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パンデミックは偶然ではない、予防に世界的な自然保護政策を【感染症、歴史の教訓】

https://news.yahoo.co.jp/articles/20cba8136ec935fec1c0f5062a8350cf426a5825

2021/2/13(土) 18:08 NATIONAL GEOGRAPHIC

哺乳類や鳥類に未知のウイルスは170万種、うち85万が人間に感染する恐れ

森林火災の煙が漂うアマゾンの放牧場。アマゾンで見られるような森林消失は、新たな感染症の大流行を引き起こすと国際的な科学者グループは警告する。(PHOTOGRAPH BY VICTOR MORIYAMA, THE NEW YORK TIMES/REDUX)

 新型コロナウイルス感染症のようなパンデミック(世界的大流行)のリスクを大幅に減らすため、自然や野生生物の保護に数百億ドルを投資するよう、世界は政策を大きく転換するべきだ。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の生物多様性版とも呼ばれるグループ「IPBES」が、そのような警鐘を鳴らす報告書を発表したのは2020年10月29日のこと。 ギャラリー:ペストからコロナまで【感染症、歴史の教訓】画像20点  報告書では、野生生物やその生息地が減るせいで、人間が新たな感染症にさらされるリスクについての研究を総括している。これによると、生物多様性の保全は感染症の予防にもつながり、「予防する戦略がなければ、パンデミックの発生頻度や拡散速度が高まり、犠牲者は増え、世界経済はかつてないほど壊滅的な影響を受けるだろう」と、その言葉は重い。  具体的には、動物に由来する新型コロナ感染症、エイズ、インフルエンザ、エボラ、ジカ熱、ニパウイルス感染症などの野生動物から人に感染する病気、いわゆる人獣共通感染症の拡散を防ぐ取り組みが提言されている。感染源となる動物はコウモリ、鳥類、霊長類、げっ歯類が多く、哺乳類や鳥類には未知のウイルスは推定170万種も潜んでおり、その半数が人間に感染する恐れがあるという。  新型コロナ感染症のパンデミックが続くいま、この提言は当たり前に聞こえるかもしれない。だが、科学者は以前から、森林破壊の増加が感染症の大流行につながると警鐘を鳴らし続けていた。報告書の著者らによれば、人間の活動で環境への負荷が増え、人と野生生物の距離が近づくにつれて、パンデミックの発生数が増えているのは決して偶然ではない。

積み重なっていた数々の証拠

牧畜のために伐採されたアマゾン横断道路沿いの熱帯雨林。こうした伐採は、マラリアなどの感染症の蔓延につながることが研究で示されていた。(PHOTOGRAPH BY RICHARD BARNES, NAT GEO IMAGE COLLECTION)

 森林の伐採が急速に進む地域では、実際のところ普通は野生生物の間でのみ発生する感染症が人間にまで広まる例がよく見られる。森林破壊の結果として、ニパウイルス、ラッサウイルス、マラリアやライム病を引き起こす寄生虫など、深刻な病を引き起こす病原体が人間にも広まっていることを示す科学的証拠はこの20年間でたくさん見つかっていた。  たとえば、ブラジルでは過去、マラリアの感染を1940年の年間600万例から20年後にはわずか5万例にまで減少させた。にもかかわらず、その後の急速な森林伐採と農業の拡大に伴い、感染者の数は着実に増加してきた。  マラリアは蚊に寄生するマラリア原虫による感染症で、現在は年間2億人以上が感染し、約50万人が亡くなっている。  2019年10月、米カリフォルニア大学サンタバーバラ校地球研究所の疾病生態学者、アンディ・マクドナルド氏と米スタンフォード大学のエリン・モーディカイ氏は、アマゾン盆地の森林伐採がマラリアの伝染に及ぼす重大な影響を学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に報告している。論文によると、2003年から2015年までの期間において、森林の消失はマラリアの感染に確かに影響しており、焼失した森林が年間10パーセント増加するとマラリアの症例が3パーセント以上増えるという。  恐ろしい病気を運んでくるのは蚊だけではない。森から追い出された動物によって広がることもある。  西アフリカのリベリアでは、森林を伐採してパーム油のプランテーションを作ると、通常は森にすむようなネズミがヤシの実を求めて大量に集まってくる。厄介なことに、なかにはラッサウイルスを保有しているネズミがいて、その糞尿に接触すると人間が感染する。  ラッサウイルスはエボラウイルスと似たような症状を人間に引き起こし、リベリアでは感染者の36パーセントが死亡した。深刻な感染症を引き起こすウイルスをもつげっ歯類は、パナマ、ボリビア、ブラジルの森林伐採地域でも確認されている。  こうした経緯をたどるのは熱帯の病気とは限らない。マクドナルド氏の研究は、米国北東部における森林伐採とライム病との間に奇妙な関連があることを示唆している。 欧米では大きな社会問題となっているライム病の原因菌ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)は、森林に生息するシカの血を吸うマダニから感染する。ところがこの細菌は、人間が分断した森に生息するシロアシネズミからも見つかっている。  人への感染は気候が温暖になるほど増えて、かつては存在しなかった場所に現れる可能性が高まるかもしれないと、世界の感染症の追跡調査を行うニューヨークの非営利団体「エコヘルス・アライアンス」の疾患生態学者、カルロス・ザンブラナ=トッレリオ氏は指摘する。  そうした病気が森林周縁部にとどまるのか、それとも人の中に居着いて流行を引き起こすのかは、ウイルスの感染方法にかかっていると、米フロリダ大学新興病原体研究所の疫学者エイミー・ビットー氏は言う。たとえば、コロナやエボラのようなウイルスは、人から人へ直接感染する。理論上は人間がいる場所であれば、世界中いたるところに移動できる。 「また別の、もしかすると複数の病原体が、この先、同様の経緯をたどるとは考えたくありません。それでも、その可能性を考えて準備をしておくべきでしょう」とビットー氏は言う。

中途半端な規模では無意味、莫大な対策費用でも割に合う

コンゴ民主共和国のマタディで、黄熱ウイルスを運ぶネッタイシマカの駆除剤を散布する男性。(PHOTOGRAPH BY WILLIAM DANIELS, NAT GEO IMAGE COLLECTION)

