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ワクチン接種していない人は、接種完了した人に比べて新型コロナで入院する可能性が29倍高い ── 米CDC最新分析

https://news.yahoo.co.jp/articles/8a4c0b3321698a0bddc65ff647f78dfdb80540bc

2021/8/25(水) 11:10 BUSINESS INSEDER JAPAN

ワクチンを接種していない人は、ワクチン接種を完了している人に比べて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院する可能性が29倍高いという。 これは、5月から7月までにカリフォルニア州ロサンゼルス郡で感染が確認された4万3000人以上を、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が分析した結果だ。 研究者らは、今回の研究で得られた結論はワクチン接種の重要性を強調するものだとしている。 ワクチンを接種していない人は、ワクチン接種を完了している人に比べて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院する可能性が29倍高いことが、8月24日(現地時間)に公表された最新研究で分かった。 アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は24日、5月1日から7月25日までにカリフォルニア州ロサンゼルス郡で感染が確認された16歳以上の4万3127人を分析した研究結果を公表した(この間の全体の検査数は965万1332人)。 その結果、感染が確認された4万3127人のうち、ワクチン接種を完了していた人が約25%、1回の接種を済ませていた人が3%強、ワクチンを接種していなかった人が71.4%だった。 感染が確認されたワクチン接種を完了していた人のうち、入院した人の割合は約3%と「かなり少なく」、集中治療室(ICU)に入った人は0.5%、人工呼吸器を装着しなければならなかった人は0.2%だった。1回の接種を済ませていた人のうち、入院した人は約6%、ICUに入った人は約1%、人工呼吸器を装着しなければならなかったのは0.3%だった。 一方で、ワクチンを接種していなかった人の入院率は、ワクチン接種を完了していた人の29.2倍だったという。ワクチンを接種していなかった人の感染率も、ワクチン接種を完了している人の4.9倍だった。 研究者らは、今回の研究で得られた結論はワクチン接種の重要性を強調するものだと書いている。アメリカ各地でデルタ株の感染が拡大している中ではなおさらだ。 「これらの感染率や入院率は、デルタ株の感染が広がる中、承認されたワクチンがSARS-CoV-2の感染とCOVID-19の重症化を防いでいたことを示している」と研究者らは述べた。 「COVID-19のワクチン接種を進める取り組みは、他の感染予防対策とともに、COVID-19関連の入院や死亡を防ぐために極めて重要だ」

[原文:Unvaccinated people are 29 times more likely to land in the hospital with COVID-19 than those who got the shot, a new CDC study reveals]

(翻訳、編集:山口佳美)

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コロナ 社会問題

“最後の砦”ECMO、20代へ導入も……医師「想定していなかった」 全国の装着患者「3倍」で過去最多を更新

https://news.yahoo.co.jp/articles/727f205b03c65fda7d1c0bc24782ed98695f468a

2021/8/25(水) 11:06 日テレNEWS24

全国の新型コロナウイルス新規感染者は24日、火曜日で過去最多でした。重症者の「最後の砦」とされるECMO(人工心肺装置)装着者は急増。自宅療養中に亡くなる例も相次ぎ、東京では救急要請しても約6割が搬送されないなど、深刻さを増しています。

自宅療養“悪化”死者も

ECMO装着患者は、この1か月で約3倍に増加

24日、東京都立多摩総合医療センターでは、重症患者の「最後の砦」とも言われる、人工肺「ECMO(エクモ)」を使った治療が行われていました。 4人の患者に導入していますが、病院のECMOセンター・清水敬樹部長は「ECMOの治療が終わって、そうしたらまた次の患者さんを入れる(状況)」と話します。ECMOを必要とする患者が途絶えないといいます。 日本ECMOnetによると、全国のECMO装着患者は、1か月前の7月23日に44人でしたが、8月23日には119人と、約3倍になり、連日、過去最多を更新しています。 佐藤梨那アナウンサー 「100人を超えるECMO導入患者がいる状況をどう見ますか?」 清水部長 「われわれが想定していなかった状況です。コロナが始まっての最初の1年間で、日本での導入は600名なんです。この1~2週間で(約)120名というのはもう、ちょっと信じられないような数と言わざるを得ないと思っています」 さらに、患者には変化があるといいます。 清水部長 「従来は高齢者といいますか、50~60代の方が非常に多かった。20代という方も、今は珍しくないんですね。このような年代の方にECMOを導入するのは、これまで想定していなかった」

都の担当者「若者も重症化」

ワクチン接種をした若者「もしかかってしまったら…」と考えることが大事だと話した

重症化について24日夜、東京・渋谷で若者に聞きました。 ――感染後に重症化すると思いますか? 営業職(23) 「僕は正直しないのかなと思ってます。若いからならないだろうって」 大学生(23) 「自分も正直しないかなと思っちゃってます」 ワクチンを2回接種した就活生(20代) 「(重症化)すると思います。(ワクチンを打ったから)『かからないや、いいや』じゃなくて、『かかってしまったらどうしよう』と考えることが大事だなと思います」 24日に都内で確認された感染者は4220人で、1週間前の17日から157人減っています。重症者は23日より4人減って268人。9人の方の死亡が確認されています。 都の担当者は「若い人でも重症化、死亡する人もいるので、我が事として捉えてほしい」と注意を呼びかけます。

