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普通の会話の数分後に急変 新型コロナの恐るべき特性 神奈川で相次ぐ療養中の“突然死”

https://news.yahoo.co.jp/articles/034b38b09d63fdb53e4181a27952116f1294f111

2021/2/15(月) 6:55 産経新聞

 新型コロナウイルスの感染が拡大する神奈川県で、軽症・無症状の感染者が自宅や宿泊療養施設での療養中に死亡する事例が相次ぎ、医療関係者が危機感を募らせている。保健所の担当者らは患者の“突然死”を防ぐため、監視体制の強化に努めているが、感染者が増え続けるなかで、業務に手が回らなくなっている現状もあり、ジレンマにさいなまれている。(外崎晃彦) 【グラフ】コロナで亡くなった著名人と国内累計死者数推移  神奈川県内の保健所などによると、「第3波」とよばれる感染拡大のなか、昨年12月以降、軽症や無症状と診断され自宅や宿泊療養施設での療養中などに容体が急に悪化し亡くなった事例が、少なくとも計7件起きている。それ以外にも、自宅で死亡が確認されてから陽性が確認されるといった事例もあり、患者本人や周囲が気づかないまま病状が進行し容体が急変することがあるというこの病気の恐ろしい特性を浮き彫りにしている。  ■既往症なくても  関係者に衝撃を与えたのが1月9日に県が発表した、大磯町の70代女性が亡くなった事例だ。女性は昨年12月31日にせきなどの自覚症状が現れ、その後PCR検査を受け、年明け後の1月6日に陽性が判明。7日、自宅で容体が急変し、救急搬送先の医療機関で死亡した。  県担当者が驚くのはその急変ぶりだ。「同居家族と普通に会話をしていて、家族が別の部屋に行って戻ってくるそのわずか数分の間に意識を失っていたようだ。ついさっきまで元気にしゃべり、受け答えができた人が突然、倒れてしまった」という。この女性に既往症はなかった。  既往症がないにもかかわらず、自宅療養中に亡くなった事例は他にもある。1月28日に県が死亡を発表した伊勢原市在住の50代男性だ。17日にせきや喉の痛みなどの自覚症状が現れ、18日に検査して陽性が判明。「療養期間」の終了を翌日に控えた26日、自宅で死亡した。死因は「新型コロナウイルス肺炎に伴う脳出血」。自宅を訪れた親族が死亡している男性を発見した。  ■無症状があだに  横須賀市の担当者は同月23日に市が発表した市内の飲食店に勤める60代女性の死亡事例に胸を痛める。この事例では、19日に女性の同居する70代男性の陽性が判明。女性は翌20日午後に検査を受ける予定だったが、当日の午前中に自宅で死亡した。  女性には既往症があったが、発熱などの症状はなく、倦怠(けんたい)感があった程度。市の担当者は「逆に高熱や息苦しさなど、強い訴えが必要な状態だったならば、結果は違っていたかもしれない」と悔やむ。結果的に無症状だったことが、あだとなってしまったことに複雑な思いを抱いていた。  県では、患者のこうした突然の死を防ぐため、療養者らに対してスマートフォンアプリのLINEを使い、1日2回、体温や体調の変化などの状況報告をしてもらっている。ただ、それでも防ぎきれないのが現状だという。  県の担当者は「常に患者を見ることはできず、監視のはざまで、脳卒中のような一分一秒を争う何かが起きてしまうこともあり、予防は困難を極める」とする。その上で「できる範囲で最善を尽くすしかない」と話している。  ■救急体制利用を  県内の新型コロナの感染状況をめぐっては、昨年11月ごろからの「第3波」によって感染者が急増。1週間当たりの新規感染者数は、昨年12月の第1~4週が1千~2千人台で右肩上がりで推移。1月第2週(5910人)と第3週(5635人)には6千人に迫った。  こうしたなか、感染者一人一人のケアや監視体制も逼迫(ひっぱく)し「手が回らず、すでに限界に近い」(関係者)。県では黒岩祐治知事を筆頭に「市中感染の拡大をなんとしても防ぎ、少しでも新規の感染者を減らしていくこと」に力を入れてきた。  一方“突然死”の防止策として救急体制の利用を推奨している。療養中の患者や家族には「少しでも息苦しさなどを感じたら、遠慮せずすぐに救急窓口(県設置の『コロナ119番』)に連絡してください。場合によっては(一般の)119番でもかまいません」と呼びかけている。

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コロナ「変異種」表記やめて 日本感染症学会がマスコミに要望「変異株と呼称すべき」

https://news.yahoo.co.jp/articles/e9daf250a234f3e3e143bfd388e376fdaab938c1

2021/1/28(木) 14:40配信 JCASTニュース

 日本感染症学会は2021年1月27日、報道機関向けに声明を発表し、新型コロナウイルスの”変異株”を”変異種”と表記しているメディアに対して「これは学術的には誤用となりますので、今後は変異”株”と正しく表記していただきたくお願い申し上げます」と要望した。 <【画像】発表全文「新型ウイルスが発生したかのような用語を用いることは、今後に新しい差別を引き起こす可能性もあります」> ■「差別や偏見につながっていく」  日本感染症学科の声明によれば、「変異株」と「変異種」は全く異なる概念だという。  前提として、突然変異は「すべての生物において、遺伝子の複製過程で一部読み違えや組み換えが発生し、遺伝情報が一部変化する現象」と説明し、 「この中で、新しい性質を持った子孫ができることがあります。この子孫のことを変異”株”と呼称します。変異株は、変化した遺伝情報の影響を受けた一部の性質が変化していますが、もともとの生物の種類は変化していません。この場合、同じウイルスの複製バリエーションにすぎませんので、ウイルスの名称は変化しません」 と変異株の定義を示した。  一方、変異種は「極まれに近縁の生物種の間で多くの遺伝子の交換(組み換え)が起きると、2つの生物種の特徴を併せ持った新しい生物種が誕生することがあり、その場合には変異”種”と呼称します。この場合、新型のウイルスが誕生することになるので、新しいウイルスの名前が与えられます」とする。  従来の新型コロナウイルスよりも感染力が強いとされ、静岡県内でも見つかった英国の変異株は、「新型コロナウイルスのスパイクタンパクにN501Yという特異的な変異が起こり、宿主細胞への感染力が強くなったという性質の変化がありますが、元来もっていた新型コロナウイルスの基本的特性はほとんど引き継がれておりますので、依然として新型コロナウイルスのままですので、変異”株”と呼称すべきです」とした。 「誤った知識は、些細なものであってもしばしば誤解を生じ、差別や偏見につながっていくものもあります。ましてや科学的専門用語については、たとえ1文字の違いであっても、大きく意味がことなることがあり、より一層の注意が必要です。今回の新型コロナウイルス感染症では、これまでにも感染者医療従事者に対する様々な差別が起きており、新型ウイルスが発生したかのような用語を用いることは、今後に新しい差別を引き起こす可能性もあります。このような場合には、単なる誤”用”ではなく、誤”報”と同じ意味を持ちかねません」  と変異種と表記する弊害に触れ、「以上のことから、国民の科学リテラシーを正しく引き上げるためにも、正しく用語を用いていただければと存じます」と要望している。

