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東京五輪、競技はできるが観客は感染状況次第

https://news.yahoo.co.jp/articles/e96847b61ebb2c48c32f299c27055fe76aff362b

2020/12/29(火) 6:31 東洋経済ONLINE

新型コロナの第3波が収まらない。医療の現状、GoToトラベルキャンペーンの問題、五輪はどうなるのか、ワクチンをどう評価するか、などについて、新型コロナウイルス感染症対策本部専門家会議、新型コロナ感染症対策分科会委員として対策の提言を行ってきた、川崎市健康安全研究所所長・岡部信彦氏に話を聞いた。  ――新型コロナの第3波が流行しています。エピカーブからいつ頃収まるか、予想できますか。 この記事の写真を見る  まだ、このウイルス、病気が見つかって1年経っていないのでよくわからないところも多々ある。新型インフルエンザなどは流行を何回か繰り返すうちに、新型ではなく普通のインフルエンザに成り下がっていき、人のほうも慣れていく。新型コロナはまずは少なくとも一巡、一定時間をすぎないと流行パターン、つまり自然の流れが見えてこない。ただ、今年3~4月の流行、7~8月とこの冬では、同じではなく、感染防止や治療など対処の方法も進んできた。

■「指定感染症」の指定は延長も、運用見直し  ――医療逼迫の危機が叫ばれていますが、対処法は?   比較的症状の軽い若い患者さんが重症の方と同じ医療機関に入院するのでは、ご本人の負担も医療側の負担も大きい。経過が見られる場合は、自宅療養、あるいは医療機関と自宅との中間的な宿泊所などでの療養をうまく使い分けるべきだと思う。病の重い軽い、症状の有無にかかわらずすべて入院させれば、限りある病床や医師・看護師などの医療体制、それを調整する保健所に大きな負荷が生じる。

 制度的にはそのような違いを可能としているが、運用が地域によって異なり、心配だからすべて入院させているというところもある。また、65歳以上は入院してもらうことになっているが、元気で悪化するリスクが小さいと判断されれば、宿泊所でもよいと思うし、それも制度的に可能となった。  ――全国保健所長会からは指定感染症であることで、入院が増えてしまう問題があるとの指摘があり、指定感染症を外す展望を示してほしいという声があります。

 指定を外して現状の2類相当をインフルエンザ並みの5類にしたほうがよいという主張はあり、そのメリットもあると思う。しかし、そうすると、一方で入院費・治療費は保健医療となり自己負担が大きくなる。また、いろいろな救済・交付金なども指定感染症だからこそ出せているところもある。指定を外せば、療養のためのホテル宿泊などの費用も公費負担ではなくなるだろう。また、インフルエンザは全国で5000か所の定点医療機関から届けられる届出制度になっているが、そのようにすると、まだ不明な部分の多いこの病気の疫学的データが集まらなくなるという問題もある。

 指定感染症の指定は厚生科学審議会感染症部会で1年延長することが承認され、現在は政府での最終議論になっている。延長は1年だけだ。ただ、2類相当といいながら、エボラ出血熱並みの1類あるいは新型インフルエンザの大流行時と同じ扱いをしているところもあり、そこは運用の見直しを提言している。  ――感染症に対応している病院や医師・看護師が限られているのはわかりますが、欧米に比べて感染者も重症者も桁違いに少ない。医療資源の配分にも問題があるのでは。日本医師会は「医療崩壊の危機」としていますが、もっと一般のクリニックや診療所から応援が頼めないのでしょうか。

 医師会というレベルでも協力は呼びかけてられている。しかし、感染症に慣れていない医療機関では感染対策に不安を感じているのも事実だ。  ことに最初の段階で、感染予防に必須のマスクがない、防護衣がない、ゴーグルもないということは医療機関にとってみれば「無防備」の印象となり、不安が高まったということは大きな躓きであったと思う。  またクリニックの医師が協力したいといっても、入居しているビルのオーナーがそのような疑いの患者がビル内にいるとなると風評に結びつくので診療をしないでほしいとか、コロナを見る医療機関に親が勤めているというだけで子どもが学校や幼稚園・保育所などで差別される、という話が残念ながら後を絶たず、看護師をやめたいという話もよく耳にする。

 感染症の流行とは、悲しいことにそういう嫌な面もいっぱい出てくる。優しい気持ちで協力したいという人たちを一般の人たちが応援するような空気にしていただきたいと強く思う。 ■GoToの考え方は問題ない。使い方次第だ  ――GoToキャンペーンで政府はたいへん批判を浴び、結局、一時停止に追い込まれました。しかし、寒くなった北半球では全般に感染が拡大しました。GoToによって本当に感染が広がったのでしょうか。

 人が動けば動くほど、その距離が遠ければ遠いほど、ウイルスなどの病原体は広範囲に散らばり、感染症がひろがることは避けられない。これは現代社会においては宿命だが、そのレベルが問題となる。僕はGoToという方法は全体から見ればよい方策だと思っている。利用者も安い価格で楽しめるし、事業者もお客さんが来てくれることによって、何とか持ち直したり潤ったりする。  休業や損失を政府が補償するというやり方は、短期間ならよいが、長引くと事業を継続できないし、仕事の「腕が落ちる」ということもあるだろうし、働く楽しみもなくなってしまう。

 ただ、人々は同じ時期に同じところへ同じ物を見に行くということになりがちで、もう少し分散できないものかと思っている。密にならないように使い方を工夫できればよいのにと思う。旅行に行くのはダメ、地方に住む両親に会いに行くのもダメ、とならないための上手な使い方の工夫とそこへの応援が今後は必要だと思う。  ――専門家会議から新型コロナウイルス感染症対策分科会・アドバイザリーボードメンバーなどとしてこの間、ずっと対策に関わってこられましたが、これほど意見の割れる問題もないのではないでしょうか。

 私は医療側なので、新型コロナの重症者が1人でも少なくなること、病気に対する多くの人の不安が収まっていくことが最大の目的だ。だが、事が大きくなってくると、経済活動・社会生活への影響など、医学的処方箋だけでは解決がつかず、他の手段とそのバランスが必要になってくる。誹謗中傷など人権問題にも対処しないといけない。いろいろの人の理解、協力、「よい塩梅(あんばい)」を探ることが大切だが、議論は幅があって当然であり、ある程度意見が割れるのは仕方がない。