往診の医師「自宅に患者あふれる」

東京都では自宅療養者の数が2万4000人以上にのぼっている

高止まりしているのが自宅療養者の数です。東京都では24日時点で2万4673人に上っています。 都内で自宅療養中の20代男性は20日、夜間や休日に往診する「ファストドクター」に「のどの痛みと血混じりのたんが出ます」と症状を訴えました。感染経路の心当たりを聞かれると、「食事じゃなく、買い物しただけで。デパ地下ですね」と答えました。 男性は一時39度近い熱が出た上、血中の酸素飽和度が92%まで下がったといいます。 男性は「怖いですよね。しんどい中、(保健所からの連絡を)待ち続ける時間というのがけっこう不安でした」と言います。その後、同居している婚約者も感染が判明しました。 一方、一週間以上、都内の自宅で療養中の50代女性はファストドクターに「食事はほとんどできてないです。起き上がるのが何せつらいのと、目を開けているのがつらいので」と言いました。38.7度の熱があり、血中の酸素飽和度も低くなっていました。 せき込む女性。肺炎の疑いがあるため、医師は酸素投与を開始しました。一緒に暮らす夫の陽性も確認されました。 ファストドクター代表・菊池亮医師 「(新型コロナの)患者さんが自宅にあふれているなという風に感じています。医療の提供体制には限界があるというのは、ご承知のところだと思います。いかに感染者を減らしていくかに尽きるかと思います」

相次ぐ自宅療養“悪化”…死者も

自宅療養中に容態が悪化し、亡くなるケースも相次いでいる

自宅療養中の急変も相次いでいます。 東京都では、軽症だった40代の女性が、自宅療養中に亡くなりました。8月5日に陽性が判明し、6日の昼間に保健所が連絡。その日の夜に容体が急変し、病院に搬送後、死亡したといいます。女性に基礎疾患はなく、ワクチンは接種していませんでした。 千葉県でも60代の男性が自宅療養中に死亡しました。さらに千葉県では、コロナではない患者の入院先がなかなか見つからなかったケースもありました。 消防などによると、18日、39度近い熱がある60代の男性が意識のない状態で自宅で見つかりました。この時、コロナに感染しているかどうかは分からなかったものの、30以上の病院に受け入れを断られたといいます。 約3時間半後に病院へ搬送されましたが、死亡が確認されました。コロナの感染は確認されなかったといいます。

感染判明も…「約6割」入院できず

救急要請したものの、病院に搬送されなかったケースが「約6割」も

救急搬送の受け入れ困難も深刻です。 東京消防庁によると、16日~22日までに感染が確認され、救急要請をしたものの病院に搬送されなかったケースは全体の6割近くに上りました。また搬送されたうち、病院到着までに1時間以上かかったケースが約9割、5時間以上かかったケースも1割以上ありました。 24日、都内の入院者数が過去最多の4124人となりました。 埼玉・川越市の埼玉医科大学総合医療センターでは、これまで東京からの搬送も受け入れてきましたが、状況が変化していました。 岡秀昭教授は「ICUの部屋は全て、重症の患者さんで埋まっています。病床は1つしか(空きが)ございません」と言います。ただ、3件の受け入れ依頼が寄せられました。 岡教授 「東京からの患者、医療圏外の埼玉県からの中等症の患者、近い医療圏の重症化の一歩手前の患者。誰を取りますかということで、3番目の患者さんの受け入れをしました」 「1つしか病床がないので、これはもうやむを得ないことだと思うんですよ。3人を助けに行ったら、私たちの医療現場が機能しなくなってしまうんです。3人とも助けられないということになってしまうんです」 東京からの患者よりも、地元の患者を優先せざるを得ない状況です。 岡教授 「もはや医療が通常に機能していない状況なんです。それをご理解いただいて、ご自身の身をご自身で守っていただきたい」

国と都が要請「逃げるわけには」

国と都は23日、すべての病院や診療所などに対し、病床確保や人材派遣への協力を要請しました。 通常診療の傍ら、保健所に協力してコロナの自宅療養者への訪問診療をする「一生堂クリニック」の斎藤博院長。国と都の要請について、聞きました。 「多くの医療者が燃え尽きかけているのが本音です、実情です。こういう災害時のような状況の時に、投げるわけにはいかない。やっぱりやらなければいけないだろうと。僕たちが逃げていてはだめだろうと」 別の医療機関からは要請について、「院内にも入院患者がいるので、(受け入れは)難しい。『次の病院が見つかるまで外来で入院1泊』など、できるところをやっていく」という声が聞かれました。 こうした中、都内で24日、受け入れを始めたのが、2か所の「酸素ステーション」です。本来なら入院に相当する自宅療養の中等症患者が、酸素投与のため5人程度ずつ入ったといいます。

