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コロナ 社会問題

自宅療養死18人、50代以下が半数 首都圏4都県で

https://news.yahoo.co.jp/arti cles/4353710a29d85e8d3afe8e097b5cfbaf71f0f04b

2021/8/21(土) 18:50 朝日新聞DIGITAL

 新型コロナウイルスの感染爆発で自宅療養者が全国で約9万7千人に上り、東京、埼玉、千葉、神奈川の首都圏4都県で7月以降、少なくとも18人が自宅療養中に亡くなっていたことがわかった。50代以下が9人で半数を占め、8月に入って15人と急増している。各地で病床が逼迫(ひっぱく)し、入院して治療を受けることが困難になっており、自宅療養者の急変へのケアが急務となっている。 【写真】7~8月の自宅療養者の推移  7月に緊急事態宣言が出ていた東京、沖縄に加え、8月2日から宣言が適用された大阪、埼玉、千葉、神奈川の6都府県に、7月1日以降に把握した自宅療養中の死者について尋ねた。「自宅療養中の死者」の定義は各都府県で異なるが、自宅で死亡が確認された場合に加え、自宅療養中に容体が急変し、救急搬送されたケースも含めて朝日新聞で集計した。  最多は東京都の9人。7月には1人だったが、8月に急増しすでに8人が死亡。9人のうち50代以下が6人を占め、基礎疾患のない30代男性もいた。今月12日には夫と子どもと3人家族全員がコロナに感染した40代の女性が死亡。女性は糖尿病を患い、自宅で倒れているのを夫が発見したという。  神奈川県では7月に60代と40代の男性2人が、8月には60代女性が死亡。埼玉県では8月に入って40代と50代、70代のいずれも男性3人が相次いで死亡した。50代男性は10日に感染が判明し、基礎疾患があったが、軽症のため自宅で療養していたところ、15日朝に心肺停止の状態で見つかった。  千葉県でも8月に60代男性2人と80代女性の計3人が死亡した。80代女性は7月末に感染し、無症状だったため自宅で経過観察中だったが今月10日夕に血中酸素飽和度が80%台まで低下。県が入院調整を始めたが、入院先が見つからないまま、その日の夜に死亡が確認された。  第4波の3月1日~6月20日に自宅療養中に19人の死者が出た大阪府と、沖縄県は7月以降の自宅療養中の死者はいないと回答。ただ、沖縄県では今月8日に入院調整中だった40代男性が自宅で死亡しているのを保健所職員が発見した例があったという。

朝日新聞社

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コロナ 対策 社会問題

「コロナを普通の風邪に」大阪府がその第1歩を国に要望

https://news.yahoo.co.jp/articles/720073267cc56174a76fb614bdb4bbe18d7307cb

2021/8/19(木) 6:45 maga.jp

大阪府の定例会見が8月18日に実施され、「抗体カクテル療法」について言及。吉村洋文知事は、「外来でも投与できるよう国に要望する。軽症の方が外来で治療を受けて自宅に戻る仕組みができれば、目指すべき姿の第1歩になる」と話した。 【資料】抗体カクテル療法の推進体制 この治療法は7月19日に特例承認され、「ロナプリーブ点滴静注」とも呼ばれている療法。陽性患者に対し、「カシリビマブ」と「イムデビマブ」の2つの点滴薬を同時に投与することで、新型コロナウイルス感染症の働きを抑えるもの。 現時点では自宅療養や高齢者施設での処方はできないが、吉村知事は「この療法は本来、宿泊療養や自宅療養の患者に使い、入院を防ぐ薬剤。外来であれば医者も看護師もいて、厚労省の理解も得られる。国には外来に絞って(処方できるよう)要望をしようと思っている」と話す。 外来での処方が可能になれば、将来的にはコロナに感染した場合でも、近所の医療機関で薬剤の投与などの治療を受け、治るということも可能になり、1年半前には脅威だったコロナが「普通の風邪」になる転機になることにも期待ができる。 これに関して吉村知事は、「普通の診療所やクリニックで、コロナの検査だけでなく治療ができるようになれば、状況はかなり違ってくる。しかし、この療法は点滴なため、数や適用範囲、薬価の問題もある。(普通の風邪になるのが)目指すべき姿だし、(外来で処方できるようになれば)第1歩になると思う。実際、経口治療薬ができればそういった社会になると思う」と期待を込めた。

取材・文・写真/岡田由佳子

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コロナ ニュース 対策

大阪2256人感染 吉村知事 全重症病床使用率50%超えれば、大阪・都心の動きを止めます…

https://news.yahoo.co.jp/articles/519857501bbe3922fc209e92d07d4c83bb742161

2021/8/21(土) 19:30 テレビ大阪

大阪府は21日、新たに2556人が新型コロナウイルスに感染したと発表しました。1日の感染者数は4日連続2000人を超えました。年代別で最も多いのが20代の793人、次いで30代の430人、10代の398人です。また亡くなった人は2人、重症者の患者は新たに基礎疾患のない30代男性2人を含む計175人で、重症病床使用率は29.8%。軽症・中等症の患者は計1844人で病床使用率は72.4%となっています。自宅療養者は13107人、また未就学児97人、就学児62人の感染も確認されています。 4日連続2000人超 感染爆発の大阪… 吉村知事は20日、自身のツイッターに「重症化予防を目指し、様々な取組みをしてます。命を守る最後の砦である重症病床が足りなくなれば、救える命が救えなくなります」と投稿。また「全重症病床の使用率が50%を越えれば、大規模商業施設やイベント等、大阪における都心の動きを止めます。やりたくありません」と記し、重症者の増加傾向に危機感を示すとともに、感染対策の徹底を訴えています。

TVOテレビ大阪

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コロナ 対策 社会問題

自宅療養の「コロナ患者」急増で医師会の尻に火 全国ベースの見守り体制を実現するには

https://news.yahoo.co.jp/articles/0d9d89447c9bee7a724da0dd0aaced12acfb793a

2021/8/22(日) 6:00 デイリー新潮

限りある医療を効率的・効果的に

「イベルメクチンの使用許可を認めていただく段階に来ている」と発言した東京都医師会の尾崎治夫会長

 政府は8月17日、新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言の対象地域を13都府県に拡大し、期間を9月12日まで延長する方針を決定した。ワクチン接種が進んでいるものの、デルタ株による感染急拡大に歯止めがかからない状況が続いている。

