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新型コロナ、変異種流入で感染爆発 数カ月後「数人でも危険」 東大教授警告

https://news.yahoo.co.jp/articles/445861695ec4c8283eb884dac400c51a37fa0043

2021/1/10(日) 20:52 産経新聞

 感染力が強いとされる新型コロナの変異ウイルスが国内に流入した場合、数カ月後に爆発的な感染拡大を起こす可能性が高いことが10日、東京大大学院の飯野雄一教授(生物科学)のシミュレーションで分かった。国内では英国と南アフリカの変異ウイルスへの感染が計30人確認され、うち23人は空港検疫で見つかったが、7人は入国後の陽性確認や国内での感染が発覚。飯野氏は「数人の流入でも相当危うい。緊急事態宣言再発令の機会に、感染拡大を確実に抑える必要がある」と警戒を促している。(伊藤真呂武) 【イラスト解説】英国のコロナウイルス変異種のしくみ  英国の変異ウイルスは、従来の1・7倍感染力が強いとされる。同国では昨年9月に見つかり、すでに従来ウイルスを上回る新規感染者が出ている。現時点で日本国内の感染者数を推定するのは困難とみられる。  飯野氏は従来ウイルスが蔓延(まんえん)した状態で、変異ウイルスが国内に流入した想定で、1日当たりの新規感染者数の推移を分析した。  流入時に従来ウイルス約300人、変異ウイルス10人だった場合、4カ月後に新規感染者数は計約1千人になるが、半年後には約2千人に拡大、この時点で変異ウイルスが従来ウイルスを逆転する。  同じ条件で変異ウイルスが100人で始まった場合には、4カ月後に変異ウイルスが大半を占め、新規感染者が約3千人に、半年後には約1万3千人に膨れ上がることが推計された。  全員が人との接触を50%減らすことで感染を抑制できるが、短期間で止めるとすぐに増加に転じることも判明。十分に抑えるには、数カ月以上削減を継続する必要がある。飯野氏は「変異ウイルスをこれ以上流入させないために、空港検疫の強化を徹底することも重要だ」と強調する。  今回の宣言下では、飲食店の時短営業やイベントの人数制限、テレワークの徹底などが求められる。飯野氏は「変異ウイルスが流入していた場合は、より強い規制が必要。75%の接触削減を行えば、50%削減した場合より短期間で同等の減少効果が得られる」と指摘する。一方、東京都で先週2千人を超える新規感染者が出た日が相次いだことを踏まえ、「全体的にこのシミュレーションより感染拡大傾向が前倒しになる可能性がある」としている。

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「副反応だけで73種類、シノファームのワクチンは危険」中国人専門家の投稿で中国で騒ぎに

https://news.yahoo.co.jp/articles/045dbac65b848bb064a53f99a74d16c6943a2401

2021/1/11(月) 7:49 中央日報

正確なデータを公開せず信頼不足を招いている中国産ワクチンに対する疑惑がさらに大きくなっている。中国産ワクチンを世界で最も危険だと話した中国の専門家が自身の言葉が歪曲されたとして火消しに出たが、彼の話を見ると疑問はさらに増幅されるためだ。 中国・上海のワクチン専門家、陶黎納氏は6日、自身のウェイボー(中国版ツイッター)に「中国シノファームのワクチンが73の副反応を持っている。これは世界で最も不安定なワクチン」という驚くべき書き込みをした。 中国政府が昨年12月31日からシノファームのワクチンの一般大衆向け接種を無料で実施する中で出てきた話で大きな衝撃を与えた。陶氏の主張はシノファームのワクチンの説明書に基づいたものだ。 説明書ではワクチンの副反応として73種類を列挙しているが、一般的に見られる副反応である痛みと頭痛のほか、高血圧や視力減退、味覚喪失、尿失禁のような重大な副反応もあると陶氏は明らかにした。 陶氏は「説明書を見て驚いて呼吸を整えなければならなかったほど」と話した。こうした彼の書き込みに非難があふれると陶氏は翌7日に謝罪し釈明に出た。「私の慎重さに欠ける行動に対し多くのネットユーザーと全国の人民に謝罪する」と話した。 また、自身が先月26日に1回目の接種をしたが、局部的な痛みのような小さな副反応もないとし、中国産ワクチンが外国ワクチンよりより良いと主張した。その上で「おそらく明確に説明書が誤ったのだろう」と話した。 陶氏によると、説明書には73種の不良反応を例示しているが、ここには人類の200年のワクチン史上見つけるのが難しい重大な副反応である味覚喪失、高血圧、尿失禁などを指摘しているということだ。 陶氏は謝罪したが、彼の以前の主張はシノファームのワクチン説明書に従ったもののため陶氏がいったい何を間違ったのかわからない状態だ。中国内で非難があふれるため西側メディアが自身の話を歪曲して報道しているとし、ただ謝罪からしたとみられるためだ。 中国産ワクチンに対する副反応と関連し6日に北京で開かれた記者会見でも質問が出てきたが、北京疾病統制センターのホウ星火副主任はワクチンの正確な臨床統計は明らかにしないままあいまいな答弁にとどまった。 ホウ副主任は「大多数の人は接種後に不良反応を見せていない」と暗示した後、「しばしば見られる不良反応は頭痛と発熱、せき、食欲不振、嘔吐、下痢」などがあるとし、大したことではないように説明した。 一方、香港紙の明報は8日、実際に中国産ワクチンを接種した人に副反応の有無を尋ねたところ、筋肉痛と相当な疲労感を感じるという回答を得たと伝えた。注目すべきことはワクチンを接種した人がワクチン説明書の対外流出させないよう要求を受けた点だ。 医師はワクチンを接種した後の説明書は「国内の人に見せることはできるが、外国人に見せてはならない。なぜなら現在彼らがわれわれのデータを収集しようとしているため」と説明したという。 新型コロナウイルスを克服するためのワクチン開発は科学に基づいたものだ。ところがその信頼の基盤となるデータと副反応などについて中国が隠す姿で一貫しており中国産ワクチンの効能に対する疑いをさらに育てている状況だ。

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小林よしのり氏「わしを『モーニングショー』に呼んで」TVが言わないコロナ論

https://news.yahoo.co.jp/articles/6816f2f0982596caedbb21f5697d66e269e4e4a0?page=1

2020/12/25(金) 8:54 SPA!

 12月17日、東京都は医療提供体制を4段階の警戒レベルのうちでもっとも深刻な「逼迫」に引き上げた。前日の16日には新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数が過去最多の822人を記録。23日も748人と高い水準で推移している。日本国内の死者は累計3050名(12月24日、厚生労働省)となるなど、全国レベルで見ても「コロナ第3波」の猛威はさらに勢いを増していると言っていいだろう。 ⇒【漫画】指定感染症二類に分類される新型コロナ、インフルエンザと脅威を比較

「経済を最優先すべき」と持論を唱える小林よしのり氏

 メディアでも連日、「医療崩壊」の危機が報じられ、15日には菅義偉首相が「Go Toトラベルキャンペーン」を全国一斉に一時停止することを決めたが、この政府による突然の方針転換について「批判の声に屈せずGo Toを続けるべきだった。専門家とメディアが言うような『医療崩壊』は起きない」と持論を唱えているのが、漫画家の小林よしのり氏だ。 「コロナ感染抑止」と「経済を回す」、両方やらねばならないのは誰しもわかっているが、比重のかけ方は専門家の間でも分かれる。その中で、もっとも「経済」側に軸足を置いているのが小林よしのり氏なのだ。  直近4か月の間に、『ゴーマニズム宣言SPECIAL コロナ論』『コロナ論2』(扶桑社、現在累計10万部)や『新型コロナ――専門家を問い質す』(光文社)を立て続けに出版。このほか、自身が主催し全国に門下生を持つ「ゴー宣道場」やブログ、YouTubeチャンネルなどで日々コロナを巡る情報発信を行っている。「経済を最優先すべき」と主張する理由は何なのか、小林氏に話を聞いた。

「日本の医療は崩壊しない」と主張する根拠とは?