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新型コロナが引き起こす身体の異常が次々発覚

https://news.yahoo.co.jp/articles/b7560cdd395fb8339e42165fee38e24404cd1522

2021/1/28(木) 19:10配信 テレ朝NEWS

 スペインの研究チームが感染初期の兆候として「コロナ舌」と呼ばれる異常が発生する事があるとした報告書をまとめました。どんな症状なのでしょうか。  舌にできた大きな斑点。これは、新型コロナウイルスによる体の異常だといいます。  確認されたのはスペイン。世界各地で“コロナ舌”と報じられています。  スペインの研究チームが新型コロナウイルスの304人の感染者を調査すると、感染者の4人中1人が舌に異常を感じたといいます。舌が腫れることもあり、歯形が付いてしまうほどです。感染初期に起こる兆候で、味覚を失うといいます。  そして、10人中4人は手や足に異常を感じ、手の平には小さなしみ。熱を感じたり、赤く変色していることも確認されました。  さらに、アメリカではたとえ陰性が出てもウイルスが脳に残り、死に至る可能性があることを発表しました。  新型コロナウイルスに感染させたマウスの実験。肺のウイルスレベルがピークを越えた後、脳から高いレベルのウイルスが検出されたというのです。  研究者のクマール助教授によりますと…。  ジョージア州立大学、ムケシュ・クマール助教授:「脳はウイルスが隠れるために好む場所の一つ。一部の患者のなかではウイルスが脳に到達してしまい、脳の中で増えてしまったウイルスが回復したはずの患者を死に至らすことがある。そして、死ななくてもある種の神経学的症状を引き起こし続けている」  感染後、PCR検査で陰性と結果が出ても脳にウイルスが残っている可能性があるといいます。  パーキンソン病などの神経系の疾患のリスク高まると警戒を呼び掛けています。

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2021年のコロナ対策はどうなる?日本感染症学会理事長に聞いた

https://news.yahoo.co.jp/articles/811798829a59d772a9426a504672679070c9b051

2020/12/29(火) 6:01 DIAMONDオンライン

 年末年始に向けて「緊急事態再宣言を発出すべき」との声も聞こえてくる昨今、コロナ禍をめぐる医療はどうなっていくのだろうか。東邦大学医学部微生物・感染症学講座教授で、日本感染症学会理事長を務めるほか、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の構成員でもある舘田一博氏に、コロナ対策の現状や今後の展望を聞いた。(医療ジャーナリスト 木原洋美) *インタビュー日は2020年12月9日 ● パンデミックが 起きることは予測されていた  ――2020年はかつて経験したことのない大変な1年になりました。  いつか起こると言われていたパンデミック(世界的大流行)が、やはり起こったということ。しかもまだまだ終息は見えない。今の波を超えても、また次の第4波が来る。最終的に事態が落ち着いた時に、感染症に対して強い社会になっていたと言えるようにしていかないといけない。

 ――移動手段が発達し、国内外への行き来がしやすくなった現代社会は、感染症も以前よりはるかに広がりやすくなっており、パンデミックも起こりやすくなると言われていました。  ボーダレス化、グローバル化が進むと、世界の裏側で流行している感染症が持ち込まれるリスクも高まってくる。そうした中で社会としても、知識と経験をしっかりと備えておかなければならなかったわけだが、今回パンデミックになって、やはり準備不足だったことは否めない。しかしそれでも何とか医療崩壊を回避できているのは、日本国民の強さかもしれない。  ただ最近は、感染者数も死亡者もどんどん増えているので、このまま抑え込めるのか、あるいはヨーロッパやアメリカのように、1日に500人~2000人も亡くなってしまうような事態になるのか、わからなくなってきた。 ● 新型インフルエンザの 反省を生かせるか  ――8月から10月にかけて感染者数が減少していた頃には、感染予防対策が功を奏しただけでなく、治療法が確立されてきたことも大きいのではとの見方もありました。  重症化をどうやって抑えるかというところの経験は蓄積されてきているが、本当の意味での治療法はまだない。それでも日本はよくやっているほう。重症化して、挿管あるいはECMOにつながれたとしても、その後救命できる人の割合が高い。アメリカでは挿管された人の8割9割は亡くなってしまうのに、日本は8割9割助かる  でも油断してはいけない。どこかで医療崩壊が起きたら急激にパニックになる恐れがある。それが一番怖い。日本人は同調圧力に弱く、パニックになりやすい。  ――パニックは要警戒ですか。  2009年の新型インフルエンザの時もパニックになりかけた。そこは医療現場の僕たちも含めて反省する必要がある。あの時、日本は世界で一番死亡率が低かった。世界では1万6000人ぐらいの人が亡くなったかもしれないが、日本では200人程度で、結局、終わってみれば普通のインフルエンザに近かった。  ――確かに、大変な騒ぎで、メディアもずいぶん煽っていました。  そういう反省をもとに、冷静に対応していくことが大事。ただし、準備は大切。幸いインフルエンザの流行は今年まだ見られないが、大地震のような天災が重なってしまったらどうするか、というようなことにも備えておかなくてはいけない。

● 指定医療機関でも 専門医がいるのは35%  ――具体的には、どのような備えが必要なのでしょうか。  感染症学会の立場からは国に対して「感染症指定医療機関に感染症科を設けて専門医を配置する」「大学の医学部などに感染症学を教える講座を設置し、専門医を養成する体制を構築する」ことを。また、全国の都道府県に対しては「専門医のいない感染症指定医療機関へ専門医を派遣する仕組みを作る」ことなどを要望した。  全国にある400余りの感染症指定医療機関のうち、学会が認定する感染症専門医が在籍しているのはおよそ35%、144施設しかない。新型コロナウイルスの治療にあたる医療機関でも、専門医がいない施設もあるということを皆さんに知ってほしい。  ――コロナ禍の前は、医師であれば誰もが感染症に詳しく、自分たちの感染をふせぎながら患者を治療できるのは当たり前というのが一般的な意識だったと思います。ところが医療機関でのクラスターが多発するようになって、社会は初めて感染症医療の専門性の高さを知ったのではないでしょうか。  感染症科がない大学がたくさんあることや、感染症専門医の少なさが注目されるようになった今こそ、各大学に感染症科を作り、そこで日常から診療教育研究に当たらせて、人材育成を進める。感染症専門医は何かあった時は地域のリーダーとなって感染対策、診療を行うという仕組みを作っていくことが必要だと思う。専門医を増やすことはすぐにはできない。将来、再び新しい感染症が流行したときに備えて専門医の育成を今から急ぐべき。それが感染症に強い社会を作るための本丸だ。  例えば、感染症専門医がコンサルテーションした場合には、きちんと診療報酬が上乗せされるようなインセンティブがあって、医療機関にも収入が増えるような。仕組みを考えていかなければ、なかなか状況は動かない。喉もと過ぎれば忘れられてしまうだろう。 ● ワクチンよりも治療薬よりも 感染阻止!  ――治療薬の開発は進んでいるのでしょうか。レムデシビルやアビガンのように、早い段階から治療に使われたり、治験が進められたりしていた薬もありましたが…。  治療薬はまだ出ていない。レムデシビルは一応承認されているが、それほど効果は期待できない。アビガンもしかり。安価で手に入りやすいステロイド系抗炎症剤デキサメタゾンを使ったり、抗凝固薬であるヘパリン使ったり、試行錯誤しながら懸命に対応している。それでも少しは死亡率が下がっているのは、現場が頑張っているから。今のように患者がどんどん増えていけば、重症者や死亡者は増えていくだろう。今後しばらくは、こうした状態が続くと思っている。

