カテゴリー
コロナ 社会問題

「差別はいつも弱者に向けられる」感染めぐる中傷、32年前の警告

https://news.yahoo.co.jp/articles/869862e742d1657ca66158bed85701d30d2c7380

2021/8/25(水) 16:01 南海放送

収束が見えない新型コロナ。未知の感染症と対峙していく中で、普段は心の奥に“隠れていた”私たちの正体が次々とあばかれています。その1つが、自分や家族を守ろうとする1人1人の「正義」の危うさです。 「人殺し」「ウイルスばらまくな」「犯罪者」…。愛媛県のある介護施設でクラスターが発生した際に寄せられた電話です。いずれも入所者と全く関係がない市民からの誹謗中傷です。30年前、ある薬害エイズ患者が未来に向けてある肉声を残しています。「警告だけはしておく。普段はきれいごとを言ってる人も、いざ自分の身の回りに何か起きたら、差別や偏見はいつも弱者に向けられる。何かあった時にこそ、自分の人間としての価値が問われる」。なぜ私たちは歴史を繰り返してしまうのでしょうか。 (南海放送 解説委員長 三谷隆司、記者 植田竜一)

◆24時間営業の保育園

塩見洋三園長(ひだまり保育園)

県内屈指の繁華街・愛媛県松山市三番町に「ひだまり保育園」という24時間営業の保育園があります。「コロナ前は、部屋からあふれるくらいの子ども預かっていましたよ」と懐かしげに語る塩見洋三園長(55)。 ひだまり保育園は朝や昼の保育のほかに、深夜から早朝にかけての夜間保育にも力を入れています。飲食店や医療・介護職など、夜の時間帯に働かないといけない母親が子どもを預けるケースが多いといいます。「預け先のない子どもたちのセーフティーネットの役割を担っている」という誇りを持って経営する塩見園長。しかし、今年の3月。ひだまり保育園は岐路に立たされます。「繁華街クラスター」が発生したのです。

◆繁華街クラスターと自粛警察

時短営業中のひだまり保育園

今年3月、松山市の繁華街で変異株を端緒として、感染者200人を超える大規模なクラスターが発生。ひだまり保育園の現状はどうなっているのか―。繁華街の“ど真ん中”にあるひだまり保育園を訪ねました。「かつて40人くらいいた夜間保育も、今は多くて2,3人。飲食店が閉まってしまって、繁華街で働くお母さんたちの仕事がなくなると子どもを預ける必要がなくなる」と塩見園長は肩を落とします。「いつか元に戻ると信じながら経営してきたけど、もうここが限界。うちも飲食店と同じか、それ以上にダメージを受けている」。 そんな中、一本の電話がひだまり保育園にかかってきます。「なんでおたくは夜の休業要請に逆らって開け続けてるの?おたくがやってるから飲食店で働くお母さんたちが仕事するんじゃないの」。保育園と全く関係がない“自粛警察”による、ひだまり保育園への“自粛要請”です。このような電話は、繁華街での感染拡大が進めば進むほど増えていきました。「ちょっとやるせなかったですね。まるでうちが感染を広げてるかのような言い方で…。飲食店だけでなく夜勤の看護師さんや介護職のお母さんの子どもも預かっているんですけど、なかなかご理解いただけません」(塩見園長)。

◆「人殺し」「犯罪者」…

クラスターが発生した高齢者介護施設

実は過去にも、自分とは全く関係がないのに、こうしたエッセンシャルワーカーや施設を攻撃する事例が起きていました。2020年4月、愛媛県松山市の介護施設に入所中の男性が、出席した葬儀をきっかけに新型コロナに感染。男性はその後亡くなりました。そして、施設の職員やほかの入所者ら介護施設全体での大規模クラスターにつながってしまいます。 「人殺し」「ウイルスばらまくな」「犯罪者」…。この施設で感染者が増えれば増えるほど、施設にある複数の電話回線はパンク状態になっていきました。電話の内容は施設と全く関係のない人たちから寄せられた誹謗中傷がほとんどで、対応した職員の数名は精神的なダメージから休職を余儀なくされました。しかし、当初は施設にはこれらの誹謗中傷は一切なく、ほとんどが励ましの電話だったといいます。一体、何があったのでしょうか。

◆免罪符を手に入れて―

中村時広知事の記者会見

施設関係者によると、「励ましの電話」が「誹謗中傷の電話」に変わったのは4月15日を境にしてだといいます。「知事や市長が記者会見で『施設の対応は由々しき事態』と指摘された日です」。取材に応じた施設関係者は言葉を選ぶように続けます。「マスコミが会見の内容を切り取って強調したことで、それを見た視聴者からの誹謗中傷も受けました」。 知事や市長は、あくまでも施設の対応について指摘しただけにもかかわらず、介護施設と全く関係ない人たちがこぞって職員への誹謗中傷を始めたのです。 “行政のトップも問題視しているから”という免罪符を手に入れて、1人1人の「正義」が暴走します。この事態を受け、4月20日知事が会見を開きます。「我々の敵はあくまでウイルスです。そのことは絶対に忘れてはいけない。いつ、その不平を言った方がうつるとも限らないんですよ」。するとその直後から、今度は施設に励ましや支援を申し出る電話が殺到するようになったといいます。