 重症者数が直近1ヵ月で約4倍に増加し、連日のように過去最高を更新している。第5波ではワクチン接種が進んでいない40~50歳代の重症化が急増しており、医療現場はこれまでに経験したことがない緊張感に包まれているという。  政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は「東京都における人流を5割減少すべき」と提言したが、かけ声だけでは実効性はもはや上がらなくなっている。  東京都の医療関係者が「制御不能となり、もはや災害時の状況に近い局面を迎えている」として、「医療の逼迫で多くの命が救えなくなる」という強い危機感を示したのに対し、「責任を放棄するな」などの批判が寄せられているが、筆者は「現状を災害と捉え、災害医療の中で日本がこれまで積み重ねてきた知見をコロナ対策に取り入れれば、事態の打開が図られるのではないか」と考えている。  災害医療とは、地震や豪雨、大規模事故などの発生で、対応できる医療能力をはるかに超える医療対象者が生じた際に行われる急性期・初期医療のことである。災害の現場では、1人の患者にかける医療の質よりも、「いかに多数の患者に対して、限りある医療を効率的・効果的に提供できるか」が要求される。  日本のコロナ対策はこれまで平時の発想の下、新興感染症に対応できる少数の医療従事者に過重な負担がかかってきたが、災害医療となれば、あらかじめ指定された拠点病院だけではなく、感染症などの専門知識が乏しい開業医などで組織される医師会も応急措置に参加するのが当然の義務ということになる。「災害医療へのモードチェンジ」とは明言していないが、東京都では医師会が自宅療養者を支援することになり、これまで関与が乏しかった開業医らにも協力要請が出された。  これは、新型コロナウイルス感染が判明しても保健所からの健康観察などの連絡がなかなか届かないため、「病状がいつ急変するかわからない」との不安が広がっていることへの対応が狙いである。これまで「対岸の火事」だった医師会の尻にも、ついに火が付いた形だ。

全国ベースの見守り体制を実現するには

 保健所に代わって医療機関が健康観察を行うため、往診専門医や訪問看護師に加え、医師会のメンバーも電話やオンラインでの診療に応じることで、24時間の見守り体制を拡充するというわけだ。しかし、訪問医療に対応できる医師へのアクセス情報が不十分であることから、医師会は早急に、患者にとって不可欠な情報を提供できる体制を整備する必要がある。  現在、全国の自宅療養者は7万人を超えている。新型コロナウイルス感染者が中等症以上に悪化する比率は20~30歳代で約1%、40~50歳代で約2%と小さい(8月14日付「ダイヤモンドオンライン」)。兵庫県尼崎市で約200人のコロナ患者の自宅療養にかかわってきた長尾和宏医師は、こう語っている。 「24時間いつでも連絡できるよう、患者に自分の携帯電話の番号を教えて、必要なら往診するなどの体制をつくったことで、コロナ患者全員を回復させることができた」  このような取り組みに各地の医師会の有志たちが協力してくれれば、全国ベースの見守り体制は早期に実現できるのではないだろうか。  政府は13日、中等症の自宅療養者らが酸素吸入が必要となった場合に備える「酸素ステーション」の整備を速やかに行う方針を示した。だが、喫緊の課題は新型コロナウイルス感染者の重症化を防ぐ手立てを講じることである。  菅首相は16日、新型コロナ患者の重症化を防ぐ「抗体カクテル療法(点滴薬)」に関し、宿泊療養施設での投与を進める考えを示した。命に関わるアナフィラキシーという副反応のリスクなどから入院患者に限られていた適用範囲が拡大されたことは、一歩前進したといえる。さらに、医師会のバックアップがあれば自宅療養への早期適用も夢ではない。  厳密な安全性よりも医療資源の有効活用が優先される災害医療の観点から、抗体カクテル療法以上に重症化を防ぐ効果が期待できるのはイベルメクチンである。  イベルメクチンはノーベル医学・生理学賞受賞者の大村智・北里大学特別栄誉教授が開発に貢献した抗寄生虫薬(錠剤、安価)である。「新型コロナウイルスの人間の細胞内への侵入を妨害し、増殖を抑制する効果がある」との報告が発展途上国で相次いでいるものの、厚生労働省は、「日本と同じような薬事審査の水準を持つ国での承認がない限り、特例承認の対象にはならない」との見解を墨守している。大村氏から直接依頼を受けた医薬品メーカーの興和は、新型コロナウイルス感染症の軽症者1000人を対象にイベルメクチンに関する臨床試験を近く開始する予定だが、実用化の時期は明らかになっていない。  しかし、医師が「適応外使用」という形で患者に処方することは現状でも可能だ。適用外使用とは、すでに国が承認している薬を別の効能のために使用することだが、副作用が起きた場合、国の救済制度の対象にならないという難点がある。  前述の長尾医師も「イベルメクチンは非常に効果がある」としており、東京都医師会の尾﨑治夫会長は13日、「医療体制が逼迫した状況下ではイベルメクチンの使用許可を認めていただく段階に来ている」と訴えた。政府は副作用に対する補償を引き受け、災害の現場で活躍する医師が後顧の憂いなくイベルメクチンを処方できるようにすべきであろう。  コロナ対策の医療対策に充当される「緊急包括支援交付金」は約1兆5000億円が計上されているにもかかわらず、かなりの部分が未消化となっている。これらの資金を活用すれば、災害時でも十分機能するコロナ対策が早期に実現できるのではないだろうか。 藤和彦 経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。 デイリー新潮取材班編集 2021年8月22日 掲載

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コロナ 社会問題

クラスター防げず、 肩落とす女性園長…感染拡大で休園の保育施設は全国100か所超

https://news.yahoo.co.jp/articles/1e66e577ff42fe3ef6cefdafe41294bcbe203876

2021/8/22(日) 1:17 読売新聞オンライン

 新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大は、保育施設にも影響を及ぼしている。各園とも園児の感染防止に知恵を絞るが、全国100か所超が休園に追い込まれた。自宅療養中の子どもの看病などで保護者が出社できなくなるケースが増えており、支援に乗り出す企業もある。 【写真】2回目のワクチン接種後の副反応、予想以上に年代間で差

クラスター

 「感染対策を尽くしているつもりだが、園児が発熱すると、コロナ感染ではないかとヒヤッとする」。0~5歳児約190人が通う「墨田みどり保育園」(東京都墨田区)の市川麻美園長(70)は硬い表情で語った。(写真:読売新聞)