 ――ワクチンはどうですか。アメリカやヨーロッパでは接種も始まっていますね。効果についても、臨床試験の中間結果では、ファイザーのワクチンの予防効果(有効性)は95%、モデルナのそれは94.1%だったといいます。  どれくらい効果があるのか、重症化を抑制できるのかはわかりません。副作用にしても、どういうことが起きてくるのかはわからない。ワクチンさえ打てば大丈夫みたいに思うのは間違いだし、治療薬やワクチンの開発は、そんな簡単なものではない。  だから僕も冷静に、慎重に対応していくし、そうしなければいけないと思っている。学会としてもそれを伝えていかなければいけないと思っている。  それよりも大事なのは、重症化しやすい高齢者、基礎疾患のある人を守るための対策。感染をさせない、それが一番だと思う。  ――感染させないことこそが、最善の治療ということですね。  なかなか難しい。新型コロナウイルス感染症対策分科会でも、感染予防と社会経済との両立はずっと議論されている。感染症医の立場からすると、人の動きを止めて、濃厚接触をなくしさえすれば感染症は収まる。しかしロックダウンみたいな形で都市封鎖をしたら、社会経済へのダメージは計り知れないし、それによって失業率が高まり、自殺等で亡くなる人も何千人と出てしまう。そこは避けなければいけない。バランスをどうするかは本当に悩ましい。  GoToキャンペーンは「油断しても大丈夫なんじゃないか」という誤ったメッセージを国民に伝えてしまった。とするならば、やはり一時これは中断して、感染を抑えて、それからまた再スタートを切るような対策を講じるのはぜんぜんおかしくない(※インタビューは12月9日)。なんとか続けたい、それもわかる。だけどここは一歩引いて考えるということも大事だと思っている。  ――この1年、世界の感染症に対する意識は変わってきたと思いますか。  これだけ大きなパンデミックを経験したのだから、変わらなければいけないと思う。今のコロナ禍が終息しても、感染症との闘いは終わらない。新たなパンデミックは今後も起きる。大事なのはこれで終わりではないという意識を共有し、それに備えるよう世界で対応すること。自分の国だけよければいいで済む時代ではない。  グローバル化、ボーダレス化の中で人の移動は避けられないわけだし、ウイルスや病原体の移動も当然起きてくる。だからこそ世界が連携して準備を進めていく。WHOもそうした考えに基づいて動いており、日本もそれに対して弱いところを補っていくような改善が必要になってくるだろう。  (監修/東邦大学医学部微生物・感染症学講座教授、日本感染症学会理事長、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会委員 館田一博) ◎舘田一博(たてだ・かずひろ) 東邦大学医学部微生物・感染症学講座教授、日本感染症学会理事長、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会委員。1985年長崎大学医学部卒業、90年東邦大学医学部助手、95年同講師。99年ジュネーヴ大学(スイス)に留学。2000年ミシガン大学(アメリカ)に留学し、01年東邦大学に復職した。2011年より東邦大学医学部教授。

木原洋美

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保健所が厚労省に「2類指定を外して」 体制の見直しで医療逼迫は一気に解消へ

https://news.yahoo.co.jp/articles/90f09de6db33e3f50b92baafe22d55a4e1ba2bfd

2020/12/27(日) 5:59 デイリー新潮

「働いている人が減ったとは感じない」

世論に流され……

 12月8日、全国保健所長会が厚労大臣宛てに「緊急提言」を送っている。新型コロナウイルスは現在指定感染症(2類相当以上)の扱いだが、これを緩めてほしいというものだ。メディアは保健所の逼迫を受けて「医療崩壊だ」「外出するな」と叫ぶが、本当に必要なことは指定感染症2類扱いの見直しではないのか。 【写真】感染拡大後も賑わう「新宿」  ***

 連日ワイドショーで紹介される医療関係者の悲鳴を聞くかぎり、全国の病院がいまにも崩壊しそうに感じられるが、はたしてそれは実態なのか。医師や看護師が次々と退職したと話題になった、大阪市の十三(じゅうそう)市民病院の前で、何人かの来院者に話を聞いた。  ご主人が肝臓がんで入院した80代の女性は、 「5階に入院してから主人と会えていません。着替えをもってきても渡すのは看護師さん。妻の私でも主人と会われへんのは、コロナ対策いうことみたいですわ。要は、コロナの人が大勢いるから健康な人はなるべく来ないでくださいねと。私も来るのは嫌ですけど、仕方ないですわ」  持病があって通院する70代の女性は、 「ここから入ってください、院内ではこの動線に沿って動いてください、というようになっています。でも主治医の先生が替わったとかはないですね。働いている人が逃げ出したという報道も見ましたが、働いている人が減ったとは感じません。ただ、検査技師とかが結構やめてるみたいやね」