◆差別と闘ったエイズ患者・赤瀬範保さん

裁判所に入る赤瀬さんら原告団

果たして私たちの「正義」とは何なのか。それを考える上で、一つの材料となる声があります。今から32年前、あるエイズ患者が語った言葉です。「あんたたちメディアも、お偉いさんの言うことを寄ってたかって報道して。それが当然という世の中がおかしいんだよね。みんなもっと弱者とか感染者の気持ちを分かった上での発言って必要だと思う」。 愛媛県今治市のエイズ患者、赤瀬範保さん。1989年に全国で初めて実名を公表して薬害エイズ訴訟を闘いました。血友病患者だった赤瀬さんは、治療のために当時の厚生省が承認していた薬を投与した結果、薬にHIVが混ざっていたことが原因でエイズ患者となりました。 それにもかかわらず赤瀬さんら薬害エイズ患者は、病院での診療拒否や職場からの閉め出しなど、病気に対する偏見と誤解により激しい差別を受けます。当時、どのように感染するかわかっていなかった未知の感染症エイズ。自分を守ろうとする1人1人の「正義」は、激しい偏見とともに患者を社会から排除しようとします。

「いかにも罪人あつかいというか汚いもの扱いというか余計ものあつかいというか、それが見え見えなんだよね」(赤瀬さん)。

カテゴリー
コロナ 社会問題

軽症コロナ患者を意図的に入院させて「補助金特需」に沸く悪徳病院の高笑い

https://news.yahoo.co.jp/articles/d8c964347494ccb026c94f8a6067ad67d004ed0b

2021/8/25(水) 11:16 PRESIDENT online

新型コロナに感染し中等症になったにもかかわらず、入院できず、自宅療養を強いられる人が増え続けている。麻酔科医の筒井冨美氏は「多くの病院は患者を救うために必死に戦っているが、一部では、意図的に深刻な呼吸不全のない軽症患者を長期間入院させて、国からの補助金を得ているという医療機関の存在が囁かれている」という――。 【この記事の画像を見る】 ■「これ以上の病床数確保はムリ」現場の悲鳴  新型コロナウイルス(以下コロナ)の感染拡大を受けて、コロナ患者用の入院病床数が不足している。高齢者のワクチン接種を終えた2021年夏の第5波は、20~50代の現役世代の入院が急増しているのが特徴である。  8月23日、小池百合子都知事と田村憲久厚労相は合同で、都内の医療機関に対し「コロナ患者を最大限受け入れること」「正当な理由なく応じない場合は病院名を公表する」と要請した。  国はこれまでもコロナ受け入れ病院に対して「一床あたり450万~1500万円」の補助金を出して病床確保に努めてきたが、マンパワーが不足していた。なかでも「夜勤可能な看護師」が非常に不足している。  「看護師本人が夜勤に耐えられるレベルの健康状態で、家庭内に子供・糖尿病・喘息などの健康弱者がいない」さらに「人工呼吸器も扱える」「感染症に詳しい」レベルとなると病院同士で奪い合いの状態である。「コロナ病床、夜勤アリ、月200万円」の看護師求人広告も出現し、「これ以上の病床数確保はムリ」という現場の悲鳴も大きい。 ■医師たちに囁かれる「偽装中症病床」  一方、こうしたコロナの猛威と闘う医療現場が多いなか、一部にはそれとは真逆の不届きな病院もある。実は、最近になって、医師たちの間でささやかれるのが、「偽装中症病床」の存在だ。  病院は「コロナ病床」としての補助金をもらいつつ、「PCR検査は陽性だが深刻な呼吸不全はない軽症者」を意図的に入院させておくのだ。そうすれば手もかからない。救急隊には「満床」と報告しておけば、それ以上追及されることはない。  入院する患者としても恩恵を享受できる。「ベッドでゴロゴロしながら1日中ネット動画鑑賞、入院費タダで食事も確保、傷病手当金や保険金は丸儲け」のような状態となり、病院/患者とも「win-win」となる。そして、そのしわ寄せが、入院できない中重症患者(や納税者)に来ているのが現状とも言える。

■「偽装中症」患者を自発的に退院させる方法  入院できず自宅療養する人が大量にいる中、これが事実であれば大問題だが、この「偽装中症」と「真の中症」を区別できるシンプルな方法がある。しかも、それはスイッチひとつでできる簡単なやり方だ。  例えば、こうした実例がある。  関東地方の複数の医師によれば、コロナ患者の入院判定にあたって、本人が強く入院を希望したにもかかわらず、「病床にWi-Fiがない」と聞いたとたん入院希望を撤回する軽症者が存在するという。また、入院したものの「ネット回線が遅く動画鑑賞できるほどではない」と分かったとたん「自宅療養に戻りたい」と出て行ってしまう。数時間とはいえ、コロナ患者が使用した部屋や寝具は消毒や廃棄せざるを得ないので、病院としても非常に迷惑だが従わざるを得ない。 ■「患者向けWi-Fi制限」で病床確保を  そこで、逼迫する医療体制を脱するべく、速やかなコロナ病床確保や病床運営方法として、病床が不足している地域では「患者用Wi-Fi制限」を提案するといいのではないか。  そもそも「ネットで動画鑑賞」できるレベルの患者とは、本来は健康保険を使って入院するような存在ではなく、自宅もしくはホテル療養を勧めるべきである。  あるいは「5分1000円」のような高額接続料金を設定しておけば、軽症者はたまりかねて自発的に退院するだろう。  「苦しくてネット動画どころではない」中重症患者のみが自然に院内に残ることになる。また、病院の業務用Wi-Fiと患者用を分離運営するのが困難な施設では「入院中は電子機器使用禁止」として、スマホやタブレット端末をナースステーションで預かることにすれば、今日からでもコストゼロで実行可能である。  東京都と厚労省は、命がけで頑張っている医療機関・従事者に鞭打つような勧告を行うぐらいならば、シンプルだが実は現役世代のネット依存を活用した、病床運営の適正化をお勧めしたい。

