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「家族4人 ロシアで感染しました」特派員一家の焦燥~夫人にのしかかる不安…異文化に振り回された日々

https://news.yahoo.co.jp/articles/ae81969b223bad03d20f846d11f6ce18c4ca5257

2021/6/29(火) 18:04 北海道ニュースUHB

 世界中で猛威をふるう新型コロナウイルス--。ロシアの首都・モスクワに赴任しているUHB北海道文化放送の特派員の一家にも襲いかかった。  家族5人中4人が感染。去年の秋、日本に一時帰国した特派員本人(当時40)が発症していると診断され緊急入院。同行した中学3年生の長男(同15)は陰性だったが、モスクワに残った3人のうち、妻(同40)と小学3年生の長女(同9)が無症状ながら陽性に。冬には小学6年生の次男(同12)も感染した。  感染が拡大し、一部で医療も崩壊したロシアで陽性になると、どうなるのか。ロシアに引っ越してからわずか2週間で外出禁止となり、生活を制限されたばかりか、その7か月後に自身も感染した妻がその苦悩の日々を振り返る。

「熱38.4度で頭痛も」 夫の職場スタッフからメッセージ

モスクワ国際映画祭を取材する支局スタッフ。どんな取材でもマスクを身につける(4月)

 6月9日夜、わたしがソファに座ってタブレットで動画を見ていたとき、隣で寝そべる夫の表情が、スマートフォンのメッセージの着信音とともにこわばりました。  「熱が38.4度。頭痛以外の症状はありませんが、あすの朝、体調をもう一度報告しますだって。日中は元気だったんだけどね」  夫はモスクワに駐在するテレビ局の記者です。メッセージは会社に勤めるカメラマン兼通訳のロシア人男性スタッフ(24)からで、コロナの感染を疑わせるものでした。  翌10日、そのスタッフはPCR検査を受け、11日に陽性が確定。軽症のため自宅療養中です。ほかのスタッフ4人や夫は陰性だったことにほっとしましたが、去年ロシアで自分の身に降りかかったコロナ禍が脳裏によみがえってきました。

一時帰国の夫“発症“…不安止めどもなく

去年10月7日、夫から届いたメッセージ。矢継ぎ早に届いたことが重大さを物語っていた

 昼食の準備をしようとしていた去年10月7日午前11時ごろ、仕事で一時帰国した夫から無料通信アプリに届いた3通のメッセージ。矢継ぎ早に届いたことが重大さを物語っていました。  「コロナ陽性だった…」  「長男は陰性」  「そっちはどう?」  まさかの知らせでした。出発前、症状はありませんでしたが、日本の検疫所で37.3度だったため、発症していると判断され、羽田空港から東京都内の病院に直行。緊急入院しました。 日本の高校を受験するため、帯同した中学校3年生の長男は幸い陰性でしたが、埼玉県にある夫の実家に預けることに。2週間の自宅待機を指示されました。  受験させてもらえるのか、そして、ロシアに残されたわたしたちは生活できるのだろうか…。不安が止めどもなくわいてきました。

感染拡大の真っただ中…40歳で“初の外国渡航“

ロシアの国境封鎖前日、モスクワの空港に到着した4人(去年3月)

 去年3月、わたしは夫が単身赴任していたモスクワに、長男、次男、長女の3人と移り住みました。子どもたちの学校の都合で、夫より5か月遅れの引っ越し。結婚してから16年間専業主婦だったわたしが、40歳にして迎えた初の海外渡航でした。ロシアがコロナで国境を封鎖する前日のことでした。コロナ拡大でロックダウンしたモスクワ。世界遺産「赤の広場」も人影がまばら(去年3月)

 2週間後にはロックダウン(都市封鎖)で外出禁止となりました。生活物資の買い物は許されていましたが、新生活は家とスーパーを行き来するだけ。7か月たっても、ロシア語も英語もあいさつが精いっぱいでした。  「夫が陽性なら、わたしたちもPCR検査を受けなきゃ。でも1人では絶対できない…」  助けを求めたのは、夫の会社のロシア人男性スタッフ(当時27)です。日本語が流ちょうで、物腰も柔らかく、夫の仕事だけでなくわたしたち家族の生活もサポートしてくれていました。PCR検査の予約も彼頼みでしたが、彼自身が陽性に。熱が出ているにもかかわらず、助けてくれました。

「大丈夫かしら」 PCR検査のスタッフ“防護服なし“

残されたPCR検査キットの包装や説明書。検査機関の女性は「自分で捨てて」と置いていった(去年10月)

 翌日8日の昼過ぎ、検査機関のスタッフが家をたずねてきました。50~60歳ぐらいの女性で、マスクは着用していましたが、防護服姿ではありませんでした。「あまり感染対策してないけど、大丈夫かしら」。わたしの不安を無視するかのように、ためらいなく玄関に入り、ぶっきら棒に検査キットを手渡しました。  「自分で採れと言ってます」。スマホをハンズフリーにして通訳してくれているスタッフの声が無情に聞こえました。女性は口と鼻の両方から粘膜を綿棒でぬぐい取れとジェスチャーでまくし立てます。検体が容器に入ったのを確認すると、ひったくるように持ち去りました。  検査結果がメールで届いたのは翌日の9日。わたしと長女が陽性でしたが、2人とも無症状。「わたし、本当にコロナなの? 熱もないし、元気だよ」。長女は納得がいかない様子でした。

マスク嫌うロシア人 都市封鎖も解除で元のもくあみ

モスクワ中心部の商店街。行き交う人の大半がマスクなし(5月)