全国「火曜最多」2万人超が感染

新たに8道県に「緊急事態宣言」発出、4県に「まん延防止」措置追加へ

24日の新規感染者は、愛知・岐阜・京都など8府県で過去最多となり、全国で2万1570人が確認されました。火曜日の過去最多です。また31人が亡くなったことが確認されました。 複数の政府・与党幹部によると、新たに北海道・宮城・愛知・岐阜・三重・滋賀・岡山・広島の8道県に緊急事態宣言を発出する方針を固めました。まん延防止等重点措置については、高知・佐賀・長崎・宮崎の4県を新たに追加する方針です。期間は8月27日~9月12日です。

(8月24日『news zero』より)

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コロナ 社会問題

公衆衛生学者が警告「保健所ひっ迫で、東京の実際の感染者数はわからなくなっている」

https://news.yahoo.co.jp/articles/034ac8d5b153f31a9bfcb3b139b828d83baccf0b

2021/8/25(水) 13:47 デイリー

 テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」が25日、24日の全国の新型コロナ新規感染者数が12日連続で過去最多を更新するなど感染拡大が止まらない状況を報じた。東京についてはここ5日間で4日前週から減ったが、公衆衛生学者で元WHO事務局長上級顧問・渋谷健司氏は「もうすでに保健所がひっ迫していますので正確にはわからなくなっている状態だと思いますし、ピークアウトしているとは思わない」と厳しい見方を示した。  24日の東京の新規感染者数は、前週を157人下回る4220人。20日からの5日間では22日を除き、前週を下回った。  それでも、渋谷氏は「東京の実際の感染者数は、もうすでに保健所がひっ迫していますので正確にはわからなくなっている状態だと思いますし、今のデータではピークアウトしているとは思わない。実際に重症者数も、エクモ(体外式膜型人工肺)や人工呼吸器を装着している人は急速に増えているので、まだまだ重症者、今後亡くなる方は増えてくると思う」と、警戒を促した。

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コロナ ワクチン 社会問題

接種会場の看護師ら、自分に3回目接種「海外の状況を踏まえ打った」

https://news.yahoo.co.jp/articles/93bc228703a2c673758211f8464cc3b8f6be894a

2021/8/25(水) 6:00 読売新聞オンライン

 東京都港区の新型コロナウイルスワクチンの集団接種会場で今月中旬、接種業務に携わっていた医療従事者3人が会場で余ったモデルナ社のワクチンを無断で使い、自分たちに「3回目」の接種を行っていたことが、区への取材でわかった。 【写真】アメリカで追加接種、8か月経過を推奨

 3人は、男性看護師2人と女性薬剤師1人。ファイザー社製で2回の接種を完了していたが、15日と18日の業務後に医師の指示なく、接種した。同区では、余ったワクチンは職員や家族に接種する方針だった。

 海外では、3回目の接種で抗体が増える効果があるとされており、3人は「海外の状況を踏まえて打った」と話しているという。

 同区では接種対象者の半分以上がまだ接種を終えていない。区の担当者は「認められない行為」と話しており、3人を業務から外したという。

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コロナ ワクチン

元スター子役、ワクチン接種後に感染するも「ワクチン打っていて良かった」

https://news.yahoo.co.jp/articles/1c82db6954093880e74a523c3d354cdc33b63b5f

2021/8/25(水) 8:45 女子SPA!

 今年3月に第3子を水中出産した元スター子役のヒラリー・ダフが、新型コロナウイルスに「ブレークスルー感染」したことを明かした。妊娠中にもコロナに感染したヒラリーは、出産後まもなくワクチンを接種したものの、現在猛威をふるっているデルタ株に感染してしまったという。最近では、ワクチン接種後に陽性が確認される「ブレークスルー感染」する人が増加しており、ヒラリー以外にもワクチン接種済みのセレブが感染するケースが増えている。

ドラマの撮影が開始した直後に陽性反応

 元ディズニースターで、現在もテレビドラマで活躍中のヒラリー。数日前には新ドラマの撮影が始まり、その様子をSNSに投稿していたが、その矢先、コロナに感染したことがわかったようだ。  先週金曜日(現地時間の今月20日)にインスタグラムのストーリーを投稿したヒラリーは、ベッドに横たわる自身の写真に文字を入れて、デルタ株に感染したことを公表。その症状について、「デルタ変異株……ちょっとムカつくわね」「ひどい頭痛。味覚や嗅覚もない。副鼻腔が圧迫されている。頭がぼんやりする」と説明した。  しかし最後には、Vサインの絵文字を入れて「ワクチンを打っていて良かった」と綴り、すでにワクチンを接種済みであることも明かした。  ドラマの撮影が始まった直後に陽性反応が出たというヒラリーだが、第3子を出産した約1か月後の5月には、コロナワクチンを接種したと伝えられている。  第3子妊娠中にもドラマの撮影に参加していたというヒラリーは、「新型コロナウイルスにさらされることに、ただ怯えてた。撮影現場は厳重に対応してたけど、常にリスクがあるから。何度も自主隔離を行って、本当に大変だったわ」と語っていた。  そして昨年11月には、コロナ検査で陽性反応がでたことを公表。9歳の長男ルカ君、 2歳の長女バンクスちゃん、夫のマシュー・コーマら家族にうつさないように、自主隔離生活を送ったことも明かしていた。

