Categories
感染症ニュース

急患がまさかのコロナ クラスター発生、院内感染の教訓

https://news.yahoo.co.jp/articles/9828712f17716b926fcde3040b3906cc7dbfaaca

7/24(金) 10:25配信 西日本新聞

 「患者は平熱。コロナとは疑わなかった」。新小文字病院(北九州市門司区)の白石慈一事務長(36)が、かつてない緊張に包まれた数カ月前の日々を振り返る。 【動画】「涙が出た」コロナ終息願う動画、ネットで話題に  3月16日夜、階段で転倒した80代男性が救急搬送されてきた。男性は左目を切るなどの外傷があったが、熱はない。高度治療室(HCU)で処置を受け、そのまま入院することになった。  数日後、男性は発熱。しばらく上がり下がりしたものの、当時の相談目安とされていた「37・5度以上が4日以上」には至らなかった。一変したのは29日ごろ。38度以上が続き、コンピューター断層撮影(CT)で調べると、肺炎らしき影が見えた。「まさか…」  PCR検査で男性の新型コロナウイルス感染が分かり、医師や看護師ら19人も次々に感染が判明。同院は31日夜から約1カ月、新規外来や急患の受け入れを休止した。福岡県で初めての病院でのクラスター(感染者集団)発生だった。  「3月中旬は県内の感染者は少なく、男性の発熱は転倒の影響と考えた。職員の対策はマスク着用など一般的なもの。防御は甘かった」と白石事務長は言う。  同院は再発防止に向け、感染の疑いがある人の動線を分ける「ゾーニング」を徹底。入り口で看護師が検温し、発熱患者は外に造ったプレハブの「特設外来」で診察する。救急患者も熱があれば救急搬入口近くのベッドに運び、周囲は感染防護をした職員以外の立ち入りを禁じている。  感染者には無症状の人が少なからずいる。受付にはカーテンレールと釣り糸で透明のシートをつるし、飛沫(ひまつ)対策を講じた。患者と接する職員は医療用マスクやゴーグル、長袖ガウンを着用。医療資材の品不足に備え、普段はシャワーキャップやポリ袋を使った手作りガウンを身に着ける。「暑い日は、ビニールが汗で体にまとわりつく。自作にも限界があるが、今では無症状の感染者がいてもある程度対応できる」。感染管理認定看護師の小塙隆広さん(46)が説明する。  同院で感染者発見の決め手となったのはCTだった。もし、CTに兆候が表れなかったら-。

感染判断待てぬ救急

 新型コロナウイルス感染の可能性を早期に見極めるため、結果判明まで時間を要するPCR検査のほかに、医療機関ではコンピューター断層撮影(CT)が活用される。ただ、感染が疑われる患者でも、兆候が表れないケースもあった。  「衝撃的だった」。門司メディカルセンター(北九州市門司区)の蜂須賀研二院長が打ち明ける。  5月23日未明。60代女性が腹痛や発熱を訴え、救急車で運び込まれた。福岡県の緊急事態宣言解除から9日後のこと。「コロナかもしれない」。当直医と看護師はフェースシールドや医療用マスク、ガウンなどのフル装備で対応し、念のために胸部をCTで検査した。女性に肺炎などの兆候はなく、発熱病床で様子を見ることになった。  午後、けいれんを起こした女性を高度治療室で処置。口から医療器具を入れて気道を確保し、たんを吸引すると唾液のしぶきが飛び散った。医師や看護師はマスク、ガウンは着用していたがフェースシールドは着けていなかった。  翌々日、女性のPCR検査結果でコロナ感染が判明。濃厚接触した医師や看護師ら10人も陽性だった。  集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」では、無症状患者82人のうちCTで肺炎の所見があったのは54%-との報告があり、日本医学放射線学会は「胸部CTで異常所見を認めないことが、感染を否定するものではない」と提言していた。  「時間的な余裕がなく、警戒レベルを1段階下げてしまった。CTを過信した反省はある」。蜂須賀院長は振り返った。  感染予防と迅速な治療をどう両立するか。一分一秒が患者の命運を分ける救急医療の現場は、悩ましい課題に直面する。  患者や家族、職員ら37人が集団感染した福岡記念病院(福岡市早良区)。年間約5500件の救急搬送を受け入れる。急患が増えるほど感染リスクも高まる。同院では独自にPCR検査機器を購入、手術前の患者を調べる。スタッフの安心感にはつながるものの、結果判明には時間がかかる。  上野高史院長は「緊急手術の際、PCR検査の結果は待てないので事後確認になる。感染の疑いがあるという前提で、防護具の着用や消毒を徹底するしかない。対策がおろそかにならないようにしたい」と話す。  院内感染は、専門病院でも起きた。感染症指定医療機関の福岡徳洲会病院(同県春日市)では、コロナ感染者はウイルスが外に漏れない「陰圧室」に入院。一般患者との動線を分け、職員は感染防護具の着脱訓練をするなど万全の感染防止策を講じていた。  4月上旬。コロナ対応とは別の病棟に入院していた患者が退院後、体調不良で再び来院した。CTでは胸部にコロナとみられる肺炎像が見つかった。応対した病棟の職員らもPCR検査を受け、最終的に12人の感染が判明した。ただ、この患者がいつどの時点で感染していたのか、感染源となったのかは不明なままだ。「どこから感染が広がったのか。コロナは別の病気に紛れてくる」。看護師の伊藤恭子感染管理室長は感染予防の難しさを明かした。  同院では患者の容体に合わせて病床を移す「ベッドコントロール」を最小限にし、接触者を減らすよう配慮。職員用の休憩室も入室人数を制限するなど「3密」回避を徹底している。  院内感染が報じられると、コロナと無関係の患者の転院でも、他の医療機関から断られることがあった。伊藤室長は「風評被害や認識のずれによって、地域医療は簡単に破綻してしまう。医療機関も互いに正しい情報を共有する必要がある」と語った。 (山下真、斉藤幸奈、内田完爾)