 医学を超えて、政治問題、国際問題になると厄介だが、感染症が広がるとそうなりやすい。あっちの国が悪いとか、WHO(世界保健機関)から脱退したらどうか、なんて言い出す人もでてくる。そんなこと言っている場合ではないと思うのだが……。 ■五輪の選手は管理が可能、少なくとも競技はできる  ――そこで、焦点は五輪が本当にできるのか、という問題です。  僕は「オリンピックのために感染対策をやっているわけではなくて、感染対策の結果やれるかどうかだ」と最初から言っていた。オリンピック・パラリンピックの調整会議のアドバイザーに指名されたときに、「こういう考え方でいいですか」と確認したのは、「オリンピックの根本は技を競い合う、つまり『競技をやる』こと。まずそれが目標であり、そこから状況によって膨らんでいくことを考える、ということでいいですか?」ということ。それなら最低できるかもしれない。つまり、感染状況によっては「競技だけをやる」「無観客もありうる」ということだ。

 選手は何週間もこもって事前練習をし、ホテルと練習会場あるいは競技会場の往復だけだ。遊びに来るわけではなく、厳しい自己管理ができる人たちだ。観客をどこまで入れるかは、感染の状況によって考える。ただ、契約などお金の問題、経済・政治の問題になってくるのは避けられない。やめちゃうという選択肢もあるけれども、政府は「やる」と決めた、ということでしょう。  ――ワクチンを英国はもう打ち始め、日本も国策として確保に努めています。ワクチンには期待していますか。

 もちろん期待はしている。しかし現段階で評価するべきデータが手元に届いていないので、良いとも悪いとも、まだなんとも言えない。メディアは95%、93%の有効性という数字を大きく報道するし、その一方で副反応が1人出ただけでも大きく報道する。また、接種直後に偶然、心筋梗塞を起こすこともある。そうした場合、本当にワクチンのせいなのか、正当に評価する必要がある。それらのためにも海外のデータだけではなく、国内の治験データも見据えて評価したい。ただ、評価してから接種の準備に取り掛かるのでは遅いので、今の段階での準備は必要だ。

 ワクチンの開発には通常、10年以上かかる。今回はウイルスが見つかってから1年足らずでワクチンの開発研究から大量生産まで来ているのは、科学的にはものすごい勝利。ただ、皆の期待や不安が高まっている中で、アメリカなどで当局の関係者が「いついつ承認される見込み」というようなコメントを出すのはルール違反ではないか。最初から結論ありきのようにコメントすれば、専門家委員会が審議する必要はないということになってしまう。国内ではそうなってほしくないと思う。

■効果と副作用のデータを見極め、議論して判断する  ――効果とリスクについてはどう考えるのですか。全員分を確保、無料というと、かなり強く推奨する印象になります。  効果が30%しかなくても病気のリスクが高い、かかったら危ないのなら、採用するというのも1つの考え方だし、効果が90%あるが30%は副反応があるという場合は、どの程度の副反応ならば受け入れられるのか、という議論もでてくる。また、ワクチンには個人がかからないようにするだけでなく、広がりを防ぐという意味合いもある。

 ――インフルエンザは、高齢者は定期接種ですが、ほかの人は任意接種です。  新型コロナウイルスに対するワクチンは、多くの人に接種することによってそれぞれの人の健康被害を少なくするとともに、多くの人への感染の広がりを防ぐという目的から、臨時接種という方法を採用することになった。つまり国はワクチンを用意し、接種費用は国が負担し、万が一の副反応の事故に対しても国が救済をする。しかしあくまで、強制力を持つものではない、というスタンスだ。

 ――欧米と日本の死亡率の差はどこにあるのでしょうか。  医療の側から見ると、日本は健康保険制度をはじめ医療の基本がしっかりしていると思う。日本では、基本的には誰でもどこでもいつでも保険証があれば、適正な水準の医療が、あまり高い費用でなく受けられる。欧米諸国の中には最先端の医療は進んでいるが、貧困層は医者にもかかれないというところがある。つまりすべての人に良質な医療の提供ができていない。救急医療外来はごった返し、長時間待ちも珍しい風景ではない国もある。移民、難民の問題もある。

 ――自然免疫、ファクターX説はどう思いますか。  自然免疫というのは、ある病気に対する免疫すなわち特異免疫の前に作動するので、その起点となるファクターXはあると思う。しかしそれが何であるかはまだ特定ができていない。 ■安全性を求めすぎると委縮してしまう  ――日本では政府のGoToキャンペーンが批判され、野党が緊急事態宣言を主張しています。一方、もっと死者の多い欧米では政府がロックダウンなど制限をかけようとして、国民がそれに反対のデモを行っています。

 それぞれの社会の違い、弱点が見えてきますね。日本では一部メディアが怖さを強調している。映像、声のトーンなど、ホラー映画のような扱いをしているところもある。センセーショナルな話としてではなく「正しく怖れる」という気持ちになっていただきたいと思う。  また、最近の社会は、何においても責任を求めるというよりも、追及する社会になっていて、それがいろいろなことのやりすぎを助長する面もあるのではないか。1人患者が出ると会社も学校も謝罪会見。学校ではゼロリスクが求められ、さまざまな対策をしても、何かあると多方面から批判される。皆が高い安全性を求めるあまり、一方では「のびのび」という状況が廃れてくる。これは今後の社会としては、見直さなければいけないと思う。

 日本では皆が怖がりすぎてしまった面がある。たとえばまるで戸外の空気もウイルスだらけ、のように考えている人が少なからずいるように見受けられる。大気中に人に感染をするほどの濃度でウイルスがいるとは考えられないが、1人で公園を散歩している人もがっちりとマスクをつけている風景をよく見る。人と人の距離が一定程度保たれていて、しかも屋外であればマスクをする必要がない。公園など散歩するときはマスクを外してよい空気を吸ってくださいと、私はいろいろな場で申し上げている。また自分自身もそのようにしている。

 情報発信で難しいのは、ある対策を多くの人に向かって呼びかけると、対策が不十分な人にはあまり届かず、すでに十分対策をしている人がさらに注意をして萎縮してしまったりすることだ。粘り強く説明をするしかないのだろう。 

