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ワクチン接種で100ドル支給を、バイデン米大統領が州政府に要請 感染拡大受け

https://news.yahoo.co.jp/articles/99527473085f4658ece0d955ccc0a2d524f52235

2021/7/30 BBC NEWS japan

アメリカのジョー・バイデン大統領は29日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、新たにワクチンを接種する人に100ドル(約1万1000円)を支給するよう州政府に呼びかけた。 また連邦政府職員に対し、ワクチン接種の要件を厳格化した。連邦政府はアメリカ最大の雇用主で、約200万人の職員を抱える。 この要請では、職員にワクチン接種証明を提示するよう求めており、それができない場合は、検査とマスク着用が義務付けられる。 米疾病対策センター(CDC)によると、アメリカでは29日までに全人口の49.4%、18歳以上の60.3%がワクチン接種を終えている。 ホワイトハウスでの記者会見でバイデン大統領は、一連の施策は感染力の高いデルタ株の流行を受けたものだと説明。「ワクチン未接種者のパンデミック」によって状況が悪化していると述べた。 「大勢が死にそうになっているし、死ななくていいはずの人たちが死んでしまう」と、大統領は警告した。 また、100ドルの給付はすでにワクチンを打った人たちにとって不公平に見えるかもしれないと認めた上で、「ワクチンを受ける人が増えれば、それは全員の利益になる」話した。 ワクチン給付の予算は、1兆9000億ドル(約200兆円)規模の新型コロナウイルス経済対策「アメリカン・レスキュー・プラン(アメリカ救済計画)」が使われる予定。 さらに、アメリカ政府はワクチン接種時に従業員に有給休暇を与える中小企業に「満額を補償する」予定だと大統領は述べた。 ワクチン接種を拒否する連邦職員は解雇されないものの、ホワイトハウスの今回の発表は、アメリカ全土の雇用主に規範を示す目的もあった。 会見の中で民主党のバイデン大統領は、主に共和党支持者の保守派層の間で広がる、ワクチンを危険視する風潮にも言及した。 大統領は、ワクチンに「政治的な要素は何もない」と強調。新型ウイルスのワクチンは共和党政権下で開発・承認されたもので、バイデン政権はその流通を推し進めているのだと説明した。 6月に発表された研究によると、新型ウイルスによる死者の99%が、ワクチンを打っていない人だったという。 CDCの最新データによると、アメリカでは18歳以上の約7割が少なくとも1回、ワクチンを受けている。しかし、接種率は地域によってばらつきがある。感染が拡大している南部や西部の州ほど、感染率が低い傾向にある。 こうした状況の中、アメリカではCOVDID-19関連死が1週間に2000人近くに上っている。新規感染者は1日当たり約6万人と、過去3カ月で最多となっている。 CDCは27日、新型ウイルスの感染が拡大している地域について、ワクチン接種済みであっても屋内ではマスクを着けるべきとする助言を発表した。 ニューヨークやカリフォルニアなど数週では、公共の屋内施設でのマスク着用を義務付けるなど、さらに対策を徹底している。 (英語記事 President Biden calls for $100 vaccine incentive)

(c) BBC News

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メダルとコロナの「Wラッシュ」で、日本に起こる3つのこと

https://news.yahoo.co.jp/articles/955e7e2594b0c1a094bc936b4e0134f7d856a267

2021/7/30 DIAMOND online

● 五輪の盛り上がりとコロナ感染者の急増 これから東京はどうなる?  連日、オリンピックでの日本勢のメダルラッシュで東京は沸いています。日々金メダルが増える一方で、同じタイミングで発表される新型コロナの感染者数も急増しています。過去最大の感染者数が報告されるような状況となり、これから東京はどうなってしまうのでしょうか? 【この記事の画像を見る】  私は経済に関する未来予測が専門です。実はここ数カ月、いろいろなメディアで予言してきた未来予測どおりの状況になってきています。  そのとおりになった未来予測を整理しておきたいと思います。  (1)政府は2021年の春は経済より五輪を優先する形で緊急事態宣言を延長し続ける (2)東京五輪は予定通り開催される (3)選手村ではパンデミックは起きないが、五輪開催中に都内では第5波が拡大する  ここまでは予測が的中しました。心配なのはこの後だと思います。実はこの先についても企業向けに以下のような未来予測をしています。  東京にこれから起きることを整理するとこのようなことになります。  (4)2021年夏、感染者数は大幅に増えるが死者数が低い状態にとどまるだろう (5)変異種のデルタ株が猛威をふるう可能性は高いが、その被害も限定的に収まるはず (6)結果として日本経済はこの夏を境にアフターコロナに向かうだろう  これは何度も繰り返しお伝えしていることですが、私の予測はあくまで統計学的な証拠から得られた未来予測です。医学的な予測とは手法や判断基準が異なる点はご了承ください。

● 感染者数と死者数の推移から考える ワクチンの威力  ひとことでまとめると、東京五輪がきっかけで東京では新型コロナが爆発的に増加し、医療崩壊に近い状態に達する可能性があるのですが、死者数という指標で見ると被害が限定的になることが予測されます。そして、そのメカニズムが広く理解されるようになることでコロナは怖れる病から共存する病へと変わる。こうしてこの夏以降、アフターコロナ社会が始まるという予測です。  まず根拠となるデータを見ていただきましょう。最初に見ていただきたいのが世界最大の感染者数を出したアメリカ合衆国の感染状況のグラフです。  大谷翔平選手の活躍に沸くMLBの試合を見ていらっしゃる方はお気づきだと思いますが、アメリカの球場ではマスクをしない観客が大量に押し寄せて大声で大谷選手を応援しています。日本人からすれば、「こんなことで大丈夫なのか?」と思うのですが、グラフを見ていただくとほぼほぼ大丈夫な状況になっていることがわかります。  きっかけは明らかにワクチンです。アメリカではバイデン新政権が発足早々に「100日で1億回接種」の方針を打ち出し、その目標はわずか59日で達成されました。3月末段階で国民の3分の1が接種を終え、この時期以降、感染者数グラフは急速に減少し、低い水準で推移しています。  直近でアメリカの100人あたりの接種回数は102回です。ひとり2回接種が必要なことを考えると、完全に免役ができている人はまだ人口の半分程度になるわけですが、「ワクチン接種が広がることで、社会はアフターコロナに移行できる」というのは事実だといえます。  先ほどの予言(3)で「選手村ではパンデミックは起きないが、五輪開催中に都内では第五波が拡大する」と予測したのはこのワクチンの接種率が根拠です。

