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米国、ワクチン接種完了後もマスクの着用を推奨 2ヶ月で方針転換した背景

https://news.yahoo.co.jp/articles/1d2555a521bf720c0b028b432fe6a51938483607

2021/7/29 Newsweek

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は2021年7月27日、米国内の感染拡大地域を対象に、新型コロナウイルスワクチンの接種を完了した人にも屋内でのマスクの着用を推奨する指針を発表した。学校の教職員や学童・生徒、来訪者も同様に、ワクチン接種の有無にかかわらず、マスクの着用が推奨される。 ●動画:2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開 ■ 「デルタ株」の感染拡大で、2ヶ月で方針転換 CDCでは、5月中旬、「新型コロナウイルスワクチンの接種を完了した人は新型コロナウイルスを他者に感染させづらい」との科学的データを根拠に、ワクチン接種の完了を条件としてマスクの着用は原則不要としていた。 しかし、インドで最初に確認された「デルタ株」の感染拡大を受け、わずか2ヶ月で従来の方針を転換することとなった。 米国ではデルタ株の感染拡大が急速に広がっていることがその理由だ。6月19日には1日の新規感染者数が1万1480人にまで減少したが、7日間平均が7月27日時点で6万人を超えている。7月23日時点で新規感染者のうちの83.2%がデルタ株に感染したと推定されている。 ■ ワクチン接種しても、無症状で他者にウイルスを感染させる CDCのロシェル・ワレンスキー所長は「米国で主流となっているデルタ株はこれまでのウイルスとは異なる」とし、「まれにワクチン接種を完了した人への感染も確認されている」と警鐘を鳴らす。 CDCの調査によれば、ワクチン接種の完了後にデルタ株に感染した人のウイルス量は、ワクチン未接種でデルタ株に感染した人と同等であった。つまり、ワクチン接種を完了した人は、無症状であっても、他者にウイルスを感染させる可能性がある。 一方で、入院患者や重症者、死亡者の大多数はワクチン未接種者だ。CDCの推定によると、新型コロナウイルス感染症の入院患者の約97%はワクチン未接種者で占めている。 ワレンスキー所長は「新型コロナウイルスワクチンはデルタ株の発症リスクを7分の1に低下させ、ワクチン接種を完了すれば、デルタ株による入院リスクや死亡リスクを20分の1に下げられる」とワクチン接種の有効性を示し、ワクチンを接種するよう国民に呼びかけている。 ■ ワクチンのデルタ株への有効性はやや低い 新型コロナウイルスワクチンのデルタ株への有効性は他のウイルス株に比べてやや低いとみられる。イングランド公衆衛生局(PHE)ら、英国の研究チームが7月21日に医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)」で発表した研究論文によると、ファイザーの新型コロナウイルスワクチン「BNT162b2」の2回接種後の有効性は、英国で最初に確認された「アルファ株」で93.7%であったのに対し、デルタ株では88.0%にとどまった。 また、アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチン「ChAdOx1 nCoV-19」の2回接種の有効性は、アルファ株で74.5%、デルタ株で67.0%であった。なお、いずれも1回接種後の有効性は極めて低く、デルタ株で30.7%、アルファ株でも48.7%にとどまっている。

松岡由希子

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GoogleとFacebook、出社できるのはワクチン接種者のみに

https://news.yahoo.co.jp/articles/8269e3ba9898d93634a7a863876812857c187e63

2021/7/29 GIZMODO

Appleはワクチン接種については言及なし。 コロナのパンデミックが始まってすぐにアメリカの大手IT企業はリモートワークに切り替えていましたが、ワクチン接種も進み、今度はどうやって従業員をオフィスでの勤務に戻すか計画を練っているところみたいです。GoogleとFacebookは従業員がオフィスへ戻るにあたってはワクチン接種を条件とし、Appleはワクチン接種必須が正しいことか否かを考え中とのこと。

Googleの判断

GoogleのCEOサンダー・ピチャイは従業員に向けたメールで、Googleキャンパス内で働くすべての人がワクチン接種をする必要があると書いています。このルールは北米でまずは開始して、そのあと他の地域でも同じようにオフィスに来るならワクチン必須となっていくようです。でもこれはワクチンの供給がしっかりされている地域でのみのルールとなります。そして健康上の理由などでワクチン接種ができない人も例外として認めるそうです。今のところ10月18日までは在宅勤務をオッケーとして、100%オフィス勤務に戻るまで30日の移行期間を設けるそうです。ただピチャイは急増するデルタ株の懸念も示していて、ワクチン接種は必須としたようです。

Appleは在宅勤務を継続

一方、Appleのティム・クックは9月の始めから週に3日はオフィスに来るようにと従業員言っていましたが、とりあえず在宅勤務の状態を10月まで伸ばすと発表。アメリカのAppleストアでは7月29日からマスク着用での入店を義務付ける予定ですが、店舗で働く従業員のワクチン接種は必須としていません。

これからの大手IT企業の働き方

大手のIT企業はこれから先も出社と在宅の「ハイブリッド」勤務をしていくと見られていて、ピチャイ氏も「これからのワークスタイルはフレキシブルに」と話していて、100%リモートワークの申請や勤務先オフィスの異動なども許可していくとのことです。Facebookのサッカーバーグ氏はこの先5年から10年は従業員の半分はリモートで働いていくことになるだろうと話していますし、マイクロソフト、Twitter、Spotifyも同じくこの先もハイブリッドや永遠にリモートワークでの勤務オッケーと発表していますね。 ワクチンが広がってオフィスに戻れるかと思いきや、デルタ株もがやってきてまた怪しい雲行きに。日本ではいつの間にか出勤する日々に戻っていますが、この先どうなるんでしょう?

岩田リョウコ

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コロナ治療薬で再注目「イベルメクチン」日本版EUAが重要な訳

https://news.yahoo.co.jp/articles/bce1bfe4be13d6c367124db42f7556b2066a52f0

2021/7/4(日) 11:41 FRIDAY DIGITAL

ワクチン接種の遅れ、医療崩壊…日本の医療が緊急時に対応できない原因とは?

3ヵ月の会期延長要求を求める野党が提出した不信任案は衆院本会議で否決され、通常国会は会期末の16日に閉会された。写真は、16日の衆院本会議での立憲・枝野氏(写真:アフロ)