 ロシアの感染者(今年6月27日現在)は約540万人。今も毎日2万人前後、新規感染者が確認されています。  ロシア人の大半はマスクが嫌いです。屋外でマスクを着けていると「病気なのに出歩いている」とやゆされることも。日本の飲食店ではなじみ深くなった「アクリル板」もロシアの飲食店にはありません。  モスクワは今年3月末から2か月間、ロックダウン(都市封鎖)され、外出も規制されましたが、解除とともに、すぐに感染者は膨れ上がりました。

病床不足し“医療崩壊“ 遺体処理も間に合わず…

病院の廊下で寝るコロナ感染者。地方医療は崩壊(去年11月、TV2提供)

 去年4月、モスクワでは新規感染者が急増し、病院が受け入れ不能になっていると連日報じられていました。70台以上の救急車が列をなし、患者は何時間も待ちぼうけする様子がニュースで流れる日もありました。処理しきれず、病院の安置所に袋詰めで放置された遺体(去年10月、ncindentK提供)

 12月にはロシア第2の都市・サンクトペテルブルクなど4つの地域で、病床使用率が90%以上に達し、救急車を呼んでも3日間来ない地域も。ベッドが足りず、十数人もの患者が廊下のベンチで寝たり、遺体の処理が間に合わず袋詰めで放置されたりする病院もありました。  「悪夢でしかない」「これがロシアだ。死ぬためにも順番を守らなくてはならない」。SNSには体制への批判や皮肉が飛び交っていました。

ストレスの原因…不安あおる夫の自撮りと“ごみ袋“

緊急入院し酸素吸入器をつける夫の自撮り写真(去年10月)

 埼玉県にある夫の実家に居候していた長男は、すぐに受験できる見通しが立ちましたが、夫は入院後40度まで発熱し、重症の一歩手前の「中等症2」と診断されました。 「記録しないとね」と咳き込みながら送られてくる写真や動画は、防護服姿の医療スタッフや鼻にチューブを通している自撮り。不安が助長されるものばかりでした。  「陰性だった次男にうつしてしまうことだけは避けたい」。全員24時間マスクを着用し、次男はひとり別室で過ごさせました。食事も別々、なるべく会話もしない日々が続き、3人のストレスがたまっていきます。自宅待機中に頭を悩ませたのはごみの処理。玄関に置いてしのぐしかなかった(再現)

 食料は近所に住む、次男が同級生同士のママ友に買い出しをお願いし、家の前に置いていただきました。ただ、ごみの処理には頭を痛めました。どんなに密封しても自宅がある7階から1階のゴミ捨て場へ友人に運んでもらうのは気がひけました。  30リットルの袋は日がたつにつれて膨らみ、生ごみの臭いも気になります。鳩がつつくため、ベランダに出すわけにもいかず、玄関の隅にため、しのぐしかありませんでした。

アプリと防犯カメラで監視 自宅待機守らないと”拘束”

モスクワ当局の監視アプリ。2週間の自宅待機違反に目を光らせる(去年、mos.ru提供)

 さらにイライラに拍車をかけたのが、自宅待機期間です。  「陽性が確認された日から8日後と10日後のPCR検査で陰性になれば、自宅待機は終了です」  陽性となった日から3日たった10月12日昼ごろ、往診で来た医師は2週間での解放を明言してくれました。ところが4時間後、事態は一変します。  当時、無症状で自宅待機となった人は「監視アプリ」に顔写真付きで登録され、1日5回の在宅報告が求められました。  モスクワ市内に18万台あると言われる防犯カメラの一部は顔認証システムと連動していて、登録された顔写真をもとに、自宅待機を守らなかった約200人が拘束されたと報じられました。

監視アプリに登録されず…そもそもリスト漏れ

モスクワ当局の監視アプリでは任意の時間に在宅確認が届く(去年、mos.ru提供)

 写真登録のため、保健当局の男性が防護服姿で我が家にも。長女の顔写真を撮影しましたが、わたしには見向きもせず、去ろうとするのです。  身ぶり手ぶりで「顔写真を撮って」と1時間も訴えましたが「そんなことは知らない。それはわたしの担当じゃない」とつき放され、男性は部屋を後にしました。  わたしはそもそも保健当局の陽性者リストから漏れていたのです。監視対象ではなかったとはいえ、陽性なので外に出ることは避けたい。医師の指示に従い、長女とともに「陰性」の結果が2度出るのを待ちました。結局、陽性確認から3週間がたっていました。

学校でクラスター 結局次男も“感染“

世界初承認のロシア産ワクチン「スプートニクV」。安全性を疑われ接種率が低い(去年12月)

 夫は完治し、入院から1か月後の11月、モスクワに戻りました。後遺症もなく生活は落ち着きましたが、陰性だった次男も去年の年末、学校でクラスターが起き、日本で高校に通う長男をのぞくと、家族全員が感染することになりました。  夫の職場の感染者は計3人。ロシア政府は自国でワクチンを開発しましたが、安全性を疑う声が強く、接種率は11.4%(今年6月26日現在)と伸び悩んでいます。モスクワでは6月15日から5日間、企業を休業とする緊急措置がとられましたが、収束の兆しは見えません。

マスクなし多数…過度になった? 感染後の自衛対策

電車の中でもロシア人はマスクなし。大声で会話していて再感染への不安は尽きない(5月)