「本当に重要なのは、今行うべき対策の規模を知ることだと思います」と、自然保護団体「コンサベーション・インターナショナル」の気候科学者で、森林の消失がもたらす影響が専門のリー・ハンナ氏は話す。氏は報告書の査読者でもある。「これまでより一段階引き上げるという程度ではいけません。かつてないほどの水準にまで拡大する必要があります」  報告書は、パンデミック対策を監督する国際委員会や、生物多様性の保全への経済的なインセンティブ、そして研究や教育への投資を提案している。こうした制度改革により、パーム油の生産や、森林伐採、放牧などの縮小が期待できるという。  また、感染症のホットスポット(一大流行地)になりつつある場所を特定し、接触のリスクが特に高い人々により手厚い医療を提供するのにも役立つだろう。  将来のパンデミックのリスクを減らす対策をすべて講じるには、毎年400億~580億ドル(約4兆1400億~6兆円)もの費用がかかると著者らは推定している。だが、パンデミックが発生した場合の経済損失が数兆ドル規模に上ることを考えれば割に合うはずだと付け加える。2020年10月12日付けで「米国医師会雑誌(JAMA)」に発表された論文によると、新型コロナ感染症によるこれまでの経済損失は米国だけで16兆ドル(約1660兆円)以上だ。  来たる2021年5月には国連の生物多様性条約(CBD)第15回締約国会議(COP15)が開催され、各国が世界的な目標と国家戦略を策定する機会が設けられている。だが、その計画案に含まれる国際的な取り組み「キャンペーン・フォー・ネイチャー」のディレクターを務めるブライアン・オドネル氏は、ブラジルなど大規模な森林破壊が発生している国々が資金や支援を十分に確保しないことなどが目標達成の障害になっていると述べる。 「各国政府は景気刺激策には巨額を投じていますが、自然保護に関する新しい大規模財政支援策は、まだ具体的なものが見られません」  今回の世界的なパンデミックが「大きな目覚まし」になることを望むとオドネル氏は語る。「一部の人たちにはアラームが聞こえています」。だが、「まだ眠ったままの人があまりに多すぎるのです」  自然界や危機的な状況にある野生生物そのものの保護には積極的になれなかったとしても、人間の健康のためには自然を保護せざるを得ない。今回の報告書によって、その点を意思決定者には理解してほしいとハンナ氏は願っている。 「自然を保護する利己的な理由があるのです。自然保護は私たち自身を守ることにつながります」 この記事はナショナル ジオグラフィック日本版とYahoo!ニュースによる連携企画記事です。世界のニュースを独自の視点でお伝えします。

文=SARAH GIBBENS、KATARINA ZIMMER/訳=牧野建志、北村京子

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感染症ニュース 社会問題

普通の会話の数分後に急変 新型コロナの恐るべき特性 神奈川で相次ぐ療養中の“突然死”

https://news.yahoo.co.jp/articles/034b38b09d63fdb53e4181a27952116f1294f111

2021/2/15(月) 6:55 産経新聞

 新型コロナウイルスの感染が拡大する神奈川県で、軽症・無症状の感染者が自宅や宿泊療養施設での療養中に死亡する事例が相次ぎ、医療関係者が危機感を募らせている。保健所の担当者らは患者の“突然死”を防ぐため、監視体制の強化に努めているが、感染者が増え続けるなかで、業務に手が回らなくなっている現状もあり、ジレンマにさいなまれている。(外崎晃彦) 【グラフ】コロナで亡くなった著名人と国内累計死者数推移  神奈川県内の保健所などによると、「第3波」とよばれる感染拡大のなか、昨年12月以降、軽症や無症状と診断され自宅や宿泊療養施設での療養中などに容体が急に悪化し亡くなった事例が、少なくとも計7件起きている。それ以外にも、自宅で死亡が確認されてから陽性が確認されるといった事例もあり、患者本人や周囲が気づかないまま病状が進行し容体が急変することがあるというこの病気の恐ろしい特性を浮き彫りにしている。  ■既往症なくても  関係者に衝撃を与えたのが1月9日に県が発表した、大磯町の70代女性が亡くなった事例だ。女性は昨年12月31日にせきなどの自覚症状が現れ、その後PCR検査を受け、年明け後の1月6日に陽性が判明。7日、自宅で容体が急変し、救急搬送先の医療機関で死亡した。  県担当者が驚くのはその急変ぶりだ。「同居家族と普通に会話をしていて、家族が別の部屋に行って戻ってくるそのわずか数分の間に意識を失っていたようだ。ついさっきまで元気にしゃべり、受け答えができた人が突然、倒れてしまった」という。この女性に既往症はなかった。  既往症がないにもかかわらず、自宅療養中に亡くなった事例は他にもある。1月28日に県が死亡を発表した伊勢原市在住の50代男性だ。17日にせきや喉の痛みなどの自覚症状が現れ、18日に検査して陽性が判明。「療養期間」の終了を翌日に控えた26日、自宅で死亡した。死因は「新型コロナウイルス肺炎に伴う脳出血」。自宅を訪れた親族が死亡している男性を発見した。  ■無症状があだに  横須賀市の担当者は同月23日に市が発表した市内の飲食店に勤める60代女性の死亡事例に胸を痛める。この事例では、19日に女性の同居する70代男性の陽性が判明。女性は翌20日午後に検査を受ける予定だったが、当日の午前中に自宅で死亡した。  女性には既往症があったが、発熱などの症状はなく、倦怠(けんたい)感があった程度。市の担当者は「逆に高熱や息苦しさなど、強い訴えが必要な状態だったならば、結果は違っていたかもしれない」と悔やむ。結果的に無症状だったことが、あだとなってしまったことに複雑な思いを抱いていた。  県では、患者のこうした突然の死を防ぐため、療養者らに対してスマートフォンアプリのLINEを使い、1日2回、体温や体調の変化などの状況報告をしてもらっている。ただ、それでも防ぎきれないのが現状だという。  県の担当者は「常に患者を見ることはできず、監視のはざまで、脳卒中のような一分一秒を争う何かが起きてしまうこともあり、予防は困難を極める」とする。その上で「できる範囲で最善を尽くすしかない」と話している。  ■救急体制利用を  県内の新型コロナの感染状況をめぐっては、昨年11月ごろからの「第3波」によって感染者が急増。1週間当たりの新規感染者数は、昨年12月の第1~4週が1千~2千人台で右肩上がりで推移。1月第2週(5910人)と第3週(5635人)には6千人に迫った。  こうしたなか、感染者一人一人のケアや監視体制も逼迫(ひっぱく)し「手が回らず、すでに限界に近い」(関係者)。県では黒岩祐治知事を筆頭に「市中感染の拡大をなんとしても防ぎ、少しでも新規の感染者を減らしていくこと」に力を入れてきた。  一方“突然死”の防止策として救急体制の利用を推奨している。療養中の患者や家族には「少しでも息苦しさなどを感じたら、遠慮せずすぐに救急窓口(県設置の『コロナ119番』)に連絡してください。場合によっては(一般の)119番でもかまいません」と呼びかけている。

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人為的に感染させる世界初の治験 イギリス 数週間以内に開始へ

https://news.yahoo.co.jp/articles/87abe72b898d38b9b7b4589e0c85160d5f0f09ed

2021/2/17(水) 23:54 FNNプライムオンライン

イギリスでは、人為的に感染させて調べる世界初の治験が始まる。 イギリス政府は17日、18歳から30歳までの健康な被験者を人為的に新型コロナウイルスに感染させ、どのくらいの量で感染が起きるかなどを調べる治験を数週間以内に開始すると発表した。 さらに、次の段階では、別のグループにワクチンを投与したうえで、どのワクチンが最も有効かを調べるとしている。 被験者の安全のため、医師などが24時間態勢で観察するほか、初期の段階では変異ウイルスではなく、従来型のウイルスを使うという。 イギリス政府によると、今回の治験は世界初で、倫理面の問題もクリアし、研究は今後、ウイルスの仕組みの解明のほか、ワクチンや治療薬の開発に役立つとしている。

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“新型コロナの死亡率”が国によってこんなにも違う「たった一つの理由」

https://news.yahoo.co.jp/articles/3dc34c6875a262bab3a4e4abaf36752eb2c795cd

2021/2/20(土) 10:00 COURRIER JAPAN

新型コロナウイルスによる被害を最小限に食い止めている社会と、感染に歯止めがかからない社会の差は、どのようにして生まれるのだろうか? 文化心理学者である筆者が、その文化的要因と、「致死率を最小化」するための3つの指針について解説する。 【画像】“新型コロナの死亡率”が国によってこんなにも違う「たった一つの理由」 新型コロナウイルスによる死者数は全世界で200万人、感染者数は1億人を超えた。ワクチン接種が進行している現在においても、この感染症の猛威はとどまっていない。 しかし、その死亡率は、すべての地域で一定なわけではない。パンデミックを効果的に鎮静した国がある一方で、大ダメージを被った国もある。日本の人口は1億2600万人だが、死者数は7000人を超える程度だ。それに対して、人口がほぼ同じくらいのメキシコでは、死者数は15万人を超えている。 この純然たる差をどう説明したらいいのだろう? 経済状態? 医療機関の収容能力? 国民の平均年齢? 気候? この度、コロナの死亡率が、よりシンプルだが核心的な要素に左右されることがわかった。それは、国民がどのくらい進んでルールに従うのかについての、文化的な差だ。

何が人々にルールを守らせるのか?