先進国だと思っていた日本が実は後進国だったのか……ワクチン接種が遅々として進まず、接種率がOECD諸国で最下位となった報道などを見聞きしながら、そんな無力感に苛まれた人は多いだろう。しかも、入院することができず、治療薬もなく、自宅療養のまま急速に重症化し、場合によっては命を落とす人も多数いる。 【画像】石原さとみ、深キョン、菅野美穂…芸能人の「映えるマスク」姿 そんな状況を打開すべく、6月8日、立憲民主党が衆院に提出したのが「新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び仕様に関する特別措置法案」(通称:日本版EUA整備法案)だ。 米国では食品医薬品局(FDA)が緊急時に未承認の医薬品の許可をしたり、既承認薬の適応を拡大したりする制度「緊急使用許可(Emergency Use Authorization : EUA)」の枠組みを通じてワクチンが迅速に供給されているが、日本では緊急時に対応できる柔軟性を持った制度がない。そのため、「療養」と「医療」の間にある壁を解消しようというのが、この法案だという。いったいどんなものなのか。 ◆医師の裁量で使っても良いけど、副作用が生じた場合に国は責任を持たない!? 北里大学大村智記念研究所感染制御研究センター長で、感染創薬学の花木秀明教授は言う。 「現在、厚生労働省は医療機関向けの『新型コロナウイルス感染症の診療の手引き(第5版)』において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬としてすでに薬機法上の承認を受けた医薬品のほか、薬機法上の承認は受けていないものの、新型コロナウイルス感染症の治療薬に転用が可能な別の疾患用の既存薬について、イベルメクチンなど10種類の薬剤を公表しています。 イベルメクチン等は現状、適用外の使用ということで、医師の裁量権で使えるものの、用法・用量の問題・安全性・有効性が確認されていないとの理由から、医薬品副作用の被害救済制度の対象になりません。 『医師の裁量で使っても良いけど、副作用の救済制度はない』と言われたら、医師は使いづらいですよね。医師としては懸命に患者を救おうと頑張っているのに、もしも何かあった場合には、その医師が何千万円もの損害賠償を払わなければいけなくなる。そうすると、当然自己保身が働きますから、使いづらいと思います」(花木秀明氏 以下同) ◆「イベルメクチン」がコロナの治療薬として再注目されるも… イベルメクチンは、北里大学特別栄誉教授の大村智博士が1974年に発見した微生物が生み出す「アベルメクチン」をもとにした化合物(誘導体)だ。 アメリカの製薬会社・メルク社との共同研究で、家畜やペットの寄生虫や回虫などの治療薬として開発されたが、「大型動物に効くのだから人間にも聞くだろう」との予測から、アフリカや中南米・中東などの河川盲目症の治療薬として使われ、犬のフィラリアの特効薬となり、さらにダニによる疥癬症や糞線虫症などの予防・治療薬として世界中に広がったことなどから、大村教授がキャンベル博士とともに2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞するきっかけとなる。 それが今、新型コロナパンデミックにおいて、コロナに有効として、再び世界中の注目を浴びている。治療薬開発とワクチン接種にはまだ時間がかかるうえ、医療経済学の観点でも安く副作用がほとんどないことなどから、使用すべきという声が強まっているのだ。しかし、日本ではイベルメクチンの使用がなかなか進まない。 「イベルメクチンの使用を反対する人は『データがない』と言います。 しかし、6月11日の段階で、全世界で58個の治験と観察研究が行われており、そのうちの半数の29個は非常に厳格な管理下で行われるRCT(ランダム化比較試験)で治験を行っています。 さらに、現時点では1万8000名くらいの患者さんに投与されていて、有効か無効かが議論されている中、COVID-19を克服することを目的として世界的に有名な救命救急医師/学者のグループによって結成されたアメリカの組織『FLCCCアライアンス』では予防効果で85%、軽症などの初期治療には78%有効としています。 これだけ多くの人に投与されているにもかかわらず、データがないから使えないという論理展開は矛盾があると思います。 さらに、『新型コロナに対する基礎データが少ないから』というのですが、臨床においてある程度の有効性がわかっているにもかかわらず、基礎データが少ないから躊躇するというのは、薬を作る段階をご存じない先生方の発想のような気がします」 ◆世界的権威のコリー博士のアドバイスを“スルー”していたJOC FLCCCアライアンスでは予防効果も治療効果も高い数値が出ており、なおかつ副作用もほとんどないということから、コリー博士がオリンピック開催の方向で進んでいる日本のオリンピック委員会宛てにイベルメクチンの投与を提案した書簡を送っている。 しかし、その件について、立憲民主党の中島克仁議員が6月11日の衆議院厚生労働委員会の中で質疑を行ったところ「事務局では把握をしておりませんでした」「日本オリンピック委員会、JOCの方に問い合わせをしまして、先ほど、えー、色々と確認をしていただきました結果、メールで届いていたことに6月7日に気が付いて、そのままになっていたということで伺っているところでございます」と”放置“されていた事実が明らかになったのだった。 ◆疫病対策は、「予防」と「治療」の両輪で進めることが重要 さらに「ワクチンしかない」と言い続ける菅首相と政府与党の方針そのものも、問題視されている。 「新型コロナウイルスに限らず、疫病対策は、歴史的に見ても『予防と治療』の両輪でやっていくのが当たり前です。感染が起きた人は周りに広げていくため、同時に治療していかなければいけない。一方だけに頼るのは非常に危険です」 コロナ対策に限らず、日本では治療法や薬剤の認可が非常に遅いという問題は、これまでずっと指摘されてきた。 国内での治験が足りないなどが理由として挙げられるが、国民性なのか。それともアベノマスクやGoToなどに利権が指摘されてきたように、何らかの利権が食い止めているのでは……と穿った見方をする人もいるが。 「一番の理由は、有事の対策というのが我が国ではほとんどないことです。有事に対して、平時の対応しかしていない。こういった疫病が起こることもたぶん想定していなかったと思います。 薬を作るのはそもそも申請から1年かかりますし、基礎データをとって進めていくと5年以上はかかります。 では、5年以上もの間このパンデミックを放っておくのかと。世界中でこれだけ多くの人が使っていて、臨床した人のデータもあるのに、何もしないで放置しておくのは、政策としてまずいと感じています」 こうした状況を鑑みて「日本版EUA」が議員立法で出されたわけだが、そこでは副作用救済給付の実施の法制化や、保険適用の法制化、当該医薬品の確保のための必要な措置を講じること、生産体制の整備に対する財政上の措置なども盛り込まれている。 花木教授は今年初め頃から与党・野党の医療系議員のもとに足を運び、何度も講演も行い、データも示してイベルメクチンの使用を提唱してきたという。その感触は良く、個々には賛成する議員がほとんどだったそうだが、それでも約半年経つ今も進んでいない。 「目の前に患者さんがいれば有事の対応になるのだと思いますが、おそらく”遠い話“なのでしょうね。 実際に患者さんの治療にあたる医療従事者にとっては毎日が有事そのものですから、実際、福岡記念病院や、オノダクリニック、東京では池袋メトロポリタンクリニック、中目黒消化器クリニックなどで使用していますし、どのくらいの量をどの期間投与するのが有効か、的確な治療の為に臨床データをとろうという動きも出ています。 その一方で今、予防としてイベルメクチンを個人輸入して(個人輸入は不法ではありません。個人の権利ですが、何かあっても保証はされません)飲む人も増えているようですが、医師の管理下で使用しないと、不安だからという理由でただただたくさん飲んでしまう可能性があるので、危険も感じています」 ◆忘れてはいけないコロナ感染回復者の「後遺症」 製造会社側は「経済的メリットがない」、政策側は「(臨床データはあっても)基礎データが少ない」という理由で、目の前の患者が置き去りにされ、ワクチン頼みの予防一本で進んでいる現状に対し、花木教授はこんな苦言を呈している。 「新型コロナウイルスは、若者でも感染後にかなりの後遺症が残ります。例えば自宅待機で39度の熱が5日間続くと、臓器の損傷がかなり起きていると思われます。 そこから回復していっても、後遺症を引きずりながら治していくので、普通の生活ができなくなる人も多数います。後遺症が重症で働けなくなる人も、トイレにはって行くような人もいますし、味覚嗅覚障害が1年間残っている人もいます。 さらに今、感染力が強いデルタ(インド)株にどんどん置き換わっていますし、これからベトナム株なども入ってくるでしょう。だからこそ、感染症では、予防はもちろんですが、早期治療が重要です。有効とされる様々な薬を使える状態を作ることが、今の事態を変える大きな一歩となるのです」

花木秀明 北里研究所部長、抗感染症薬研究センター長、感染防御学講座特任教授、感染制御研究機構教育担当部門長などを歴任。現在大村智記念研究所感染制御研究センター長・教授。COVID-19対策北里プロジェクト代表。