 日本では現政権のコロナ対策に批判もあるようですが、ロシア当局のコロナ対応は輪をかけて“場当たり的”です。わたしが監視対象から外れていたり、自宅待機の期間がぶれたり、先がまったく見えない生活に、うんざりしました。  最近は、新規感染者が増えるにつれて雪だるま式に規制を膨らませる当局の姿勢と、街中にいる人たちの危機感の低さに大きな温度差も感じています。  「マスクなしでおしゃべりするロシアの人を見ると、無意識に必要以上に距離をとってしまう…」  日本で感染しても不安だったと思いますが、感染症への意識や文化が異なると、再感染への不安がこんなに増すなんて思いませんでした。自分のコロナ対策が感染前よりも過度になっている気がします。  ※UHBモスクワ特派員の関根弘貴が妻から聞き取り、記事を構成しました。  この連載は北海道ニュースUHBとYahoo!ニュースの連携企画です。外国でコロナに感染したらどうなるのか。次回は、去年の年末に感染した次男の目線で日本人学校のクラスターを描きます。

北海道ニュースUHB

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社会問題

水泳授業相次ぐ中止、“専用マスク”でも炎上→取り外しへ 頭抱える教員ら「水への対処法どう伝えたら」

https://news.yahoo.co.jp/articles/0f5edac85664a20065921c03e86c228025ce9d3a

2021/7/1(木) 13:30 まいどなニュース

 5月中旬に統計史上最も早く梅雨入りしたはずが、連日暑さが続く近畿地方。6月には気温が30度を超える「真夏日」の日もあり、大人でもプールが恋しくなります。そんな中、新型コロナウイルスの感染拡大で昨年は中止していた水泳の授業も、今年は多くの学校で感染対策を講じながら再開しているそうです。 【写真】コロナ対策として開発された「プール用マスク」。開発者の思いは ■水泳用マスクで授業→「行き過ぎたマスク信仰」と“炎上”  しかし、6月中旬、茨城県日立市の学校で2年ぶりに行われた水泳授業が新聞やテレビで報道されると、インターネット上で物議を呼びました。なんと、子どもたちがマスクを着用して授業を受けていたのです。  「マスクをつけてプールサイドから落ちたときどうするの?」「行き過ぎたマスク信仰」「恐ろしい事態やめさせて!」。ネットのコメント欄には非難が殺到しました。  日立市教育委員会によると、子どもたちが着用していたのは水泳専用のマスクで、同市が市立小中学校の全児童生徒に購入したものです。プールサイドで教諭らからの説明を聞く際には口に装着していますが、泳ぐ際にはあごの下にずらすことができるタイプで、「水泳授業が始まってから、学校現場から『危険だ』という報告は上がってきていない」(同市教委の担当者)といいます。  ところが、報道後に同市教委などには1日あたり50件ほどの苦情が寄せられ、水の中に入る際はマスクを外してタオルと保管するよう方針を変えたそうです。同市教委の担当者は「海に隣接している茨城県で2年続けて水泳の授業をしないということは、学びの保障にもつながらない。感染予防も取りながら何とか学びを続けたい」と話します。 ■水難事故コロナ禍で増、陸上でもできる「エアスイム」など対策を   水泳の授業については、生徒や児童同士が2m以上間隔を取るよう、文部科学省が各都道府県の教育委員会などに通知していますが、屋外であってもプールサイドは運動場より狭いのが現実。更衣室では密になりやすく、予防対策にどの学校も頭を悩ませています。そのため、神戸や西宮市など感染が拡大している地域を中心に、2年連続で水泳の授業を取りやめた自治体も少なくありません。  こうした状況に、教師や水泳指導者らの有志で作る「学校水泳研究会」で代表を務める鳴門教育大大学院(徳島県鳴門市)の松井敦典教授(61)=保健体育=は「成長過程でやるべきことをやらなければ、水中での安全な技能を身に付けずに大人になってしまう可能性がある」と危ぐしています。  警察庁によると、減少傾向にあった全国の水難事故が、昨年はコロナで多くの海水浴場が閉鎖されたにもかかわらず、前年より微増したそうです。松井教授は「授業だけでなく夏休み中の学校プールの開放もなくなり、公営プールも軒並み閉まった。水の中での動作を学ぶ機会がなく、水への理解がない中で、川や水辺で事故に繋がったのではないだろうか」と推測します。  学校水泳研究会のホームページでは、小学校教諭や大学の専門家らが考案したコロナ下での水泳指導法も掲載されています。  たとえば、小学生向けであれば、水の中と陸上ではどのような違いがあるのか、子どもたちに考えさせ、水の特性や溺れた際の対応などを学ばせる授業事例を紹介。教員を目指す大学生向けの研究報告ではありますが、陸で泳ぐ動作をまねする「エアスイム」の方法など、水中練習ができない子どもたちにも参考になる指導法が載っています。  気象庁によると、2021年の夏(7~9月)の平均気温は、西日本で「平年並み」または「高い」確率がともに40%。北・東日本、沖縄・奄美では「高い」確率が50%とされており、今年も猛暑となりそうです。  ウィズコロナの生活が当分続きそうな中、今年の夏休みも遠方への旅行を控え、川や水辺など身近な自然の中で涼を求める人が増えることでしょう。コロナ前よりも、水の危険性やいざという時の対処法を理解しておく必要があるかもしれません。 (まいどなニュース特約・斉藤絵美)