Categories
感染症ニュース

コロナ病棟の看護師2人陽性、院内感染か マスク拒否の患者に対応も/千葉県船橋市

https://news.yahoo.co.jp/articles/3f39cda5d684a656ce114fcbfe1c76bd8f8cbdb6

7/29(水) 7:03配信 千葉日報

 船橋市は28日、臨時会見を開き、新型コロナウイルス感染患者を受け入れる同市立医療センター(同市金杉1)で、コロナ患者の専用病棟で勤務する女性看護師2人が、コロナに感染したと発表した。経路について市は「院内で感染した可能性がある」とみている。専用病棟で勤務する看護師らへのPCR検査を行い、院内の感染管理対策を徹底した上で、医療については今後も継続する。  感染した女性看護師は、いずれも同市在住で30代と20代。30代看護師は小学生の娘の感染も判明した。  市によると、30代看護師は21日朝、のどの痛みがあったが出勤。夜になって発熱した。22日に医療機関で受診し、へんとう炎と診断され薬を処方された。  その後ものどの痛みが続き、25日に別の医療機関で受診。26日には医療センターで受診して検体を採取。27日のPCR検査で陽性と判明した。  21日に院内の休憩室で一緒に昼食を取った20代看護師が濃厚接触者として27日に検査を行い、感染が判明した。30代看護師は22日以降出勤しておらず、20代看護師は25日以降の出勤がなかった。  同センターでは、患者に対応する際、マスクと防護服、フェースシールドを着用しているが、30代看護師は21日出勤の数日前、マスクと防護服を着用した状態でコロナ患者に聞き取り調査を実施。患者の高齢男性はマスク着用の依頼に応じず、聞き取り調査は30分以上に及んだという。  同センターは3月以降、延べ61人のコロナ患者を受け入れており、現在受け入れ可能な32病床のうち、14人が入院・療養している。

Categories
感染症ニュース

北播磨総合医療センターの前病院長、公務中に新型コロナ感染で死亡 公務災害に認定

https://news.yahoo.co.jp/articles/632891b80853134ecfd17d18b38524a3f237d020

7/28(火) 5:00配信 神戸新聞

 今年3月、医師や看護師ら4人が新型コロナウイルスに感染した北播磨総合医療センター(兵庫県小野市市場町)で、前病院長で神戸大名誉教授だった横野浩一さん=当時(72)=が公務中に同ウイルスに感染し、死亡したとして、地方公務員災害補償基金兵庫県支部が公務災害に認定していたことが分かった。新型コロナウイルスに関して、6月に全国で初めて公務災害が認められた公務員の一人という。 【写真】「心から愛しています」横野さんがラインで家族に伝えた最後の言葉  神戸新聞の取材に、遺族が明らかにした。認定は6月5日付。  横野さんは3月5日に外来で患者の診療をした後、同6日に発熱して9日に入院。10日にPCR検査で陽性が判明した。肺炎を起こすなど重症化したため神戸市内の病院に転院し、治療を続けたが、4月25日に亡くなった。  長女の伏谷由佳さん(36)=大阪府=は「当初は、父が病院に感染症を持ち込んだとされ、風評被害も受けたが、仕事中に感染したとして公務災害が認められてほっとしている」と話している。死亡時は死因を明らかにしていなかった。  横野さんは老年医学の権威。神戸市出身で1997年に神戸大医学部教授となり、2009年からは同大副学長を務めた。13年には三木市民病院と小野市民病院の統合で誕生した北播磨総合医療センターの初代病院長に就き、地域の高度急性期医療の確立に尽力した。(小西博美)

Categories
感染症ニュース

新型コロナ、19年夏に発生していた可能性 研究

https://www.jiji.com/jc/article?k=20200610040179a&g=afp&utm_source=yahoo&utm_medium=referral&utm_campaign=link_back_edit_vb

2020年06月10日15時40分 時事ドットコムニュース

【ワシントンAFP=時事】中国・武漢市内の病院の訪問者数、および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状に関する同市からのインターネット検索数の急増から、2019年8月には新型コロナウイルスの流行が始まっていた可能性があることが分かった。米ボストン大学とハーバード大学の研究チームの予備調査で示唆された。(写真は資料写真)