すべての文化には社会規範があり、社会のなかでの行動に関する不文律がある。私たちは服装や、子供の教育に関する規範を順守するし、満員の地下鉄の中を無理やり通ったりはしない。これはそうしたルールが法律によって定められているからではなく、ルールが社会の機能を円滑にするからだ。 だが、心理学者たちが示してきたように、社会規範を順守する「厳しい」文化がある一方で、「緩い」文化もある。そこでは規則の違反者に対して、より寛容な態度が見られる。 この文化的な差異に最初に気づいたのは、古代ギリシャの歴史家ヘロドトスだったが、近代においては心理学者や人類学者たちがその定量化に成功した。シンガポール、日本、中国、オーストラリアといった国々は、アメリカ、イギリス、イスラエル、スペイン、イタリアなどに比べて、かなり厳格とされている。 これらの差異は決して偶然ではない。国民国家、および小規模コミュニティの両方を対象に調査したところ、長期にわたって危機──自然災害、伝染病、飢饉や侵略など──にさらされた共同体は、秩序や団結を強化する、より厳密なルールを発達させることが明らかになったのだ。 これは社会の進化を説明するうえで、とても理にかなっている。ルールに従うことは、混沌や危機を生き延びる助けになる、というわけだ。逆に言えば、危機に瀕したことが比較的少ない「緩い」グループには、より寛容になる余裕が生まれるのだ。

コロナ禍でも緊張感が生まれない理由

どちらのタイプが良い悪いということはない──世界的パンデミックが発生するまでは、そうだった。 昨年3月、私は、ルールを破りがちなメンタリティを持つ「緩い」文化は、パンデミック下の公衆衛生対策になかなか従わず、悲劇的な結果を招くことになるのではないかという懸念を抱いた。ただ、そうした文化も、いずれはルールを守るようになるだろうと思った。 しかし、そうはならなかった。私のチームが「ランサー・プラネタリー・ヘルス」に発表した、50以上の国を対象にした調査の結果、その他諸々の要素を加味しても、「緩い」文化は「厳しい」文化に比べ、感染者数では5倍、死亡者数では8倍の値を示していることが明らかになったのだ。 なかでも顕著だったのは、イギリスの調査会社ユーガブのデータを用いた分析結果だ。それによれば、「緩い」文化においては、2020年を通じて、新型コロナウイルスを恐れる人の割合が他と比べて非常に少なかったのだ。 「厳しい」国々では、70%の人々がウイルス感染を非常に怖れている。だが「緩い」文化においては、たったの49%だった。

危機に対応できず絶滅した動物も

こうした人々の間にさっぱり緊張感が生まれなかった理由のひとつは、危機感の希薄な文化に暮らす人々が、パンデミック当初の「危険信号」に素早く反応できなかったことによる。 こうした現象は自然界においても発生する。有名な例として、モーリシャス島に生息していたドードー鳥は、天敵のいない環境で進化してきたため恐れを知らず、人間と初めて接触してから100年で絶滅してしまった、というものがある。 ドードーの顛末が教えてくれるのは、特定の環境で培われた特徴は、環境が変化すると同時に「障害」となる可能性がある、ということだ。科学者はこれを「進化的トラップ」と呼ぶ。これこそが、「緩い」傾向を持つ社会において、新型コロナによる多くの不必要な犠牲者を出してしまった原因なのだ。 もちろん、「緩い」グループが地球上から消え去る運命にあるわけではない。しかし、すでに1年にもなるパンデミックとの戦いは、これらのグループが環境への適応において抱える困難を示している。

「目に見えない危機」をどう伝えるべきか

これからのコロナの致死率を最小化するため、そして将来、別の集団的危機が起こった時に備えるために、「緩い」国々は正しく危険信号を発し、人々はそれに注意を払わねばならない。 まず、危機に対処するための文化的な知性を身に付けるところから始めよう。それには3つの行動が鍵となる。 第一に、私たちが今瀕しているタイプの危機(感染拡大など)の伝え方を変えていく必要がある。私たちは、たとえば戦争のような、目に見えて具体的な危機に対しては、すぐに緊張感を持って対応する。 対して、ウイルスは目に見えず抽象的で、その危険信号は無視されがちだ。公衆衛生機関はコロナの危険をはっきり可視化しなければならない。しかし、ただ単に人々を脅かすのでは逆効果だ。というのも、心理学者が言うように、人間は途方にくれると保守的、受動的な姿勢をとりがちだからである。 普段の振る舞いを変えるよう人々を説得するためには、コロナの症状を包み隠すことなく説明する一方で、「為せば成る」の精神を人々に鼓舞していかなければならないのだ。

お手本とすべき国はニュージーランド

第二に、「厳格」になるべきなのはあくまで一時のことである、と明確にする必要がある。ルール破りの傾向があるコミュニティも、緊縮的な状況に終わりが見えていれば、「厳しい」対策にも協力できるだろう。迅速に緊縮体制に入れれば、迅速に脅威を減らすことができ、結果として自由も早く戻ってくるわけだ。 すべての国に必要なのは、「文化的器用さ」──すなわち、その時々の状況に合わせて、「厳しく」なったり「緩く」なったりを調整する力だ。 ニュージーランドのやり方はこの方法を体現している。ニュージーランド国民は「緩い」ことで有名だが、一方で彼らは世界的に見ても最高水準の「厳しい」対策を早い段階から実行し、規則を破りがちなメンタリティを飼いならして、新型コロナの死者数をたった26人に抑えることに成功した。

一丸となるための努力も必要

そして最後に、我々は「皆で頑張ろう!」という団結感を高めなければいけない。米紙「ワシントン・ポスト」はこのアプローチに成功した例として、ある小さな町の話を伝えている。 米バージニア州のチェサピーク湾に浮かぶタンジール島では、何ヵ月もの間、感染者が1人もいなかった。しかし感染爆発が始まると、島民は連帯して公衆衛生における緊密な協力体制を示したのだ。島民のリタ・プルーイットは、町の気風をこう表現した。 「今となっては、みんなコロナを真面目に考えてるわ。でもそれが問題だったのよね。最初、私たちは真面目に取り合わず、他人事だと思っていたわけだから」 他者への共感と協力体制、そして何よりも、正しく危険信号を受け取ることによって、この島では進化的トラップが早々に克服されたのだ。