———- 筒井 冨美(つつい・ふみ) フリーランス麻酔科医、医学博士 地方の非医師家庭に生まれ、国立大学を卒業。米国留学、医大講師を経て、2007年より「特定の職場を持たないフリーランス医師」に転身。本業の傍ら、12年から「ドクターX~外科医・大門未知子~」など医療ドラマの制作協力や執筆活動も行う。近著に「フリーランス女医が教える「名医」と「迷医」の見分け方」(宝島社)、「フリーランス女医は見た 医者の稼ぎ方」(光文社新書) ———-

カテゴリー
コロナ 社会問題

“最後の砦”ECMO、20代へ導入も……医師「想定していなかった」 全国の装着患者「3倍」で過去最多を更新

https://news.yahoo.co.jp/articles/727f205b03c65fda7d1c0bc24782ed98695f468a

2021/8/25(水) 11:06 日テレNEWS24

全国の新型コロナウイルス新規感染者は24日、火曜日で過去最多でした。重症者の「最後の砦」とされるECMO(人工心肺装置)装着者は急増。自宅療養中に亡くなる例も相次ぎ、東京では救急要請しても約6割が搬送されないなど、深刻さを増しています。

自宅療養“悪化”死者も

ECMO装着患者は、この1か月で約3倍に増加

24日、東京都立多摩総合医療センターでは、重症患者の「最後の砦」とも言われる、人工肺「ECMO(エクモ)」を使った治療が行われていました。 4人の患者に導入していますが、病院のECMOセンター・清水敬樹部長は「ECMOの治療が終わって、そうしたらまた次の患者さんを入れる(状況)」と話します。ECMOを必要とする患者が途絶えないといいます。 日本ECMOnetによると、全国のECMO装着患者は、1か月前の7月23日に44人でしたが、8月23日には119人と、約3倍になり、連日、過去最多を更新しています。 佐藤梨那アナウンサー 「100人を超えるECMO導入患者がいる状況をどう見ますか?」 清水部長 「われわれが想定していなかった状況です。コロナが始まっての最初の1年間で、日本での導入は600名なんです。この1~2週間で(約)120名というのはもう、ちょっと信じられないような数と言わざるを得ないと思っています」 さらに、患者には変化があるといいます。 清水部長 「従来は高齢者といいますか、50~60代の方が非常に多かった。20代という方も、今は珍しくないんですね。このような年代の方にECMOを導入するのは、これまで想定していなかった」

都の担当者「若者も重症化」

ワクチン接種をした若者「もしかかってしまったら…」と考えることが大事だと話した

重症化について24日夜、東京・渋谷で若者に聞きました。 ――感染後に重症化すると思いますか? 営業職(23) 「僕は正直しないのかなと思ってます。若いからならないだろうって」 大学生(23) 「自分も正直しないかなと思っちゃってます」 ワクチンを2回接種した就活生(20代) 「(重症化)すると思います。(ワクチンを打ったから)『かからないや、いいや』じゃなくて、『かかってしまったらどうしよう』と考えることが大事だなと思います」 24日に都内で確認された感染者は4220人で、1週間前の17日から157人減っています。重症者は23日より4人減って268人。9人の方の死亡が確認されています。 都の担当者は「若い人でも重症化、死亡する人もいるので、我が事として捉えてほしい」と注意を呼びかけます。

往診の医師「自宅に患者あふれる」

東京都では自宅療養者の数が2万4000人以上にのぼっている

高止まりしているのが自宅療養者の数です。東京都では24日時点で2万4673人に上っています。 都内で自宅療養中の20代男性は20日、夜間や休日に往診する「ファストドクター」に「のどの痛みと血混じりのたんが出ます」と症状を訴えました。感染経路の心当たりを聞かれると、「食事じゃなく、買い物しただけで。デパ地下ですね」と答えました。 男性は一時39度近い熱が出た上、血中の酸素飽和度が92%まで下がったといいます。 男性は「怖いですよね。しんどい中、(保健所からの連絡を)待ち続ける時間というのがけっこう不安でした」と言います。その後、同居している婚約者も感染が判明しました。 一方、一週間以上、都内の自宅で療養中の50代女性はファストドクターに「食事はほとんどできてないです。起き上がるのが何せつらいのと、目を開けているのがつらいので」と言いました。38.7度の熱があり、血中の酸素飽和度も低くなっていました。 せき込む女性。肺炎の疑いがあるため、医師は酸素投与を開始しました。一緒に暮らす夫の陽性も確認されました。 ファストドクター代表・菊池亮医師 「(新型コロナの)患者さんが自宅にあふれているなという風に感じています。医療の提供体制には限界があるというのは、ご承知のところだと思います。いかに感染者を減らしていくかに尽きるかと思います」

相次ぐ自宅療養“悪化”…死者も

自宅療養中に容態が悪化し、亡くなるケースも相次いでいる

自宅療養中の急変も相次いでいます。 東京都では、軽症だった40代の女性が、自宅療養中に亡くなりました。8月5日に陽性が判明し、6日の昼間に保健所が連絡。その日の夜に容体が急変し、病院に搬送後、死亡したといいます。女性に基礎疾患はなく、ワクチンは接種していませんでした。 千葉県でも60代の男性が自宅療養中に死亡しました。さらに千葉県では、コロナではない患者の入院先がなかなか見つからなかったケースもありました。 消防などによると、18日、39度近い熱がある60代の男性が意識のない状態で自宅で見つかりました。この時、コロナに感染しているかどうかは分からなかったものの、30以上の病院に受け入れを断られたといいます。 約3時間半後に病院へ搬送されましたが、死亡が確認されました。コロナの感染は確認されなかったといいます。