セレブの間でブレークスルー感染が増えている

 実は最近、ワクチンを接種したにも関わらず、その後「ブレークスルー感染」したことを公表するセレブが増えている。  1990年代から2003年にかけて放送された米人気ドラマ『サブリナ』でおなじみの女優メリッサ・ジョーン・ハートもその1人。  先週水曜日(現地時間の今月18日)にインスタを更新したメリッサは、「ワクチンを打っていたのに、コロナに感染した」と動画で告白。「肩に何かが乗っているような重苦しい感じがあり、呼吸しづらい」と述べたうえで、自分の子供も感染した疑いがあると明かし、「子供たちが学校でマスクを着用していないことに怒りを覚える。それが感染した原因だと考えている」と語った。  米人気バンド「スリップノット」のコリィ・テイラーも、つい先日、コロナで陽性反応が出たことを発表。本人はSNSで「ワクチン接種を受けているので心配はしていないが、他人には絶対に感染させたくない」として、週末に予定していたイベントに出演しないことをファンに告知した。  ほかにも、人気リポーターのキャット・サドラーや有名司会者のジェネビーブ・ゴーダー、さらに俳優のケヴィン・コナリーがブレークスルー感染を公表。ケヴィンの場合は、生まれたばかりの息子とともに感染したと報じられている。

日本でも67人のブレイクスルー感染を確認

 コロナワクチンの接種を終えたあと、2週間以上して感染が確認される「ブレイクスルー感染」。まれな現象ではあるものの、米疾病対策センター(CDC)は「ワクチンを接種した人のうち、数万人のブレークスルー感染者が出ることを想定すべき」との見方を示している。日本では、6月末までの3か月間に67人の感染が確認されたと国立感染症研究所が発表している。  とはいえ、ワクチンを接種した人々の大半は、感染したとしても軽症で、死に至ることも少ないといわれている。今回感染を発表したヒラリーが、SNSで「ワクチンを打っていてよかった」と言っていたのは、ワクチンのおかげで重篤な状態に陥ることはないという安心感からだろう。  一方で、コロナの変異株であるデルタ株の感染拡大に伴い、ワクチンを接種した後もマスクの着用が推奨されている。ワクチンを接種したからといって気を抜かず、基本的な感染防止対策を続けることが求められている。