● 五輪中の第5波拡大が避けられない 構造的な理由  オリンピック選手は8割がワクチンを接種していてPCR検査も受けています。それでも一定数の感染者は出ていますが、そもそものワクチン接種率が高く、(ルールが緩いことが危惧されているとはいえ)バブル方式で隔離もされているので、お互いから感染する確率は実はそれほど高くはない。選手村の部屋の中でどんちゃん騒ぎをしている声がするという報道はありますが、クラスターリスクはそもそもそれほど高くはない集団なのです。  一方で、東京都民は違います。日本もワクチン接種回数はリカバリーを始めていますが、それでも100人あたりの接種回数はまだ61回。ワクチンを2度打ち終わった人を多めに見積もっても、まだ3割の集団免役率でしかありません。その大多数に相当するのは優先接種した3800万人の高齢者ですから、絶対数として見れば若者にはまだワクチン接種を完了した人が少ないのです。  そのような状況でも、五輪のメダルラッシュで沸いて、ついつい浮かれて人々が外に出てしまいます。いくら「五輪は家で観戦しましょう」と政府が呼びかけても、トライアスロンや自転車競技、ウインドサーフィンなど屋外で行われる競技では、一目見ようという観客が大挙して訪れます。  ブルーインパルスが飛行すれば大勢の人が撮影に出かけ、金メダル獲得の瞬間を目にした後は感動にひたるためにお酒を買いに外出する。そもそも、オリンピックを地元・東京で開催しながら、都民全員が家に閉じこもるというのは想定上無理があるのです。  そのことから私は「ひとびとの外出が増えることで五輪期間中に第5波は大幅に拡大する」と予測したのですが、結果はその通りになりました。しかし、私は同時に「その際の第5波の死者数は実は少ない」とも予測しました。  背景となる要因が二つあります。一つは昨年夏の第2波を見ても分かるとおり、感染者数が多くても夏のコロナは死のリスクが低い。これがひとつめの要因です。そして二つめの要因は、ワクチン接種率が低いといっても高齢者の多くがすでにワクチン接種を終えているという事実です。  図を見ていただくと分かります。図2は日本の感染者数のグラフです。さきほどのアメリカのグラフと異なり、図表の中で赤線で印をつけた今年2月の段階では、まだワクチン接種は医療従事者への先行接種がようやくはじまったばかり。一般の高齢者への接種が本格化したのは5月以降です。  グラフを見るとまさにそれを裏付ける状況となっています。2月に緊急事態宣言がいったん解除されたあと、3月に第4波が襲い、感染者も死者数も第3波と同じ水準で立ち上がります。ここで、図表の下側の死者数のグラフに注目してください。3月から4月にかけて増加傾向にあり、2度目の危機が訪れていたのです。しかし、ワクチン接種が進んだ5月以降、日本の死者数は激減していきます。  実は、日本の新型コロナの死者の95%は60歳以上が占めていました。そしてファイザーとモデルナのワクチンは2度接種することで95%の感染予防効果が実証されています。つまり高齢者層にほぼ100%の比率でワクチン接種を行うと、日本全体で9割の死亡リスク(つまり95%×95%)は理論的に減らすことができるのです。  そして、死者数のグラフを見ていただくと分かるのですが、この7月、東京で第5波が急激に拡大している中でも、死者数は収束に向かいつつあります。これが4番目の予測である、「2021年夏、感染者数は大幅に増えるが死者数が低い状態にとどまるだろう」の根拠です。  ここで若い人に注意していただきたいのですが、死なないとはいえワクチンを打っていない20代、30代の感染者は爆発的に増加していますし、重症者もそれに比例して増えています。  若い人は死ぬ確率は低いのですが、免役を持たない新型の伝染病ですから感染すれば発症する確率は高いです。中症化ないしは重症化することで高熱が出て呼吸の苦しい日が続き、かなりつらい思いはするわけです。この理解が不足しているので、若者の無防備な外出はあいかわらず止まりませんし、医療現場の苦労は続いているというわけです。

● デルタ株はどこまで拡大する? 日英の感染状況を考察  さて、そのような状況下で猛威をふるう変異種によって、未来がさらにどうなるのか、新たな不安を覚える人もいらっしゃると思います。そこで5番目の予測、「変異種のデルタ株が猛威をふるう可能性は高いが、その被害も限定的で収まるはず」についての根拠を見てみましょう。  デルタ株はインドで広まって、インドの旧宗主国であるイギリスにも広まりました。イギリスの感染状況は以下のグラフの通りです。  アメリカと違い、イギリスではワクチンで収束したはずの新型コロナが5月になって急拡大しています。この急拡大分の大半を占めるのがインド発祥の変異種・デルタ株です。  ロックダウンが徹底されたイギリスで、なぜここまで変異種が広まったのか?イギリスの専門家によれば、渡航者の多さがイギリスのデルタ株パンデミックの原因になったといいます。ワクチン接種が進み、ビジネスに関する海外渡航のルールが緩和された時期と、デルタ株の流行が始まった時期が重なっているからです。  そして、このことは東京にとっても非常に悪いニュースです。なぜならこの7月、東京には世界中から五輪関係者が集まってきているからです。  私は「選手村は大丈夫だ」と言いましたが、問題は大会会場を埋め尽くしている大会関係者です。言い換えればジャーナリストとスポンサーということになるのですが、こういった方々は選手とは異なり、組織委員会もその行動をコントロールすることは実質的に不可能な状態になっているのは読者の皆様もご存じの通りです。  すでにデルタ株は東京の発症でも3割まで増加してきていて、そのリスクは五輪開催で当然のことながら急上昇しています。  問題はワクチンが効くかどうかですが、報道によるとイギリスで変異種に感染した人の中には、ファイザー以外にアストラゼネカのワクチン接種者も多いようです。2度の接種でファイザーがデルタ株に対して88%の有効性であるのに対して、アストラゼネカは60%の有効性にとどまるといった研究結果もあります。このあたりワクチンメーカーの構成が違う(ファイザーとモデルナ)東京の場合、デルタ株の被害はイギリスほどにはならない可能性はあると思います。  そして、私が一番重視しているのは、デルタ株がまん延し始めたイギリスのグラフでも死者数は収束している点です。これから先、デルタ株についていろいろなことが分かってくると思いますが、報道によればワクチンを接種している場合、感染はしても中症化も重症化もしにくいという研究発表があり、その点については東京にとって明るい予測要素になりそうです。  実は「ワクチン接種が進むことでコロナの死亡リスクが大幅に減る」ということは、コロナ対策の前提条件の変化を意味します。これまでは「免疫がないために感染しやすく、感染すると死亡リスクが大きい」という前提で新型コロナは新型インフルエンザ等感染症に指定されています。  法定の感染症であるがゆえに、治療現場では医療関係者の負担が高くなっています。しかし、医療関係者も入院患者の多くもワクチン接種が進んだという新しい前提下では、この対応の見直しを早めたほうがいいかもしれません。なぜなら医療現場では新型コロナの第5波拡大にともない、「それ以外の救える可能性がある命が救えなくなる」という危惧が高まっているからです。  日本はコロナという病との共生を考えるべき段階に来ていると、とらえるべきではないでしょうか。

● 夏を境に日本経済は コロナと共生する「アフターコロナ」へ  さて最後にもう一つ、事実関係はさておいて興味深いグラフをご覧いただきたいと思います。インドの感染状況です。  インドはアメリカに次ぐ世界2位の感染者数を記録した国です。しかもアメリカとは異なり全人口に行きわたるワクチンの量が確保できず、大半の国民はワクチンも治療薬もないまま新型コロナのパンデミックを迎えました。  一時は死者の埋葬も間に合わないというほどの被害だったインドですが、5月に入り、感染者数が急速に減少していることがグラフから分かります。  この原因については、あくまで医学的な事実は分からないと申し上げておきます。しかしNHK BSのドキュメンタリーで興味深い現地報道をしていましたので紹介したいと思います。要するにワクチンが手に入らないインドの国民は、代わりに薬局で安価に手に入るイベルメクチンを飲んで自衛を始めたというのです。  イベルメクチンはノーベル賞を受賞した大村智博士が開発に関わった抗寄生虫薬です。用途がまったく違う治療薬なのですが、新型コロナが出現した当時、既存の薬の中で新型コロナに対抗できる薬がないか広く探された中で、イベルメクチンに治療薬としての効果があるのではないかと注目されました。  そこで、陰謀論的に興味深いことが起きています。アフリカやアジアなどワクチンが入手できない国で自衛的にイベルメクチンを飲む人が増えた一方で、世界保健機関(WHO)、米食品医薬品局(FDA)、米感染症学会のいずれもがイベルメクチンをコロナに適用しないように勧告したのです。  そもそもイベルメクチンは多くの国々で処方箋なしに購入できる、いいかえると副作用のリスクが非常に少ない薬です。それでもそれらの機関では危険性を広く注意喚起して、先進国ではこれから治験をした後でその有効性を確認しようという態度をとっています。  状況を勘繰れば、特許の切れた市販薬がコロナに効くとなるとビジネスモデル的に困るひとたちが一定数いて、それらのひとたちの政治力がかなり大きいようだというようにも見える政治的な展開です。  公的機関は「世界各国でイベルメクチンを飲んだことでコロナから回復した人がたくさんいる」という事実は「治験による信頼性とは異なる」と意見表明しています。医学研究者の立場としてはそうなのでしょう。ただ経済学的には、これら貧しい国々を中心にイベルメクチンの需要はこの先、急拡大すると思います。  医学で権威のある人たちが認めなくても、統計学の観点で図4を見ればイベルメクチンとインドのコロナ収束に「相関傾向がない」と考える人は少数派のはずです。そして多くの製薬会社にとって残念なことなのかもしれませんが、イベルメクチンは実質的に新型コロナ治療薬として、それらの国々に広まっていくはずです。  結局、これらの事実を見ていると最後の予測、「結果として日本経済はこの夏を境にアフターコロナに向かうだろう」という希望が見えてきます。  ワクチン接種は、ワクチンが思ったほど届かないという問題を抱えつつも、高齢者中心にワクチンがいきわたるところまでは到達できました。状況はこのあと、さらに良くなるでしょう。  新型コロナのもうひとつの問題である「治療薬がない」という問題も、科学者の努力か経済原理かどちらが原動力になるかは分かりませんが、それほど先ではない時期に解決されることでしょう。  繰り返しになりますが、予測としては東京のコロナ感染者数はこの夏、急増すると予想されます。しかしそのコロナがおよぼす意味が、この夏を境に変わる。そして世界経済はコロナにおびえてこもる段階を過ぎて、コロナと共生しながら前に進む時期へと変化するだろうと私は予測しています。  (百年コンサルティング代表 鈴木貴博)  訂正 記事初出時より以下の通り表記を改めました。 40段落目:新型コロナは2022年1月末まで指定感染症にされています→新型コロナは新型インフルエンザ等感染症に指定されています 41段落目:法定の指定感染症であるがゆえに→法定の感染症であるがゆえに 41段落目:治療現場では防護服の着用など医療関係者の負担が高くなっています→治療現場では医療関係者の負担が高くなっています 41段落目:この指定の見直しを早めたほうがいいかもしれません→この対応の見直しを早めたほうがいいかもしれません (2021年7月30日14:41 ダイヤモンド編集部)

