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【独自】感染症即応へ医療体制見直し…骨太の方針原案判明

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2021/6/4(金) 5:01配信 読売新聞

 政府が今月中旬にも閣議決定する「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の原案が判明した。新型コロナウイルスの感染拡大で病床の逼迫(ひっぱく)などが課題になった医療提供体制の見直しや、米中対立で重要性が増している経済安全保障の強化が柱となる。 【写真】ワクチン希望率、説明の仕方でこんなに変わる首相官邸

 原案では、今後の感染症対策について「緊急時対応は、より強力な体制と司令塔の下で」進めると強調した。

 今後、感染症が短期間で急拡大する場合には「昨冬の2倍程度を想定した患者数に対応できる体制に緊急的に切り替える」とした。受け入れ可能な病床を増やすため、「国公立、民間病院がともに病床を活用できる仕組みや都道府県を超えて患者を調整する仕組み」を整えることを盛り込んだ。患者を受け入れる医療機関向けに、減収を穴埋めする制度も示した。患者の受け入れで一般外来の診察が制限され収入が減ることへの不安を和らげる。

 また、ワクチンの承認手続きに時間がかかったことを踏まえ、「緊急時の薬事承認のあり方について検討する」と明記した。対応が後手に回らないよう、緊急時の対応を見直す方針だ。

 経済安全保障分野では、中国を念頭に、先端技術などの流出防止策を打ち出した。日本企業に対する買収や出資への警戒を強めるため、外国為替及び外国貿易法(外為法)による「投資審査・事後モニタリング(監視)」の体制を強化する。

 留学生や研究者の受け入れ審査を厳格化し、国内での留学生らへの技術提供について、2022年度までに外為法上の管理を強化する方針を明記した。研究者に対し研究資金の申請時に外国の資金を受け入れているかといった情報の開示を求めたり、安全保障に関わる特許出願の内容を非公開にしたりする制度の導入を進める考えも掲げた。

 また、半導体など重要な技術の開発や生産能力を国内産業が維持できるよう支援するため、「中長期的な資金拠出等を確保する枠組み」を早期に作ることを目指すとした。

 国際秩序の変化やデジタル化、脱炭素化の進展に対応する経済・社会構造を作るため、経済財政諮問会議に専門調査会を設置し、「21世紀半ば頃を見据えて、将来のあるべき経済社会に向けた構造改革・対外経済関係の基本的考え方をとりまとめる」ことも掲げた。

骨太の方針のポイント

 【感染症の克服】

 ▽緊急時対応は強力な司令塔の下で推進。昨冬の2倍程度を想定した患者数に対応できる体制に

 ▽感染症患者を受け入れる医療機関に対し、診療報酬で減収分を補充

 ▽国公立、民間病院ともに病床を活用できる仕組みや都道府県を超えて患者を調整する体制をつくる

 【経済安保】

 ▽投資審査、事後モニタリングの体制を強化

 ▽日本国内で武器などに転用できる技術を外国人に提供する外為法上の「みなし輸出」の管理を2022年度までに強化する

 ▽留学生、研究者などの受け入れ審査を厳格化