医師「若者にとってはただの風邪」

 物々しい雰囲気は伝わるが、コロナ患者を受け入れると、どう負担がかかるのか。関西の開業医が語る。 「11月から、うちもPCR検査をしていますが、大きくは告知していません。コロナが疑われる患者さんの来院時は、職員に下がってもらい、私一人で検査を行います。指定感染症2類相当として扱われているので、一般の患者と動線を分ける必要もあり、行うのも昼休みか夕方の診療後です。職員の安全確保や消毒の手間を考えると大変です。うちが認定機関に手を挙げたら、翌日には契約書が送られてきたから、自治体もコロナを受け入れる医療機関を増やしたいのでしょう。しかし、うちも1月以降、患者は3割ほど減っていますし、知り合いの小児科は10分の1にまで減っている。そういうなか民間医療機関が受け入れるのは難しい」  そして、つけ加えた。 「現場の医師の感覚で言えば、コロナは若年者にとってはただの風邪です」  この開業医の話からは、コロナ患者を受け入れると、たしかに病院は大変な状況に陥る、しかし、言われているほど怖い病気ではない、という二つのことがわかる。では、いま行うべきはなにか。医師でもある東京大学大学院法学政治学研究科の米村滋人教授は、 「医療逼迫の真の原因は、日本の医療体制そのものにあります」  と言って、説く。 「日本では医療法上、病院の監督権限をもつ都道府県知事らが、各医療機関の医療内容に関して直接的な指示や命令を行うことは認められていません。だから、公的医療機関に対しては国や自治体が事実上指示できても、民間に対しては要請しかできません。このため、ほとんどが公的医療機関であるイギリスやフランスと違い、民間病院が81%を占める日本ではいま、一部医療機関に負担が集中し、医療従事者が疲弊する事態になっています。また、医療機関に人員を派遣するなどの公的措置もなかったので、各医療機関は内部で人員をやりくりし、不慣れな者も含めてコロナ患者の治療に当たることを余儀なくされ、医療従事者間にも負担の偏りが生じています」  そして、こう訴える。 「政府も分科会もGoToに予算を割き、感染者が増えたら一時停止にするなど、その時々の感染状況に踊らされた、近視眼的な対策に終始しています。ここまでわかることが増えても、相変わらず場当たり的な対応しかしないなら、専門家として失格です。必要なのは半年先、1年先を見据えた具体的な提言。医療崩壊を防ぐために、コロナ受け入れ病院に人員を派遣した医療機関や個人に給付金を支払うなど、医療資源を均衡化するためのお金の使い方が必要です」

煽るテレビ、新聞の責任は

 政府は追加経済対策に、新型コロナの感染拡大防止策として5兆9千億円を盛り込んだが、そのごく一部を割いて不均衡を是正すれば、医療の逼迫は抑えられるはずだ。それをせずに末端にツケを回すなら、もはや政治ではあるまい。  加えて、新型コロナ患者を受け入れた医療機関の関係者の多くが、なぜ悲鳴を上げる事態になるのか、考える必要がある。 「感染者が欧米の数十分の1なのに、日本で医療逼迫が起きているのは、ひとえに新型コロナを指定感染症の2類相当として扱っているからです」  と、東京大学名誉教授で食の安全・安心財団理事長の唐木英明氏が指摘する。 「感染者数がピークでも1日2千~3千人で済んでいる日本は、5万~20万人の欧米から見れば感染対策に成功している。欧米の状況と比較するのは重要で、多くの政治判断は相対的な基準を拠り所に行われるからです。たとえば10万人当たりの感染者数をくらべれば、2類扱いを維持すべきかどうかは明らか。2類扱いだから医療が逼迫し、指定病院は一般患者が遠のいて赤字になり、医療関係者や保健所はオーバーワークを強いられ、その家族まで風評被害を受ける。インフル同様5類にすれば受け入れ可能な病院も増えるのに、それができないのは、新型コロナは“死ぬ病気だ”という意識を国民に植えつけた専門家、テレビ、新聞のせいです」

保健所も「2類相当の扱いを緩めてほしい」

 どこも報じないが、12月8日、全国保健所長会が厚労大臣宛てに「緊急提言」を送っていた。そこには、 〈災害時に準じた対応を余儀なくされています。2020年2月1日の指定感染症の指定以降、数カ月にわたり危機的な状況が継続していることを以下の現状とともにお伝えいたします〉  という文言に続き、保健所の逼迫状況が書かれ、 〈感染拡大の状況は地域により異なるので、現行の指定感染症(2類相当以上)の運用を、全ての感染者に対応することが困難である地域においては、感染症法上の運用をより柔軟に対応すること等を、以下に提案する〉  として、2類相当の扱いを緩めることで、保健所の逼迫状況を解消してほしい旨が綴られている。  テレビも保健所の逼迫を報じているが、常に「だから感染拡大を防げ」「外出するな」という結論に導かれている。新型コロナの感染者に、致死率5割を超えるエボラ出血熱並みの対応を求められている保健所の悲鳴は無視され、世論を煽る材料に使われているのだ。 「週刊新潮」2020年12月24日号 掲載

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相次ぐ看護師の離職 医療現場を下支えする現場密着

https://news.yahoo.co.jp/articles/ebe2557e512612dad6e282b85020e5255c444a91

2020/12/26(土) 23:30 テレ朝news

年末年始が迫る中、今週、日本看護協会は会見を開き、感染症指定医療機関などの 21.3%で新型コロナを理由とした離職があったという調査結果を発表しました。 SNSにはこんな投稿も…。 「Go toで人(ひと)集り(だかり)が凄く、私達は会食、旅行は勿論ダメです。 税金払ってなんの楽しみもなくて、税金使って楽しんで感染した人の為に また同僚が苦しむのを考えてたら退職しようと決意しました。」 都内の病院で働く、離職を決めた看護師にも話を聞くことができました。 離職を決めた看護師 「ちょっと怖かったなっていうのはあります。同期8人いたんですけど3人やめました。」 今年4月からあこがれだった看護師として働き始めましたが、新人研修もないまま、 いきなり現場で働くことに…。 離職を決めた看護師 「こんなに頑張っているのにちょっと使命感では続けられないかなっていうのが 常にギリギリで動いている状態なので」 こうした医療現場を陰ながら支えている人たちがいます。 消毒室と書かれた部屋に置かれていたのは赤い袋。そこに感染症・タオルとの文字。 これは新型コロナ病棟から出てきた洗濯物です。 指定感染症の患者が触れたシーツやタオルは、原則病院内で消毒をしないと外に出すことができません。 洗濯物に触れる際は、個人防護具を装着し作業に当たりますが、実は病院の職員ではありません。 病院の寝具などを扱う企業のスタッフです。 株式会社 東基 矢部 徹也 社長 「病院の医療従事者の方々の手間をなるべく減らすように、そういったところでこちらがお手伝いする。」 手書きで「リネン汚物庫・立入禁止」と書かれた部屋にも…赤い袋。 病院内で処理しきれない物は、袋を二重にし、表面を消毒。 段ボール箱に入れられ未消毒と分かるようにしてクリーニング工場へと運ばれます。 病院から洗濯物を回収するのはコロナ専門のチームです。 工場にトラックが到着。1日に5・6軒の病院を回り、集められた段ボールは、なんと160箱。 この膨大な数を処理するために活躍しているのがオゾン消毒庫です。オゾンが行きわたるよう 袋に穴をあける際は、防護具を身に着けます。およそ4時間半後…。 工場のスタッフ 「はい、OKです。」 オゾンが、隅々まで行きわたったかどうか、チェック。 ここからは通常の洗濯物として扱われていきます。 さらに消毒を兼ねた熱水による洗濯工程を経て再使用されていきます。 年末年始、病院に休みはありません。病院からの洗濯物は、途絶えることなく工場へと運ばれます。 株式会社 東基 矢部 徹也 社長 「国民の命を守る、健康を守るというところで強い使命感を持って働いていらっしゃる方々を 支えるために、私たちもなくてはならないサービスとして、「絶対に止めることはできない」 そういった思いを非常に強くしながら、使命感を持って仕事しているというところです。」