鈴木貴博

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米国、ワクチン接種完了後もマスクの着用を推奨 2ヶ月で方針転換した背景

https://news.yahoo.co.jp/articles/1d2555a521bf720c0b028b432fe6a51938483607

2021/7/29 Newsweek

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は2021年7月27日、米国内の感染拡大地域を対象に、新型コロナウイルスワクチンの接種を完了した人にも屋内でのマスクの着用を推奨する指針を発表した。学校の教職員や学童・生徒、来訪者も同様に、ワクチン接種の有無にかかわらず、マスクの着用が推奨される。 ●動画:2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開 ■ 「デルタ株」の感染拡大で、2ヶ月で方針転換 CDCでは、5月中旬、「新型コロナウイルスワクチンの接種を完了した人は新型コロナウイルスを他者に感染させづらい」との科学的データを根拠に、ワクチン接種の完了を条件としてマスクの着用は原則不要としていた。 しかし、インドで最初に確認された「デルタ株」の感染拡大を受け、わずか2ヶ月で従来の方針を転換することとなった。 米国ではデルタ株の感染拡大が急速に広がっていることがその理由だ。6月19日には1日の新規感染者数が1万1480人にまで減少したが、7日間平均が7月27日時点で6万人を超えている。7月23日時点で新規感染者のうちの83.2%がデルタ株に感染したと推定されている。 ■ ワクチン接種しても、無症状で他者にウイルスを感染させる CDCのロシェル・ワレンスキー所長は「米国で主流となっているデルタ株はこれまでのウイルスとは異なる」とし、「まれにワクチン接種を完了した人への感染も確認されている」と警鐘を鳴らす。 CDCの調査によれば、ワクチン接種の完了後にデルタ株に感染した人のウイルス量は、ワクチン未接種でデルタ株に感染した人と同等であった。つまり、ワクチン接種を完了した人は、無症状であっても、他者にウイルスを感染させる可能性がある。 一方で、入院患者や重症者、死亡者の大多数はワクチン未接種者だ。CDCの推定によると、新型コロナウイルス感染症の入院患者の約97%はワクチン未接種者で占めている。 ワレンスキー所長は「新型コロナウイルスワクチンはデルタ株の発症リスクを7分の1に低下させ、ワクチン接種を完了すれば、デルタ株による入院リスクや死亡リスクを20分の1に下げられる」とワクチン接種の有効性を示し、ワクチンを接種するよう国民に呼びかけている。 ■ ワクチンのデルタ株への有効性はやや低い 新型コロナウイルスワクチンのデルタ株への有効性は他のウイルス株に比べてやや低いとみられる。イングランド公衆衛生局(PHE)ら、英国の研究チームが7月21日に医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)」で発表した研究論文によると、ファイザーの新型コロナウイルスワクチン「BNT162b2」の2回接種後の有効性は、英国で最初に確認された「アルファ株」で93.7%であったのに対し、デルタ株では88.0%にとどまった。 また、アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチン「ChAdOx1 nCoV-19」の2回接種の有効性は、アルファ株で74.5%、デルタ株で67.0%であった。なお、いずれも1回接種後の有効性は極めて低く、デルタ株で30.7%、アルファ株でも48.7%にとどまっている。

松岡由希子

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GoogleとFacebook、出社できるのはワクチン接種者のみに

https://news.yahoo.co.jp/articles/8269e3ba9898d93634a7a863876812857c187e63

2021/7/29 GIZMODO

Appleはワクチン接種については言及なし。 コロナのパンデミックが始まってすぐにアメリカの大手IT企業はリモートワークに切り替えていましたが、ワクチン接種も進み、今度はどうやって従業員をオフィスでの勤務に戻すか計画を練っているところみたいです。GoogleとFacebookは従業員がオフィスへ戻るにあたってはワクチン接種を条件とし、Appleはワクチン接種必須が正しいことか否かを考え中とのこと。

Googleの判断

GoogleのCEOサンダー・ピチャイは従業員に向けたメールで、Googleキャンパス内で働くすべての人がワクチン接種をする必要があると書いています。このルールは北米でまずは開始して、そのあと他の地域でも同じようにオフィスに来るならワクチン必須となっていくようです。でもこれはワクチンの供給がしっかりされている地域でのみのルールとなります。そして健康上の理由などでワクチン接種ができない人も例外として認めるそうです。今のところ10月18日までは在宅勤務をオッケーとして、100%オフィス勤務に戻るまで30日の移行期間を設けるそうです。ただピチャイは急増するデルタ株の懸念も示していて、ワクチン接種は必須としたようです。

Appleは在宅勤務を継続

一方、Appleのティム・クックは9月の始めから週に3日はオフィスに来るようにと従業員言っていましたが、とりあえず在宅勤務の状態を10月まで伸ばすと発表。アメリカのAppleストアでは7月29日からマスク着用での入店を義務付ける予定ですが、店舗で働く従業員のワクチン接種は必須としていません。

これからの大手IT企業の働き方

大手のIT企業はこれから先も出社と在宅の「ハイブリッド」勤務をしていくと見られていて、ピチャイ氏も「これからのワークスタイルはフレキシブルに」と話していて、100%リモートワークの申請や勤務先オフィスの異動なども許可していくとのことです。Facebookのサッカーバーグ氏はこの先5年から10年は従業員の半分はリモートで働いていくことになるだろうと話していますし、マイクロソフト、Twitter、Spotifyも同じくこの先もハイブリッドや永遠にリモートワークでの勤務オッケーと発表していますね。 ワクチンが広がってオフィスに戻れるかと思いきや、デルタ株もがやってきてまた怪しい雲行きに。日本ではいつの間にか出勤する日々に戻っていますが、この先どうなるんでしょう?