 園児が教室を移動する際は手洗いをさせ、食事中は机を板で仕切って飛沫(ひまつ)を防ぐ。玩具は広範囲に置き、集まって遊ばないようにしている。二酸化炭素濃度の測定器も設置し、こまめに換気する。しかし、周辺の保育施設で休園が相次ぎ、気が抜けない状態が続く。

 厚生労働省の集計では、12~18日の1週間で、10歳未満の新規感染者は7738人と過去最多。第4波のピーク(5月13~19日、1613人)の5倍近くになった。今月5日時点の休園数も、第4波(最大56園)の約2倍の14都道府県108か所に上る。

 東京都東部の保育園では今月上旬以降、園児と職員約10人の感染が明らかになり、クラスター(感染集団)化した。女性園長は「最初に感染が判明した職員は常時マスクをし、食事も園児と別の場所でしていた。保健所から『濃厚接触者はいない』と言われていたのだが……」と肩を落とす。

 都北区保健所の前田秀雄所長(66)は保育施設での感染拡大の理由としてデルタ株を挙げ、「感染力が強いため、手洗いや換気などの対策をしていても、子ども同士で感染が広がってしまうことも多い」と指摘した。

 12歳未満はワクチン接種の対象外。厚労省は2歳未満のマスク着用について、窒息などの危険性があるとして推奨しない。保育施設で他の園児と距離をとって行動するよう教えても理解が難しく、十分な感染対策が取れないこともある。

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コロナ 対策

ワクチン接種後に亡くなった人々は何をしていたのか?具体例を紹介

https://news.yahoo.co.jp/articles/a0c76c59e819101aab5fc4c4baab4b9ffa8c9c7e?page=1&fbclid=IwAR1pzX1eUx_AOP2kvfFjD6gt7UZpGkVLGz3zZClZnga0x0QvEPl0yHrgtxk

2021/8/19(木) 7:05 NEWSポストセブン

 国内でワクチンを1回以上接種した人数は、人口のほぼ半分になった。その一方、ワクチン接種後に亡くなった人も増え続けている。彼らが残した「データ」を読み解くと、いままで当たり前にとっていた行動が危険になる可能性を示唆している。 【写真】ワクチン接種後に注意すべき行動とは?

「6月下旬に関西に住む70代の母が1回目のワクチンを接種しました。副反応の心配はあったけど母には基礎疾患がなく、『ワクチンさえ打てば、ずっと会えていない孫に会える』との一心で接種を決めたようです。それがまさか、こんなことになるとは……」  憔悴した表情で振り返るのは、関東在住の30代・A子さん。不安な気持ちを抑えてワクチン接種に臨んだ彼女の母親だが、接種から2週間後に左半身に違和感が生じた。 「さらにその1週間後には吐き気と発熱、頭痛の症状が出ました。顔の左側が痙攣するような症状も出たので近所の病院を受診したら、総合病院への入院をすすめられました。そこで精密検査したら、母の脳内に5ccの出血が見つかりました」(A子さん)  幸い手術は不要と診断され、血圧コントロールと静養を経て2週間で退院したが、A子さんはいまも気が気でない。 「健康で活動的だった母が急に脳出血を起こしたのは、ワクチンの影響ではないかとの疑いが消えません。担当医は『接種と病気の因果関係はわからない』と言うのみですが、家族としては不安でいっぱいです。担当医からは2回目の接種をすすめられたけど、2回目の方が副反応が大きいとの話も聞くので、いまはまだ尻込みしています」(A子さん)  2回目の接種をするかどうか、A子さんの母親はまだ決めかねている。A子さんやその母親のように、ワクチンに不安を抱く人たちをさらに困惑させたのが、プロ野球界で生じた死亡例だ。スポーツ紙記者が語る。 「7月上旬にワクチンを接種した中日ドラゴンズの木下雄介投手が亡くなりました。27才でした。球団は家族の意向で死因を非公表としていますが、木下投手は1回目の接種から数日後に激しいトレーニングをしている最中に倒れ、心臓の周辺から生じた何らかのトラブルが脳に達して、人工呼吸器を外せなくなったそうです。  ワクチンと死亡の因果関係は不明とされますが、もちろん基礎疾患もない屈強なプロ野球選手が接種後に亡くなったことは球界だけでなく世間に衝撃を与えました」  実際、ワクチン接種後の死亡者は増え続けている。8月4日に開催された厚労省のワクチン分科会副反応検討部会では、接種後に死亡が報告された事例が7月30日までに919人に上ったことが明かされた。  内訳はファイザー製912人、モデルナ製7人だが、部会に参加した専門家はその大半について、「接種との因果関係は評価できない」と判断した。つまり、ワクチン接種と死亡の関係について、何もわかっていないということだ。  ちなみに7月25日までにファイザー製を接種して亡くなった828人のうち最も多かった死因は心不全で、虚血性心疾患、肺炎、出血性脳卒中、大動脈疾患が続いた。また接種後の死亡報告事例の約7割が、接種から1週間以内に集中していた。  注意したいのは、「接種後の過ごし方」だ。血液内科医の中村幸嗣さんが指摘する。

「ワクチンを打つことでショック状態などになって直接的に亡くなるケースは少ないですが、接種が死につながる引き金になる可能性は否定できません。特に持病がある人や高齢の人などは、ワクチンの副反応による体調不良が最後の一押しになってしまう恐れがあります。  さらに気をつけてほしいのは、ワクチン接種後の行動に問題があり、接種で弱った体にさらなる負荷をかけてしまうケースです。自覚症状のないケースもある。そうしたリスクを避けるためにも、ワクチンを接種するすべての人は、接種前後の過ごし方に注意を払うべきです」  実際にワクチン接種後に亡くなった人々は、何をしていたのかを調査した。