――医療崩壊の危機が、連日報じられている。 小林:ここにきてGo Toトラベルの一時停止など、医療崩壊を防ぐという名目で経済活動が次々に止められている。だが、重症者の数が全国で600人程度に増えようとも、日本の医療が崩壊するわけがない。  現在、医療が逼迫している最大の要因は、コロナを今もなお指定感染症の「二類」(一部は一類)扱いにしているからに尽きる。季節性インフルエンザより遥かに弱毒性で感染力も低いのに、SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)などの「二類感染症」相当に指定したことで、軽症者や無症状者にまで入院勧告や強制入院など過剰な措置がとられているのを見れば明らかでしょう。  確かに、(12月16日時点で)新型コロナの対応ベッド数は全国で2万7235床しかなく、入院者数の割合は37%まで上昇(※)しているが、「二類相当」から新型コロナを除外すれば、もともと世界一の病床数を擁する日本は160万床でコロナに対応できるようになる。インフルと同等の「五類」扱いにすれば、病床の逼迫など瞬く間に解消しますよ。 ※NHK特設サイト新型コロナウイルス「入院者数 重症者数 対応ベッド数全都道府県データ」(厚生労働省の統計をもとにNHKが集計)

医師の約67%が「二類相当の扱いは、見直すべき」

<自治体のなかには、指定感染症「二類相当」の弊害を改める動きも出てきている。12月7日、神奈川県は医療崩壊を防ぐために、新型コロナウイルスの入院者数を抑えて、年齢や病状などを点数化して医師が入院の是非を判断する新基準を導入。従来は、65歳以上の高齢者や特定の疾患を抱える人などは、たとえ無症状でも原則全員が入院となっていたが、これも新型コロナが「二類相当」とされていたからだ。県は「この基準により、新たに入院する人を半分程度に抑えられるのではないか」と説明している。> ――だが、日本医師会の中川俊男会長や東京都医師会の尾﨑治夫会長は「医療崩壊」の危険が高まっていることから、Go Toトラベルの即時中止を訴えていた。今回の新規陽性者の増加を受け、中川氏は「新型コロナウイルスに年末年始はない。クリスマスも『サイレント・ナイト』でお願いしたい」とも念押ししている。 小林:わしの読者には医療関係者もいるが、コロナ患者を受け入れていないかかりつけのクリニックなどで働く者はみな、コロナ前に比べて80~65%まで現場の稼働率が下がり、むしろ「仕事が暇になっている」と嘆いている。これは、コロナが二類感染症相当とされたことの弊害で「発熱患者の受け入れ拒否」が常態化しているからでしょう。彼らは「コロナはインフルより弱いのだから、私たちが受け入れたい」とまで言って、協力を申し出ていますよ。 <日本最大級の医療従事者専用サイト「m3.com」が医師ら884人を対象にした調査(8月28日~9月2日調査)によれば、医師の66.7%は、新型コロナへの感染防護はあまりに過剰で「見直すべき」と回答(「見直す必要はない」は15.8%)。自由回答のなかには、「現在実施している対策は、二類というよりエボラ相当です(リネンの扱い、ご遺体の扱い、使用する防護用具など)。高齢者や基礎疾患のある方が重症化するリスクは、インフルエンザでも同じです。個人的には、いずれ五類季節性インフルエンザ相当が適当と考えています」(看護師)といった声まであった。>

医師会から「二類相当」を見直す動きは出てこない

――ただ、コロナを季節性インフルエンザと同等の「五類」に見直そうという議論は止まったままとも言える。 小林:中川や尾﨑ら医師会の連中がまったく逆のことを言っているのはなぜなのか? それは、医師会はあくまで開業医主体の利益団体であって、コロナの最前線で日々戦っている市民病院や大学病院で働く勤務医や看護師たちの声を代弁しているわけではないからだ。  医師会は新型コロナの二類相当を維持する理由として「ワクチンも治療薬も開発されていないから」と説明しているが、2009年にパンデミックが懸念された新型インフルエンザのときは、ワクチン開発前に感染症法の指定を事実上解除している。医師会の主張は詭弁にすぎない。「医療崩壊」を防ぎたいなら、医師会が「新コロを指定感染症から外せ」と政府に要望すればいいだけの話だ。

2009年の新型インフル騒動時も厚労省は方針を一転

<2009年の新型インフル騒動時、5月に国内初の感染例が報告されると、感染症法に則って「新型インフルエンザ等感染症」と診断された者は強制入院を余儀なくされた。だがその後、死亡率が低い実態がわかると、6月19日に厚労省は方針を一転。感染症法の指定は事実上解除され、「五類」の季節性インフルエンザと同等の扱いとなった。新型インフルエンザのワクチンが開発され接種が始まったのは、解除から1年以上後の2010~2011年冬シーズンになってからだったことを覚えている人も多いのではないか。>

再び「緊急事態宣言」が出されることになるのか?

――感染者数の高止まりを受けて東京都は時短営業の再要請を行い、「年末年始コロナ特別警報」を発出するなど、行政は再び「抑圧政策」にカジを切った。一方で、自粛が経済活動に暗い影を落としているのも事実だ。11月の自殺者数は1798人で、5か月連続で前年比増。特に女性の増加が目立っている。 小林:わしがもっとも懸念しているのは、緊急事態宣言が再び出されることだ。Go Toトラベルを是が非でも継続する構えだった菅首相が、不支持率が支持率を上回った途端、全国一斉停止に方針転換したように、世論はマスコミにミスリードされ、政治はマスコミと世論からの批判に容易に屈する……。菅首相には「どうせ何をやっても批判されるのだから、政治家なら初志貫徹で経済を回せ!」と言いたいよ。

「経済を回さなければ人の暮らしは成り立たない」

小林:今後も「経済より命が大事」などと妄言を唱えるマスコミの政権批判が強まるだろう。だが、経済を回さなければ人の暮らしは成り立たない。経済とは人の営みであり、命そのものなんだよ。そんなことも理解できないから、『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)の玉川徹(報道局員)は、女性の自殺増加の原因を何としても経済苦ではないことにしたいらしい(苦笑)。  番組で厚労省の自殺統計をわざわざ引っ張り出して、原因・動機の1位が「健康問題」で、「経済・生活問題」の10倍もあるから、「Go Toを止めると経済がダメになる、だから自殺が増える、という因果関係は語れないことがわかった!」と大見えを切ったが、彼は「健康問題」を単なる病苦だと思っているのか? 厚労省によれば「健康問題」でもっとも多いのはうつ病で、自殺の理由で多いのもうつ病なのは常識だよ。そして、うつ病の原因にはコロナ禍による失業や減収など経済苦も含まれる。  多くの女性を自殺に追い込んでいるのは、年収何千万ともらっているテレビ局のエリート社員という安全な立場から、無責任に「自粛しろ!」とまくし立てているコメンテーターだよ!

スウェーデンの「緩和政策」は失敗したのか?

――『コロナ論1・2』や『新型コロナ――専門家を問い質す』のなかでは、日本も目指すべきという意味合いでスウェーデンの「緩和政策」を取り上げている。だが、人口1000万人のスウェーデンではこれまでに約35万人が陽性となり、約7800人が死亡。グスタフ国王はインタビューを受け「(自国の政策は)失敗だったと認めた」と報じられている。 小林:メディアは明らかな「誤報」を流している。報道を受けて、すでにスウェーデン王室は「国王の発言は非政治的なものであり、政治批判ととってはならない」とするコメントを出していますよ。  グスタフ国王はパンデミックの犠牲者に対する共感の言葉として言ったものだが、これを世界中の集団免疫反対派から意図的に捻じ曲げられた。国王は立憲君主だから、政府の政策を批判したら憲法違反になる。あり得ないことだ。ただ、ここで一つ断わっておきたい。わしはかねてからスウェーデンに成功して欲しいと願っているが、「緩和政策」は本来、「ファクターX」を持つ日本でこそやるべきだったと思っている。  欧州は多くの犠牲者を出していることからも、スウェーデンで緩和政策をとることは危険だったかもしれないが、よくやってくれたと感嘆するし、世界の感染症対策の未来に大きな貢献をしたと思っている。失敗は移民の看護師が多い介護施設だけだった。そこは、スウェーデンの感染症対策責任者で疫学者のテグネル氏もわかっている。

インフルエンザとコロナの脅威を比べると

――新作『コロナ論2』でも、前作に引き続き専門家やテレビメディアを痛烈に批判している。 小林:コロナ第一波が起きた当初、テレビのなかでも一番、視聴者の恐怖を煽りに煽った『モーニングショー』がもっとも視聴率を稼いだ。これに味をしめて恐怖を煽れば視聴率がとれると考えた製作者が増えたわけだが、視聴率1%=100万人が見ているので影響力は絶大だ。  季節性インフルエンザの死者は1年で3000人、「間接死」を含めると約1万人が死んでいる。これに対して、コロナの死者は12月24日で3000人強。現時点で、風呂場の浴槽で誤って「溺死」する約5000人よりも少ないんです。  インフルの感染者は毎年約1000万人にも上り、これを365日で割ると1日当たり3万人の感染者を出していることからも、たとえPCR検査の陽性者数が1日当たり5000人を超えたとしても、インフルに比べればコロナの脅威は格段に小さいと言っていい。

「発信場所を持っているわしが、誤った情報を正さなきゃいかんのよ」

小林:真実を知る専門家はテレビには呼ばれないし発信する手段がない。そう考えると、発信場所を持っているわしが、誤った情報を正さなきゃいかんのよ。  振り返れば、オウム真理教、薬害エイズ、慰安婦問題……わしが描いてきた多くのテーマでも、マスコミは昔から多くのウソを垂れ流してきた。『コロナ論2』は帯に「完結版」と打ったが、こうなったらメディアのウソを徹底的に糾弾する「天罰編」を出版するしかない。子ども漫画出身のわしが、メディアに対して「王様は裸だ!」と叱責しなければならないんですよ。  玉川徹でも、岡田晴恵(白鷗大学教授)でも、どちらでもいい。わしを番組に呼んでくれたら、いつでも議論する覚悟はある。  年末年始に多くの日本人が故郷に帰りたくても帰れない異常な状況が続いている……。もう一度緊急事態宣言が出される事態となれば、経済の再生がさらに遠のくのは必至だ。誰がこの馬鹿げた狂騒を終わらせるのか? 微力だが、今の自分には描き続けることしかできない。本の力を信じるしかないんです。■ <取材・文/週刊SPA!編集部> ―[ゴーマニズム宣言SPECIAL コロナ論]―

日刊SPA!