取材・文:田幸和歌子 1973年生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。週刊誌・月刊誌等で俳優などのインタビューを手掛けるほか、ドラマコラムを様々な媒体で執筆中。主な著書に、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)、『KinKiKids おわりなき道』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』(ともにアールズ出版)など。

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「イベルメクチンで感染者数・死亡者数を劇的に減らせる」米国の医師団体が提言 未だに流通しない裏事情とは

https://news.yahoo.co.jp/articles/28c4b390754e64836fdb8ef6835d9a4d35418dc6

2021/7/2(金) 5:57 デイリー新潮

 ワクチン接種が加速化し、治療薬もあれば五輪の「安全、安心」も現実味を帯びる。そこに米国の一流救急救命医から提言があった。「日本発のイベルメクチンを配布すれば、感染者数も死亡者数も劇的に減らせる」。国内でも使用を求める動きは活発化している。 【写真5枚】治療薬として期待される「イベルメクチン」  ***

 10都道府県に出されていた緊急事態宣言が、沖縄を除いて解除される直前の6月18日。政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長ら有志は、東京五輪は「無観客開催が最も感染拡大リスクが少なく望ましい」と提言した。  だが、尾身会長が「プロフェッショナルとしての責務」をことさらに強調したにしては、提言内容は「家から出ないほうがリスクは低い」のと同レベルで、当たり前の話である。  尾身会長はこれまでも、国民を怖がらせて自粛させるために、科学を無視した感覚的な発言を重ねてきた。しかし、「プロフェッショナル」を自任するなら、リスクを定量化し、それとベネフィットを比較考量すべきではないのか。  たとえば、観客を入れても、彼らが飲食店などに寄らずに直帰すれば感染は抑えられる、というシミュレーションもある。そういうデータにも目を配りつつ議論しないかぎり、不毛な応酬が続くだけだろう。  もう一つ、尾身会長らが無視するのは、ワクチン接種が予想以上に進んでいるという事実である。菅義偉総理の目標「1日100万回」も達成されている。東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅教授によると、 「高齢者等に1日70万回、医療従事者等に10万回、これに職場や学校等を加えて1日に100万回打ち続ければ、7月末に7400万回、3700万人が打ち終え、高齢者は希望者の8割が接種を終える。8月末には1億500万回、5250万人、つまり12歳以上のワクチン接種対象者の5割弱が打ち終え、高齢者のうち希望者が約9割とすると、その全員の3150万人が打ち終わる。ワクチンは発症、重症化、入院、死亡のリスクを9割以上抑制すると報告されており、高齢者とその周囲の接種率が9割程度になれば、高齢者の感染者数が減り、医療への負担が減ると期待されます」  万が一、感染者が増えても、高齢者が守られて重症者が増えなければ、医療は逼迫しないのである。  さらに治療薬があれば鬼に金棒だが、実は6月5日、全米で新型コロナの救急救命の最前線に立ってきた医師団体、FLCCCアライアンスと、その会長のピエール・コリー博士が、日本オリンピック委員会(JOC)宛てに、五輪の安全な開催への希望として、こんな文書を送っていた。 「多くの世界的な医療当局や主要メディアは、メキシコ、インド、そのほか多くの国の医師が新型コロナの流行を迅速に抑え込み、旅行、社交や娯楽の集いの場としての都市や町を安全にしてきた、研究と実世界での成果を、共有または報告していません」  その「成果」を生み出したとされるのは、ノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智博士が発見した、抗寄生虫病薬「イベルメクチン」だったのである。

「死亡者数が劇的に減少」

 提言では、日本での感染者数の増加を「数日以内に抑え込める可能性がきわめて高い」という方法を、こう説明している。 「イベルメクチンを中心としたプロトコル(手順)にビタミンを加えたものによって、この病気のすべての段階を予防、治療できることが、何十もの査読ずみの研究成果として明らかになっています。この非常に安全、効果的、かつ安価で広く入手可能な薬剤は、ノーベル賞を受賞した優秀な日本人研究者によって、約50年前に世界に与えられたもので、今回のパンデミックにおいて、何十万人もの新型コロナ患者とその家族に救命効果をもたらしたことは、世界的に評価されるべきです。イベルメクチンが広く配られると、プログラム開始後、10日以内に感染者数と死亡者数が劇的に減少します。これはメキシコ、インド、ペルー、ブラジルなどの国々で実際に起きた成果です。(中略)世界の目が東京に向けられているいま、日本のリーダーたるあなた方にとっては、パンデミックから抜け出し、当初意図されたように開催することで五輪の栄光を世界に示すチャンスです」  開発者の大村博士は、 「米国の救急救命医有志の集まりで、新型コロナの流行が始まった昨年3月ごろから、どの薬が有効か使命感をもって調べ、統計をとってきたFLCCCが、JOCに手紙を送ったとは聞いています」  と言い、こう続ける。 「FLCCCは昨年夏ごろから、イベルメクチンとビタミンを使用した治療が有効だとして、世界中の国々に推奨しています。たとえばメキシコやペルー、パナマやポルトガルは、FLCCCの提言を受けてイベルメクチンを使用し、感染を鎮静化させました。インドでもイベルメクチンを配布したいくつかの州で、感染者数や死亡者数が急激に減りました。こうした実績をもとに、安心、安全な五輪のためにと推奨したのではないでしょうか」 「安心、安全の大会」を実現するうえで、切り札になりそうな提言である。ところが、COVID-19対策北里プロジェクト代表で、北里大学教授兼大村智記念研究所感染制御研究センター長の花木秀明氏は、呆れてこう話すのだ。 「FLCCCの提言について、立憲民主党の中島克仁議員が6月11日、衆院厚労委員会でオリパラ事務局に対し、“どのように対応しているのか”と質問しましたが、事務局は文書が届いたことも把握しておらず、放置していたそうです」  ワクチン接種と並行して、イベルメクチンもまた使用すべき理由を、 「6月21日までに、計1万8千人を対象に世界中で行われた60の研究解析から、新型コロナの患者に幅広い段階で効果があるとわかっているからです」  と語る花木氏に、あらためて、その「効果」を説明してもらおう。 「FLCCCの発表では、感染後1週間以内の軽症時に服用すれば76%、中等症以降の後期治療でも、46%の有効性が確認され、70%で死亡率も改善しています。さらに85%の予防効果も確認され、実際、インドやペルーでは予防のために服用した州とそうでない州で、感染者数に大きな違いが見られます。インドでは同国出身のWHO女性主任研究者が、SNSでイベルメクチンを使うなと発信し、それを受けて使用を禁じた州がありましたが、結果的に感染者数と死者数が増加し、インド弁護士会が彼女に警告を出す事態になったそうです。FLCCCの提言に“10日以内に感染者数と死亡者数が劇的に減少”とありますが、85%の予防効果を考えれば、非現実的な話ではありません」  その作用機序だが、 「大きく分けて三つあります。一つに、ウイルス表面のSタンパクや細胞の受容体ACE2に結合し、ウイルスの細胞内侵入を妨げます。二つ目は、ウイルスタンパクを核内に運ぶ移送物質インポーチン等にも結合し、ウイルスの複製(増殖)を阻害します。最後に、イムノモデュレイターとして免疫を調整することで、炎症や免疫の暴走であるサイトカインストームを抑制し、重症化を防ぎます」  FLCCCは、予防には体重60キロなら1回4錠を2~3週間に1回、感染拡大地域では1週間に1回程度の服用を推奨しているという。手軽なのである。 「ワクチンは変異ウイルスに対しては効果が低下する可能性もありますが、イベルメクチンは効いています。このような薬を使用することは、感染を抑えて五輪を成功させるためにも、重要ではないでしょうか」(同)