<文/BANG SHOWBIZ、女子SPA!編集部>

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コロナ ワクチン 社会問題

なぜ、日本はコロナワクチンが作れないのか。「白衣を着た詐欺師」たち

https://news.yahoo.co.jp/articles/f4311cd7bdad6a0b5daa0dcced8051ff99bcb98f

2021/8/25(水) 6:01 DIAMOND online

 進行の食道ガンステージ3を生き抜いたジャーナリストの金田信一郎氏が、病院と治療法を自ら選択して生き抜いた著書『ドキュメント がん治療選択』。そこに登場するがん医療の権威で米国でもがん研究を続けた中村祐輔氏(外科医・がん研究所)は、日本の医療界の問題に鋭いメスを入れます。第1回はなぜ日本で新型コロナウイルスのワクチンが作れないのかという話題について。根底にはがん治療にも共通する日本人のある言葉に対するアレルギー反応がありました。(聞き手は金田信一郎)  ――去年の夏に中村先生のところにうかがったときは食道がんステージ3で、東大病院から国立がん研究センターに転院するかどうか迷っている時でした。その後、手術から放射線科治療に切り替えて治療を終え、今はがんが抑えられている状態になりました。その体験を『ドキュメント がん治療選択』という本にしたんですが、それを書いていて思ったのは、日本の医療界で常識と思われてることが、実は世界ではまったく違っていることも多いということでした。  中村祐輔氏(以下、中村) コロナ対応を振り返れば、「日本は科学の力がある」というのが幻想ということがよくわかりますよ。  ――そうですね。日本企業はワクチンも作れませんし。  中村 結局、日本のワクチン技術って古いのですよ。ビオンテック社はどうしてすぐにmRNAを使ったコロナワクチンを作ることができたかというと、要するに、がんの免疫療法、ワクチン療法をやろうとしていた。がんには特有のネオアンチゲンという目印になる抗原ができる。それを見つけて、mRNAを使ってがん細胞を攻撃する研究が、2017年に論文として出てきている。  これを「すごい」と言っているのは、「何も知らない」と言っているのと同じで、日本の研究者が世界の動向についていっていないだけの話です。今の日本の議論を聞いていると、もう本当に時代遅れだと感じます。  コロナワクチンとは、ネオアンチゲンの代わりに、コロナタンパクを使って作られたものを注射してるだけの話であって、コンセプト的にはがん治療での技術を応用しただけのことです。  ――そこが、日本と海外での違いにつながったわけですね。  中村 もう一つ大きな海外との意識の差があり、それはテロ対策です。2001年の9・11の直後に、アメリカで炭疽菌テロが起きました。アメリカにとってはバイオテロっていうのが現実のものなのです。その対策として、ワクチンは大きな柱の一つだったわけです。技術はもうがんで培われていて、がんゲノムのシーケンスなんてすぐにできるわけです。  ――日本にも研究者がいるのに、なんで、そういう研究が生まれなかったんですか。  中村 免疫っていうのは、日本ではネガティブな面ばかりが強調され、それが大きくなっています。例えばワクチンで副反応が出たら、「危ないからワクチンをしない」となる。子宮頸がんワクチンがその典型です。だから日本だけが、子宮頸がんの発症率が下がっていない。ほかの国では子宮頸がんにならない時代になってきているのに、日本は高止まりしている。  結局、「公衆衛生」という概念が、あまり理解されていない。みんなの利益を考えた場合、一部の人に副反応が出ていても、それはやっぱり絶対多数の人たちのために必要なのです。もし、子宮頸がんワクチンで副反応が出た場合は、どうして副反応が出たか、どんな人に出やすいのか、原因を調べて減らしていけばいい。  ――みんなに安全な薬なんてないわけですね。  中村 抗がん剤治療もそうです。金田さんは放射線治療も受けられましたけれども、人によっては強い副作用が出ます。治療後、さまざまな放射線障害が出る人がいるわけです。  結局、放射線が当たれば必ず細胞はダメージを受けますが、それを修復する力って患者ごとに違うわけです。そういう個人の違いを理解した上で、医療を進めていかなければならない時代なのに、それも理解されていない。  日本では、「免疫療法」とうたった一部の怪しい人たちがいる。私も「白衣を着た詐欺師」って言っていますけど、そんなこともあって「免疫療法」はすごくイメージが悪いわけです。  あと、どうしても免疫療法が効かない人がいる。抗癌剤で体の免疫が弱ってから、免疫療法をやってもあまり効果がでない。話題になったオプジーボとかでも、効いた患者さんたちは免疫がしっかりしてる。  ――要するに、「免疫療法は効かないし、怪しい」というのは、日本人の思い込みが大きいわけですね。  中村 科学的に言えるのは、遺伝子異常がたくさんある人には効きやすい。オプジーボが効く人って10~30%ぐらいですが、有効率の高いがんを調べると、やっぱり遺伝子異常が多いタイプのがんが多いです。  そういうことも含めて、やっぱり科学的にいろんな検証していく必要があるわけで、どうしても免疫療法、免疫ワクチンっていうと、すごくネガティブな印象が日本の中にはあります。  ――そうですね。免疫療法とか先進医療って高額で怪しい。「標準治療以外は受けてはいけない」という凝り固まった考えがあります。  中村 (世界から)10年遅れで「標準化」と言い出して、標準治療を受けることが、何か「絶対的な正義」になっている。だから、新しいことやろうとすると、みんなで足を引っ張る傾向があって、医療の進歩が遅れてしまっている。  ――日本はいまだ、20世紀の感覚だと。  中村 コロナワクチン接種を見ていると、その通りですよね。私もコロナワクチンを受けましたが、紙で問診表を書いて、打ち終わったらシールを貼るんですよね。こんなアナログなことをやってる国ですからね。そして、コロナワクチンがどこまで行き渡っていた、誰が接種を受けたのかも、リアルタイムの情報として収集できない。コロナ感染で、日本の科学力の遅れ、デジタル化の遅れが露呈しました。 (2021年8月26日公開予定記事に続く)

金田信一郎

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コロナ 社会問題

日本のコロナ対策はまるで鎖国状態 いつまで非科学的なことを強いるのか?

https://news.yahoo.co.jp/articles/c8ae9cf3482fbe2688bf40127af180c427020f15

2021/8/25(水) 7:00 AERAdot.