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「感染させる人の約半数は無症状。若い人はリアリティを知ってほしい」 尾身会長の緊急メッセージ

https://news.yahoo.co.jp/articles/0a1ea2579b9116057fec9db92fe50f88638ca603

2020/2020/12/31(木) 17:24 YAHOOニュース

感染拡大が止まらない。東京都は31日の新型コロナウイルスの新規感染者が1300人を超え、全国的にも高止まりしている。医療体制が崩れるなど、危機的な状況も懸念されている。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、若者への緊急のメッセージとして「このウイルスは誰でも感染するし、感染させる可能性もあることを知ってほしい」と発した。(ノンフィクション作家河合香織/Yahoo!ニュース 特集編集部)

感染を抑えられなかった「勝負の3週間」

──11月25日に政府が「この3週間が勝負」と訴えましたが、感染拡大が止まりません。 4月の緊急事態宣言の頃より、私は今のほうが強い危機感を持っています。このままではみなさんが空気のように当たり前のように感じてきたかもしれない、質の高い日本の医療が維持できなくなってしまう。医療体制が崩れると、社会の根幹が崩れてしまうことになりかねない。さらに、職を失う人も増えるかもしれません。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長(撮影:編集部)

──政府の緊急事態宣言を再び求める声も高まっています。 いま緊急事態宣言を出しても、4月頃に比べて国や自治体の協力を得ることが難しくなっています。必ずしも、前と同じ効果が得られるかどうかはわからないと思います。4月の時点では、宣言を出すという行為そのものが、人々の行動を大きく抑制する効果があった。感染防御のため、みんなが協力して自分の仕事を休むなどしてくれた。だが、いま2度目の緊急事態宣言を出しても、あのときのような協力が得られる確証は今のところありません。 感染を抑えるために必要な対策についてリアリティをもって分析し、いま何が求められているかという中身を議論しなければならない。対策は、人々の協力が得られるものでないと意味がないと思います。緊急事態宣言下の東京・渋谷(4月10日、写真:アフロ)

──効果的な対策は何でしょうか。 ウイルスの性質について、今はわかってきたことが多い。その知見からすれば、一律にすべての国民に自粛を要請するのではなく、リスクの高いところに重点的に対策を強化すべきです。つまり急所を押さえることです。 飲食店が感染の要素になるということは、膨大なデータから明らかになりました。以前のように夜の街だけではなく、昼間のレストランなどでも、マスクを外しての会話で感染の場となり得ることが明らかになった。時間や場所、お酒の有無にかかわらず、食事の場は感染のリスクが高いわけです。 ──だから、感染を抑制するには飲食店に行くのを控えなくてはいけないのでしょうか。 確かにそうです。ただし、飲食店側からすれば、協力したくても経営上難しい面があることはよくわかります。であれば、今まで以上に強力に経済的支援を行うべきだと思います。感染症で亡くなる人も、失業や休業で困窮する人も同じ命です。

しっかり経済的支援をするというメッセージを

「今の協力金では足りない」という飲食店は多い(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

──営業時間の短縮要請やそれに応じた店への協力金を支援するなど、新型コロナウイルス特措法改正の議論もあります。 事業者に国が十分な協力金を手当てできる法律を制定する計画があるのなら、なるべく早く実行してもらいたい。それにより、しっかりと経済的支援をする強い意志が国にあるというメッセージが国民に伝わると、多くの事業者の協力が得られるのではないかと思います。これは政治の役割だと思います。(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

──5人以上の会食を控えるように政府は呼びかけていたにもかかわらず、政治家が多数で会食している報道が相次ぎました。 議員が自ら大勢の会食をしていては、いろいろ我慢している市民はついていけないでしょう。もちろん議員の行動で感染拡大が起きたわけではありません。ですが、選挙で選ばれた人たちが宴会をがんがんやっていれば、市民はそれを大人数で会食してもいいんじゃないかというメッセージとして受け取るでしょう。

約半数が無症状。誰でも感染させる可能性がある

──10代、20代などの比較的若い世代が感染を広めているという指摘があります。事実でしょうか。 はい、そういう傾向があります。しかし、私が強調したいのは、若い世代に責任がないことです。これはウイルスの特徴によるものです。若い人は感染してもほとんどが無症状で重症化しない。その結果、知らないうちに感染が広まっています。 ただし、若い人にはこうしたリアリティも知ってほしい。このウイルスは他の人に感染させる人の約半数が無症状です。知らないうちに家庭内に伝播し、家庭内の高齢者が高齢者施設に行くと、そこには基礎疾患のある人も多くいる。そうなると重症化する方が増え、結果的に医療の負担が減ることはない。首都圏の医療機関(写真:ロイター/アフロ)

今はみんなが協力して、感染レベルを下げることが重要です。若い人たちには、自分たちの行動が苦境の日本を救う、おじいちゃんおばあちゃんを救うということを、ぜひ知っていただければと思います。

──社会のために行動を変えて欲しいということですね。 私自身の若い頃を思い出しても、自分のことで精一杯。せいぜい考えるのは自分の家族や恋人のことでした。だから、それを求めるのは難しいことだというのは、よく理解しているつもりです。しかし一方で、日本の若い人も災害が起きれば、大勢が自発的にボランティアに行くわけですよね。誰かから強制されたわけでもなく、自ら困っている人を助けたいという気持ちもあるのではないか。それは責任感や道徳観や義務感ではない、もっと自然な思いかもしれませんね。 もちろん、すべての自由を諦める必要はありません。自分の人生を楽しみながらも、少しそういったリアリティに心を馳せてほしい。それだけで感染状況は変わってくると思います。

──現状、政治に足りないものはなんでしょうか。 市民に痛みを伴う対策をお願いするのであれば、政治家自らが強い気持ちと具体的な政策を出さないと人は動かないでしょう。そして、国や地域の代表として、市民や医療を救いたい、今の感染拡大を食い止めたいということを心から訴えれば、人々は動いてくれると思います。

──いま耐えることで、年明けから感染は収まっていきますか。 年末年始に自粛すれば、人の動きが減るのでいったん感染者は下がるでしょう。だが、年明けに社会が動き出すと、再び感染が拡大する恐れはあります。その時にどうするかを今から考えておかなければなりません。市民へのお願いだけでは不十分だと思います。急所を抑えた早急な政策が必要です。(図版:新型コロナウイルス感染症対策推進室(内閣官房)より)

※インタビューは2020年12月28日に実施 河合香織(かわい・かおり) 1974年生まれ。神戸市外国語大学卒業。2009年、『ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち』で第16回小学館ノンフィクション大賞受賞。『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』で2019年、第50回大宅壮一ノンフィクション賞、第18回新潮ドキュメント賞受賞。

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新型コロナに感染しても「軽症で済む人」と「重症化する人」の決定的な違い

https://news.yahoo.co.jp/articles/a8b3643eb3a35e64072245b8def3fff6fb861db7

2021/1/1(金) 11:16 PRESIDENT ONLINE

新型コロナの感染者のうち、どんな人が重症化しやすいのか。順天堂大学医学部の小林弘幸教授は「原因は、本来、身体を守るはずの免疫細胞が暴走するサイトカインストームだ。免疫の暴走を食い止めるには、『レギュラトリーT細胞』が欠かせない」という――。 【この記事の画像を見る】  ※本稿は、小林弘幸・著、玉谷卓也・監修『免疫力が10割 腸内環境と自律神経を整えれば病気知らず』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。 ■「重症化」はICUでの治療が必要な状態  国内における新型コロナウイルス感染症では、感染しても約80%の患者が無症状か軽症で済むものの、高齢者や基礎疾患のある患者を中心に約15%は重症肺炎になり、約5%は致死的なARDS(急性呼吸促拍症候群)という呼吸不全に至ります。  新型コロナウイルス感染症において「重症化」というのは、この5%を指します。  ARDSに陥り、ICU(集中治療室)での治療が必要となった状態です。  重症化から回復しない場合、数日のうちに呼吸不全は呼吸困難へと進行し、深刻な炎症に陥った心肺は機能しなくなるため、ECMO(エクモ)という人工心肺装置を装着。ここまで至ると、残念ながら8割方の患者は命を落としてしまいます。 ■ウイルスの毒性だけならインフルエンザのほうが怖い  これを聞くと、「新型コロナウイルスはなんと恐ろしい毒性を持っているんだ」と思うのですが、こうした症状の悪化の原因はウイルスの病原性だけではないことがわかっています。  ウイルス単体の毒性でいえば、インフルエンザウイルスのほうがよほど怖いのです。  では、なぜ世界で100万人以上もの方が命を落としているのか?   その答えが、「サイトカインストーム」です。  本来、わたしたちの身体を守るはずの免疫細胞が火の嵐のように暴走し、全身に炎症を引き起こす免疫の過剰反応が、この感染症の重症化の原因なのです。  これは、2020年5月に、量子科学技術研究開発機構理事長で前大阪大学総長の平野俊夫先生によってあきらかにされています。

