Categories
感染症ニュース

新型コロナ、19年夏に発生していた可能性 研究

https://www.jiji.com/jc/article?k=20200610040179a&g=afp&utm_source=yahoo&utm_medium=referral&utm_campaign=link_back_edit_vb

2020年06月10日15時40分 時事ドットコムニュース

【ワシントンAFP=時事】中国・武漢市内の病院の訪問者数、および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状に関する同市からのインターネット検索数の急増から、2019年8月には新型コロナウイルスの流行が始まっていた可能性があることが分かった。米ボストン大学とハーバード大学の研究チームの予備調査で示唆された。(写真は資料写真)

米コロナ、8月下旬に「第2波」 10月までに死者17万人―米大予測

 査読のある専門誌にはまだ掲載されていない今回の研究論文は、比較的新しい分野である「デジタル伝染病学」に基づいている。
 ボストン大のイレーン・ゾイジー氏率いる研究チームは、2018年1月から2020年4月に撮影した武漢市の衛星写真111枚を分析。また、中国のインターネット検索エンジン百度で特定の症状が検索された頻度も調べた。
 研究チームによると、武漢市内の病院の駐車場に止められた車の数が「2019年8月から急増し始め」、その数は「2019年12月にピークを迎えた」という。
 また百度については、「せき」の検索数は例年のインフルエンザの流行に合わせて増加していたため、よりCOVID-19に特有の症状とされる「下痢」の検索数を調べた。この結果、8月に増加がみられたことが分かった。これはこれまでのインフルエンザの流行時期にはみられなかった現象であるとともに、せきの検索データとも異なったという。
 COVID-19では呼吸器の症状が最も一般的とされているが、今回の研究は下痢が「市中感染において重要な役割を果たした可能性がある」と示唆している。
 研究チームは、今回のデータが新型コロナウイルスと明確に関連していることを確認することはできなかったが、別の研究結果を支持するものであると結論付けている。著者らは「今回の調査結果は新型コロナウイルスが中国南部で自然発生し、武漢市で集団感染が起こった時には既に広まっていた可能性があるとする仮説を裏付けるものである」と指摘している。【翻訳編集AFPBBNews】

Categories
感染症ニュース

デング熱、空前の大流行 コロナ影響か シンガポール

https://news.yahoo.co.jp/articles/867ca7530a1a1baa59c0af8ca324f1bc351d4fab

7/27(月) 7:13配信 時事通信社

 【シンガポール時事】新型コロナウイルスの感染拡大が続くシンガポールで、熱帯感染症のデング熱も大流行し、感染症の「二重苦」に見舞われている。 【写真特集】デング熱  医療現場への負担は重く、政府は両にらみで対策に当たる。デング熱流行には新型コロナも影響したようだ。  国家環境庁は「今年のデング熱感染者数は2013年に記録した過去最多(2万2170人)を上回るだろう」と警告した。高熱や関節痛を発症し、重篤化すると死に至る。死者は過去最多の25人を超える勢いだ。  気温が高めでウイルスを媒介する蚊が繁殖しやすかったほか、新型コロナもデング熱まん延を助長。人口約570万人の小国で、新型コロナ感染者は累計5万人規模に上る。「コロナ対策で多くの人が在宅勤務となった結果、蚊に刺される機会が増えた」との指摘がある。作業が休止した建設現場に水たまりができて蚊が繁殖した可能性もある。  政府はデング熱対策として、殺虫剤散布を拡大。今月15日からは蚊の繁殖を見逃した世帯や建設事業者への罰則を強化した。特殊な細菌に感染させた雄の蚊を放つ作戦も展開している。交配した雌の卵のふ化を妨げる効果があるという。  ある医師は、インフルエンザの流行やヘイズ(煙害)も発生すると「四重苦」となり、医療現場が危機的に逼迫(ひっぱく)すると警戒を呼び掛けている。 