日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「日本のワクチン接種後の規制緩和の遅れ」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。 【データ】発熱、頭痛だけじゃない!ワクチン接種後に確認された副反応と割合はこちら

*  *  * 「もう2年以上、中国にいる両親に会えていなくて辛い。ずっと在宅勤務で、誰にも会わない毎日が続いている。仕事を辞めて、中国に戻ることも考え始めた……」つい先日、大学生の時から日本にやってきて、そのまま日本で働いていた同世代の友人からこんな相談を受けました。  コロナが流行して以降、彼女と会えていなかったのですが、「気分が落ち込んで朝起きることも辛く、食事もほとんど食べていない」と連絡があり、お互いにワクチン接種が済んで2週間以上経過しており、風邪症状はなく、感染のリスクは低いと判断し、急遽、自宅での夕食に彼女を誘いました。  中国では、現時点で入国の際に3週間の隔離が必須とされており、日本に帰国する際も、2週間の自主隔離が必要になります。かなり長期間の休みがないと、帰国は現実的ではありません。オフィスに来るなと言われ、在宅勤務がいつまで続くか分からない中で、仕事をする気すらなかなかおきなくなってきた彼女が、仕事を辞めて帰国するという選択をしようとしているのも、無理はないと感じました。  私も、コロナの流行が始まってから実家のある大阪には一度も帰っていません。落ち着いたら帰ろうと思い、2年以上経過してしまっています。私は、いざとなれば新幹線でも飛行機でも使用して実家に帰ることができます。けれども、彼女は現時点では容易に帰国することができません。クリニックには、渡航のためにPCR検査を希望して受診される方がたくさんいらっしゃいますが、きっと彼女のような決断をして検査を受けにきた方がいらっしゃったに違いないと思うと、胸が痛くなりました。同時に、国民には自粛や我慢を強いる一方で、東京五輪だけは特別扱いというダブルスタンダードな対応に疑問を感じざるをえませんでした。

 ワクチン接種の進む欧米では、ワクチン接種完了者の行動制限の解除が進んでいます。フランスでは、バーやレストラン、交通機関、スタジアムやスポーツ施設、映画館や劇場、図書館などを利用する際にワクチン接種証明の提示が義務化されました。ヨーロッパ連合(EU)では、7月1日よりワクチン接種や感染からの回復状況、検査結果などが確認できる「EUデジタルコロナ証明書」の運用が正式に開始され、証明書があれば国境をまたぐ移動の際、原則として隔離や検査を課されることはありません。  アメリカでは、国防総省や陸軍や一部の企業がワクチン接種を義務化した他、カリフォルニア州では医療従事者や教員、市の職員にワクチン接種を義務化する動きが進んでいます。また、ニューヨークでは屋内の飲食店やジムなど屋内の活動をする際のワクチン接種証明の提示が義務化されています。さらに、外国人の米国への入国条件の変更を検討しているといいます。  一方、日本はというと、新型コロナワクチンの接種は「努力義務」です。自治体に申請すればワクチンパスポートを発行してもらえますが、8月19日時点で21の国や地域のみしか使用することができません。それらの国や地域に入国する際の隔離措置は免れることができますが、日本に帰国する際の入国時の14日間の自主隔離は免除されません。自粛や我慢など非科学的な対策を強いる一方で、科学的に高い効果が示されている新型コロナワクチンの接種は「努力義務」であると位置付ける日本の今のコロナ対策では、いつまでたっても鎖国状態を抜け出せず、コロナに振り回され続けられることになるのではないでしょうか。  デルタ株の感染拡大に加え、ワクチン未接種の子どもたちへの感染が広がる中で、アメリカでは12歳未満の子供たちへのワクチン接種の検討がすでに始まっています。早ければ9月末までに、5~11歳の子どもに対するワクチンの有効性に関するデータが得られそうだとも報じられています。さらに、9月20日からはファイザー製とモデルナ製を2回打ってから8カ月経過した18歳以上の人を対象として、3回目の接種が始まります。まずは、医療関係者や高齢者の人たちから接種が開始される予定です。  日本も、幸いワクチン接種が進んでいます。8月19日時点で人口の51.6%が少なくとも1回のワクチン接種を終え、人口の40.0%が2回接種を終えていますが、まだ1回目すら接種したくてもできていない人がいるのが現状です。河野規制改革担当大臣は8月19日の委員会で、「3回目の接種を行うことについて厚生労働省が必要だと判断すれば、医療従事者を対象に速やかに対応できるよう準備している」と明らかにし、3回目の接種分も確保しているとテレビ番組で発言されていましたが、果たして本当なのでしょうか。肝心の厚生労働省は、方針を明らかにしていません。いずれにせよ、3回目の接種のスタートも日本が出遅れてしまうことは間違いなさそうです。  3回目の接種のこと、12歳未満の子どもへの接種の検討、ワクチン接種を済ませた人からの規制緩和の検討など、他国の対応に追随するのではなく、協議していただきたいと思います。