米コロナ、8月下旬に「第2波」 10月までに死者17万人―米大予測

 査読のある専門誌にはまだ掲載されていない今回の研究論文は、比較的新しい分野である「デジタル伝染病学」に基づいている。
 ボストン大のイレーン・ゾイジー氏率いる研究チームは、2018年1月から2020年4月に撮影した武漢市の衛星写真111枚を分析。また、中国のインターネット検索エンジン百度で特定の症状が検索された頻度も調べた。
 研究チームによると、武漢市内の病院の駐車場に止められた車の数が「2019年8月から急増し始め」、その数は「2019年12月にピークを迎えた」という。
 また百度については、「せき」の検索数は例年のインフルエンザの流行に合わせて増加していたため、よりCOVID-19に特有の症状とされる「下痢」の検索数を調べた。この結果、8月に増加がみられたことが分かった。これはこれまでのインフルエンザの流行時期にはみられなかった現象であるとともに、せきの検索データとも異なったという。
 COVID-19では呼吸器の症状が最も一般的とされているが、今回の研究は下痢が「市中感染において重要な役割を果たした可能性がある」と示唆している。
 研究チームは、今回のデータが新型コロナウイルスと明確に関連していることを確認することはできなかったが、別の研究結果を支持するものであると結論付けている。著者らは「今回の調査結果は新型コロナウイルスが中国南部で自然発生し、武漢市で集団感染が起こった時には既に広まっていた可能性があるとする仮説を裏付けるものである」と指摘している。【翻訳編集AFPBBNews】

Categories
感染症ニュース

デング熱、空前の大流行 コロナ影響か シンガポール

https://news.yahoo.co.jp/articles/867ca7530a1a1baa59c0af8ca324f1bc351d4fab

7/27(月) 7:13配信 時事通信社

 【シンガポール時事】新型コロナウイルスの感染拡大が続くシンガポールで、熱帯感染症のデング熱も大流行し、感染症の「二重苦」に見舞われている。 【写真特集】デング熱  医療現場への負担は重く、政府は両にらみで対策に当たる。デング熱流行には新型コロナも影響したようだ。  国家環境庁は「今年のデング熱感染者数は2013年に記録した過去最多(2万2170人)を上回るだろう」と警告した。高熱や関節痛を発症し、重篤化すると死に至る。死者は過去最多の25人を超える勢いだ。  気温が高めでウイルスを媒介する蚊が繁殖しやすかったほか、新型コロナもデング熱まん延を助長。人口約570万人の小国で、新型コロナ感染者は累計5万人規模に上る。「コロナ対策で多くの人が在宅勤務となった結果、蚊に刺される機会が増えた」との指摘がある。作業が休止した建設現場に水たまりができて蚊が繁殖した可能性もある。  政府はデング熱対策として、殺虫剤散布を拡大。今月15日からは蚊の繁殖を見逃した世帯や建設事業者への罰則を強化した。特殊な細菌に感染させた雄の蚊を放つ作戦も展開している。交配した雌の卵のふ化を妨げる効果があるという。  ある医師は、インフルエンザの流行やヘイズ(煙害)も発生すると「四重苦」となり、医療現場が危機的に逼迫(ひっぱく)すると警戒を呼び掛けている。 

