カテゴリー
ワクチン 社会問題

コロナワクチン接種後の死亡者550人超を分析 既往症、常用薬などに注目

https://www.news-postseven.com/archives/20210717_1675814.html?DETAIL

2021.07.17 07:00  女性セブン

 ワクチンにはかならずメリット(感染防止)とリスク(副反応)がある。国や医療機関はそのリスクを正しく評価し、調査し、公表すべきであり、私たちもそれを知った上で「打つべきか、打たざるべきか」を判断すべきだ。ワクチン接種後に急死した日本人は、すでに550人以上。だが、その現実も、詳細データも、新聞・テレビではほとんど伝えられない。『女性セブン』が独自に徹底分析した。

 いよいよワクチン接種の証明書が発行される。加藤勝信官房長官は7月12日、新型コロナウイルスワクチンの接種歴を証明する「ワクチンパスポート」について、当面は発行手数料を無料にすることを明らかにした。

 パスポートは7月26日から全国の市区町村窓口で申請受付が始まる。まずは海外に渡航する人が防疫措置の緩和を受ける際に利用されるが、国内でも民間企業などが優遇措置を検討する動きがある。

 パスポート発行の動きが加速する一方で、置きざりにしてはいけないのが、ワクチン接種のリスク「副反応」だ。7月7日、厚生労働省の専門部会は、ファイザー製とモデルナ製のワクチン接種後の「心筋炎」や「心膜炎」について注意を促す内容が、両製品の添付文書に追加されたことを明らかにした。

 また同日、厚労省は国内で2月17日から7月2日まで、ワクチン接種後に死亡が報告された事例が556人に達したことを明かした。6月18日までの報告数355人と比べて、2週間で200人以上増えたことになる。

 556人の内訳は、ファイザー製554人、モデルナ製2人(モデルナ製は5月24日に接種が始まったため、報告数が少ないと思われる)。『女性セブン』は厚労省の報告書をもとに、ファイザー製を接種後に死亡した554人の「性別」「接種回数」「既往症」「常用薬」などを分析した。

 まず性別は男性277人、女性275人、不明2人。これまで女性の副反応が多いとされたが、今回の報告では男女がほぼ同数となった。年代・性別でみると80代男性が118人と最も多く、80代女性(101人)、90代女性(101人)、70代男性(82人)が続く。高齢者が多いのは65才以上から優先接種が始まったことが理由だろう。

 接種回数ごとの死者数は、1回目397人、2回目125人、不明32人。接種から亡くなるまでの期間は「翌日」が108人で最も多く、「8~14日後」(84人)、「2日後」(75人)、「3日後」(52人)が続く。なお「接種当日」は41人だった。

 7月4日には高知県南国市の集団接種会場で、60代男性が接種直後に倒れ、搬送先の病院で死亡した。因果関係は確認されていないが、そうした突然死も発生しているようだ。

 主な死因のトップは不明(129人)で、心肺停止(39人)、心不全(32人)、急性心不全(28人)、心筋梗塞(21人)が続く。気になるのは、「不明」が多数を占めることだ。医療ガバナンス研究所理事長で医師の上昌広さんが指摘する。

「接種と関係のない自然死か、あるいは接種と関係するかもしれない死か、きちんと調査されていないので『不明』となっています。ただの怠慢でしょう。厚労省は国民の不安を払拭するためにも、死亡届を確認して調査すべきです」

 国がワクチン接種時のリスク要因と認めるのが基礎疾患だ。厚労省は接種に際し、「心臓、腎臓、肝臓、血液疾患などの基礎疾患がある人は注意が必要」としている。

 実際に報告書をチェックすると、基礎疾患を持つ人が死者の多数を占める。最も多いのが高血圧の142人で、糖尿病(72人)、アルツハイマー病・認知症(69人)、心不全(60人)、脳梗塞(59人)が続く。5月28日には、兵庫県神戸市の73才女性がワクチン接種後に呼吸が荒くなり、緊急搬送先で死亡した。その女性には糖尿病の持病があった。

「高血圧や糖尿病、肥満などの生活習慣病があると、動脈硬化が進んで血管にダメージが蓄積します。そういう人がワクチン接種後に免疫性の反応による副反応が起こると、血栓や出血のリスクが高まる可能性があり注意が必要です」(医療経済ジャーナリストの室井一辰さん)

 ワクチン接種後に死亡するのは高齢者が多いが、その年代は毎日たくさんの薬を服用するケースが多いことでも知られる。そこで注目されるのが、死亡者の「常用薬」だ。

 薬の種類別では、最多が「血液をサラサラにする薬(抗凝固薬など)」の87人で、以下、「高血圧治療薬」の66人、「制酸薬」(38人)、「胃酸分泌抑制薬」(26人)が続く。4月2日には、前日に2回目の接種を受けた62才男性が自宅の浴槽で意識を失って死亡した。男性は肥満体形で糖尿病を患い、血液をサラサラにする抗血栓薬を服用中で、ワクチンによって血管性の疾患が生じた疑いがある。

「不整脈や血栓症などに処方される抗凝固薬や抗血栓薬などの『血液をサラサラにする薬』は、血管からの出血が止まりにくくなります。ワクチンの免疫反応と出血との関連性も指摘されており、脳出血などのリスクが増す可能性があります」(室井さん)

血小板減少性で血が止まりにくくなる

 報告された死亡事例について、厚労省はこれまで一貫して「ワクチンと症状名との因果関係が認められないもの」もしくは「情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係が評価できないもの」としてきた。だが7日の専門部会で異変が起きた。これまで頑なに因果関係を認めなかった厚労省が、ある女性の死亡例について、「接種との因果関係を否定できない」と報告したのだ。

 対象となったのは、関節リウマチや慢性腎臓病などの持病がある80才の女性で、5月20日に2回目の接種を受けたのちに血小板減少症やくも膜下出血などを発症し、7日後の27日に死亡した。そのうち血小板減少症について、厚労省は「持病やその治療薬が影響した可能性もあるが、ワクチンが誘因になった可能性も否定できない」とワクチンとの因果関係を排除しない判定を下した。

 ワクチンが引き起こしたかもしれない血小板減少症とは、どのような病気か。新潟大学名誉教授の岡田正彦さんが指摘する。

「体内に出血が起きたとき、血小板は出血を止めるために働きます。そうした血小板が何らかの理由で少なくなった状態が血小板減少症で、従来ならすぐに血が止まった症状でも、発症すると出血が止まらず、大事にいたりやすくなります」