岩田リョウコ

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デルタ株、感染したらワクチン接種者でも同じウイルス量 米CDC

https://www.cnn.co.jp/usa/35174615.html

2021.07.31 CNN

(CNN) 米疾病対策センター(CDC)は30日、新型コロナウイルスの変異株「デルタ株」に感染した場合、ワクチン接種者の体内でも未接種者とほぼ同量のウイルスを生み出すことを示す研究結果を公表した。

米連邦政府は今週、接種完了者にも屋内でのマスク着用を推奨する指針を出しており、CDCはこの判断の主な動機となったデータを公表した形だ。

専門家によると、ワクチン接種によりそもそも新型コロナに感染する可能性は低減できるものの、感染者となった場合、接種者であっても未接種者と同様にウイルスを拡散する可能性があることが示唆されている。

CDCのワレンスキー所長は声明で、「ウイルス量の多さは感染リスクの高さを示唆する。他の変異株とは異なり、デルタ株に感染したワクチン接種者はこのウイルスを他人に感染させる懸念がある」としている。

研究では、7月にマサチューセッツ州バーンスタブル郡で感染した同州の住民469人を分析した。この中で死者は報告されていない。

約74%に当たる346人はワクチン接種を完了しており、このうち79%が症状を訴えた。遺伝子解析の結果、デルタ株が主な要因だったことが判明した。

ウイルス量については、接種完了者127人とその他の84人(未接種者や接種が完了していない人、あるいは接種状況が不明な人)の間でほぼ同様なことが判明した。ウイルス量は、他人にウイルスをうつす可能性がどの程度あるかを示す代用データとなる。

ワレンスキー氏は27日、感染リスクが「高い」または「相当高い」地域で屋内のマスク着用を再開すべきとの指針を発表した際、こうした研究結果に言及していた。現在、米国民の75%超がこうした地域に居住する。

ワレンスキー氏の30日の声明によると、CDCが指針改定に踏み切った背景には、デルタ株はワクチン接種者の間でも同様のウイルス量を生み出すというこうした「重要な発見」があったという。

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RSウイルス感染急増 昨年の400倍超

https://news.yahoo.co.jp/articles/a67285cf910f9737f7434e122cbbd02e51fc0ef9

2021/7/13(火) 21:19 産経新聞

乳幼児に肺炎を起こす恐れがある「RSウイルス感染症」の患者が異例の早さで増加している。マスク着用や手洗いなどの新型コロナウイルス対策が進んだことで昨年、RSウイルスの流行が抑えられた反動とみられ、専門家は「免疫のない子供たちが今年、一気に感染する可能性がある」と警戒を呼びかけている。 「この時期にこれだけ感染者が増えるのは近年まれだ」。小児科専門の遠隔相談サービス「小児科オンライン」を運営し、東京都内の保育園で園医を務める橋本直也医師はこう話す。 RSウイルスは主に鼻水や発熱、せきの症状が出る呼吸器感染症。飛沫(ひまつ)や接触による感染で、2歳までにほぼ全ての乳幼児がかかり、何度も感染する子もいる。大人や2、3歳以上の子供は軽い風邪のような症状で済むことが多いが、生後6カ月未満や生まれつき心臓に病気のある子供などの場合、重症化しやすく、呼吸困難や肺炎に至ることがある。 国立感染症研究所の集計によると、定点医療機関当たりの6月28~7月4日の感染者数は4・13人で、昨年同時期(0・01人)の約413倍に上る。地域別では三重県(16人)、福井県(12・3人)、和歌山県(10・37人)などが多かった。 平成30年と令和元年は夏ごろから感染が拡大。昨年は年間を通して低調だったが、今年は春ごろから感染者が増え始めている。 新潟大の菖蒲川由郷(しょうぶがわ・ゆうごう)特任教授(公衆衛生学)は「昨年は新型コロナ対策でRSウイルスも流行が抑えられ、結果的に0~1歳児が感染して免疫を獲得する機会が少なかった」と指摘。社会活動が戻りつつある今年、その反動が起きているとの見方を示す。 夏のRSウイルスは高温多湿で流行しやすいとの研究結果があり、今年は西日本や東海地方が平年より早く梅雨入りしたことが影響している可能性もある。 「予防の基本は手洗い。他のウイルスより感染力が強いので、自宅や保育園でも子供がよく触る場所やおもちゃをアルコール消毒することも有効だ」と橋本氏。「ゼーゼー」と呼吸をするなどの重症化のサインがあれば、「夜間でもすぐに医療機関を受診してほしい」と強調した。

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感染症ニュース 社会問題

第5波で増える40代、 50代の重症者…「現場としては結構しんどい」コロナ治療最前線の医師が抱く不安と希望

https://news.yahoo.co.jp/articles/fc126726ce30396ef23b715a308bce3f38832e71

2021/7/15(木) 16:45 BUZZFeeD

新型コロナウイルス感染症の第5波が広がり始めた。政府分科会は7月、8月が「最大の山場」であると発信するが、医療の現場では何が起きているのか。そして、この夏、危惧することとは何か。埼玉医科大学総合医療センターで総合診療内科教授を務め、新型コロナ治療の最前線で治療を続ける岡秀昭さんに聞いた。【BuzzFeed Japan / 千葉雄登】

第5波到達、最前線の今

ーー現在の埼玉医大総合医療センターにおける状況を教えてください。 第5波はすでにこの総合医療センターにも到達しています。現在は中等症以上の方を中心に5名の患者を治療していますが、そのうち4名が40代および50代です。 残り1名は80代で1回目のワクチンを接種済みの方ですが、デルタ株に感染しており、重症化しています。 感染者数全体は10代、20代、30代といった若年層が多い。若い人々が引き続き重症化しにくい一方で、ワクチンの接種が進むことで高齢者の重症者が減り、40代や50代の基礎疾患をお持ちの人の重症者が増えています。 うちの確保病床は重症者用は6床、そしてそれ以外の中等症などのための病床が20床以上あります。 ですから、病床自体にはまだ空きはある。まだまだ空いているので、仮に今日搬送の依頼が複数来たとしても問題なく受け入れることができます。 ですが、入院を必要とする人々が以前よりも若いために変化が見えてきました。 これまでは入院を必要とする患者の多くは高齢者でした。そのため、回復したとしても退院までにはリハビリや転院調整などが必要となることが多く、長い時間を要しました。 しかし、40代、50代の方の場合には入院したとしても、重症でなければ適切な治療を受けて回復することで比較的スムーズに退院していきます。ですから、現時点ではベッドの回転率がこれまでよりも良い状態です。 でも、現場ではすでに負荷が高まりつつあり、しんどい状況です。このままのペースで感染者が増えれば、病床は埋まり、医療逼迫が訪れることは確実です。 数字だけを見ていれば、回転率が上がっているため病床にはまだ余裕があると思うかもしれませんが、3人退院したと思ったら、すぐに2人入院してくるような状況が続いています。 もしかすると、このような要因から第5波ではなかなか病床全体の使用率は上がりにくい可能性があります。ですが、入退院が激しい中で病床使用率では見えない現場のスタッフへの負荷は高まりつつあります。 ーー高齢者ではなく、40~50代が重症化することで、現場では他にもどのような変化が起きるのでしょうか? 重症化した際、人工呼吸器を着けるかどうかを判断する上ではご本人、ご家族と相談します。 たとえば80代、90代の患者さんであれば、希望しないというケースも少なくありませんでした。 しかし、40代、50代の患者さんとなると、ほぼ全ての人が救命を前提とすることが予想されます。 おそらく高齢者よりも40代~50代の人の重症化率は低くなると思います。しかし、重症化した場合に人工呼吸器を着ける人の割合は高齢者よりも高いでしょう。 ほとんどの重症患者が人工呼吸器を必要とするということは、重症者の受け入れを中心に医療逼迫も起きやすい。このペースで感染者が増えれば、2週間程度で当院の新型コロナ病床は逼迫する可能性があります。 ーー変異ウイルスへの置き換わりは進んでいますか? 2週間前に当院でも初めてのデルタ株の患者を受け入れました。そして、現在では2割から3割の患者さんがデルタ株です。 前回の従来型からアルファ株への置き換わりも、最初の1例から1ヶ月ほどかけて進みました。今回もおそらく同じようなペースで置き換わりは進んでいくと考えています。 デルタ株への置き換わりが進むことで、危惧されるのはワクチンを1回しか接種していない高齢者の発症や重症化です。これまでの従来型のウイルスであれば、1回接種でもそれなりに発症や重症化を予防できました。 しかし、デルタ株が広がることで、このような前提が崩れる可能性があります。まだ1回しか接種していない高齢者の場合、2回目の接種を急ぐ必要があります。 この第5波では、おそらく一部のワクチンを1回だけ接種した高齢者と40-50代の重症者が混ざり合い、そうした人々でベットが埋まる状況になるのではないかと予想しています。 今はまだ、入院を必要とする人々が40~50代中心でベッドの回転率も早く、適切な治療を早期に受けられているため多くは重症化の一歩手前で持ち堪えています。 でも、重症化すれば、40~50代であっても人工呼吸器が必要です。そして、1度人工呼吸器をつければ、平均的にはおよそ3週間程度は外せません。 ですから、このまま感染者数が増え続ければ、重症者を中心に受け入れが難しくなり、再びの医療逼迫は避けられません。 私たちはできる限り頑張りますが、限界はある。現在の感染状況が続くと、私たちの限界を超えてしまいます。