■「免疫の暴走」サイトカインストーム  「サイトカイン」とは、免疫細胞同士が互いに協力したり、ウイルスとの戦いを有利に進めたりするために使う、免疫細胞が出す物質のことを指します。  例えば、司令官役のヘルパーT細胞が、抗体をつくるようB細胞に指示したり、ウイルス撃退の実行を担うキラーT細胞に出動要請をかけたりするのにも使います。  しかし、サイトカインにはガソリンのように危険な側面もあります。サイトカインの産生量が度を越せば、炎症は拡大して内臓や血管の機能不全を引き起こします。  その「やり過ぎ」の状態がサイトカインストームです。  平野先生の研究によれば、主に肺組織にいるマクロファージ(ウイルスを貪食したり、ウイルスの情報をヘルパーT細胞に伝えたりする免疫細胞の一種)から放出されるサイトカインが“主犯”とされています。  ウイルスに感染した細胞がSOS物質を放出し、免疫細胞を呼び寄せ活性化したり、マクロファージからサイトカインを放出させたりします。そのサイトカインに刺激された免疫細胞や組織細胞がさらにサイトカインを放出します。  このようにして、新型コロナウイルスの感染が引き金となり、免疫細胞や組織細胞によるサイトカインの産生が続いたのち、その共鳴を一気に増幅させる「IL-6アンプ」というスイッチが押されます。  そして、細胞間のサイトカイン放出の呼応が一気に増加し、サイトカインによる炎症はまたたく間に広がり、心肺が機能不全を起こすほどの肺炎となるのです。 ■サイトカインストームを未然に防ぐには  サイトカインストーム自体は、インフルエンザなどほかの重症化リスクのあるウイルスでも起こり得ることですが、新型コロナウイルスはとくに起きやすいことが脅威となっています。  そして、このサイトカインストームにおいて、もうひとつ炎症を悪化させるファクターがあります。それが、「免疫ブレーキの故障」です。  免疫の働きが正常な状態であれば、ウイルスの感染に対して免疫応答(ウイルスなどの外敵に対処する免疫細胞の一連の反応)が行われたあと、免疫細胞たちに「撤収」を呼びかける細胞がいます。  それが、「レギュラトリーT細胞」です。  ヘルパーT細胞、キラーT細胞と同じT細胞の一種で、免疫細胞たちを制御することが役割です。この細胞が正常に機能していれば、サイトカインストームも抑制されたはずなのです。  しかし、新型コロナウイルスに感染し、重症化した患者の血液中からは、このレギュラトリーT細胞を含むT細胞全般が極端に減ってしまっていることがわかっています。原因はまだまだ研究途上ですが、ふたつの理由が想定されています。

■レギュラトリーT細胞が減少する2つの理由  ひとつめは、新型コロナウイルスの感染によってT細胞が減少しているのではないか、というものです。  どうやら新型コロナウイルスは組織細胞だけでなく、免疫細胞であるT細胞にも感染し、減少させている可能性があると考えられています。ただこれはまだ仮説の段階で、今後の研究が待たれます。  そのほか、炎症を起こしているほかの箇所へ動員されてしまっている可能性や、T細胞が生き続けるために必要な因子が枯渇してしまっている可能性などがあります。  重症者の体内では、キラーT細胞も減少していますが、司令官の役割を担うヘルパーT細胞と調節役のレギュラトリーT細胞の減少が著しく、これが免疫力低下の一因となり、サイトカインストームの発生を食い止めることができなくなっていると考えられています。  ふたつめは、基礎疾患や生活習慣の乱れです。  免疫細胞はわたしたちの身体から生み出される、身体の一部分です。そのため、健康状態を悪化させるような生活習慣や、基礎疾患による臓器の不調があれば、免疫細胞も不健康となり、正常に機能しません。  とくに、レギュラトリーT細胞は腸に多く生息する免疫細胞です。腸内環境が著しく悪化している身体では、新型コロナウイルスが感染する前からレギュラトリーT細胞が少なく、サイトカインストームを起こしやすい状態にあることが予想されます。 ■“不健康”が重症化を招く  これらの要因のなかでも、基礎疾患や生活習慣の乱れによる“不健康”がレギュラトリーT細胞減少の原因となっている点は、極めて重要です。  なぜなら、実際に国内外における新型コロナウイルスの死亡者の多くは、肥満症、あるいは糖尿病や高血圧などの基礎疾患を抱える患者であるからです。  そのような患者は、レギュラトリーT細胞の減少や機能低下によって、そもそもサイトカインの産生を誘発しやすい状態にあると考えられます。  こうした重症化の仕組みからわかるのは、新型コロナウイルスへの対処においては、外からの感染予防のみならず、自らの身体を“健康”に保ち、レギュラトリーT細胞を含む免疫細胞が適切に活動できるような「10割の免疫力」を維持することが非常に重要である、ということなのです。 ———- 小林 弘幸(こばやし・ひろゆき) 順天堂大学医学部教授 1960年、埼玉県生まれ。スポーツ庁参与。順天堂大学医学部卒業後、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属小児研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学医学部小児外科講師・助教授などを歴任。自律神経研究の第一人者として、トップアスリートやアーティスト、文化人のコンディショニング、パフォーマンス向上指導にも携わる。近著に『名医が実践! 心と体の免疫力を高める最強習慣』、『腸内環境と自律神経を整えれば病気知らず 免疫力が10割』(ともにプレジデント社)。新型コロナウイルス感染症への適切な対応をサポートするために、感染・重症化リスクを判定する検査をエムスリー社と開発。 ———-

順天堂大学医学部教授 小林 弘幸

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社会問題

ドイツに帰ってやっと分かった「日本のコロナ感染者数が少ない理由」【2020年ベスト記事】

https://news.yahoo.co.jp/articles/20f95ea5555aac093e24b7185b60e36e118df1d8

2020/12/31(木) 7:01 現代ビジネス

———- 2020年、現代ビジネスで反響の大きかったベスト記事をご紹介していきます。7月31日掲載〈ドイツに帰ってやっと分かった「日本のコロナ感染者数が少ない理由」〉をご覧ください。 ———- 【写真】死ぬ瞬間はこんな感じです。死ぬのはこんなに怖い

不気味なほど静かなフライト

〔PHOTO〕gettyimages

 7月22日の夜10時半、羽田空港は人影もまばら、お化けが出そうなほどシーンとしていた。新型コロナウイルスの世界的な大流行により当初の予定が狂ってしまい、5ヵ月も日本に滞在していた私は、ようやくこの夜、フランクフルトに向かって発とうとしていた。  都内では次第に街の活気も戻り、電車の乗客も増え始めていたので、この羽田空港の静けさにはショックを受けた。空港中に緊張感が張り詰めており、コロナの猛威が突然、身に迫ってきた。  チェックインカウンターでは、EUに入れる査証を所持しているかどうか、乗客のパスポートを厳重にチェックしている。入れない人を運んでしまうと、あとで面倒なことになるからだろう。  EUは日本に対して7月1日から門戸を開くはずだったが、それがすぐに取り消されたのは、日本がまだEUからの入国を、例外を除いては認めないからだ。こういう規制は、普通、相互でバランスをとりながらやる。  日本政府は現在、たとえ日本人の帰国であっても、入国の際にはものすごく厳しい規制をかけている。空港から公共交通も使えないし、タクシーすらNG 。誰かに空港まで車で迎えに来てもらえない限り、定められたハイヤーを使うしかない。都内ならまだしも、遠方の場合、その料金は巨額になる。聞くところによると、羽田から都内は1万5千円、成田から都内が3万円だが、羽田から仙台までは15万円だそうだ。  ただ、見方を変えれば、日本は島国であり、水際だけしっかり見張れば、何事もかなり完璧に取り締まれるという利点がある。そして、現在、日本政府はその利点を余りなく使ってコロナ対策をしているという印象を受けた。  私が乗ったのは全日空で、機体はボーイング787。しかし、こちらも乗客より客室乗務員の方が多いのではないかと思うほどガラガラだった。しかも、普段なら、ドイツ人のスタッフが搭乗しているのに、現在は日本人だけ。そして乗務員も乗客も、もちろん飛行中はずっとマスクをしたままだ。  最小限の食事は出たが、いつものように乗務員がお盆に飲み物を乗せて回ってきたり、免税品を売りに来たりということもない。夜間飛行なので、離陸後はさっさと消灯、終始一貫、話し声さえ聞こえない不気味なほど静かなフライトだった。  いずれにしても、この乗客数で採算が取れるはずはない。だからといって、コロナが下火になる気配も感じられず、航空業界はこの先、いったいどうなってしまうのかと暗澹たる気持ちになった。