 なぜ、ワクチン接種で血小板減少症が生じるのか。「あくまで仮説ですが」と断ったうえで岡田さんが語る。

「ファイザー製とモデルナ製のワクチンは、遺伝子の設計図を体内に打ち込む『mRNAワクチン』です。そのワクチンを接種すると細胞内にウイルスのスパイクたんぱく質が形成され、それが体内の免疫反応を引き起こします。従来は安全だと考えられていたスパイクたんぱく質が血小板の細胞表面にある『糖鎖』と呼ばれる突起を切断してしまい、その免疫細胞が血小板を『異物』とみなして攻撃してしまう。それによって血小板が減少するというメカニズムが考えられます」

 mRNAワクチンは、新型コロナで初めて人類が接種したワクチンのタイプなので、副反応のメカニズムがはっきりしないことも不気味だ。

 改めて554例の死因を見ると、脳出血(18人)、くも膜下出血(16人)と頭蓋内出血が目立つ。

「それも血小板減少症が関係しているかもしれません」

 と指摘するのは室井さん。

「頭蓋内出血のリスクはワクチンの治験段階ではあまり報告されませんでしたが、実際には接種後に脳出血やくも膜下出血で亡くなった人が問題になっています。ワクチン接種後に血小板減少症が生じて血が止まりにくくなり、頭蓋内出血が重症化した可能性があります」(室井さん)

 アメリカ・ペンシルベニア州に住む65才男性は、モデルナ製のワクチンを接種した後、重度の血小板減少症を発症し、その後に脳症を発症して死亡したと報じられた。男性には慢性的な高血圧と高脂血症の既往歴があったという。室井さんは、その男性のような生活習慣病に注意を促す。

「生活習慣病は動脈硬化が進み、血液が凝固しやすいので、血を固まりにくくする抗凝固薬をのむケースが多い。そうした人がワクチン接種で血小板減少症を起こせば、ますます出血が止まりにくくなって、くも膜下出血や脳出血のリスクが増す恐れがあります」

 7日の専門部会で厚労省は、6月27日までに報告された453件のうち、7件の死亡例について、「ワクチン接種とは無関係」と評価。だが逆にいえば、その他の死亡例については、接種との関連が不明なままだ。岡田さんが指摘する。

「ワクチンは予防のために接種するのであり、予防のためのワクチンで人が亡くなることは最大限の努力で防がねばなりません。今回、厚労省が接種と血小板減少症が関連する可能性を認めたのは一歩前進であり、今後もさらなる安全性の検証が求められます」

 ワクチンの安全性にも「証明書」が求められている。

※女性セブン2021年7月29日・8月5日号

カテゴリー
ワクチン 社会問題

新型コロナ ワクチンを「打たない」と決めた人々の理由とは

https://news.yahoo.co.jp/articles/6e9ab65488bd8f6f19bed566a315960abb6cd80a
2021/8/2(月) 19:05 NEWSポストセブン

 テレビや新聞では、接種状況やワクチンの供給遅れが連日報じられている。しかしその一方で、副反応に苦しむ人は少なくなく、接種後まもなく亡くなった人もいるという事実についてはほとんど黙殺されている。そんな中、医師や高齢者など優先接種される立場の中にも「打たない」と決めた人がいる。ジャーナリスト・鳥集徹氏と女性セブン取材班が、彼らの胸中と「打たない」選択をした理由に迫った。 【写真】「ワクチン打たない」と決めた人たちの理由とは?医療機関で検温をする高齢女性

 * * *  各国で、新型コロナウイルスワクチンの接種率が頭打ちになり、問題となっている。  必要回数の接種を済ませた人が49.2%(7月20日時点)と、全国民の半数に達していない米国では、バイデン大統領が7月6日の演説で、接種を拒む人が多い地域などを対象に個別訪問を行い、接種を促していくという考えを示した。それだけ打つのを嫌がる人が増えて困っているということだろう。  なぜ、そんなにも接種を嫌がる人が増えたのか。その背景にあるのは、「反ワクチン派」の存在である。「不妊や流産が起こる」「遺伝情報が書き換えられる」といった話から、「磁石がくっつく」「マイクロチップが入っている」というにわかに信じがたい話まで、根拠のないデマを流し、不安をあおる人、そしてそれをうのみにする人が増えているというのだ。  接種率が3割を超えた日本にも、避ける人が一定数いると思われる。彼らもまた、こうした“デマ”を信じているのだろうか。「ワクチン接種をしない」と決めた人たちにその理由をたずねた。  日本では2021年2月、医療従事者を皮切りに優先接種がスタートした。医療機関には新型コロナに感染すると重症化しやすい患者が多く集まっている。その人たちに感染させないこと、医療従事者を新型コロナ感染から守ることなどが、優先接種の対象となった理由だ。それでも打たない選択をした医師がいる。 「私が打たない理由は2つあります。1つは私が40代であること。今後、子供が生まれる可能性が充分に考えられる年齢にとって、1年足らずで開発されたワクチンは長期的にどんなリスクがあるかわかりません。それに、40代はコロナに感染しても重症化するリスクが低く、ワクチン接種で個人的に得られるメリットは少ないと感じる。現状では打たなくてもいいと判断しました」  そう話すのは、鹿児島で訪問診療のクリニックを開設する、医師で医療経済ジャーナリストの森田洋之さん(49才)だ。森田さんはワクチンの効果を完全に否定しているわけではなく、それなりに有効性があり、医師という職業上接種する選択も悪くはないと考えているという。だがもう1つ、打たないのにはこんな理由がある。森田さんが続ける。 「医学生や看護学生たちは実習を受ける際に、このワクチンの接種が求められています。しかし10代後半から20代前半の人は、コロナで亡くなるリスクはほとんどありません。にもかかわらず、長期的な安全性が不明なワクチンを打つようプレッシャーをかけられているのは、とても気の毒です。  現役の医療従事者も、本当は全員が打っているわけではなく、体感として接種率は8、9割だと思われます。しかし、打ちたくないと声を上げづらい雰囲気がある。ならば、『私は打っていませんよ』と言ってあげられる医師が1人くらいいてもいいのではないか、そんな気持ちから表明しています」