Michele Gelfand

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コロナワクチン接種は“垂直刺し”…なぜ日本は半世紀以上も避けてきたのか

https://news.yahoo.co.jp/articles/6819f400c0eacf47b55f5bf30d7c66108c50243f

2021/2/20(土) 9:06 日刊ゲンダイデジタル

 ようやく始まった新型コロナワクチン接種のニュースを見て「痛そう」と感じた人も多いはず。国内承認されたファイザー製は、人の腕に垂直に針を刺す「筋肉注射」で投与する。従来、インフルエンザなどの予防接種は、30~45度の角度で針を刺す「皮下注射」。筋肉注射は、日本人にとって馴染みが薄い。 ■ファイザー製は異例の“垂直刺し” 「筋肉注射は深さ1・5センチ、皮下注射は0・5センチと針の深さが違います。ファイザー製ワクチンは筋肉注射を前提に開発され、厚労省はそれを承認しました」(厚労省医薬品審査管理課)  日本で筋肉注射が“マイナー”になった理由は約60年前にさかのぼる。1962年、解熱剤や抗菌薬の筋肉注射を受けた乳幼児が「大腿四頭筋拘縮症」や「三角筋拘縮症」などの副反応を発症。責任を追及する訴訟にまで発展した。ハーバード大学院卒で医学博士・作家の左門新氏(元WHO専門委員)が言う。 「被害者の多くは大腿四頭筋拘縮症で、太ももの筋肉の組織が破壊され、生涯、歩行困難になった人もいました。日本小児科学会などが注意を呼びかけた結果、その後、インフルなどのワクチン接種は皮下注射にするよう、国内の製薬会社が方針を変更しました。日本の医学界が背負ったトラウマのようなものです。その結果、同じ原理で作ったワクチンが海外では筋肉注射、日本では皮下注射と異なる扱いになったのです」  日本の医療従事者は筋肉注射に不慣れと思いきや、さにあらず。入院患者の治療には採用しており、医師らが接種に抵抗を覚える心配はない。また、筋肉注射は皮下注射より、抗体の効果が10%高いことも分かっているという。 「以前、米国の駐日大使館でインフルの予防接種をした際、白人職員の皮下脂肪が厚いことにビックリしました。日本人の2倍はあったでしょう。とはいえ、日本でも肉が厚い肩の三角筋に注射するので、針が1・5センチ入っても骨に刺さる心配はありません。ただ、深く入るので、皮下注射より多少痛みを感じると思います」(左門新氏)  感染防止のため、痛みに耐えるしかない。

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コロナワクチン打つ、7割 東京五輪反対は過半数 時事世論調査

https://news.yahoo.co.jp/articles/56868d57c3e0abcc203d47b24e912b909e416fef

2021/2/20(土) 15:42 JIJI.COM

 新型コロナウイルスのワクチン接種を希望する人は7割に上ることが時事通信の2月の世論調査で分かった。 【図解】東京五輪・パラリンピック開催の是非  一方で副反応について不安に思う人も7割以上。絶対安全と言い切れなくても、接種した方がいいと考えている人が多いようだ。  「接種を希望する」は70.1%、「希望しない」17.5%、「分からない」12.4%。「希望する」は男女別で男性(73.4%)が女性(66.3%)を上回った。年齢別では60代(80.0%)と70歳以上(76.4%)が多く、最も少ないのは18~29歳(60.8%)。  副反応について「不安」との回答は75.5%、「不安はない」が23.2%。「不安」は女性に多く81.5%、男性は70.4%だった。年齢別では18~29歳(80.8%)、40代(80.4%)が多い。  東京五輪・パラリンピック開催の是非を問うと、反対(58.4%)が過半数を占め、賛成は28.5%。反対理由(複数回答)は「新型コロナが収まりそうにない」(67.9%)、「感染対策を講じても完全には防げない」(67.0%)などが多く、賛成理由(同)は「選手のため」(63.4%)などだった。  調査は全国の18歳以上の男女2000人を対象に個別面接方式で実施。有効回収率は61.9%。 

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「不快なマスク仕草」20代女性に聞いたワースト5。鼻出しマスクは2位

https://news.yahoo.co.jp/articles/e056ebe27725e6b61fc95502c4de0f6b1c32cef6?page=1

2021/2/9(火) 18:45 bizSPA!フレッシュ

 コロナ禍で、マスクは生活に欠かせない必需品となりました。でも、果たして正しい使い方や着用がなされているのでしょうか。  そこで今回は「マスクにまつわる仕草」で不快と感じるものについて、20代女性200人を対象にアンケート調査しました。編集部で選んだ「12個のマスク仕草」のなかから、特に不快に感じたものを1~3個を選んでもらい、ワースト5位までを選出。順番に紹介します。

5位:外食先などテーブルの上に、内側を下にして置く

 まずワースト5位は「外食先などテーブルの上に、内側を下にして置く」で、29票でした。そもそもマスクには、会話や咳、くしゃみをなどで口から出る飛沫を防ぎ、感染拡大を防止する役割があります。  マスクの内側は直接鼻や口と接している部分なので、ウイルスや細菌を含む鼻水や唾液などが付着している可能性があります。そんな部分を、たくさんの人が使うテーブルの上に直接置くことはかなり不衛生といっていいでしょう。  回答者の声をみると「マスクの内側を下にして置くのは汚い」(25歳)、「唾液や鼻水が染みついている」(28歳)、「テーブルに菌をばら撒いているのと同然」(23歳)といったもっともな意見が多数を占め、「品がない。その他の面でも無神経な人なのかなと疑う」(27歳)といった声もありました。  最近ではマスクを一時的に収納するマスクケースが市販されています。外出の際はマスクと併せてケースも必携品といえそうです。

4位:片耳にマスクをぶら下げたままでいる

※厚生労働省HPより

 ワースト4位は「片耳にマスクをぶら下げたままでいる」で43票。  不快度は高めですが、厚生労働省が推奨する「静かなマスク会食」のポスターでは、片耳からマスクをぶら下げてビールを飲む女性がイラストで描かれています。この新マナーには「マスクを触る回数が増えて逆に汚いのでは?」など賛否ありますが、シーンによって、一時的であればアリという考え方もあるようですね。  ただ、片耳に“ぶらさげたまま”では「マスクの意味がない」(28歳)と言われているように、マスクをしていないも同然です。状況に応じて着用するか、片耳にかけるか、常に切り替える意識が大切です。

3位:顎マスクになっている

 ワースト3位は「顎マスク(口も鼻も出ている状態)になっている」で59票。  口も鼻も出てしまうので、感染させるリスクも、自分自身が感染するリスクも高めてしまいます。また、顎までマスクをずらす際に、マスク表面を触ることになるので、手に汚れが付着し、拡散させるリスクも。 「鼻も口も出ていると菌をもらいそう」(23歳)、「鼻が出ていて顎に着けたまま喋られるのが嫌だ」(24歳)のような感染リスクを危惧する声が多く、「鼻を出す仕草。ダサいから」(25歳)といった見た目のカッコ悪さを指摘する声もありました。

2位:鼻出しマスクになっている

bizSPA!フレッシュ

 ワースト2位は「鼻出しマスク(鼻だけ出ている状態)になっている」で61票。 「男性に限らず、誰でもマスクから鼻が出ているのは気になります」(21歳)という声があるように3位の顎マスク同様、鼻マスクも気になる人が多いようです。  他には「中途半端につけていて不潔」(28歳)、「くしゃみで鼻水が飛ぶこともあるし、マスクの意味がない」(28歳)といった衛生面に不安を感じる声が大半を占め、「不衛生な上、見栄えも悪く、だらしない印象だから」(26歳)と、見た目の印象が悪いという声もありました。  息苦しく、一時的にずらすこともあると思いますが、人が集まっていないかなど、周囲の状況を確認してから行う必要があるでしょう。

