カテゴリー
人々(新型コロナに関連して積極的に発言する方々)

藤井聡(ふじいさとし)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%97%A4%E4%BA%95%E8%81%A1

Wiki

藤井 聡(ふじい さとし、1968年10月15日 – )は、日本工学者社会工学)。学位博士(工学)京都大学1998年)。京都大学大学院工学研究科教授、京都大学レジリエンス実践ユニットユニット長国立大学法人京都大学理事補。

京都大学大学院工学研究科助教授東京工業大学大学院理工学研究科教授などを歴任した。

カテゴリー
人々(新型コロナに関連して積極的に発言する方々)

尾身茂(おみしげる)

敬称略

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%BE%E8%BA%AB%E8%8C%82

Wiki

尾身 茂(おみ しげる、1949年(昭和24年)6月11日 – )は、日本医師医学者地域医療感染症国際保健)、厚生官僚国際公務員学位医学博士自治医科大学)。独立行政法人地域医療機能推進機構理事長(初代)、世界保健機関西太平洋地域事務局名誉事務局長、自治医科大学名誉教授新型インフルエンザ等対策閣僚会議新型インフルエンザ等対策有識者会議会長新型コロナウイルス感染症対策分科会長。

東京都立墨東病院伊豆諸島の診療所での勤務を経て、自治医科大学医学部助手となり、厚生省保険局医療課に勤めたのち、世界保健機関西太平洋地域事務局事務局長(第5代)、世界保健機関事務局長選挙候補者、自治医科大学地域医療学センター教授、世界保健機関執行理事、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構理事長(第2代)、世界保健総会会長などを歴任した。

2019年の新型コロナウイルス感染症の流行にともない、新型コロナウイルス感染症対策本部の下に新設された新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の副座長を務めた。また、新型インフルエンザ等対策閣僚会議新型インフルエンザ等対策有識者会議においては会長を務め、基本的対処方針等諮問委員会の委員長も兼務していたことから[2]、新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言の妥当性について新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき審議した

カテゴリー
人々(新型コロナに関連して積極的に発言する方々)

木村盛世(きむらもりよ)

敬称略

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%A8%E6%9D%91%E7%9B%9B%E4%B8%96

Wiki

木村 盛世(きむら もりよ、1965年3月9日 – )は、日本の医師、元厚生労働省医系技官ノンフィクション作家である。名を平仮名表記した木村 もりよ名義を使用することもある

新型コロナウルス対策について

木村氏は、新型コロナウイルス対策[9]について、自身のツイッターで以下の通り発信した。

最終的に新型インフルエンザより致死率が低くなるであろうと想定される感染症に対して、社会経済活動を止める合理的な理由が見つからない。今後、自殺だけでなく、餓死、孤独死も考えられる。中長期的に国をまもらないといけない。病気は新型コロナウイルスだけではない[10]。(2020年5月1日)

カテゴリー
人々(新型コロナに関連して積極的に発言する方々)

山中伸弥(やまなかしんや)

敬称略

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E4%B8%AD%E4%BC%B8%E5%BC%A5

Wiki

山中 伸弥(やまなか しんや、1962年昭和37年〉9月4日 – )は、日本医学者京都大学iPS細胞研究所所長・教授カリフォルニア大学サンフランシスコ校グラッドストーン研究所上席研究員。日本学士院会員。学位大阪市立大学博士(医学)。その他称号としては京都市名誉市民東大阪市名誉市民、奈良先端科学技術大学院大学栄誉教授、広島大学特別栄誉教授ロックフェラー大学名誉博士香港大学名誉博士、香港中文大学名誉博士などを有する。文化勲章受章者。大阪府枚岡市(現・東大阪市枚岡地区)出身。