感染判明も…「約6割」入院できず

救急要請したものの、病院に搬送されなかったケースが「約6割」も

救急搬送の受け入れ困難も深刻です。 東京消防庁によると、16日~22日までに感染が確認され、救急要請をしたものの病院に搬送されなかったケースは全体の6割近くに上りました。また搬送されたうち、病院到着までに1時間以上かかったケースが約9割、5時間以上かかったケースも1割以上ありました。 24日、都内の入院者数が過去最多の4124人となりました。 埼玉・川越市の埼玉医科大学総合医療センターでは、これまで東京からの搬送も受け入れてきましたが、状況が変化していました。 岡秀昭教授は「ICUの部屋は全て、重症の患者さんで埋まっています。病床は1つしか(空きが)ございません」と言います。ただ、3件の受け入れ依頼が寄せられました。 岡教授 「東京からの患者、医療圏外の埼玉県からの中等症の患者、近い医療圏の重症化の一歩手前の患者。誰を取りますかということで、3番目の患者さんの受け入れをしました」 「1つしか病床がないので、これはもうやむを得ないことだと思うんですよ。3人を助けに行ったら、私たちの医療現場が機能しなくなってしまうんです。3人とも助けられないということになってしまうんです」 東京からの患者よりも、地元の患者を優先せざるを得ない状況です。 岡教授 「もはや医療が通常に機能していない状況なんです。それをご理解いただいて、ご自身の身をご自身で守っていただきたい」

国と都が要請「逃げるわけには」

国と都は23日、すべての病院や診療所などに対し、病床確保や人材派遣への協力を要請しました。 通常診療の傍ら、保健所に協力してコロナの自宅療養者への訪問診療をする「一生堂クリニック」の斎藤博院長。国と都の要請について、聞きました。 「多くの医療者が燃え尽きかけているのが本音です、実情です。こういう災害時のような状況の時に、投げるわけにはいかない。やっぱりやらなければいけないだろうと。僕たちが逃げていてはだめだろうと」 別の医療機関からは要請について、「院内にも入院患者がいるので、(受け入れは)難しい。『次の病院が見つかるまで外来で入院1泊』など、できるところをやっていく」という声が聞かれました。 こうした中、都内で24日、受け入れを始めたのが、2か所の「酸素ステーション」です。本来なら入院に相当する自宅療養の中等症患者が、酸素投与のため5人程度ずつ入ったといいます。

全国「火曜最多」2万人超が感染

新たに8道県に「緊急事態宣言」発出、4県に「まん延防止」措置追加へ

24日の新規感染者は、愛知・岐阜・京都など8府県で過去最多となり、全国で2万1570人が確認されました。火曜日の過去最多です。また31人が亡くなったことが確認されました。 複数の政府・与党幹部によると、新たに北海道・宮城・愛知・岐阜・三重・滋賀・岡山・広島の8道県に緊急事態宣言を発出する方針を固めました。まん延防止等重点措置については、高知・佐賀・長崎・宮崎の4県を新たに追加する方針です。期間は8月27日~9月12日です。

(8月24日『news zero』より)

カテゴリー
コロナ 社会問題

公衆衛生学者が警告「保健所ひっ迫で、東京の実際の感染者数はわからなくなっている」

https://news.yahoo.co.jp/articles/034ac8d5b153f31a9bfcb3b139b828d83baccf0b

2021/8/25(水) 13:47 デイリー

 テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」が25日、24日の全国の新型コロナ新規感染者数が12日連続で過去最多を更新するなど感染拡大が止まらない状況を報じた。東京についてはここ5日間で4日前週から減ったが、公衆衛生学者で元WHO事務局長上級顧問・渋谷健司氏は「もうすでに保健所がひっ迫していますので正確にはわからなくなっている状態だと思いますし、ピークアウトしているとは思わない」と厳しい見方を示した。  24日の東京の新規感染者数は、前週を157人下回る4220人。20日からの5日間では22日を除き、前週を下回った。  それでも、渋谷氏は「東京の実際の感染者数は、もうすでに保健所がひっ迫していますので正確にはわからなくなっている状態だと思いますし、今のデータではピークアウトしているとは思わない。実際に重症者数も、エクモ(体外式膜型人工肺)や人工呼吸器を装着している人は急速に増えているので、まだまだ重症者、今後亡くなる方は増えてくると思う」と、警戒を促した。

カテゴリー
コロナ ワクチン 社会問題

接種会場の看護師ら、自分に3回目接種「海外の状況を踏まえ打った」

https://news.yahoo.co.jp/articles/93bc228703a2c673758211f8464cc3b8f6be894a

2021/8/25(水) 6:00 読売新聞オンライン

 東京都港区の新型コロナウイルスワクチンの集団接種会場で今月中旬、接種業務に携わっていた医療従事者3人が会場で余ったモデルナ社のワクチンを無断で使い、自分たちに「3回目」の接種を行っていたことが、区への取材でわかった。 【写真】アメリカで追加接種、8か月経過を推奨