無酸素運動が心臓に負担をかける

 死亡者の事例を調べると気づくのは、中日の木下投手のように「運動」をしていて急変した人が多いことだ。5月上旬に1回目のワクチンを打った73才男性は、その4日後にゴルフをしている最中に意識を失った。まさか熱中症になるほど暑いシーズンではまだなかった。 「倒れていた男性を友人が発見して救急要請し、ドクターヘリで搬送しましたが、救命医療の甲斐もなく男性は息を引きとりました。死因は心筋梗塞とされ、やはりワクチンとの関係は不明だそうです。男性には糖尿病と高血圧などの基礎疾患がありました」(全国紙社会部記者)  5月中旬には、1回目の接種から10日経過した67才男性がテニスをしている最中に卒倒し、心肺停止状態になってこの世を去った。男性は接種後に筋肉痛や体の調子の悪さを訴えてだるそうにしていて、かろうじてウォーキングができる程度だったという。もちづき耳鼻咽喉科(東京都豊島区)院長の望月優一郎さんは、「接種後の運動」に警鐘を鳴らす。 「ファイザー製のワクチンは心筋炎を起こすリスクがあり、そのことは添付文書にも記載されています。接種によって心筋炎が生じると心臓が弱くなるうえに血栓ができやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞などを発症しやすくなります。  特に接種後にダッシュや走り込みなどの無酸素運動をすると、心臓にかかる負担が大きくなるので要注意です。中日の木下投手が接種後に亡くなったのも、ワクチンで心筋炎を発症した状況にハードトレーニングの負荷が加わって、心臓がパンクした可能性があります」  アメリカでも接種後にランニングやアイスホッケーなどのスポーツをして亡くなるケースが続出している。シンガポールでは、ワクチンを接種した16才男性がスポーツジムで負荷の大きなトレーニングをしている最中に心不全で倒れた。これを受けてシンガポール保健省は、「接種から1週間は激しい運動を控える必要がある」と勧告している。  運動と同様に、「力み」も危険を招く。4月下旬に1回目のワクチンを接種した69才男性は、その8日後の朝にトイレで意識を失った。 「朝9時頃にトイレに入って20分ほど出てこないので、家族が確認するとトイレのなかで意識を失っていました。救急搬送するも男性はそのまま死亡し、死因は胸部大動脈解離と診断されました。また47才女性が1回目の接種から5日後の早朝にトイレで心肺停止して、肺塞栓で死亡したケースもあります」(前出・全国紙社会部記者)

 中村さんは「朝のトイレ」に注意を促す。 「そもそも朝方は血圧が上がりやすく、そのうえにトイレで力むと血圧が急上昇して、脳溢血などを起こす恐れがあります。もともと高血圧などで血管の状態が悪い人がワクチンを接種すると体に負担がかかるため、トイレの力みが最後の一押しになる可能性があります」(中村さん)  自宅では、トイレとともに目立つのが風呂場での死亡だ。2回目のワクチン接種後に体調不良を訴えた62才男性は、翌日の午前中に入浴している最中に亡くなった。また91才女性は、1回目のワクチン接種の5日後に施設で入浴している際、脳出血を発症して死亡した。中村さんは「入浴にはさまざまなリスクがあります」と指摘する。 「お湯の温度が高いとヒートショックが生じて、血圧が大きく変動して失神や心筋梗塞などを引き起こします。また長時間、湯船につかっていると脱水症状になる恐れもあります。入浴の仕方によってさまざまなリスクが生じるので、接種から2週間ほどは体力に過剰な負荷のかかる入り方は避けて、こまめな水分摂取を心がけてほしい」(中村さん)  日常生活も接種後の体調に大きく影響する。 「接種前後はとにかく規則正しく健康的な生活を心がけて、睡眠や栄養を充分にとってストレスを控えめにしてほしい。過度の飲酒は血流を速めて、循環器に負担をかけるので避けるべきです」(中村さん)  実際、1回目接種の20日後に死亡した65才男性の自宅からは、大量のアルコールとたばこを摂取した形跡が見つかっている。  一方で過度の食事制限も避けるべきだ。1回目の接種の5日後に自宅で心肺停止状態で見つかった26才男性は、その前日にダイエットを始めたばかりだった。 「カロリー制限ダイエットは心身に大きな負担がかかり、体調を崩す原因になります。体調を整える意味でも、接種前後のダイエットは慎んでほしい」(中村さん)

働きすぎが死を招く

 働き盛りの世代が特に気をつけるべきは「仕事」かもしれない。4月下旬に1回目を接種した44才女性は、その翌日に朝9時半から午後6時半まで勤務し、翌々日は午後4時から翌朝8時半までの夜勤をこなした。だがその日の深夜、女性は別の勤務先で倒れているところを発見されて帰らぬ人となった。 「その女性に基礎疾患はありませんでした。死因はくも膜下出血。最近まで母親が入院していたことと、通常勤務のほかにもアルバイトをしていたため、厚労省の報告書には『体にそれなりの負担があったのではないかと推測する』として、『ワクチン接種が体の負担をさらに助長した可能性は否定できない』と評価しました。要は、ワクチン接種後の働きすぎが死亡に関係しているかもしれないとの見解です」(前出・全国紙社会部記者)  新潟大学名誉教授の岡田正彦さんが指摘する。 「接種後も過労になるほどの仕事を続けると、免疫力が低下してワクチンの副作用が生じやすくなります。ファイザー製やモデルナ製のワクチンでは副作用として皮下や脳内で出血が生じるリスクがあるので、接種後の過労には要注意です」  高齢になるほど服用する薬が増えるが、ワーファリンなどの「抗凝固薬」をのんでいる人は気をつけたい。

 4月下旬、1回目のワクチンを打った6時間後に強度の胸部圧迫感が生じ、5日後に急性心筋梗塞で亡くなった79才男性はワーファリンを内服していた。また、前述した入浴中に死亡した62才男性もワーファリンをのんでいた。 「そうした『血液サラサラ系』の薬をのんでいると普段から血が止まりづらい状態なので、脳出血などのリスクも増します。特に高齢者は抗凝固薬をのんでいる人が多いので、注意してほしいです」(岡田さん)  もちろん、そうしたワクチン接種後の行動が死につながったことは現時点で証明されていないが、接種後の死亡が増えるなかで「ふるまい方」には充分注意すべきだろう。 「現状でワクチン接種後の死亡については世界的に学術的な分析が行われておらず、因果関係やリスクがわかっていません。ワクチンのスパイクたんぱくが肺や腎臓など人体のさまざまな部位に副作用を生じさせるとの研究は進んでいますが、それがどこにどれだけのリスクを生むかは依然として未知の領域です。  従って接種後の行動についても、差し当たっては過労や飲酒など体の負担になることを避け、睡眠をよくとって規則正しい生活を心がけるしかありません」(岡田さん)  ワクチンは接種したら終わりではない。接種後にどう過ごすかが重要なのだ。