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ワクチン 社会問題

米国でワクチン接種拒否選手へ猛非難「チームを危険にさらす」「東京に行くべきではない」

https://news.yahoo.co.jp/articles/6fde7f2d9475ddf22049b3b37a3e29c0290d9d6e

2021/7/2(金) 16:47 東スポWeb

 東京五輪参加選手の新型コロナウイルス接種拒否が、思わぬ波紋を広げている。  米紙「カンザスシティ・スター」は、体操女子米国代表の補欠となった17歳のリアン・ウォンが、ワクチン接種を受けていないことを公表後、ひどい攻撃を受けたことを報道した。  未成年のウォンは科学者である両親の考えで、ワクチンを接種しないことを選択。すると「チーム全体を危険にさらしている」「チームと一緒に東京に行くべきではない」とネット上で批判を受けたという。ウォンの母親は「彼女は不当に扱われていると思う。IOCも米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)もワクチン接種を義務付けていない。ワクチンを打つかどうかは私的な問題だ」と話している。  米体操女子では、負傷者やコロナ陽性者が万が一出た場合を考え、通常の倍となる4人補欠選手を選んでいる。同紙は、「補欠選手もシモーネ・バイルスら代表選手も同じ行動を取るため、コロナから身を守るワクチン接種を補欠接種にも望むことは理にかなっている」と指摘。一方で「開催国にもかかわらず、ワクチン接種率が驚くほど低い日本で行われるのに、IOCはワクチン接種が義務ではない」とルールの壁に言及した。  ウォン以外にも米国で一部の選手はワクチン接種をしないと想定されている。〝穴だらけ〟と高名な科学者から指摘されまくりの東京五輪コロナ対策だけに、ワクチン接種、非接種選手を巡る複雑な問題は続きそうだ。

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社会問題

テレビに出る「感染症の専門家」を信じるのをやめませんか? バカで自虐的な日本人(中川淳一郎)

https://news.yahoo.co.jp/articles/38fbc697b6c150d1298f38177f6b590a4b7f19c0

2021/7/3(土) 5:55 デイリー新潮

 G7サミットで各国首脳がノーマスク・ノーアクリル板だったことを日本のメディアは批判しましたが、これが欧米様の認識なんじゃないですかね? 「彼らはワクチン接種率が高いが日本はまだだ!」と例によってマスクが大好きで仕方がない方々がツイッターで吠えまくっていましたが、もう、これ、やめませんか? 人口約半分のイギリスはサミット当日、6月13日の陽性者は7490人で、その日、日本は1384人。ワクチン関係ないじゃん! 

 何せ、地上波TVに出る専門家様は「ワクチン接種が行き渡ってもマスク着用を! 大人数の宴会もダメ!」と訴え続けている。せめて「エサ」を用意してくださいよ。ワクチン打ってもマスクはそのままで自由に動けない。だったら打たないでもいいじゃん。  それにしてもテレビの威力って凄まじいですよね。この1年4カ月ほどテレビに出まくった「感染症の専門家」がとんでもない数の信者を獲得している。同氏がマスクの重要性やPCR検査の数を増やすべきだ、とツイッターで主張すると「〇〇先生の貴重な提言に感謝します!」みたいな意見がズラリと並びます。

 6月13日、NHKはウェブ版で「“子どもが感染”RSウイルス感染症患者 急増 コロナ対策影響か」という記事を公開。「専門家は、通常であれば免疫を獲得していた年齢の子どもたちの多くが免疫を持っていないため、ことしは感染が急拡大しているのではないかとみています」との記述が登場。  これを受けて、ツイッターでは困惑が広がりました。それは「これまで徹底的なマスク・自粛などの感染対策をしてきたから日本はこの程度の被害で済んでいた」派の皆様からです。  コロナ対策を徹底的にしたのに、一体なんでRSウイルスに感染するのだ……と。そもそも、世界中でマスクがほとんど義務化したのにあそこまで広がったのって何なんですかね?   しかし、こんな意見を見ても、ツイッターでは「マスクは万能ではない。ウイルスなんて仕方がないもんだ」という発想にならず、「マスク様のお陰でこの程度で済んでいるのだ!」という話になる。  もうさ、テレビという最強の洗脳ツールを信じ切る日本人、いい加減にしないか? 感染症の専門家としてテレビに出まくっている岡田晴恵氏、北村義浩氏、二木芳人氏、さらには政府に意見を言いまくる尾身茂氏や西浦博氏なんてどう考えても、2020年以前は知らなかったでしょ?   突然、彗星のごとくコロナ禍に登場した「感染症の専門家様」。この方々が1年4カ月、日本の舵取りに大影響を与え、カネも稼ぎ、信者も増やした。で、今どうなってます? 相変わらず都会ではマスク率99%(体感値)で、緊急事態宣言やら「まん防」が続き、イベントは客席減少中。そんな中、MLB、EURO2020やインディ500等欧米様のスポーツイベントはノーマスクの大観衆で大賑わい。  一方、日本は「東京五輪を開催すると死者が続出する! スガは日本国民の命と健康を賭けたギャンブルをするのか!」なんて話になる。もうさ、欧米様だって五輪開催にお墨付きくれたんだからやればいいんじゃない? どこまでバカで自虐的なんだ日本人。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう) 1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんきつ 1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。 「週刊新潮」2021年7月1日号 掲載

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ワクチン 社会問題

「ワクチン接種者が周囲に病気を撒き散らす」「接種で麻痺が起きる」誤情報が拡散。専門家の見解は?

https://news.yahoo.co.jp/articles/73ffeabcc020941733e33cc85ea4645f900af416

2021/7/2(金) 11:02 BuzzFeeDJAPAN

新型コロナウイルス感染症について高い感染予防・発症予防・重症化予防効果が確認されている新型コロナワクチン。医療従事者への優先接種を経て、高齢者、さらには一般への接種もスタートしている。そのような中、ネット上ではワクチンに関する誤情報や不正確な情報が拡散されている。BuzzFeed Newsは、日米の専門家などによって運営されている新型コロナウイルス感染症やワクチンに関して正確な情報を発信するためのプロジェクト「こびナビ」協力のもとファクトチェックした。【BuzzFeed Japan / 千葉雄登】 【画像】新型コロナワクチンにマイクロチップや劇薬?接種で遺伝子組み換え?広がる誤情報を検証しました