 3人は、男性看護師2人と女性薬剤師1人。ファイザー社製で2回の接種を完了していたが、15日と18日の業務後に医師の指示なく、接種した。同区では、余ったワクチンは職員や家族に接種する方針だった。

 海外では、3回目の接種で抗体が増える効果があるとされており、3人は「海外の状況を踏まえて打った」と話しているという。

 同区では接種対象者の半分以上がまだ接種を終えていない。区の担当者は「認められない行為」と話しており、3人を業務から外したという。

カテゴリー
コロナ ワクチン 社会問題

なぜ、日本はコロナワクチンが作れないのか。「白衣を着た詐欺師」たち

https://news.yahoo.co.jp/articles/f4311cd7bdad6a0b5daa0dcced8051ff99bcb98f

2021/8/25(水) 6:01 DIAMOND online

 進行の食道ガンステージ3を生き抜いたジャーナリストの金田信一郎氏が、病院と治療法を自ら選択して生き抜いた著書『ドキュメント がん治療選択』。そこに登場するがん医療の権威で米国でもがん研究を続けた中村祐輔氏(外科医・がん研究所)は、日本の医療界の問題に鋭いメスを入れます。第1回はなぜ日本で新型コロナウイルスのワクチンが作れないのかという話題について。根底にはがん治療にも共通する日本人のある言葉に対するアレルギー反応がありました。(聞き手は金田信一郎)  ――去年の夏に中村先生のところにうかがったときは食道がんステージ3で、東大病院から国立がん研究センターに転院するかどうか迷っている時でした。その後、手術から放射線科治療に切り替えて治療を終え、今はがんが抑えられている状態になりました。その体験を『ドキュメント がん治療選択』という本にしたんですが、それを書いていて思ったのは、日本の医療界で常識と思われてることが、実は世界ではまったく違っていることも多いということでした。  中村祐輔氏(以下、中村) コロナ対応を振り返れば、「日本は科学の力がある」というのが幻想ということがよくわかりますよ。  ――そうですね。日本企業はワクチンも作れませんし。  中村 結局、日本のワクチン技術って古いのですよ。ビオンテック社はどうしてすぐにmRNAを使ったコロナワクチンを作ることができたかというと、要するに、がんの免疫療法、ワクチン療法をやろうとしていた。がんには特有のネオアンチゲンという目印になる抗原ができる。それを見つけて、mRNAを使ってがん細胞を攻撃する研究が、2017年に論文として出てきている。  これを「すごい」と言っているのは、「何も知らない」と言っているのと同じで、日本の研究者が世界の動向についていっていないだけの話です。今の日本の議論を聞いていると、もう本当に時代遅れだと感じます。  コロナワクチンとは、ネオアンチゲンの代わりに、コロナタンパクを使って作られたものを注射してるだけの話であって、コンセプト的にはがん治療での技術を応用しただけのことです。  ――そこが、日本と海外での違いにつながったわけですね。  中村 もう一つ大きな海外との意識の差があり、それはテロ対策です。2001年の9・11の直後に、アメリカで炭疽菌テロが起きました。アメリカにとってはバイオテロっていうのが現実のものなのです。その対策として、ワクチンは大きな柱の一つだったわけです。技術はもうがんで培われていて、がんゲノムのシーケンスなんてすぐにできるわけです。  ――日本にも研究者がいるのに、なんで、そういう研究が生まれなかったんですか。  中村 免疫っていうのは、日本ではネガティブな面ばかりが強調され、それが大きくなっています。例えばワクチンで副反応が出たら、「危ないからワクチンをしない」となる。子宮頸がんワクチンがその典型です。だから日本だけが、子宮頸がんの発症率が下がっていない。ほかの国では子宮頸がんにならない時代になってきているのに、日本は高止まりしている。  結局、「公衆衛生」という概念が、あまり理解されていない。みんなの利益を考えた場合、一部の人に副反応が出ていても、それはやっぱり絶対多数の人たちのために必要なのです。もし、子宮頸がんワクチンで副反応が出た場合は、どうして副反応が出たか、どんな人に出やすいのか、原因を調べて減らしていけばいい。  ――みんなに安全な薬なんてないわけですね。  中村 抗がん剤治療もそうです。金田さんは放射線治療も受けられましたけれども、人によっては強い副作用が出ます。治療後、さまざまな放射線障害が出る人がいるわけです。  結局、放射線が当たれば必ず細胞はダメージを受けますが、それを修復する力って患者ごとに違うわけです。そういう個人の違いを理解した上で、医療を進めていかなければならない時代なのに、それも理解されていない。  日本では、「免疫療法」とうたった一部の怪しい人たちがいる。私も「白衣を着た詐欺師」って言っていますけど、そんなこともあって「免疫療法」はすごくイメージが悪いわけです。  あと、どうしても免疫療法が効かない人がいる。抗癌剤で体の免疫が弱ってから、免疫療法をやってもあまり効果がでない。話題になったオプジーボとかでも、効いた患者さんたちは免疫がしっかりしてる。  ――要するに、「免疫療法は効かないし、怪しい」というのは、日本人の思い込みが大きいわけですね。  中村 科学的に言えるのは、遺伝子異常がたくさんある人には効きやすい。オプジーボが効く人って10~30%ぐらいですが、有効率の高いがんを調べると、やっぱり遺伝子異常が多いタイプのがんが多いです。  そういうことも含めて、やっぱり科学的にいろんな検証していく必要があるわけで、どうしても免疫療法、免疫ワクチンっていうと、すごくネガティブな印象が日本の中にはあります。  ――そうですね。免疫療法とか先進医療って高額で怪しい。「標準治療以外は受けてはいけない」という凝り固まった考えがあります。  中村 (世界から)10年遅れで「標準化」と言い出して、標準治療を受けることが、何か「絶対的な正義」になっている。だから、新しいことやろうとすると、みんなで足を引っ張る傾向があって、医療の進歩が遅れてしまっている。  ――日本はいまだ、20世紀の感覚だと。  中村 コロナワクチン接種を見ていると、その通りですよね。私もコロナワクチンを受けましたが、紙で問診表を書いて、打ち終わったらシールを貼るんですよね。こんなアナログなことをやってる国ですからね。そして、コロナワクチンがどこまで行き渡っていた、誰が接種を受けたのかも、リアルタイムの情報として収集できない。コロナ感染で、日本の科学力の遅れ、デジタル化の遅れが露呈しました。 (2021年8月26日公開予定記事に続く)