山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員

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コロナ ワクチン 社会問題

「ワクチン2回」の表現はハラスメントか? 岩田健太郎氏がSNS上の論争に持論

https://news.yahoo.co.jp/articles/e4a99b20ad5a614abeae1ddf3e852e2e622bb1fd

2021/8/23(月) 17:06 東スポWEB

 神戸大学教授で感染症の専門家である岩田健太郎氏が23日、ツイッターを更新。ネットで繰り広げられているフルチン論争に見解を示した。 【写真】UFOからコロナ予防策レクチャーか  ネット上では新型コロナウイルスのワクチン接種を2回済ませて2週間経った状態のことを「フルチン」と表現することがはやっているが、それに対して「セクハラじゃないか」と不快に思う声も上がっている。2回のワクチン接種を済ませたことを英語で〝fully vaccinated〟ということから、略してフルチンになっている。  ツイッターで「フルチン」と検索すれば、「あと2週間でフルチンやで」「明日2回目うつからフルチンになれるわ」「私がフルチンになるのはおそらく10月」などがいっぱい出てくる。たくさんの人がためらいなくフルチンと使っていることが分かる。  この表現がセクハラか否かのフルチン論争に岩田氏が持論をツイート。「ダーティワードを不快に思うのは個人の自由。が、その言葉が誰かを対象に使われたり、使わせたりしないのであればハラスメントではない。誰の誰に対するハラスメントなのか」「フルチンが不快なら、『これからは私の前でそれ言わないで』といえばいいだけの話。SNSで使うのは個人の自由。不快に思うのも個人の自由」などと連投した。  もし自分がフルチン状態になったとしても、公の場では気を付けた方がいいのかもしれない。

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ワクチンを2回打っても防げない「ブレイクスルー感染」 ~現行法では限界に来た政府の感染対策

https://news.yahoo.co.jp/articles/ca42e3f42a637ed11720e5233b5b4dccfb5b3750

2021/8/23(月) 11:30 ニッポン放送

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月23日放送)に慶應義塾大学教授で国際政治学者の細谷雄一が出演。政府による今後の新型コロナウイルス対策について解説した。 【写真】これが最後!本日8月23日18時からワクチン予約を受け付ける自衛隊大規模接種センター

西村経済再生担当大臣、新型コロナ対策で企業の休業措置も視野

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

西村経済再生担当大臣は8月22日に出演したNHKの番組で、新型コロナ対策の人流の抑制について、「昨年や今年の4月、5月は大型連休を活かし、企業は休むということで対応した。そうした強い措置も選択肢の1つとして考えなくてはいけない」と話した。また、「いまある法律のなかで何ができるか工夫して行きたい」と、現行法の範囲内で対応を検討する考えを示している。 飯田)人流の抑制ということをずっと言い続けているなという感じもありますが、どうご覧になりますか? 細谷)コロナの感染拡大を防ぐためには、マスクをすることや可能な限り3密を避けること、そして人流を抑えること、さらにはワクチン接種などがあるのですが、今回の「ブレイクスルー感染」はマスクをしていても感染するということもありますし、ワクチンを2回受けても感染する。すると結局、人の流れを減らさなくてはいけないということになります。 飯田)ブレイクスルー感染では。 細谷)しかし、人流抑制は経済に最もマイナス効果があります。マスク、ワクチンでしたら経済活動ができますけれども、人流抑制ということになると、経済活動ができなくなるのです。だから、トータルのバランスとして、これしかないけれども、これをやると経済に悪影響があるということで、政治判断がとても難しい状況だと思いますね。 飯田)まさにそこの部分で、オーストラリア、ニュージーランドなども、「感染ゼロ戦略」は無理だと。オーストラリアなどは戦略断念という報道が出て来ています。 細谷)イギリスやアメリカは、ワクチンを2回打てば重症化がほとんどない、死亡者もほとんど出ないということで、いままでのインフルエンザと変わらないというような戦略に転換したわけです。日本はワクチンがまだそこまで進んでいないということもあって、いまの日本は「とにかく感染を止める」ということだと思います。国ごとに戦略を常に転換しながら、最善の方法を探しているということだと思います。 飯田)昨年(2020年)のこの時期であれば、各国で都市封鎖などで対応するということになっていましたが、ワクチンが出て来てから、少しずつ変わるところがあるのですか? 細谷)基本的にはワクチン接種2回を菅総理も目標にして、早いピッチで進めて来たわけです。スタートは遅かったですけれどもね。しかし、ブレイクスルー感染はワクチンを2回打っていても感染するということですから、そういう意味では、何をしたら止められるのかわからない。答えがない状態だと思います。そのなかで、果たして経済活動を止めたままでいいのかと。国民側の不満がいま大きくなっているのではないでしょうか。 飯田)その辺りの状況を見ながら、入院基準の見直しや緊急事態宣言の発出条件の見直しなどが出て来ています。この辺りは、「ゼロコロナ戦略」ではなくて、というところを見越したものなのですかね。 細谷)1つは、そもそも日本は法的にロックダウンができない、あるいは難しいということが言われていました。さらにもう1つ難しい問題は、感染症対策に関して、日本は他の国とは違い、とにかく地方自治体に権限があるのです。そうすると、中央政府ができることは限られています。そのなかで強い措置も取れない。この矛盾が政府内での無力感に近いものになっていると思います。 飯田)その辺り、いまある法律のなかで工夫して行きたいということがありますが、最終的には憲法の壁にもぶつかりますか? 細谷)安全保障はいままで有事法制と言われていました。有事法制がないときには、戦争が起きても、戦車はウインカーを出して、赤信号では止まらなくてはいけない。実はこの有事法制はうまく切り替えられているのですが、例えば福島原発事故の際や、感染症に関しては、法的な制限ができない、非常に難しい状況になっているのです。原発事故や地震などのときに、政府はどのように、より強力な措置が取れるかというところで、限界になっていると。現行の法では限界になっていると思いますね。 飯田)いままでは例外的に、そういうことを考えずに済んで来たということなのですか? 細谷)もっと言うと、国民の善意にほぼすべて委ねるのです。安保法制は、「外国が日本に攻めて来ない」という外国の善意に任せていたのですが、今回の感染症の問題は、「国民の善意に任せている」わけです。ではもし国民がこの善意、つまり感染拡大しないような行動変容や人流抑制について、言うことを聞かなかったらどうするかというと、「どうしようもない」というのがいまの状況だと思います。 飯田)なるほど。