※女性セブン2021年9月2日号

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コロナ 対策

「感染経路不明」患者の約6割に“感染リスクの高い行動歴”…どんな行動? 調査した医師に聞いた

https://news.yahoo.co.jp/articles/8755fe45478a72aa19d35ef3ed03e469d0a370ad

2021/8/22(日) 11:42 FNNプライムオンライン

新型コロナウイルスの新規感染者数を伝えるニュースでたびたび示される「感染経路不明」というワード。 【画像】感染経路を見いだす研究結果のまとめを見る 国立研究開発法人「国立国際医療研究センター」によると、新型コロナウイルスの積極的疫学調査の結果では「感染経路不明」と判定される事例が多く、効果的な感染対策を行うにはこの経路を明らかにする必要があるのだという。 こうした中で同センターは8月10日、「新型コロナウイルス感染症新規患者数増加の裏にある、追えていない感染経路を見いだす質的研究」の結果を公表した。 今回の研究のもとになった調査は、新型コロナウイルスの第4波と第5波の間である、2021年5月22日~6月29日に行われた。 調査の対象は、国立国際医療研究センター病院に入院した20歳以上の新型コロナウイルス感染症の患者43人。このうち、感染経路が明らかではない22人から、発症前の行動歴を詳しく聞き取った。 22人の内訳は男性17人、女性5人。調査の結果、22人のうち、14人(64%)に感染リスクの高い行動歴があったという。 行動歴・接触歴を解析したところ、感染リスクの高い場面は延べ24あり、このうち21場面(88%)が飲食関連、22場面(92%)ではマスクが着用されていなかった。 また、感染に関与しうると考えられた患者の考えや信念に関しては、「仕事の後であれば、職員同士でマスクなしで話しても大丈夫だろう」「外食が感染のリスクだとは知らなかった」などが挙げられた、としている。 そのうえで、「これまで見つかっていなかった新規の感染経路を見いだすことはできなかった」と結論付けた。 新規の感染経路を見い出せなかったということだが、では今回の調査結果を踏まえ、どのような感染対策が必要なのか? 今後の感染対策の課題について、国立国際医療研究センター病院・国際感染症センター総合感染症科の森岡慎一郎医師に話を聞いた。

「感染経路不明」と判定される事例が多い理由は2つ

――今回の調査の背景は? 従来の知見からは、新型コロナウイルス感染症においては未知の感染経路があり、流行の波と波の間にはこれらの感染経路を通じて感染が水面下で持続し、その後の感染者数急増への原因となっている可能性が指摘されていました。 そこで第4波において、新規陽性患者数が減少傾向となった時期(職場、学校、施設、家庭内での感染が少ない時期)に、新規感染者の感染経路を探索的に調査しました。 ――新型コロナウイルス感染症の積極的疫学調査の結果では「感染経路不明」と判定される事例が多い。これはなぜ? 理由は2点あると考えています。 1点目は、新型コロナウイルス感染症関連での保健所の業務負担が大きく、保健所が詳細に感染者から行動歴を問診することが困難であることです。 2点目は、患者さんの中には、保健所などの行政には感染経路を話さないが、医療従事者に対しては打ち明ける方が一定数いらっしゃることです。

飲食や知識不足が関係

――感染経路を追うことは感染対策につながる? 感染経路を追い、啓発することで、国民の感染対策の向上に寄与する可能性はあると考えています。 ――調査結果を踏まえ、今後の感染対策の課題は? この調査では、これまでに見つかっていなかった新たな感染経路が明らかになったわけではなく、むしろ感染には飲食がやはり多くの事例で関係していることが分かりました。 また、感染防止に対する意識付けや十分な知識が不足していることも分かりました。これらが感染拡大を助長する可能性があり、今後、解決すべき課題です。 新型コロナウイルスの第4波と第5波の間に行われた今回の調査では、感染には飲食が関係した事例が多く、感染防止に対する十分な知識が不足していることが分かっている。今後も感染防止に対する情報の周知徹底が必要ということなのかもしれない。

プライムオンライン編集部

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コロナ 社会問題

コロナ外来院長 パラ開催に反対「現場の感覚と政府、世間の感覚がズレすぎている」

https://news.yahoo.co.jp/articles/531cd8f8badb59e6ce399eb06e5eafbb19e01c62

2021/8/22(日) 13:33 デイリー

 TBS系「サンデー・ジャポン」が22日、24日に開幕するパラリンピックを子どもたちに観戦させるべきかさせないべきかを話し合い、ふじみの救急病院院長・鹿野晃氏は「今の医療現場の最悪の状況を考えると、その現場の感覚と政府自治体、世間の感覚があまりにもズレすぎている」と指摘。この状況での観戦は感染者を増やし、自粛を緩めるようなメッセージになってしまうとして開催そのものに反対した。  番組では、19日に修学旅行の中止または延期を求めた東京の小池百合子知事が、一貫して「子どもたちには見せてあげたい。希望されるお子さんが実際にパラリンピアンの姿を見ることはやはり教育的な価値は高い」などとパラリンピック観戦の意義を訴えていると報道。  丸川珠代・東京五輪パラリンピック担当相も20日に「次の時代を生きる子どもたちが自分たちの秘める可能性に気がつき、また多様性を認め合える心を育んでいただければと考えております」と支援する姿勢を示したが、政府分科会の尾身茂会長は19日の参院内閣委で「オリンピックとの開始の時期とパラリンピックの開始の時期を比較すると、今の方が状況はかなり悪くなっている。そういう中で観客を入れるというのはどういうことかっていうのは、考えていただければ当然の結論になると思います」と懸念を示したことも報じた。  24時間体制でコロナ患者を診療している鹿野氏は「1カ月前の感染状況であれば、私もオリンピック、パラリンピック、ちゃんと対策すれば観戦ありかと思ってたんですけども、今の医療現場の最悪の状況を考えますと、その現場の感覚と政府自治体、世間の感覚があまりにもズレすぎている。その状況でパラリンピックを開催するということは感染者を増やす、自粛を緩めるようなメッセージになってしまうので今はやはり反対せざるを得ない状況ですね」と、観戦はもとより開催そのものを否定した。