ドイツのPCR検査数は週100万件

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 EUでは、EU圏内での移動の自由をほぼ戻したが、圏外からの入国は制限されている。だから現在、原則として、現地での滞在許可を持っている人しか入れない。  フランクフルト空港に着くと、早朝だったせいもあるが、やはりこれまで見たことのないほど空いていた。旅券審査は行列もなくスムーズで、荷物の受け取り場所では、あっという間にスーツケースが出てきた。  本来なら、現在、帰国者は管轄の役所に届けて、14日間、自宅に滞在するようにと言われているが、日本はコロナ危険国に指定されていないため、厳しく監視されることはない。ただ、空港ですぐにPCR検査をすることも可能で、それが陰性なら、あとは何の制約もなくなる。  私はこれをオンラインで申し込んであったので、すぐに空港内の検査場で済ませた。5時間ほどするとケータイに結果が送られてきて、一応「無罪放免」。一番簡単なテストが59ユーロ(7000円強)である。  日本では、ドイツは検査数が多いから良いという人がたくさんいる。私も以前はそう思っていたが、今は、私はこの説には与しない。  もちろん、検査で陽性だった人が、自分は発症してなくても自宅に待機し、感染を広げないという効果はあるだろうが、しかし、今日は陰性でも、明日感染するかもしれないのだ。つまり、一度、陰性だったからといって、その状態が保証されるわけではない。その上PCR検査では、陽性でも、結果が正しく陽性と出る確立はたったの7割だという。  それでも、ドイツは検査数の多さが自慢のようで、今やその数は一週間で100万件近くにのぼっている。  濃厚接触者はもちろんだが、たいていの人は、心配だから、無料だから、という理由で調べてもらう。その結果、陽性の人は、症状がなければ自宅待機。一方、陰性だった人は、自分はもう大丈夫と、以後の注意が散漫になっているような気もする。  いずれにしても、このPCRバブルで空前の利益を上げているのが、検査キットのメーカーと検査を請け負っている会社だろう。

夏のバカンスシーズンに向けて

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 現在のEUのコロナ感染状況はというと、ここ10日ぐらいで、また急増し始めている。  バルセロナなどを含むスペイン北部や、オーストリアの観光地などで感染者が増えており、イギリスはスペインからの入国者(帰国者)全員に14日間の自宅待機を命じるという事態に至っている。観光が大きな収入源となっているスペインの悩みは大きい。  ドイツも感染者は増加傾向で、第一波が収まった後は、長らく1日の新規感染者数が300~600人辺りで推移していたが、現在、800人などという日も出てきた。  あれだけ検査して、この数で収まっているのは立派といえば立派だが、一方では、検査をどれだけ多くしても、感染拡大防止にはあまり役に立たない証拠とも言える。  ドイツのこれまでのコロナ感染者数は21.8万人。コロナ関連の死者は9200人超。日本はドイツの1.5倍の人口があるが、感染者数は3.3万人、死者は1000人ほどだ。その上、日本は去年と比べて、死者全体の数もさほど増えていない。それに比べてEUでは、今年前半の死者数が、例年より16万件も増えた。  検査による感染者数は、検査自体の件数や、やり方でかなり変わってくるので比較しにくいが、全体の死者数が例年と比べてどうなっているかという数字は、各国のコロナの実態を一番的確に表しているのではないかと思う。  いずれにしても、現在、EUにおいて、収まっていたはずのコロナが再び猛威をふるい始めているのは、夏のバカンスシーズンに向けて、EU圏内での移動を自由にしたためだ。  つまり、感染者数の増加はある程度、想定済みだったとはいえ、歯止めが効かなくなったら困る。とはいえ、観光業の活性化は多くの国にとって死活問題なので、ブレーキはかけたくない。文字通り、抜き差しならない状況だ。  そこで、観光や移動を阻害せず、新たな感染拡大を防ぐ方法を模索したドイツ政府は、外国でのバカンスから帰ってきた人たち全員に、空港や港で無料のPCR検査を実施することを決めた。現在、その経費を誰が持つかで、国、州、地方自治体が意見をまとめている。  ただ、無料にすることに反対の意見もある。現実として、バカンス地では、特に若者たちがソーシャルディスタンスを守らず、超三密で夜な夜なパーティーで盛り上がっている映像が流れる。彼らの乱痴気騒ぎの後始末を、なぜ、税金でしなければならないのか。自分たちの責任でやれ、というわけで、もちろん一理ある。

日本の感染者数が少ない理由

〔PHOTO〕gettyimages

 さて、ドイツに戻ってきてそろそろ1週間経つが、最後にその感想。  ドイツ人は、非常事態宣言が敷かれていた4月ごろこそ、皆、極度に神経質になっていたようだが、現在はもう、あまり気にかけている様子が見えない。  店のレジのところにはアクリル板が設置され、店内や交通機関ではマスク着用が義務付けられているものの、日本人のように、マスクの外側にはウイルスがくっついているかもしれないから外すときは紐をつかんで捨てろとか、そのままテーブルの上に置くなとか、手で目や鼻や口を触るなとか、家へ帰ったらすぐに手を洗えとか、うがいをしろとか、そんなことをちゃんと実行しているようには全然見えない。  私は、東京にいた間は、東京は“ゆるゆるだ”と思い込んでいたが、ドイツはもっと“ゆるゆる”だった。というか、ウイルスに対する意識が異なる。警戒感も少ない。  日本にいる間、なぜ、日本がある程度、感染防止に成功しているのかが解せなかったが、ドイツに戻ってきてようやく分かった。日本人は手を洗うし、消毒もするし、うがいもするし、何よりもマスクの管理が徹底している。  現在、ドイツでは、感染予防に一番効果的なのは、ソーシャルディスタンスとマスクであると言われ始めている。  コロナに関する話は、何が本当で、何が希望的観測か、よくわからないところもあるが、しかし、一つだけ確かなのは、ドイツ人のマスク歴はたったの3ヵ月。日本は、少なくとも50年だ。  ドイツの普通の人たちは、マスクの効果などさほど信じている様子がないし、どちらかというと今でもバカにしている。お店に入るとき、持っていない人に、自分の付けていたマスクを貸してあげている人も見た。日本人なら卒倒しそうなシーンだ。  それに比べて、日本人はこの蒸し暑いのに、まあ仕方がないかと思って、戸外でもマスクを着用する。ひょっとしたら、本当にこの差が、感染者数の差になって表れただけなのかもしれないと、私は思い始めている。

川口マーン惠美

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対策 社会問題

「日本モデルに再現性はない」コロナ民間臨調“460ページ報告書”に記された真実――文藝春秋特選記事

https://news.yahoo.co.jp/articles/fe38fcd174636e3e0eecd9b9b45f700b4a6cd5d9

2020/12/31(木) 6:12 文春オンライン

「文藝春秋」12月号の特選記事を公開します。(初公開:2020年12月5日)  新型コロナウイルス感染症への日本政府の一連の対応のなかで、これまで何がうまく行き、何が失敗だったのか?――第3波の勢いが強まる今、その検証は欠かせない。 【写真】この記事の写真を見る(4枚)  そんな中、「新型コロナ対応・民間臨時調査会」(小林喜光委員長=コロナ民間臨調)が、政策決定に関与した関係者たちの貴重な証言を集めた『調査・検証報告書』を発表した。  今年5月、緊急事態宣言を解除するにあたり、安倍晋三首相(当時)は「日本モデルの力を示した」と胸を張り、政府の対策の成功であるかのように強調した。しかし、その「自己採点」は正しいのか――。