金田信一郎

カテゴリー
コロナ 社会問題

日本のコロナ対策はまるで鎖国状態 いつまで非科学的なことを強いるのか?

https://news.yahoo.co.jp/articles/c8ae9cf3482fbe2688bf40127af180c427020f15

2021/8/25(水) 7:00 AERAdot.

日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「日本のワクチン接種後の規制緩和の遅れ」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。 【データ】発熱、頭痛だけじゃない!ワクチン接種後に確認された副反応と割合はこちら

*  *  * 「もう2年以上、中国にいる両親に会えていなくて辛い。ずっと在宅勤務で、誰にも会わない毎日が続いている。仕事を辞めて、中国に戻ることも考え始めた……」つい先日、大学生の時から日本にやってきて、そのまま日本で働いていた同世代の友人からこんな相談を受けました。  コロナが流行して以降、彼女と会えていなかったのですが、「気分が落ち込んで朝起きることも辛く、食事もほとんど食べていない」と連絡があり、お互いにワクチン接種が済んで2週間以上経過しており、風邪症状はなく、感染のリスクは低いと判断し、急遽、自宅での夕食に彼女を誘いました。  中国では、現時点で入国の際に3週間の隔離が必須とされており、日本に帰国する際も、2週間の自主隔離が必要になります。かなり長期間の休みがないと、帰国は現実的ではありません。オフィスに来るなと言われ、在宅勤務がいつまで続くか分からない中で、仕事をする気すらなかなかおきなくなってきた彼女が、仕事を辞めて帰国するという選択をしようとしているのも、無理はないと感じました。  私も、コロナの流行が始まってから実家のある大阪には一度も帰っていません。落ち着いたら帰ろうと思い、2年以上経過してしまっています。私は、いざとなれば新幹線でも飛行機でも使用して実家に帰ることができます。けれども、彼女は現時点では容易に帰国することができません。クリニックには、渡航のためにPCR検査を希望して受診される方がたくさんいらっしゃいますが、きっと彼女のような決断をして検査を受けにきた方がいらっしゃったに違いないと思うと、胸が痛くなりました。同時に、国民には自粛や我慢を強いる一方で、東京五輪だけは特別扱いというダブルスタンダードな対応に疑問を感じざるをえませんでした。

 ワクチン接種の進む欧米では、ワクチン接種完了者の行動制限の解除が進んでいます。フランスでは、バーやレストラン、交通機関、スタジアムやスポーツ施設、映画館や劇場、図書館などを利用する際にワクチン接種証明の提示が義務化されました。ヨーロッパ連合(EU)では、7月1日よりワクチン接種や感染からの回復状況、検査結果などが確認できる「EUデジタルコロナ証明書」の運用が正式に開始され、証明書があれば国境をまたぐ移動の際、原則として隔離や検査を課されることはありません。  アメリカでは、国防総省や陸軍や一部の企業がワクチン接種を義務化した他、カリフォルニア州では医療従事者や教員、市の職員にワクチン接種を義務化する動きが進んでいます。また、ニューヨークでは屋内の飲食店やジムなど屋内の活動をする際のワクチン接種証明の提示が義務化されています。さらに、外国人の米国への入国条件の変更を検討しているといいます。  一方、日本はというと、新型コロナワクチンの接種は「努力義務」です。自治体に申請すればワクチンパスポートを発行してもらえますが、8月19日時点で21の国や地域のみしか使用することができません。それらの国や地域に入国する際の隔離措置は免れることができますが、日本に帰国する際の入国時の14日間の自主隔離は免除されません。自粛や我慢など非科学的な対策を強いる一方で、科学的に高い効果が示されている新型コロナワクチンの接種は「努力義務」であると位置付ける日本の今のコロナ対策では、いつまでたっても鎖国状態を抜け出せず、コロナに振り回され続けられることになるのではないでしょうか。  デルタ株の感染拡大に加え、ワクチン未接種の子どもたちへの感染が広がる中で、アメリカでは12歳未満の子供たちへのワクチン接種の検討がすでに始まっています。早ければ9月末までに、5~11歳の子どもに対するワクチンの有効性に関するデータが得られそうだとも報じられています。さらに、9月20日からはファイザー製とモデルナ製を2回打ってから8カ月経過した18歳以上の人を対象として、3回目の接種が始まります。まずは、医療関係者や高齢者の人たちから接種が開始される予定です。  日本も、幸いワクチン接種が進んでいます。8月19日時点で人口の51.6%が少なくとも1回のワクチン接種を終え、人口の40.0%が2回接種を終えていますが、まだ1回目すら接種したくてもできていない人がいるのが現状です。河野規制改革担当大臣は8月19日の委員会で、「3回目の接種を行うことについて厚生労働省が必要だと判断すれば、医療従事者を対象に速やかに対応できるよう準備している」と明らかにし、3回目の接種分も確保しているとテレビ番組で発言されていましたが、果たして本当なのでしょうか。肝心の厚生労働省は、方針を明らかにしていません。いずれにせよ、3回目の接種のスタートも日本が出遅れてしまうことは間違いなさそうです。  3回目の接種のこと、12歳未満の子どもへの接種の検討、ワクチン接種を済ませた人からの規制緩和の検討など、他国の対応に追随するのではなく、協議していただきたいと思います。