大崎 明子 :東洋経済 解説部コラムニスト

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コロナ禍で加速する“無人化”計画 アフターコロナに突き進む中国の無人物流・交通革命

https://creators.yahoo.co.jp/takeuchiryo/0200088345

2021/1/3 ヤフークリエーターズ


竹内亮ドキュメンタリー監督 番組プロデューサー(株)ワノユメ代表
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国際通貨基金(IMF)が昨年10月に発表した予測によると、2020年中国は主要国の中でGDPが唯一プラスになるという。コロナ禍に喘ぐ欧米各国を尻目に中国では今、「アフターコロナ」に向けた計画が着々と進んでいる。コロナを押さえ込むだけでなく、急スピードで経済復興を進める中で、今注目を集めているのが、「無人都市計画」だ。人との接触を減らし、ビジネス効率を上げるAIロボットが今、飲食、病院、交通、サービス、物流など様々な業界で、急速に広がっている。コロナ禍で無人化が加速する3つの現場を取材した。

■中国初!公道を走る無人運転バス

中国江蘇省・蘇州市。“東洋のベニス”とも呼ばれる美しい水郷の街として知られるこの都市で今、通称「無人都市計画」が進んでいる。
蘇州市相城区が今年立ち上げた「上路計画」は、街を走る公共の車を自動化しようという試みで、「自動運転バス」、「自動運転タクシー」、「無人清掃車」、「無人配送車」が運営を開始している。

我々はこのうちの昨年10月導入されたばかりの「自動運転バス」に密着した。
これは、中国で初めて公道を走る無人運転の通常運行バスだ。9人乗りの小ぶりのバスで、時速20~50kmで走行することができる。

このバスの車両には5つのレーダーが搭載されており、360度死角なしで200m以内の障害物を感知することができる。中国最大手の通信会社チャイナモバイルの第5世代移動通信システム(5G)を通して、前方にある信号が変わるまでの時間や、周囲の車両情報などを逐一受信しており、これらの情報を処理することによって、安全な運転を実現している。

「自動運転」と言うものの、運転席に人が座っている。聞いてみると、彼は「運転手」ではなく「安全員」なのだという。現在の法律では必ず運転席に人がいないといけない。そこで、システムが正常に起動しているかを確認するため、運転席には「安全員」が座っている。また、万が一故障などのトラブルが発生した場合は安全員が手動で運転するという。

■「1000個の棚が動く」無人倉庫

次に訪れたのは、世界的に有名な中国のIT企業・アリババグループが運営するネットショッピング専用の倉庫。中に入ると、そこに広がっていたのはSF映画のような世界だった。せわしなく動き回る貨物棚、まるで動き続ける迷路のようだ。従来型の倉庫は、注文を受けたスタッフが貨物棚を歩き回り、商品を探していた。しかしこの倉庫では、注文に合わせて貨物棚が動き、スタッフに届けてくれる。

このシステムを支えるのがAGVと呼ばれる無人搬送車だ。この倉庫では常に1000台のAGVロボットが稼働している。このロボットは、25kg以上のものを載せて運ぶことができるうえ、たったの3時間の充電で8時間休まず働き続けることができる。人の労働力と比べるとその差は歴然だ。
10億元(約160億円)近い投資によって建設され、2018年4月から稼働を開始したこの倉庫は、1600万個の荷物を保管することができ、その種類は4万種類に上る。中国の買い物の祭典と知られ、セールが行われる11月11日、通称「ダブルイレブン(いい買い物の日)」では、1日で85万個もの商品の出荷に対応したという。主な搬送地域は蘇州、常州などの近隣都市で、これらの都市には注文当日に商品を届けられるというから驚きだ。

新型コロナウイルスの流行を受けて、人々の生活スタイルが大きく変わった2020年。もともとネットショッピングが盛んであった中国であったが、以前にも増してネットショッピングが利用されるようになり、この倉庫では新型コロナ流行期間、注文量が以前の倍になったという。このような変化にも“無人化”が功を奏した。この倉庫の現在の作業効率は人が作業する倉庫よりも300%アップしているそうだ。

■天気も疲れも関係ない「デリバリーロボット隊」

アリババ本社のお膝元、浙江省杭州市にある名門大学・浙江大学。最近、ここで新しい無人化サービスの実験が行われている。「最後の3キロの配送」を専門とする、デリバリーロボット隊だ。
客がネットで買った商品が先述の倉庫からトラックに乗せられ、大学構内にある宅配物センターに届くと、そこからがロボットの出番だ。このデリバリーロボットの形状を簡単に言い表すと「動くロッカー」だ。商品を載せてキャンパス内を自由自在に走り回り、障害物も避けながら、届け先の住人が暮らす宿舎の前まで自動運転でやって来る。
デリバリーロボットの利点は、客が荷物を遠く離れた配送センターまで取りに行かなくてよいこと。このキャンパスは、学生と大学職員を含め約7万人が生活をする1つの巨大な街であり、従来学生は、宿舎から宅配物センターまで約1〜2キロの距離を歩いて往復していた。

大学生に話を聞くと、数万人が生活する場所の配送センターともなると莫大な量の宅配物が並べられ、そこから自分のものを見つけるのには時間がかかる。また、取り違えが起きたり、盗まれたりすることも日常茶飯事であったという。

しかし、配送ロボットが取り入れられたことにより、それらの煩わしさから解放されたのだ。学生たちはスマホのアプリ上で配達時間を予約することができる。そして、配送ロボットが予約時間に寮の玄関先までに届けてくれるのだ。その上、配達地点に到着するとロボットが電話をして知らせてくれる。

この配送ロボットは天気や路面状況によって配送スピードを計算し、変更する。右折、左折、バックも問題なく、障害物を感知して避けること、止まることもできる。

アリババは2017年時点で、既にこの大学構内で試験運転を進めていたが、安全性を考慮した上で正式運用とはならなかった。しかし昨年11月、技術の発達と新型コロナ流行期間に中国人に根付いた“無接触”の意識が結びつき、実用化へと至ったという。

なぜ今、中国でこんなにも急速に無人化が進むのか。アリババグループで無人化技術を開発研究する郭振宇さんに話を聞いた。「中国はもうすぐ1日の宅配物が10億個に上る時代がやって来る」という。そのような時代を目前にし、解決しなければならないのは「末端の物流」だと話す。

■「アフターコロナ」の時代

中国に住む私から日本のコロナ関連ニュースを見ると、毎回、日中間の温度差に驚く。日本で毎日数千人の新規感染者が出ても、それほど大袈裟な事態になっていない。中国では1人無症状感染者が出ただけでその地区は大騒ぎとなり、もし10人感染者が出ようものなら、その地区の学校は全て休校、何十万の住民全員に無料でPCR検査を受けさせるなど、徹底した感染防止対策が実施されるからだ。

