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“最後の砦”ECMO、20代へ導入も……医師「想定していなかった」 全国の装着患者「3倍」で過去最多を更新

https://news.yahoo.co.jp/articles/727f205b03c65fda7d1c0bc24782ed98695f468a

2021/8/25(水) 11:06 日テレNEWS24

全国の新型コロナウイルス新規感染者は24日、火曜日で過去最多でした。重症者の「最後の砦」とされるECMO(人工心肺装置)装着者は急増。自宅療養中に亡くなる例も相次ぎ、東京では救急要請しても約6割が搬送されないなど、深刻さを増しています。

自宅療養“悪化”死者も

ECMO装着患者は、この1か月で約3倍に増加

24日、東京都立多摩総合医療センターでは、重症患者の「最後の砦」とも言われる、人工肺「ECMO(エクモ)」を使った治療が行われていました。 4人の患者に導入していますが、病院のECMOセンター・清水敬樹部長は「ECMOの治療が終わって、そうしたらまた次の患者さんを入れる(状況)」と話します。ECMOを必要とする患者が途絶えないといいます。 日本ECMOnetによると、全国のECMO装着患者は、1か月前の7月23日に44人でしたが、8月23日には119人と、約3倍になり、連日、過去最多を更新しています。 佐藤梨那アナウンサー 「100人を超えるECMO導入患者がいる状況をどう見ますか?」 清水部長 「われわれが想定していなかった状況です。コロナが始まっての最初の1年間で、日本での導入は600名なんです。この1~2週間で(約)120名というのはもう、ちょっと信じられないような数と言わざるを得ないと思っています」 さらに、患者には変化があるといいます。 清水部長 「従来は高齢者といいますか、50~60代の方が非常に多かった。20代という方も、今は珍しくないんですね。このような年代の方にECMOを導入するのは、これまで想定していなかった」

都の担当者「若者も重症化」

ワクチン接種をした若者「もしかかってしまったら…」と考えることが大事だと話した

重症化について24日夜、東京・渋谷で若者に聞きました。 ――感染後に重症化すると思いますか? 営業職(23) 「僕は正直しないのかなと思ってます。若いからならないだろうって」 大学生(23) 「自分も正直しないかなと思っちゃってます」 ワクチンを2回接種した就活生(20代) 「(重症化)すると思います。(ワクチンを打ったから)『かからないや、いいや』じゃなくて、『かかってしまったらどうしよう』と考えることが大事だなと思います」 24日に都内で確認された感染者は4220人で、1週間前の17日から157人減っています。重症者は23日より4人減って268人。9人の方の死亡が確認されています。 都の担当者は「若い人でも重症化、死亡する人もいるので、我が事として捉えてほしい」と注意を呼びかけます。

往診の医師「自宅に患者あふれる」

東京都では自宅療養者の数が2万4000人以上にのぼっている

高止まりしているのが自宅療養者の数です。東京都では24日時点で2万4673人に上っています。 都内で自宅療養中の20代男性は20日、夜間や休日に往診する「ファストドクター」に「のどの痛みと血混じりのたんが出ます」と症状を訴えました。感染経路の心当たりを聞かれると、「食事じゃなく、買い物しただけで。デパ地下ですね」と答えました。 男性は一時39度近い熱が出た上、血中の酸素飽和度が92%まで下がったといいます。 男性は「怖いですよね。しんどい中、(保健所からの連絡を)待ち続ける時間というのがけっこう不安でした」と言います。その後、同居している婚約者も感染が判明しました。 一方、一週間以上、都内の自宅で療養中の50代女性はファストドクターに「食事はほとんどできてないです。起き上がるのが何せつらいのと、目を開けているのがつらいので」と言いました。38.7度の熱があり、血中の酸素飽和度も低くなっていました。 せき込む女性。肺炎の疑いがあるため、医師は酸素投与を開始しました。一緒に暮らす夫の陽性も確認されました。 ファストドクター代表・菊池亮医師 「(新型コロナの)患者さんが自宅にあふれているなという風に感じています。医療の提供体制には限界があるというのは、ご承知のところだと思います。いかに感染者を減らしていくかに尽きるかと思います」