(1)「ワクチン接種者が周囲に病気を撒き散らす」

noteで公開されている記事の一部

《ワクチン接種者が周囲に病気を撒き散らす。これは陰謀論でも推測でも何でもなくて、ファイザー社の治験文書にはっきり書いてある。》 《ワクチンが感染症を防ぐどころか、むしろ感染症の誘因ではないか、という事例はいくらでもある。》 《効果がない、のではない。原因なんだよ。》 《コロナワクチンは、普通に死にますから。》 兵庫県でクリニックを経営する内科医が自身のnoteにこのような情報を掲載している。しかし、この主張は誤りだ。 このnoteの記事はFacebookで1800回、Twitterで3300回以上シェアされている。また、note上では3000回の以上「いいね」が集まっており、誤情報が拡散されている状態だ。 「こびナビ」の専門家はこの情報について、次のように指摘する。 「ワクチンが感染症を防ぐどころか、むしろ感染症の誘因ではないか、という主張は明らかに誤った情報です。記事の中ではワクチン接種者が、周囲に病気を撒き散らすことが『ファイザー社の治験文書にはっきり書いてある』としていますが、このような記載は一切ありません」 記事中には、臨床試験(治験)文書であるとして画像も添付されている。しかし、この文書は臨床試験の「実施計画書」であり、21日間隔をあけて接種することや0.3ml接種するといった規定が守られなかった場合の報告基準などが記載されているものだ。 「このファイザー社のmRNAワクチンの臨床試験の実施計画書はSNSなどを中心に、誤った言説の拡散によく利用されています」と「こびナビ」の医師は語る。

ワクチンによって感染症が引き起こされる根拠としてnoteに引用されている「実施計画書」では、「妊娠中に曝露が起こった場合」の報告基準が記載されている。 ここにおける「曝露」とは、ワクチンの薬液を吸入することや触れることなどを指す。 基準自体は、臨床試験に参加したワクチン接種者もしくはパートナーが妊娠した場合、ワクチン接種をしていなくとも曝露があった後に妊娠が判明した場合には、妊娠の経過や胎児の経過を観察するためファイザー社に連絡をすることを求める内容となっている。 「この文章は、mRNAワクチンではない薬剤の臨床試験でも、妊婦を対象から除外する場合に使用される『定型文』です。実際には『環境からのワクチン薬液への曝露』があっても、ワクチンの仕組みからは妊娠経過や胎児に悪影響を及ぼす可能性はほぼ考えられません。しかし、妊婦を除外した臨床試験を実施するために、このような妊娠経過をみるための手順が整備されていました」 臨床試験において多用される「定型文」であるにも関わらず、この記述がワクチン接種によって感染が引き起こされるという主張に利用されている。 「この定型文では、例えばこのような場合には報告してよい、と例示しているに過ぎないのですが、noteの記事では、あたかも接種者から曝露されることで健康被害があった症例があるかのように書かれています。明らかに誤った引用で、ワクチンへの不安感や恐怖を与えるものです」 「接種した人への接触や吐いた息を介して、他者の健康に悪影響を及ぼすという主張は、このプロトコルの『定型文』を悪用した誤情報です。なお、この実施計画書の基準に従い、ファイザーの臨床試験中に妊娠した方の経過が確認されました。妊娠していた12名の方の妊娠経過や赤ちゃんの経過に異常は認められていません」

(2)「ワクチン接種が麻痺を引き起こす」

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noteでの内科医の記事には「ワクチン接種者が周囲に病気を撒き散らす」という主張とあわせて、新型コロナワクチンが麻痺を引き起こすという情報も、「被害」を訴える人のツイート画像とともに掲載されている。 しかし、この情報は事実ではない。 「こびナビ」の医師は、「現時点では新型コロナワクチンが神経の『麻痺』を引き起こすという報告はありません」と語る。 「記事では、『以下、コロナワクチンの被害』として、ペンシルバニア州の女性とナッシュビルの女性の麻痺が取り上げられています。引用している画像の中にも、『No Medical Confirmation the Vaccine is Related』(ワクチンと関連しているかは確定的ではない)と書いているものの、明らかに誤解を与える書き方をしています」 「臨床試験において、ファイザー社のワクチンを接種した人に『ベル麻痺』という顔面神経の麻痺が起きたという事例が4例報告されていますが、これも自然発生率と比べ特に高いとは言えません。また、その後の検証ではmRNAワクチンによって『ベル麻痺』が起きやすくなるとは言えないとする研究結果も発表されています」 また、ワクチン接種によって「心臓発作」が起きるという情報もnoteに出ている。 これは正確と言えるのか。 「若い人には『心筋炎』という心臓の筋肉の炎症が稀に起こることがあるとアメリカやイスラエルなどで指摘されており、これとワクチンの因果関係が現在精査されている段階です」 日本国内で5月30日までにファイザー社製のワクチンを接種した人の数は約976万人。そのうち20代から60代の男女7人が接種後に心筋炎などを起こしたことを厚労省も報告している。 しかし、「ワクチンを接種した人には、接種していない人と比べて心筋梗塞や心臓の突然の停止などのいわゆる『心臓発作』(なお、この言葉は実際の医療現場ではあまり使わない)が高い頻度で起きるということは報告されていない」「現時点でワクチンの副反応として心臓の突然停止があるとは考えられていません」と、こびナビの医師は強調する。 「多くの人への接種が進んではじめて明らかになってくる稀な副反応があることは当然ありますが、その情報は非常に透明性が高いのが現実です。また、ワクチン接種後にみられている心筋炎については軽症例が多いことも重要です。新型コロナウイルス感染症自体で心筋炎を起こす可能性もあり、感染した際のリスクと比較すれば、ワクチン接種による心筋炎のリスクは低いと言えます」 BuzzFeed Newsはこうした情報をnoteで発信する内科医に5月22日に取材を申し込み、その後複数回にわたって接触を試みた。しかし、取材に応じることはなかった。