実は保険適用も可能

 現在、イベルメクチンは、日本では抗寄生虫病薬としてしか認可されていないが、医師でもある日本維新の会の梅村聡参院議員が言う。 「実は、厚労省もイベルメクチンを、新型コロナ治療薬の一つとして『診療の手引き』に載せており、一般的な認識として、まったく効かない、意味がない、とは考えられないと思います。ただ、安心して使うためにも早く薬事承認してほしい。また昨年4月、厚労省は国民健康保険中央会に、“コロナの治療でイベルメクチンを使用した場合は保険適用してよい”という旨の事務連絡をしています。そのことを、全国の医療機関や医師に早く伝えてほしい。そういう考えから、参院予算委員会で質問しました」  要は、イベルメクチンを厚労省は認めており、保険適用の対象なのだ。  ちなみに3月8日、梅村議員の質疑に菅総理は「海外を見てその(イベルメクチンの)選択肢を与えることも、私は大事だと思っています。内部でしっかり検討します」と、前向きに答えたのだが――。  梅村議員が続ける。 「新型コロナ患者に処方しても保険請求できるという事実を、国保中央会にしたのと同様、全国の自治体や医療機関に周知すべきです。過去に数々の薬害が問題になったこともあり、厚労省が慎重なのはわかりますが、厚労省は監督官庁であると同時に、困っている人に手を差し伸べるという重要な役割も担っています」  すでにイベルメクチンを新型コロナ治療に使っている医師もいる。兵庫県尼崎市の長尾クリニックの長尾和宏院長は、酸素飽和度が低下した患者が自宅療養中に重症化するのを防ぐために飲ませている。 「私にとっては、普段から疥癬の治療薬として使っている汎用薬なので、使用に抵抗はありません。疥癬の治療時と同様、成人は1回4錠、高齢者には3錠と年齢を考慮して処方しており、疥癬の治療と同量の処方であれば、副作用の心配もないと思う。効果については、たしかなエビデンスはまだ出ていませんが、私個人としては効くと思っています。田村憲久厚労相も“コロナ患者に処方していい”“その場合、保険適用する”という趣旨の答弁をしている。裁量や責任は医師である私が負い、保険適用で堂々と使っています」  ただし、「使える事実を知らない医師もいる」と長尾院長。福岡記念病院の向野賢治感染制御部長は、 「当院ではイベルメクチンを、院内倫理委員会での承認後、今年4月から入院患者に投与しはじめ、自宅療養患者の治療や、濃厚接触者の感染予防のための外来処方もしています」  と言って、続ける。 「高熱、肺炎で入院した患者十数例に単剤投与を行い、高齢患者を含めて半数はよくなっています。単剤で十分な効果が得られなければ、炎症を抑えるステロイドとアクテムラを併用投与しています。抗ウイルス薬は早期投与が原則ですが、イベルメクチンは感染から少し日が経ってからでも、一定の効果が期待できます。抗ウイルス作用と抗サイトカイン作用という、二つの作用があるためで、肺の炎症が進んでいても、これらの作用で抑えられる可能性がある。海外の多くの研究で効果が示されており、緊急使用を検討してもよいのでは、と考えます」  大阪市のオノダクリニックのおの田徹院長の場合は、 「大阪が第4波に見舞われた3月から、PCR検査で陽性と診断された方に対し、既往歴や症状を確認して処方しています。これまで処方したのは19歳から79歳までの方で、自宅療養や宿泊療養の方が中心。多くの患者さんは服用して症状が改善しています。たとえば、38度以上の発熱とのどの痛みがあり、自宅療養していた40代の男性は、炎症反応が高かったのに、服用後2日後には熱も下がり、快方に向かいました」

緊急使用を許可してほしい

 FLCCCの提言以前から、イベルメクチン使用に向けた動きは、国会でも活発化していた。立憲民主党の松原仁衆院議員が言う。 「厚労省が新型コロナ『診療の手引き』で適応外使用を認める、イベルメクチンなど10種の薬剤の緊急使用に関する法案を、6月8日に議員立法で提出しました。私が加わったのは、コロナの診療経験が少ない大島など島嶼(とうしょ)部の有権者から、服用が簡単で常温保存できるイベルメクチンを望む、多くの声が寄せられたから。16日に閉会した通常国会の会期中には成立させられませんでしたが、時間がかかっても可決させる意義は大きいと思います」  この法案を主導したのは、先に花木氏の談話に登場した中島克仁議員で、医師としてイベルメクチンを処方した経験もあると話す。 「40年前から世界各国で年間3億人に服用され、副作用がほとんどなく安全性が確立されている。感染初期に自宅待機する人も安心して飲めます。投与してみて、経過がよくなったこと以上に、自宅で医師に相談できず薬は解熱剤程度というなかで、患者さんの不安を取り除く効果も感じました」  議員立法については、

「これが求めるのは、薬の承認ではなく緊急使用許可。厚労省はコロナの『診療の手引き』で、事実上使っていいと言っています。つまり1年以上前から、レセプト(診療報酬の明細書)を詳記すれば保険適用の対象ですが、国の健康被害副作用救済制度の対象になっていません。また、一般の医師がガイドラインに沿って使いたくても、販売規制がかかっていて使えないのが現実です。厚労大臣が使用を事実上許可した以上、法的根拠をもって緊急使用を許可し、命を救うための選択肢を広げてほしい、国の救済制度の対象とし、供給確保に努めてほしい、というのが法案の内容です」  やはり医師でもある、立憲民主党の吉田統彦(つねひこ)衆院議員によれば、 「欧米の多くの国にコンパッショネートユースという制度があります。生命に関わる疾患等を有する患者救済を目的に、代替療法がない場合など、限定的な状況下で未承認薬の使用を認める制度で、未承認の医薬品が、副作用被害救済制度の対象になるケースがほとんどです。米国ならFDA(食品医薬品局)などが判断すれば、未承認薬の使用が可能で、その際、製薬会社でなく医師の意向でも申請できる。日本に同様の制度があれば、イベルメクチンはメルク社が承認申請をしていなくても、承認された薬剤と同等に使えます」 「国民の命と健康を守る」といった言葉をお題目で終わらせないためにも、ここは欧米に倣(なら)うべきだろう。  だが法案は審議すらされず、中島議員は「憤りを感じる」と語り、効果が確認されながら厚労省が動かない原因は「メルク社の圧力ではないか」と疑う。メルク社とは、イベルメクチンの製造および販売元、米国の大手製薬会社である。 「現在、メルク社は新薬開発に力を入れており、イベルメクチンのように特許が切れている薬は、効果が認められても投資するメリットがない。薬の承認システムは、平時は製薬会社主導でも、有事には既存薬に関しては、国の主導で使えるようにすべきです」(同)  メルク社の日本法人MSDの広報の説明では、 「メリットがないから生産を増やさないのでなく、科学的に、有効性と安全性のエビデンスが不足し、確実なデータは存在しないと考えているのです」  だが、同社が開発中の経口薬「モルヌピラビル」を米国政府が「12億ドルで購入」と報じられたばかりである。結果として、治験に協力している東京都医師会の、角田徹副会長によれば、 「もともと疥癬の薬なので、その対象分以上の数をメルク社が卸しておらず、使いたくて注文しても、品薄で手に入りません」  長尾院長は、「不足したことはない」そうだが、「使っている医師が少ないからではないか」と加える。ともかく厚労省は、コロナへの使用と保険適用を認めるなら、流通量の確保にも努めるべきだ。そのうえで一刻も早く、緊急使用を認めてほしい。梅村議員が言う。 「イベルメクチンは歴史が古い薬で、使えることになればジェネリックのほうが売れると思う。すると先発メーカーは、治験への投資に見合う利益を得られません。ただ、これはどんな薬にも起きうること。緊急使用を認めた場合、国が製薬会社の利益もセットで保障することなども、必要ではないでしょうか」  メルク社が動かないなら、ジェネリックを、日本でも開発し、海外から輸入する。そういう機動性が「安全、安心」の実現のために、いま求められるのではないか。

