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若者の“ワクチン不安”に専門家「身体中にウイルス遺伝子がばら撒かれるよりはマシ」

https://news.yahoo.co.jp/articles/166f62fbc60f515d3bffe4d202c0bbe391ead42e

2021/6/27(日) 9:36配信 AMEBA TIMES

 河野太郎ワクチン接種担当大臣は、25日の会見で「勝負の中身は、いま自治体で組んでいる接種体制、接種スピードを落とさないようにするかに変わってきた」と言及した。 【映像】「若者はコロナになっても重症化しない」は間違い! 専門家「ワクチンは打つメリットの方が圧倒的に大きい」  自衛隊の大規模接種センターでは、26日午前0時からホームページとLINEで増員分の予約受け付けを開始したところ、東京会場の計2100人分が約9分で、大阪会場の計525人分が3分で埋まった。  接種スピードが加速する中、ネット上には「女性は不妊になる」「遺伝子が書き換えられる」など、真偽不明な情報が流れている。この事態を受け、河野大臣は横行するワクチンデマを否定。自身のブログでも、誤った情報に惑わされないよう、注意を呼びかけた。  どうすれば若者が安心してワクチンを接種できるようになるのか。『ABEMA Prime』では、Twitterアカウント「手を洗う救急医Taka」としても知られる、新型コロナワクチン公共情報タスクフォース(CoV-Navi)副代表幹事の木下喬弘医師とともに考えた。

■ 手を洗う救急医Taka「若者が重症化しないは間違い」

ワクチン接種率70%を超えるには?

 新型コロナワクチンについて、木下氏は「今回のワクチンの本当のすごさは、重症化予防に効果があらわれている点だ。ニューヨークで僕の仲のいい医師が働いているが、ワクチン接種が進んだことで新型コロナの入院患者が激減していて『かなり診療が楽になった』と言っていた。医療の供給体制を楽にしている効果は、ものすごく大きい」と説明する。  日本のコロナワクチン接種状況を見ると、6月24日までに高齢者は1回目を打ち終わった人が約53%、2回目は約19%と、着実にワクチン接種が進んでいる。しかし、全体の接種率を見ると日本は5.5%程度で、高齢者全員が打ち終わったとしても全体で約28%、30代以上の国民全員が打ってようやく約73%になる。20代、30代でワクチンを「打たない」と答えている人が2割以上いた

 この現実に加藤勝信官房長官も24日の会見で「首相官邸Twitterの専用アカウント、テレビCMなど、さまざまな媒体を活用しながら、特に若い方を含めて、国民の皆さんに対してできるだけ正確な情報を発信するように努めているところだ」とコメント。若い世代に向けた接種の呼びかけを強化すると明かしている。  一方、筑波大学の原田隆之教授が発表した「ワクチンを接種したくない人の心理」の調査データでは、20代、30代でワクチンを「打たない」と答えている人が2割以上いた。  なぜ若者たちの中にワクチンを「打ちたくない」と思う人がいるのだろうか。Twitterに寄せられた理由を見てみると「若者は重症化しないのに打つ必要がどこにあるのか?」「わざわざ倦怠感が出るものを身体に入れたくない」「高齢者が全員打ち終われば医療崩壊しない」といった内容が投稿されていた。  若者は新型コロナにかかっても本当に重症化しないのだろうか。これに木下氏は「明らかに間違いだ」と否定する。 「若者も重症化する場合がある。ワクチンを打つと倦怠感が出ることもあるが、どう考えても新型コロナに感染するよりはマシだ。新型コロナに感染すると、体にどのような反応が起きるか。少しだけ説明すると、まず、新型コロナに感染すると、人間の細胞にコロナウイルスが入ってくる。コロナウイルスはRNAという遺伝子を持っていて、その遺伝子が人間の細胞の中でRNAをばら撒きまくる。ウイルスを僕らが作らされるようになる。それが何百万という単位になって細胞を殺す」  その上で、木下氏はワクチンの内容について「打つメリットの方が圧倒的に大きい」とコメント。「今回のワクチンは、コロナウイルスの“スパイクタンパク”という表面にある突起の部分の遺伝子だけをワクチンに入れている。しかも、遺伝子の個数は勝手に増えず、人間の細胞の中でウイルスの一部分だけを作って、身体に戦い方を覚えさせるもの」と説明した。 「遺伝子のワクチンと聞くと『気持ち悪い』と思う人もいるかもしれないが、新型コロナのウイルスに感染すると自分の身体の中にウイルスの遺伝子がばら撒かれまくる。そっちの方がよほど気持ち悪いし、どう考えてもリスクが高い。実際に若い人で亡くなっている人もいる。個人レベルで考えても、ワクチンは打つメリットの方が圧倒的に大きい。まずそこははっきりさせる必要がある」