こびナビ監修者:ハーバード大学医学部助教授・マサチューセッツ総合病院小児精神科医 内田舞氏、ベイラー医科大学・テキサス小児病院 池田早希氏、ワシントンホスピタルセンターホスピタリスト・ジョージタウン大学医学部内科助教 安川康介氏、こびナビ 岡田玲緒奈氏、こびナビ 峰宗太郎氏 — BuzzFeed JapanはNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、2019年7月からそのガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。 ファクトチェック記事には、以下のレーティングを必ず記載します。なお、今回の対象言説の一部は、FIJの共有システム「Claim Monitor」で覚知、参考にしました。 また、新型コロナウイルス感染症やワクチンに関する正確な情報を提供する日米の専門家によるプロジェクト「こびナビ」とも連携し、新型コロナ感染症とワクチンに関する誤った情報、不正確な情報についてファクトチェックしています。 正確:事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。 ほぼ正確:一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。 ミスリード:一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。 不正確:正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。 根拠不明:誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。 誤り:全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。 虚偽:全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。 判定留保:真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。 検証対象外:意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。

千葉雄登

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対策

「イベルメクチンで感染者数・死亡者数を劇的に減らせる」米国の医師団体が提言 未だに流通しない裏事情とは

https://news.yahoo.co.jp/articles/28c4b390754e64836fdb8ef6835d9a4d35418dc6

2021/7/2(金) 5:57 デイリー新潮

 ワクチン接種が加速化し、治療薬もあれば五輪の「安全、安心」も現実味を帯びる。そこに米国の一流救急救命医から提言があった。「日本発のイベルメクチンを配布すれば、感染者数も死亡者数も劇的に減らせる」。国内でも使用を求める動きは活発化している。 【写真5枚】治療薬として期待される「イベルメクチン」  ***

 10都道府県に出されていた緊急事態宣言が、沖縄を除いて解除される直前の6月18日。政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長ら有志は、東京五輪は「無観客開催が最も感染拡大リスクが少なく望ましい」と提言した。  だが、尾身会長が「プロフェッショナルとしての責務」をことさらに強調したにしては、提言内容は「家から出ないほうがリスクは低い」のと同レベルで、当たり前の話である。  尾身会長はこれまでも、国民を怖がらせて自粛させるために、科学を無視した感覚的な発言を重ねてきた。しかし、「プロフェッショナル」を自任するなら、リスクを定量化し、それとベネフィットを比較考量すべきではないのか。  たとえば、観客を入れても、彼らが飲食店などに寄らずに直帰すれば感染は抑えられる、というシミュレーションもある。そういうデータにも目を配りつつ議論しないかぎり、不毛な応酬が続くだけだろう。  もう一つ、尾身会長らが無視するのは、ワクチン接種が予想以上に進んでいるという事実である。菅義偉総理の目標「1日100万回」も達成されている。東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅教授によると、 「高齢者等に1日70万回、医療従事者等に10万回、これに職場や学校等を加えて1日に100万回打ち続ければ、7月末に7400万回、3700万人が打ち終え、高齢者は希望者の8割が接種を終える。8月末には1億500万回、5250万人、つまり12歳以上のワクチン接種対象者の5割弱が打ち終え、高齢者のうち希望者が約9割とすると、その全員の3150万人が打ち終わる。ワクチンは発症、重症化、入院、死亡のリスクを9割以上抑制すると報告されており、高齢者とその周囲の接種率が9割程度になれば、高齢者の感染者数が減り、医療への負担が減ると期待されます」  万が一、感染者が増えても、高齢者が守られて重症者が増えなければ、医療は逼迫しないのである。  さらに治療薬があれば鬼に金棒だが、実は6月5日、全米で新型コロナの救急救命の最前線に立ってきた医師団体、FLCCCアライアンスと、その会長のピエール・コリー博士が、日本オリンピック委員会(JOC)宛てに、五輪の安全な開催への希望として、こんな文書を送っていた。 「多くの世界的な医療当局や主要メディアは、メキシコ、インド、そのほか多くの国の医師が新型コロナの流行を迅速に抑え込み、旅行、社交や娯楽の集いの場としての都市や町を安全にしてきた、研究と実世界での成果を、共有または報告していません」  その「成果」を生み出したとされるのは、ノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智博士が発見した、抗寄生虫病薬「イベルメクチン」だったのである。