 ワクチンを打たないと公言している医師はほかにもいる。群馬県で緩和ケア診療所を開設している萬田緑平さん(57才)だ。新型コロナのことを、萬田さんは「風邪」と言い切る。 「子供や若い人は新型コロナにかかっても、ほとんどが軽症で済んでいるのが現状です。それでは、なぜ年齢が高いほど亡くなる人が多いかというと、これまでかかったことのないウイルスだということに加え、もともと免疫機能が弱っているから。  集中治療室があるような大病院の医師は、風邪で肺炎になった高齢者を診たことがないから、『コロナは怖い病気だ』と主張しますが、風邪にかかって肺炎で亡くなる高齢者は、いつだってたくさんいるんです」  萬田さんはワクチンの有効性についても懐疑的だ。 「臨床試験を行ったところ、接種していない群の発症者が162人だったのに対し、接種した群の発症者が8人だったことから、有効率95%と宣伝されています。しかし臨床試験には、各群約1万8000人ずつが参加しており、それを母数にして計算すると、発症者は全体で0・84%しか減っていないのです。  言い換えると1人の発症を減らすためには、100人以上にワクチンを打たなければいけない計算になる。しかも、これは海外での臨床試験の結果です。感染者が海外の数十分の1と少ない日本に置き換えれば、数千人に打って、やっと1人の発症者を減らせるくらいの効果であるということになってしまう」  多くのコロナ患者を診療し、ワクチン接種も行ってきた医師の中にも、「自分は打たない」という人がいる。現在、ワクチン接種にも従事しているある医師は、その理由をこう打ち明ける。 「飛行機が落ちるのが怖くてわざわざ電車で行くのと同じで、未知のワクチンを打つのはやはり抵抗があるというのがいちばんの理由です。また、発熱外来でたくさんのコロナ患者に接してきたのに、私は発症しなかった。すでに免疫があるのではないかとも考えているのです。同様の理由で打っていない医師や看護師は少なくない。  それに、このワクチンを打つと発熱して、1~2週間動けなくなる人も多い。私が倒れると代わりの医者がいないので、休めないという事情もあります。ほかの職業の人でも、どうしても休めないから打ちたくても打てないという人がいるんじゃないでしょうか」  実際に患者にワクチンを打つ中で、副反応に苦しむ人がいたことも、懸念の理由になっている。 「実は、私がワクチンを打った人の中にも、接種後に体調が大きく悪化した人が10人くらいいます。幸い亡くなった人はいませんでしたが、発熱した後に体力が衰えてしまった高齢者や、原因不明の腰痛が出た人も複数いる。こうした状況をみて、“打って大丈夫なのか?”と密かに思っている医療従事者は多いと思います」  厚労省のホームページでは、「ワクチンを接種できない人」の例としてワクチンの成分に重度のアレルギーの既往歴がある人を挙げているが、既往歴がなかったとしても、副反応が強く出やすい人がいるのだ。

かつての薬害もうやむやだった

 医療従事者の次に優先接種の対象となったのが65才以上の高齢者だ。新型コロナは高齢になるほど致死率が高い。副反応のデメリットがあっても、高齢者はメリットが大きいとされているが、それでもワクチンを打たない選択をした人がいる。大学元教授の70代の女性はこう話す。 「過去の薬害に関する報道をずっと目にしてきて、医薬品の被害者にまともに対応してこなかった国の振る舞い方に不信感を持っています。過去に薬害が指摘された別の病気のワクチンについても、本当に安全で効果があるといえるのか、国はまともに追跡調査してこなかった。今回も接種後にたくさんの人が亡くなっているのに、国は『因果関係が評価できない』と言って、きちんと調べようとしていません。それに対する抗議の意味も込めて、打たないと決意したのです」  とはいえ、重症化しやすい年齢であることは間違いない。コロナへの恐怖心はないのか。「マスコミであれだけあおられ続けると、『怖いかもしれない』と思うことはあります。最近も、私の知り合いが濃厚接触者となり、PCR検査をしたら陽性だったと連絡がありました。コロナが身近に迫っていることを肌で感じましたが、ただ、検査キットを全面的には信頼していないこともあり、あまり不安には感じませんでした。  それに、もうそろそろ“店じまい”する年頃なので、コロナにかかって命を落としても、かまわないと思っています。人間はコロナだけで死ぬわけではありませんし。コロナのリスクも、たくさんあるリスクの1つですから」(70代の元教授)  特に接種を促されやすい立場の高齢者だが、体力が衰えていれば副反応も懸念事項だ。厚労省のホームページでも、心臓などに基礎疾患があり、体力が低下している人は接種を避けた方がいいと表記されている。そろって接種した皇族方の中でも、最高齢の三笠宮妃百合子さま(98才)は、接種されない方針と報道されている。

デマと断言する方がデマではないのか

 現在、ワクチンの供給は滞っているが、流通が再開すれば、いったん中止となっている職場接種や大学などでの集団接種も始まるだろう。そのときには、10代、20代の学生たちも接種の対象となる。当人たちは、これをどう受け止めているのか。都内の私立大学に通う4年生の女子学生は、こう吐露する。 「打たないと危ないと考える友人も多く、たくさんの人が接種するのではないかと思います。そんな中で、『反ワクチン』と言われてしまうのが怖くて、『私は打たない』と安易に話せない閉塞感がキャンパスにはあります」  だが、そんな中でも自分は打たないと決めていると女子学生は話す。20代のコロナのリスクが極めて低いことに加え、こんな経験も背景にあるという。 「HPV(子宮頸がん)ワクチンを受けた数年後に、極度の体調不良に陥りました。回復に1年以上要し、治療に大変苦労したのですが、医師から『HPVワクチンの副作用があるのでは?』と言われたんです。それを証明することはできませんが、今回のワクチンも、数年後に病気が起こることがあり得るのではないかと思っています」  また、こうした経験があるからこそ、このワクチンについても詳しく調べ、家族ともかなり話し合ったという。 「ワクチンの副反応に警鐘を鳴らす医師のブログや動画をたくさん見ています。血小板減少症や心筋炎の副反応が問題となっていますし、自己免疫疾患が起こり得ると指摘している医師もいます。それを見ると、やはり安全と断言できないのではないか、というのが私の考えです。  河野太郎ワクチン担当大臣が『不妊や流産になるというのはデマ』と発言して物議をかもしました。しかし、『科学的にはまだ何とも言えない』というのが正しく、デマと断言する方がデマではないでしょうか。不妊や流産だけでなく、あらゆる健康への悪影響は、5年、10年経ってみないとわかりません。副反応に関する報道や議論は短期的なものが多いですが、長期的に健康の影響を考える視点が重要だと考えています」(女子学生)