テレビ朝日

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新型コロナは130年前に一度流行していた? 当時は数年で落ち着き、普通の風邪に

https://news.yahoo.co.jp/articles/4cdb6399a60bb4abd33cfe71dfb90596a8cd9aa0

2020/12/18(金) 17:00 デイリー新潮

専門家「外出自粛、時短営業は効果なし」

渋谷を行き交うマスク姿の人たち

 新型コロナ第3波を迎え、各都道府県は外出自粛要請や時短営業などの感染対策を行っている。しかし、専門家によるとこれらの対策の効果は見込めないという。さらに、過去にコロナウイルスが流行し、その後自然に消滅していたという説も浮上したのだ。 【疫病の流行】ヨーロッパの人口の“3割が犠牲”になったことも  ***

 人命が10万人単位で奪われる可能性に言及する人はいなくなったが、日々の報道からは、われわれに安閑としていられる猶予があるとは思えない。新型コロナウイルスの猛威を前に、進度は遅いが巨大な台風に備えるかのように、最大限の警戒をすべきだと訴える声が、日増しに大きくなっているからである。  たしかに、発表される数字や自治体の対応を見るかぎり、台風は刻々と迫っているかのようである。重症病床の使用率が70%を超えた(12月8日時点、以下同)大阪府は、今月4日から15日まで、不要不急の外出を控えるよう府民に呼びかけた。また、東京では16日、1日当たりの新規感染者数が過去最多の678人を数えた。  ワイドショーがこうした数字や状況を、明日にも世の末が訪れるかのような勢いで強調しているのは、周知の通りである。そのうえ、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長も、NHKの番組で6日、「GoToトラベルを含め、人々の動きと接触を短期間に集中的に減らすことが、感染を鎮静化するために必須」だと発言。これでは国民が冷静さを保つのは、簡単ではなかろう。  しかし、いまの状況をあえて冷静に眺めれば、悲観的な材料は決して多くなく、叫ばれている医療の逼迫にしても、不可抗力ではないことに気づかされる。たとえば、京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授は、大阪府の外出自粛要請について、 「いまさらそれを行うのはナンセンスです」  と言い切り、自身が考案した「目玉焼きモデル」を用いて説明する。これは感染状況を五つの同心円で説明するもので、真ん中がゾーン1とされ、外側に向かってゾーン2、3、4、5と広がる。ゾーン1はどんちゃん騒ぎをする飲み屋などを、続くゾーン2は家庭内感染など、3は一般人エリア、4はかなり防衛している人、5は引きこもりを示している。 「第一に、外出自粛や時短営業を行ったところで、ゾーン3~4の人を5に追いやるだけだからです。都会ではゾーン1はすでに燃え尽き、次のゾーンに入っています。ウイルスが好む冬になったことで、ゾーン3のなかでゾーン2に近い部分も、すでに燃えてしまっていて、いずれ鎮火します。要は、どんちゃん騒ぎさえしなければ、食事やコンサート、映画に行っても問題なく、外出自粛や時短営業をしても、収束スピードは変化しません」  次に第二の理由だが、 「いまの感染の波は、すでにピークアウトしています。大阪は推定感染日、東京は発症日で見て、ともにピークは11月12日。以降は下降フェーズに入っています。テレビなどでは医療の逼迫が騒がれていますが、それは新規重症者のピークが発症日のピークに、10日ほど遅れるからです。東京はすでに重症者数が減り始めていますし、大阪の重症者も1~2週間で減少傾向に入っていくと思われます」

波は「ヒトコブラクダ」

 現在、大阪の重症者病床使用率が7割を超えた、と騒がれているが、 「どんなに増えても、85%を超えることはないでしょう。大阪府もそれを理解しているから、さほど焦っていないのだと思います」  と、宮沢准教授。12月になっても、東京都の1日当たりの感染者数が過去最高を更新している状況は、どう説明できるのか。 「クラスター対策も兼ねて濃厚接触者へのPCR検査を積極的に行ったため、感染者が一時的に増えたように見えるだけです。濃厚接触者には無症候者も多いはずで、彼らは持っているウイルス量も少なく、ほかの人にうつすとは考えにくい。感染者数は再び減少していくと思います。ピークアウトする理由も目玉焼きモデルで説明できます。たとえば、大阪では7~8月に接待を伴う飲食店で感染が増えましたが、いまは普通の飲食店での感染が多くなっています。つまり夏にゾーン1、秋に2が燃え尽きて、いまは元来ゾーン3だったところが燃えている。それも10月下旬から11月上旬にかけ、ほぼ燃え尽きていると考えられるのです」  次の波についても、 「大都市ではもう一度、感染者数が急増する見込みはないし、波が起きたとしても、今回ほどの高さにはならないでしょう。北半球でも南半球でも、感染の大きな波は冬に迎えていますが、それはごく一部を除き、ヒトコブラクダ型になっているんです。目玉焼きモデルのゾーン2に近いゾーン3が生じることも、一度起きたらもう起きません。今後、このウイルスは、秋から冬への季節の変わり目に感染者が増えるくらいになるのではないでしょうか」  そして、こう加える。 「私も冬を迎えるまでわからない部分がありましたが、もう99%読めました。1月以降は感染者も減少し、3~4月には安心できるようになるでしょう。“五輪で外国人を入れると”と心配する人もいると思いますが、心配ありません。また、ウイルスの毒性も日本型より欧米型のほうが低い可能性が高いです」  ジタバタしなくても、普通に感染対策をしていれば、自然に収束を迎えられるというのである。

130年前にも流行

 実は過去にも、流行したコロナウイルスが自然に消えていった、と思しき例がある――。そんな例を挙げるのは、東京大学薬学部の池谷裕二教授である。 「風邪の原因になる一般的なコロナウイルス、OC43が発見されたのは半世紀ほど前です。ところが、1890年代にインフルエンザが大流行し、世界で100万人が死亡した当時の遺品をいま調べると、インフルエンザのウイルスは確認されず、実はOC43であった可能性が指摘されています。当時の死亡率は4%で、高齢者ほど重症化しやすかったそうですから、今回の新型コロナウイルスと同様です。ということは、当時の大流行がどうなったのかは、いま未来を占ううえで、とても参考になります」  当時の状況だが、 「流行の波が生じては消え、というサイクルを繰り返すたびに致死率は下がり、数年で落ち着きました。こうしてOC43は、毎年冬に流行する、ごく普通の風邪になり、私たち成人の90%が抗体を持っています。同様に今回の新型コロナウイルスも、いずれ収まることが予想されます。さらに、ワクチンという現代型の武器が開発されれば、流行の収束を加速させられるのかもしれません」  130年前はワクチン以前に、治療法も予防法もなかったであろうことを考えれば、収束までの道のりがはるかに短くなることは、容易に理解できよう。 「週刊新潮」2020年12月17日号 掲載

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コロナによってインフルが激減!いいことかと思ったら

https://article.yahoo.co.jp/detail/7d60bc134595a4b05f09aa942e15ebd855d2067f

2020/12/24(木) 12:05配信 TBSラジオ

今年はインフルエンザが激減しているとニュースになっていますが、その要因の可能性として最近よく目にするのが「ウィルス干渉」と言う言葉です。一体なんなのか。そしてこの先に何が起きるのか?12月23日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。

まずは「ウイルス干渉」とはどういうことなのか?富山県衛生研究所の大石和徳所長に伺いました。

★ウィルス干渉って何?