今回、私がマスク無しで自由に取材に動き回っている姿を見て頂ければ分かるが、中国は目下、コロナ対策と経済復興を両立させている。そしてさらに、このコロナ禍をきっかけとして、より多くの業界で非接触型の無人化が進むと考えられている。

記事執筆
竹内亮

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気になる新たな論文が…「旅行者のコロナ感染者は4倍超」

https://news.yahoo.co.jp/articles/089dcb9866b48bf57397965ca6de984f0a74fcd8

2020/12/30(水) 9:26 日刊ゲンダイデジタル

 東大の研究チームが12月に「Go To トラベル(以下、Go To)」の利用と発熱などの症状の関連を調査した研究が話題になった。  それは約2万5000名のアンケート調査を解析し、回答前1カ月間に新型コロナウイルスの感染が疑われる5つの症状を経験したかどうかと、「Go To」の利用との関連を解析したもので、5つの症状のすべてで「Go To」利用者の発症割合が高かった。  ただし、東大の論文では、それがコロナ感染かどうかの確認はなされていなかった。  続いて発表されたのが「2020年8月か9月に旅行に行った者は新型コロナウイルス感染と診断されやすかったか?」という論文。  この論文は経済産業研究所のホームページ上で発表されたもので、同研究所で行われた「新型コロナウイルス流行下における心身の健康状態に関する継続調査(研究責任者=宗未来・東京歯科大学准教授)」のデータの一部を用いて解析が行われた。  この論文がさらに踏み込んでいるのは、「コロナにかかったと医療機関で診断されましたか?」と直接確認した点だ。  そのほか「今年の8月か9月に1泊以上の旅行に行ったかどうか」「過去1カ月にコロナに関係する症状(発熱、咳、喉の痛み、だるさ、息苦しさ、味覚・嗅覚の障害、下痢)を経験したか」などを質問しており、全国から1万6642名の有効回答を得た。  さまざまな調整を行って解析したところ、8月か9月の1泊以上の旅行と、コロナ感染の診断との間には、統計的に有意な関係性がみられた。「コロナ感染が診断された」という人は、旅行をしていない人では0.4%だったが、旅行をした人では1.8%。7つの症状はいずれも旅行した人で割合が高かった。「コロナ治療中」の回答者は、旅行していない人では0.1%、旅行した人では1.2%。 「この結果は旅行とコロナ感染の因果関係を示すものではなく、旅行をする人はコロナ感染リスクが高い行動も取りやすい可能性や、旅行先で開放的になり密な環境での外食などのリスク行動を取りやすい可能性があるなど、慎重な解釈が必要です。ただ、数値で有意差がみられたことは確か。この調査は第1回目で、2021年10月末まで同じ人を対象に計5回行います。すべての結果がそろえば、もっとはっきりしたことが言えるかもしれません」(共著者の関沢洋一経済産業研究所上席研究員)  やはり長距離の移動は避けたい。

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感染症 社会問題

一人当たりの病床数は“ダントツ”の日本が「医療崩壊の危機」に陥る理由

https://news.yahoo.co.jp/articles/4a0754d258255e90e5f132387864316beb2a0b4c

2020/12/30(水) 7:06 PHPオンライン衆知

新型コロナウイルスの感染者が急増し、医療崩壊の危機も叫ばれている。しかし、欧米と比べると、感染者はまだまだ圧倒的に少ないはず。なぜ、日本の医療体制はここまで脆弱なのか。社会保障の専門家が解説する。 ※本稿は、鈴木亘著『社会保障と財政の危機』(PHP新書)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

早かった危機宣言

コロナ禍は、平時にはなかなか見えにくかった日本社会の諸課題を浮かび上がらせているが、医療分野も例外ではない。 特に驚かされたのが、重症者数も死亡者数もまだそれほど多くなかった2020年4月1日の段階で、日本医師会が早くも「医療危機的状況宣言」を行い、医療崩壊の危機が迫っていると発表したことである。 この時点の重症者数は累計で62人、死亡者数累計は57人(クルーズ船乗船者の11人を除く)にすぎなかったが、1日当たりの新規感染者数は前日の3月31日から200人台に跳ね上がり、累計で2348に達していた。 このため、首都圏を中心に、新型コロナ患者の受け入れ病床が、早くもひっ迫する事態となったのである。 しかしながら、欧米などの世界各国に比べれば、重症者数・死亡者数はもとより、新規感染者数でさえ、我が国はケタ違いに少ない状況であった。しかも、我が国の医療機関は、世界各国に比べて、人口当たりの病床数(ベッド数)が特に多いことで知られている。 例えば、2017年時点で、日本の人口1000人当たり病床数は13.1と、先進各国(OECD加盟国)平均の4.7を大幅に上回る。それにもかかわらず、早くも医療崩壊寸前の状況になったと聞き、本当なのかと驚いた国民が多かったに違いない。

「やりすぎ」だった厚労省

新型コロナ患者の受け入れ病床がひっ迫した理由はいくつかあるが、まず第一に、厚生労働省による感染症対策のレベル設定が高すぎたことが挙げられる。 一言でいえば「やりすぎ」であり、この新型コロナウイルスの特性や医療現場の実態に適合していなかった。その後、医療現場の声を聞きながら修正が図られてきたが、厚生労働省の対応は遅く、小出しであった。 感染症法では、症状の重さや病原体の感染力の強さなどから、感染症を一類から五類の感染症、指定感染症、新感染症、新型インフルエンザ等感染症の8つに分類している。 新型コロナウイルスは指定感染症に指定されたが、これは病原性ウイルスが何かは特定されているが、従来の分類に分けられない新たな感染症であるという意味である。 対応策は政令でかなり柔軟に設定できる仕組みとなっているが、二類相当の感染症と位置付けたため、非常に高いレベルの感染症対策が求められることになった。 二類感染症とは結核やSARS、鳥インフルエンザ(H5N1)が分類されるカテゴリーである。ただ、実際に政令で定めた対応は、二類感染症を超える扱いで、どちらかといえばエボラ出血熱などが分類される一類感染症に近いものになっていた。 具体的には、(1)PCR検査で陽性になった者は、たとえ無症状者や軽症者でも強制的に医療機関に入院させる、(2)まだ陽性と確定していない段階だが、症状などから感染症が疑われる疑似症患者も入院措置をとる、(3)入院後は感染の恐れが完全になくなったことが確認されるまで隔離を続けることとなった。