インフルエンザに比べて死者数が多い

 薬害に詳しい研究者は、このワクチンをどう評価しているのか。東京理科大学薬学部准教授で厚生労働省医薬品等行政評価・監視委員会委員を務める佐藤嗣道さん(58才)が解説する。 「臨床試験で発症予防効果があるとされましたが、感染そのものや死亡を減らす効果は証明されていません。特に最近の変異種に対する効果は限定的だと思われます。感染予防効果が証明されていない以上、集団免疫ができるというのはいまのところ期待でしかありません。  もちろん、安全性が非常に高いワクチンであれば、感染予防や集団免疫の期待を込めて打つ選択肢はあるとは思います。しかし、報告されたデータを見る限り、副反応のリスクがかなり高く、積極的に打つメリットは見出しづらいと判断しています」  7月21日、厚労省の副反応検討部会が開かれ、接種後の死亡が累積で751例(約3800万人接種)になったと報告された。もちろん、すべてワクチンが直接の原因とは言えない。ただ、インフルエンザワクチン接種後の死亡は、毎年、推定最大5000万人ほどの接種で、数人から多い年で10人程度しか報告されていない。それに比べると、明らかに突出した数であることは否定できない。佐藤さんが続ける。 「単純にワクチン接種後の死亡者の数を接種人数で割ると、約5万人に1人となります。その中には、相当程度ワクチン接種が原因のかたが含まれているでしょう。さらには、厚労省に報告されていない事例も、かなりの数があると思われます。なぜなら、報告は医師や医療機関の判断によりますし、現実に接種後に亡くなっても報告してくれないと訴える遺族の声があるからです。そういったことを鑑みれば、接種後の死亡事例は、報告されている数の10倍ぐらいあっても不思議ではない。もしかすると、1万人に1人、5000人に1人の割合で亡くなる可能性まで視野に入れておく必要がある。薬害防止を専門とする私の立場から言うと、副反応についても最悪の事態を想定して、どういう対策をとるかを考えておくべきだと思うのです」(佐藤さん・以下同)  薬剤疫学の専門家である一方、佐藤さんは「サリドマイド」という成分が入った睡眠薬や胃腸薬で起きた薬害被害の当事者でもある。母親がのんだ薬が原因で生じた手の障害は、生まれたときのままいまも変わらない。この薬は、妊婦や子供でも安心してのめる薬として、日本では1958年に売り出された。しかし、世界各地で手足や耳に奇形を持った子供が多数生まれ、1961年11月に西ドイツ(当時)の小児科医レンツ博士が「サリドマイドが原因と疑われる」との警鐘を鳴らすまで使われ続けた。それを受けてヨーロッパではすぐに販売中止となったが、日本では1962年9月まで販売が続いた。 「動物実験では、ネズミにサリドマイドを大量にのませても死にませんでした。そのため、ヒトにも安全だろうと思い込んだことが一因です。そのうえ、レンツ博士が警鐘を鳴らし、ヨーロッパで販売中止になっても、日本のマスコミはそれをほとんど報道しなかった。  むしろ当初は、『サリドマイドによって胎児に重大な奇形が起こるのは考えにくい』といった専門家のコメントを載せていたのです。  ところが、胎児奇形を起こすことが世界的に認められる流れになると、マスコミは一斉に手のひらを返して薬害だと騒ぎ始めた。しかし問題が明らかになるのは多数の被害者が出た後なのです。いまのワクチンをとりまく状況は、当時の教訓が生かされていないように感じてしまいます」  国はワクチン接種を強力に推進しており、テレビを筆頭にマスコミも多くが、その流れを後押ししている。もちろん、副反応のリスクよりメリットが上回ると判断した人に対して、ワクチン接種を妨害する権利は誰にもない。  しかし、反対にリスクがメリットを上回ると判断して、ワクチンを打たないと決めた人の権利も守られるべきなのだ。このワクチンの導入にあたって、2020年12月に改正された予防接種法の附帯決議にも、こう明記されている。 《接種するかしないかは国民自らの意思に委ねられるものであることを周知すること》  ワクチン接種を強要したり、打たないと決めた人を非難したりするのは、予防接種法の趣旨にも反している。  打つ人も打たない人も、その選択が同様に尊重される社会でなくてはならないのだ。 ●ジャーナリスト・鳥集徹と女性セブン取材班 ※女性セブン2021年8月12日号

カテゴリー
ワクチン 社会問題

高校生のワクチンに対する誤解に驚いた…!若い世代の「ワクチン不信」の根にあるもの

2021/8/4(水) 7:02 現代ビジネス

 「新型コロナワクチンも、HPVワクチンのようにあとから危険と分かったらと心配」  先日、高校で子宮頸がんなどを予防するためのHPVワクチンに関する授業を行った際、事前のアンケートである生徒のそんなコメントを目にしたという、産婦人科専門医の稲葉可奈子さん。この生徒に限らず、誤解によりワクチンに対して不安を抱いている若者は少なくないという。新型コロナワクチンとHPVワクチンに関する知識を広める活動を行う稲葉さんに、日本の若い世代に「ワクチン不信」が起こる背景について解説してもらった。※以下、稲葉さんによる寄稿。 【漫画を読む】セックスのとき、「女性の体内」で何が起きているのか ———- 【稲葉 可奈子(いなば かなこ) プロフィール】 産婦人科専門医・医学博士。みんパピ! みんなで知ろうHPVプロジェクト代表、コロワくんサポーターズ、予防医療普及協会顧問、メディカルフェムテックコンソーシアム副代表。京都大学医学部卒業後、東京大学大学院で博士号取得。現在は関東中央病院産婦人科勤務、4児の母。 子宮頸がんの予防や性教育など、正しい知識の効果的な発信を模索中。 ———-

若い世代ほどワクチン接種に消極的

〔PHOTO〕Getty Images

 新型コロナウイルス感染症の第5波真っただ中ですが、新型コロナワクチンの接種も着々と進んできています。2021年8月2日時点で5,116万人以上、人口のおよそ4割が1回目の接種を終えています(首相官邸の情報より)。ワクチンの供給不足が報じられていますが、それはワクチン接種が順調に進んでいることの裏返しでもあります。  自粛生活に限界を迎えつつある中で、感染を抑えつつ生活を元に戻していくための希望の光がワクチンです。医療従事者からはじまったワクチン接種は、高齢者や基礎疾患のある人に続き、基礎疾患のない若い世代へと接種が進んできています。  一方で、いくつかの研究や調査(※1)により、若い世代ほどコロナワクチンを接種したくない割合が多いことが明らかとなっています。また、30~40代を主とする1,438人の男女を対象にした意識調査(※2)によると、自身の子どもへのワクチン接種について17%が接種させたくない、29%はわからない、と回答しています。自身や子どもへの新型コロナワクチン接種をためらう理由として多いのは、いずれの調査においても「副反応や安全性への懸念」です。  現状はワクチンの需要に供給が追いついておらず、接種したい人がまだ接種しきれていない状況ですが、接種が先行している他国の状況をみても、いずれ接種率が頭打ちとなることが予想されます。 接種しない人の中には、強い信念をもって「接種したくない」という人と、「よくわからないしなんとなく不安なのでまだ様子をみたい」と接種を躊躇される人とがいます。  この傾向は、新型コロナワクチンに限った話ではなく、HPVワクチンでも同様です。  わたしは産婦人科医なので、HPVワクチンの説明をする機会も多いのですが、「なんとなく不安」な人というのは、正確な情報が届いていないため判断材料がない、もしくは、自分で調べてもネットにはあまりに多くの情報が氾濫しており、どれを信じてよいか分からない(往々にして不安な情報の方が印象に残ります)ため、判断しきれないまま接種をためらっています。  そういう人の中には、かかりつけ医に質問し、正確な医学情報に基づいた説明を受けることで不安が払拭される人もいますが、医師に質問する機会がない人もいます。