Categories
感染症ニュース

コロナの死亡率「世界でこんなに違う」藻谷氏の考察

https://news.yahoo.co.jp/articles/c39efcac0ab073b2b9d123d20b69ab3f9da69538

7/27(月) 9:30配信 毎日新聞

 国ごと、地域ごとの感染状況に著しい差のある、新型コロナウイルス。加えて注目されるのが、死亡率(=陽性判明者数に対する死亡者数)にも、場所によって極端な違いがあることだ。このウイルスの、本当の怖さはどのようなものなのか。地域エコノミストの藻谷浩介さんが読み解きます。【毎日新聞経済プレミア】  ◇「Go To キャンペーン」は大丈夫か  新型コロナウイルスの感染は、地球規模で拡大中である。毎日新たに陽性と判明する人の数は、20万人を超えるようになった。ちなみに、その3分の1にあたる6万人以上が米国民だ。日本国内でも、これまでで最悪だった4月中旬と同程度まで再び増加している。  そんなところに、東京都の発着を除くとはいえ、「Go To キャンペーン」など仕掛けて大丈夫なのだろうか。官邸の発想を代弁すれば、最近の陽性判明者には重症化しにくい若い世代が多いこともあり、全国を見渡して考えれば医療機関にはまだまだ余裕がある、ということなのかもしれない。入院者数(ホテルなどへの隔離含む)は、一番多かったゴールデンウイークのころの3分の1で、しかも多くの県ではゼロか数人だ。毎日の新規陽性判明者数も、人口当たりに直せば世界平均よりはるかに低く、主要7カ国(G7)の中では引き続き最低水準なのである。  他方で、この機会に大都市の接待型飲食店を訪れた客が、地方にウイルスを持ち帰る危険は否めない。それに次ぐのが、大都市からの客が地方の接待型飲食店にウイルスを持ち込む危険である。そこに実効的な歯止めをかけないまま観光交流を促進することは、3月中旬に欧米からの帰国者を隔離せずに家に帰してしまったのと同様、後々振り返って政府の自爆行為だったとされるかもしれない。  ただ、6月末から新規陽性判明者数が再び増加しているのに、死亡者数の累計は、1000人直前でとどまっている。4月の場合、中旬に陽性判明者が急増し、下旬には死者数も急増を始めたのだが、現在は、感染者に若者が増えていることもあり、まだそうした連動は見られない。  ◇世界各国の死亡率に著しい差  そこで図では、世界の各国の最新状況を比較してみた。横軸に人口100万人当たりの陽性判明者数の累計を取り、縦軸に同じく人口100万人当たりの死亡者数の累計を取る。国により著しい水準の差があるので、両軸とも対数目盛りとした。一目盛りごとに桁が1、10、100、1000と上がっていく。  ジョンズ・ホプキンズ大学のデータを見ていると、陽性判明者増加から死亡者増加までは1~2週間のタイムラグがあるので、陽性判明者数累計を6月27日時点、死亡者数累計を7月11日時点と、2週間ずらした。後者を前者で割ると死亡率が試算される。図には、死亡率0.1%の水準、1%の水準、5%の水準、10%の水準を、斜めの線で示している。  図のとおり、死亡率には十数%から0.1%未満まで、極端な差がある。だが、陽性判明者数の大小と死亡率の高低には、明確な関係がない。たとえば、陽性判明者数が多い中にも、死亡率の高い国、低い国がある。しかしどの国が世界のどの地域に属するかという区分を加えると、地域ごとにある程度まとまった傾向があることが見えてくる。  日本は図の中央やや左にあるが、目盛りを対数ではなく通常の表示にすれば、左下に張り付くことになる。右上に行くほど、数十倍増しで事態は深刻だ。日本の死亡率は5.4%と試算される(陽性判明者数と死亡者数のカウント時点が、2週間違うことに注意)。ちなみに米国も同じく5.4%で、ドイツが4.7%。世界平均は5.7%だ。  ◇欧州の死亡率は高く、湾岸諸国は低い  図の右上には欧州の旧西側諸国が固まり、そこに米国など南北米州の一部の国が交ざる。英国やスウェーデン、イタリア、フランス、スペインなどでは、先進医療体制を持ちながら、死亡率は10%前後と高い。理由は、医療崩壊というよりも介護崩壊だろう。早い段階に、おそらく低賃金の介護関係労働者を介して介護施設にウイルスが侵入したことが、死者数を急増させた。  それに対しペルシャ湾岸諸国では、感染拡大が深刻な割に死亡率は低い。当特別連載の第6回で書いた通り、外国人建設労働者の寮などでウイルスが蔓延(まんえん)しているが、頑健な若い男性が中心であるためか、亡くなる人は少なめだ。もっと極端なのがシンガポールで、死亡率が0.1%を大きく切っている。本当にそこまで低いのか、さすがに筆者には疑問に思える。  米国、カナダ、ブラジル、メキシコなど、南北米州には感染拡大が急速に進み、かつ死亡率も高めの国が目立つ。これらでは、大都市の貧困層をウイルスが直撃しているものと懸念される。同じ都市貧困問題は、アフリカでも深刻なはずだが、検査体制の問題もあるのだろう、図の右上には出てこない。例外が、アフリカでは相対的に豊かな南アフリカで、かなり右上に上がってきた。他にも、PCR検査(遺伝子検査)が行き渡ればこれくらいの位置にくる国があることだろう。  ◇ポイントを絞った自粛とは  死亡率に立ち返れば、日本の水準は世界平均や米独に近いわけだが、検査率が相対的に低く、未発見の無症状感染者や治癒者も多いはずで、本当はもっと低いのではないか。実態はどの程度なのか。  一つの参考事例は、横浜港に停泊していたクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の数字だ。乗客乗員3711人の全員が検査を受け、陽性判明者は20%、発症者は10%。死亡者13人は、陽性判明者の1.8%だった。  同船の重症者の受け入れを全国の病院が渋った当時に比べ、現在では各地に治療のノウハウが蓄積している。また船内で確認されたウイルスと、現在日本の市中にあるものでは遺伝子に変異が生じているが、最近の研究では、新型コロナの変異は毒性の違いを生んでいないという。乗客の多くが高齢者だったことも考えれば、若者も交ざる一般市中での本当の死亡率も、同じく2%を超えないだろう。  とすれば今後の日本では、検査が行き渡るほど死亡率は今の水準から下がる。高齢者の多い一般病棟や介護施設へのウイルス侵入を防ぐことができれば、陽性判明者がさらに増えても、死亡者は以前ほどは増えないという状況が続くのではないか。しかしそこに油断せずに、だが過度に怖がらずに、他人同士が密集した中では話さないなど、ポイントを絞った行動自粛を続けていくことが、当面の間、重要であり続けるだろう。

Categories
感染症ニュース

日本のコロナ死亡者数はなぜ少ない? BCGに続く「ファクターX」もう一つの有力候補

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200727-00039188-bunshun-soci

7/27(月) 6:01 Yahoo!ニュース 文春オンライン

 世界を恐怖に陥れた新型コロナウイルスだが、その被害の大きさは国や地域によって差がある。

【画像】「ファクターX」に注目する山中伸弥教授

 感染者数が400万人を超えてなお拡大を続けるアメリカや、170万人を超える感染者を出しながらも「経済優先」を宣言した末に大統領自身が感染してしまったブラジルのように、深刻な被害を受けている国がある(ブラジルの7月25日時点での感染者数は228万7000人)。

 しかしその一方で、日本や韓国、タイ、台湾、ベトナムのように、今のところ比較的軽微な影響で推移できている国や地域もあるのも事実だ。

 京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長は「文藝春秋」6月号で、日本人に感染者数や死亡者数が少ない背景には、まだ解明できていない要因「ファクターX」があるはずだ、と述べて話題になった。

 この意見に賛同する東北大学大学院医学系研究科の大隅典子教授は、同僚で厚労省クラスター対策班の押谷仁教授の話や世界中で日々発表される論文や報告、さらには信憑性のあるブログなど、あらゆる最新の情報を元に、「ファクターX」は何なのか――を検証した。