一般病床の受け入れを増やせぬ理由

第二に、大学病院、公立・公的病院、民間病院などの受け入れ可能病床を、なかなかスムーズに拡大できなかったことが、病床のひっ迫を招いた。 もちろん、各都道府県は、域内の病院を集めた説明会を何回も開いたり、個別に交渉を行うなどして、一般病床を少しずつ空けるよう懸命の調整努力を行ってきた。 しかし、感染症指定病院ではない普通の病院にとって、新型コロナ患者を受け入れることは大変ハードルが高い。まず、新型コロナ患者の対応には、感染症専門医や訓練された医療スタッフが必要となる。 また、院内感染を防ぐためには、新型コロナ患者専属の医療スタッフを張り付け、既に世界的にひっ迫していた防護具を十分に用意しなければならない。彼らの家族への感染を防ぐためには、病院の近くのホテルに長期滞在してもらうなどの対応も必要である。 陰圧室(空気感染を防ぐために、気圧を低くしてある病室)や隔離用の障壁なども急遽設置しなければならない場合もある。したがって、都道府県が依頼できるのは、どうしても広さやマンパワーに余裕のある大規模病院に限られる。 さらに、こうした病院は空き病床がそもそも少ない。我が国の入院医療サービスの価格(診療報酬)は、基本的に患者が病床にいないと計算できない仕組みであり、検査代・手術代などの治療費以外に、ただベッドを使っているだけで請求できる診療報酬部分が意外に大きい。 したがって、病院経営は「病床を埋めてナンボ」の世界と言われ、いかに空き病床を少なく管理するかが医業収益の決め手となっている。もし新型コロナ患者を受け入れるとなると、高い収入が期待できる他の病気の入院患者を断らなければならなくなる。 さらに、風評被害などで、入院だけではなく、外来の患者数までも減少する可能性が高い。医療スタッフに対する差別も発生する。これでは、各病院とも、なかなか受け入れを了解できる状況ではない。

金銭的補償の問題

さらに、新型コロナ患者数が急増している都市部では、そもそも厚生労働省・都道府県による一般病床の数量規制(病床規制)が厳しく行われており、普段から病床が足りないぐらいである。 その上、近年は「地域医療構想」によって、高度急性期病床や急性期病床を削減・転換するよう、病院に「圧力」がかけられてきた。特に公立・公的病院については、再編統合や病床数の適正化案の作成期限が2020年3月に迫るというタイミングであった。 こうした事情もあり、各都道府県の担当者は、医療機関との調整が非常にやりにくかったはずである。 せめて、新型コロナ患者に対する診療報酬を大幅に引き上げられれば、調整も進めやすいのであるが、2020年2月から4月前半までは、病院に対する金銭的補償はほとんど存在しない状態であった。 厚生労働省が新型コロナ重症者への診療報酬を倍増させたのは、ようやく4月半ばのことであった。さらに、それでは全く採算が取れないという現場の声を聞き入れ、3倍増にしたのは何と5月末のことである。 また、空き病床確保に対する交付金が措置されたのは第二次補正後の6月半ばのことであった。あまりにも遅く、小出しの対応と言わざるを得ない。 どうしてこのような「戦力の逐次投入」ばかり行うのだろうか。これは厚生労働省の担当部局の想像力欠如(先読み能力不足)やロジスティクスの甘さもさることながら、診療報酬変更が「中医協」(中央社会保険医療協議会)で了承を得る仕組みとなっていることが大きい。 関係者間の高度な合意形成と利害調整が求められ、小回りが利かない中医協の問題点については拙著『社会保障と財政の危機』(PHP新書)で述べたので、興味がある方はご一読いただきたい。

都道府県間の協力関係が希薄

第三に、都道府県間の協力関係が希薄で、都道府県をまたいだ病床の融通がほとんどできないことも、特に都市部の病床が簡単にひっ迫してしまった原因である。 例えば、東京都内の病床がひっ迫しても、周辺の県の協力を得ることができないのだ。病床の調整作業は基本的に都道府県が担っており、せっかく調整できた病床を他県に譲ることなど、都道府県の首長や職員の立場では発想ができない。 しかも、近年、地域医療構想によって、病床削減や機能別病床の適正化についても、都道府県の責任が強く求められ、都道府県ごとに進捗状況を競わされてきた。 簡単に言えば、厚生労働省による都道府県別の分断統治が進んできたのである。このため、たとえ都道府県がお互いに病床を融通し合おうと思っても、もはやそのためのパイプも存在しない状況である。

機能分化の遅れと勤務医不足

出典:鈴木亘(著)『社会保障と財政の危機』(PHP新書)

お互いに譲り合う協力関係が機能していないのは、都道府県内、市区町村内も同様である。 今回、ベッド数のみならず医療スタッフの不足も指摘されているが、周辺の中小病院や診療所はコロナ禍でむしろ患者数が減っているのだから、診療時間を少なくするなどして、応援にかけつけることができるはずである。 しかし、我が国の場合には、大規模病院と中小病院、診療所は、普段から競争関係にある。なぜなら、患者はどこの医療機関に行ってもよい「フリーアクセス」の制度となっているからである。 例えば、読者の皆さんが体調が悪いと思った場合、近くの診療所に行ってもよいし、中小病院に行ってもよいし、大きな総合病院に行ってもよい。医療機関から見れば、お互いが皆、商売敵である。 このため、我が国はもともと医療機関間の連携・協力関係が進みにくい。この点、イギリスやデンマーク、オランダなどの「かかりつけ医」制度が発達している国々では全く状況が異なる。体調が悪いと思った場合には、まずは近くの「かかりつけ医」に行かなければならないルールである。 かかりつけ医が手に負えない病気であると診断して初めて、紹介状を持って病院に行くことになる。 診療所(かかりつけ医)と病院の役割分担が異なるため、普段から地域内で協力・連携し合う関係が成立している。これは、必ずしもかかりつけ医に最初に行くことが義務付けられていないフランスやドイツでも同様である。 我が国の場合、かかりつけ医制度や、医療機関間の役割分担(機能分化と連携)の必要性が叫ばれて久しいが、なかなか進まない。 第四に、そもそもの問題として、我が国は病院の勤務医が恒常的に不足している。一方で、診療所の開業医数にはかなりの余裕がある。今回の新型コロナウイルスに限らず、災害時などにおいても、簡単に病院がパンクしてしまう背景には、病院の勤務医不足の問題がある。