Categories
感染症ニュース

コロナの死亡率「世界でこんなに違う」藻谷氏の考察

https://news.yahoo.co.jp/articles/c39efcac0ab073b2b9d123d20b69ab3f9da69538

7/27(月) 9:30配信 毎日新聞

 国ごと、地域ごとの感染状況に著しい差のある、新型コロナウイルス。加えて注目されるのが、死亡率(=陽性判明者数に対する死亡者数)にも、場所によって極端な違いがあることだ。このウイルスの、本当の怖さはどのようなものなのか。地域エコノミストの藻谷浩介さんが読み解きます。【毎日新聞経済プレミア】  ◇「Go To キャンペーン」は大丈夫か  新型コロナウイルスの感染は、地球規模で拡大中である。毎日新たに陽性と判明する人の数は、20万人を超えるようになった。ちなみに、その3分の1にあたる6万人以上が米国民だ。日本国内でも、これまでで最悪だった4月中旬と同程度まで再び増加している。  そんなところに、東京都の発着を除くとはいえ、「Go To キャンペーン」など仕掛けて大丈夫なのだろうか。官邸の発想を代弁すれば、最近の陽性判明者には重症化しにくい若い世代が多いこともあり、全国を見渡して考えれば医療機関にはまだまだ余裕がある、ということなのかもしれない。入院者数(ホテルなどへの隔離含む)は、一番多かったゴールデンウイークのころの3分の1で、しかも多くの県ではゼロか数人だ。毎日の新規陽性判明者数も、人口当たりに直せば世界平均よりはるかに低く、主要7カ国(G7)の中では引き続き最低水準なのである。  他方で、この機会に大都市の接待型飲食店を訪れた客が、地方にウイルスを持ち帰る危険は否めない。それに次ぐのが、大都市からの客が地方の接待型飲食店にウイルスを持ち込む危険である。そこに実効的な歯止めをかけないまま観光交流を促進することは、3月中旬に欧米からの帰国者を隔離せずに家に帰してしまったのと同様、後々振り返って政府の自爆行為だったとされるかもしれない。  ただ、6月末から新規陽性判明者数が再び増加しているのに、死亡者数の累計は、1000人直前でとどまっている。4月の場合、中旬に陽性判明者が急増し、下旬には死者数も急増を始めたのだが、現在は、感染者に若者が増えていることもあり、まだそうした連動は見られない。  ◇世界各国の死亡率に著しい差  そこで図では、世界の各国の最新状況を比較してみた。横軸に人口100万人当たりの陽性判明者数の累計を取り、縦軸に同じく人口100万人当たりの死亡者数の累計を取る。国により著しい水準の差があるので、両軸とも対数目盛りとした。一目盛りごとに桁が1、10、100、1000と上がっていく。  ジョンズ・ホプキンズ大学のデータを見ていると、陽性判明者増加から死亡者増加までは1~2週間のタイムラグがあるので、陽性判明者数累計を6月27日時点、死亡者数累計を7月11日時点と、2週間ずらした。後者を前者で割ると死亡率が試算される。図には、死亡率0.1%の水準、1%の水準、5%の水準、10%の水準を、斜めの線で示している。  図のとおり、死亡率には十数%から0.1%未満まで、極端な差がある。だが、陽性判明者数の大小と死亡率の高低には、明確な関係がない。たとえば、陽性判明者数が多い中にも、死亡率の高い国、低い国がある。しかしどの国が世界のどの地域に属するかという区分を加えると、地域ごとにある程度まとまった傾向があることが見えてくる。  日本は図の中央やや左にあるが、目盛りを対数ではなく通常の表示にすれば、左下に張り付くことになる。右上に行くほど、数十倍増しで事態は深刻だ。日本の死亡率は5.4%と試算される(陽性判明者数と死亡者数のカウント時点が、2週間違うことに注意)。ちなみに米国も同じく5.4%で、ドイツが4.7%。世界平均は5.7%だ。  ◇欧州の死亡率は高く、湾岸諸国は低い  図の右上には欧州の旧西側諸国が固まり、そこに米国など南北米州の一部の国が交ざる。英国やスウェーデン、イタリア、フランス、スペインなどでは、先進医療体制を持ちながら、死亡率は10%前後と高い。理由は、医療崩壊というよりも介護崩壊だろう。早い段階に、おそらく低賃金の介護関係労働者を介して介護施設にウイルスが侵入したことが、死者数を急増させた。  それに対しペルシャ湾岸諸国では、感染拡大が深刻な割に死亡率は低い。当特別連載の第6回で書いた通り、外国人建設労働者の寮などでウイルスが蔓延(まんえん)しているが、頑健な若い男性が中心であるためか、亡くなる人は少なめだ。もっと極端なのがシンガポールで、死亡率が0.1%を大きく切っている。本当にそこまで低いのか、さすがに筆者には疑問に思える。  米国、カナダ、ブラジル、メキシコなど、南北米州には感染拡大が急速に進み、かつ死亡率も高めの国が目立つ。これらでは、大都市の貧困層をウイルスが直撃しているものと懸念される。同じ都市貧困問題は、アフリカでも深刻なはずだが、検査体制の問題もあるのだろう、図の右上には出てこない。例外が、アフリカでは相対的に豊かな南アフリカで、かなり右上に上がってきた。他にも、PCR検査(遺伝子検査)が行き渡ればこれくらいの位置にくる国があることだろう。  ◇ポイントを絞った自粛とは  死亡率に立ち返れば、日本の水準は世界平均や米独に近いわけだが、検査率が相対的に低く、未発見の無症状感染者や治癒者も多いはずで、本当はもっと低いのではないか。実態はどの程度なのか。  一つの参考事例は、横浜港に停泊していたクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の数字だ。乗客乗員3711人の全員が検査を受け、陽性判明者は20%、発症者は10%。死亡者13人は、陽性判明者の1.8%だった。  同船の重症者の受け入れを全国の病院が渋った当時に比べ、現在では各地に治療のノウハウが蓄積している。また船内で確認されたウイルスと、現在日本の市中にあるものでは遺伝子に変異が生じているが、最近の研究では、新型コロナの変異は毒性の違いを生んでいないという。乗客の多くが高齢者だったことも考えれば、若者も交ざる一般市中での本当の死亡率も、同じく2%を超えないだろう。  とすれば今後の日本では、検査が行き渡るほど死亡率は今の水準から下がる。高齢者の多い一般病棟や介護施設へのウイルス侵入を防ぐことができれば、陽性判明者がさらに増えても、死亡者は以前ほどは増えないという状況が続くのではないか。しかしそこに油断せずに、だが過度に怖がらずに、他人同士が密集した中では話さないなど、ポイントを絞った行動自粛を続けていくことが、当面の間、重要であり続けるだろう。

Categories
感染症ニュース

日本のコロナ死亡者数はなぜ少ない? BCGに続く「ファクターX」もう一つの有力候補

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200727-00039188-bunshun-soci

7/27(月) 6:01 Yahoo!ニュース 文春オンライン

 世界を恐怖に陥れた新型コロナウイルスだが、その被害の大きさは国や地域によって差がある。

【画像】「ファクターX」に注目する山中伸弥教授

 感染者数が400万人を超えてなお拡大を続けるアメリカや、170万人を超える感染者を出しながらも「経済優先」を宣言した末に大統領自身が感染してしまったブラジルのように、深刻な被害を受けている国がある(ブラジルの7月25日時点での感染者数は228万7000人)。

 しかしその一方で、日本や韓国、タイ、台湾、ベトナムのように、今のところ比較的軽微な影響で推移できている国や地域もあるのも事実だ。

 京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長は「文藝春秋」6月号で、日本人に感染者数や死亡者数が少ない背景には、まだ解明できていない要因「ファクターX」があるはずだ、と述べて話題になった。

 この意見に賛同する東北大学大学院医学系研究科の大隅典子教授は、同僚で厚労省クラスター対策班の押谷仁教授の話や世界中で日々発表される論文や報告、さらには信憑性のあるブログなど、あらゆる最新の情報を元に、「ファクターX」は何なのか――を検証した。

「国によってこれほど違うのは、公衆衛生的な努力だけではなく別の要因があるはず」

 と考える大隅教授が、まず興味を持ったのが「BCG」だった。

BCG推奨国では死亡者数が少ない

 結核予防のために接種するこのワクチンは、日本では1951年に施行された結核予防法により、いまでは生後1歳未満での接種が推奨されている。

 大隅教授が最初にこの説を目にしたのは、あるブログだった。そのブログ開設者・JSato氏は「BCGの接種が行われている国では感染の広がりが遅い」と指摘する。

 これを見た時点では半信半疑だった大隅教授だが、独自に調べてみると、新型コロナウイルス感染症による死亡例が多いスペイン、イタリア、フランス、アメリカは確かにBCG接種に積極的ではなく、逆に死亡者数の少ない中国、韓国、日本はBCG推奨国だという事実に行きあたった。