接種率が70%から0.6%に落ちたHPVワクチン

 ここで少し、HPVワクチンについて簡単に説明します。 ———- ・HPVワクチンは、HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染を予防するためのワクチン ・HPVは子宮頸がんや中咽頭がん、肛門がんなど、いくつかのがんや尖圭コンジローマの原因となるウイルス ・子宮頸がんは30代後半から40代に多く、その9割が子宮摘出などの治療が必要となるため、ワクチンとがん検診による予防が非常に重要 ・2013年にHPVワクチンは定期予防接種化され、小6~高1の女子は無料で接種できる ・定期予防接種化された直後、副反応を疑う症状が大きく報道され、厚労省はいったん積極的勧奨を差し控えた ・その後の国内外の研究により、安全性とさらなる有効性のエビデンスが蓄積されているにもかかわらず、積極的勧奨は差し控えられたまま ・当初約70%あった接種率が、積極的勧奨差し控えにより0.6%にまで低下し丸8年が経過 ———-  その間、通知が届かなかったためにHPVワクチンを無料で接種できることを知らずに接種の機会を逃してしまった人も多数います。 ようやく2020年10月に自治体から通知をだすように厚労省が通達を出したことで、個別通知を送る自治体が増え、少しずつ接種者数が増えてきていますが、世界的にみたらまだまだ接種率は非常に低いです。

公的機関、マスメディアによる発信の責任の重さ

 予防できる病気である子宮頸がんを予防する機会を逃している人が多くいる状況を見過ごすことができず、積極的勧奨が差し控えられたままでも、まずはみんなに知ってもらえたらと、2020年に「みんなで知ろうHPVプロジェクト」を専門家有志で立ち上げました。  かかりつけ医である小児科や学校現場を通して情報提供するサポートをしたり、接種対象者やその保護者向けにマンガや動画、ゲーム、クイズなどのコンテンツを制作しています。その活動の中で感じているのは、  ・8年前の報道が強く印象に残ったまま、その後、HPVワクチンについての報道を聞かないので、そのままなのだと思っていた、という人が少なからずいる  ・マスコミも、厚労省が積極的勧奨を差し控えたままの状況でどこまで安全性や有効性を報じてよいか悩ましく思っている  ・自治体や学校も、厚労省が積極的勧奨を差し控えたままの状況でどこまで情報提供してよいのか戸惑っている  ということです。  HPVワクチンについて知らなかった、もしくは、なんとなく不安に思っていた人に、正確な情報提供をすると、  ・知っていたら無料で接種したかった  ・こういうの学校で教えてくれたらいいのに  という声が多数届きます。

HPVワクチンの不安が新型コロナワクチンにも波及

〔PHOTO〕iStock

 啓発活動の一環で先日、高校生にHPVワクチンについての話をしました。  「有害事象」と「副反応」の違いについて、コロナワクチンを例にとりながら説明をすると、HPVワクチンについてもコロナワクチンについても、非常によく理解してもらえました。接種したあとに起こったあらゆるよくない事象を「有害事象」といい、ワクチンとの因果関係があるものもないものも全て含まれます。そのうち、ワクチン接種との因果関係があるものを「副反応」といいます。  「新型コロナワクチンの接種後に〇人死亡」という報道は、あくまで有害事象であって、因果関係があるかどうかについてまでは言及していません。同様に、過去にHPVワクチンの副反応と疑われた症状も、あくまで有害事象であって、それが副反応かどうかについては検証が必要です。HPVワクチンの場合、研究の結果、当時報道された有害事象とHPVワクチンには因果関係があるとはいえない、ということが分かったので、ほかの予防接種と比べて特別に危険なワクチンではないのです。  しかし、授業前のアンケートで「新型コロナワクチンも、HPVワクチンのようにあとから危険と分かったらと心配」というコメントを見つけて、正しい情報が一部の10代、そしてその親世代には届いていないことを改めて実感しました。  授業では、HPVワクチンは決して危険なワクチンではないこと、それがちゃんと研究と検証により確認されていること、そして、新型コロナワクチンについても全世界でしっかりモニタリングされており、現状想定されうるメカニズムで将来的なリスクは懸念されていない(あれば実用化されていない)ということを説明し、理解されましたが、HPVワクチンへの不安が新型コロナワクチンにも波及しているまさに典型的なケースでした。  昨年、世界的に権威のある医学雑誌『Lancet』に発表された研究(※3)によると、日本は世界の中でワクチンの安全性や有効性に対する信頼が最も低い、とされています。この論文の中で、2013年に厚生労働省がHPVワクチンの積極的勧奨を差し控えたことがその原因ではないかと分析されています。  WHO(世界保健機関)は2019年に、「世界の健康に対する10の脅威」の1つに、ワクチンの信頼性の低下をあげています。ワクチンの接種率が低下すると、麻疹(はしか)などワクチンで予防できるはずの病気が流行してしまいます。  守れる命を守るためにも、ワクチンの存在は欠かせません。ただ、予防接種は健康な人が予防のために接種するものですので、当然、リスクが大きいものは許容されませんし、実際のリスクにかかわらず、「危険かもしれない」と思っている人が接種したくないと思うのも当然です。エビデンスに基づいた安全性と有効性を公的機関がしっかりと分かりやすく発信し、国民に理解してもらう努力が必要ですし、そのために専門家の存在があると思います。

コロナ対応に追われる今だからこそ、HPVワクチンの早急な検討再開を

 新型コロナウイルス感染症は、老若男女問わず感染しうる、重症化リスクや死亡率がHPVに比べると高いウイルスです。日常生活や経済活動に大きな影響を与え、世界中で感染が猛威を奮っているからこそ、国を挙げて感染対策にあたっています。国も自治体も、マンパワーも予算もとにかく今はコロナ対策が優先となっています。  しかしながら、病気はコロナだけではありません。感染症はコロナだけではありません。  すでに有効なワクチンがある感染症については、エビデンスに基づいた有効性と安全性についての情報を国民に伝え、接種の機会を平等に与えることは、国民の健康を守るためにも非常に重要です。  コロナ対応に追われているからと、HPVワクチンの積極的勧奨を差し控えたままにしておくことは、HPVワクチンの信頼が不当に低いままとなり、それにより新型コロナワクチンの安全性に対しても必要以上の懸念を持たれてしまうことになりかねません。  HPVワクチンの積極的勧奨はすぐに再開できるわけではなく、差し控えを決定した副反応検討部会での検討が必要となります。検討する上でのエビデンスはこの8年の間に十分に蓄積されています。  HPVワクチンの問題は、HPVに限った問題ではなく、ワクチン全般への信頼、ひいては新型コロナウイルス感染症対策にまでかかわる問題です。国をあげてコロナに立ち向かっている今、その最大の武器がワクチンです。ワクチンへの信頼が求められる今だからこそ、HPVワクチンの積極的勧奨についての早急な検討再開が求められるのではないでしょうか。  ※記事の内容は2021年8月3日現在の情報に基づきます。 ———- ※1

https://www.mdpi.com/2076-393X/9/6/662 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000079.000016981.html https://kyodonewsprwire.jp/release/202103282912 ※2 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000079.000016981.html ※3 https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)31558-0/fulltext ———-