富山県衛生研究所 大石和徳さん
「それはどういう仕組みかって言うと、ウィルス感染を受けると、ウイルスに対するこの個体が持っている「自然免疫」って言うんですけど、抗ウイルス活性を持ったサイトカインが出てくんですよ。でそれが他のウィルス感染を抑えるって言うことは、現象的にはよく知られてることなんですね。ひょっとすると、ウイルス干渉が起こっているのかもしれない」

コロナウイルスが干渉して、インフルエンザウイルスを抑え込んでいる、ということなんです。

ウイルス干渉というのは、どういう仕組みかと言うと、例えばコロナウイルスに感染すると、体の中に免疫効果のあるタンパク質=サイトカインが出てくる。それがインフルエンザウイルスに干渉して、インフルエンザ感染を防ぐ、抑え込む、という仕組み。

あるウイルスが広く蔓延すると、発症しないまでも、ウイルスをどこかで浴びることで、体内にこうした変化がありうると。

もちろん、コロナ対策として感染防止策を行なっていることも影響しているはずですが、それだけで、ここまで極端に減るとは考えにくい。

だから「ウィルス干渉」が大きな要因だと考えられるということでした。

では、ウイルスが干渉して「コロナの流行でインフルエンザが抑え込める」なら、その逆に、「インフルエンザが流行すればコロナを抑えられる」のではないのか?治療法が確立しているインフルエンザの方がマシですよね。

というわけで、「インフルでコロナを封じ込めることはありうるのか?」元小樽市保健所長でインフルエンザに詳しい医学博士の外岡立人さんに伺いました。

★インフルエンザでコロナを抑え込める?

医学博士 外岡立人さん
「ありますね。呼吸器に感染するウイルスはたくさんある。コロナウイルスも、インフルエンザも呼吸器系に感染する。ですからインフルエンザが活発に世界中に流行している時は、コロナウイルスは流行しなかっただろうといえますね。しかし、これだけコロナがたくさん増えて、流行して、変異株も沢山できて、世界中に広がっている段階では、いくらインフルエンザでも、それを抑えるのは無理で、逆にそう言ったコロナウイルスを押し除けるだけの力を持ったインフルエンザが出てきたら、逆にそのインフルエンザも怖いですよね。」

外岡さんは新型インフルエンザなどにも詳しい方なのですが、確かに「インフルエンザウイルスがコロナを抑え込む」ことはありうる。でも、コロナを押し除けるくらいのインフルエンザウイルスだったら、コロナより、そちらの方が怖いという事で、インフルでコロナを押さえ込むという発想は浅はかでした・・・

では、次の疑問。コロナはともかく、現状は、インフルエンザが激減している。これはこれでいいことなのでは?と思って伺ったんですが、実は、これも問題があるそうです。再び外岡さんに伺いました。

★インフルエンザが激減するとワクチンを作るのが難しくなる

医学博士 外岡立人さん
「今年インフルエンザが流行しなかったとしたら、来年度、どういうインフルエンザが出てくるか予想が難しいですね。今年流行したインフルエンザから、WHOは来年度のインフルエンザワクチンを考えるんです。今年流行してなかったとしたならば、来年度はどのタイプのインフルエンザが流行するか、予想が非常に難しいから、ワクチン作りも、すごく難しいですよね」

インフルエンザと一口に言っても型の種類は様々。A型とB型があり、そのA型B型の中でも、いくつか種類に別れます。

通常は、今年流行したインフルエンザから、「その型のインフルは今年流行して、もう集団免疫ができているから、来年は流行しないだろうな」などと考えながら、翌年の流行を想定し、翌年用のワクチンを考える。だから流行しないと、翌年のワクチンがうまく作れず、翌年以降、大流行するリスクが出てくる、ということでした。

コロナ禍でインフルエンザが流行しないのは、不幸中の幸いかと思っていましたが、実はその影響は翌年に出てくるかもしれないということで、改めて、コロナの影響の大きさを感じます。

◆12月23日放送分より 番組名:TBSラジオ「森本毅郎 スタンバイ!」

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昨年比「600分の1」の衝撃 日本のインフルエンザ「消滅状態」は続くのか

https://news.yahoo.co.jp/byline/mamoruichikawa/20201205-00210138/

市川衛 | 医療の「翻訳家」 2020/12/5(土) 8:00

インフルエンザ定点あたり報告数2019年20年比較(厚労省データより筆者作成)

4日、厚生労働省は最新のインフルエンザの国内発生状況(11月23日~29日分)を発表しました。

昨年は同時期に、全国で27,393件の発生が報告されましたが、今年は46件でした。昨年比でおよそ600分の1という、いわば「消滅状態」とも感じられる数字です。

今年の冬は、新型コロナとインフルエンザが同時流行する、いわゆる「ツインデミック」が不安視されていました。要治療者・入院者が急増することで、病院機能がパニックになる、と指摘する声もありました。

インフルエンザの流行は、年によって前後しますが11月下旬から12月にかけて発生します。ここ10年で、1月以降に流行が発生したのは2015/2016シーズン(2016年第1週)しかありません。

去年と今年の、国内のインフルエンザ報告数(定点あたり)の推移をグラフにすると下記のようになります。

インフルエンザ定点あたり報告数2019年と2020年の比較(厚労省データより筆者作成)
インフルエンザ定点あたり報告数2019年と2020年の比較(厚労省データより筆者作成)

2019年が青の線、2020年が赤の線です。ご覧の通り、去年はこの時期(48週)にかけて報告数が急増し流行状態になっていましたが、今年はゼロを示す横軸とほぼ一致しており、流行が起きていないことが分かります。

「希望」とも思えるこの状態、この先も続くのでしょうか?