「成熟細胞が初期化され多能性をもつことの発見」により、2012年のノーベル生理学・医学賞ジョン・ガードンと共同受賞した

カテゴリー
感染症ニュース

山中教授の「コロナで10万人以上亡くなる」発言を検証 専門家「すでにピークアウト」

https://news.yahoo.co.jp/articles/2a9cb5dae0a2ebcb8989e4594d89ca319c6bd104

7/22(水) 5:56配信 デイリー新潮

 50人超えの次は100人超えが続き、ついには200人超えの連続。東京都の新規感染者数はまさに指数関数的に増えているかのようで、これでは不安になるというものだ。ところがこれらの数字、自然の確率からはかけ離れ、操作されていた可能性が濃厚という。 コロナの日本人死亡率はなぜ低い 山中伸弥教授が名付けた“ファクターX”に迫る  ***

重症者用ベッドには余裕が

 東京都内における新型コロナウイルスへの新規感染者数は、7月13日こそ119人だったが、12日まで4日連続で200人を超えた。しかも9日に224人、10日に243人と過去最多を更新したとあれば、不安を抱くなというのが土台無理な注文であろう。  例によって、テレビのワイドショーがこの数字をもとにさらなる不安を煽っている。たとえば、13日のテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」では、白鴎大学の岡田晴恵教授が、 「いまは対策をそんなに打たれてませんので、減る要素がないんですよね。(中略)月内に500人を超すかなっていう」  と発言。コメンテーターで同局の玉川徹氏も、 「緊急事態宣言を出すか出さないかといったら、早く出すしかないです」  と言い切った。いま、こうして扇動するのはワイドショーにかぎらない。12日には立憲民主党の枝野幸男代表もこう述べた。 「なにもせずに放置している状況は許されない。少なくとも東京を中心にして緊急事態宣言を出すべき客観的な状況だ」  専門家でもないのに、なにをもって「客観的」と判断したのか不明だが、経済に壊滅的な打撃を与えたあの2カ月に戻ろう、という声が各所で上がりはじめているのだ。国際政治学者の三浦瑠麗さんは、 「過去の緊急事態宣言を事後的に検証しないまま、外形的に同じ状況だから過去と同じことをすべきだ、と主張するのは間違っていますが、それをメディアも野党もやってしまっています。そもそも4、5月の緊急事態宣言は、医療崩壊を避けるのが目的でしたが、現在、重症者用のベッドはまったく埋まっていません」  と看破する。実際、全国の新型コロナによる重症者数は、4月30日には328名だったが、7月12日時点では34名にすぎない。

山中教授の見解

 それでも日増しに空気の重苦しさが増すなか、次のような発言はダメ押しにならないか。10日、日本循環器学会が、京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授と、8割おじさんこと北海道大学の西浦博教授の対談動画を公開したが、そこで山中教授が披露したのは、こんな見解だった。 「アメリカの状況を見ていると、(西浦)先生が予想されたことはまったくその通りで、ロックダウンをして、日本なんかくらべものにならないぐらいの対策をやって、それでもいま大変なことになっている。300万人近くが感染され、13万人くらいは亡くなっているわけで、イギリスとか見ても5万人近い方が亡くなっていて、イギリスの人口は日本の3分の2くらいだと思いますので、それを見ても、このウイルスの潜在的な恐ろしさといいますか――」  そして、日本についてこう断じたのである。 「対策をとらなければ、日本でも何十万人という方が亡くなってしまうというのは、もう間違いないことだと思うんですね。(中略)日本はなにも対策をしなければ、いまからでも10万人以上の方が亡くなる。そのくらい、このウイルスはまだその辺りにいっぱいいるんだと。この事実は、僕たちはまだ絶対忘れてはいけないことだと、僕は思っているんですが」  山中教授もノーベル医学・生理学賞こそ受賞しているが、感染症やウイルスの専門家ではない。厳しい対策を望む声が日増しに高まるが、大阪大学の核物理研究センター長、中野貴志教授は次のように言い切るのだ。 「今回の感染は7月9日前後にピークを迎えています。いつ感染したかで考えると、推定感染日を2週間前とすれば、6月25日前後にはピークアウトしていたことになります」