 また、若い世代がワクチン接種を怖がる要因として、挙げられるのが副反応(アナフィラキシー)への懸念だ。厚生労働省が発表した「健康観察日誌集計の中間報告(6月23日)」の資料を見ると、若者の副反応は高齢者よりも出やすいことが分かっている。  若い人に顕著に副反応が出るのはなぜなのだろうか。「若い人に打つワクチンの量が多いのではないか?」といった声もあるが、木下氏は「基本的にワクチンは倍ぐらい体重が違っても、同じ量を使うもの」と断言する。 「若い人は免疫反応が出やすいので、高齢者と比べて副反応が出やすくなるといったデータと関係があるかもしれない。しかし、ワクチンは通常、男性と女性の体重差や、若者と高齢者の体格差を気にせずに使うもの。しっかり免疫が反応すると抗体も高いが、大きく効果が変わるわけではない」  番組中、視聴者から“賛成派”の意見として「ワクチンの効果で、医療の逼迫が抑えられるなら受けるべき」「倦怠感は2~3日だけど、かかったら後遺症でずっと苦しむ」といったコメントが寄せられた。ワクチン接種以外に新型コロナを収束させる方法はないのだろうか。この質問に木下氏は「クイックアンサーでは『ない』といえる」と答える。 「ワクチン以外では絶対無理だと思う。治療薬を作れと言う人もいるが、僕はワクチン以外で収束は絶対にないと思っている。なんとかしてワクチンを普及させないと元の生活に戻ることはないと思う」  過去にアレルギー反応の既往歴を持つ人もおり、基本的にワクチンを打つかどうかは個人の判断に委ねられているが、正しく理解していれば過度に怖がる必要はない。若い世代への接種を進めるには、正しい知識を普及し、デマ情報をなくていくことが大事だ。 (ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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嫌韓層を意識?河野ワクチン大臣の交差接種「日本はやらない」発言が信じられない

https://news.yahoo.co.jp/articles/31afba67d70826b2c081a4eee0444ec1d3198436

2021/6/24(木) 14:25配信 月刊ゲンダイデジタル

 新型コロナウイルスワクチンの供給が綱渡りだ。自治体に配るファイザー製の輸入量が先細りの上、大規模・職域両接種で使用するモデルナ製も逼迫。河野ワクチン担当相は23日、大規模と職域の新規受け付け停止を突如発表した。 ファイザー製&モデルナ製のワクチン効果は1年続くのか?  会見で河野大臣は「職域接種と大学接種の合計で3300万回を超え、大規模接種が1200万回を超えて上限に近くなっている。それに加え、モデルナの1日の可能配送量は上限に達している。このままいくと、供給できる総量を超えてしまう」と説明。ホンの2日前に職域接種を視察した菅首相が「さらに加速化させたい」と意気込んでいたのは何だったのか。やはり裸の王様なのか。 「菅政権には言葉を失います。兵站を無視して無謀な戦争に突っ込んでいった太平洋戦争そのもの。想定されるのはメーカー側からの供給不足、あるいは期限切れでムダにしてしまったのか。ファイザー製もモデルナ製も有効期間は6カ月です。菅首相は10、11月には希望者全員の接種を完了させると言っていましたが、何の根拠があったのか」(西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏=感染症学)