相次ぐ自宅療養“悪化”…死者も

自宅療養中に容態が悪化し、亡くなるケースも相次いでいる

自宅療養中の急変も相次いでいます。 東京都では、軽症だった40代の女性が、自宅療養中に亡くなりました。8月5日に陽性が判明し、6日の昼間に保健所が連絡。その日の夜に容体が急変し、病院に搬送後、死亡したといいます。女性に基礎疾患はなく、ワクチンは接種していませんでした。 千葉県でも60代の男性が自宅療養中に死亡しました。さらに千葉県では、コロナではない患者の入院先がなかなか見つからなかったケースもありました。 消防などによると、18日、39度近い熱がある60代の男性が意識のない状態で自宅で見つかりました。この時、コロナに感染しているかどうかは分からなかったものの、30以上の病院に受け入れを断られたといいます。 約3時間半後に病院へ搬送されましたが、死亡が確認されました。コロナの感染は確認されなかったといいます。

感染判明も…「約6割」入院できず

救急要請したものの、病院に搬送されなかったケースが「約6割」も

救急搬送の受け入れ困難も深刻です。 東京消防庁によると、16日~22日までに感染が確認され、救急要請をしたものの病院に搬送されなかったケースは全体の6割近くに上りました。また搬送されたうち、病院到着までに1時間以上かかったケースが約9割、5時間以上かかったケースも1割以上ありました。 24日、都内の入院者数が過去最多の4124人となりました。 埼玉・川越市の埼玉医科大学総合医療センターでは、これまで東京からの搬送も受け入れてきましたが、状況が変化していました。 岡秀昭教授は「ICUの部屋は全て、重症の患者さんで埋まっています。病床は1つしか(空きが)ございません」と言います。ただ、3件の受け入れ依頼が寄せられました。 岡教授 「東京からの患者、医療圏外の埼玉県からの中等症の患者、近い医療圏の重症化の一歩手前の患者。誰を取りますかということで、3番目の患者さんの受け入れをしました」 「1つしか病床がないので、これはもうやむを得ないことだと思うんですよ。3人を助けに行ったら、私たちの医療現場が機能しなくなってしまうんです。3人とも助けられないということになってしまうんです」 東京からの患者よりも、地元の患者を優先せざるを得ない状況です。 岡教授 「もはや医療が通常に機能していない状況なんです。それをご理解いただいて、ご自身の身をご自身で守っていただきたい」

国と都が要請「逃げるわけには」

国と都は23日、すべての病院や診療所などに対し、病床確保や人材派遣への協力を要請しました。 通常診療の傍ら、保健所に協力してコロナの自宅療養者への訪問診療をする「一生堂クリニック」の斎藤博院長。国と都の要請について、聞きました。 「多くの医療者が燃え尽きかけているのが本音です、実情です。こういう災害時のような状況の時に、投げるわけにはいかない。やっぱりやらなければいけないだろうと。僕たちが逃げていてはだめだろうと」 別の医療機関からは要請について、「院内にも入院患者がいるので、(受け入れは)難しい。『次の病院が見つかるまで外来で入院1泊』など、できるところをやっていく」という声が聞かれました。 こうした中、都内で24日、受け入れを始めたのが、2か所の「酸素ステーション」です。本来なら入院に相当する自宅療養の中等症患者が、酸素投与のため5人程度ずつ入ったといいます。

全国「火曜最多」2万人超が感染

新たに8道県に「緊急事態宣言」発出、4県に「まん延防止」措置追加へ

24日の新規感染者は、愛知・岐阜・京都など8府県で過去最多となり、全国で2万1570人が確認されました。火曜日の過去最多です。また31人が亡くなったことが確認されました。 複数の政府・与党幹部によると、新たに北海道・宮城・愛知・岐阜・三重・滋賀・岡山・広島の8道県に緊急事態宣言を発出する方針を固めました。まん延防止等重点措置については、高知・佐賀・長崎・宮崎の4県を新たに追加する方針です。期間は8月27日~9月12日です。

(8月24日『news zero』より)