1位:マスクをずらしてくしゃみや咳をする

 気になるワースト1位ですが「マスクをずらしてくしゃみや咳をする」で116票でした。マスクをずらしてくしゃみ咳をすることは、すなわち飛沫をそのまま周囲に飛ばすことと同義。今のご時世、本当にそんな人がいるのかと疑ってしまうほどの行為です。  回答者の声をみると、「周りへの配慮が足りない」(23歳)、「マスクの意味が無い行為はやめて欲しい」(28歳)、「エチケットに反すると思う」(29歳)と至極まっとうな意見が揃います。  いかんせん「本当にそんな人がいるの?」と疑ってしまうところですが、「電車など公共交通機関で、くしゃみや咳をマスクを外してからする人がいる。自分に飛沫が返ってくるのが嫌なのだろうが、今の状況を考えて常識的にもどうかと思う」(20歳)と、恐ろしい目撃証言も寄せられました。

厚労省が推奨する「咳エチケット」

bizSPA!フレッシュ

 厚生労働省が推奨する「咳エチケット」では「1. マスクを着用し鼻から顎まで隙間なく覆う」「2. ティッシュ・ハンカチなどで口や鼻を覆う」「3. 上着の内側や袖(そで)で覆う」という3つの方法が紹介されています。  万が一、マスクを着用していなかったり、ずらしていたとしても、服の袖やハンカチなどで咳エチケットは可能です。しっかりと守るようにしましょう。  かくいう筆者もマスクで口は覆っても鼻だけ出してしまう「鼻マスク」をやってしまいがちです。今回のアンケート結果で不快に感じる人が意外に多いことを知って、自分の考えを戒めたいと思いました。  また、今回ワースト5にはランクインしなかった「マスクの上から鼻の穴をかく」(7位・22票)、「マスクの表面を頻繁に手で触る」(9位・18票)は、その手で周囲をあちこち触ることで感染拡大させるリスクも。  マスクの表面にもウイルスや細菌が付着している可能性があるため、表面を触った手で口や鼻、目を触ると自分が感染してしまう場合も考えられます。注意が必要です。コロナ禍の終息のため、正しくマスクを着用して感染対策に努めましょう。 <TEXT/目黒川みより> 【調査概要】 調査方法:(株)クロス・マーケティング「QiQUMO」によるアンケート調査 調査期間:2021年1月26日 調査対象:20代の女性200名 ※選択肢=顎マスクになっている(口も鼻も出ている)/鼻マスクになっている(鼻だけ出ている)/片耳にマスクを下げたままでいる/間違えて表裏逆に着用している/マスクの上から鼻の穴をかく/食事中・喫煙中などに腕にマスクを装着する/外食先などでテーブルの上に“内側を下にして”置く/外食先などでテーブルの上に“外側を下にして”置く/マスク越しとはいえ、大きな声で話す/マスク越しとはいえ、近距離で話す/マスクをずらしてくしゃみや咳をする/マスクの表面を頻繁に手で触る

bizSPA!フレッシュ 編集部

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コロナ禍での「ばい菌扱いやめて」 店員の受難を描いた漫画に反響 「その通りっ!」

https://news.yahoo.co.jp/articles/a9020edcb725cc6dafdf8f40df7e9d26ba821d25?page=2

2021/2/9(火) 20:38 Hint-Pot

 コロナ禍以降“当たり前”と思っていたことやものへの感謝の気持ちが強まり、生活インフラを支える人たちに対して、より敬意を抱くようになったという声を多く聞きます。その一方で、スーパーマーケットで働く人や医療従事者などに、心ない言葉を浴びせる人がいるという悲しいニュースも……。長年、スーパーでレジ係をしていた作者が、実体験を元に店員の“本音”を描いた漫画が話題となっています。作者の狸谷(@akatsuki405)さんに話を伺いました。 【漫画】本編を読む  ◇ ◇ ◇

店員に売り場を訪ねてきた女性が信じられない言葉を…

 元レジ打ち店員の狸谷さんが描いている、人気の“接客あるある”漫画「チェッカー鳥海さん、レジまでお願いします」。主人公の「トリさん」こと鳥海さんは、LINEスタンプ「チェッカー鳥海さんスタンプ」にもなっています。  ブラックユーモアが効いたオチが毎回話題となりますが、今回はコロナ禍でのスーパー店員の“受難”を描きました。「ピーク時より少し減りましたがたまに言われたり、そんな素振りをされたり」と狸谷さんがツイートに添えているように、新型コロナの感染対策に過敏となり、店員さんに失礼な態度を取る人は少なくないようです。  漫画では、マスクをした女性が突然背後から話しかけてきます。そして女性はやや横柄な態度でキッチンペーパーや、マスクのゴムがどこに売っているか尋ねました。丁寧に売り場まで案内しようとするとする主人公。すると、この女性の態度が豹変し、右手を突き出して強い口調で拒否反応を示します。 「ちょっと! あんまり近寄らないで! ウイルスがうつったらどうするのよ!?」  確かにソーシャルディスタンスを保つことは、感染対策の基本とされています。しかし、過剰ともいえる反応に、主人公はカチッと怒りのスイッチが。そして何と本音と建前が逆転。本来は「近かったですか? 申し訳ございません」と言うはずのところを、「ネットスーパーか電話注文で買い物したらいいんじゃないかなぁ」などと声に出してしまいます。  痛快なオチに、フォロワーからは「まったくその通りっ!」「従業員も不安の中、頑張っているのに……文句を言われるのはつらいですよね」「すっごく分かります……」「しゃべるな! コロナがうつる!! って言われたことあるよ」などと共感の声が寄せられました。

レジ打ちでの不快な経験の数々 「レジの台数増やせ!」「2人で打て!」

 なぜこの漫画を描くことにしたのか、またコロナ禍でスーパーの店員として実際にどのような体験をしたのかなど、作者の狸谷(@akatsuki405)さんに話を伺いました。 Q.今回の漫画は実体験ですか? また、心の声と吹き出しが逆になっている表現がございますが、実体験の時には漫画とは逆だったのでしょうか? 「実際に言われた言葉です。この時はマスクのせいでさらに聴きづらく、お問い合わせの件を再度お伺いしようとした時に言われたものでした。さすがに実際の接客中、トリさんのような言動をするとクレームにつながりますので、漫画での表現はあくまで『ああしたかったな』という口には出せない希望ですね。ただ『マスクのせいですかねー。お問い合わせの内容がちょっと聴き取りづらくて~』とやんわり返した覚えがあります」 Q.ピーク時はどのくらいの頻度で、こうしたことが起きていましたか? 「1度目の緊急事態宣言時は、スタッフもお客様も双方ピリついていたので、売場でもレジでもちょくちょくあったかと思います」 Q.コロナ禍以降、他にもお客の行動で不快に思ったことや、理不尽に感じた経験があれば教えてください。 「レジガード(レジ前にかけられた透明のビニールシート)を邪魔だとおっしゃる方や、レジガードを外そうとするお子さんと注意しない保護者の方には、困ってしまったことがありますね。あと、現在勤務している100円ショップでは、ステイホーム準備のために来店されたり、遠出できない人たちの簡易的な行楽場所になっていたりして、来客数が段違いに増えています。そのため、現在のレジの台数では長蛇の列ができてしまい、『もっとレジの台数とスタッフを増やせ! 2人で打て!』と土日・祝日の度にクレームを受けることが多くなりました」 Q.逆にコロナ禍以降、人の優しさに触れたなど、うれしかったことや良かったことがあれば教えてください。 「『こんな中だけど、いつも通り開店していてくれて本当に助かっている』と言われたことがうれしかったです」  新型コロナが日本で報告されてはや1年以上が経ちました。スーパーマーケットなどの小売業の方たちだけでなく、医療従事者や配送業など、リスクを抱えながらも人々の生活を守るために働き続けてくれている人たちはたくさんいます。だからこそ、常に思いやりを持って人に接すること、そして感謝の言葉をきちんと相手に伝えることが大切だと、改めて気付かされます。