カテゴリー
社会問題

オリンピック終了、熱狂から覚めるとコロナで医療崩壊の現実

2021/8/10(火) 6:01 JBpress

 (筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)  東京オリンピックが終わった。日本の選手だけでなく、どの国の選手も懸命に頑張ったことは間違いない。いくら暇人とはいえ、すべての競技はとても見られるものではないが、見た競技はそれぞれに面白く拝見した。日本選手を懸命に応援もした。  この歳を重ねると物事に感動することは少なくなってしまうが、柔道の阿部一二三、詩の兄妹、レスリングの川井梨紗子、友香子姉妹がいずれも金メダルを取ったことには、ほっとした。どちらもオリンピック前から兄妹、姉妹での金獲得がメディアでも大注目されていただけに、相当なプレッシャーだったと思う。もしどちらかでも金メダル取れなかったら、あまりにもかわいそう過ぎるからだ。  卓球で水谷隼伊藤美誠の両選手が、中国ペアを破って遂に金メダルを獲得した瞬間は、妻と二人で大興奮した。女子のバスケットチームが銀メダルを取ったことにも驚かされた。  見ていて思わず笑ってしまうぐらい強かったのが、柔道女子78キロ級での濱田尚里選手だった。濱田選手の寝技を初めて見たのは2019年8月に東京で開催された世界選手権であった。相手が少しでも這うような姿勢をとると速攻で寝技に持っていって勝ってしまうのである。柔道には素人の私ではあるが、「何という寝技の強さか!」と感心し、すっかりファンになってしまった。今回の東京五輪では、この寝技がさらに進化していたように思う。  もう一人は、レスリング女子50キロ級の須崎優衣選手だ。4試合全てをテクニカルフォールで勝った。私が見たのは決勝だけだが、1分少々であっという間にフォール勝ちした。外国勢に70連勝中だという。この選手は開会式でバスケットの八村塁選手と旗手を務めた人だ。本当に強かった。  最終日の8月8日、静岡県の伊豆ベロドロームで女子オムニアム(自転車トラックレースの複合競技)が行われ、梶原悠未選手が銀メダルを獲得した。初めてこの競技をテレビで観戦したが、猛烈にきつい競技だと知った。  「スクラッチ」「テンポレース」「エリミネーション」「ポイントレース」と呼ばれる4つのレースを1日で行う。走行距離は、最初の2種目がいずれも7.5キロメートル、次の2種目は20キロメートルである。梶原選手は身長155センチだ。表彰式で金のアメリカ選手らと並ぶとその背丈は肩までしかなかった。小さい体でたいしたものだと感心した。  もちろんメダルを取った選手も取れなかった選手も懸命に頑張ったのだから、大いに胸を張って欲しい。 ■ “緩み”を生み出したオリンピック  だが、もうオリンピックに浮かれているわけにはいかない。眼前には、デルタ株による感染大爆発と医療崩壊という危機的状態があるからだ。東京の自宅待機者は1万7800人を超えている。1カ月余で18倍にも増加している。入院調整中の人も1万数千人になっている。感染したが病院には入れない人が、東京だけでも3万人を超えてしまっている。これはすでに医療崩壊が始まっているということだ。  だが国民の間にどれほどの緊張感があるだろうか。北海道での競歩やマラソン競技には、自粛要請などまったく意にも介さず、多くの人が観戦に訪れ、歩道は完全に密状態になっていた。インタビューを聞いていると他県から観戦に来た人も相当いたようだ。「無観客とか、観戦するなとか、政府のやることに私は怒っているのよ」と言う高齢女性もいて、あきれ果てた。開会式の際にも、閉会式の際にも国立競技場のまわりにも多くの人々が押しかけていた。  渋谷や新橋など東京都心の繁華街では、マスクを外し、路上で酒を飲む若者がますます増えてきている。テレビに映ったある30代の青年は「自粛要請なんか聞かない。自己責任で行動する」という身勝手な論理を並べ立てていた。感染すれば自己責任では済まなくなる、という簡単なことさえ理解していないようだ。  以前、ある医療従事者が、「勝手な無責任行動によって感染した人の面倒などみたくない気分になる」と嘆いていたが、その気持ちがよく分かる。  ただここまで緩みを招いてしまったのは、オリンピックの影響があるだろう。オリンピックが大丈夫なら、我々も出かけて大丈夫だろう、という気分をまん延させたことは否定できない。  政府分科会の尾身茂会長も、8月4日の衆院厚生労働委員会で、感染の急拡大について問われて、「オリンピックをやるということが人々の意識に与えた影響はある。われわれ専門家の考えだ」と述べ、オリンピックが気の緩みに影響しているとの認識を示した。 ■ 説得力のある説明をしてこなかった菅首相の責任は大きい  重症者しか入院させないという政府方針を今月初めに打ち出した時も、菅首相から説得力ある説明はなされなかった。その後、あまりの批判の多さに、「中等症患者で、酸素投与が必要な者、必要でなくても重症化リスクがある者」は原則入院と改め、入院の可否は、最終的には医師の判断で決まることとした。またこの方針の対象地域も東京都だけとした。  批判がなければ、対象地域も不明、判断基準の不明なままで中等症や軽症患者は切り捨てられていたということだ。  栃木県宇都宮市で新型コロナ対策の最前線で患者を診ているインターパーク倉持呼吸器内科の倉持仁院長が8月5日にTBSの報道番組に出演した際、次のように発言されていた。  「必要な医療を提供できないということは医師としての職責を放棄するような形になってしまう。ですから決してそういったことは許されるべきことではないですし、なにか一周回って“医師の判断で”って当たり前の結論になってきたので、やはり事態も過小評価と、今のリスク評価をきちんとして、今できる最善のことを大至急やってもらいたいと思います」  菅首相が記者会見をしても、心に響く言葉は一つも無い。記者の質問にもまともに答えたことがない。2回目の質問は遮られる。そもそも国民に何かを分かってもらおうという気がないのだろう。あのうつろな目は見ただけでも最近では嫌になってしまう。朝日新聞が8月7日、8日に行った世論調査結果が9日付の同紙に載っているが、菅内閣の支持率は28%で初めて3割を切った。菅首相のコロナ対策への取り組み姿勢を「信頼できない」が66%にもなっている。菅首相を見ていると28%でも多すぎるぐらいだ。  なぜもっと自分の言葉で医療の逼迫や危機状態を率直に訴えないのか。「国民の命と健康を守る」などという手垢のついた言葉ではなく、今、医療の危機的状態を率直に語るべきなのだ。それがないから信頼できないのだ。 ■ 政府や行政からの情報があまり少ない  私は埼玉県川越市に住んでいる。だが例えば、川越市の医師会がコロナ対策でどんなことをしているのか、まったく情報が無い。  住まいのすぐそばに、内科クリニックがある。私も通院したことがあるクリニックで、診察券も持っている。このクリニックは川越市のワクチン接種医療機関の一覧表にも載っていた。だが連絡をすると「限定的にしかやらない。筆坂さんは対象外です」と断られてしまった。私が73歳でCOPD(慢性閉塞性肺疾患)という基礎疾患を持っているのに、こういう対応をされてしまった。このことを同年齢の近所の女性に話すと、この人も同様の対応をされたらしく「頭にきた」と怒っていた。  このクリニックの医師が医師会に入会しているかどうか知らないが、こういう危機の時に社会に貢献できないような医療機関は批判されてしかるべきだろう。医師会に入会しているのなら医師会の責任でもある。市の指導力も問われている。  今、国内で感染している新型コロナウイルスはデルタ株にほとんど置き換わり、感染力が増している。だがどう恐ろしいのか、政府や行政からの発信を聞いたことがほとんどない。聞くのは、テレビに出演している医師や感染症の専門家の先生方からだ。  マスクについても不織布マスクが、一番効果があると言われているのに、いまだにウレタンマスクをしている人が少なくない。販売もされている。なぜ不織布マスクを着けるように政府や行政が言わないのか。鼻出しマスクも駄目だと言うことを強調すべきである。国会の委員会室を見ると鼻出しマスクをしている役人や政府分科会の中にもいる。  コロナ感染が始まり出した時期に、「3密を避けよう」ということが強調され、効果を発揮した。政府や行政はもっと情報発信を増やすべきである。