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「一日の感染者5万人」でも英国が「医療崩壊の心配ゼロ」の理由

https://news.yahoo.co.jp/articles/91e0a8a9b49e9c9908f70f06b360d0af25b989d3

2021/8/22(日) 10:01 JBpress

黒木亮・作家)  ワクチン接種が十分でないところにデルタ株が猛威をふるっている日本の現状は、筆者が住む英国の去年の秋から冬にかけての状況を彷彿させる。ただ違う点が1つある。英国では医療が崩壊する懸念はほとんどなかった。理由は、昨年3月中にコロナ患者用の十分な病床と医療スタッフを確保し、それを厳しいロックダウンで支えたからだ。 イギリスでは「野戦病院」も複数開設された。写真はマンチェスターのナイチンゲール病院 ■ 昨年3月中に感染ピークの準備を完了  昨年3月17日、英国の人口の84%を占めるイングランドのNHS(無料の国営医療サービス)のCEOサイモン・スティーブンス卿は、NHSの約10万の病床のうち3万床以上をコロナ患者向けに用意するよう全NHS病院に命令を発した。  具体的には、4月15日以降、急を要しない手術を、最低3カ月間延期し(救急治療、がん治療、その他緊急の対応を要するケースは除く)、退院が可能な健康状態の患者は退院させることとした。  この命令にもとづき、不急部門の診療科を次々と閉鎖・縮小させ、退院できる患者もどんどん退院させ、3月末までに約10万あった病床のほぼ半分を空けさせた。これにより、ピークだった今年1月のコロナ入院患者数3万4336人は十分カバーされた。  一方、医師や看護師の確保も機動的に行われた。新型コロナの入院患者数は3月20日の時点で1580人だったのが、3月末には1万1154人まで急増していた。スタッフ不足が懸念されたので、これを補うため、3月22日には、医療現場を離れていた4500人の医師と看護師に復帰に同意してもらい、その後、医学生や看護学生も動員した。免許が切れていた医師や看護師には、特例で更新を認めた。またNHSでは、通常は異動に本人の同意が必要だが、この時は同意は不要とされ、大量のスタッフがコロナ部門に強制的に異動になった。  その後は、コロナ患者の増減によって一般患者数をコントロールしていった。  毎月末の入院患者数を見ると、ロックダウンの効果が出た昨年7月末にはコロナの入院患者は870人まで減り、一般の入院患者は10万1062人まで増えた。  その後、感染拡大でコロナ患者が2万8112人まで増えた今年1月末には、一般患者数を8万3947人まで減らし、ワクチンとロックダウンの効果が出た5月末にはコロナ患者数が773人だったのに対し、一般患者数を11万1489人まで増やした。

 こういうことができたのは、(1)英国の病院の約9割が国営のNHS傘下にあるので、中央集権的に号令を下すことができること、(2)元々日本に比べて入院日数が短いことがあげられる。  後者については、2017年のデータによると、OECD加盟の38カ国の中で日本は韓国(18.5日)に次いで平均入院日数が長く16.2日である。これに対し、英国は6.9日、米国は6.1日、ドイツは8.9日にすぎない。  欧米では、入院させると病院側の採算が悪くなるので、できる限り早く退院させ、手術台の回転数を上げようとする。筆者は18年前に重い肺炎にかかったことがあるが、そのときも通院治療で、「肺炎くらいじゃ入院させてくれないのか」と思ったものである。 ■ 「ブロック・バイ」と仮設病院で約1万1000の追加病床も確保  同時にNHSは昨年3月21日にスパイア・ヘルスケアやケアUKなど複数の民間病院グループと、8000の病床、約1200の人工呼吸器、700人の医師、1万人の看護師、8000人のその他の医療スタッフの提供を受けるブロック・バイ(塊の購入)契約を締結した。これらは新型コロナの患者だけでなく、がんなど緊急の治療を要する患者にも使用された。非常事態に鑑み、民間グループも協力し、購入価格は原価(コスト・ベース)だった。  また4月3日から5月5日にかけて、クリミア戦争(1853~56年)の野戦病院で活躍した英国人看護師ナイチンゲールの名を冠したコロナ患者用の臨時の「ナイチンゲール病院」をロンドン、バーミンガム、マンチェスターなど6都市に開設した。6つの病院の病床数は当初3006人で、10960床まで拡大可能だった。場所は国際会議場などの大規模施設を利用し、陸軍が協力して設置した、まさにコロナの野戦病院だった。

 さらに全国に500以上あるコミュニティ・ホスピタル(地域の住民のための小規模病院)と介護施設に1万床の病床を空けてくれるよう要請した。  かたや日本はどうだったか。病床確保のために昨年度1兆円以上の補助金を投じたが、事前協議で決めた病床数を提供できない病院が続出し、実際には病床の確保ができていなかった。  1つ気になるのは、日本では日々の感染者数が英国よりも少ないのに、入院患者数が英国の約3倍の1万8611人もいることだ。新型コロナ対策分科会の尾身会長も先日国会で「発表されている数字より実際の感染者数は多いと思う」と述べており、表面的な数字よりも事態は深刻だと考えるべきだろう。 ■ データサイエンスを活用した戦略的兵站  英国が、昨年春からマイルストーン・ペイメントなどベンチャー投資の手法を使って開発中のコロナワクチンを青田買いし、約1万人の注射打ちのボランティアと約2万人の医療ボランティアを養成し、接種のロジスティクスも入念に整えた上で、昨年12月9日から一気呵成にワクチン接種を進めたことは、以前「感染者激減、なぜ英国はワクチン接種で先行することができたのか」で書いた通りである。  【参考】感染者激減、なぜ英国はワクチン接種で先行することができたのか (https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65104)