「国によってこれほど違うのは、公衆衛生的な努力だけではなく別の要因があるはず」

 と考える大隅教授が、まず興味を持ったのが「BCG」だった。

BCG推奨国では死亡者数が少ない

 結核予防のために接種するこのワクチンは、日本では1951年に施行された結核予防法により、いまでは生後1歳未満での接種が推奨されている。

 大隅教授が最初にこの説を目にしたのは、あるブログだった。そのブログ開設者・JSato氏は「BCGの接種が行われている国では感染の広がりが遅い」と指摘する。

 これを見た時点では半信半疑だった大隅教授だが、独自に調べてみると、新型コロナウイルス感染症による死亡例が多いスペイン、イタリア、フランス、アメリカは確かにBCG接種に積極的ではなく、逆に死亡者数の少ない中国、韓国、日本はBCG推奨国だという事実に行きあたった。

 しかも、たとえば同じヨーロッパで隣接する国同士でも、BCGへの対応の違いで死亡者数に大きな差が出ていることも見えてきたのだ。BCG接種プログラムを持たないドイツでは人口100万人当たり107人の死亡者が出ているのに対して、東隣のポーランドの死者数では同じ条件で37人と圧倒的に少なかった(人数は6月25日時点、以下同)。

「BCGワクチンで免疫が強化される」という報告

 同様のことはスペインとポルトガルの間でも見られる。100万人あたりの死亡者数は、BCG接種プログラムを持たないスペインの606人に対して、国境を接する隣国ポルトガルは151人と顕著な差が見られたのだ。

 BCGと新型コロナウイルス感染症とのあいだに相関関係が見られることは分かった。しかし、なぜ結核菌という「細菌」を対象としたワクチンが、新型コロナという「ウイルス」に効果を示すのか。

 さらに調査を続けた大隅教授は、オランダの研究チームが見つけたある事象に辿り着く。BCGワクチンを受けた人の血液を調べたところ、免疫細胞にある「増強」を指示するスイッチがONになったままだった、という報告だ。子どもの頃にBCG接種で強化された免疫が、その後も高い状態で維持する仕組みが働いている可能性を示唆するもので、発見したオランダの研究チームはこの仕組みを「訓練免疫」と名付けている。これが正しければ、日本をはじめとするBCG推奨国での新型コロナによる重症化率が低いことの説明が付く、と大隅教授は指摘するのだ。

もう一つの有力候補「ワルファリン感受性」

 もう一つ、大隅教授が興味を持つファクターXの有力候補に、「ワルファリン感受性」がある。ワルファリンとは血液を固まりにくくする作用を持つ薬で、世界的に使用されている。

 しかしこのワルファリン、国や地域によって効果の出方に差があることが以前から指摘されてきた。大雑把に言えば、アジア系の人には効きやすく、アフリカ系の人は効きにくい。同じアジアでも日本を含む東アジア系は最も効きやすく、南・中央アジアの人には効きにくい。ヨーロッパの人の効き方は、東アジアとアフリカの中間くらい――とされている。

 この傾向が、新型コロナの重症化率の傾向と重なるのだ。

 ワルファリンの効き方は、遺伝子によって左右される。つまり、ワルファリンが効く遺伝子と効きにくい遺伝子があり、これが新型コロナの重症化に何らかの関与をしている可能性が浮上してくるのだ。

 大隅教授は「大胆な推測」としてこう述べる。

「ワルファリンが効きやすい遺伝子のタイプの人は、ワルファリン服用の有無にかかわらず、血栓ができにくい体質を持っており、このことが新型コロナウイルス感染症の重症化を防ぐことに繋がっているのかもしれない」

「ファクターX探し」は世界中の研究者が取り組んでいるが、現状では「相関関係」であって「因果関係」までは到達していない。最近では「結局のところ、最大のファクターXはマスク着用率の差なのでは?」という意見も増えてきた。しかし、大隅教授は「生物学的要因」の追及をあきらめない。生物学的なファクターXが明らかになれば、予防法や治療法の開発に役立つことは明らかだからだ。

ファクターXの存在が免罪符にはならない

 しかし大隅教授はこうも言う。

「BCGやワルファリン感受性がファクターXだったとしても、それは免罪符にはならない」

 国や地域、人種などという大きな括りでの特徴はあるにせよ、感染するか、重症化するかは人それぞれ。最終的には、一人ひとりが感染しないように注意することに勝る取り組みはないのだ。

 公衆衛生の学者は「木を見ずに森を見る」ことが仕事だが、森を構成する木、つまり、社会を構成する人間は、たとえ周囲の人たちは元気でも、自分が感染してしまったのでは意味がない。その意識を確かに持った上での知的好奇心として、ファクターX探しに注目すべきだろう。

 なお、「文藝春秋」8月号および「文藝春秋digital」掲載の「 ファクターXを追え! 日本のコロナ死亡率はなぜ低い 」では、BCGワクチンの“株”による効果の違いや、かつて東北大学が行った介護施設におけるBCG接種と肺炎発症率の関係など、大隅教授が論拠とする調査や研究の詳細も紹介されている。

Categories
感染症ニュース

新型コロナが弱毒化しているという根拠はない

https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200726-00189953/

忽那賢志 | 感染症専門医 7/26(日) 12:27

この記事は図を多用して解説されています。ぜひ参照元をご覧ください。

東京都を中心に新型コロナ患者数の増加が止まらない状況が続いています。

国内の感染者数は3万人を超え、新規感染者数も減る気配がありません。

一方で、感染者数は増え続ける中で重症者数や死亡者数が増えないことについて「ウイルスが弱毒化しているため」あるいは「夏は免疫力がアップするから」だという言説が散見されますが、今のところは特に根拠はありません。

根拠のない楽観論に惑わされず、必要な対策を続けていきましょう。

入院者数は増えているが重症者数は増えていない

確かに現在の入院患者数の1105人、そして重症者数16人となっており入院者数と比べても重症者数の数は多くありません。

例えば緊急事態宣言時のピーク時には入院者患者数1413人に対し、重症者数は105人となっていました。

比率からすれば重症者数は今は少ない状況と言えます。

しかし、これをもって「ウイルスが弱毒化した」と言えるのでしょうか?