自然減の傾向が強い

8府県の新規感染者数の推移予測

 中野教授の発言は、自身が考案した「K値」の計算にもとづいている。これは大阪府も感染対策に用いている指標で、直近1週間の新規感染者数を、累積感染者数で割って算出する。これまで先にK値で予測を立て、以降の感染者数を見ると、数字はほぼ予測どおりに推移してきたという。 「K値はスピードメーター。感染拡大率が変化する速度を測ります。ボールを投げたとき最も速いのは投げた瞬間で、その先は頂点に向かって上がっている最中でも、勢いはどんどん落ちる。その勢いの落ち方は一定です。新型コロナの感染者数も、同様に感染拡大率が一定の勢いで落ちると仮定すると、感染拡大期の最初の8日間ぐらいを見れば、その後の数が予測できます」  そう説明する中野教授は、各国の感染状況をK値で予測してきた。その結果、「仮定」は「観測事実」になったと胸を張るが、その目にいまの感染状況はどう映るのだろうか。 「私は中国由来の流行を第1波、欧米由来を第2波と分けており、いまは第3波ですが、前の二つをまとめて第1波とするなら、第2波、または小流行と呼んでもいい。そのスタートは6月22日ごろ、推定感染日だと6月8日ごろで、第1波のくすぶりではなく新たな流行です。東京の新宿のあとを追うように、同時期に全国で感染者が急増しているので、発生源は新宿の可能性が高い。潜伏していたものが表に出てきたのなら同期しません」  しかし、勢いは落ちる。 「新型コロナの感染者数は、日本をはじめアジア諸国では自然減の傾向が非常に強い。世界中を見渡しても指数関数的に増え続ける国はありません。また日本における感染拡大率の落ち方は、どの地域も同じです。累計感染者数の推移を対数グラフにすると、高さは違っても、形は都市部でも地方でも同じなのです」  もっとも、東京都の今後の感染者数だけは予測しにくいというのである。 「K値は感染者数をもとに計算するので、検査態勢が大幅に変わると影響を受ける。夜の街への集団検査が混ざると、感染者数の波をとらえるのが難しくなる」

7月9日前後にピークアウト

 そこで集団検査が行われていない大都市圏の8府県、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、兵庫、京都、福岡について、K値を使って新規感染者数の推移を予測してみた。すると先述のように、7月9日前後が山の頂になり、ピークアウトしている、という結果が導き出されたわけだ(表参照)。  そして、東京についてもこう結論づける。 「人口が多く、集団検査を行っていない板橋、練馬、豊島、世田谷、渋谷、大田、港の各区の総計で7月初めまでの累計感染者数の推移を見ると、先の8府県とほぼ同じになります。新宿区からの絶え間ない感染者の流入はあっても無視できる程度で、8府県と同様、7月9日前後にピークを迎えた可能性が高いです」  また、京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授は、 「これから高齢者に広まったら危ない、と言われていますが、6月中旬から感染者が増え、すでに1カ月以上経っています。前回の第1波のように死亡者数が増えるなら、重症患者も増えているはずですが、それが増えておらず、感染者は依然、若者中心です」  と説く。今回は医療の逼迫状況に至らないという読みで、そうであれば「緊急事態宣言を出すべきだ」といった発言は、いかに的外れであることだろうか。

ブレーキが利かず

 山中教授の発言について、日本医科大学特任教授の北村義浩医師は、 「10万人以上が亡くなる、というのは、早めに警鐘を鳴らしたのではないでしょうか。みんなが心配して対策を講じればそれでいいと。山中先生の声は各方面に届きますから」  と、性善説に立つが、経済学者でアゴラ研究所所長の池田信夫氏は、 「10万人以上亡くなる、という話を山中教授は“間違いない”などと断定的に述べていますが、どういう計算でそうなるのか全然わからない。西浦教授の数字をそのまま受け入れているのも気になります」  と、懸念して言う。 「山中教授は、なにもしなければ40万人が死ぬ、でも対策したからそうはならなかった、と対談で繰り返していますが、現実には日本で亡くなったのは千人弱。40万人死ぬと言ったが35万人だった、ならわかるけど、40万人が千人で、それは対策のおかげだというのは、常識ではありえない。しかも西浦教授は、自分も前のめりだったと反省しているのに、そこの問題意識が山中教授には全然ありません」  池田氏はそう言って、次のように締めた。 「第1波ではワイドショーなどが非常に大きな話ばかりを取り上げ、西浦教授ら専門家も大きな数字で恐怖を煽り、みなパニックになった。それを反省したからこそ専門家会議を潰して新たな分科会を設け、その意見にワンクッション置くために別途、有識者会議を作ったはず。ところが、その最有力メンバーの山中教授が非常に偏って、ブレーキが利かなくなっている」 「週刊新潮」2020年7月23日号 掲載