鈴木亘(学習院大学経済学部教授)

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「空気を読む日本人」ほど、なぜか「自粛警察」になってしまう“意外なワケ”

https://news.yahoo.co.jp/articles/23d554f720e456f2a85fb1cf0ff7f6de0956553f

2020/12/29(火) 7:31 現代ビジネス

「バカ、死ね、潰れろ!」と…

写真:現代ビジネス

 「コドモアツメルナ オミセシメロ マスクノムダ」  こんな貼り紙が千葉県八千代市の駄菓子屋『まぼろし堂』の門に貼られた。 【写真】メンタルの強い人が、なぜか絶対にやらない「意外なこと」があった!  「最初にこみあげてきたのは、恐怖の感情でした。ほかにも何かされるんじゃないかって」と語るのは、店主の村山保子さんだ。  これが貼られたのは、4月29日のこと。村山さんは、その1ヵ月も前の3月28日から店を自主的に閉めており、休業告知もしてあった。  「近所の方はうちの休業は知っていたと思うので、離れた所から来た人かもしれません。私たちは何も悪いことはしていません。なのに、どうしてこんなことをされないといけないのか。『自粛警察』なんて言われていますが、やっていることは犯罪と一緒じゃないでしょうか」  今年、「自粛警察」という言葉がすっかり一般化した。正義をふりかざして他者に同調を強要するこの現象は、とくに自粛期間中に顕著になった。いま再び新型コロナの感染者数が増えている。自粛警察の動きも再び活発になるのは間違いない。  鴻上尚史氏と佐藤直樹氏の共著である『同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか』が大きな話題となっている。これも、コロナが顕在化した同調圧力のウラ側にある、日本人の国民性や文化を鋭くえぐり出しているからだろう。  神奈川県横浜市の居酒屋『バンバン番長』は、店の入口に貼っていたポスターに、「バカ、死ね、潰れろ!」と書きこまれ、営業自粛を知らせる店側の貼り紙にも「そのまま辞めろ!」と落書きされた。  さらにこれらがニュースで報じられると「なぜ店を閉めないんだ」などのいやがらせの電話がかかってきたという。

スッキリする…

 「こっちだって困らせようと思って営業しているわけではないんです。生活するためには、営業時間などのルールを守って工夫しながらやっていくしかない。書き込みされたのは4月29日ですが、その頃でもお客を入れたのは昼ランチのみで、夜はテイクアウトで対応していました。ゴールデンウイーク中は店を閉めるかどうか、かなり悩んでいました。でも、あんな書き込みをされたら休むしかないですよ。本当に世の中ギスギスしていると思います」(店主の飛田和晃さん)  こうした被害にあった店は各地にある。中でもパチンコ店や、感染拡大の元凶と名指しされた「夜の店」などは、自粛警察の最大のターゲットになった。これらの業種が特に狙われたのはなぜなのか。『同調圧力』の共著者、鴻上尚史氏が語る。  「分かりやすい敵、叩いても誰からも文句を言われる筋合いはないだろうと思われる敵だったからでしょうね。攻撃する側には、政府の自粛要請に乗っかっていれば、とりあえず自分が攻撃されることはない、否定されることはないという意識がある。同時に、ネットに店の名を晒すとか、感染者の名前や住所を晒してリツイートされたり、『いいね! 』が押されることで、自分の存在意義が確認されたような気になる。そうした時代の風潮が、攻撃の度合いを加速させているのだと思います」  攻撃には生理的な背景もあると指摘するのは、医師の梅谷薫氏だ。  「私たちが抱く感情、特に『不安』という感情は、特定の行動をとることで解消されます。自粛警察と呼ばれる現象も、不安解消のための行動と言えます。さらに他者を非難したりバッシングしたりすると、ドーパミンなどの快感ホルモンが出て、スッキリするのです」

大義名分と正義

 とはいえ、闇雲に攻撃したのでは、自分のほうが叩かれる。そこで振りかざされるのが「正義」だ。梅谷氏が続ける。  「他者を罰するためには『大義名分』が必要です。自分にとっての『正義』といってもよい。自粛要請が出ているのに営業を続けるパチンコ店などは、大義名分や正義をふりかざす恰好のターゲットになる。ネット社会になってから、こうした歪んだ正義感で他人を支配しようとする傾向が強まり、今回のコロナでさらにその傾向が増大されたと思います」  「出る杭は打たれる」という諺にもあるとおり、もともと日本社会は欧米に比べて同調圧力が強い社会だといわれてきた。その理由を、『同調圧力』の共著者である、佐藤直樹氏が解説する。  「日本には細々とした『世間のルール』というものがたくさんあり、皆が守らなくてはいけないと思っています。日本人は、法律学で最も大事な権利も人権も信じていません。つまり法律を信じていない。では、何を信じているのかというと、世間のルールを信じているのです」  この「世間」が同調圧力を読み解くヒントになる。佐藤氏が続ける。  「日本人が一番恐いと思っているのは『世間』から排除されることなので、そうされないために、みんな几帳面に世間のルールを守っています。会社という世間に属している会社員の言動も同じです。そこで、その世間や会社などのルールから外れていると見なした人に対して、自粛警察のような強い同調圧力がかけられるのです」

日本と欧米の「違い」

 日本と欧米のこの違いは、今回のコロナの対応に表れている。心理学者の榎本博明氏が解説する。  「ドイツやフランスでは、再びの感染増加にともなってマスクの着用が義務化され、違反者に対しては罰金が科せられることになりました。それに対して、個人の自由や人権を尊重する文化で育った欧米の市民から、自由や人権の侵害だという批判の声が上がり、さまざまな反対運動も起こっている。市民の怒りの対象は、法で規制した政治権力に向かっているのです。  一方、日本は法的な規制は行わず、自粛の要請で対処しています。日本では、国民の自己犠牲によってコロナ対策が成立しており、明らかな規制の対象がいないため、不満の矛先が同じ市民に向かっているのです」  コロナの第一波の際、確かに欧米政府はロックダウンや外出禁止令など強権的な法でコロナを抑えにかかった。  「欧米は、法のルールに則った形で強硬策をとりました。なぜ強硬な手段をとらなくてはならないかというと、皆が言うことを聞かないからです。ロックダウンの際は反対デモがあり、マスク着用義務についても、反対のデモが起きています。一方、日本の場合は自粛と要請。しかも罰則はありません。法的な強制力がなくても『同調圧力』があるから、それが法律の替わりになる。自粛に応じない人間に対して、国からではなく世間から、『空気を読め』という圧力がかかるのです」(前出・佐藤氏)  コロナを理由に家族との面会を禁じるのは人権侵害だとして、イタリアの刑務所では暴動も起きた。日本の刑務所でも、同様の措置がとられているが、日本では抗議活動は起こっていない。コロナ下のいま、面会できないのは仕方がないと「空気を読んでいる」のだ。

