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コロナ第2波到来?感染を防ぐため「買い物」で注意したい12のこと

https://news.yahoo.co.jp/articles/b92d429e45b0ec2508d7b2970d58029a6708dc59

7/29(水) 7:01配信 現代ビジネス

「第2波」の到来が取り沙汰されている、新型コロナウイルス。不要不急の外出は控えていても、食料品、日用品を購入するために、スーパーやコンビニへ行くことは、生活するうえで避けられないだろう。ではそのとき、私たちはどんなことに注意すればよいのか? 著書『感染症専門医が普段やっている感染症自衛マニュアル』を刊行した佐藤昭裕医師に、注意点を教えてもらった。 ———- 【写真】第2波に注意!日本人が見落としがちな「手洗い」の意外な落とし穴

意外に感染しやすい「トング」

 曜日や時間帯によっては、スーパーも「三密」に近い空間になりがちです。  「マスク着用」を基本として、スーパーで飛沫感染、接触感染のリスクを低減するために、いくつか実践していただきたいことがあります。  まず、夫婦や子ども連れで買い物をする人は多いと思いますが、スーパーが混み合っていたら、「入店するのは1人」にしてください。  複数人で入店すると、単純に店内の人数が多くなりますし、つい一緒にいる人と、あれこれ相談しながら買い物をすることで、滞在時間も長くなりがちです。  混雑を避けるために、まず外から店内の状況を確認し、混み合っていたら、1人だけが入店する。これを、スーパーを訪れる人みんなが実践すれば、「密集」「密接」を避けることができます。  入り口にアルコール消毒液があれば、お店に入るときと出るときの両方で、必ず手指を消毒しましょう。入るときに手指衛生をする理由は、店内にウイルスを持ち込まないため、出るときは店内からウイルスを持ち出さないためです。  何を買おうかと考えるときは、つい、手で顔に触れがちですが、ここでも手で顔を触れないように気をつけてください。  スーパーで感染源になりそうなのは、お惣菜などをつかむときに使うトングだと思われます。商品やかごよりも触る人が多いと考えられますし、実際にクルーズ船やビュッフェなどではトングを介したと思われる感染事例がありました。  できるだけパックに入ったお惣菜を選ぶ、あるいはトングを使ったら顔は触らないようにして、店を出るときにアルコール消毒、もしくは手を洗うことを心がけてください。  店内でかごやカート、トングなどを触ったとしても、店を出る際にアルコールで手指衛生を行ない、それまでに顔などを触れていない限り、感染リスクはほぼありません。お店側としても、できるだけお惣菜などは個包装にするなどの工夫ができるとよいと思います。

商品を家に持ち込むときは

 なかには、買った商品に、細菌やウイルスが付着している可能性を不安に思っている方もいらっしゃるかもしれません。最大限に万全を期するならば、買ってきたものを一つひとつ洗浄、もしくは消毒する、自宅の保存容器に入れ替えるなどの対策になります。  医師が手術のときに行なう「無菌操作」を応用した例として、欧米の医師が作成した動画では、  ・人が触った可能性があるパッケージなどを、そのまま家で保存しなければならないもの(飲み物、調味料、アイスクリームなど)……パッケージをアルコールで除菌  ・外箱や袋に入っているもの……外箱や袋を捨て、中身を皿・保存容器、ジップロックなどの保存袋に入れて保存  ・むき出しで売られていた果物……洗って保存(自分の手を洗うのと同じくらい丁寧に)  ・調理品……中身が包装に触れないように気をつけながら自宅の食器に移すというものでした。  ただし、本当にそこまでの対策をとったほうがいいかどうかは、状況によって異なります。たとえば、新型コロナウイルスは、日本を含むアジア諸国以上に、欧米で猛威をふるっていました。そのような状況下では、「とりうる対策はすべてとる」という判断が必要になり、買ってきたものを、一つひとつアルコール消毒するという対策も合理的といえます。  また、高齢者や、がん、糖尿病といった深刻な病気を抱えている人、免疫機能が落ちている人など、感染症の重症化リスクが高い人が同居している場合は、買ってきたものを洗浄、消毒するというのも、対策の1つと考えていいでしょう。  しかし、そもそも「新型コロナウイルスが食べ物を介して感染した」という確実な症例は、まだ報告されていないのです。口に入れるものですから、食べ物を介した感染も、もちろん、ありうることです。ただ、すでに起こっていたとしても、感染経路が不明な人の、さらにわずかな割合の人に当てはまる程度と考えられます。  したがって、感染者数、死者数ともに爆発的に増えている、といった状況でない限りは、神経質になる必要はないでしょう。  そもそも野菜や果物などは調理前や食べる前に洗うのが普通でしょうし、お肉や魚なども加熱して食べることが大半だと思います。その他、お刺身などはできればさくで買って自分で切る、袋や箱に入ったお菓子類や乾物類などはすぐにお皿やジップロックなどに移すなどの対策だけでも充分でしょう。

覚えておきたい12のポイント

 感染症の対策は、細菌、ウイルスの特性によっては、長期間にわたって行なわなくてはなりません。対策は万全であるに越したことはありませんが、それによって実践するほうが疲弊してしまっては、本末転倒です。やることが多すぎると、最も重要な手洗い、ソーシャル・ディスタンスといった基本が、おろそかになる恐れもあります。  どこまで徹底するかは、世の中の情勢や個々の状況から判断するという発想も大切なのです。  さて、以上の点を含め、スーパーなどで買い物をする際に気をつけたいことは、次のとおりです。

———- まとめ ———-  

・スーパーが混み合っているときは、1人で入店する。  

・滞在時間を短くするために、買うものをあらかじめ決めておく。  

・マスクをして入店する。  

・入店時に、手をアルコール消毒する(店内に細菌、ウイルスを持ち込まないため)。  

・無闇に商品に触れない。「一度手にとったら棚に戻さない」くらいのつもりで、手にとって品定めするのは最低限に抑える。  

・店内では、手で顔に触れないように気をつける(店内で利用するカゴやカート、商品には、他者の飛沫が付着している可能性があるため)。  

・共用のトングでとるものは避け、パックされたものを選ぶ。  

・レジの列に並ぶときは、前の人から約2メートルの距離をとる。  

・会計はキャッシュレス決済にする(不特定多数が触れた現金に触れないため)。  

・セルフレジが設置されている場合は、利用する(店員との接触を減らすため)。  

・店を出るときにも、手をアルコール消毒する(店内でいろいろなものに触れた手をリセットするため)。  

・重症化リスクの高い人と同居しているなど、もし気になる場合は、買ってきたものを一つひとつ洗浄(もしくは消毒)したり、パッケージから自宅の保存容器に移したりする。

佐藤 昭裕(KARADA内科クリニック院長)