カテゴリー
感染症ニュース

「PCR検査せよ」と叫ぶ人に知って欲しい問題

ウイルス専門の西村秀一医師が現場から発信

https://toyokeizai.net/articles/-/349635

2020/05/12 6:00 大崎 明子 : 東洋経済 解説部コラムニスト

「日本はPCR検査の数が少ない」「PCR検査を拡大せよ」との批判の声が高まり、政府はPCR検査数を1日8000から1万5000に増やすとしたが、それでも実際にはなかなか増えなかった。安倍首相は5月4日の記者会見では「地域の医師会にもご協力をいただきながら、全国で20カ所、東京で12カ所のPCRセンターを設置」「東京などの大都市圏を中心に対策を徹底していきたい」と述べた。しかし、PCR検査については多くの難しい問題のあることが指摘されている。そこで、国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンター長の西村秀一医師へのインタビューを行った。ウイルスセンターは国内では数少ない臨床ウイルス学の研究施設であり、全国の医療機関から依頼を受け、ウイルス分離や血清学的検査を行っている。PCR検査の現場をよく知る立場からの問題提起である。「感染者数をごまかしたいから、政府は検査しない」という話がSNSなどでは広まっている。だが、現場の話からはそうした見方とは別の厳しい現実が見えてくる。

特効薬がない中で、重要なのは命をつなぐ治療だ

――PCR検査では偽陰性(感染しているのに検出されない)、偽陽性(感染していないのに検出されてしまう)の問題があって、わかることには限界があるとおっしゃっていますね。

検体採取の仕方がまずいと「ある」ものも「ない」ということになる。だからPCR検査をやって陰性だから安心だということにはならない。職場から「陰性の証明を持ってこいといわれた」という話があるが、そのときに陰性でも翌日に陽性になることもある。つまり、検査を受けた人にとって「陰性」という結果の使いみちはないんです。

PCRの感度が高すぎることによる弊害もあって、偽陽性の可能性もある。PCR検査は検体内のウイルスの遺伝子を対象にしている。本来の感染管理では生きているウイルスの情報が必要だが、それを得ることができないためだ。そうすると、ウイルスの死骸にたまたま触れて鼻をさわったというようなときも陽性になりうる。本当に陽性であっても、生きているウイルスではなく人に感染させない不活性ウイルスかもしれない。

――そうすると、陰性だったから安心して活動できる、陽性だから隔離しないといけない、という判断には使えないということですね。

だから、PCR検査をする目的はなんですか、と問いかけたい。

インフルエンザのように効く薬があってすぐに処方してくれるということなら、やる意味はあるでしょう。「陽性」という結果は役に立つことになる。そうではない現状ではやみくもな検査は意味がない。

いつまでもやってくれないという話が出ているが、症状が悪化したらCTを撮ったり呼吸を見たりして肺炎の治療をきちんとやっているわけです。特効薬がない中では命をつなぐ治療が重要だ。

もしコロナだったら家族にうつしたくないから知りたいという要請はわかる。東京では院内感染が起きているので、医者が心配だというのも共感します。ただ、インフルエンザ並みに市中に感染が広がっているわけではない。全体としてコロナにかかっている人はごくわずかな中で、とりあえずコロナかどうか確認したいから検査をするということは、PCR検査に関わる資源に限りがある以上、無理な話だ。また、陰性だから安心できるというものではなく、防御はいずれにしても必要だ。