山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員

カテゴリー
コロナ ワクチン 社会問題

「ワクチン2回」の表現はハラスメントか? 岩田健太郎氏がSNS上の論争に持論

https://news.yahoo.co.jp/articles/e4a99b20ad5a614abeae1ddf3e852e2e622bb1fd

2021/8/23(月) 17:06 東スポWEB

 神戸大学教授で感染症の専門家である岩田健太郎氏が23日、ツイッターを更新。ネットで繰り広げられているフルチン論争に見解を示した。 【写真】UFOからコロナ予防策レクチャーか  ネット上では新型コロナウイルスのワクチン接種を2回済ませて2週間経った状態のことを「フルチン」と表現することがはやっているが、それに対して「セクハラじゃないか」と不快に思う声も上がっている。2回のワクチン接種を済ませたことを英語で〝fully vaccinated〟ということから、略してフルチンになっている。  ツイッターで「フルチン」と検索すれば、「あと2週間でフルチンやで」「明日2回目うつからフルチンになれるわ」「私がフルチンになるのはおそらく10月」などがいっぱい出てくる。たくさんの人がためらいなくフルチンと使っていることが分かる。  この表現がセクハラか否かのフルチン論争に岩田氏が持論をツイート。「ダーティワードを不快に思うのは個人の自由。が、その言葉が誰かを対象に使われたり、使わせたりしないのであればハラスメントではない。誰の誰に対するハラスメントなのか」「フルチンが不快なら、『これからは私の前でそれ言わないで』といえばいいだけの話。SNSで使うのは個人の自由。不快に思うのも個人の自由」などと連投した。  もし自分がフルチン状態になったとしても、公の場では気を付けた方がいいのかもしれない。

カテゴリー
コロナ 対策

ワクチンを2回打っても防げない「ブレイクスルー感染」 ~現行法では限界に来た政府の感染対策

https://news.yahoo.co.jp/articles/ca42e3f42a637ed11720e5233b5b4dccfb5b3750

2021/8/23(月) 11:30 ニッポン放送

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月23日放送)に慶應義塾大学教授で国際政治学者の細谷雄一が出演。政府による今後の新型コロナウイルス対策について解説した。 【写真】これが最後!本日8月23日18時からワクチン予約を受け付ける自衛隊大規模接種センター

西村経済再生担当大臣、新型コロナ対策で企業の休業措置も視野

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

西村経済再生担当大臣は8月22日に出演したNHKの番組で、新型コロナ対策の人流の抑制について、「昨年や今年の4月、5月は大型連休を活かし、企業は休むということで対応した。そうした強い措置も選択肢の1つとして考えなくてはいけない」と話した。また、「いまある法律のなかで何ができるか工夫して行きたい」と、現行法の範囲内で対応を検討する考えを示している。 飯田)人流の抑制ということをずっと言い続けているなという感じもありますが、どうご覧になりますか? 細谷)コロナの感染拡大を防ぐためには、マスクをすることや可能な限り3密を避けること、そして人流を抑えること、さらにはワクチン接種などがあるのですが、今回の「ブレイクスルー感染」はマスクをしていても感染するということもありますし、ワクチンを2回受けても感染する。すると結局、人の流れを減らさなくてはいけないということになります。 飯田)ブレイクスルー感染では。 細谷)しかし、人流抑制は経済に最もマイナス効果があります。マスク、ワクチンでしたら経済活動ができますけれども、人流抑制ということになると、経済活動ができなくなるのです。だから、トータルのバランスとして、これしかないけれども、これをやると経済に悪影響があるということで、政治判断がとても難しい状況だと思いますね。 飯田)まさにそこの部分で、オーストラリア、ニュージーランドなども、「感染ゼロ戦略」は無理だと。オーストラリアなどは戦略断念という報道が出て来ています。 細谷)イギリスやアメリカは、ワクチンを2回打てば重症化がほとんどない、死亡者もほとんど出ないということで、いままでのインフルエンザと変わらないというような戦略に転換したわけです。日本はワクチンがまだそこまで進んでいないということもあって、いまの日本は「とにかく感染を止める」ということだと思います。国ごとに戦略を常に転換しながら、最善の方法を探しているということだと思います。 飯田)昨年(2020年)のこの時期であれば、各国で都市封鎖などで対応するということになっていましたが、ワクチンが出て来てから、少しずつ変わるところがあるのですか? 細谷)基本的にはワクチン接種2回を菅総理も目標にして、早いピッチで進めて来たわけです。スタートは遅かったですけれどもね。しかし、ブレイクスルー感染はワクチンを2回打っていても感染するということですから、そういう意味では、何をしたら止められるのかわからない。答えがない状態だと思います。そのなかで、果たして経済活動を止めたままでいいのかと。国民側の不満がいま大きくなっているのではないでしょうか。 飯田)その辺りの状況を見ながら、入院基準の見直しや緊急事態宣言の発出条件の見直しなどが出て来ています。この辺りは、「ゼロコロナ戦略」ではなくて、というところを見越したものなのですかね。 細谷)1つは、そもそも日本は法的にロックダウンができない、あるいは難しいということが言われていました。さらにもう1つ難しい問題は、感染症対策に関して、日本は他の国とは違い、とにかく地方自治体に権限があるのです。そうすると、中央政府ができることは限られています。そのなかで強い措置も取れない。この矛盾が政府内での無力感に近いものになっていると思います。 飯田)その辺り、いまある法律のなかで工夫して行きたいということがありますが、最終的には憲法の壁にもぶつかりますか? 細谷)安全保障はいままで有事法制と言われていました。有事法制がないときには、戦争が起きても、戦車はウインカーを出して、赤信号では止まらなくてはいけない。実はこの有事法制はうまく切り替えられているのですが、例えば福島原発事故の際や、感染症に関しては、法的な制限ができない、非常に難しい状況になっているのです。原発事故や地震などのときに、政府はどのように、より強力な措置が取れるかというところで、限界になっていると。現行の法では限界になっていると思いますね。 飯田)いままでは例外的に、そういうことを考えずに済んで来たということなのですか? 細谷)もっと言うと、国民の善意にほぼすべて委ねるのです。安保法制は、「外国が日本に攻めて来ない」という外国の善意に任せていたのですが、今回の感染症の問題は、「国民の善意に任せている」わけです。ではもし国民がこの善意、つまり感染拡大しないような行動変容や人流抑制について、言うことを聞かなかったらどうするかというと、「どうしようもない」というのがいまの状況だと思います。 飯田)なるほど。