 しかも、たとえば同じヨーロッパで隣接する国同士でも、BCGへの対応の違いで死亡者数に大きな差が出ていることも見えてきたのだ。BCG接種プログラムを持たないドイツでは人口100万人当たり107人の死亡者が出ているのに対して、東隣のポーランドの死者数では同じ条件で37人と圧倒的に少なかった(人数は6月25日時点、以下同)。

「BCGワクチンで免疫が強化される」という報告

 同様のことはスペインとポルトガルの間でも見られる。100万人あたりの死亡者数は、BCG接種プログラムを持たないスペインの606人に対して、国境を接する隣国ポルトガルは151人と顕著な差が見られたのだ。

 BCGと新型コロナウイルス感染症とのあいだに相関関係が見られることは分かった。しかし、なぜ結核菌という「細菌」を対象としたワクチンが、新型コロナという「ウイルス」に効果を示すのか。

 さらに調査を続けた大隅教授は、オランダの研究チームが見つけたある事象に辿り着く。BCGワクチンを受けた人の血液を調べたところ、免疫細胞にある「増強」を指示するスイッチがONになったままだった、という報告だ。子どもの頃にBCG接種で強化された免疫が、その後も高い状態で維持する仕組みが働いている可能性を示唆するもので、発見したオランダの研究チームはこの仕組みを「訓練免疫」と名付けている。これが正しければ、日本をはじめとするBCG推奨国での新型コロナによる重症化率が低いことの説明が付く、と大隅教授は指摘するのだ。

もう一つの有力候補「ワルファリン感受性」

 もう一つ、大隅教授が興味を持つファクターXの有力候補に、「ワルファリン感受性」がある。ワルファリンとは血液を固まりにくくする作用を持つ薬で、世界的に使用されている。

 しかしこのワルファリン、国や地域によって効果の出方に差があることが以前から指摘されてきた。大雑把に言えば、アジア系の人には効きやすく、アフリカ系の人は効きにくい。同じアジアでも日本を含む東アジア系は最も効きやすく、南・中央アジアの人には効きにくい。ヨーロッパの人の効き方は、東アジアとアフリカの中間くらい――とされている。

 この傾向が、新型コロナの重症化率の傾向と重なるのだ。

 ワルファリンの効き方は、遺伝子によって左右される。つまり、ワルファリンが効く遺伝子と効きにくい遺伝子があり、これが新型コロナの重症化に何らかの関与をしている可能性が浮上してくるのだ。

 大隅教授は「大胆な推測」としてこう述べる。

「ワルファリンが効きやすい遺伝子のタイプの人は、ワルファリン服用の有無にかかわらず、血栓ができにくい体質を持っており、このことが新型コロナウイルス感染症の重症化を防ぐことに繋がっているのかもしれない」

「ファクターX探し」は世界中の研究者が取り組んでいるが、現状では「相関関係」であって「因果関係」までは到達していない。最近では「結局のところ、最大のファクターXはマスク着用率の差なのでは?」という意見も増えてきた。しかし、大隅教授は「生物学的要因」の追及をあきらめない。生物学的なファクターXが明らかになれば、予防法や治療法の開発に役立つことは明らかだからだ。

ファクターXの存在が免罪符にはならない

 しかし大隅教授はこうも言う。

「BCGやワルファリン感受性がファクターXだったとしても、それは免罪符にはならない」

 国や地域、人種などという大きな括りでの特徴はあるにせよ、感染するか、重症化するかは人それぞれ。最終的には、一人ひとりが感染しないように注意することに勝る取り組みはないのだ。

 公衆衛生の学者は「木を見ずに森を見る」ことが仕事だが、森を構成する木、つまり、社会を構成する人間は、たとえ周囲の人たちは元気でも、自分が感染してしまったのでは意味がない。その意識を確かに持った上での知的好奇心として、ファクターX探しに注目すべきだろう。

 なお、「文藝春秋」8月号および「文藝春秋digital」掲載の「 ファクターXを追え! 日本のコロナ死亡率はなぜ低い 」では、BCGワクチンの“株”による効果の違いや、かつて東北大学が行った介護施設におけるBCG接種と肺炎発症率の関係など、大隅教授が論拠とする調査や研究の詳細も紹介されている。

Categories
感染症ニュース

新型コロナが弱毒化しているという根拠はない

https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200726-00189953/

忽那賢志 | 感染症専門医 7/26(日) 12:27

この記事は図を多用して解説されています。ぜひ参照元をご覧ください。

東京都を中心に新型コロナ患者数の増加が止まらない状況が続いています。

国内の感染者数は3万人を超え、新規感染者数も減る気配がありません。

一方で、感染者数は増え続ける中で重症者数や死亡者数が増えないことについて「ウイルスが弱毒化しているため」あるいは「夏は免疫力がアップするから」だという言説が散見されますが、今のところは特に根拠はありません。

根拠のない楽観論に惑わされず、必要な対策を続けていきましょう。

入院者数は増えているが重症者数は増えていない

確かに現在の入院患者数の1105人、そして重症者数16人となっており入院者数と比べても重症者数の数は多くありません。

例えば緊急事態宣言時のピーク時には入院者患者数1413人に対し、重症者数は105人となっていました。

比率からすれば重症者数は今は少ない状況と言えます。

しかし、これをもって「ウイルスが弱毒化した」と言えるのでしょうか?