 病床確保においても戦略的な「兵站」の成果が如何なく発揮された。  NHSには「NHSデジタル」(本部・西ヨークシャー州リーズ市)という約6000人が働く情報・IT部門があり、そこが患者との最初の窓口になるGP(家庭医)から患者個々人の情報を吸い上げている。これが医療体制の効果的運用を可能にした。  多数のデータサイエンティストがGP経由で送られてくる情報をもとに、地域ごとの将来のコロナ患者数の予測などを行い、経営陣がどの病院のどの部門を閉鎖・縮小し、どの設備と医療スタッフをコロナ病床やICUに振り向けるか、あるいは逆にどのコロナ病床を元の部門に戻すかといった決定や勧告をしている。的確で詳細な予測と指示によって、ごく短期間で必要な病床と医療スタッフの確保を実行しているのである。 ■ 厳しいロックダウンでNHSの活動を下支え  こうしたNHSの活動を下支えしたのが厳しいロックダウンだ。英国は昨年3月23日からロックダウンに入り、時期によって強弱の差はあったが、今年7月19日まで続いた。この間、外出は生活必需品の近所への買い物と1日1回の運動に限られていた。同居人以外とは屋内で会うことはできず、食料品店・銀行・薬局・郵便局など、生活に欠かせない店以外はすべて閉鎖された。理髪店も閉まっていたので、筆者は家内とお互いに散髪をしたが、単身赴任の日本人ビジネスマンたちは鏡を見ながら自分の髪を切っていた。  違反者には最大で960ポンド(約14万4000円)の罰金が科された。マスクをあごのあたりまでずり下げていた白人男性が警官3人によってスーパーの床に押さえつけられたり、ジョギングをしていた男性が「呼吸が激しすぎる」と自治体の見回り職員に注意されて口論になったり、闇で営業していたパブの店主が罰金1万ポンド、客はそれぞれ罰金500ポンドを科されたり、100人規模の結婚式を闇で開いた会場に警官隊が突入し、結婚式を中止させ、会場提供者に1万ポンドの罰金を科したりした。さすがにこれだけやると、社会に険悪な雰囲気も漂い、今思い返すと灰色の日々だった。  ロックダウンによってウイルスを駆逐するのは難しいが、感染者数を大幅に抑えることができ、医療体制やワクチンが開発されるまでの時間稼ぎができる。特に、昨年3月から4月にかけての時期は、NHSもまだ新型コロナの治療法も手探りで、ロックダウン以前に感染・発症した患者(ボリス・ジョンソン首相を含む)が次々と運び込まれる中、新コロナ病床の準備と治療チームの編成、他部門から来た医療スタッフのトレーニング、医療スタッフに対するサポート体制の構築、病床を空けるためのコロナ以外の患者の健康状態のチェックと退院手続きなど、やるべきことが山積で、まさに“戦場”だった。この一番苦しかった時期を支えたのがロックダウンだ。

 京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授は、日本の場合、「ファクターX」(遺伝的要因、交差免疫、BCG接種、生活習慣など色々考えられるがまだ特定できず)によって従来型コロナウイルスから守られ、欧米のような厳しいロックダウンをせずに済んできたが、変異ウイルスには太刀打ちできないと述べている。その日本で今、より感染力の強い変異種であるデルタ株が爆発的に蔓延している。しかし、病床や医療スタッフの確保が実際にはできておらず、ロックダウンも行っていないので、医療崩壊が起きるのは必然だと言える。  日本以外で「ファクターX」が存在する可能性がある中国、韓国、台湾、ベトナム、シンガポールなどは、日本より厳しいコロナ対策を行い、人口比で見ても感染者数や死者数は日本よりはるかに少なく抑えている。英国やフランスでは規制に違反しても、外国人でも罰金を払えばすむ(パリ在住の日本人はバゲットを買いに外出した際、必要書類の不携帯で135ユーロの罰金を科され「世界一高いバゲットになった」と嘆いたという)。しかし、シンガポールではコロナ規制に違反して他の世帯の人間と会話・飲食をした12人以上の外国人が国外退去処分になっている。 ■ コロナとの共生開始  英国は18歳以上の成人の75%超がワクチンを2回接種しており、7月19日にロックダウンの行動規制をほぼすべて撤廃し、レストランや商店も通常営業に戻った。新型コロナの1日の感染者数は、7月17日に5万4183人に達したが、その後、2万8000人程度まで減った。医療崩壊の懸念はないが、一時期待が高まった集団免疫の成立はデルタ株の蔓延で遠のいた。  行動規制が撤廃されたと言っても、公共交通機関や商店内ではマスク着用がサービス提供者側から求められ、半分以上の人たちがそれに従っている。高齢者のマスク着用率は今もほぼ100%である。  コロナ・シフトで一時しわ寄せが行き、手術待ちの患者が増えたNHSも、状況が落ち着いてきている。元々NHSは、どんな疾患でもまずGPに診てもらい、紹介状をもらい、アポイントメントをとって専門医のところに行かなくてはならない。時間がかかるので、疾患が慢性化してしまうこともある(大けが、心臓や脳の発作、網膜剥離といった緊急事態は例外で、救急車を呼び、病院の救急外来に搬送してもらう)。  評判が悪いNHSではあるが、コロナ禍のような非常事態では前述のとおり威力を発揮する。コロナ・シフトだけでなく、個々人の健康状態をGPが把握しているので、高齢者とともに最優先された基礎疾患がある人たちへのワクチン接種の案内も確実に行われた。  筆者は昨年上梓した『カラ売り屋、日本上陸』(KADOKAWA刊)の中の一編「病院買収王」の取材で、日本のある病院グループの経営者をインタビューした際「英国の制度が羨ましい。GPが最初に患者さんを仕分けしてくれて、必要な人だけが専門医にかかる。日本は大した疾患でなくてもいきなり高度医療を提供する大病院や大学病院に患者がやって来るのでかなわん。もっとけしからんのは、医者が少なくて大変な土日に、空いてるだろうと思ってやって来る患者で、こういうのはもう来るなと言いたい」と嘆いていたので、医師の視点と患者の視点は180度違うのだなと思わされた。  日本では特に勤務医が安い給料で酷使され、彼らの献身的な自己犠牲によってコロナ禍の医療も支えられている。サステイナビリティという観点からは、限界に達しつつあり、やはり抜本的な対策が必要だろう。「日本は民間病院が多いから、英国のようにはいかない」ではもはやすまされない。現に英国は6つのナイチンゲール病院を設置し、民間の病院から病床や医療スタッフの提供を受ける契約をしっかり結んでいる。要は本気度の問題だ。

黒木 亮

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コロナ 社会問題

「我慢の限界、ある意味で当然」尾身会長が若者や自粛疲れの人たちに伝えたいこと

https://news.yahoo.co.jp/articles/9e0ab3bc0dba1c965d7cede6d4de2ed0bd45b81f

2021/8/22(日) 10:45 BuzzFeedJAPAN

1年半近く続くコロナ禍で、多くの人が様々な我慢や制限を強いられている。自粛頼みの限界を指摘する声をどう受け止めるのか。そして、ワクチン接種後に見える未来とは? 政府分科会の尾身茂会長に聞いた。【BuzzFeed Japan / 千葉雄登】 【チェック表】新型コロナの自宅療養、注意するべき「緊急性の高い13の症状」