結論から言うと、言えません。

以下にその理由を述べます。

第1波では診断されていなかった軽症例が診断されている

これまでに指摘されているように、第1波ではPCR検査体制が十分に整備されていませんでした。

第1波では、感染者数の増加に検査数が追いつけず、ピーク時には検査陽性率が30%を超えていました。

この時点での1日当たりのPCR検査数は320件と、患者数の増加に追いつけていない状況でした。

つまり、新型コロナに感染しているのにPCR検査が実施されずに診断に至らない事例が相当数あったものと考えられます。

軽症例については当時「4日ルール」などもあり検査の敷居がやや高かったため、重症例の方が優先的に診断されていた実態があります。

おそらく第1波のときも若者を中心に軽症者や無症候性感染者はたくさんいたのでしょう。

さて、現在はと言いますと、1日当たりのPCR検査数は3600件と10倍ほどに増加しており、検査陽性率も6%台を維持しています。

つまり第1波と比較すると、軽症例を含めて感染者が適切に診断されているものと考えられます。

第1波では氷山の一角しか診断できていかなった新型コロナが、今では検査体制の強化によってもう少し感染者の全体像が見えるようになってきている状況と考えられます。

これが、第1波と比べて感染者全体に占める重症者数が少ない理由の一つです。

極端な例では、ベトナムは現在までに400例以上の新型コロナ症例が診断されていますが、これまでに死亡者はいません。

これは、軽症例や無症候性感染者も徹底的に診断を行い、速やかに隔離をしていることから、重症化しやすい高齢者などに感染が広がらず封じ込めができているためです。

当然ですが、ベトナムの新型コロナウイルスが弱毒化しているわけではありません。たぶんベトナム人は誰もそんなこと言っていません(ベトナム人全員に聞いたわけではありませんが)。

重症者は遅れて増加してくる

2つ目の理由は重症化のタイムラグです。

第1波を振り返ってみますと、新規患者数と重症者数のピークには約2週間のタイムラグがあることが分かります。

これは、しつこく毎回言っていますが、新型コロナの特徴的な経過によるものです。

新型コロナウイルス感染症は発症してしばらくしてから急に悪化します。

典型的には、発症から7~10日経ってから悪化してきます。

新型コロナ患者の多くは、発症から1週間前後で診断されていますが、高齢者や基礎疾患のある人はより短期間で診断される傾向にあるため、重症者が増えてくるのは診断時よりも後になります。

つまり、重症者のピークは今よりも確実に遅れてやってきます。

今、重症者数や死者数が少ないのは、まだ重症化する人がしていないだけであり、これから重症者や死亡者は遅れて増えてくるものと思われます。

重症化しやすい年齢層の患者数も、若い年齢層から遅れて増えてきている

今も感染者の中心は20代・30代の若い世代ですが、全体的な患者数の増加に伴い高齢者の感染者も増えてきています。

重症化するリスクの高い60代以上の感染者だけの推移を見ても、明らかに感染者は増加しています。

先程のグラフ「7月8日時点の国内における年齢別の新型コロナ患者の致死率」によると、60代の4.9%、70代の14.6%、80代以上の28.7%の方が亡くなっています。

今後、重症者数や死者数が増加することは避けられないでしょう。

この状況がこのまま続くとどうなるでしょうか。

東京と同じ様に、当初流行の中心が若者であったフロリダの状況が参考になるかもしれません。

フロリダ州では6月から流行がさらに加速し、7月に入ってからは1日平均10000人以上が新型コロナと診断されています。

当初、流行の中心は若い世代であり、症例が増加しても死亡者は増えていませんでした。

しかし、高齢者の感染者が増加するにつれ、死亡者も増加傾向にあり、現在は1日に100人以上の方が亡くなっています。

東京都で人工呼吸器を使用している新型コロナ患者は7月16日から上昇傾向に転じました。

今後、しばらくは増加が続くものと考えられます。

このまま重症者数がどこまで増え続けるのかは私たちの行動にかかっています。

第1波のときよりも治療法が確立してきている

最後にもう一つ、第1波のときとの大きな違いがあります。

それは現在は新型コロナの治療法がある程度確立してきているからです。

例えば、第1波のピークが過ぎた5月7日に国内ではレムデシビルという抗ウイルス薬が使用可能となりました。

これはランダム化比較試験というエビデンスレベルの高い臨床研究で効果が証明された治療薬です。

また、これに加えて、デキサメサゾンというステロイド薬も生存率を改善させることが分かりました。

新型コロナで起こる凝固異常についての理解も進み、抗凝固薬も使用されるようになってきました。

こうした治療の進歩によって重症化する患者が減っている可能性は十分にあるでしょう。

実際に診療をしていて、これまでは人工呼吸管理になっていたようなハイリスク患者が、早期に治療を開始することで人工呼吸管理を回避できるようになってきたという実感があります。