「週刊新潮」2021年7月1日号 掲載

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コロナ感染経験者、ワクチン必要?  専門家「抗体増へ接種を」 1回でも効果十分か

https://news.yahoo.co.jp/articles/c85240933c17312c90c9a2b79cce94e71aa4c449

2021/6/27(日) 7:03 JIJI.com

 新型コロナウイルス感染者の国内初確認から約1年半がたち、累計感染者は80万人に迫る。  回復後、再感染を防ぐ中和抗体が体内にできるとされる感染経験者は、ワクチンを接種する必要があるのだろうか。専門家は「抗体量を増やすため、油断せずに接種を受けて」と呼び掛ける。  横浜市立大の研究チームは、自然感染して回復した250人を調査。その結果、従来株に対して十分な量の中和抗体を持つ割合は感染半年後が98%、1年後は97%だったが、変異株では減ることが分かった。  長崎大の柳原克紀教授らの研究では、感染経験者の体内にはある程度の量の抗体があるが、米ファイザー製ワクチンを1回接種すると感染未経験者の2回接種時とほぼ同じ十分な量の抗体ができた。これらの結果も踏まえ、同大の森内浩幸教授は「感染経験者もワクチンを接種する必要がある」と指摘する。  森内教授は、感染経験者は接種が1回でも2回でも抗体量に大差がないとして「1回の接種で十分だと思う。ワクチンの配分量によっては、感染経験者は2回目を受けずに他の人に回す方法もあり得る」と話す。接種の時機は回復直後でなく、ワクチン接種間隔と同様に3~4週間空けるのが免疫反応を強めるのに有効とする。  副反応はどうか。ファイザー製ワクチンでは、2回目の方が1回目よりも頻度が高い傾向がある。森内教授は「痛みやかゆみなどは、ワクチン内の遺伝物質が体内で作る新型コロナのたんぱく質への反応ではなく、異物に対する自然免疫としての反応」とした上で、「現時点では、感染経験者の副反応頻度が極端に高くなるとは考えられない」と分析する。自然感染によりできた抗体がワクチン成分に影響を与える心配もない。  厚生労働省は「再感染の恐れもあり、感染経験者も接種できる。1回の接種で十分な効果が得られるか分からず、現時点では通常通り2回接種することになる」としている。

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ワクチン 対策 社会問題

ワクチン接種でも陽性、スポーツ界に新たな難問

https://news.yahoo.co.jp/articles/be383629a4421e46428986388ae7fb97b760ccce

2021/6/27(日) 11:32 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

 米プロバスケットボール協会(NBA)のスター選手、ゴルフの全米オープン選手権優勝者、ウガンダの五輪コーチ――。彼らはスポーツイベントの主催者に新たな頭痛の種をもらしているという点で共通している。新型コロナウイルスワクチンを接種しているにもかかわらず、検査で陽性反応が出たのだ。  スポーツ選手はパンデミック(世界的大流行)を通じて、地球上で最も頻繁に検査を受けており、コロナに関する数々の理論について生々しい実例を提供してきた――時には、それらを証明する上で一助ともなった。  選手らの実例から分かってきたのは、コロナウイルスとこれまで確認されている変異株による死亡や重症化を防ぐ上で、ワクチンは極めて有効である一方、感染そのものの予防効果という点では確実とは言えないということだ。  ワクチン接種後に陽性となる「ブレークスルー感染」が起きた選手の大半は無症状だ。スポーツ界の関係者が徹底した検査の対象として順位が低かったとしたら、感染は気付かれなかったかもしれない。  こうした想定外の陽性反応は、巨大イベントの主催者にとって大きな問題となる。夏季五輪のケースで言えば、日本だけにとどまらず、参加200カ国・地域にとっても感染流行を招きかねない。第一、競技中に大混乱を招くだろう。  また、選手に対しては、ワクチンを接種していれば出場禁止になる陽性は出ないだろうと言われてきたが、こうした主張も難しくなる。スポーツ界の指導者らは目下、さまざまな問いに取り組まなければならない。ワクチン接種後に陽性反応となった選手は、他人への感染力があるのか? 彼らとの濃厚接触とはどのような意味があるのか? 人生最大のイベントから、誰を出場停止とするのか?  これまで匿名の米陸上競技選手1人、オレゴン州ユージンで行われた東京五輪の米国代表選考会に参加していた別の1人、東京入りしたウガンダ五輪代表団のメンバー2人などがワクチン接種後に陽性となった。  また米大リーグ機構(MLB)のニューヨーク・ヤンキース関係者やプロゴルフのジョン・ラーム選手、NBAのスター選手クリス・ポール氏もワクチン接種後に陽性となった。5月には、ヤンキースの少なくとも9人(選手・コーチ・スタッフ含む)が陽性となった。9人はすべて3~4月にかけて、1回で接種が済む米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製のワクチン接種を受けていた。J&Jのワクチンは、接種後少なくとも28日で、中等症から重症の疾患について66.1%の予防効果が示されている。  ラーム選手は6月初旬に開催されたメモリアル・トーナメントの数日前にJ&Jのワクチンを接種していた。第3ラウンドをプレー中、第2ラウンド終了後に受けた検査で陽性だったことが発覚。ラーム選手はラウンド終了後、全国テレビの中継中に全米プロゴルフ協会(PGA)の医療顧問から陽性結果を告げられた。勝利はほぼ確実とみられていた中で棄権を余儀なくされ、170万ドル(約1億8900万円)近い賞金も逃した。だが、その2週間後には、検査で陰性となり、全米オープンを制した。  1回で接種が完了するワクチンは、特にスポーツ選手に人気だ。大事な場面でパフォーマンスに副反応による影響が出ないよう、前もって計画しやすいためだ。  2回の接種が必要なワクチンは総じて、一段と高い予防効果を示している。米ファイザーと独ビオンテックが共同開発したワクチンはコロナウイルス感染症の発症予防で95%の効果を示した。モデルナも大規模な治験で、特定のコロナの症状(重症含む)について、94.1%の予防効果が確認された。米疾病対策センター(CDC)はファイザーとモデルナのワクチンについて、2回目の接種から2週間後の感染リスクの低減効果は90%だとしている。  これまでNBAでは、少なくとも2件の顕著なブレークスルー感染があった。直近はフェニックス・サンズのスター選手で、NBA選手会の会長を務めているクリス・ポール氏だ。NBAの指針によってウェスタン・カンファレンス・ファイナル(西地区決勝)で最初の数試合に出場できなかった。ポール氏はワクチン接種を済ませていたが陽性反応が出ており、無症状のままだと伝えられている。  ウガンダ五輪代表団からは2人の陽性が発覚した。ウガンダの五輪委員会によると、2人と他のメンバー7人は英アストラゼネカのワクチンを2回接種していたとしている。  アストラゼネカが公表したデータでは、コロナの発症予防で76%の効果があったことが示された。  ウガンダの五輪委は、2回目の接種時期など、追加の問い合わせについて応じていない。  接種のタイミングも要因になり得る。一般には、2回目の接種から2週間後に完全な予防効果が期待できると考えられている。だが、一部の国・地域は、五輪出場選手にようやくワクチンが行き届き始めた状況だ。  選手らはまた、重要なトレーニングや、まさに今行われている最中の選考会のスケジュールを考慮してワクチンの接種時期を決めなければならない。オーストラリアの飛び込み選手は、副反応を避けるため、選考会の数週間前に1回目を接種し、2回目は選考が決まった後の6月初旬まで先送りした。  だが、うまくワクチン接種の時期を手配することは厄介な作業だ。フィリピンの体操連盟は、種目別床運動で金メダル候補のカルロス・ユーロ選手のために、6月初旬からワクチンの確保を急いだ。同連盟のシンシア・カリオンノートン会長は当初、「彼の健康状態は完璧なので、何であれ医薬品やワクチンを体内に入れて問題を起こしてほしくない」などとし、接種に消極的な姿勢を示していた。  だが、カリオンノートン氏は、コーチと協議した結果、考えを改めたという。「選手は毎日検査され、陽性となれば出場できなくなる見通しで、これまでのトレーニングが水の泡になるとコーチから言われた」  だが問題はそこでは終わらなかった。フィリピン選手団は本国で集団接種したが、ユーロ選手はすでに日本でトレーニングを行っていた。日本で接種するとなれば、フィリピン大使館や複数の高官が関わる必要がある。カリオンノートン氏によると、五輪開幕まで1カ月を切った6月下旬時点で、ユーロ選手のワクチンはまだ確保できていない。 [訂正]第6段落目の「ワクチンを接種していれば検査で陽性となっても出場禁止にはならないだろう」を「ワクチンを接種していれば出場禁止になる陽性は出ないだろう」に訂正します。

