはっきりしたことが言えるかもしれません」(共著者の関沢洋一経済産業研究所上席研究員) やはり長距離の移動は避けたい。