検査を担う技師の育成は一朝一夕にできない

――検査資源という意味ではどこがネックになっているんでしょうか。政府は保健所が業務過多なので、医師会と協力して地域外来・検査センターなどを増やすと言っています。

増やしたとか増やすとかと言っているところは検体を採取するところであって、そこで検査ができるわけではない。それが送られてきて実際に検査する地方の衛生研究所がもうギリギリの状態だ。今でも人材も設備も不足しているのに、細いパイプの中に無理に大量の検体を流し込むような状況になる。特に検査技師の問題は大きい。

――多くのメディアでは検体採取を行う保健所の話ばかりで検査の現場の話はあまり出てきません。検査をする技師には専門性と熟練が必要だそうですね。

マイクロリットル単位で何種類もの試薬を順番を間違えずに加えるという根気と技術力の必要な仕事だ。キャラクターの問題もある。私は長く見てきているし、部下を適材適所で配属しなければならない立場なので、向いている人と向いていない人の違いがわかる。長期間根気よくコツコツと取り組める人でないと向かない。自信満々であったり乱暴な雑な人がやるとダメ。それに手先が器用でないとできない。

大本のボトルを汚してしまって全部陽性になったという事故もこれまでいろんなところで聞いている。空中にウイルスが飛んで他の検体に落ちてしまうようなことがないように部屋を分けて、管理に細心の注意を払うことも必要だ。昔からPCRはたいへんだといわれる。その技術を持つ人の養成は一朝一夕にはいかない。

テレビのコメンテーターになっている医師たちが、「(簡単ですよとは言わないまでも)私も研究で何百回となくやりましたが」とか、「人をかき集めて訓練すればできますよ」などと言っているのを聞いて、正直、腹が立ちますね。現場を知らない、完全に上から目線。「検査技師なんて」という一段下に見る感じも透けて見える。

自分の研究のために大した時間の制約なくやっている先生たちと現場の技師の置かれている状況は違う。現場には次から次へと検体が送られてきて時間に追われて、かつ、失敗が許されないという緊張を強いられながら仕事している。

無理をすると「検査崩壊」になる

――日本のPCR検査件数が海外よりも少ないという批判が多いのですが、専門家会議の資料でも、「制度的に、地方衛生研究所は行政検査が主体。新しい病原体について大量に検査を行うことを想定した体制は整備されていない」とあります。

そう。システムとしてつくってこなかった。だが、今、海外と比べて少ないとか、これまで何やってたんだとか、過去を振り返って騒いでばかりいる。ないものねだりではなく、今あるものとこれから先を考えなくてはならない。そこで、検査の人材養成はそんなに簡単じゃないですよということは言っておかないといけない。無理すれば、今年の冬にもういちど大流行したときに検査が追いつかず「検査崩壊」が起きる可能性もある。

――先生は「日経メディカルオンライン」でRNA抽出キット(PCR検査の前段階としてRNA遺伝子を抽出するもの)がすべて輸入品で入手が難しいことを指摘なさっていました。

その問題は非常に危機感があった。世界中で検査しているためなのか原因はよくわからないが、最もよく使われていた欧州の製品の供給が細くなり、アメリカのものも入ってこなくなった。ここへきて国内企業ががんばって作って配りはじめたので、だんだん解消されていくのかもしれない。ただ、それも検査を増やすペースによる。

――RNA抽出からDNAの増幅・検出まで全自動で行う検査機器の開発も進んでいるようです。

全自動で検査できるPCRの機種は限られていて現状ではどこの施設でも使えるわけでもない。主要なメーカーはアメリカ企業なので急に大量に購入しようとしても供給を受けられるのかわからない。値段が高くて簡単に購入できないという問題もある。今各地の衛生研究所にある機器の多くは新型インフルの大流行のあとにようやく配備されたものだ。また、全自動だからと際限なく検査すれば、同じように試薬やそのほかの資材の不足が生じる。