結論から言うと、言えません。

以下にその理由を述べます。

第1波では診断されていなかった軽症例が診断されている

これまでに指摘されているように、第1波ではPCR検査体制が十分に整備されていませんでした。

第1波では、感染者数の増加に検査数が追いつけず、ピーク時には検査陽性率が30%を超えていました。

この時点での1日当たりのPCR検査数は320件と、患者数の増加に追いつけていない状況でした。

つまり、新型コロナに感染しているのにPCR検査が実施されずに診断に至らない事例が相当数あったものと考えられます。

軽症例については当時「4日ルール」などもあり検査の敷居がやや高かったため、重症例の方が優先的に診断されていた実態があります。

おそらく第1波のときも若者を中心に軽症者や無症候性感染者はたくさんいたのでしょう。

さて、現在はと言いますと、1日当たりのPCR検査数は3600件と10倍ほどに増加しており、検査陽性率も6%台を維持しています。

つまり第1波と比較すると、軽症例を含めて感染者が適切に診断されているものと考えられます。

第1波では氷山の一角しか診断できていかなった新型コロナが、今では検査体制の強化によってもう少し感染者の全体像が見えるようになってきている状況と考えられます。

これが、第1波と比べて感染者全体に占める重症者数が少ない理由の一つです。

極端な例では、ベトナムは現在までに400例以上の新型コロナ症例が診断されていますが、これまでに死亡者はいません。

これは、軽症例や無症候性感染者も徹底的に診断を行い、速やかに隔離をしていることから、重症化しやすい高齢者などに感染が広がらず封じ込めができているためです。

当然ですが、ベトナムの新型コロナウイルスが弱毒化しているわけではありません。たぶんベトナム人は誰もそんなこと言っていません(ベトナム人全員に聞いたわけではありませんが)。

重症者は遅れて増加してくる

2つ目の理由は重症化のタイムラグです。

第1波を振り返ってみますと、新規患者数と重症者数のピークには約2週間のタイムラグがあることが分かります。

これは、しつこく毎回言っていますが、新型コロナの特徴的な経過によるものです。

新型コロナウイルス感染症は発症してしばらくしてから急に悪化します。

典型的には、発症から7~10日経ってから悪化してきます。

新型コロナ患者の多くは、発症から1週間前後で診断されていますが、高齢者や基礎疾患のある人はより短期間で診断される傾向にあるため、重症者が増えてくるのは診断時よりも後になります。

つまり、重症者のピークは今よりも確実に遅れてやってきます。

今、重症者数や死者数が少ないのは、まだ重症化する人がしていないだけであり、これから重症者や死亡者は遅れて増えてくるものと思われます。

重症化しやすい年齢層の患者数も、若い年齢層から遅れて増えてきている

今も感染者の中心は20代・30代の若い世代ですが、全体的な患者数の増加に伴い高齢者の感染者も増えてきています。

重症化するリスクの高い60代以上の感染者だけの推移を見ても、明らかに感染者は増加しています。

先程のグラフ「7月8日時点の国内における年齢別の新型コロナ患者の致死率」によると、60代の4.9%、70代の14.6%、80代以上の28.7%の方が亡くなっています。

今後、重症者数や死者数が増加することは避けられないでしょう。

この状況がこのまま続くとどうなるでしょうか。

東京と同じ様に、当初流行の中心が若者であったフロリダの状況が参考になるかもしれません。

フロリダ州では6月から流行がさらに加速し、7月に入ってからは1日平均10000人以上が新型コロナと診断されています。

当初、流行の中心は若い世代であり、症例が増加しても死亡者は増えていませんでした。

しかし、高齢者の感染者が増加するにつれ、死亡者も増加傾向にあり、現在は1日に100人以上の方が亡くなっています。

東京都で人工呼吸器を使用している新型コロナ患者は7月16日から上昇傾向に転じました。

今後、しばらくは増加が続くものと考えられます。

このまま重症者数がどこまで増え続けるのかは私たちの行動にかかっています。

第1波のときよりも治療法が確立してきている

最後にもう一つ、第1波のときとの大きな違いがあります。

それは現在は新型コロナの治療法がある程度確立してきているからです。

例えば、第1波のピークが過ぎた5月7日に国内ではレムデシビルという抗ウイルス薬が使用可能となりました。

これはランダム化比較試験というエビデンスレベルの高い臨床研究で効果が証明された治療薬です。

また、これに加えて、デキサメサゾンというステロイド薬も生存率を改善させることが分かりました。

新型コロナで起こる凝固異常についての理解も進み、抗凝固薬も使用されるようになってきました。

こうした治療の進歩によって重症化する患者が減っている可能性は十分にあるでしょう。

実際に診療をしていて、これまでは人工呼吸管理になっていたようなハイリスク患者が、早期に治療を開始することで人工呼吸管理を回避できるようになってきたという実感があります。

新型コロナウイルスが弱毒化している根拠はない

というわけで、現時点で重症者数が少ないのは、

・第1波のときよりも軽症例を含めて診断されている

・ハイリスク患者が重症化するのはこれから

・治療法が確立してきている

ためであり、新型コロナウイルスが弱毒化しているからではありません。

現時点では新型コロナウイルスが弱毒化している科学的根拠はありません(ウイルスは常に変異しますので今後その可能性はあります)。

弱毒化してるから感染しても大丈夫と思っていると、自身が重症化したり大事な家族に感染を広げることになりかねません。

また、感染し回復した後も後遺症で悩まされている方も多くいらっしゃいます。

決して「感染しても大丈夫」な感染症ではありません。

もう半年以上コロナと戦い続けて、皆さん疲れが出ていると思いますが、引き続き適切な感染対策を続けていきましょう。

最後にメディアの方へのお願いです。

現代社会では病院経営やビジネスの専門家が小学生の自由研究のような「ぼくのかんがえた、さいきょうのコロナりろん」を思いつきで述べることは誰にも止められません。

しかし、こういう根拠薄弱な理論を視聴率目当てにメディアが取り上げてもてはやすのは害でしかありません。

メディアにはしっかりと科学的吟味を行った上で、公益に資する放送を行っていただきたいと思います。

Categories
感染症ニュース

「テレワーク70%・時差通勤、体調の悪い方は出勤させない・PCR検査を勧める」徹底を 西村大臣が“経済界へのお願い”

https://news.yahoo.co.jp/articles/abc0d506c1b325ff3caec15d3bfdb39992522e68

7/26(日) 18:39配信 AMEBA TIMES

東京や大阪、愛知などでの新型コロナウイルスの感染拡大を受け、西村康稔経済再生担当大臣は26日夕方の会見で「経済界へのお願い」として、「業種別ガイドラインの徹底」「テレワーク70%・時差通勤」「体調の悪い方は出勤させない 相談し、PCR検査を勧める」「大人数での会合は控える」「接触確認アプリCOCOAの導入促進」の5点を挙げ、協力を呼びかけた。