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コロナワクチン2回接種を終えた高齢者こそ行動自粛が必要【新型コロナ 重症化を防ぐ最新知識】

https://news.yahoo.co.jp/articles/6091c69eaeb9e96acf8e0688387ec3d0bb7cc6f9

2021/8/24(火) 9:06 日刊ゲンダイDIGITAL

新型コロナ 重症化を防ぐ最新知識】  20日の新型コロナウイルスの全国の新規感染者数は2万5859人、入院が必要なのは1万2249人、重症者72人、死者29人となった。  さすがにこれだけ新型コロナの感染者が増えれば、旅行やゴルフに出かける中高年は少ないだろうが、心の底では「ワクチンを2回打ったから大丈夫だろう」と考えている人もいるはずだ。  実際、大阪府が3月以降の感染者8.5万人を調査したところ、未接種で感染した人は8万3207人で、うち重症化した人は1984人、死亡1557人。一方、2回接種後2週間経ってから感染した人は317人で重症者や死亡者はゼロだったという。  ならば、オレは大丈夫と思う人はいるかもしれない。  しかし、イスラエルの惨状を聞けばそれが間違いだと気づくはずだ。 ■イスラエルでは1週間の死者の97%が60歳以上  イスラエルでは8月13日から50歳以上の3回目の新型コロナワクチンブースター接種)を開始した。  ナフタリ・ベネット同国首相は直近1週間で死亡した78人中76人は60歳以上だったことを明かし、「3回目接種の必要」と発言したからだ。  同国では世界最速でファイザー製ワクチンの接種を行い、16歳を超える人の8割以上は2回目のワクチン接種を完了。新規感染者は一時0人になった。ところが最近では8000人を超える新規感染者が出ており、過去1カ月の重症者の8割は60歳以上だった。  このため、同国では8月1日から少なくとも5カ月前に2回目の接種を終えた60歳以上を対象に3回目の接種を開始、既に60歳以上の半数が接種を終えたという。  同国の医療保険制度を担う団体が3回接種を完了した14万9144人と2回目接種の67万5630人を比べたところ、接種後感染者数は前者が37人、後者が1064人だったという。これを単純感染率で見ると、前者が0.0248%、後者が0.1575%となる。  このことから、調査を行った団体は3回接種は感染防止と重症化阻止に役立つとしているが、それはワクチンは3回打っても少なくとも感染はするという意味でもある。  では、20日時点で65歳以上の2回接種者が3030万5890人いる日本で、イスラエルの2回目接種者と同じ0.1575%の感染率になったとすると感染者数はどうなるのか?  単純計算で4万7731人だ。これはあくまでも65歳で2回目接種を終えた人で、ワクチン効果が薄れる接種後5カ月での話。時間と共にその数は増える可能性が高い。日本では年末以降に65歳以上の2回目接種者はこうしたリスクがついて回るということだ。弘邦医院の林雅之院長が言う。 「大阪府のデータは接種から5カ月以内のものなので今後を考える上ではイスラエルのデータを重視すべきです。イスラエルで高齢者の重症者や死者が多いのは、そもそも高齢者は基礎疾患を持つ人が多く、入院や死亡リスクが高いからです。そのことは日本の高齢者も自覚しなければなりません。高齢者は若い人に比べて免疫も衰えていて、自身も気づいていない基礎疾患を持っている。いくらジムなどで肉体を鍛えたとしても若い人と同じではないのです。ですから、ワクチンを2回接種したことを過信してはいけません。いまはワクチン未接種の若い人に感染、重症化リスクが高いとする物語が語られていますが、依然として気をつけなければならないのは、高齢者です。よく陸で溺れると表現されますが、呼吸器疾患は苦しい。感染しないことが大切です。今後は人混みに極力出かけないこと、マスクはきちんと着用すること、食事と睡眠をしっかりとることが大切です」