崖を落ちるように悪化、「見えない災害」の現場で起きていること

Takashi Aoyama / Getty Images

ーー世界各国に比べれば少ないものの、日本における新型コロナによる死者は1万4000人を超えました。単純比較はできませんが、阪神淡路大震災の死者6434人を大きく上回ります。しかし、感染者や重症者が身近にいないと、その影響の大きさを感じにくいのも事実です。 たしかに、この新型コロナのパンデミックはなかなか見えにくいですよね。 まさに、「見えない災害」なのだと思います。 私は新型コロナ治療の最前線に立っています。しかし、ここから見えている景色が、なかなか多くの人に伝わっていないもどかしさを感じるのも事実です。 津波や土石流であれば、どれだけの被害があったのかが一目でわかります。「これは大変だ」と多くの人が直感的に理解できる。 しかし、コロナの現場は隔離されており、外からは見えません。 今だって病棟から一歩外に出れば、みんな通勤や通学をして、制限はあるものの、日常生活を送っている。風景の中で普段と違うのは、みんなマスクをつけているということぐらいでしょう。 そんな中では、新型コロナについての情報は、毎日報じられる感染者の数だけかもしれません。 実は私は、この新型コロナに対応する現場で何が起きているのかを伝えるために、TwitterやFacebookで発信を続けています。 現場で何が起き、どのように私たちが対応しているのかを知ってもらい、日々の感染対策に協力していただかなければ、この「災害」は乗り越えられないと思うからです。 情報を発信すれば誹謗中傷や批判の声も届きます。最近は少しずつ慣れましたが、当初は大きなストレスを感じました。 それでも、私は治療の最前線で見ている世界を伝える必要がある。そう考えています。 ーー私たちは「重症化」と一言で片付けてしまいがちですが、現場では何が起きているのですか? 新型コロナに感染すると、ほとんどの人は後遺症の問題はあるものの、1週間程度で軽快します。しかし、一部の人は1週間が経過した後も発熱が続き、肺炎が明らかになり悪化していきます。 意外に思うかもしれませんが、入院が必要なタイミングではまだ多くの患者さんは重篤には見えない状態です。大体の人は病院へ搬送された時点では意識も良いし、歩くこともできる。 喘息や間質性肺炎など、他の病気ではこれほど見た目が元気であることは考えにくい。喘息であれば、入院が必要なタイミングでは「ヒューヒュー」という呼吸音が聞こえ、「先生、苦しい、苦しい」と、肩で息をしているような状態です。 ところが、新型コロナの患者は喘息や間質性肺炎などと同じ酸素飽和度であっても、平静を保っていることが多いのです。咳をしたり、熱はあるけど肩で息をしているような人は少ない。 酸素飽和度はかなり低いので、「どうですか?苦しいですか?」と医師は聞きます。すると、大抵は「いや、そうでもないですね」と答えます。でも、実際には重篤な酸欠状態にすでになっている。 入院してからも、他の呼吸不全の患者さんのように音を立てることも少ない。ベッドサイドが静か、というのが私の新型コロナの患者さんのイメージです。 そんなに元気ならば大したことないじゃないか、と言う人がいるかもしれません。ですが、さっきまで歩いていた、苦しくないと言っていた人の様子が数時間で一変します。 突然、崖を転げ落ちるように状態が悪化する。 ご家族からすると目の前で起きていることを理解するのは、なかなか難しいかもしれません。「さっきまであんなに元気だったのに、なぜ亡くなってしまったのか‥」と感じる人も少なくないでしょう。 「コロナは風邪」でないことは明らかです。 この1年半、現場で治療に当たる中で「私が感染させたんじゃないか」と後悔するご家族の方にも出会いました。そして、隔離病棟に入院しているため、現在でも他の疾患に比べれば面会が難しい状況です。 これらの事情から、亡くなったときのインパクトが大きい病気だと感じます。

新型コロナ最前線に広がる、“普通はあり得ない”光景

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ーー医療現場は必死に対応している中で、「なぜ、病床を増やすことができないのか」といった声も聞こえてきます。 病院を利用するのは新型コロナの患者さんだけではありません。心筋梗塞や脳卒中、がんや交通事故など様々な理由で受診する人がいます。 そして大学病院は高度専門化されており、それぞれの科が様々な高い専門性を持っているものの、必ずしも感染症や集中治療には精通していないのです。 3次救命の受け入れをしている当院には、他の病院では治療できない患者さんが多く運ばれてきます。 人的ゆとりがない中で、専門医を配置換えすれば、本来の守備位置に綻びができ、受け入れができなくなる。 さらに異動した守備位置には慣れていないため、効率的ではない。つまり、ほとんどの専門医は簡単に守備範囲を変えることは困難なのです。 埼玉医科大学総合医療センター全体の病床は約1000床です。 かつて私たちが受け入れてきた新型コロナ患者の合計は第3波の時点で200名であることを伝えると、「もっと受け入れないのか?」「なんで医療のキャパシティを増やせないのか?」と言う人もいますが、そんなに簡単な話ではない。 重症6床でも、いっぱいいっぱいです。 そもそも呼吸器内科の医師であっても、人工呼吸器をつける患者さんを同時にこれほど多く受け持つことはありません。 呼吸器内科の専門医でもある私の経験からは、一般的な病院の呼吸器内科であれば、研修医を含む医師3名で10人程度の患者を担当します。その中で、人工呼吸器を必要とする人は多くても1人いるかどうかです。 1人いるだけでも、「重症患者を抱えて大変だね」と言われています。 ところが、新型コロナの感染拡大時には一番重症者が多い時で7人から8人が同時に人工呼吸器をつけてそれを少ない医師で受け持っている状態です。 ICU(集中治療室)で勤務していない医師にとって、こんな状況はあり得ません。 ーー人工呼吸器を着ける人が1人いると、現場ではどのような対応が必要となるのでしょうか? 看護師は基本的にマンツーマンの体制です。 血圧の変化に対応したり、人工呼吸器が外れるような命に関わることがないように、つきっきりで対応する。 寝返りをうつこともできないため、定期的に姿勢を変えなければいけません。痰が出れば、それを吸引します。排泄物の処理も必要です。 食事も取れない状態なので、点滴を外すことはできません。血圧を維持する薬を使い、モニターでずっと心電図を見ている。 看護師以外にも、質の高い治療を提供するために医師は1人の患者につきっきりで対応します。さらに人工呼吸器を扱う技師やリハビリをする技師など、医療従事者はのべ10人ほど必要です。 そして、それを3交代で24時間代わる代わる担当する。10人×3交代で30人。 単純計算ではありますが、1人の重症患者を診るということは、のべ20~30人の医療従事者の力が必要となります。 1人だけでも大変ですが、それが多いときには7人から8人並ぶ。現場への負荷は非常に大きいです。 そんな中でも、第4波では人工呼吸器をつけた患者さんが10人ほどいましたが、最新のエビデンスを踏まえ私たちの経験を加味した治療を提供し、幸い全員の命を救うことができました。 人工呼吸器をつけた最重症患者の死亡率は報告にもよりますが2-3割であるため、現場を指揮する医師として、頑張った患者さん、懸命に治療や看護に当たったスタッフを私は非常に誇らしいと感じています。 この10人は何もしなければ、みんな亡くなっていたと予想される方々ばかりでした。 この成績をこの夏も維持するためには、医療の需要と供給の適正なバランスを守ることが重要です。 感染者が増えた結果、しっかりと治療を提供できれば救える命が救えなくなる。第5波でも、そんな「医療崩壊」の事態だけは何としても避けたいと思っています。