Hint-Pot編集部

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西浦教授が懸念、ワクチン開始後の「第4波」

https://news.yahoo.co.jp/articles/4dc93d26ef0973f088d874b85e8353e34c2f1fa7

2021/2/7(日) 10:01 東洋経済ONLINE

昨春の緊急事態宣言時に8割接触削減を提唱し、「8割おじさん」として知られるようになった西浦博・京都大学教授(理論疫学)。1月27日に行ったインタビューの第2弾では、ワクチン接種や中盤戦以降のコロナ禍との向き合い方について語っている(前編は2月6日配信「菅政権が『コロナ第3波』の対応に遅れたワケ」)。 この記事の写真を見る ■ワクチンが揃うのは予定より半年延びた  ――2月下旬からワクチン接種が始まる予定です。  十分なドーズ(服用量)のワクチンが本当に期待どおり来るのかは相当に心配している。アメリカ・ファイザー社から日本への供給は、当初政府との基本合意では6月末までに6000万人分を確保できるはずだったが、年内に7200万人分という形での正式契約になった。つまり、6月末までに約束されていた分が揃わない可能性がある。

 「できるだけ急ぐ」とはされているが、実態としての配分量は極めてデリケートで直前までわからないとされ、事前に評価するのも困難だ。ただ、ワクチンが揃うのが当初予定より半年延びるということは、単純に考えれば緊急事態宣言がありうるような期間が半年も延びるということだ。ゴール地点が延びたということにほかならず、日本の政治能力の圧倒的な敗北の1つだ。それだけ経済や雇用面で打撃を受けるリスクが増す。  ――ワクチン接種の優先順位についてどう見ますか。

 現段階の接種予定で政府が明確にアナウンスしているのは、まず医療従事者、高齢者、基礎疾患のある人、そしてその後に介護従事者だ。一般の人々はこれまで6月といわれていたが、現実的には夏が終わってからになるのではないか。  医療従事者のワクチン接種が進むと、彼らから高齢入院患者への伝播によるクラスター(感染集団)が減り、入院負荷が少し減ることにつながるだろう。その意味では、約200万人いる介護従事者も同様に施設内で高齢者へ伝播させかねないリスクを負う立場にあるため、彼らの接種を高齢者の前へ前倒ししたほうが感染防止策として効率的だと思う。

 ――ワクチン接種が進んだときの注意点はありますか。  高齢者や基礎疾患のある人の接種が進めば、重症者が抑制されるため、新型コロナによる社会的な喧噪はいったん落ち着きを見せ始める可能性がある。そのとき、私が最も恐れるリスクシナリオは、みんなが辛抱しきれなくなることだ。  これまで人々はコロナ対策に耐えて協力をしてきたが、高齢者などの重症化リスクが抑制されたとき、政府が適切に国民の行動制御をできるのかと心配している。若年層や中年層が「医療リスクは減った」として平時の行動に戻れば、これまでの日本の新規感染者数より1桁多い水準まで感染拡大は進んでいくかもしれない。

■ワクチンが行き渡るまでのタイムラグ  とくに若者を含む生産年齢人口を相手に、最も肝心なタイミングで首相が「(接触を減らすのを)俺もがんばるから、みんながんばろう」と心からの言葉がかけられない状況は本当に厳しい。ワクチンが全国民に行き渡って集団免疫を達成できる時期は見込めない。その時まで、みんなで行動を制御することに国民の合意が得られるか。その点を今のうちから広く議論しておくべきだと思う。  経済への影響を考えると、行動制限に反対する声は大きくなると思う。しかし、若年・中年層で1桁2桁大きい感染になってしまうと、ワクチンで守れなかった高齢者や喘息患者、それから未接種者の50~60代での重症者の増加によって医療の負荷の拡大がこれまで以上のスピードで起こり、結果として医療資源を圧迫する可能性がある。そういった懸念を考えて、われわれもシミュレーションして準備している。政治はそうしたロードマップを示せるか、今後ワクチン接種が始まる中で重要なトピックだと思う。

 ――PCR検査の効果に関しては新しい知見はありますか。  検査の是非は段々見えてきた。従来、検査の対象を濃厚接触者などハイリスクの人に限定するのか、接触のない人も含めた全人口まで広げるのかについて議論が戦わされてきた。その中で、有症状者の診断や安心の担保、ビジネス促進などの話はここでは横に置いて、流行抑制のために限定した場合にPCR検査をどう使うべきなのかについては議論が整理されつつある。  神戸大学の國谷紀良准教授(数理科学)の研究にあるように、実効再生産数2.5では2~3日に1回、実効再生産数2では3~4日に1回、感染リスクを持つ同一人物を対象に繰り返し検査を行い、陽性者は宿泊療養などで自己隔離するなど2次感染防止策を取れば、新型コロナの収束に役立つという理論的な根幹を成す考え方は明確になった。

 ――現在のように、都市部のほぼ全人口がリスク対象であるときには、全員に対して数日に1回の検査を続けるというのは、検査や医療のキャパシティから言っても非現実的ですね。  その通りだ。しかし、流行が非常に収まってきて、感染の可能性が局所的で極めて小規模の集団に限定されるようになったときには、検査を繰り返すのは現実的にも有効なオプションの1つかもしれない。  例えば、どこかの街の繁華街や施設などに感染リスクが限定されてきたといった状況になれば、ほかのコロナ対策と一緒に、そうした局所で繰り返しの検査を行えば、新型コロナを消すというオペレーションをやるうえで役立つ1つの武器になるかもしれない。もっとも、その際も全対象者を巻き込んで複数回繰り返す検査でないといけないし、陽性者の徹底した2次感染防止策をどう社会に実装するか、という大きなハードルがある。

 ――そこまで感染リスクが局所的・小規模集団になるのはかなり先のことになりそうです。また将来、頻回の検査が出番になったとしても、検査に対しては「個人の自由」の立場からの抵抗があります。  昨夏、東京・新宿で集中的な検査が行われたことがあった。そのときは、行政が検査センターを設置して、呼び掛けた住民が来てくれるのに任せていた。「検査は個人にとって便益があるものだ」という認識の下では、自由意志に任せるしかない。