もちろん未来予測は出来ませんが、参考になるのが、この7月にいち早く「ウィズコロナの冬」を迎えた南半球の国々のデータです。

南半球の国々でも確認された「インフルエンザ消滅」

南半球は日本など北半球と季節が逆です。日本では夏の7月ごろ、例年ならインフルエンザが流行する冬を迎えました。

南半球の国のひとつ「オーストラリア」の流行データを見てみます。

グラフは、WHO(世界保健機関)の「Influenza surveillance report」より取得しました。期間は、2019年の3月6日から今年の9月6日までです。

WHO Influenza surveillance reportより 赤丸・矢印などは筆者記入
WHO Influenza surveillance reportより 赤丸・矢印などは筆者記入

棒グラフが、インフルエンザ陽性となった検体数。赤の線グラフは陽性率(検体のうち、陽性になったものの割合)です。

2019年の7月ごろには大きなピークがあり、流行が起きたことが分かります。ところが今年の7月(というか4月以降)は、ほぼゼロです。

オーストラリアの他の南半球の国々のデータも見ましたが、同様のインフルエンザ「消滅状態」が起きていました。

コロナ対策はインフルも減らす?

なぜインフルエンザの報告数が減ったのでしょうか。もしかすると、新型コロナの影響で、症状があっても病院に行かないなどして把握されていない患者がたくさんいるのではないか?という疑いも出てきます。

ただ、オーストラリア保健省が出しているレポートを読んでみたところ、そういうわけでもなさそうです。

こちらは、オーストラリアにおける、今年に入ってからのインフルエンザの検査数と陽性になった割合を示したグラフです。

AUSTRALIAN INFLUENZA SURVEILLANCE REPORT No. 10, 2020 より  一部筆者により和訳・補足
AUSTRALIAN INFLUENZA SURVEILLANCE REPORT No. 10, 2020 より  一部筆者により和訳・補足

青い線グラフは、インフルエンザ検査の数の月ごとの変化です。8月にかけて大幅に増えていることがわかります。

一方、棒グラフがインフルエンザの陽性率(行われた検査のなかで、陽性となった率)ですが、4月以降ほぼゼロの状態が続いています。

検査は多く行われているのに、ほとんど検出されていないわけですから、流行は本当に起きていない可能性が高いと言えそうです。

なぜこの冬シーズン、インフルエンザの流行が記録的に低く抑えられたのか。先述のレポートの中で、オーストラリア保健省は次のように指摘しています。

新型コロナウイルス感染症の流行に関連して行われた公衆衛生上の対策や、メッセージを多くの人が守っていることが、インフルエンザを含む急性呼吸器感染症の感染拡大に影響を与えている可能性が高い。

出典:AUSTRALIAN INFLUENZA SURVEILLANCE REPORT No. 10, 2020 より

新型コロナ対策で行われている取り組みは、考えてみれば当然ですが、インフルエンザ対策としても有効です。また、コロナ感染拡大の影響で、国を超えた移動が大幅に減ったことも感染の防止に役立っていそうです。

この冬の日本、そしていちはやく冬を迎えた南半球の国々の状況は、「社会の多くの人が同時に感染症の対策をとると、その効果は驚くほどてきめんに現れる」という可能性を示しています。

「慢心」ではなく「希望」と捉える大切さ

この冬「ツインデミック」、すなわち新型コロナとインフルエンザが同時流行することによって医療機関が大混乱し、失われないで済むはずの命がたくさん失われる事態が心配されてきました。

現状の日本のデータ、そして南半球の事例からは「私たち一人ひとりが、すでに行っている感染対策を着実に続けていれば、そんな不幸な事態を防げるかもしれない」という「希望」が示されたと捉えるのが、役に立つ考え方なのかもしれません。

・適切なマスク着用

・3密(特に多人数の会食)を避ける

・帰宅時などに手を洗う

いま「第3波」と呼ばれるコロナ陽性確認者の増加が報道される中で、上記のような対策を続けて本当に意味あるの?って、ついつい思ってしまうこともあります。

でも間接的ではありますが、インフルエンザに関するこれまでのデータは、そういう地味ですぐには意義を実感できない対策が、ちゃんと効果をあげていることを示しつつあります。

この記事を書くために、データをグラフにしたり図にしたりしてつらつらと眺めていたところ。。。全国で、そういう地味で面倒なことを粘り強く続けている人たちの姿が急に思い浮かんでしまい、ちょっと目頭を熱くしてしまいました。

この一人ひとりの頑張りの先にはきっと「希望」がある!ということを、個人的には確信した次第です。急に感情的でスミマセン。

感染対策、ちょっと面倒で先が見えないように思えるときもありますが、より前向きな未来につながると信じて、続けていこうと思います。

(いちかわ・まもる)医療の「翻訳家」/医療ジャーナリスト/メディカルジャーナリズム勉強会代表/京都大学医学部非常勤講師。00年東京大学医学部卒業後、NHK入局。医療・福祉・健康分野をメインに世界各地で取材を行う。16年スタンフォード大学客員研究員。【主な作品】(テレビ)NHKスペシャル「腰痛 治療革命」「医療ビッグデータ」ためしてガッテン「認知症!介護の新技」など。(書籍)「脳がよみがえる・脳卒中リハビリ革命(主婦と生活社)」「誤解だらけの認知症(技術評論社)」など。※記事は個人としての発信であり、いかなる組織の意見も代表するものではありません

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新型コロナ どうして、これほど「無症状」感染者が多いのか?

https://news.yahoo.co.jp/articles/c342abf8d9387caf7e77b7eeaa13984c524c371a?page=1

2020/11/22(日) 10:20配信 NIKKEI STYLE

 新型コロナウイルス感染症で厄介なのは、誰が感染を拡大させているのかが見えづらいことだ。 呼吸だけで感染力 スーパースプレッダー驚きの飛沫量  土曜日の晩には「元気」だったので大勢の人と接したが、月曜日になって咳、熱、疲労感に襲われ、感染していたことに気がついた。米疾病対策センター(CDC)の推計によれば、そんなふうに症状が出る前の人がウイルスをうつすケースは、感染例のおよそ半数を占める。  だが、さらに実態をつかみにくいのは、ウイルスに感染していても全く症状が出ない人のケースだ。CDCによれば、全米の感染例のうち、そうした無症状の感染者は4割に上るという。  発症前(pre-symptomatic)に他人に感染させる人や、無症状(asymptomatic)の人がなぜこんなにも多いのか。知らない間に感染が広がるのは、インフルエンザやかぜなどのウイルスも同じだ。しかし、新型コロナウイルス感染症では極端に把握が難しく、したがってコントロールも難しい。  問題の一つは、病状の現れ方がよくわかっていない点にある。高齢者のほか、肥満、喘息(ぜんそく)、糖尿病などの既往症を抱えている人の方が、重症になるケースが多いことは明らかになっている。しかし、感染しても重症化を免れる人についてはよくわかっていない。  現在、無症状あるいは軽症になるメカニズムや、そうした人からどのように感染が拡大するかを予測するモデルについて、競うように研究が進められている。今のところ、遺伝的要因や年齢、免疫系における個人差が複合して、症状の重さを左右しているのではないかとの結果が出てきている。 ■無症状者を把握する難しさ  無症状での感染拡大を調査しようにも、そうしたケースがどれくらいの頻度で起こっているのかを把握することが最大の難関となる。どこも調子が悪くない人は、そもそも検査に行くこともないだろう。  中国やアイスランドのように広範な検査を行った場所でさえ、信頼性の高いデータは少ない。理由の一つは、検査を受けた人が後になって発症したかどうかを、十分な期間を設けて追跡する調査が行われていないためだ。2020年7月22日に学術誌『ネイチャー』に掲載された論文では、パンデミック(世界的な大流行)発生当初の中国、武漢においては、発症前のウイルス保有者による感染を保健当局が知らなかったため、感染例の87%が見逃されていたと推測されている。