現在は「8回裏」。ゴールは見えてきた

Carl Court / Getty Images

ーー40代~50代の重症者が増えつつある今、五輪が開幕しようとしています。何を思いますか? 個人的にはもう2、3ヶ月延期していれば、本当の意味で「コロナに打ち勝った証」として開催することも不可能ではなかったと思います。 現在のペースでワクチン接種が進めば、有観客での開催もできたかもしれません。 五輪の開催が、感染対策にプラスに作用することはありません。感染拡大への影響をできる限り小さくするための工夫が必要とされています。 緊急事態宣言が7月12日から発出され、その効果がようやく見え始める2週間後には五輪が開幕しています。試合が終了する前に祝勝会が開かれるようなもので、これはタイミングとしては最悪です。 実は私も野球の準決勝のチケットが当選し、購入していました。自分が住む国で五輪を経験することができる機会はなかなかありませんから、とても楽しみにしていました。 でも、現在は安全な大会運営の根拠が見えず、医療現場で新型コロナに対応する医師として不安を覚えています。 「安心安全の大会を実現する」と政府や組織委員会は繰り返し発信していますが、安全な大会運営を可能にする根拠を示すことで初めて国民は真の安心ができる。 「安心安全」という言葉を繰り返すだけでは意味がありません。 「このような対策を実施する」「このような場合にはこんな対応をします」と対策の全体像を公開し、専門家や外部のチェックを経た上で大会を開催すべきでしょう。 開幕後にはニュースは五輪一色になるかもしれません。 結局、「世論と空気だけ変えればどうにでもなる」となってしまえば、医療現場と患者だけが取り残されます。 五輪で日本選手が活躍し、世間の注目はそちらに集まる中、医療現場は大変な状況に陥る… 私はそれを一番恐れています。Yuto Chiba / BuzzFeed

ーー7月、8月が「最大の山場」であると言われていますが、現場の医師としてどう感じますか? この第5波を乗り越えられれば、医療逼迫を心配しなければいけない状況からは脱却できる可能性があると感じています。 最前線で治療にあたる中で、ワクチン接種による効果を実感しています。このままワクチン接種が順調に進めば、第6波が起きたとしても医療逼迫は起きないかもしれません。 今回が最後の我慢になる可能性は高い。 コロナはなくなることはないかもしれませんが、ワクチンによって病原性が落ちて、日常生活が戻ってくるというシナリオは十分に考えられると思います。 この1年半、みんなが様々なことを我慢してきました。現在、様々なところで限界を迎えていると言われています。たしかに終わりが見えなければ、我慢を続けることは難しい。 しかし、今回の緊急事態宣言が最後になる可能性があることをしっかりと伝え、この夏だけは引き続き協力をお願いできないでしょうか。そんなメッセージを政府に出していただきたい。 ゴールは見えてきています。野球で例えれば、今は8回裏。1点差の緊迫した状態です。 油断すると逆転されてしまう。しかし、勝利は目前です。

千葉雄登

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中国製ワクチンは「水ワクチン」?…シンガポール「シノバック接種した人はコロナ検査もう一度受けて」

https://news.yahoo.co.jp/articles/b740349c7d67a701511a07a83fbec8aec26b369e

2021/7/3(土) 18:01 朝鮮日報

 シンガポール政府は新型コロナワクチン接種者に対し、集まりに参加する時の検査を免除しているが、中国製ワクチン「シノバック製ワクチン」を接種した場合は例外的に新型コロナ検査を再度受けさせることにした。現地メディア「ザ・ストレーツ・タイムズ」が1日(現地時間)、報道した。シンガポール保健省は同日、「(シノバックが変異型ウイルスの)デルタ株(インド株)感染を防ぐという証拠は十分でない」と理由を明らかにした。 ■ワクチン接種率OECD1位はイスラエル、日本が最下位…韓国は?  全世界的に中国製ワクチンの免疫力に対する疑問が相次いで取りざたされている。今年1月からワクチンを接種しているインドネシアでは最近、新型コロナ感染者が急増している。インドネシアで接種されているワクチンの90%がシノバック製だ。今月1日の一日の新規感染者数は2万4836人で、昨年5月(4000人台)に比べ約5倍の増加となった。首都ジャカルタとジャワ島は新型コロナ感染者で医療崩壊寸前だと米CNNは報じている。  しかも、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、優先接種対象者としてシノバックの接種を2回受けた医療従事者26人のうち、先月だけでも10人が新型コロナで死亡し、約500人が陽性となったという。

 同様に、接種のほとんどがシノバック製ワクチンであるチリやアラブ首長国連邦(UAE)では、接種率が高いのにもかかわらず、新型コロナ感染者が減らないという現象が起きている。昨年12月からワクチン接種を開始したチリの接種完了率は55.5%だが、新規感染者数は毎日3000人に達する。100人当たりの接種回数が152.1回で世界第2位のUAEでも、感染者数は2000人台だ。このため、UAEは1日、インドなど新型コロナの感染が拡大している14カ国について、自国民の渡航を禁止した。  もう一つの中国製ワクチンである「シノファーム」製ワクチンの効果にも疑惑が取りざたされている。シノファームを主に接種しているモンゴル、セーシェル、バーレーンなどで最近、新型コロナが拡散している。人口335万人のモンゴルでは、全人口の58.7%が1回以上、52.1%が2回接種を終えたが、今月1日の一日の感染者数は4861人に達した。イスラエルのよりも接種率が高いセーシェルでも、新型コロナ感染急増によりこのほどロックダウンを強化した。  韓国政府は今月1日から海外でワクチン接種を終えた韓国人・外国人に対して2週間の隔離措置を免除することにした。免除対象のワクチンはファイザー、ヤンセン(ジョンソン・エンド・ジョンソン)、モデルナ、アストラゼネカだけでなく、中国製ワクチンのシノファーム、シノバックも含まれている。中国製ワクチンを免除対象に入れるのは韓国が初めてだ。

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コロナ治療薬で再注目「イベルメクチン」日本版EUAが重要な訳

https://news.yahoo.co.jp/articles/bce1bfe4be13d6c367124db42f7556b2066a52f0

2021/7/4(日) 11:41 FRIDAY DIGITAL

ワクチン接種の遅れ、医療崩壊…日本の医療が緊急時に対応できない原因とは?

3ヵ月の会期延長要求を求める野党が提出した不信任案は衆院本会議で否決され、通常国会は会期末の16日に閉会された。写真は、16日の衆院本会議での立憲・枝野氏(写真:アフロ)