「我慢の限界」との声も

ーー1年半近く、様々な制限を求められている中ですでに我慢の限界を迎えたといった声も聞こえてきます。大学生は大学生活の4年間のうち、その半分近くが自粛生活です。こうした現状をどのように受け止めていますか? 新型コロナ対策のために、あらゆる人々に我慢や自粛をお願いしてきました。おそらく辛くない人はいないでしょう。 その中でも学生など若者や飲食関係者、非正規雇用の方々などに特に大きなしわ寄せがいっていると思います。 影響が大きいからこそ、不安も大きい。我慢の限界を迎えてしまう、というのもある意味で当然のことだと私は思います。 たとえば大学生活は一般的には4年間ですよね。そのうち半分近くがすでに過ぎ、様々な制限をお願いしている状態です。 私が今、大学へ通う学生だったならば、「いいかげんしてくれ」と思うと思います。時事通信

ーー若者世代からは、若者ばかりに感染対策への協力を呼びかけることに不満の声も上がっています。 日本においては諸外国と比べても、多くの人に感染対策へ協力していただいていると考えています。 自主的な取り組みがメインとならざるを得ない日本で、ここまで感染拡大を抑えることができたのは、非常に苦しい状況でも感染対策に協力していただいた人々のおかげです。 ここまでコロナ禍が長く続いていても、しっかりと感染対策を続けてくれる多くの人々に感謝しています。 そうした前提の上で、一部の方々の協力が得られていないこともリアリティですよね。 私は、そうした人を決して非難するつもりはありません。 ですが、聞こえのいいことだけを言ってもリスクコミュニケーションは成立しない。 当初から申し上げてきましたが、このウイルスの性質上、知らず知らずのうちに感染を広げてしまうことがある。そして、それが家庭内で広がり、家族が重症化するといった場合がある。 こうした現実もしっかりと伝えていく必要があると考えています。 現在では、40歳から64歳の人流も時間帯によっては若年層よりも多くなっているということもわかってきました。若者だけでなく、こうした人々への呼びかけも重要になってきています。 現在の感染状況では、「私は感染しないから大丈夫」ということはありません。あらゆる人が感染する可能性がある、それほどリスクは高くなっています。 若いから自分は重症化しない、ということはありません。また、たとえ軽症であったとしても、後遺症がかなり長く続くということもわかってきました。 すでに現在は平時の医療提供体制が崩壊している状況です。誰だってケガをすることはありますし、突然病気になることだってある。ですが、このままの状況が続けば、いつもならば救える命が救えないということが増えてしまいます。 人流をこれまでの5割まで削減してほしい、とお願いしているのは、誰かのためではなくあなた自身のためです。

ワクチン接種で見える未来、現時点で確かと言えるのは?

時事通信

ーー現在、ワクチン接種が進んでいます。政府は10月中に希望者全員への接種を終えることを目指していますが、ワクチン接種の先に私たちはどのような景色を見ることができるのでしょうか? 私は今が一番危機的な状況で、マラソンで言えば最終コーナーに入っていると考えています。 目の前の感染状況は非常に悪く、もうしばらく医療提供体制が逼迫し続けるでしょう。 ですが、ワクチン接種が一定程度に行き渡る中で、感染拡大の波もピークアウトし、医療への負荷も下がっていきます。 感染対策を続けるためには、やはり見通しも重要です。どこまで頑張れば、どんな未来が待っているのかを知っているからこそ頑張れる、という人もいるはずです。 たとえば、旅行やイベント、ライブなどに行くためにはワクチン接種あるいは検査を受けることを求めるといった方法で徐々に社会経済活動を再開していく。 あるいは、飲食店に入店する際にはQRコードをかざして、誰がいつ来店したのかをしっかり記録し、そこで感染者が確認された場合にすぐに連絡がいくようにする、など考えられないか? 仮にこうしたルールが設けられたらば、皆さんはどう思うか? ワクチン接種後の未来については、様々な検討すべき論点があると考えています。 ーー集団免疫の成立は現実的に可能なのでしょうか? 新型コロナワクチンは非常に高い有効性が確認されているワクチンです。変異ウイルスに対して効果が薄まるのではないか、といった懸念もありますが、現時点では重症化や死亡をかなり抑制することがわかっています。 その一方で、おそらくデルタ株の影響などを踏まえると、国民の60%あるいは70%がワクチンを接種しても、集団免疫を獲得することは難しい。 ワクチンだけでこの状況を切り抜けることはできないというのが現実です。 ワクチンを接種すれば、「100%感染しません」「絶対に大丈夫」と言ってしまいたくなる誘惑にかられることはありますよね。でも、それは絶対に言ってはいけない。なぜなら、その言葉はリアリティに基づいていませんから。 ワクチンはこの状況を打開するために最も重要な要素であることは疑いようがありません。かなりの確率で重症化を防ぎます。感染予防効果や発症予防効果があることも確認されています。 しかし、ワクチンも万能ではありません。 したがって、新型コロナにはワクチンだけでなく、検査や科学技術など総力戦で挑む必要があります。当面の間はマスクの着用もお願いすることになると思います。 たとえば、職場や学校で体調が悪い人がいたら、検査を受ける。そして、仮に陽性であることがわかれば、その周りにいた人全員に検査する。 ワクチン接種が一定程度の人々に行き渡っても、感染者がゼロになることはありません。感染者が出たとしても、クラスターを食い止める。そのためにはこれからも集中的な検査が必要になってきます。 目指すべきゴールはどこか。 繰り返しますが、感染者数をゼロにする、ということは無理です。感染者を完全にゼロにする、ということはリアリティに反する。そして、リアリティに基づかない判断は必ず破綻します。 究極の目標は重症者を減らし、医療提供体制への負荷を減らすことです。 そのためには引き続き感染者数の数字を確認することも重要ですが、重症者数や入院者・療養者の数などをモニタリングすることがより重要になります。 どのラインまで、感染者数や重症者数を許容しながら、社会経済活動を回していくのか検討が必要です。

イベルメクチン待望論も根強いが…

Getty Images

ーーワクチン接種が進む一方、一部ではいまだに科学的に有効性が確認されていない「イベルメクチン」をコロナ患者に使用すべきとの声があります。一部の医師や政治家もこうした発信をしていますが、こうした発信をどのように受け止めていますか? イベルメクチンもそうですし、昨年話題になったアビガンなどもありましたが、薬についてはムードで何かを決めるべきではありません。 しっかりとした研究をして、客観的なデータを示した上で議論する。 効くんじゃないか?と提案をしたり、意見をすることは歓迎すべきと思いますが、社会政策について提案や意見をするのであれば、何らかの根拠を伴っていなければいけません。 パンデミックが起きている時に、治療薬がほしいという気持ちはよくわかります。 でも、こうした議論は、まずはしっかりと科学的なデータを確認した上で進める必要があります。

千葉雄登