By Louise Radnofsky and Rachel Bachman

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対策 社会問題

五輪選手団の濃厚接触者、空港で特定へ 政府、方針一転

https://news.yahoo.co.jp/articles/b810be0ea1c2b97630eb47b55b42771a1e6abb8e

2021/6/26(土) 21:00 朝日新聞デジタル

 東京五輪・パラリンピック選手団の入国について、政府や大会組織委員会は、空港検疫で新型コロナ陽性者が判明した場合、濃厚接触の疑いがある同行者を速やかに空港内で特定する対応をとる方向で調整していることがわかった。 【画像】「お気持ち表明」の前例ある 宮内庁長官の発言、識者の考えるその意図  政府はこれまで、空港検疫で陽性者が確認された際の対応について「ホストタウンの受け入れ責任者が、責任を持って保健所と連携し、濃厚接触者に関する調査をする」(加藤勝信官房長官)などと説明していた。  実際、陽性者が出たウガンダ選手団は、濃厚接触者にあたるかどうかの調査を受けないままホストタウンの大阪府泉佐野市へ移動。そうした政府の対応には批判が集まっていた。  大会関係者によると、今後は空港検疫で陽性者が判明した場合、新たに設置する担当者が搭乗中の機内の座席状況などを確認し、濃厚接触の疑いがある同行者を特定する。特定された同行者は、新たな感染者や濃厚接触者を増やさぬよう滞在先まで専用バスで移動させる。その後、宿泊施設で隔離され、自治体の保健所が濃厚接触者かどうかを最終判断するという。  このほか、濃厚接触の疑いがある同行者を滞在予定の自治体には移動させず、組織委などが指定した宿泊施設で経過観察する案も検討されている。

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対策

1回で安心できず? コロナワクチン、効果はいつから? マスクなしに戻るのは…

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2021/6/26(土) 6:10 大人んサー

 新型コロナウイルスワクチンの職域接種が6月21日から本格化し、医療従事者や高齢者だけでなく、若者や壮年層でも、1回目のワクチン接種を受けた人が増えてきています。日本で使用されているワクチンは一定期間を空けて2回目を打ち、しばらくしたら効き目があるとされるものですが、1回目のワクチンを打っただけで「もう、マスクなしで飲み会ができる!」と勘違いする人もいるようです。 【表】新型コロナウイルス用ワクチンの特徴  ワクチンの効果が出る時期や、マスクなしの生活に戻れる時期などの疑問について、医療ジャーナリストの森まどかさんに聞きました。

1回で十分な抗体できず

Q.日本で接種が進む2種類の新型コロナ用ワクチンについて、改めて教えてください。 森さん「日本では、ファイザー・ビオンテック社製(以下、ファイザー製)とモデルナ社製のワクチン接種が進んでいますが、どちらも『mRNAワクチン』といわれるものです。新型コロナウイルスの表面にある『スパイクタンパク質』の“設計図”のようなものを投与することで、体内でこのタンパク質が合成されて免疫反応を起こし、ウイルスに対する中和抗体が作られるという仕組みです。 2社のワクチンはどちらも筋肉注射で、一定の間隔を空けて2回、同じ製造元のワクチンを接種します。効能、効果、安全性についてはほぼ同様といえます。2回接種後に一定期間を経た後、発症を抑える効果は海外の臨床試験でファイザー製95%、モデルナ製94%とどちらも高い効果を示しました。イスラエル、アメリカなどでは一般への接種でも、発症を抑える効果が9割以上と報告されています。 主な副反応は接種部位の痛みや腫れ、発熱などですが数日で回復しています。重い副反応としてアナフィラキシーがあり、アメリカで2月に発表された論文では、ファイザー製で100万回につき4.7回と報告されていますが、治療によって全例が回復しています。また、ファイザー製の接種後に心筋炎などの症状が6月13日までに11例確認されたことが、厚生労働省から報告されました。アメリカでも少数ながら、同様の報告があります。現在、因果関係などを評価するための情報収集、調査が続けられています」 Q.1回目のワクチンを打っただけで安心してしまう人もいるようです。2回目を打って、その後、一定期間を経過した人もですが、マスクを外して会食してもよいのでしょうか。 森さん「日本でもワクチン接種が進んできましたが、接種した人でもしばらくは、基本的な感染対策を続ける必要があると考えられています。個人に対するワクチンの効果という点では、先述した高い効果は『2回接種が完了してから一定期間が経過した人』でのデータであり、1回だけでは、個人差はあるものの、十分な抗体ができないと考えられています。 医学雑誌『ランセット』掲載のイスラエルの報告では、1回接種のみでのワクチンの有効性は発症、感染、重症化のすべてで2回接種より劣るそうです。1回でも接種することで心理的な負担が軽減する人は多いと思いますが、その時点では十分な予防効果が得られていないと認識することが重要です。 また、『マスクを外しての会食』が可能になるには、個人だけでなく、社会全体にワクチン接種の効果が表れる必要があります。6月23日現在、日本で2回接種が完了した人の割合は8.66%で、完了していない人の方が圧倒的に多い状況です。 『接種しない』という選択をする人もいますし、既往歴などで接種できない人もいます。さまざまな人が集まり接触する場所では、接種した、しないにかかわらず、引き続き感染対策が求められます。なぜなら、ワクチンは高い感染抑制効果が報告されてはいますが100%ではないため、ワクチン接種後も感染する可能性はありますし、接種後に感染して、無症状や軽症で自覚症状がない人が感染を広げる恐れもあるからです。 さらに、ワクチンの効果がどのくらいの期間続くかも正確には分かっていません。変異ウイルス(変異株)に対して効果が低下する可能性もあるため、コロナ禍以前のように『マスクなしで、大人数で気兼ねなく会食』が可能になるにはもう少し時間がかかりそうです」 Q.2回目のワクチン接種から20日ほど経過していた香川県の男性が感染したとの報道もありました。 森さん「ワクチン2回接種後も発症するケースはあります。もともと、ワクチンで『100%』防げることはないため、20日後に感染することも考えられるのです。また、接種時期に感染していて無症状の場合、気付かずに接種して、数日後に感染が判明することもあり得ます。接種から抗体ができるまでには1週間から2週間かかると考えられており、接種直後、抗体ができる前に感染するということも考えられます」