全自動では技師のミスによる偽陽性がたくさん出るということはなくなるだろう。だが、感度が高いことによる偽陽性の問題や検体採取の難しさによる偽陰性の問題など、PCRの根本的な問題はまったく解決しない。むしろ「全自動」という言葉が独り歩きして、医師を含む一般の人たちが無謬(むびゅう)の検査のような印象を持つことが怖い。

――簡易検査も盛んに喧伝されています。

最近は、イムノクロマト法で抗原検査なら簡単で15分でできるという話が出てきた。それでよしとするなら簡単だけれど、実はその感度がPCRに比べたらすごく低い。ほとんど陰性になって、それで済まそうというのは悪魔の誘惑だ。それで出た結果を従来のPCRによる結果と同じと見るんですか、という問題が生じる。その結果の解釈と使い方をあらかじめ決めておく必要がある。それがないとこれも混乱の源になりかねない。

検査資源に限りがある中でどう戦うのか

――新型コロナの感染が長引き、特効薬やワクチンの開発には時間がかかることを前提に、資源が限られた中でPCR検査をどこまでやるのかを決めておく必要があるということですね。

流行が落ち着いてきている今の状況であっても、手術前には新型コロナの陰性確認を全例でやりたいとか、出産する人の全員を検査したいとか、気管切開する前は必須だとか、発熱で来た人には全部やれとか、現場の医師はそれぞれの立場から要求を出してきている。

気持ちはわからないわけではないが、現実的には線引きして優先順位をつけないと大変なことになる。輸入も国産も含めてどこまで資材を準備できるのか。今、弾を撃ち尽くしてしまったら、冬に大流行したときに撃つ弾がないということになる。

さらに、検査を増やして陽性になった人たちをどうするのか、今でも感染症に対応できるところが少ないため、軽症者は自宅待機とかホテル療養とかいっているわけで、そこをどうするのか。

少なくとも症状が出ていない人を調べまくるというのはまずい。症状の出ていない人がうつしまくっているといわれるが、本当にどれほどそうなのか。今、症状が出た人のクラスターを追う中で、発症した人がうつす割合は2~3割だというのに、そうした状態にあるとは思えない。特効薬がない中で重要なのは治療なのに、検査ばかりして偽陽性も含めて全部治療に回すということになれば、まさに院内感染によるものとは別の意味での医療崩壊が起きる。

発症前の感染者がどんどんうつしているという話をする人も、そうしたデータを示していない。データがない中で誰がどういう根拠で決めているのかわからない。検査でいえば具体的なところは国立感染症研究所が決めているということだけはわかるが、どういう議論をして何を根拠に検査に関わる基準を決めているのかがわからない。これを教えてもらいたいと思っても、あるいは不都合があるからここは変えたほうがよいとお願いしたくても、われわれには何もできず切ない思いをしている。

例えば、問題なのは退院基準のこと。ウイルスが検出されないのが2日以上続かないといけないっていうでしょう。もう症状はよくなっているのにウイルスの遺伝子が20~30コピーという少ない水準が長く続いている人が少なからずいると聞いている。たぶん、もうウイルスの残骸しか残っておらず人にうつすリスクはほとんどないと思われるのに退院できない。退院基準を先に述べたPCRの陽性判定の定義で決めているので、そうならざるをえない。

検査の目的をはっきりさせてほしい

――基本的な疑問なんですが「日本はPCR検査で出遅れた」「発症者のクラスター対策では不十分だ」という声があっても、人口対比の死者数は欧米より2桁少ないです。これから増えると主張する向きもありましたが、そういわれてからもう1カ月以上がたちました。

死亡者に関していえば、日本ではちゃんと把握をしている。肺炎で亡くなる人はそんなに増えていない。今のところ何らかの交絡因子(因果関係に対して、間接的に影響する変数)もあるもしれないが、超過死亡(感染症の流行の際に過去の統計などから予想される死者数を実際の死者数が上回る部分)で見ても死亡者はほかの年よりも低いくらいであると聞く。終わりのところで拾い上げた数字で見てそうなのだから、検査が少ないので感染のほとんどを拾い切れていないという言い方はおかしい。