カテゴリー
コロナ 対策

コロナワクチン2回接種を終えた高齢者こそ行動自粛が必要【新型コロナ 重症化を防ぐ最新知識】

https://news.yahoo.co.jp/articles/6091c69eaeb9e96acf8e0688387ec3d0bb7cc6f9

2021/8/24(火) 9:06 日刊ゲンダイDIGITAL

新型コロナ 重症化を防ぐ最新知識】  20日の新型コロナウイルスの全国の新規感染者数は2万5859人、入院が必要なのは1万2249人、重症者72人、死者29人となった。  さすがにこれだけ新型コロナの感染者が増えれば、旅行やゴルフに出かける中高年は少ないだろうが、心の底では「ワクチンを2回打ったから大丈夫だろう」と考えている人もいるはずだ。  実際、大阪府が3月以降の感染者8.5万人を調査したところ、未接種で感染した人は8万3207人で、うち重症化した人は1984人、死亡1557人。一方、2回接種後2週間経ってから感染した人は317人で重症者や死亡者はゼロだったという。  ならば、オレは大丈夫と思う人はいるかもしれない。  しかし、イスラエルの惨状を聞けばそれが間違いだと気づくはずだ。 ■イスラエルでは1週間の死者の97%が60歳以上  イスラエルでは8月13日から50歳以上の3回目の新型コロナワクチンブースター接種)を開始した。  ナフタリ・ベネット同国首相は直近1週間で死亡した78人中76人は60歳以上だったことを明かし、「3回目接種の必要」と発言したからだ。  同国では世界最速でファイザー製ワクチンの接種を行い、16歳を超える人の8割以上は2回目のワクチン接種を完了。新規感染者は一時0人になった。ところが最近では8000人を超える新規感染者が出ており、過去1カ月の重症者の8割は60歳以上だった。  このため、同国では8月1日から少なくとも5カ月前に2回目の接種を終えた60歳以上を対象に3回目の接種を開始、既に60歳以上の半数が接種を終えたという。  同国の医療保険制度を担う団体が3回接種を完了した14万9144人と2回目接種の67万5630人を比べたところ、接種後感染者数は前者が37人、後者が1064人だったという。これを単純感染率で見ると、前者が0.0248%、後者が0.1575%となる。  このことから、調査を行った団体は3回接種は感染防止と重症化阻止に役立つとしているが、それはワクチンは3回打っても少なくとも感染はするという意味でもある。  では、20日時点で65歳以上の2回接種者が3030万5890人いる日本で、イスラエルの2回目接種者と同じ0.1575%の感染率になったとすると感染者数はどうなるのか?  単純計算で4万7731人だ。これはあくまでも65歳で2回目接種を終えた人で、ワクチン効果が薄れる接種後5カ月での話。時間と共にその数は増える可能性が高い。日本では年末以降に65歳以上の2回目接種者はこうしたリスクがついて回るということだ。弘邦医院の林雅之院長が言う。 「大阪府のデータは接種から5カ月以内のものなので今後を考える上ではイスラエルのデータを重視すべきです。イスラエルで高齢者の重症者や死者が多いのは、そもそも高齢者は基礎疾患を持つ人が多く、入院や死亡リスクが高いからです。そのことは日本の高齢者も自覚しなければなりません。高齢者は若い人に比べて免疫も衰えていて、自身も気づいていない基礎疾患を持っている。いくらジムなどで肉体を鍛えたとしても若い人と同じではないのです。ですから、ワクチンを2回接種したことを過信してはいけません。いまはワクチン未接種の若い人に感染、重症化リスクが高いとする物語が語られていますが、依然として気をつけなければならないのは、高齢者です。よく陸で溺れると表現されますが、呼吸器疾患は苦しい。感染しないことが大切です。今後は人混みに極力出かけないこと、マスクはきちんと着用すること、食事と睡眠をしっかりとることが大切です」