先進国だと思っていた日本が実は後進国だったのか……ワクチン接種が遅々として進まず、接種率がOECD諸国で最下位となった報道などを見聞きしながら、そんな無力感に苛まれた人は多いだろう。しかも、入院することができず、治療薬もなく、自宅療養のまま急速に重症化し、場合によっては命を落とす人も多数いる。 【画像】石原さとみ、深キョン、菅野美穂…芸能人の「映えるマスク」姿 そんな状況を打開すべく、6月8日、立憲民主党が衆院に提出したのが「新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び仕様に関する特別措置法案」(通称:日本版EUA整備法案)だ。 米国では食品医薬品局(FDA)が緊急時に未承認の医薬品の許可をしたり、既承認薬の適応を拡大したりする制度「緊急使用許可(Emergency Use Authorization : EUA)」の枠組みを通じてワクチンが迅速に供給されているが、日本では緊急時に対応できる柔軟性を持った制度がない。そのため、「療養」と「医療」の間にある壁を解消しようというのが、この法案だという。いったいどんなものなのか。 ◆医師の裁量で使っても良いけど、副作用が生じた場合に国は責任を持たない!? 北里大学大村智記念研究所感染制御研究センター長で、感染創薬学の花木秀明教授は言う。 「現在、厚生労働省は医療機関向けの『新型コロナウイルス感染症の診療の手引き(第5版)』において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬としてすでに薬機法上の承認を受けた医薬品のほか、薬機法上の承認は受けていないものの、新型コロナウイルス感染症の治療薬に転用が可能な別の疾患用の既存薬について、イベルメクチンなど10種類の薬剤を公表しています。 イベルメクチン等は現状、適用外の使用ということで、医師の裁量権で使えるものの、用法・用量の問題・安全性・有効性が確認されていないとの理由から、医薬品副作用の被害救済制度の対象になりません。 『医師の裁量で使っても良いけど、副作用の救済制度はない』と言われたら、医師は使いづらいですよね。医師としては懸命に患者を救おうと頑張っているのに、もしも何かあった場合には、その医師が何千万円もの損害賠償を払わなければいけなくなる。そうすると、当然自己保身が働きますから、使いづらいと思います」(花木秀明氏 以下同) ◆「イベルメクチン」がコロナの治療薬として再注目されるも… イベルメクチンは、北里大学特別栄誉教授の大村智博士が1974年に発見した微生物が生み出す「アベルメクチン」をもとにした化合物(誘導体)だ。 アメリカの製薬会社・メルク社との共同研究で、家畜やペットの寄生虫や回虫などの治療薬として開発されたが、「大型動物に効くのだから人間にも聞くだろう」との予測から、アフリカや中南米・中東などの河川盲目症の治療薬として使われ、犬のフィラリアの特効薬となり、さらにダニによる疥癬症や糞線虫症などの予防・治療薬として世界中に広がったことなどから、大村教授がキャンベル博士とともに2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞するきっかけとなる。 それが今、新型コロナパンデミックにおいて、コロナに有効として、再び世界中の注目を浴びている。治療薬開発とワクチン接種にはまだ時間がかかるうえ、医療経済学の観点でも安く副作用がほとんどないことなどから、使用すべきという声が強まっているのだ。しかし、日本ではイベルメクチンの使用がなかなか進まない。 「イベルメクチンの使用を反対する人は『データがない』と言います。 しかし、6月11日の段階で、全世界で58個の治験と観察研究が行われており、そのうちの半数の29個は非常に厳格な管理下で行われるRCT(ランダム化比較試験)で治験を行っています。 さらに、現時点では1万8000名くらいの患者さんに投与されていて、有効か無効かが議論されている中、COVID-19を克服することを目的として世界的に有名な救命救急医師/学者のグループによって結成されたアメリカの組織『FLCCCアライアンス』では予防効果で85%、軽症などの初期治療には78%有効としています。 これだけ多くの人に投与されているにもかかわらず、データがないから使えないという論理展開は矛盾があると思います。 さらに、『新型コロナに対する基礎データが少ないから』というのですが、臨床においてある程度の有効性がわかっているにもかかわらず、基礎データが少ないから躊躇するというのは、薬を作る段階をご存じない先生方の発想のような気がします」 ◆世界的権威のコリー博士のアドバイスを“スルー”していたJOC FLCCCアライアンスでは予防効果も治療効果も高い数値が出ており、なおかつ副作用もほとんどないということから、コリー博士がオリンピック開催の方向で進んでいる日本のオリンピック委員会宛てにイベルメクチンの投与を提案した書簡を送っている。 しかし、その件について、立憲民主党の中島克仁議員が6月11日の衆議院厚生労働委員会の中で質疑を行ったところ「事務局では把握をしておりませんでした」「日本オリンピック委員会、JOCの方に問い合わせをしまして、先ほど、えー、色々と確認をしていただきました結果、メールで届いていたことに6月7日に気が付いて、そのままになっていたということで伺っているところでございます」と”放置“されていた事実が明らかになったのだった。 ◆疫病対策は、「予防」と「治療」の両輪で進めることが重要 さらに「ワクチンしかない」と言い続ける菅首相と政府与党の方針そのものも、問題視されている。 「新型コロナウイルスに限らず、疫病対策は、歴史的に見ても『予防と治療』の両輪でやっていくのが当たり前です。感染が起きた人は周りに広げていくため、同時に治療していかなければいけない。一方だけに頼るのは非常に危険です」 コロナ対策に限らず、日本では治療法や薬剤の認可が非常に遅いという問題は、これまでずっと指摘されてきた。 国内での治験が足りないなどが理由として挙げられるが、国民性なのか。それともアベノマスクやGoToなどに利権が指摘されてきたように、何らかの利権が食い止めているのでは……と穿った見方をする人もいるが。 「一番の理由は、有事の対策というのが我が国ではほとんどないことです。有事に対して、平時の対応しかしていない。こういった疫病が起こることもたぶん想定していなかったと思います。 薬を作るのはそもそも申請から1年かかりますし、基礎データをとって進めていくと5年以上はかかります。 では、5年以上もの間このパンデミックを放っておくのかと。世界中でこれだけ多くの人が使っていて、臨床した人のデータもあるのに、何もしないで放置しておくのは、政策としてまずいと感じています」 こうした状況を鑑みて「日本版EUA」が議員立法で出されたわけだが、そこでは副作用救済給付の実施の法制化や、保険適用の法制化、当該医薬品の確保のための必要な措置を講じること、生産体制の整備に対する財政上の措置なども盛り込まれている。 花木教授は今年初め頃から与党・野党の医療系議員のもとに足を運び、何度も講演も行い、データも示してイベルメクチンの使用を提唱してきたという。その感触は良く、個々には賛成する議員がほとんどだったそうだが、それでも約半年経つ今も進んでいない。 「目の前に患者さんがいれば有事の対応になるのだと思いますが、おそらく”遠い話“なのでしょうね。 実際に患者さんの治療にあたる医療従事者にとっては毎日が有事そのものですから、実際、福岡記念病院や、オノダクリニック、東京では池袋メトロポリタンクリニック、中目黒消化器クリニックなどで使用していますし、どのくらいの量をどの期間投与するのが有効か、的確な治療の為に臨床データをとろうという動きも出ています。 その一方で今、予防としてイベルメクチンを個人輸入して(個人輸入は不法ではありません。個人の権利ですが、何かあっても保証はされません)飲む人も増えているようですが、医師の管理下で使用しないと、不安だからという理由でただただたくさん飲んでしまう可能性があるので、危険も感じています」 ◆忘れてはいけないコロナ感染回復者の「後遺症」 製造会社側は「経済的メリットがない」、政策側は「(臨床データはあっても)基礎データが少ない」という理由で、目の前の患者が置き去りにされ、ワクチン頼みの予防一本で進んでいる現状に対し、花木教授はこんな苦言を呈している。 「新型コロナウイルスは、若者でも感染後にかなりの後遺症が残ります。例えば自宅待機で39度の熱が5日間続くと、臓器の損傷がかなり起きていると思われます。 そこから回復していっても、後遺症を引きずりながら治していくので、普通の生活ができなくなる人も多数います。後遺症が重症で働けなくなる人も、トイレにはって行くような人もいますし、味覚嗅覚障害が1年間残っている人もいます。 さらに今、感染力が強いデルタ(インド)株にどんどん置き換わっていますし、これからベトナム株なども入ってくるでしょう。だからこそ、感染症では、予防はもちろんですが、早期治療が重要です。有効とされる様々な薬を使える状態を作ることが、今の事態を変える大きな一歩となるのです」

花木秀明 北里研究所部長、抗感染症薬研究センター長、感染防御学講座特任教授、感染制御研究機構教育担当部門長などを歴任。現在大村智記念研究所感染制御研究センター長・教授。COVID-19対策北里プロジェクト代表。

取材・文:田幸和歌子 1973年生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。週刊誌・月刊誌等で俳優などのインタビューを手掛けるほか、ドラマコラムを様々な媒体で執筆中。主な著書に、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)、『KinKiKids おわりなき道』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』(ともにアールズ出版)など。

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ワクチン接種翌日に71才男性が心筋梗塞で死亡「関連性なし」に遺族疑問

https://news.yahoo.co.jp/articles/9c54c735bfed8ae1844bafe5a7ad5cb15708b698

2021/7/3(土) 16:05配 NEWSポストセブン

「とにかくワクチン接種を」と国は大号令をかけている。だが、その裏では「350人超」という少なくない数の人が、副反応の疑いで亡くなっている現実を、新聞もテレビもほとんど報じない。 【写真】病名:心肺停止状態、症状:意識障害 などが、点や跳ねが繋がった大きさバラバラの文字で書かれた寛二さんの入院診療計画書。他、絵画の前に立つ寛二さん(生前)も