あらためて検査の目的は何かということを、はっきりさせてほしい。臨床(患者の治療)のためなのか、感染管理をしたいというのか、疫学調査をしたいというのか。感染管理のためであれば、大量の活性を持ったウイルスの排出を見なければならないが、それを見ていないという意味では限界がある。疫学的な調査に使えという話であれば、それこそ大学の研究でやってもらえばいいくらいのもので、通常の検査の場にとってはものすごい負担になってくるうえ、偽陰性もむちゃくちゃ含んだデータの意味ってなんなのか、ということになる。

「うつさないためのマスク」が効果を上げている

――なぜ、欧米に比べて日本の死者数は少ないのでしょうか。

私はマスクが効いていると思いますね。感染が始まった初期段階で、日本人の多くがマスクをしていたが、欧米では人々は状況がひどくなるまでマスクを着けなかった。

重要なのはマスクと換気。一般の人が着けているマスクは防御には不十分だが、ウイルスを人にうつさないという意味ではすごく効果がある。極端な話みんながマスクをしている状況なら怖いことは何にもない。

院内感染で手洗いが不十分だと批判する人がいるが、私はあれは間違っていると思う。みんな手袋もしているし手洗いだってしている。院内感染の原因は換気が不十分か防御のマスクが機能していないか。防御のためのマスクの着け方は非常に大事。問題はエアボーン(空気感染)を認めていないこと。長距離の空気感染はないけれど2~3メートルの空気感染はある。

空気感染というとみんなが怖がると思って、「大きな落下するような飛沫での感染」ばかり言うけれど、科学用語では口から呼気とともに出る粒子や飛沫の形で出るものはすべてエアロゾルと呼ばれ、これを出させないことが重要だ。そこで「うつさないためのマスク」。

一般の人たちに対してドアノブに触るなとかいうけれど、ドアノブで感染している証拠なんかない。手洗いが一般論として大事なのは間違いないが、細菌とコロナウイルスとは違うのに、コロナウイルスを細菌のように語る間違った情報が拡散して変な方向で「怖れすぎ」が跋扈している。

過去の記事ですが、重要なので引用しました

カテゴリー
感染症ニュース

9価のHPVワクチン、国内で初めて正式承認

https://news.yahoo.co.jp/articles/b367ba77ae1157b06e1381c4745809404dee9c2f

7/21(火) 14:51配信 BUZZ FEED JAPAN

子宮頸がんの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)への感染を予防するHPVワクチン。加藤勝信厚生労働相は7月21日、9種類のHPVへの感染を防ぐMSD株式会社の9価ワクチン「シルガード9(組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン)」の製造販売を正式に承認した。【BuzzFeed Japan Medical / 岩永直子】 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会が5月20日付けで承認を了承していた。 日本ではこれまで2価ワクチン、4価ワクチンが承認されており、9価ワクチンの承認は国内初となる。 日本では、MSDが2015年7月3日付けで製造販売の承認申請をしていたが、薬の審査としては異例の長さの約5年もかかり、承認が大幅に遅れた形になる。 今後、公費で接種できる「定期接種」としてうてるようにするため、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で審議される見込みだ。

日本でだけ承認遅れ 定期接種化の要望も

日本ではこれまで、子宮頸がんになりやすいハイリスクな16型、18型への感染を防ぐ2価ワクチン(サーバリックス)とその二つの型に加え、良性のイボのような尖圭コンジローマを起こす6型、11型も防ぐ4価ワクチン(ガーダシル)しか承認されていなかった。 今回、承認された9価ワクチンは4価ワクチンがカバーする4つの型に加え、やはりがんになりやすい31、33、45、52、58の5つの型も含めた9つの型への感染を防ぐ。 子宮頸がんの90%以上を防ぐとして先進国では主流となっていたが、日本でだけ承認が遅れていた。 9価ワクチンについて、日本産科婦人科学会は国に繰り返し早期承認と定期接種化を求めており、自民党の「HPVワクチンの積極的勧奨再開を目指す議員連盟」(細田博之会長)も早期の定期接種化を求めている。 MSDはそのほか、4価ワクチン「ガーダシル」の男子接種への拡大を承認申請している。