新型コロナウイルスが弱毒化している根拠はない

というわけで、現時点で重症者数が少ないのは、

・第1波のときよりも軽症例を含めて診断されている

・ハイリスク患者が重症化するのはこれから

・治療法が確立してきている

ためであり、新型コロナウイルスが弱毒化しているからではありません。

現時点では新型コロナウイルスが弱毒化している科学的根拠はありません(ウイルスは常に変異しますので今後その可能性はあります)。

弱毒化してるから感染しても大丈夫と思っていると、自身が重症化したり大事な家族に感染を広げることになりかねません。

また、感染し回復した後も後遺症で悩まされている方も多くいらっしゃいます。

決して「感染しても大丈夫」な感染症ではありません。

もう半年以上コロナと戦い続けて、皆さん疲れが出ていると思いますが、引き続き適切な感染対策を続けていきましょう。

最後にメディアの方へのお願いです。

現代社会では病院経営やビジネスの専門家が小学生の自由研究のような「ぼくのかんがえた、さいきょうのコロナりろん」を思いつきで述べることは誰にも止められません。

しかし、こういう根拠薄弱な理論を視聴率目当てにメディアが取り上げてもてはやすのは害でしかありません。

メディアにはしっかりと科学的吟味を行った上で、公益に資する放送を行っていただきたいと思います。

Categories
感染症ニュース

「テレワーク70%・時差通勤、体調の悪い方は出勤させない・PCR検査を勧める」徹底を 西村大臣が“経済界へのお願い”

https://news.yahoo.co.jp/articles/abc0d506c1b325ff3caec15d3bfdb39992522e68

7/26(日) 18:39配信 AMEBA TIMES

東京や大阪、愛知などでの新型コロナウイルスの感染拡大を受け、西村康稔経済再生担当大臣は26日夕方の会見で「経済界へのお願い」として、「業種別ガイドラインの徹底」「テレワーク70%・時差通勤」「体調の悪い方は出勤させない 相談し、PCR検査を勧める」「大人数での会合は控える」「接触確認アプリCOCOAの導入促進」の5点を挙げ、協力を呼びかけた。

Categories
感染症ニュース

山中教授の「コロナで10万人以上亡くなる」発言を検証 専門家「すでにピークアウト」

https://news.yahoo.co.jp/articles/2a9cb5dae0a2ebcb8989e4594d89ca319c6bd104

7/22(水) 5:56配信 デイリー新潮

 50人超えの次は100人超えが続き、ついには200人超えの連続。東京都の新規感染者数はまさに指数関数的に増えているかのようで、これでは不安になるというものだ。ところがこれらの数字、自然の確率からはかけ離れ、操作されていた可能性が濃厚という。 コロナの日本人死亡率はなぜ低い 山中伸弥教授が名付けた“ファクターX”に迫る  ***

重症者用ベッドには余裕が

 東京都内における新型コロナウイルスへの新規感染者数は、7月13日こそ119人だったが、12日まで4日連続で200人を超えた。しかも9日に224人、10日に243人と過去最多を更新したとあれば、不安を抱くなというのが土台無理な注文であろう。  例によって、テレビのワイドショーがこの数字をもとにさらなる不安を煽っている。たとえば、13日のテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」では、白鴎大学の岡田晴恵教授が、 「いまは対策をそんなに打たれてませんので、減る要素がないんですよね。(中略)月内に500人を超すかなっていう」  と発言。コメンテーターで同局の玉川徹氏も、 「緊急事態宣言を出すか出さないかといったら、早く出すしかないです」  と言い切った。いま、こうして扇動するのはワイドショーにかぎらない。12日には立憲民主党の枝野幸男代表もこう述べた。 「なにもせずに放置している状況は許されない。少なくとも東京を中心にして緊急事態宣言を出すべき客観的な状況だ」  専門家でもないのに、なにをもって「客観的」と判断したのか不明だが、経済に壊滅的な打撃を与えたあの2カ月に戻ろう、という声が各所で上がりはじめているのだ。国際政治学者の三浦瑠麗さんは、 「過去の緊急事態宣言を事後的に検証しないまま、外形的に同じ状況だから過去と同じことをすべきだ、と主張するのは間違っていますが、それをメディアも野党もやってしまっています。そもそも4、5月の緊急事態宣言は、医療崩壊を避けるのが目的でしたが、現在、重症者用のベッドはまったく埋まっていません」  と看破する。実際、全国の新型コロナによる重症者数は、4月30日には328名だったが、7月12日時点では34名にすぎない。

山中教授の見解

 それでも日増しに空気の重苦しさが増すなか、次のような発言はダメ押しにならないか。10日、日本循環器学会が、京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授と、8割おじさんこと北海道大学の西浦博教授の対談動画を公開したが、そこで山中教授が披露したのは、こんな見解だった。 「アメリカの状況を見ていると、(西浦)先生が予想されたことはまったくその通りで、ロックダウンをして、日本なんかくらべものにならないぐらいの対策をやって、それでもいま大変なことになっている。300万人近くが感染され、13万人くらいは亡くなっているわけで、イギリスとか見ても5万人近い方が亡くなっていて、イギリスの人口は日本の3分の2くらいだと思いますので、それを見ても、このウイルスの潜在的な恐ろしさといいますか――」  そして、日本についてこう断じたのである。 「対策をとらなければ、日本でも何十万人という方が亡くなってしまうというのは、もう間違いないことだと思うんですね。(中略)日本はなにも対策をしなければ、いまからでも10万人以上の方が亡くなる。そのくらい、このウイルスはまだその辺りにいっぱいいるんだと。この事実は、僕たちはまだ絶対忘れてはいけないことだと、僕は思っているんですが」  山中教授もノーベル医学・生理学賞こそ受賞しているが、感染症やウイルスの専門家ではない。厳しい対策を望む声が日増しに高まるが、大阪大学の核物理研究センター長、中野貴志教授は次のように言い切るのだ。 「今回の感染は7月9日前後にピークを迎えています。いつ感染したかで考えると、推定感染日を2週間前とすれば、6月25日前後にはピークアウトしていたことになります」