83人の関係者へヒアリング

安倍晋三氏と菅義偉氏 ©共同通信社/文藝春秋

 こうした点を検証すべく、コロナ民間臨調は安倍前首相のほか、菅義偉官房長官(当時・現首相)、西村康稔新型コロナ対策担当相や専門家会議副座長だった尾身茂コロナ分科会長(7月に改組)のほか官邸や厚労省の官僚も含め83人もの関係者へのヒアリングを行った。  その結果、今年6月までに行われたコロナ対応について、いくつもの新事実が当事者の口を通じて明らかにされている。  その一つが、感染が増えだした3月、政府の水際対策が後手に回った経緯だ。欧州からの帰国者に対しての上陸制限措置に遅れが生じた。中国と韓国に対しては3月5日、発行済みの査証(ビザ)は無効とし、観光目的の来日自粛を要請する方針を政府は固めた。ところが欧州ほぼ全域に対しては、4月3日にならないと発動されなかった。どうしてそんなことが起きたのか。  ある官邸スタッフは報告書の中でこう明かす。

“緊急事態宣言慎重派”だった菅義偉氏

「同時期に行った一斉休校要請に対する世論の反発と批判の大きさに安倍首相が『かなり参っていた』ことから、更なる批判を受けるおそれが高い旅行中止措置を総理連絡会議において提案することができなかった」  そして「今振り返るとあの時欧州旅行中止措置をとっておくべきだったと思う。あれが一番、悔やまれるところだ」と告白している。  また、安倍前首相も重要な証言を残している。ヒアリングに対し、最も難しかった判断として4月7日に出した緊急事態宣言を挙げ、「ずいぶん論争があった。経済への配慮から結構慎重論があった」と振り返っている。  報告書によれば3月28日ごろ、安倍首相が「早めに出した方がいい雰囲気だよな」と話したのに対し、西村コロナ担当相は「早めに出す方がいいと思っています」と応じていた。だが、これに一貫して慎重論を唱えていたのは菅官房長官で、「経済へのダメージを懸念していた」という。これは今現在、Go Toトラベルキャンペーンなどの存続にこだわる菅首相の姿勢とも重なる。  加えて安倍首相の判断を難しくしたのが、小池百合子東京都知事の存在だった。

小池発言が「ターニングポイントになった」

 小池都知事は3月23日、「都市の封鎖、いわゆるロックダウンなど、強力な措置を取らざるをえない状況が出てくる可能性がある」と述べ、国民の危機感が一気に高まった。  一方、報道を通じて繰り返された小池都知事の発信は誤解を呼んだ。日本の新型インフルエンザ等対策特別措置法では予定されていない罰則措置を伴う欧州のような都市封鎖を想起させ、買い占めが起きたり、SNS上で「4月1日に東京でロックダウンが起きる」という根拠のない噂が広がったりした。  安倍前首相はヒアリングに対し「小池さんがロックダウンという言葉を使ったため、その誤解を解く必要があった。それを一回払拭しなければならない。あの法律の下では国民みんなが協力してくれないことには空振りに終わっちゃう。(略)そのあたりが難しかった」と述べた。また西村コロナ担当相も、「(発言が)ターニングポイントになった。結果としては緊急事態宣言が遅れた部分があったと思う」と証言している。

「日本モデル」の基礎は危ういものだった

 こうして出された緊急事態宣言の下、商店や企業の営業自粛や、接触を避ける国民の行動変容によって、5月末には感染が一旦は収束に向かったのは事実だ。だが、ある官邸官僚は「泥縄だったけど、結果オーライだった」という言葉を残している。  報告書作成を主導した独立系シンクタンク「一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ」理事長の船橋洋一氏は、こう総括する。 「場当たり的でも結果が出れば政治的には評価される。ただ、それでは将来に同様の危機が到来した時の再現性はない。つまり、『日本モデル』の基礎は危ういものだったと言わざるをえず、成功物語にさせてはいけない」  466ページにわたる報告書のポイントについて、船橋氏が解説したインタビュー手記「 検証 2020年のコロナ対策 」は、発売中の「文藝春秋」12月号および「文藝春秋digital」に掲載されている。  そこには、冬のコロナ対応を監視していくためのエッセンスが詰まっている。

広野 真嗣/文藝春秋 2020年12月号

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対策

コロナで症状出る人と出ない人の違いは? 帯津医師、免疫力に注目

https://dot.asahi.com/wa/2020052900005.html?page=1

帯津良一2020.6.1 07:00週刊朝日

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「自然免疫」。

【写真】免疫学の大家だった安保徹さん

*  *  *
【ポイント】
(1)自然免疫が見直されるようになってきた
(2)中医学はずっと自然免疫に注目してきた
(3)自分の生き方を見直して自然免疫を高めよう

 コロナ騒動が起きてから、免疫力への関心が高まっています。免疫とは「疫病」から「免」れるということですから、注目されるのは当然といえます。コロナに同じように感染しても、症状が出る人と出ない人がいます。その違いは免疫力にあるのではないかというのが、気になるところではないでしょうか。

 免疫に関する研究は近年、急速に進んでいて、いろいろなことがわかってきています。その一つは、「自然免疫」と「獲得免疫」の役割についてです。

 これまでにも書いてきましたが、自然免疫は生まれつき備わっている仕組みです。細菌、ウイルスといった外敵が体内に入ってくると、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞などが、それらに対抗して活躍します。マクロファージは「大食い」という意味を持っていて、外敵を丸呑みします。

 もう一つの免疫の仕組みである獲得免疫は、外敵との戦いによって身につけていく能力で、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、B細胞などが担当します。

 西洋医学ではこの獲得免疫が注目されてきました。特定の病原体に対して、画期的な戦い方をするからです。天然痘をはじめとする各種ワクチンは、人工的に獲得免疫をもたらす方法です。それによって救われた命は計り知れません。

 ただ、近年は自然免疫が見直されるようになってきています。マクロファージにしても、樹状細胞にしても、外敵に見境なく飛びかかるのではなく、精巧な病原体センサーを何種類も備え、相手の正体を正確に把握しているのです。

 そのうえで、その病原体の断片をヘルパーT細胞などに提示します。そこで獲得免疫が動き出すのです。つまり自然免疫は獲得免疫にとって、欠かすことのできない役割を担っているのです。

 私たちが「免疫力を高めよう」といったときは自然免疫のこと。もともと持っている免疫の力を高めよう、ということなのです。しかも、それが獲得免疫も含めた全体の免疫力を高めることにつながるのです。

 私はコロナに感染して症状が出る人と、出ない人の違いはこのへんにあるのではないかと思っています。

 中医学の世界では免疫という考え方がありません。病原体(病邪)に対抗するのは「気」の働きです。気は中医学の中心的な概念ですが、日本人にはわかりにくいかもしれません。気の力が低下した状態を「気虚」と呼んで、それを改善させるのが「補気」です。漢方薬でいえば、四君子湯、六君子湯、補中益気湯などがその役割をします。

 中医学は4千年の歴史を通して自然免疫に注目してきました。補気とはつまり、自然免疫を高めることなのです。

 免疫学の大家、故・安保徹さんは「自然の摂理に反した生き方をしていれば、免疫力が落ちてしまう」とおっしゃっていました。コロナに負けないためには、まずは自分の生き方を見直し、自然免疫を高めることが大切なのかもしれません。

週刊朝日  2020年6月5日号

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社会問題

新型コロナ“神対応”連発で支持率爆上げの台湾 IQ180の38歳天才大臣の対策に世界が注目【2020年ベスト20 2月29日】

https://news.yahoo.co.jp/articles/7182e4da78186c3064e08cdc287410759e9430f6

2020/12/30(水) 18:00 AERA DOT.

 2020年も年の瀬に迫った。そこで、AERA dot.上で読まれた記事ベスト20を振り返る。 【写真】世界が注目する38歳の天才 オードリー・タン氏  3位は「新型コロナ“神対応”連発で支持率爆上げの台湾 IQ180の38歳天才大臣の対策に世界が注目」(2月29日配信)だった。(※肩書年齢等は配信時のまま)

*  *  *  安倍晋三内閣の新型コロナウイルスの感染拡大対策に、国民から厳しい批判の目が向けられている。共同通信が15、16日に実施した世論調査では、前回から8.3ポイント下落の41.0%、不支持率は前回から9.4ポイント増の46.1%となった。他社の調査も同様の傾向で、産経新聞とフジテレビが22、23日に実施した調査では支持率36.2%(前回比8.4ポイント減)で、不支持率の方が10ポイント以上高くなった。  一方、世界的な感染拡大が続くなか、支持率が“爆上げ”した政治家もいる。台湾の蔡英文総統だ。24日に公表された台湾民意基金会の調査によると、支持率は68.5%。先月調査から11.8ポイントも上昇した。特に高い評価を得ているのが防疫対策で、75.3%が「80点以上」と回答している。  たしかに、台湾の対応の早さは他国と比較しても際立っている。日本では1月16日にはじめて国内の感染者発生が公表されたが、新型コロナウイルスを「指定感染症」として閣議決定したのは1月28日。台湾は感染者が一人も出ていない1月15日の時点で「法定感染症」に定めていた。  安倍首相は2月27日、全国の小中高校や特別支援学校に休校要請することを発表した。だが、台湾ではすでに学校の休校は原則終了している。旧正月(春節)の冬休みを2週間延長して24日まで休みにしていたのを、現在は、教職員や生徒で感染者が1人出れば学級閉鎖、2人以上なら学校閉鎖するという基準を設け、授業を再開している。  共働き家庭への配慮も評価されている。休校中に小学生の世話が必要になる保護者は、看護休暇を申請できるようにした。また、中学生以上でも障害を持つ子供の保護者であれば、同じ制度が適用されるようにした。もし、企業が有給休暇の取得を拒否した場合、法律にのっとって処罰することも表明。「休校」という方針だけが発表された日本とは、大きな違いだ。