Categories
感染症ニュース

山中教授の「コロナで10万人以上亡くなる」発言を検証 専門家「すでにピークアウト」

https://news.yahoo.co.jp/articles/2a9cb5dae0a2ebcb8989e4594d89ca319c6bd104

7/22(水) 5:56配信 デイリー新潮

 50人超えの次は100人超えが続き、ついには200人超えの連続。東京都の新規感染者数はまさに指数関数的に増えているかのようで、これでは不安になるというものだ。ところがこれらの数字、自然の確率からはかけ離れ、操作されていた可能性が濃厚という。 コロナの日本人死亡率はなぜ低い 山中伸弥教授が名付けた“ファクターX”に迫る  ***

重症者用ベッドには余裕が

 東京都内における新型コロナウイルスへの新規感染者数は、7月13日こそ119人だったが、12日まで4日連続で200人を超えた。しかも9日に224人、10日に243人と過去最多を更新したとあれば、不安を抱くなというのが土台無理な注文であろう。  例によって、テレビのワイドショーがこの数字をもとにさらなる不安を煽っている。たとえば、13日のテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」では、白鴎大学の岡田晴恵教授が、 「いまは対策をそんなに打たれてませんので、減る要素がないんですよね。(中略)月内に500人を超すかなっていう」  と発言。コメンテーターで同局の玉川徹氏も、 「緊急事態宣言を出すか出さないかといったら、早く出すしかないです」  と言い切った。いま、こうして扇動するのはワイドショーにかぎらない。12日には立憲民主党の枝野幸男代表もこう述べた。 「なにもせずに放置している状況は許されない。少なくとも東京を中心にして緊急事態宣言を出すべき客観的な状況だ」  専門家でもないのに、なにをもって「客観的」と判断したのか不明だが、経済に壊滅的な打撃を与えたあの2カ月に戻ろう、という声が各所で上がりはじめているのだ。国際政治学者の三浦瑠麗さんは、 「過去の緊急事態宣言を事後的に検証しないまま、外形的に同じ状況だから過去と同じことをすべきだ、と主張するのは間違っていますが、それをメディアも野党もやってしまっています。そもそも4、5月の緊急事態宣言は、医療崩壊を避けるのが目的でしたが、現在、重症者用のベッドはまったく埋まっていません」  と看破する。実際、全国の新型コロナによる重症者数は、4月30日には328名だったが、7月12日時点では34名にすぎない。

山中教授の見解

 それでも日増しに空気の重苦しさが増すなか、次のような発言はダメ押しにならないか。10日、日本循環器学会が、京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授と、8割おじさんこと北海道大学の西浦博教授の対談動画を公開したが、そこで山中教授が披露したのは、こんな見解だった。 「アメリカの状況を見ていると、(西浦)先生が予想されたことはまったくその通りで、ロックダウンをして、日本なんかくらべものにならないぐらいの対策をやって、それでもいま大変なことになっている。300万人近くが感染され、13万人くらいは亡くなっているわけで、イギリスとか見ても5万人近い方が亡くなっていて、イギリスの人口は日本の3分の2くらいだと思いますので、それを見ても、このウイルスの潜在的な恐ろしさといいますか――」  そして、日本についてこう断じたのである。 「対策をとらなければ、日本でも何十万人という方が亡くなってしまうというのは、もう間違いないことだと思うんですね。(中略)日本はなにも対策をしなければ、いまからでも10万人以上の方が亡くなる。そのくらい、このウイルスはまだその辺りにいっぱいいるんだと。この事実は、僕たちはまだ絶対忘れてはいけないことだと、僕は思っているんですが」  山中教授もノーベル医学・生理学賞こそ受賞しているが、感染症やウイルスの専門家ではない。厳しい対策を望む声が日増しに高まるが、大阪大学の核物理研究センター長、中野貴志教授は次のように言い切るのだ。 「今回の感染は7月9日前後にピークを迎えています。いつ感染したかで考えると、推定感染日を2週間前とすれば、6月25日前後にはピークアウトしていたことになります」

自然減の傾向が強い

8府県の新規感染者数の推移予測

 中野教授の発言は、自身が考案した「K値」の計算にもとづいている。これは大阪府も感染対策に用いている指標で、直近1週間の新規感染者数を、累積感染者数で割って算出する。これまで先にK値で予測を立て、以降の感染者数を見ると、数字はほぼ予測どおりに推移してきたという。 「K値はスピードメーター。感染拡大率が変化する速度を測ります。ボールを投げたとき最も速いのは投げた瞬間で、その先は頂点に向かって上がっている最中でも、勢いはどんどん落ちる。その勢いの落ち方は一定です。新型コロナの感染者数も、同様に感染拡大率が一定の勢いで落ちると仮定すると、感染拡大期の最初の8日間ぐらいを見れば、その後の数が予測できます」  そう説明する中野教授は、各国の感染状況をK値で予測してきた。その結果、「仮定」は「観測事実」になったと胸を張るが、その目にいまの感染状況はどう映るのだろうか。 「私は中国由来の流行を第1波、欧米由来を第2波と分けており、いまは第3波ですが、前の二つをまとめて第1波とするなら、第2波、または小流行と呼んでもいい。そのスタートは6月22日ごろ、推定感染日だと6月8日ごろで、第1波のくすぶりではなく新たな流行です。東京の新宿のあとを追うように、同時期に全国で感染者が急増しているので、発生源は新宿の可能性が高い。潜伏していたものが表に出てきたのなら同期しません」  しかし、勢いは落ちる。 「新型コロナの感染者数は、日本をはじめアジア諸国では自然減の傾向が非常に強い。世界中を見渡しても指数関数的に増え続ける国はありません。また日本における感染拡大率の落ち方は、どの地域も同じです。累計感染者数の推移を対数グラフにすると、高さは違っても、形は都市部でも地方でも同じなのです」  もっとも、東京都の今後の感染者数だけは予測しにくいというのである。 「K値は感染者数をもとに計算するので、検査態勢が大幅に変わると影響を受ける。夜の街への集団検査が混ざると、感染者数の波をとらえるのが難しくなる」