「死亡者数が劇的に減少」

 提言では、日本での感染者数の増加を「数日以内に抑え込める可能性がきわめて高い」という方法を、こう説明している。 「イベルメクチンを中心としたプロトコル(手順)にビタミンを加えたものによって、この病気のすべての段階を予防、治療できることが、何十もの査読ずみの研究成果として明らかになっています。この非常に安全、効果的、かつ安価で広く入手可能な薬剤は、ノーベル賞を受賞した優秀な日本人研究者によって、約50年前に世界に与えられたもので、今回のパンデミックにおいて、何十万人もの新型コロナ患者とその家族に救命効果をもたらしたことは、世界的に評価されるべきです。イベルメクチンが広く配られると、プログラム開始後、10日以内に感染者数と死亡者数が劇的に減少します。これはメキシコ、インド、ペルー、ブラジルなどの国々で実際に起きた成果です。(中略)世界の目が東京に向けられているいま、日本のリーダーたるあなた方にとっては、パンデミックから抜け出し、当初意図されたように開催することで五輪の栄光を世界に示すチャンスです」  開発者の大村博士は、 「米国の救急救命医有志の集まりで、新型コロナの流行が始まった昨年3月ごろから、どの薬が有効か使命感をもって調べ、統計をとってきたFLCCCが、JOCに手紙を送ったとは聞いています」  と言い、こう続ける。 「FLCCCは昨年夏ごろから、イベルメクチンとビタミンを使用した治療が有効だとして、世界中の国々に推奨しています。たとえばメキシコやペルー、パナマやポルトガルは、FLCCCの提言を受けてイベルメクチンを使用し、感染を鎮静化させました。インドでもイベルメクチンを配布したいくつかの州で、感染者数や死亡者数が急激に減りました。こうした実績をもとに、安心、安全な五輪のためにと推奨したのではないでしょうか」 「安心、安全の大会」を実現するうえで、切り札になりそうな提言である。ところが、COVID-19対策北里プロジェクト代表で、北里大学教授兼大村智記念研究所感染制御研究センター長の花木秀明氏は、呆れてこう話すのだ。 「FLCCCの提言について、立憲民主党の中島克仁議員が6月11日、衆院厚労委員会でオリパラ事務局に対し、“どのように対応しているのか”と質問しましたが、事務局は文書が届いたことも把握しておらず、放置していたそうです」  ワクチン接種と並行して、イベルメクチンもまた使用すべき理由を、 「6月21日までに、計1万8千人を対象に世界中で行われた60の研究解析から、新型コロナの患者に幅広い段階で効果があるとわかっているからです」  と語る花木氏に、あらためて、その「効果」を説明してもらおう。 「FLCCCの発表では、感染後1週間以内の軽症時に服用すれば76%、中等症以降の後期治療でも、46%の有効性が確認され、70%で死亡率も改善しています。さらに85%の予防効果も確認され、実際、インドやペルーでは予防のために服用した州とそうでない州で、感染者数に大きな違いが見られます。インドでは同国出身のWHO女性主任研究者が、SNSでイベルメクチンを使うなと発信し、それを受けて使用を禁じた州がありましたが、結果的に感染者数と死者数が増加し、インド弁護士会が彼女に警告を出す事態になったそうです。FLCCCの提言に“10日以内に感染者数と死亡者数が劇的に減少”とありますが、85%の予防効果を考えれば、非現実的な話ではありません」  その作用機序だが、 「大きく分けて三つあります。一つに、ウイルス表面のSタンパクや細胞の受容体ACE2に結合し、ウイルスの細胞内侵入を妨げます。二つ目は、ウイルスタンパクを核内に運ぶ移送物質インポーチン等にも結合し、ウイルスの複製(増殖)を阻害します。最後に、イムノモデュレイターとして免疫を調整することで、炎症や免疫の暴走であるサイトカインストームを抑制し、重症化を防ぎます」  FLCCCは、予防には体重60キロなら1回4錠を2~3週間に1回、感染拡大地域では1週間に1回程度の服用を推奨しているという。手軽なのである。 「ワクチンは変異ウイルスに対しては効果が低下する可能性もありますが、イベルメクチンは効いています。このような薬を使用することは、感染を抑えて五輪を成功させるためにも、重要ではないでしょうか」(同)

実は保険適用も可能

 現在、イベルメクチンは、日本では抗寄生虫病薬としてしか認可されていないが、医師でもある日本維新の会の梅村聡参院議員が言う。 「実は、厚労省もイベルメクチンを、新型コロナ治療薬の一つとして『診療の手引き』に載せており、一般的な認識として、まったく効かない、意味がない、とは考えられないと思います。ただ、安心して使うためにも早く薬事承認してほしい。また昨年4月、厚労省は国民健康保険中央会に、“コロナの治療でイベルメクチンを使用した場合は保険適用してよい”という旨の事務連絡をしています。そのことを、全国の医療機関や医師に早く伝えてほしい。そういう考えから、参院予算委員会で質問しました」  要は、イベルメクチンを厚労省は認めており、保険適用の対象なのだ。  ちなみに3月8日、梅村議員の質疑に菅総理は「海外を見てその(イベルメクチンの)選択肢を与えることも、私は大事だと思っています。内部でしっかり検討します」と、前向きに答えたのだが――。  梅村議員が続ける。 「新型コロナ患者に処方しても保険請求できるという事実を、国保中央会にしたのと同様、全国の自治体や医療機関に周知すべきです。過去に数々の薬害が問題になったこともあり、厚労省が慎重なのはわかりますが、厚労省は監督官庁であると同時に、困っている人に手を差し伸べるという重要な役割も担っています」  すでにイベルメクチンを新型コロナ治療に使っている医師もいる。兵庫県尼崎市の長尾クリニックの長尾和宏院長は、酸素飽和度が低下した患者が自宅療養中に重症化するのを防ぐために飲ませている。 「私にとっては、普段から疥癬の治療薬として使っている汎用薬なので、使用に抵抗はありません。疥癬の治療時と同様、成人は1回4錠、高齢者には3錠と年齢を考慮して処方しており、疥癬の治療と同量の処方であれば、副作用の心配もないと思う。効果については、たしかなエビデンスはまだ出ていませんが、私個人としては効くと思っています。田村憲久厚労相も“コロナ患者に処方していい”“その場合、保険適用する”という趣旨の答弁をしている。裁量や責任は医師である私が負い、保険適用で堂々と使っています」  ただし、「使える事実を知らない医師もいる」と長尾院長。福岡記念病院の向野賢治感染制御部長は、 「当院ではイベルメクチンを、院内倫理委員会での承認後、今年4月から入院患者に投与しはじめ、自宅療養患者の治療や、濃厚接触者の感染予防のための外来処方もしています」  と言って、続ける。 「高熱、肺炎で入院した患者十数例に単剤投与を行い、高齢患者を含めて半数はよくなっています。単剤で十分な効果が得られなければ、炎症を抑えるステロイドとアクテムラを併用投与しています。抗ウイルス薬は早期投与が原則ですが、イベルメクチンは感染から少し日が経ってからでも、一定の効果が期待できます。抗ウイルス作用と抗サイトカイン作用という、二つの作用があるためで、肺の炎症が進んでいても、これらの作用で抑えられる可能性がある。海外の多くの研究で効果が示されており、緊急使用を検討してもよいのでは、と考えます」  大阪市のオノダクリニックのおの田徹院長の場合は、 「大阪が第4波に見舞われた3月から、PCR検査で陽性と診断された方に対し、既往歴や症状を確認して処方しています。これまで処方したのは19歳から79歳までの方で、自宅療養や宿泊療養の方が中心。多くの患者さんは服用して症状が改善しています。たとえば、38度以上の発熱とのどの痛みがあり、自宅療養していた40代の男性は、炎症反応が高かったのに、服用後2日後には熱も下がり、快方に向かいました」