 日本では今、経済対策として新規の補正予算を組む声が高まっている。26日には自民・公明の両党が安倍政権に経済対策の策定を求める方針を決定。では、台湾はどうか。台湾立法院(国会)は25日、600億台湾ドル(約2200億円)を上限とする経済対策の特別予算案を可決した。大きな打撃を受けている観光産業への支援などが柱になる予定だ。  そのほかにも中国へのマスク輸出禁止や厳しい渡航制限など、蔡政権が次々と打ち出す方針に当初は批判もあった。それでも、2月28日現在で感染者数が34人に抑えられていることから、批判は少なくなっている。台湾では、2003年に起きたSARS(重症急性呼吸器症候群)で84人の死者を出した。その時との違いも、高い評価を得ている理由だ。検査体制が異なるため単純な比較はできないが、日本の感染者数230人(クルーズ船の陽性反応者705人を除く)、韓国の2000人以上(いずれも28日現在)と比較しても、現時点での封じ込め対策は一定の成果を出しているといえるだろう。  台湾在住のノンフィクションライターの近藤弥生子さんは、こう話す。 「一般の人々が不安に感じていることについて常に先回りした対応をしていること、そして蔡総統や蘇貞昌行政院長(首相に相当)が寝る間を惜しんで必死に感染症拡大に奮闘している姿が伝わってきます。武漢からチャーター機で帰国した台湾人から一人の感染が確認された時は、陳時中衛生福利部長(保健相)が記者会見で涙を流しながら『患者の数は増えてほしくない。だが、逆に考えると命を救うことができる』と訴え、その真剣な姿に台湾人から称賛の声が相次ぎました」  “神対応”を連発する蔡政権のなかで、世界から注目されているのがデジタル担当政務委員(大臣に相当)のオードリー・タン(唐鳳)氏だ。タン氏は世界的に有名なプログラマーで、現在38歳。8歳からプログラミングを学び、14歳で中学を中退。15歳でIT企業を起業した。その後にトランスジェンダーであることを明かし、36歳で入閣した時は性別欄に「無」と記入した。タン氏はIQ180ともいわれる天才で、台湾の人々は「彼女の存在は私たちの希望」と慕う。

 台湾が誇る天才が、感染症対策でも活躍している。  日本と同じく台湾でも、1月後半からマスクの在庫不足が問題になっていた。まずは輸出や持ち出し、転売が禁止され、2月6日にはマスクの購入が実名制になり、7日間で2枚しか買えないようにした。厳しい供給規制に反発がおきる可能性もあったが、タン氏は衛生福利部(保健省)中央健康保険署と協力して、台湾国内の薬局にあるマスクの在庫データをインターネット上に公開。すると、民間のITエンジニアがそのデータを地図上に落とし込み、在庫状況がひと目でわかるアプリを開発して無償配布した。  それだけではない。緊急時に発生するデマ情報の拡散を防ぐため、ラインなどの通信アプリを通じて間違った情報を信じないよう注意するメールを配信。また、新型コロナウイルスに感染しやすいタクシー運転手やバス運転手にマスクが優先的に届くように求める情報を発信すると、フェイスブック上では、本当に必要な人にマスクを譲ろうという声があふれた。  台湾の新型コロナウイルス発生状況のホームページはグラフや地図を効果的に使用していて、どの地域にどれくらいの感染者が出たかわかりやすい。台湾にも寄港した国際クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客については、下船してから訪れた場所をすべて公開した。こういったテクノロジーを使用した危機管理に、米国をはじめ世界から注目が集まっている。  タン氏にインタビューした経験がある前出の近藤さんは、こう話す。 「両親の職業がジャーナリストということもあり、彼女は『情報』が人々にどのような影響を与えるかをとても理解しています。また、現役の閣僚でありながらも特定の政治的立場に立つのではなく、むしろ意見の対立をIT技術で可視化して、解決につなげることを考えている。入閣した時に『公僕の中の公僕になる』と宣言したとおり、特定団体の利益のために動くのではなく、テクノロジーを駆使して台湾の人々と行政院をつなぐ“パイプ”になっています」  台湾に防疫や衛生管理を根付かせて伝染病の撲滅に貢献したのは、日本統治時代の1898年に台湾総督府で民生長官を務めた医師出身の後藤新平だ。それから120年以上がたった今、立場は逆転した。日本は、感染症の流行対策について台湾に学ばなければならない。 (AERA dot.編集部・西岡千史)

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東京五輪、競技はできるが観客は感染状況次第

https://news.yahoo.co.jp/articles/e96847b61ebb2c48c32f299c27055fe76aff362b

2020/12/29(火) 6:31 東洋経済ONLINE

新型コロナの第3波が収まらない。医療の現状、GoToトラベルキャンペーンの問題、五輪はどうなるのか、ワクチンをどう評価するか、などについて、新型コロナウイルス感染症対策本部専門家会議、新型コロナ感染症対策分科会委員として対策の提言を行ってきた、川崎市健康安全研究所所長・岡部信彦氏に話を聞いた。  ――新型コロナの第3波が流行しています。エピカーブからいつ頃収まるか、予想できますか。 この記事の写真を見る  まだ、このウイルス、病気が見つかって1年経っていないのでよくわからないところも多々ある。新型インフルエンザなどは流行を何回か繰り返すうちに、新型ではなく普通のインフルエンザに成り下がっていき、人のほうも慣れていく。新型コロナはまずは少なくとも一巡、一定時間をすぎないと流行パターン、つまり自然の流れが見えてこない。ただ、今年3~4月の流行、7~8月とこの冬では、同じではなく、感染防止や治療など対処の方法も進んできた。

■「指定感染症」の指定は延長も、運用見直し  ――医療逼迫の危機が叫ばれていますが、対処法は?   比較的症状の軽い若い患者さんが重症の方と同じ医療機関に入院するのでは、ご本人の負担も医療側の負担も大きい。経過が見られる場合は、自宅療養、あるいは医療機関と自宅との中間的な宿泊所などでの療養をうまく使い分けるべきだと思う。病の重い軽い、症状の有無にかかわらずすべて入院させれば、限りある病床や医師・看護師などの医療体制、それを調整する保健所に大きな負荷が生じる。

 制度的にはそのような違いを可能としているが、運用が地域によって異なり、心配だからすべて入院させているというところもある。また、65歳以上は入院してもらうことになっているが、元気で悪化するリスクが小さいと判断されれば、宿泊所でもよいと思うし、それも制度的に可能となった。  ――全国保健所長会からは指定感染症であることで、入院が増えてしまう問題があるとの指摘があり、指定感染症を外す展望を示してほしいという声があります。

 指定を外して現状の2類相当をインフルエンザ並みの5類にしたほうがよいという主張はあり、そのメリットもあると思う。しかし、そうすると、一方で入院費・治療費は保健医療となり自己負担が大きくなる。また、いろいろな救済・交付金なども指定感染症だからこそ出せているところもある。指定を外せば、療養のためのホテル宿泊などの費用も公費負担ではなくなるだろう。また、インフルエンザは全国で5000か所の定点医療機関から届けられる届出制度になっているが、そのようにすると、まだ不明な部分の多いこの病気の疫学的データが集まらなくなるという問題もある。

 指定感染症の指定は厚生科学審議会感染症部会で1年延長することが承認され、現在は政府での最終議論になっている。延長は1年だけだ。ただ、2類相当といいながら、エボラ出血熱並みの1類あるいは新型インフルエンザの大流行時と同じ扱いをしているところもあり、そこは運用の見直しを提言している。  ――感染症に対応している病院や医師・看護師が限られているのはわかりますが、欧米に比べて感染者も重症者も桁違いに少ない。医療資源の配分にも問題があるのでは。日本医師会は「医療崩壊の危機」としていますが、もっと一般のクリニックや診療所から応援が頼めないのでしょうか。