筆坂 秀世

カテゴリー
社会問題

テレ朝女性社員 五輪取材打ち上げ泥酔醜態の一部始終!ビル2階から転落し全治半年の大ケガ

2021/8/11(水) 13:50配信 日刊ゲンダイDIGITAL

やることがムチャクチャだ。  東京五輪の閉会式終了後、テレビ朝日スポーツ局のスタッフ10人が翌朝4時までカラオケ店で酒を飲んでドンチャン騒ぎをした上、酔っぱらった女性社員が雑居ビル2階から転落し、大ケガを負った。 フジテレビで相次ぐ“極秘情報”漏れ 局内は疑心暗鬼に陥り犯人捜しに躍起  五輪関連の番組を担当していたテレ朝スポーツ局の社員6人と、社外スタッフ4人の計10人は8日夜から9日未明にかけ、東京・渋谷の大型カラオケ店で五輪取材の打ち上げを開いた。 「先に帰ります」  9日午前4時前、女性は同僚にこう言い残して、1人で6階のカラオケルームを後にした。女性はなぜかエレベーターを使わず、非常階段で1階へ向かった。1階まで下りてドアノブに手をかけると、カギがかかっていて出られなかった。そこで女性は2階に戻り、窓を開け、店の前の看板をつたって地面に下りようとしたが、足元がおぼつかず、歩道にドスン。見事に転落した。  その場面を目撃した人から「ビルから人が落ちた」と通報があり、女性は駆け付けた救急隊員によって病院に緊急搬送された。女性は左足を骨折する全治半年の重傷だった。 ■参加者10人の性別、年齢は公表せず  テレ朝広報部はこう説明する。 「具体的に何時から始まったかという広報はしていません。参加者の性別、年齢などもお出ししていません。(ケガをした社員は)誤って店の外に転落したとしか、把握していません。処分? 現時点でお答えできるのは、事実関係を確認の上でしかるべき対応をします」  都内の五輪競技が無観客で開催される中、それを取材するスタッフが都の自粛要請と社内の宴会禁止のルールを破り、朝5時まで営業のカラオケ店で大人数でバカ騒ぎとは、見識を疑う。しかも身勝手な行動により、コロナ患者の受け入れ先を探すため、連日連夜、都内を駆けずり回っている救急隊員の手まで煩わせている。  テレ朝では、今年3月下旬にも報道番組のスタッフ4人が、東京・港区の本社内のスタッフルームで開催された送別会に参加し、近くの飲食店で行われた2次会にも出た。4月になって、4人全員のコロナ感染が判明している。  これまで散々、コロナ禍でルールに従わない政治家や省庁、五輪関係者を批判し、視聴者には不要不急の外出自粛を呼び掛けておきながら、その社員が自分たちは例外みたいに何もかも無視して好き放題とは、視聴者をバカにするにもほどがある。

カテゴリー
コロナ 社会問題

ワクチン接種完了していても「屋内でマスクを」 米CDCが助言

https://www.bbc.com/japanese/57993693

2021年7月28日 BBC NEWS JAPAN

米疾病対策センター(CDC)は27日、新型コロナウイルスの感染が拡大している地域について、ワクチン接種済みであっても屋内ではマスクを着けるべきとする助言を発表した。

アメリカでは現在、デルタ株が猛威を振るっている。米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、26日の新規感染報告は8万9418件だった。

マスクの着用は、アメリカではパンデミック開始当初から賛否両論があり、政治化されてきた問題のひとつ。

CDCの最新ガイダンスには、公共施設の屋内では、デルタ株の感染拡大を防ぐためにマスクを着用すべきと記されている。また、議論の的となっている学校での着用も推奨している。

ジョー・バイデン大統領はこの発表後、生徒にマスクを着けさせるのは「不便」だとしながらも、マスクをすれば「現状で最高の感染対策」をしながら同級生と一緒に学べると述べた。

アメリカではここ数週間、新型ウイルスによる入院患者の約97%が、ワクチンを受けていない人だった。

7月半ばの時点で、人口の半分近くがワクチンの接種を完了しているものの、未成年や免疫疾患があってワクチンを受けられない人に加え、多くのアメリカ人が接種に抵抗があると述べている。

専門家からは、ワクチンに関する誤情報の拡散が、接種への抵抗感につながっていると警告している。

また、ここ1カ月で特に感染が広がった南部諸州は、ワクチン接種率が最も低い地域だという。

ルイジアナ州では、7月初めからの感染率が、2020年初頭と同じ水準にまで達している。人口の3割しかワクチンを受けていないミシシッピ州やアラバマ州でも、流行が特異に拡大している。

フロリダ州では今週、毎日平均1万件以上の新規感染が報告されている。

(英語記事 Americans in virus hot spots told to mask indoors

カテゴリー
ワクチン 社会問題

妊婦のワクチン接種、流産のリスク変わらず…米CDCが安全性示すデータ確認

https://news.yahoo.co.jp/articles/48c92e5e3677450d6ddcccca27112135d1ccaa09

2021/8/12(木) 12:51 読売新聞オンライン

【ワシントン=船越翔】米疾病対策センター(CDC)は11日、妊婦に向けた新型コロナウイルスのワクチン接種について、流産のリスクは高くならず、安全性を示すデータが確認できたと発表した。その上で、妊婦に対して接種を受けるよう改めて求めた。

 CDCの研究グループが、妊娠から20週以内にファイザーモデルナ製を接種した約2500人のデータを分析した。接種していない妊婦と比べ、流産のリスクに差は見られなかった。副反応に関しても、妊娠していない人と異なる症状は確認されなかったという。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、5月時点で米国内でワクチンを1回以上接種した妊婦は23%にとどまる。インド由来の変異ウイルス「デルタ株」が猛威を振るう中、専門家から接種率の低さを危惧する声が上がっていた。

 CDCは妊婦の接種は「個人の判断による」との見解を示していたが、CDCのロシェル・ワレンスキー所長は11日の声明で「未接種の妊婦の感染が深刻になる中、接種の緊急性が高まっている」と強調した。