「夜ご飯のときに『おいしい』と言ってくれたのが、私に向けた最後の言葉になってしまいました……」  神奈川県川崎市在住の小倉寛二さん(仮名)が、モデルナ社製のワクチンを接種した翌日の夜に急死した。71才だった。  6月10日に亡くなり、まだ悲しみの淵から抜け出せない中、寛二さんの妻(66才)が亡くなった日のことを語る。 「20時半頃のことでした。いつもは寝る前に焼酎のウーロン茶割を1杯飲むんですけど、あの日は3口ほど飲んだだけで、あとは残していました。それから布団を敷いて、『トイレに行ってくるわ』と言ったきり、ちっとも戻ってこない。どうしたのかなと思って様子を見に行ったんです」  妻がトイレに向かうと、そこには仰向けで倒れている寛二さんがいた。 「苦しそうな様子などはなく、最初は寝てるのかと思って“こんなところで寝たら風邪ひくよ”って声をかけたけど反応がなくて。よく見てみたら口から泡を吹いていたんです。  慌てて救急車を呼び、“寛二さん! 寛二さん!”って必死に叫び続けました。起きると信じて“こんなところで寝たらだめだよ!”と呼びかけたけど、反応はなく、このまま寛二さんがいなくなるんじゃないかと思うと怖くて……」  ほどなくして救急車が到着したが、寛二さんはすでに心肺停止の状態。心臓マッサージやAEDによる救命処置が施され、搬送先の病院でも手を尽くされたが、息を吹き返すことはなかった。  突然の夫の死に対し、悲しみ以外にも、別の感情が湧いているという。 「それまで生活習慣病の薬はのんでいたけど、死ぬような状況じゃ全然なかった。それが、ワクチンを打った翌日に突然こうなった。ワクチンしかないと思うんですよ」  妻の証言をもとに、接種した日から死の直前までを振り返る。寛二さんと妻が夫婦揃って川崎市内の大規模接種会場「NEC玉川ルネッサンスシティホール」を訪れたのは、亡くなった日の前日、6月9日午後2時頃のことだった。 「広い会場にいくつも接種ブースができていて、密になることもなくスムーズにワクチンを打ってもらえました。ただ、夫はすぐに腕が痛くなったようで、15分間の待機時間の間、ずっと『腕が痛いわ』と言っていました。私もちょっと痛みを感じたので、ふたりして『痛いなぁ』と言いながら家に帰ってきたんです」  モデルナ社製ワクチンを接種した後に腕に痛みが出ることは「モデルナ・アーム」と呼ばれ、よく起こる副反応として世界中で報告されている。

 翌朝、妻の腕の痛みは治まっていたが、寛二さんは腕が上がらないほど痛みが増していた。とはいうものの、腕の痛み以外は体調に大きな変化はなく、ふたりは夕食の時間を迎える。 「夫は、食欲もありました。『里芋の煮っころがしが食べたい』と言うので、アジの開きと一緒に食卓に並べました。仕事を引退してから食事量は少なくなっていましたが、あの夕飯では『おいしい、おいしい』と言ってアジを2匹も食べていました」  寛二さんは、3年前に仕事を引退するまで、大工として朝早くから夜遅くまで働きづめの毎日だった。川崎市内の2DKのアパートで過ごす、夫婦ふたりのゆっくりとしたリタイア生活は、3年間で突然幕を閉じる。 「夫は本当に優しい人で、周りから羨ましがられるほどでした。スーパーに買い物に行くのも、どこに行くのも一緒。本当に幸せな毎日でした。藤井聡太くんのブームに乗っかって、将棋を久しぶりに指し始め、『ゲームで200連勝した』と言って大喜びしていました。やっと趣味に時間を使うことができ、楽しんでいるなと思っていたんです」  ワクチン接種に関しての抵抗はなかったと妻は振り返る。 「家族や周りに迷惑をかけないように、昨年から外出を控えていましたし、『早くワクチンを接種したいね』と、接種券が届くのを心待ちにしていました。だから接種券が届くと、すぐにふたりで同じ日に予約したんです。まさかこんなことになるなら打たなければよかった……」

厚労省の報告書に載っていない

 病院で死亡が確認された後、寛二さんの遺体は近くの警察署へとすぐに送られた。 「事件性はないけれども、コロナワクチンとの関連を調べたいということで、寛二さんの遺体は警察の検案に回されました」  検案の結果、死因は心筋梗塞による突然死で、コロナワクチンの副反応とは無関係だと断定された。だが、それは遺族にとって受け入れがたいものだった。寛二さんの息子が話を継ぐ。 「父は高血圧や尿酸値を下げる薬はのんでいましたが、突然死するような状態ではありませんでした。むしろ、2か月ごとに律儀に通院して、薬を処方してもらい続け、健康を保っていたという認識です。毎年きちんと健康診断を受け、大病やけがもありませんでした。だから、どうしても父の死がワクチンと無関係だとは思えないんです」

 ワクチン接種後に副反応の疑いで亡くなった人がいる場合、発生を知った医療機関は、厚労省に報告するルールになっている。  6月23日に開かれた厚労省の専門部会によれば、ワクチンの副反応の疑いがある死亡例は計355人(うち、ファイザー社製が354人、モデルナ社製が1人)。その報告書には、年齢、性別、接種日、接種回数、基礎疾患、そして接種から死亡までの詳細が記されている。モデルナ接種後に副反応の疑いで死亡した男性の報告もされているが、今回の寛二さんの死は、その報告書に書かれていない。つまり、本当はワクチン接種と関連性がないとは言い切れない翌日の急死にもかかわらず、報告書から漏れている死があるということである。  寛二さんが搬送されて死亡が確認された病院に問い合わせると、以下の回答があった。 「そうした事実があるかないかも含めて、個人情報の観点からお答えできません」  一方、接種可能の判断をした、かかりつけ医に遺族が経緯を問い合わせたところ、こう明かした。 「6月10日に亡くなられたと聞いて驚いております。約1年間担当しましたが、高血圧と尿酸値がやや高いけれども、5月に採血したときは、何も問題ありませんでした。心臓についても、過去に不調を訴えたり、私の方からカテーテルをすすめるようなこともなく、直近の心電図にも問題なかったですね」  高血圧などの基礎疾患が、心筋梗塞またはワクチン接種の副反応に、影響を及ぼした可能性はあるのだろうか。クリニック徳院長の高橋徳さんはこう分析する。 「高血圧や糖尿病の人は心筋梗塞が出やすいです。また、ワクチンが血栓症を引き起こすリスクがあるといわれていますが、その場合、高血圧だと、より血栓ができやすい。そしてその血栓が心筋梗塞を誘発するのです」

「わかるところのご案内もできかねます」

 納得できない寛二さんの遺族は、厚労省にも説明を求めたが、その対応は曖昧なものだったという。 「厚労省のコールセンターには何度も連絡しました。国はワクチン接種で副反応が出たり、亡くなったりしたときのために、『予防接種健康被害救済制度』を定めています。でも、父の件について何度問い合わせても、明確な返答はまったくいただけません」(息子)

 予防接種健康被害救済制度とは、予防接種によって後遺症が残ったり死亡したりした場合、既定の額の給付を行う制度で、新型コロナワクチンに関しても適用される。死亡の場合、4420万円が各自治体から支払われることになっている。  だが、寛二さんは検案で「副反応とは無関係」と断定されたため、このままでは救済を受けることができない可能性が高い。 「市の健康福祉局のかたとも話しました。『死亡診断書が出たら申請できます』と言われたのですが、『ワクチンとの因果関係の判断基準は市区町村ではわからない』とのことでした」(息子)  そこで、遺族は再び厚労省のコールセンターに連絡を取って判断基準について聞いたが、「こちらではわかりかねます」との答え。そこで、「では、わかる部署を教えてもらえますか」と聞くと、「わかるところのご案内もできかねます」との対応しかされず、その後も何を聞いても、機械のように同じ答えしか返ってこなかったという。  寛二さんの家族には不信感がいまも残る。 「2週間たって警察から戻ってきた夫の遺体は、もう一度しっかりと警察とは別の機関に調査してもらおうと思っています。そのため火葬はせず、いま葬儀業者に預かってもらっています。先日、夫の遺体に会いに行ったのですが、とても顔が白くなっていました。その顔を見て、“えらい男前やね”って声をかけてあげたんですが、それ以外は胸がいっぱいであまり覚えていません」  調査が終わって、火葬した後は、生前に寛二さんが話していた願いを叶えようと考えている。 「お墓は生まれ育った奈良にあって、夫は『そこに入りたい』と言っていたから、そうしてあげたいですね。早く連れて行ってあげたいとも思うのですが、遺族として死の真相を明らかにしたいという思いもあるので複雑です」  ワクチン接種後の突然の死。遺族は悲しみとともに、ひとつのことを決めた。 「2回目の接種が私には残っていますが、打ちません。打てないでしょう。寛二さんの兄弟も打つ予定だったのにやめたようです」  ワクチン接種が推奨され続ける一方で、接種後の突然死がないがしろにされている。 ※女性セブン2021年7月15日号