7月9日前後にピークアウト

 そこで集団検査が行われていない大都市圏の8府県、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、兵庫、京都、福岡について、K値を使って新規感染者数の推移を予測してみた。すると先述のように、7月9日前後が山の頂になり、ピークアウトしている、という結果が導き出されたわけだ(表参照)。  そして、東京についてもこう結論づける。 「人口が多く、集団検査を行っていない板橋、練馬、豊島、世田谷、渋谷、大田、港の各区の総計で7月初めまでの累計感染者数の推移を見ると、先の8府県とほぼ同じになります。新宿区からの絶え間ない感染者の流入はあっても無視できる程度で、8府県と同様、7月9日前後にピークを迎えた可能性が高いです」  また、京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授は、 「これから高齢者に広まったら危ない、と言われていますが、6月中旬から感染者が増え、すでに1カ月以上経っています。前回の第1波のように死亡者数が増えるなら、重症患者も増えているはずですが、それが増えておらず、感染者は依然、若者中心です」  と説く。今回は医療の逼迫状況に至らないという読みで、そうであれば「緊急事態宣言を出すべきだ」といった発言は、いかに的外れであることだろうか。

ブレーキが利かず

 山中教授の発言について、日本医科大学特任教授の北村義浩医師は、 「10万人以上が亡くなる、というのは、早めに警鐘を鳴らしたのではないでしょうか。みんなが心配して対策を講じればそれでいいと。山中先生の声は各方面に届きますから」  と、性善説に立つが、経済学者でアゴラ研究所所長の池田信夫氏は、 「10万人以上亡くなる、という話を山中教授は“間違いない”などと断定的に述べていますが、どういう計算でそうなるのか全然わからない。西浦教授の数字をそのまま受け入れているのも気になります」  と、懸念して言う。 「山中教授は、なにもしなければ40万人が死ぬ、でも対策したからそうはならなかった、と対談で繰り返していますが、現実には日本で亡くなったのは千人弱。40万人死ぬと言ったが35万人だった、ならわかるけど、40万人が千人で、それは対策のおかげだというのは、常識ではありえない。しかも西浦教授は、自分も前のめりだったと反省しているのに、そこの問題意識が山中教授には全然ありません」  池田氏はそう言って、次のように締めた。 「第1波ではワイドショーなどが非常に大きな話ばかりを取り上げ、西浦教授ら専門家も大きな数字で恐怖を煽り、みなパニックになった。それを反省したからこそ専門家会議を潰して新たな分科会を設け、その意見にワンクッション置くために別途、有識者会議を作ったはず。ところが、その最有力メンバーの山中教授が非常に偏って、ブレーキが利かなくなっている」 「週刊新潮」2020年7月23日号 掲載

Categories
感染症ニュース

「PCR検査せよ」と叫ぶ人に知って欲しい問題

ウイルス専門の西村秀一医師が現場から発信

https://toyokeizai.net/articles/-/349635

2020/05/12 6:00 大崎 明子 : 東洋経済 解説部コラムニスト

「日本はPCR検査の数が少ない」「PCR検査を拡大せよ」との批判の声が高まり、政府はPCR検査数を1日8000から1万5000に増やすとしたが、それでも実際にはなかなか増えなかった。安倍首相は5月4日の記者会見では「地域の医師会にもご協力をいただきながら、全国で20カ所、東京で12カ所のPCRセンターを設置」「東京などの大都市圏を中心に対策を徹底していきたい」と述べた。しかし、PCR検査については多くの難しい問題のあることが指摘されている。そこで、国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンター長の西村秀一医師へのインタビューを行った。ウイルスセンターは国内では数少ない臨床ウイルス学の研究施設であり、全国の医療機関から依頼を受け、ウイルス分離や血清学的検査を行っている。PCR検査の現場をよく知る立場からの問題提起である。「感染者数をごまかしたいから、政府は検査しない」という話がSNSなどでは広まっている。だが、現場の話からはそうした見方とは別の厳しい現実が見えてくる。

特効薬がない中で、重要なのは命をつなぐ治療だ

――PCR検査では偽陰性(感染しているのに検出されない)、偽陽性(感染していないのに検出されてしまう)の問題があって、わかることには限界があるとおっしゃっていますね。

検体採取の仕方がまずいと「ある」ものも「ない」ということになる。だからPCR検査をやって陰性だから安心だということにはならない。職場から「陰性の証明を持ってこいといわれた」という話があるが、そのときに陰性でも翌日に陽性になることもある。つまり、検査を受けた人にとって「陰性」という結果の使いみちはないんです。

PCRの感度が高すぎることによる弊害もあって、偽陽性の可能性もある。PCR検査は検体内のウイルスの遺伝子を対象にしている。本来の感染管理では生きているウイルスの情報が必要だが、それを得ることができないためだ。そうすると、ウイルスの死骸にたまたま触れて鼻をさわったというようなときも陽性になりうる。本当に陽性であっても、生きているウイルスではなく人に感染させない不活性ウイルスかもしれない。

――そうすると、陰性だったから安心して活動できる、陽性だから隔離しないといけない、という判断には使えないということですね。

だから、PCR検査をする目的はなんですか、と問いかけたい。

インフルエンザのように効く薬があってすぐに処方してくれるということなら、やる意味はあるでしょう。「陽性」という結果は役に立つことになる。そうではない現状ではやみくもな検査は意味がない。

いつまでもやってくれないという話が出ているが、症状が悪化したらCTを撮ったり呼吸を見たりして肺炎の治療をきちんとやっているわけです。特効薬がない中では命をつなぐ治療が重要だ。

もしコロナだったら家族にうつしたくないから知りたいという要請はわかる。東京では院内感染が起きているので、医者が心配だというのも共感します。ただ、インフルエンザ並みに市中に感染が広がっているわけではない。全体としてコロナにかかっている人はごくわずかな中で、とりあえずコロナかどうか確認したいから検査をするということは、PCR検査に関わる資源に限りがある以上、無理な話だ。また、陰性だから安心できるというものではなく、防御はいずれにしても必要だ。

検査を担う技師の育成は一朝一夕にできない

――検査資源という意味ではどこがネックになっているんでしょうか。政府は保健所が業務過多なので、医師会と協力して地域外来・検査センターなどを増やすと言っています。

増やしたとか増やすとかと言っているところは検体を採取するところであって、そこで検査ができるわけではない。それが送られてきて実際に検査する地方の衛生研究所がもうギリギリの状態だ。今でも人材も設備も不足しているのに、細いパイプの中に無理に大量の検体を流し込むような状況になる。特に検査技師の問題は大きい。