緊急使用を許可してほしい

 FLCCCの提言以前から、イベルメクチン使用に向けた動きは、国会でも活発化していた。立憲民主党の松原仁衆院議員が言う。 「厚労省が新型コロナ『診療の手引き』で適応外使用を認める、イベルメクチンなど10種の薬剤の緊急使用に関する法案を、6月8日に議員立法で提出しました。私が加わったのは、コロナの診療経験が少ない大島など島嶼(とうしょ)部の有権者から、服用が簡単で常温保存できるイベルメクチンを望む、多くの声が寄せられたから。16日に閉会した通常国会の会期中には成立させられませんでしたが、時間がかかっても可決させる意義は大きいと思います」  この法案を主導したのは、先に花木氏の談話に登場した中島克仁議員で、医師としてイベルメクチンを処方した経験もあると話す。 「40年前から世界各国で年間3億人に服用され、副作用がほとんどなく安全性が確立されている。感染初期に自宅待機する人も安心して飲めます。投与してみて、経過がよくなったこと以上に、自宅で医師に相談できず薬は解熱剤程度というなかで、患者さんの不安を取り除く効果も感じました」  議員立法については、

「これが求めるのは、薬の承認ではなく緊急使用許可。厚労省はコロナの『診療の手引き』で、事実上使っていいと言っています。つまり1年以上前から、レセプト(診療報酬の明細書)を詳記すれば保険適用の対象ですが、国の健康被害副作用救済制度の対象になっていません。また、一般の医師がガイドラインに沿って使いたくても、販売規制がかかっていて使えないのが現実です。厚労大臣が使用を事実上許可した以上、法的根拠をもって緊急使用を許可し、命を救うための選択肢を広げてほしい、国の救済制度の対象とし、供給確保に努めてほしい、というのが法案の内容です」  やはり医師でもある、立憲民主党の吉田統彦(つねひこ)衆院議員によれば、 「欧米の多くの国にコンパッショネートユースという制度があります。生命に関わる疾患等を有する患者救済を目的に、代替療法がない場合など、限定的な状況下で未承認薬の使用を認める制度で、未承認の医薬品が、副作用被害救済制度の対象になるケースがほとんどです。米国ならFDA(食品医薬品局)などが判断すれば、未承認薬の使用が可能で、その際、製薬会社でなく医師の意向でも申請できる。日本に同様の制度があれば、イベルメクチンはメルク社が承認申請をしていなくても、承認された薬剤と同等に使えます」 「国民の命と健康を守る」といった言葉をお題目で終わらせないためにも、ここは欧米に倣(なら)うべきだろう。  だが法案は審議すらされず、中島議員は「憤りを感じる」と語り、効果が確認されながら厚労省が動かない原因は「メルク社の圧力ではないか」と疑う。メルク社とは、イベルメクチンの製造および販売元、米国の大手製薬会社である。 「現在、メルク社は新薬開発に力を入れており、イベルメクチンのように特許が切れている薬は、効果が認められても投資するメリットがない。薬の承認システムは、平時は製薬会社主導でも、有事には既存薬に関しては、国の主導で使えるようにすべきです」(同)  メルク社の日本法人MSDの広報の説明では、 「メリットがないから生産を増やさないのでなく、科学的に、有効性と安全性のエビデンスが不足し、確実なデータは存在しないと考えているのです」  だが、同社が開発中の経口薬「モルヌピラビル」を米国政府が「12億ドルで購入」と報じられたばかりである。結果として、治験に協力している東京都医師会の、角田徹副会長によれば、 「もともと疥癬の薬なので、その対象分以上の数をメルク社が卸しておらず、使いたくて注文しても、品薄で手に入りません」  長尾院長は、「不足したことはない」そうだが、「使っている医師が少ないからではないか」と加える。ともかく厚労省は、コロナへの使用と保険適用を認めるなら、流通量の確保にも努めるべきだ。そのうえで一刻も早く、緊急使用を認めてほしい。梅村議員が言う。 「イベルメクチンは歴史が古い薬で、使えることになればジェネリックのほうが売れると思う。すると先発メーカーは、治験への投資に見合う利益を得られません。ただ、これはどんな薬にも起きうること。緊急使用を認めた場合、国が製薬会社の利益もセットで保障することなども、必要ではないでしょうか」  メルク社が動かないなら、ジェネリックを、日本でも開発し、海外から輸入する。そういう機動性が「安全、安心」の実現のために、いま求められるのではないか。

「週刊新潮」2021年7月1日号 掲載