自然減の傾向が強い

8府県の新規感染者数の推移予測

 中野教授の発言は、自身が考案した「K値」の計算にもとづいている。これは大阪府も感染対策に用いている指標で、直近1週間の新規感染者数を、累積感染者数で割って算出する。これまで先にK値で予測を立て、以降の感染者数を見ると、数字はほぼ予測どおりに推移してきたという。 「K値はスピードメーター。感染拡大率が変化する速度を測ります。ボールを投げたとき最も速いのは投げた瞬間で、その先は頂点に向かって上がっている最中でも、勢いはどんどん落ちる。その勢いの落ち方は一定です。新型コロナの感染者数も、同様に感染拡大率が一定の勢いで落ちると仮定すると、感染拡大期の最初の8日間ぐらいを見れば、その後の数が予測できます」  そう説明する中野教授は、各国の感染状況をK値で予測してきた。その結果、「仮定」は「観測事実」になったと胸を張るが、その目にいまの感染状況はどう映るのだろうか。 「私は中国由来の流行を第1波、欧米由来を第2波と分けており、いまは第3波ですが、前の二つをまとめて第1波とするなら、第2波、または小流行と呼んでもいい。そのスタートは6月22日ごろ、推定感染日だと6月8日ごろで、第1波のくすぶりではなく新たな流行です。東京の新宿のあとを追うように、同時期に全国で感染者が急増しているので、発生源は新宿の可能性が高い。潜伏していたものが表に出てきたのなら同期しません」  しかし、勢いは落ちる。 「新型コロナの感染者数は、日本をはじめアジア諸国では自然減の傾向が非常に強い。世界中を見渡しても指数関数的に増え続ける国はありません。また日本における感染拡大率の落ち方は、どの地域も同じです。累計感染者数の推移を対数グラフにすると、高さは違っても、形は都市部でも地方でも同じなのです」  もっとも、東京都の今後の感染者数だけは予測しにくいというのである。 「K値は感染者数をもとに計算するので、検査態勢が大幅に変わると影響を受ける。夜の街への集団検査が混ざると、感染者数の波をとらえるのが難しくなる」

7月9日前後にピークアウト

 そこで集団検査が行われていない大都市圏の8府県、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、兵庫、京都、福岡について、K値を使って新規感染者数の推移を予測してみた。すると先述のように、7月9日前後が山の頂になり、ピークアウトしている、という結果が導き出されたわけだ(表参照)。  そして、東京についてもこう結論づける。 「人口が多く、集団検査を行っていない板橋、練馬、豊島、世田谷、渋谷、大田、港の各区の総計で7月初めまでの累計感染者数の推移を見ると、先の8府県とほぼ同じになります。新宿区からの絶え間ない感染者の流入はあっても無視できる程度で、8府県と同様、7月9日前後にピークを迎えた可能性が高いです」  また、京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授は、 「これから高齢者に広まったら危ない、と言われていますが、6月中旬から感染者が増え、すでに1カ月以上経っています。前回の第1波のように死亡者数が増えるなら、重症患者も増えているはずですが、それが増えておらず、感染者は依然、若者中心です」  と説く。今回は医療の逼迫状況に至らないという読みで、そうであれば「緊急事態宣言を出すべきだ」といった発言は、いかに的外れであることだろうか。

ブレーキが利かず

 山中教授の発言について、日本医科大学特任教授の北村義浩医師は、 「10万人以上が亡くなる、というのは、早めに警鐘を鳴らしたのではないでしょうか。みんなが心配して対策を講じればそれでいいと。山中先生の声は各方面に届きますから」  と、性善説に立つが、経済学者でアゴラ研究所所長の池田信夫氏は、 「10万人以上亡くなる、という話を山中教授は“間違いない”などと断定的に述べていますが、どういう計算でそうなるのか全然わからない。西浦教授の数字をそのまま受け入れているのも気になります」  と、懸念して言う。 「山中教授は、なにもしなければ40万人が死ぬ、でも対策したからそうはならなかった、と対談で繰り返していますが、現実には日本で亡くなったのは千人弱。40万人死ぬと言ったが35万人だった、ならわかるけど、40万人が千人で、それは対策のおかげだというのは、常識ではありえない。しかも西浦教授は、自分も前のめりだったと反省しているのに、そこの問題意識が山中教授には全然ありません」  池田氏はそう言って、次のように締めた。 「第1波ではワイドショーなどが非常に大きな話ばかりを取り上げ、西浦教授ら専門家も大きな数字で恐怖を煽り、みなパニックになった。それを反省したからこそ専門家会議を潰して新たな分科会を設け、その意見にワンクッション置くために別途、有識者会議を作ったはず。ところが、その最有力メンバーの山中教授が非常に偏って、ブレーキが利かなくなっている」 「週刊新潮」2020年7月23日号 掲載