 症状が全く出ない人による感染を調査することは困難なため、そのような人にどのくらいの感染力があるのかは不明瞭だ。CDCは、無症状者の感染力は症状があるケースの75%ほどではないかと推定している。これは、症状の有無や程度によって、体外に排出されるウイルスの量や感染力にどのような違いあるかについて調べた研究に基づいている。だが同時に、この数字について注意を促してもいる。いわゆる「ウイルス排出」の仕組み自体があまり解明されていないからだ。  無症状の人はそもそもウイルスの量が少ないのかもしれない。あるいは、コウモリのような免疫系を持っているのかもしれない。「コウモリはウイルスを保有していますが、全く症状が表れません。特殊な免疫反応によってウイルスを抑え込んでいるようなのです」。米アイオワ大学教授で微生物学と免疫学が専門のスタンリー・パールマン氏はそう説明する。  こうした説は、中国で最近行われた研究の解明に役立つかもしれない。6月18日付で学術誌『ネイチャーメディシン』に掲載された論文によれば、無症状の人は全般的に免疫反応が弱く、ウイルスと闘う武器である抗体をあまり作らないことが示唆されたという。 ■若さの背景にあるもの  研究者たちはまた、どんな人が無症状や軽症になりやすいのかを調べている。英国の1730万件近い医療記録の分析によれば、新型コロナウイルス感染症は高齢者では死亡に至るリスクが高い一方で、若者の大半は重症化しない。  重症化するかどうかについて「関連性が圧倒的に強い要素は年齢です」と、米ハーバード大学ブリガム・アンド・ウィメンズ病院感染症科の診療部長と医学部教授を兼務するポール・サックス氏は言う。  しかしそれは、一般的に若者の方が健康であるという単純な理由からではない。新型コロナウイルスが細胞に感染する際の入り口となる「ACE2(アンジオテンシン変換酵素2)」というタンパク質を多く持っている人は、より高リスクなのではないかとの説がある。高齢者は全身や、ウイルスにさらされやすい鼻にACE2を若者より多く持っているのだ。また、肥満の人もACE2が多い。  注目が集まっている説は他にもある。若者の方が一般的に呼吸器系のウイルスに感染することが多く、それが新型コロナウイルスに感染したときの危険度を下げているのではないかというものだ。「すでに複数種類のコロナウイルスに暴露されているため、新型コロナウイルスに対する部分的な防御態勢が出来ているわけです」とサックス氏は説明する。  20年7月15日付で学術誌『ネイチャー』に掲載された、査読済みだが編集前の論文では、特定の種類のコロナウイルスに感染して回復した人は、新型コロナウイルスを撃退したり軽症に抑えたりできるような「メモリーT細胞」を保有しているのではないかと主張されている。  あるいは、無症状の人は単に遺伝的に運が良いだけではないかと示唆する研究もある。特定のタイプのACE2遺伝子を持つ人は、新型コロナウイルスに感染しやすかったり、炎症を起こしやすいせいで肺にダメージを受けやすかったり、血管が収縮して症状が重くなりやすかったりする。イタリアとスペインで実施された調査の結果、特定の血液型の人は入院に至るリスクが高いとする報告も出された。しかし、それを否定する、より大規模な調査結果が、7月に入って複数発表されている。

■「無症状」にもいろいろある?  他の一般的な感染症でも、無症状のまま感染を拡大させることはありうる。だが、研究は重症患者に注目して行われることが普通であるため、無症状者が関わるケースは見落とされがちだ。  こうした見えない感染の実態を把握するための調査が、16年秋から18年春にかけて米ニューヨーク市で行われていた。市内の複数箇所の214人を対象に毎週、かぜの原因となる従来型のコロナウイルスやインフルエンザウイルス等、18種類の呼吸器系ウイルスの検査を実施した。1年半の調査の結果、陽性のケースのうち、なんと55%が無症状であり、ほとんどのウイルスにおいて無症状感染の割合は70%を超えた。  とはいえ、こうした無症状者の感染力について、特にインフルエンザ研究者の間では見解が分かれている。 「長年、議論されていることです」と話すのは、香港大学公衆衛生学院の教授で疫学・生物統計学分野を率いるベンジャミン・カウリング氏だ。「インフルエンザウイルスの潜伏期間は1、2日です。感染はすばやく起こり、多くの場合、症状は軽く済みます。患者の行動歴をたどって感染した経緯を調べようと思っても、大変難しいものです」  新型コロナウイルスの感染経路を突き止めることは容易ではないが、カウリング氏が言うには、最長で約2週間という長い潜伏期間のおかげで、接触者を追跡したり無症状感染者を特定したりするチャンスは増える。ただし、ここで注目すべきことがある。感染していることを告げられると、そう言えば全く症状がなかったわけではない、と考え直す人がいることだ。 「症状について聞かれて初めて、体調が良くなかったことを思い出すのです」とカウリング氏は述べる。「喉がイガイガする、頭痛があるなどの軽い症状や、調子が悪いものの、感染による症状なのか寝不足のせいなのかよくわからない、というグレーゾーンがあるのです」  新型コロナウイルス感染症の症状とされるものは日々増えつつあるので、何がそれに当たるのかについて混乱があるのも無理はない。現在では、味覚や嗅覚の喪失、足の指が紫色になるほか、吐き気や下痢など消化器系の症状なども、典型的な症状の中に含まれている。6月18日付で学術誌『ネイチャーメディシン』に発表された論文によれば、明確な症状がない人でも肺にダメージを受けていることがあるという。  つまり、これまで完全に無症状と思われてきたケースは、あまりに症状が軽いために、本人も感染を疑わなかっただけかもしれない。「なんとなく調子が悪いけれど、まさか新型コロナのせいだとは思わないような症状です」。米テキサス大学オースティン校で感染症のモデルを研究する統合生物学の教授、ローレン・アンセル・マイヤーズ氏はそう話す。  こうしたグレーゾーンについての知見を深めることが、ウイルスの感染拡大を抑える鍵になるかもしれない。 「軽い症状にどんなものが多いのかがわかれば、感染者を迅速に特定し、隔離することができるようになるでしょう」とマイヤーズ氏は言う。「完全に無症状というケースが思ったよりも少ないのであれば、今後の道筋や活動制限の緩和方針に大きな影響を及ぼすかもしれません」