 医師会というレベルでも協力は呼びかけてられている。しかし、感染症に慣れていない医療機関では感染対策に不安を感じているのも事実だ。  ことに最初の段階で、感染予防に必須のマスクがない、防護衣がない、ゴーグルもないということは医療機関にとってみれば「無防備」の印象となり、不安が高まったということは大きな躓きであったと思う。  またクリニックの医師が協力したいといっても、入居しているビルのオーナーがそのような疑いの患者がビル内にいるとなると風評に結びつくので診療をしないでほしいとか、コロナを見る医療機関に親が勤めているというだけで子どもが学校や幼稚園・保育所などで差別される、という話が残念ながら後を絶たず、看護師をやめたいという話もよく耳にする。

 感染症の流行とは、悲しいことにそういう嫌な面もいっぱい出てくる。優しい気持ちで協力したいという人たちを一般の人たちが応援するような空気にしていただきたいと強く思う。 ■GoToの考え方は問題ない。使い方次第だ  ――GoToキャンペーンで政府はたいへん批判を浴び、結局、一時停止に追い込まれました。しかし、寒くなった北半球では全般に感染が拡大しました。GoToによって本当に感染が広がったのでしょうか。

 人が動けば動くほど、その距離が遠ければ遠いほど、ウイルスなどの病原体は広範囲に散らばり、感染症がひろがることは避けられない。これは現代社会においては宿命だが、そのレベルが問題となる。僕はGoToという方法は全体から見ればよい方策だと思っている。利用者も安い価格で楽しめるし、事業者もお客さんが来てくれることによって、何とか持ち直したり潤ったりする。  休業や損失を政府が補償するというやり方は、短期間ならよいが、長引くと事業を継続できないし、仕事の「腕が落ちる」ということもあるだろうし、働く楽しみもなくなってしまう。

 ただ、人々は同じ時期に同じところへ同じ物を見に行くということになりがちで、もう少し分散できないものかと思っている。密にならないように使い方を工夫できればよいのにと思う。旅行に行くのはダメ、地方に住む両親に会いに行くのもダメ、とならないための上手な使い方の工夫とそこへの応援が今後は必要だと思う。  ――専門家会議から新型コロナウイルス感染症対策分科会・アドバイザリーボードメンバーなどとしてこの間、ずっと対策に関わってこられましたが、これほど意見の割れる問題もないのではないでしょうか。

 私は医療側なので、新型コロナの重症者が1人でも少なくなること、病気に対する多くの人の不安が収まっていくことが最大の目的だ。だが、事が大きくなってくると、経済活動・社会生活への影響など、医学的処方箋だけでは解決がつかず、他の手段とそのバランスが必要になってくる。誹謗中傷など人権問題にも対処しないといけない。いろいろの人の理解、協力、「よい塩梅(あんばい)」を探ることが大切だが、議論は幅があって当然であり、ある程度意見が割れるのは仕方がない。

 医学を超えて、政治問題、国際問題になると厄介だが、感染症が広がるとそうなりやすい。あっちの国が悪いとか、WHO(世界保健機関)から脱退したらどうか、なんて言い出す人もでてくる。そんなこと言っている場合ではないと思うのだが……。 ■五輪の選手は管理が可能、少なくとも競技はできる  ――そこで、焦点は五輪が本当にできるのか、という問題です。  僕は「オリンピックのために感染対策をやっているわけではなくて、感染対策の結果やれるかどうかだ」と最初から言っていた。オリンピック・パラリンピックの調整会議のアドバイザーに指名されたときに、「こういう考え方でいいですか」と確認したのは、「オリンピックの根本は技を競い合う、つまり『競技をやる』こと。まずそれが目標であり、そこから状況によって膨らんでいくことを考える、ということでいいですか?」ということ。それなら最低できるかもしれない。つまり、感染状況によっては「競技だけをやる」「無観客もありうる」ということだ。

 選手は何週間もこもって事前練習をし、ホテルと練習会場あるいは競技会場の往復だけだ。遊びに来るわけではなく、厳しい自己管理ができる人たちだ。観客をどこまで入れるかは、感染の状況によって考える。ただ、契約などお金の問題、経済・政治の問題になってくるのは避けられない。やめちゃうという選択肢もあるけれども、政府は「やる」と決めた、ということでしょう。  ――ワクチンを英国はもう打ち始め、日本も国策として確保に努めています。ワクチンには期待していますか。

 もちろん期待はしている。しかし現段階で評価するべきデータが手元に届いていないので、良いとも悪いとも、まだなんとも言えない。メディアは95%、93%の有効性という数字を大きく報道するし、その一方で副反応が1人出ただけでも大きく報道する。また、接種直後に偶然、心筋梗塞を起こすこともある。そうした場合、本当にワクチンのせいなのか、正当に評価する必要がある。それらのためにも海外のデータだけではなく、国内の治験データも見据えて評価したい。ただ、評価してから接種の準備に取り掛かるのでは遅いので、今の段階での準備は必要だ。

 ワクチンの開発には通常、10年以上かかる。今回はウイルスが見つかってから1年足らずでワクチンの開発研究から大量生産まで来ているのは、科学的にはものすごい勝利。ただ、皆の期待や不安が高まっている中で、アメリカなどで当局の関係者が「いついつ承認される見込み」というようなコメントを出すのはルール違反ではないか。最初から結論ありきのようにコメントすれば、専門家委員会が審議する必要はないということになってしまう。国内ではそうなってほしくないと思う。

■効果と副作用のデータを見極め、議論して判断する  ――効果とリスクについてはどう考えるのですか。全員分を確保、無料というと、かなり強く推奨する印象になります。  効果が30%しかなくても病気のリスクが高い、かかったら危ないのなら、採用するというのも1つの考え方だし、効果が90%あるが30%は副反応があるという場合は、どの程度の副反応ならば受け入れられるのか、という議論もでてくる。また、ワクチンには個人がかからないようにするだけでなく、広がりを防ぐという意味合いもある。

 ――インフルエンザは、高齢者は定期接種ですが、ほかの人は任意接種です。  新型コロナウイルスに対するワクチンは、多くの人に接種することによってそれぞれの人の健康被害を少なくするとともに、多くの人への感染の広がりを防ぐという目的から、臨時接種という方法を採用することになった。つまり国はワクチンを用意し、接種費用は国が負担し、万が一の副反応の事故に対しても国が救済をする。しかしあくまで、強制力を持つものではない、というスタンスだ。

 ――欧米と日本の死亡率の差はどこにあるのでしょうか。  医療の側から見ると、日本は健康保険制度をはじめ医療の基本がしっかりしていると思う。日本では、基本的には誰でもどこでもいつでも保険証があれば、適正な水準の医療が、あまり高い費用でなく受けられる。欧米諸国の中には最先端の医療は進んでいるが、貧困層は医者にもかかれないというところがある。つまりすべての人に良質な医療の提供ができていない。救急医療外来はごった返し、長時間待ちも珍しい風景ではない国もある。移民、難民の問題もある。

 ――自然免疫、ファクターX説はどう思いますか。  自然免疫というのは、ある病気に対する免疫すなわち特異免疫の前に作動するので、その起点となるファクターXはあると思う。しかしそれが何であるかはまだ特定ができていない。 ■安全性を求めすぎると委縮してしまう  ――日本では政府のGoToキャンペーンが批判され、野党が緊急事態宣言を主張しています。一方、もっと死者の多い欧米では政府がロックダウンなど制限をかけようとして、国民がそれに反対のデモを行っています。

 それぞれの社会の違い、弱点が見えてきますね。日本では一部メディアが怖さを強調している。映像、声のトーンなど、ホラー映画のような扱いをしているところもある。センセーショナルな話としてではなく「正しく怖れる」という気持ちになっていただきたいと思う。  また、最近の社会は、何においても責任を求めるというよりも、追及する社会になっていて、それがいろいろなことのやりすぎを助長する面もあるのではないか。1人患者が出ると会社も学校も謝罪会見。学校ではゼロリスクが求められ、さまざまな対策をしても、何かあると多方面から批判される。皆が高い安全性を求めるあまり、一方では「のびのび」という状況が廃れてくる。これは今後の社会としては、見直さなければいけないと思う。

 日本では皆が怖がりすぎてしまった面がある。たとえばまるで戸外の空気もウイルスだらけ、のように考えている人が少なからずいるように見受けられる。大気中に人に感染をするほどの濃度でウイルスがいるとは考えられないが、1人で公園を散歩している人もがっちりとマスクをつけている風景をよく見る。人と人の距離が一定程度保たれていて、しかも屋外であればマスクをする必要がない。公園など散歩するときはマスクを外してよい空気を吸ってくださいと、私はいろいろな場で申し上げている。また自分自身もそのようにしている。

 情報発信で難しいのは、ある対策を多くの人に向かって呼びかけると、対策が不十分な人にはあまり届かず、すでに十分対策をしている人がさらに注意をして萎縮してしまったりすることだ。粘り強く説明をするしかないのだろう。 

大崎 明子 :東洋経済 解説部コラムニスト