カテゴリー
社会問題

ペルーで流行「ラムダ株」恐怖の感染力…日本に五輪関係者が持ち込んでいた事実を政府ヒタ隠し

https://news.yahoo.co.jp/articles/9b97cc73f35d5d7568019908d4270268bda94637

2021/8/14(土) 14:22 日刊ゲンダイDIGITAL

 東京五輪はやはり新型コロナウイルスの流入を招いていた。変異株で南米ペルー由来とされる「ラムダ株」が先月上陸していた問題で、感染者が東京五輪関係者だったことが13日、判明した。案の定の展開に、菅政権はどう申し開きするつもりか。 IOCバッハ会長の凄まじい嫌われっぷり 広島訪問「警備費」県と市負担にネットで大ブーイング!  ◇  ◇  ◇  ラムダ株に感染していたのは30代女性。ペルーでの滞在歴があり、五輪開幕直前の先月20日に羽田空港に到着。大会の許可証を所持していた。陽性が判明したものの無症状で、そのまま宿泊療養施設に移送されたという。  厚労省も内閣官房も先月20日時点でラムダ株の上陸を把握していたにもかかわらず、ヒタ隠し。米メディアが今月6日に報じるまでシラばっくれ、厚労省は追認する形で国内メディアに公表したのだ。しかし、五輪関係者であることは伏せたままだった。医療ガバナンス研究所の上昌広理事長がこう言う。 「科学においては情報開示が世界のスタンダード。政府の新型コロナ対策を助言する専門家は真っ先に隠蔽体質を批判しなければいけないのに誰も批判しない。新型コロナ対策分科会による『都内の人流5割削減』との呼びかけにしても、その根拠も言わない。あらゆる情報をオープンにしながら対策を講じていくのが科学なのに、政府も分科会も真逆の姿勢です」  WHO(世界保健機関)はラムダ株を「注目すべき変異株」(VOI)に指定している。英国株やインド株(デルタ株)はワンランク上の「懸念される変異株」(VOC)。政府はラムダ株について「(日本でも)VOIとするかは、今後の検出状況を見て検討する」(厚労省専門家組織座長の脇田隆字感染研所長)との立場だが、悠長に構えている場合なのか。すでにラムダ株は世界44カ国にまで広がっており(13日時点)、その感染力は脅威だ。 ■「次の流行のシーズンにあたる冬場は要注意」と専門家  震源地のペルーでは昨年8月の初確認以降、年末から新規感染者数に占めるラムダ株の割合が増え始め、今年1月末から2月半ばにかけて4割まで上昇。2月末に2割近くまで下がったものの、再び急上昇し、3月末に7割を突破。4月末には9割を超えた。感染が拡大し始めてから半年足らずで従来株から置き換わったのだ。  日本の研究チームも先月28日に発表した査読前論文で、〈ラムダ株はワクチンによる抗体への抵抗力があるため、(ワクチン接種済みでも感染する)ブレークスルー感染を引き起こす可能性がある〉と警鐘を鳴らしている。 「ラムダ株がどの程度影響しているかは分かりませんが、ペルーは人口当たりの死者数が世界最悪です。日本は英国株やインド株を過小評価して大流行を招きました。次の流行のシーズンにあたる冬場は要注意です」(上昌広氏)  政府のスカスカ水際対策で英国株やインド株の流入を許し、感染拡大を招いた。また同じ轍を踏むことになるのか。

カテゴリー
社会問題

【東京五輪】菅政権が「最凶ラムダ株」上陸の発表を期間中に“隠蔽” 米メディアが猛追及

https://news.yahoo.co.jp/articles/e3196154049d23f2460bfc5792a3c8eafa5aeb84

2021/8/10(火) 18:30 東スポWEB

 日本政府が新型コロナウイルスで〝最凶〟とされるラムダ株の国内初検出の発表を東京五輪期間中に隠蔽したと米メディアが猛追及している。 【写真】空手着着用も…目が死んでいる菅首相  南米で猛威を振るうラムダ株は感染力や重症化リスクが高いうえに、ワクチンの効力を低下させるとして全世界で警戒感が強まっている。  そうした中で厚労省は6日に、ペルーに滞在歴がある女性が7月20日に羽田空港に到着した際に新型コロナ陽性が判明し、それがラムダ株だったことを発表した。  しかし米メディア「デーリービースト」は発表までの経緯を疑問視。「東京五輪の期間中に報道発表から故意に致命的な新型コロナ変異種の発表を外した」と追及した。同メディアによると、当該女性のウイルスがラムダ株だったことは7月26日に国際機関に報告されており、この事実を再三厚労省に問い合わせたが返答はなし。さらに「厚労省は、その情報をプレスブリーフィングやリリースから意図的に除外した」と隠蔽だと糾弾。  国立感染症研究所の職員の証言をもとに「私たちは24時間態勢で、電話をかけて警鐘を鳴らした。でも大臣が記者会見を予定していた日まで、厚労省は黙っていた。発表するつもりはなかった」と隠蔽を裏付ける証拠を突きつけた。  同メディアは「厚労省は、変異種を運んだ人物が空港で発見されて隔離されたため、国内に〝上陸〟していないと主張している」と厚労省がラムダ株は国内には流入していないと言い張っていると強調。「日本の厚労省は、与党政権のニーズに合わせてデータを隠蔽し、変更してきた長い歴史がある」と政権や同省の隠蔽体質を猛批判し、ラムダ株の日本での感染爆発の危険性に強い警戒感を示した。  ラムダ株は極めて危険とされているだけに、東京五輪の期間中を避けて国民への周知が遅れたとあれば、大きな波紋を呼びそうだ。

カテゴリー
社会問題

コロナ感染の妊婦入院できず…赤ちゃん死亡

https://news.yahoo.co.jp/articles/566dbb32effa072b3fa675af27f5dc5024d65c08

2021/8/19(木) 11:37 日テレNEWS24

千葉県で、新型コロナウイルスに感染し自宅療養中の妊婦が、出血があったため救急車を呼んだものの入院先の病院が見つからないまま自宅で出産し、その後、赤ちゃんが死亡していたことがわかりました。 千葉県などによりますと、新型コロナに感染し自宅療養中だった妊娠8か月の女性は、17日夕方に出血があり、救急車を呼んだということです。 かかりつけの産婦人科と相談し、入院できる病院を探しましたが見つからず、数時間後、女性は自宅で出産したということです。早産のため、赤ちゃんに緊急の処置が必要で病院に搬送されましたが、その後、死亡が確認されたということです。女性の命に別条はありませんでした。 千葉県・熊谷知事 「妊婦の方も含めてですね、入院をするべき方がなかなか入院できないという状況は、我々としても重く受け止めています」 千葉県の熊谷知事は、「産科のネットワークを構築した上で、県がどのようなサポートができるか検討したい」と対応を検討する考えを示しました。