――多くのメディアでは検体採取を行う保健所の話ばかりで検査の現場の話はあまり出てきません。検査をする技師には専門性と熟練が必要だそうですね。

マイクロリットル単位で何種類もの試薬を順番を間違えずに加えるという根気と技術力の必要な仕事だ。キャラクターの問題もある。私は長く見てきているし、部下を適材適所で配属しなければならない立場なので、向いている人と向いていない人の違いがわかる。長期間根気よくコツコツと取り組める人でないと向かない。自信満々であったり乱暴な雑な人がやるとダメ。それに手先が器用でないとできない。

大本のボトルを汚してしまって全部陽性になったという事故もこれまでいろんなところで聞いている。空中にウイルスが飛んで他の検体に落ちてしまうようなことがないように部屋を分けて、管理に細心の注意を払うことも必要だ。昔からPCRはたいへんだといわれる。その技術を持つ人の養成は一朝一夕にはいかない。

テレビのコメンテーターになっている医師たちが、「(簡単ですよとは言わないまでも)私も研究で何百回となくやりましたが」とか、「人をかき集めて訓練すればできますよ」などと言っているのを聞いて、正直、腹が立ちますね。現場を知らない、完全に上から目線。「検査技師なんて」という一段下に見る感じも透けて見える。

自分の研究のために大した時間の制約なくやっている先生たちと現場の技師の置かれている状況は違う。現場には次から次へと検体が送られてきて時間に追われて、かつ、失敗が許されないという緊張を強いられながら仕事している。

無理をすると「検査崩壊」になる

――日本のPCR検査件数が海外よりも少ないという批判が多いのですが、専門家会議の資料でも、「制度的に、地方衛生研究所は行政検査が主体。新しい病原体について大量に検査を行うことを想定した体制は整備されていない」とあります。

そう。システムとしてつくってこなかった。だが、今、海外と比べて少ないとか、これまで何やってたんだとか、過去を振り返って騒いでばかりいる。ないものねだりではなく、今あるものとこれから先を考えなくてはならない。そこで、検査の人材養成はそんなに簡単じゃないですよということは言っておかないといけない。無理すれば、今年の冬にもういちど大流行したときに検査が追いつかず「検査崩壊」が起きる可能性もある。

――先生は「日経メディカルオンライン」でRNA抽出キット(PCR検査の前段階としてRNA遺伝子を抽出するもの)がすべて輸入品で入手が難しいことを指摘なさっていました。

その問題は非常に危機感があった。世界中で検査しているためなのか原因はよくわからないが、最もよく使われていた欧州の製品の供給が細くなり、アメリカのものも入ってこなくなった。ここへきて国内企業ががんばって作って配りはじめたので、だんだん解消されていくのかもしれない。ただ、それも検査を増やすペースによる。

――RNA抽出からDNAの増幅・検出まで全自動で行う検査機器の開発も進んでいるようです。

全自動で検査できるPCRの機種は限られていて現状ではどこの施設でも使えるわけでもない。主要なメーカーはアメリカ企業なので急に大量に購入しようとしても供給を受けられるのかわからない。値段が高くて簡単に購入できないという問題もある。今各地の衛生研究所にある機器の多くは新型インフルの大流行のあとにようやく配備されたものだ。また、全自動だからと際限なく検査すれば、同じように試薬やそのほかの資材の不足が生じる。

全自動では技師のミスによる偽陽性がたくさん出るということはなくなるだろう。だが、感度が高いことによる偽陽性の問題や検体採取の難しさによる偽陰性の問題など、PCRの根本的な問題はまったく解決しない。むしろ「全自動」という言葉が独り歩きして、医師を含む一般の人たちが無謬(むびゅう)の検査のような印象を持つことが怖い。

――簡易検査も盛んに喧伝されています。

最近は、イムノクロマト法で抗原検査なら簡単で15分でできるという話が出てきた。それでよしとするなら簡単だけれど、実はその感度がPCRに比べたらすごく低い。ほとんど陰性になって、それで済まそうというのは悪魔の誘惑だ。それで出た結果を従来のPCRによる結果と同じと見るんですか、という問題が生じる。その結果の解釈と使い方をあらかじめ決めておく必要がある。それがないとこれも混乱の源になりかねない。

検査資源に限りがある中でどう戦うのか

――新型コロナの感染が長引き、特効薬やワクチンの開発には時間がかかることを前提に、資源が限られた中でPCR検査をどこまでやるのかを決めておく必要があるということですね。

流行が落ち着いてきている今の状況であっても、手術前には新型コロナの陰性確認を全例でやりたいとか、出産する人の全員を検査したいとか、気管切開する前は必須だとか、発熱で来た人には全部やれとか、現場の医師はそれぞれの立場から要求を出してきている。

気持ちはわからないわけではないが、現実的には線引きして優先順位をつけないと大変なことになる。輸入も国産も含めてどこまで資材を準備できるのか。今、弾を撃ち尽くしてしまったら、冬に大流行したときに撃つ弾がないということになる。

さらに、検査を増やして陽性になった人たちをどうするのか、今でも感染症に対応できるところが少ないため、軽症者は自宅待機とかホテル療養とかいっているわけで、そこをどうするのか。

少なくとも症状が出ていない人を調べまくるというのはまずい。症状の出ていない人がうつしまくっているといわれるが、本当にどれほどそうなのか。今、症状が出た人のクラスターを追う中で、発症した人がうつす割合は2~3割だというのに、そうした状態にあるとは思えない。特効薬がない中で重要なのは治療なのに、検査ばかりして偽陽性も含めて全部治療に回すということになれば、まさに院内感染によるものとは別の意味での医療崩壊が起きる。

発症前の感染者がどんどんうつしているという話をする人も、そうしたデータを示していない。データがない中で誰がどういう根拠で決めているのかわからない。検査でいえば具体的なところは国立感染症研究所が決めているということだけはわかるが、どういう議論をして何を根拠に検査に関わる基準を決めているのかがわからない。これを教えてもらいたいと思っても、あるいは不都合があるからここは変えたほうがよいとお願いしたくても、われわれには何もできず切ない思いをしている。

例えば、問題なのは退院基準のこと。ウイルスが検出されないのが2日以上続かないといけないっていうでしょう。もう症状はよくなっているのにウイルスの遺伝子が20~30コピーという少ない水準が長く続いている人が少なからずいると聞いている。たぶん、もうウイルスの残骸しか残っておらず人にうつすリスクはほとんどないと思われるのに退院できない。退院基準を先に述べたPCRの陽性判定の定義で決めているので、そうならざるをえない。