同調しないと不安

 この極端な違いはどうして生まれたのか。前出の梅谷氏は、こう指摘する。  「日本は長らく大陸からの武力介入を受けず、独自の発展を遂げてきました。その間、『ガラパゴス』とも呼ばれるような閉鎖された環境が維持された結果、他国とは異なるさまざまな慣習やルールが生まれました。その典型がムラ社会のルールです。農業を中心とする日本のムラ社会では、互いに気をつかい合い、場の『空気』を読むような態度が尊重されてきました。個人ではなくムラという集団の規律を重んじ、ムラに忠誠を尽くすことが何より重視され、それから外れることを禁じる風潮が形成されたのです。これが無言の圧力である『同調圧力』の背景にあるものです」  同調圧力が著しく大きくなって社会が逼塞したのが戦時中だ。  「戦時中は『欲しがりません、勝つまでは』という同調圧力が世間全体にかかり、『隣組』などがこの圧力を担っていました。戦時中の隣組は、まさに自粛警察です。世間はこの当時とあまり変わることなく、今日まで来たのだと思います」(前出・佐藤氏)  梅谷氏のいう「ムラ社会」、佐藤氏のいう「世間」が担っている同調圧力社会を、社会学者の内藤朝雄氏は「中間集団全体主義」という言葉で解説する。  「日本を語る際の重要なキーワードが、中間集団全体主義です。日本は、学校や会社、自分がたまたま属したグループが小さな世界となり、そこでの論理や秩序がすべてとなってしまいます。仲間内で当たり前とされるムードが、広い社会の普遍的な理念やルールに競り勝ち、小さな共同体に呑みこまれていく。  むしろそれが社会の当たり前の形だという感覚、そしてその感覚を抱かせる仕組みが広がっているのです。そうした社会のことを中間集団全体主義社会というのですが、これがあるため会社員は社畜になり、学校では学校の奴隷のような生徒が生まれてしまいます。その集団に同調しないと不安になるところから、自粛警察やいやがらせが生まれてくるのです」

自粛警察ユーチューバーが語る

 とはいえ、同調圧力のすべてがマイナスかというと、そうではない。  「例えば日本の犯罪率の低さは、同調圧力に拠る部分も大きい。同調圧力が強いため、逸脱行為が抑止されて、犯罪までいかないのです。日本の殺人率はアメリカの17~19分の1、ヨーロッパと比べても3~4分の1です。韓国・中国と比較しても2分の1から3分の1で、日本は圧倒的に治安がいい。これは『他人に迷惑をかけてはいけない』という世間のルールが同調圧力となって働いているためでしょう」(前出・佐藤氏)  一概に「悪」と言えないところに、同調圧力や自粛警察の問題の根深さがある。  実際に「自粛警察」と呼ばれた人は、どう考えているのだろうか。自粛要請期間中、自治体からの要請を拒否して営業を続けたパチンコ店まで出向き、店に通う客とのやりとりの動画を顔出しで公開した「自粛警察ユーチューバー・令和タケちゃん」に話を聞いた。  「ざっくりいえば、緊急事態宣言で皆が自粛している最中、開き直ったパチンコ利用者があまりにも目にあまったので、言論の自由の範囲で政治活動として呼びかけました。ナンバープレートに落書きをしたり、物を壊したりといった他の自粛警察のような犯罪行為はしていません。  相手が逆上したので売り言葉に買い言葉で激しいやりとりになりましたが、当時は平時ではなく有事でしたから、国の指針に反して社会を混乱に招く人たちに抗議しただけです」  正義感から「政治活動」に立ち上がったのかと尋ねると、令和タケちゃんはこう答えた。  「正義感というよりも使命感です。誰もやらないからやった。国もやらない、誰も抗議しない、影響力のある人が発信するわけでもない。だから私は公道を使って、あくまで政治活動として客に注意を行ったのです。  本来なら国がやるべきことで、一般人がやるべきことではない。政治が強制力のある特措法を作るとかしないといけません。そうした法的な根拠がないから、日本だけが『自粛のお願い』などというヘンな日本語を使い、法的な強制力がないから同調圧力になってしまうのです」  タケちゃんも、同調圧力がよいとは考えていないのである。

人は快適なほうへ従う

 私たちはどうしたらこの同調圧力から逃れることができるのか。鴻上氏は、こう語る。  「唯一の『世間』とは別の緩い『世間』に複数所属して、強力な『世間』から来る同調圧力を弱めていくこと。別の緩やかな世間とは、会社や学校とは異なるサークルでもいいし、ボランティアグループでも良い。そして、世間話ではなく『社会話』のスキルをあげて、自分と全く関係のない人達との会話を楽しめるようになることが重要だと思います。結局、それぞれが自分のできるやり方で同調圧力と戦うしかないのだと思います。でも、同調圧力に従わず、自分のやりたいことをやるのはとても快適なことなので、徐々に多くの人が追従していくことを期待します。人は快適なほうへ従いますから」  佐藤氏の意見はこうだ。  「同調圧力から逃れるには、お中元やお歳暮は贈らないとか、世間のルールをなるべく緩く考えていくことが重要だと思います。上司が帰るまで帰れないといった世間のルールがあるけれど、コロナでリモートワークが広がった今、そんな悩みもなくなっていくはずです。それが過労死の解消にもつながっていく。せっかくコロナでこういうことがわかったのだから、世間のルールを少しずつゆるめていくことを意識的に考えていったらいいのではないでしょうか」  コロナ禍は日本社会の構造と歪みを浮き彫りにした。「災い転じて福となす」チャンスになる可能性もあるのだ。