カテゴリー
感染症ニュース

新型コロナ治療薬、販売価格は25万円 ギリアド社のレムデシビル

https://this.kiji.is/650588679974945889

2020/6/30 15:25 (JST) 福井新聞社

米製薬会社ギリアド・サイエンシズは6月29日、新型コロナウイルス感染症の治療薬として日本政府が特例承認したレムデシビルについて、先進国政府向け販売価格を1人当たり2340ドル(約25万円)と発表した。

 同社はこれまで米国や日本に無償提供してきた。日本の特例承認は人工呼吸器などを用いる重症患者が対象。日本の厚生労働省によると、新型コロナの入院治療費は公費負担しており、レムデシビルについても引き続き患者の費用負担はない。

 ギリアド社は「購買力の低い先進国にも手の届く価格に引き下げた」と説明している。7~9月の生産量のほとんどは米国政府に供給する。

 レムデシビルは、初期臨床試験で入院患者の回復期間を短縮すると評価されたが、死亡率の改善は確認されていない。

 ギリアド社によると、瓶1本の価格は390ドル。1人分を6本と想定している。米政府は7月生産予定の全量、8~9月生産予定の9割に当たる計50万人超の治療分を確保したと発表した。

 発展途上国向けに低価格で供給できるよう、他社と協力してジェネリック薬(後発薬)の生産も進めるとしている。

カテゴリー
感染症ニュース

抗炎症薬で新型コロナ死亡率低下

「デキサメタゾン」、英大チーム

https://this.kiji.is/645798843152188513

2020/6/17 11:13 (JST)6/17 11:15 (JST)updated 共同通信社

【ロンドン共同】炎症を抑える作用があり、気管支ぜんそくなどの治療薬として使われる「デキサメタゾン」が、新型コロナウイルスに感染した重症患者の死亡率を下げる効果があることが英オックスフォード大チームの研究で分かった。英政府が16日発表した。

 研究チームのピーター・ホービー教授らによると、研究チームはデキサメタゾンを投与した感染患者約2千人と、投与しなかった約4千人の死亡率を比較。10日間の治療で、人工呼吸器の装着が必要な患者では投与したケースが非投与より約35%低かった。酸素供給の措置が必要な患者では、投与の死亡率が非投与より約20%低かった。

カテゴリー
感染症ニュース

コロナ治療期待の「フサン」生産5倍に 日医工

https://this.kiji.is/635228607881233505

2020/5/18 23:44 (JST)5/19 11:05 (JST)updated 北日本新聞社

 日医工は18日、新型コロナウイルスの治療薬として期待されている膵炎(すいえん)治療薬「フサン」を増産すると発表した。愛知工場(愛知県春日井市)に約40億円を投じて生産ラインを増強する。委託先も含めて、生産量を4~5倍に引き上げ、最大で年間300万本の製造を目指す。早ければ年内に稼働させる。

 フサンはウイルスが細胞に入るのを防ぐ効果があるとされる。東京大は細胞内でウイルスの増殖を抑える効果が見込まれる抗インフルエンザ薬「アビガン」と併用投与する臨床研究を進めており、働きが異なる薬を使った相乗効果が期待されている。

 日医工は昨年4月、鳥居薬品(東京)からフサンの製造販売承認を引き継いだ。現在は委託先の鳥居薬品で年間60~70万本を生産する。今後、委託生産を100万本に増やし、さらに自社の愛知工場でも最大200万本の生産を目指す。

 富士フイルムから受託したアビガンの製剤工程は、8月から静岡工場(静岡県富士市)で行う。同工場は米食品医薬品衛生局(FDA)の基準への対応を目指しており、将来的に海外向けの製造にも応じられるという。