■社会実装に大きな課題  だが、先ほど話した同一人物の頻回検査でコロナを収束させるという議論は、社会における流行抑制というパブリックな目的だ。それを踏まえながら、地域の行政が果たして検査を実装するのかということ自体に関して、それを推奨したり実装したりする立場の者が具体的なオペレーションの方法を議論することが求められる。  日本は、昨春は行政検査のキャパシティが低かったことで知られる。加えて、入院や療養のスペースが極めて限られていた訳なのだから、検査陽性時の2次感染予防を工夫して考えないといけない。私はこの課題では専門家の議論に中心的に関わっていないのだが、実装には相当の努力を要すると思う。

 また、強制力を持たせないと頻回検査をできないのかわからないが検討を要するだろう。流行サイズが大きすぎる現状では考えにくいオプションだが、局所的にハイリスクの環境下にある住民が「一旦、流行を終わらせたい」と強い意志を持って検査を行う状況が作れるなら、考えうる対策オプションの1つであることは間違いない。オペレーション現場での実現は公衆衛生行政と本課題を推奨する意志を持つ専門家に課せられた1つの挑戦だと思う。

――昨年のインタビューでは、異質性(1人ひとりは同質的に行動しないこと)を考慮すれば、集団免疫率(閾値)は教科書的に言われる6割より低いかもしれないとの話がありました。その後研究者の間ではどんな認識になっていますか(集団免疫率や基本再生産数に関しては、「科学が示す『コロナ長期化』という確実な未来」を参照)。  異質性に関する論文のうち1編はその後、アメリカの『サイエンス』誌に掲載され、今では6割でなく5割程度ではないかとされている。ただし、基本再生産数はすでに述べたとおり気温やほかの要因で変動することも覚えておく必要がある。

■集団免疫閾値に達しても散発的な感染は続く  集団免疫については、自然な感染拡大にまかせ、いち早くそこに到達するという戦略を採ったとされるブラジル・マナウスやスウェーデンが批判されているが、それには集団免疫そのものや実効再生産数に関する誤解も含まれている。  たとえば、マナウスでは確かに住民の7割5分が感染したのだが、まだ散発的に流行が続いている。これで集団免疫閾値の妥当性を即座に議論するのは早く、とくに、集団生物学を十分に理解していないことに帰することのできる2つの点で誤解がありがちで、飛躍しすぎであることに注意する必要がある。

 1点目は、集団免疫閾値とは、流行中の実効再生産数が1を下回る(=新規感染者が減少に転じる)ことにつながる累積免疫保持者の比率であって、1つの流行を通じた累積感染者数の比率ではない。つまり、例えば55%が集団免疫閾値なら、免疫保持者がその割合を超えたところでやっと集団全体で実効再生産数が1を下回って感染者が減りはじめる、ということだ。  他方、1つの流行を通じた累積感染者数については、1人ひとりが同質な接触をする集団の数理モデルから導かれる最終規模方程式を使うと、単純計算で基本再生産数が2.0だと79.7%、2.5だと89.3%になる。このような感染しうるパーセンテージと集団免疫閾値は混同してはならない。

 2点目として、たとえマナウスというクローズドな集団で集団免疫閾値に達したとしても、人々は移動するので外から感染者が入ってきたとき、未感染のマナウス住民の間で小規模の集団発生が繰り返される。集団免疫とは、そういった局所の小規模流行を防ぐことを保証しない。  基本再生産数を基にした集団免疫閾値によって感染が収束するというのは、クローズドな集団における大規模流行の話であって、外と開かれたオープンな状況では話は変わってくる。国境を越えた人の移動を前提とすれば、この感染症の流行を本当の意味で収束させるためには1国だけではなく、多くの国において(ワクチン接種による)集団免疫を達成する必要がある。

野村 明弘 :東洋経済 解説部コラムニスト

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マスク情報 社会問題

独自実験で判明した「ウレタンマスク」の本当のヤバさ、ウイルス専門家の西村秀一医師が徹底検証

https://news.yahoo.co.jp/articles/165909279c5c275aa0549bb5dc75e69b36466cdc

2021/2/3(水) 9:31配信 東洋経済ONLINE

 昨年12月、国立研究開発法人「理化学研究所」(理研)のスーパーコンピューター「富岳」による、マスク素材ごとの飛沫防止効果のシミュレーションが発表された。 【図表】西村秀一医師による実験内容と、その衝撃の結果とは?  これによれば、感染していればウイルスを他者にうつす可能性のある「吐き出し飛沫量」のカットは、不織布マスクで約80%、ウレタンマスクは約50%。うつされるかもしれない「吸い込み飛沫量」は、不織布が約70%、ウレタンは約30~40%しかカットされないらしい。

 以来、街中や電車内でウレタンマスクをしている人を注意する、「ウレタンマスク警察」と呼ばれる人まで現れていると報じられている。行き過ぎた”警察行為”は厳に慎みたいところだ。   しかしながら、専門家からは「ピッタリ装着できるウレタンマスクは脇漏れしないものの、不織布は脇が開いている人が多いので(効果は)あまり変わらない」といった意見も。口元がゴワゴワせずつけやすく、色も選べてファッショナブルなのが気に入られたのか、依然として若者を中心にウレタン派は多いようだ。

 そこに異を唱える人が現われた。  国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンター長の西村秀一医師である。ウイルスセンターは国内では数少ない臨床ウイルス学の研究施設であり、全国の医療機関から依頼を受けたウイルス分離などの仕事のほか、独自の設備を用いた呼吸器系ウイルス感染の研究を行っている。 「『PCR検査せよ』と叫ぶ人に知って欲しい問題」(2020年5月12日配信)でもマスクの重要性を説いた西村医師、実は先頃、マスクの素材ごとに飛沫防止効果がどう違ってくるかという実験を行ったという。ウレタンマスクはOKなのか、はたまたNGなのか──。

■マスク素材で「飛沫防止効果」はこんなに違う  ──「富岳」もマスク素材ごとの飛沫防止効果を調べていますが、コンピューター上のシミュレーションです。実際に実験をされたのですね。  クリーンルームの中で、喘息などの治療薬吸入器具として使われているネブライザーからヒトの出すエアロゾルを模したものを発生させて、それをそれぞれのマスク素材がどれくらい通すかを試しました。  喘息治療や気管支炎の治療でシューシューと出てくる薬剤のミスト(蒸気)を吸い込みますよね。あの状態がミストの発生側です。一方、ミストの受け取り側は、人がつけた状態のマスクではなく、各素材そのものを切り出し、筒の片方に隙間なく張り、反対側から空気を吸わせ、素材を通過してくるエアロゾルの粒子の径(粒子の大きさを表現するもの)ごとの濃度をレーザー粒子計測器で測りました。

 ──上図の「マスク別除去性能」がその結果ですね。衝撃でした。ウレタンマスクの素材である「ポリウレタン」は、5um(マイクロメートル)以下の粒子だと除去率1%以下。ほぼ効果がないことがわかります。  そうなんです。逆に不織布マスクは一番小さい0.3~0.5umで90.8%、最大の5.0以上の粒子は99.1%の除去率が確認されました。医療従事者がつけるN95や医療用サージカルマスクはそれ以上に高い値ですが、一般の方が生活圏で使うのは、この程度の不織布マスクで十分機能すると考えます。

 ちなみに実験で使用したマスクは、医療用サージカルマスクが当院で使用しているもの。不織布マスクは、VFE(ウイルス濾過効率)が99%カットの表示があった一般的なものです。ポリエステル、ポリウレタンマスクは、一層式でインターネットなどで買えるもの。いずれも、素材表面や内部に特殊な加工がされていないものを選択しました。  不織布マスクを上下左右に、顔に密着させれば、エアロゾルをほとんど吸い込まずに済みます。エアロゾルは科学用語で、口から呼気や咳とともに出て空中にある粒子のすべてを指します。それを出さないこと、吸い込まないことが感染の伝播防止に重要です。