「ノーマスクには2~3年」説も

Q.「ワクチンを打っても、マスクをしたり、飲み会をしてはいけなかったりするなら、副反応も怖いし、ワクチンは打たない」と思う人もいるようです。ワクチンを打つ意味は。 森さん「ワクチン接種の効果とリスクをどう捉えるかは個々の価値観ですし、誰かに強要されるものでもありません。ただ、“意味”を考える前提として知っておく必要があるのは、今回のワクチン接種は『感染症のまん延予防の観点から、緊急に実施するもの』であるという点です。予防接種法の『臨時接種の特例』に位置付けられ、接種を受けるよう努めなければならない『努力義務』があるとされています。 一般的に打つ“意味”はいろいろあります。感染した場合の隔離や、身近な人への影響をなるべく避けたいとワクチン接種の意味を感じる人もいるでしょう。重症化のリスクが高い高齢者は、ワクチンを打つことが『命を守る』ことに直結するともいえます。 社会全体では、接種率が高まることで社会・経済活動の制限緩和につながり、少しずつでも日常生活が正常化することが期待できますし、発症や重症化を抑えることで医療現場の負担を軽減し、新型コロナ以外の手術や検査、入院が延期されるといった、通常医療への悪影響がなくなることも大きな意味を持つと思います」 Q.「変異ウイルス(変異株)によってはワクチンの効き目が薄れる可能性がある」と国立国際医療研究センターのチームが発表しました。仮にワクチンの効果が低くなったとしても、打った方がよいのでしょうか。 森さん「現在、東京で流行の主体とされる『アルファ株(イギリスで最初に確認された変異ウイルス)』は、ファイザー製ワクチンの有効性に大きな低下はないと考えられています。感染力が強く、日本でも確認数が増え警戒されている『デルタ株(インドで最初に確認された変異ウイルス)』には、効果が若干低下するものの、2回の接種完了によって有効と確認されています。 南アフリカで最初に確認された『ベータ株』やブラジルで最初に確認された『ガンマ株』も効果の低下が指摘されていますが、ある程度の予防効果は保てるのではないかと考えられています。こうした報告を総合的に見ると、現在確認されている変異ウイルスを理由に接種を取りやめる必要はないと思います」 Q.マスクなしで暮らせるのはどういう条件が整ったときで、どのくらい先になりそうでしょうか。 森さん「『屋内でも屋外でも完全にマスクを着用しなくてよい』という状況は、どのくらいの人が免疫を持つ状態になるかに委ねられています。『2~3年かかる』という見解を示す専門家もいます。海外の状況を見ると、ワクチン接種率が40%を超えたあたりで流行が沈静化しています。日本は欧米より感染者の割合が低く、現時点で国民の約0.6%であることを考えれば、ワクチン接種率が50%くらいになれば流行が沈静化し、屋外ではマスクなしで暮らせるようになるかと思います。 日本でのワクチン希望者の数にもよりますが、年内には希望者への接種が一通り完了するのではないかと予想しています。免疫を持つ人が60%から70%を超えれば、いわゆる『集団免疫』の獲得を期待できると言われていますが、集団免疫の効果がどれほどか、まだ分かっていませんし、若い世代の接種率は高齢者ほどではないと予想されていて、集団免疫によってマスクを完全に外せるほどの高いワクチン接種率を達成するのは少々、ハードルが高いと思います。 とはいえ、高齢の家族がワクチンを接種していれば、年末年始の帰省や親戚の集まり、少人数での会食などは問題ないといえる状況にはなっているかと思います。まずは、不特定多数の人が交わる場所でのマスク着用、手洗い、換気などの基本的な感染対策をしていれば、ある程度制限なく生活できるという状況が年内に戻ってくることを願っています」

オトナンサー編集部

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対策 社会問題

ワクチン接種が成功しているところは民間のサポートがうまく行っている~新しい公共を考える

https://news.yahoo.co.jp/articles/dbf4a25e8b02918fa0a68a19f60f27f8083f0f67

2021/6/25(金) 17:35 ニッポン放送

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月25日放送)に元内閣官房副長官で慶應義塾大学教授の松井孝治が出演。「新しい公共」について解説した。