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“日本の第3波は深刻化しない”専門家が指摘する4つの根拠

https://news.yahoo.co.jp/articles/df3f55388b209e477b7404902cff9f9c3fcefc75

2020/11/22(日) 6:03配信 女性自身

「今回、第3波が来たことは間違いないです。これから冬を迎えて感染者が諸外国のように爆発的に増えるのではと心配されていますが、私はそうはならないのではないかと思います」 【写真あり】再緊急事態宣言に消極的な菅首相 こう語るのは元WHO専門委員でハーバード大学院卒の医学博士・左門新先生。新型コロナウイルスが日本でパンデミックを起こす可能性について疑念を示す左門先生だが、状況は日々悪化するばかりだ。 北海道を皮切りに、埼玉県、大阪府などで次々と過去最多の1日での新規感染者数を更新。そして11月14日には全国でも過去最多となる1708人を記録する事態となった。 ある医療ジャーナリストは緊迫した表情で言う。 「日本医師会会長は11日に『第3波と考えていい』と発表し、政府への対策を求めました。特に感染拡大が深刻な北海道は観光客が激減し、“Go Toトラベルキャンペーンから除外すべき”といった議論も起きています」 世界の状況はもっと深刻だ。 「アメリカは11月に入ってからも1日当たりの感染者数が15万人と過去最多を更新し、死亡者数も連日1千人超え。ヨーロッパもいまだに収まる気配はなく、イギリスやフランスなどで次々とロックダウンが行われる事態となっています」(前出・医療ジャーナリスト) しかし、本誌が取材を進めていくと左門先生をはじめ、医師たちからは“日本の第3波は深刻化しない”と予想する声が相次いだ。その“根拠”を紹介する。 【1】死亡者数が少ない 第2波とされる8月前後から今まで、感染者増に対して死亡者は10人前後で横ばいに推移している。感染者数が今より少ない第1波よりも死亡者は減っている状況でさえあるのだ。 免疫学を専門とする順天堂大学医学部の奥村康特任教授もこう指摘する。 「感染者が増えているとはいえ、日本は欧米と比較しても重症者数、死亡率そのものが低いのです。 新型コロナウイルスだけで肺がダメになったり、血栓で亡くなる方というのは全体の1割くらいでしょう。またPCR検査で陽性だと診断されたあとに何かしらの持病があって合併症で亡くなった方も、新型コロナで亡くなったことにされてしまうケースも多いのでは、と感じています」 【2】ウイルスの致死率が低い&弱毒化している 日本の死亡率が低い背景にはウイルスの持つ“パワー”が関係しているという。奥村教授は言う。 「中国・武漢から発生したウイルスは3種類といわれていますが、大きく分けると2種類になります。欧米などはL型、アジアはS型といわれ、その差はアミノ酸がひとつ違うだけ。しかし、不思議なことに致死率が違うのです。韓国や台湾、日本などのS型はそもそも毒性が弱いのです」 左門先生は国内で流行しているウイルスの毒性が今後弱まっていく可能性を指摘する。 「強毒なウイルスは徹底した隔離などの対策によって広まりにくく、結果的に弱毒なものが生存していくことになります」

すでに“集団免疫”が起こっている可能性も…

【3】“集団免疫”獲得の可能性 集団の大多数がウイルスへの免疫を保持していると、免疫を持たない人への感染が及ばなくなるとされる集団免疫。奥村教授によると、日本ではそれに近いことが起こっている可能性があるという。 「ふだんからS型にさらされるような環境にいたことで、ある種の免疫がつきます。普通の風邪は従来のコロナウイルスから発症します。つまり、新型コロナウイルス流行中に、普通の風邪をひいた人が新型に対してある程度の免疫ができるのです。これはある意味、集団免疫を持っている状況ともいえるでしょう。 また数カ月前にはアメリカの権威ある医学誌が『ウイルスのタイプ次第ではあるが、日本人で重篤な人が増えることは少ない』と発表していました」 【4】日本人の国民性 経済活動を維持しながらも、欧米より少ない感染者数を維持できた背景には、“日本人の国民性”があるとにらむのは左門先生だ。 「国の対策が不十分でも感染者が少ないのは、国民一人ひとりがしっかりやるべきことを守っているからでしょう。マスクも屋外ではあまり必要ありませんが、“とにかくマスク”と言われたことをきちんと守ったことで、必要な場面でも徹底されたわけです」 4つの根拠を見ると、つい安心してしまいがちだが、対策をゆるめていいわけでは決してない。奥村教授は、経済との両立を説きながらも、こう忠告する。 「経済活動が活性化すれば、感染者は増えていきます。もちろん、ロックダウンなどは経済活動のためにもするべきではありません。ですが持病のある方や高齢者は、免疫機能も低いですから手放しで旅行に行くのではなく、注意は必要です」 左門先生は日々の徹底した心がけが肝要だと説く。 「手洗いは10分おきなど頻繁にはできません。なので、アルコール消毒スプレーを日ごろから持ち歩き、何かに触ったらすぐに指先に吹きかけるほうがいいのです。スプレーしたら15秒ほどこすって、アルコールを満遍なく広げてください。マスクと消毒、国民みんながこれを徹底すればワクチンに匹敵する効果があるはずです」

「女性自身」2020年12月1日・8日合併号 掲載

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独・ベルリンで“反マスク運動”3万8000人デモ

https://news.yahoo.co.jp/articles/cf5e4f37acdba8dd2a9979bd39cf1f47b64711d8

2020/8/30(日) 7:15配信 TBSニュース Yahooニュース

 ドイツでは、新型コロナウイルスの感染対策により基本的な人権が侵害されているとして、「反マスク運動」とも呼ばれる大規模な抗議デモが行われました。  「新型コロナウイルスの規制に反対するデモが開かれ、多くの人が集まっています」(記者)  首都ベルリンの中心部にはおよそ3万8000人が集まり、「移動制限」などの感染対策は行き過ぎで、ドイツの憲法にあたる基本法に違反していると訴えました。参加者らは個人の自由を侵害する政府の規制に従う必要はないとしていて、特にマスクの義務化に反対し、着用を拒んでいることから「反マスク運動」とも呼ばれています。  「マスクをせず差別されるのはおかしい。着用するかは個人の自由に任せるべき」(デモ参加者)  同様のデモはフランスなどヨーロッパ各地に広がりを見せていて、感染拡大が続く中でコロナ対策とのバランスが問われています。(30日06:08)