検査の目的をはっきりさせてほしい

――基本的な疑問なんですが「日本はPCR検査で出遅れた」「発症者のクラスター対策では不十分だ」という声があっても、人口対比の死者数は欧米より2桁少ないです。これから増えると主張する向きもありましたが、そういわれてからもう1カ月以上がたちました。

死亡者に関していえば、日本ではちゃんと把握をしている。肺炎で亡くなる人はそんなに増えていない。今のところ何らかの交絡因子(因果関係に対して、間接的に影響する変数)もあるもしれないが、超過死亡(感染症の流行の際に過去の統計などから予想される死者数を実際の死者数が上回る部分)で見ても死亡者はほかの年よりも低いくらいであると聞く。終わりのところで拾い上げた数字で見てそうなのだから、検査が少ないので感染のほとんどを拾い切れていないという言い方はおかしい。

あらためて検査の目的は何かということを、はっきりさせてほしい。臨床(患者の治療)のためなのか、感染管理をしたいというのか、疫学調査をしたいというのか。感染管理のためであれば、大量の活性を持ったウイルスの排出を見なければならないが、それを見ていないという意味では限界がある。疫学的な調査に使えという話であれば、それこそ大学の研究でやってもらえばいいくらいのもので、通常の検査の場にとってはものすごい負担になってくるうえ、偽陰性もむちゃくちゃ含んだデータの意味ってなんなのか、ということになる。

「うつさないためのマスク」が効果を上げている

――なぜ、欧米に比べて日本の死者数は少ないのでしょうか。

私はマスクが効いていると思いますね。感染が始まった初期段階で、日本人の多くがマスクをしていたが、欧米では人々は状況がひどくなるまでマスクを着けなかった。

重要なのはマスクと換気。一般の人が着けているマスクは防御には不十分だが、ウイルスを人にうつさないという意味ではすごく効果がある。極端な話みんながマスクをしている状況なら怖いことは何にもない。

院内感染で手洗いが不十分だと批判する人がいるが、私はあれは間違っていると思う。みんな手袋もしているし手洗いだってしている。院内感染の原因は換気が不十分か防御のマスクが機能していないか。防御のためのマスクの着け方は非常に大事。問題はエアボーン(空気感染)を認めていないこと。長距離の空気感染はないけれど2~3メートルの空気感染はある。

空気感染というとみんなが怖がると思って、「大きな落下するような飛沫での感染」ばかり言うけれど、科学用語では口から呼気とともに出る粒子や飛沫の形で出るものはすべてエアロゾルと呼ばれ、これを出させないことが重要だ。そこで「うつさないためのマスク」。

一般の人たちに対してドアノブに触るなとかいうけれど、ドアノブで感染している証拠なんかない。手洗いが一般論として大事なのは間違いないが、細菌とコロナウイルスとは違うのに、コロナウイルスを細菌のように語る間違った情報が拡散して変な方向で「怖れすぎ」が跋扈している。

過去の記事ですが、重要なので引用しました

Categories
感染症ニュース

9価のHPVワクチン、国内で初めて正式承認

https://news.yahoo.co.jp/articles/b367ba77ae1157b06e1381c4745809404dee9c2f

7/21(火) 14:51配信 BUZZ FEED JAPAN

子宮頸がんの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)への感染を予防するHPVワクチン。加藤勝信厚生労働相は7月21日、9種類のHPVへの感染を防ぐMSD株式会社の9価ワクチン「シルガード9(組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン)」の製造販売を正式に承認した。【BuzzFeed Japan Medical / 岩永直子】 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会が5月20日付けで承認を了承していた。 日本ではこれまで2価ワクチン、4価ワクチンが承認されており、9価ワクチンの承認は国内初となる。 日本では、MSDが2015年7月3日付けで製造販売の承認申請をしていたが、薬の審査としては異例の長さの約5年もかかり、承認が大幅に遅れた形になる。 今後、公費で接種できる「定期接種」としてうてるようにするため、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で審議される見込みだ。

日本でだけ承認遅れ 定期接種化の要望も

日本ではこれまで、子宮頸がんになりやすいハイリスクな16型、18型への感染を防ぐ2価ワクチン(サーバリックス)とその二つの型に加え、良性のイボのような尖圭コンジローマを起こす6型、11型も防ぐ4価ワクチン(ガーダシル)しか承認されていなかった。 今回、承認された9価ワクチンは4価ワクチンがカバーする4つの型に加え、やはりがんになりやすい31、33、45、52、58の5つの型も含めた9つの型への感染を防ぐ。 子宮頸がんの90%以上を防ぐとして先進国では主流となっていたが、日本でだけ承認が遅れていた。 9価ワクチンについて、日本産科婦人科学会は国に繰り返し早期承認と定期接種化を求めており、自民党の「HPVワクチンの積極的勧奨再開を目指す議員連盟」(細田博之会長)も早期の定期接種化を求めている。 MSDはそのほか、4価ワクチン「ガーダシル」の男子接種への拡大を承認申請している。

Categories
感染症ニュース

新型コロナ治療薬、販売価格は25万円 ギリアド社のレムデシビル

https://this.kiji.is/650588679974945889

2020/6/30 15:25 (JST) 福井新聞社

米製薬会社ギリアド・サイエンシズは6月29日、新型コロナウイルス感染症の治療薬として日本政府が特例承認したレムデシビルについて、先進国政府向け販売価格を1人当たり2340ドル(約25万円)と発表した。

 同社はこれまで米国や日本に無償提供してきた。日本の特例承認は人工呼吸器などを用いる重症患者が対象。日本の厚生労働省によると、新型コロナの入院治療費は公費負担しており、レムデシビルについても引き続き患者の費用負担はない。

 ギリアド社は「購買力の低い先進国にも手の届く価格に引き下げた」と説明している。7~9月の生産量のほとんどは米国政府に供給する。

 レムデシビルは、初期臨床試験で入院患者の回復期間を短縮すると評価されたが、死亡率の改善は確認されていない。

 ギリアド社によると、瓶1本の価格は390ドル。1人分を6本と想定している。米政府は7月生産予定の全量、8~9月生産予定の9割に当たる計50万人超の治療分を確保したと発表した。

 発展途上国向けに低価格で供給できるよう、他社と協力してジェネリック薬(後発薬)の生産も進めるとしている。