「新しい公共」とは何か

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

この時間はコメンテーターの松井孝治氏に、「新しい公共」というテーマについて訊く。 飯田)松井さんは、PHPから刊行されている「Voice」7月号に寄稿されていますが、このコロナ禍でさまざまな面が浮き彫りになりました。行政がどういう仕事をするべきなのか、あるいは我々にとって、どういう位置づけなのかということも議論になっています。そのなかで、政治家との関係等々でも疲弊している官僚の方々の苦境などが伝わって来ました。そこで「全体をどう変えて行くべきなのか」ということが議論されて来ましたが、松井さんは民主党が政権を担っていた時代、その前の野党側から政策を提言されていたころも含めて、ずっとこの問題に関わっていらっしゃいます。 松井)阪神淡路大震災のときに私は官邸に勤務していたのですけれど、初動が悪くて、皆さん一生懸命やるのだけれど、うまく立ち行かない。そのとき、学生がリュックを背負って来て、長靴を履いて現地に入り、救命救援活動を一生懸命やってくれたのです。反社会的勢力の方々ですら炊き出しをしていました。 飯田)そうでした。 松井)そのとき、私は官邸という権力の中枢にいて思ったのですけれど、国民の生命や財産を守るのは政治の役割だと言います。しかし、それですら人々の力を借りた方がいいし、人々は自分の行動が世の中の役に立っていると、しんどいけれども生き生きするのです。震災対応や災害ボランティアもそうですけれど、それだけではないですよね。 松井)学校の教育でコミュニティ・スクールというものがあります。学校と地域の人たちが、一定の権限を持って運営に参加するものですが、「先生方や教育委員会、文科省が悪い」と言っているだけではなくて、学校教育に自分たちができることで協力して行く。親御さんだけではなく、自分の子どもはとっくの昔に卒業してしまったというおじいちゃん、おばあちゃんもそうだし、若い夫婦でまだ子どもがいないという人もいらっしゃいます。そういうところで総合学習の手伝いをする。あるいは防犯ネットワークをつくって見守りをして、警察官のパトロールを補助するなど、自分たちができることをやろうとする動きが全国的にあるのです。 飯田)防犯のネットワーク。 松井)今回のワクチンもそうです。もちろん医師会の先生方は公共的な仕事ですが、うまく行っているところは、自衛官のご家族の方々が大規模接種会場の整備にボランティアで参加されるなどしています。官だけが社会のために役立つということではなく、人々は、「あるときは支えてもらうけれども、あるときは支える側に回る」ということを上手にオーガナイズできているところが、町で言うと栄えている。行政サービスや公共サービスが豊かになっているのです。 松井)行政や公務員だけが行政サービスや公共サービスをつくるということではなく、公共輸送も株式会社、または地域の第三セクターなどが一生懸命やっているわけですから、それを少し捉えなおす。「人の役に立つということが、自分のある種の充足感になるような社会をどうつくって行くか」。それがうまく行っている学校などは、進学成績までよくなっているのです。うまく行っている地域では、荒れている部分がなくなって行くのです。 飯田)人の役に立つということが。 松井)私がそうでしたけれど、22歳で大学を卒業して試験に受かった公務員の人たちが、一生支えるということではなく、一部の野党議員がしているように、その人たちだけに重しを全部被せていじめるということではなく、もっと民間の知恵のようなものをサポートして行く。そのような社会における公務員のあり方も、変えて行かなければいけない時期に来ているのだと思います。 松井)フルタイムの公務員だけがお役所仕事をやるのではなく、ワクチン接種がうまく行っている自治体のように、いろいろな方々が協力して「何ができるのか」を考えて行く。行政を提供する側と受ける側の垣根をなくすことが必要なのです。受ける側は提供する側に文句ばかり言っているのではなく、自分たちに何ができるかを考える。そして行政マンは、謙虚になって自分たちの仲間として受け入れて行く。 飯田)垣根をなくす。 松井)そこの感覚を変えて行くべきなのです。役人だけを叩いたり、一生懸命汗をかいている方を叩くだけではなくて、「自分たちに何ができるのか」という、ケネディ大統領の話と一緒ですよ。 飯田)まさにそれを思いました。自分たちに何ができるのか、してもらうのではなくてという。 松井)アメリカで、ドラッグストアの人などが集中的に研修を受けてワクチンを打つ側に回っているのは、彼らのよさがあるわけです。我々もいま、うまく回り始めているのはいいことですから、これを機に、公共のあり方を考えて行くべきです。「官を開く」という言い方を私はするのですが、「お役所を開いて行く」という感じで、もっと人々の協力を得るべきなのです。 飯田)野党などの国会対応で、「民間の人を入れる」ということは過去も検討されています。官僚や内閣人事局にいた人などと議論したりすることがあるのですが、国会対応で、ある程度の地位まで行くと答弁もしなければいけない。しかし、ここは民間の人にできるかというと難しいかも知れないと。松井さんが前にこの番組にご出演されたとき、国会対応は毎日株主総会で吊し上げられるようなものだとおっしゃいました。民間の人たちがそれに耐えられますか? 松井)なかなか耐えられない。あんなことをやっていたら有能な人は来てくれないですよ。誰かを叩いて溜飲を下げるようなことをやったって、それで人々が幸せになるならいいですけれど、なりません。「私は国会に出て答弁するようなことはできないけれど、自分のできる知恵を出せます」という人、「世界の情勢を知っているから、それをインプットします」という形で知恵を出してくれる人がいてもいいと思います。行政の現場で最近、PPP(官民連携)という概念もありますけれど、街づくりなどでは、お役所の人よりも地域の人の方が、実際の街づくりで商店街を再活性化することができるかも知れません。 松井)大阪の上方落語専門の寄席「天満天神繁昌亭」をつくったのは、天神橋筋商店街の理事長で瀬戸物屋さんをやっている、土居さんという方です。「かせぎができて半人前、つとめができて半人前、両方合わせて一人前」、要するに難波の商人は稼ぐだけではなく、「務め」を果たさなくてはいけないというのは、土居さんから教えてもらったことです。 飯田)務めというのは仕事の話ではなくて。 松井)そうです。例えば街づくりのために、何か役に立つようなことまでやらないといけない。自分の商売だけやればいいというものではない、それは野暮というものですよと。日本人には本来、その感覚があるのです。 飯田)近江商人にも世間よしというのがありますものね。 松井)そうです。三方よし。それをみんな持っているのです。近代国家を形成して、官僚を養成した人たちが国家を担うというのは、それ自体はいいことです。いいことだけれども、いま官僚だけに重荷を背負わせてしまって、ほとんど死にそうになっている。『ブラック霞が関』という本を書いて、役所を辞めてしまった千正くんという、とても素敵な相撲部出身の男がいるのですけれど、本当に繊細で優しい男で、彼は自分の身を投げうって役所の人たちがもっと生き生きと働ける環境をつくりたいと、自分の生涯をそれに捧げるという人です。 飯田)成功や光の芽のようなものを、1個1個大切にして行かないと、それをまた批判で潰すことをして行くとこの先は暗いですね。 松井)それと同時に役所の人たちも、もっと人々に交わるということをしないといけないですよね。もちろん高額接待は論外ですが、「みんな寄席に行け」と言いたい。人々がどこで笑い、どんな毒舌に頷いているのか、もう少し世間を知らないとダメだし、彼らに世間を知るだけの余裕を与えてあげないといけません。週末もなく、昼も夜もなく働きづめで叩かれて、心を病んで辞めて行く人をつくるような社会は幸せにならないですよ。 飯田)まさに千正さんもインタビューで答えていらっしゃったと思いますけれども、厚労省はソーシャルワーカーなどの現場の人たちのところに行って話を聞いて来て、それを政策に活かすという役所だから面白かったのに、いまはそれができないと。 松井)「それができるなら、いくら残業しても私たちは平気です」と彼は言います。そうではなく、叩かれて、ミス探しを徹夜でして、みんな心を病んで行くのです。「現場の悩みを聞いたり、相談に乗ったりするのであれば、私たちは休日だって働きますよ」と。あまり働かせ過ぎてもよくないけれど、そういう心意気を引き出すような社会や国をつくらないとダメだと思います。

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対策 社会問題

河野大臣“口先だけ上から目線”が招いたワクチン不足大混乱の落とし前

https://news.yahoo.co.jp/articles/7be87275507c76c9bb6eb7854ab9d664c39756fd

2021/6/25(金) 14:00 日刊ゲンダイデジタル

 菅首相がモーレツに旗を振って接種を急がせてきたのに、このザマだ。新型コロナウイルスワクチンは、自治体向けのファイザー製も、大規模・職域接種向けのモデルナ製も、ともに供給不足で現場が大混乱している。 河野太郎に垣間見えるのは「昭和の自分大好き歌謡」の系譜  自治体向けは週ごとの供給量が減少。茨城県は4割減だ。自治体の大規模接種会場の新規受け付けはすでに休止。職域接種については、25日午後5時で申請が一時休止となる。「不足」のアナウンス効果は、「なくなる前に打ちたい」と、逆に希望者殺到を招きかねない。 ■自治体も急がせドーカツ  ワクチン担当の河野行革担当相は、これまで何と発言してきたか。  職域接種を呼び掛けた2週間前の11日の記者会見では「ワクチンの供給は余裕があります」。自治体に対しては、接種率上位に傾斜配分をすると“上から目線”で、15日の会見では「自治体に在庫を積み増しても仕方ない。接種が遅い自治体は、1回クールを飛ばさせていただくこともあり得る」とドーカツしていた。  ところがワクチン不足となると言い訳ばかり。24日はテレビ出演で職域接種について、「あっという間に、ものすごい量の申請があった」と見通しの甘さを釈明。22日の会見でも「必要以上に申請しているケースがある」と企業や自治体のせいにし、今後は、「余分に申請されていないか精査する」。きちんと精査してこなかった政府の側に問題があるのではないのか。 「OECDで最下位レベルと日本のワクチン接種は大きく遅れていた。夏以降、五輪と衆院選があるため、菅政権はそれまでに接種を進めたいと焦ってドタバタ劇を生んでしまった。河野大臣は発信力が評価されているけれど、後先考えずに聞こえのいい話ばかり。それも不幸に輪をかけました」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)  そもそもワクチン接種については、医療従事者→高齢者→基礎疾患のある人→一般という順序があったはずだが、五輪優先の菅首相のトップダウンで、医療従事者が終わらぬうちに、高齢者が前倒しになり、自衛隊による大規模接種も導入され、自治体接種との二重予約の混乱を招いた。その後、自衛隊会場は高齢者が集まらず、いまや接種券さえあれば誰でも予約できるというなし崩し。 「態勢は走りながら考えればいい」と漏らした政権幹部がいたらしいが、あまりにデタラメだ。