 今回は「吸い込み」しか実験はできませんでした。が、互いに不織布マスクであれば出す側も出す粒子が少なく、また吸込み側も吸い込みがかなり少ないわけです。これに2メートルのソーシャルディスタンスがあれば、感染はかなりの確率で防げるでしょう。ただ、マスクの付け方が悪いと、素材のせっかくの性能を生かせません。 ■マスクのずれや隙間は、過敏になりすぎなくていい  ──布(ガーゼやポリエステル)マスクは、10~20%台の除去率でやはり心もとないですね。

 ガーゼマスクは、アベノマスクを使いました。咳や呼気などが体内から運んできて口から出たばかりの飛沫の粒子は大きいので、布やガーゼマスクでも止まります。でも、一方で防御にはあまり役立ちません。まあ、2割でも3割でも阻止してくれることを考えれば、何もしないよりはましですが。  ──不織布でも、マスクが不意にずれたり、脇に隙間ができやすいものもあります。  つけ方が大事ということはそのとおりですが、一般生活ではあまり神経質にならなくてもいいです。特別なことをしない限り漏れをゼロにすることは不可能です。確かに顔面とマスクの隙間から入るものもあるけれど、密着の意識を持って着けているのであれば入ってくるのはそう大量ではなくなります。患者が出す1回の咳の中の生きているウイルスの量もそんなに多くはないので、あとは運でしょうか。

 ただし、周りを多くの人に囲われている状況では、エアロゾル濃度が高くなり、もしその中にウイルスを出している人がいたら、どんなマスクをしていてもリスクは高くなるし、密着度が悪ければなおさらです。そうなると、大事なのは換気です。  居酒屋やテレビなどで顔の高さくらいまでパーテーションを設置していることがありますが、パーテーションの高さ云々の問題ではありません。とにかく頻繁に換気をして、空気、すなわちその中にあるエアロゾルを滞留させないことです。

 ──ところで、なぜこの実験をしてみようと思われたのですか?  理由を教えてください。  「富岳」による飛沫防止効果の映像が昨年発表されましたが、僕らがテレビなどで再三観ていたものは、あくまでシミュレーションなわけです。それが真実である保証が必要です。コンピューターがはじき出しているものなので、計算式もわからないしそれだけでは確認しようがない。私は、理論科学者ではなく実験科学者なので、実際にやった結果を重んじます。

 それに、映像の粒子はエアロゾルなのに、すべてウイルスのように受け取られる向きもあった。例えばインフルエンザを例にとっていえば、スーパースプレッダーに相当する患者でも一度の咳で何十個も生きているウイルスを出すような人はいません。ましてやあそこに示された大量のエアロゾルがウイルスなわけがありません。  映像として、また計算された数値としてわかりやすいけれど、わかりやすいということはむしろ科学的には危険なこともあります。実証できる実験データが必要だと思ったのです。

 今回私たちがやったのは、人がマスクをつけた状況ではないし、吸い込みだけ、それも素材の性質だけに限られるのですが、それでも実測データとしてある程度参考になるはずだと考えました。これが1つ目の理由ですね。 ■ウレタンマスクはスカスカ  ──その結果、ウレタンマスクの防御性能がわかりました。これは想定内でしょうか?   想定の範囲内です。ただ、ここまで(除去性能が)低いとは、という驚きはありました。ウレタンは着け心地はいいのですが、呼吸がしやすい。それは言い方を変えればスカスカだということで、実はずっと心配していました。

 それに、昨年12月に発表された富岳のシミュレーション結果でウレタンマスクは吐き出しも吸い込みもカット率が低かったのに、若者たちを中心にみなさんまだ使い続けています。ここに警鐘を鳴らしたいという考えはありました。  それはシミュレーションの計算結果として出された数値がまだ甘いからかもしれない。そうだとしたら、もしかしたらこれが、若者たちの間の感染が多い理由の1つになっているのかもしれない。それをあらためてほしい。今回の実験をするに及んだ2つ目の理由です。

 そもそもマスクの性能を考えると、人々がマスクに期待することは、まず「自分がかからないこと」、要するに防御です。これがまったくダメとなると、どんな人だって少しは考え直すでしょう。一方、公衆衛生の面から願うのは「ほかの人みんながかかってほしくない、広がってほしくない」から、マスクをつけましょうということです。  ──なるほど。今現在、第3次感染がなかなか収まらないのは、人々の「コロナ慣れ」があるかと思います。今までかからなかったのだから、大丈夫だろう、と。無論、過度に恐れることはありませんが、今一度「感染の防御」を注意喚起しなくてはいけませんね。

 テレビなどを観ていると、出演者がマウスガードをつけています。それを見かけてしまうと「あれでいいんだな」と感染対策の見本と勘違いしてしまうかもしれません。しかし、断言します。マウスガードはマスクの代用にはなりません。エアロゾルを介した感染に対する防御には無力です。感染対策にはなっていません。  ──改めてお話をまとめると「うつらないマスク」の最強は不織布マスクなんですね。わが家も今日から不織布に切り替えようと思いますが、ウレタンの着け心地も手放しがたいです。また、不織布だと肌がかぶれるという声もネット上で見かけます。ウレタンの上に不織布をつける二重マスクでもいいでしょうか? 

 構わないと思います。戸外でウォーキングをするときなど、他人とほぼ会わないときはウレタンや布マスクでいい。というか、堂々とマスクを外していいです。ウレタンマスクを寒さ対策とか、すっぴん隠しの目的で使うことには異論ありません(笑)。それに、つねにマスクをつけなくてはいけないわけではありません。運動や移動などで外を歩いているときは、マスクをポケットに入れてもいい。自転車での移動も同じですね。 ■「使ったマスクを触らないように」は都市伝説

 ──よく見かける「鼻マスク」はどうでしょうか?  マスクを下げて鼻を出している状態ですね。  理屈からいえば、感染を広げない目的なら鼻マスクの状態でも、万が一ご自分が感染していても、よほどのことがない限り周囲に広げはしません。ただし、防御という意味では、口呼吸でない限り無防備状態と同じで、自分は吸ってしまうので感染者と接触した際に感染してしまうリスクは高いです。せっかく不織布マスクをつけていたとしても、防御になりませんね。

 また、「使ったマスクを触らないように」というのは都市伝説です。あれは、咳をしている患者と対峙する医療現場での話で、一般生活の中に落とし込む話ではありません。普通に社会生活をしていてマスクの表面にウイルスがついたりはしません。たとえマスクで捉えたとしてもそれは表面ではなく、マスクの断面のどこかです。  また、一般の人たちに対して「ドアノブに触るな」などというけれど、ドアノブで感染している証拠も出てきてはいません。気になるなら消毒すればいいですが、学校などで椅子などをあんなに拭く必要もありません。

 とにかく、うつさない・うつらないマスクを正しくつける。換気をする。そして、密を避ける。これで乗り切ってください。アリバイ気味で的を外した対策に惑わされることなく、また過剰な怖れにおののくことなく、正しく防御することは、自分でやりようがあります。自分の知識と努力でできるのです。

島沢 優子 :フリーライター