ファイザーもモデルナも供給逼迫

鼻で笑う前に参考にしたらどうだ(韓国柔道選手のワクチン接種) (C)ロイター/ゲッティ・イメージズ

 一方、韓国では4月以降に1回目でアストラゼネカ(AZ)製を打った76万人を対象に、2回目の時期が到来する7月からファイザー製を打つ「交差接種」を実施予定だ。AZ製の供給が6月末から7月以降に延期されたためだという。 ■メルケル独首相もカナダも交差接種  気になるのが交差接種の安全性だ。「AZ製×ファイザー製」について、ドイツの研究チームが成人250人を対象に調べたところ、他社製に比べて有効性の劣るAZ製2回よりも抗体量が10倍多かったと発表。メルケル独首相は「AZ製×モデルナ製」で接種を終えた。カナダ政府も先週、「AZ製×ファイザー製かモデルナ製」を「強く推奨」。スペインの研究所の調査でも独チームと同様の傾向だった。 「医学的見地からいえば、同じ製品を2回打つのが原理原則です」(中原英臣氏=前出)  河野大臣は会見の7時間前、「ひるおび!」(TBS系)に生出演。嫌韓層を意識したのか、交差接種について「日本はやりません」と鼻で笑っていた。厚労省が60歳以上のAZ製容認に動く中、額面通り受け取っていいのか。言うことがコロコロ変わるだけに、にわかには信じ難い。

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河野大臣、ブログで「ワクチンデマ」を説明 朝の生放送で「1つ1つ潰す」と明言

https://news.yahoo.co.jp/articles/b1861d5979ec17b43bda56f041394555458994fb

2021/6/24(木) 11:36 デイリー

 ワクチン担当の河野太郎大臣が24日、ブログを更新し、新型コロナワクチンに関するネットに流布する「デマ」について細かく説明している。  河野大臣はこの日フジテレビ系で放送された「めざまし8」に生出演し、ネットに流布するデマについて、若者がネットやSNSから情報を得ることが多いため「1つ1つ潰していかないといけない」と語っていた。  そして出演が終わるとすぐさま「ワクチンデマについて」と題したブログを投稿した。  「日本で流布されるデマは、当初、海外で発信され、しばらくして日本にたどり着いたものが多くなっています」とつづり、デマの65%は「わずか12の個人と団体が引き起こしていることが確認されています」とも記している。  具体的なデマについての細かな説明も。例えば「ワクチン接種された実験用のネズミが2年で全て死んだ」というものは「実験用のネズミの寿命がそもそも2年程度ですから、ワクチンを接種した人間が100年で全て死んだといっているのに等しいことになります」と説明。  その後、ネズミが猫に入れ替わったものが流布されたが「ヒトに関する研究の前段階としての動物実験でネコは一般的に使われません。現に、ファイザー社のワクチンの研究でネコが使用されたことはありません」としている。  他にも不妊、遺伝子組み換え、長期的な安全性などについても説明されており、最後に「この項は『こびナビ』(covnavi.jp,@covnavi)の監修をいただいております」と専門家の監修を経ているとした。  このブログは河野大臣のツイッターから飛べるようになっている。

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社会問題

五輪選手団の濃厚接触者、空港で特定へ 政府、方針一転

https://news.yahoo.co.jp/articles/b810be0ea1c2b97630eb47b55b42771a1e6abb8e

2021/6/26(土) 21:00 朝日新聞デジタル

 東京五輪・パラリンピック選手団の入国について、政府や大会組織委員会は、空港検疫で新型コロナ陽性者が判明した場合、濃厚接触の疑いがある同行者を速やかに空港内で特定する対応をとる方向で調整していることがわかった。 【画像】「お気持ち表明」の前例ある 宮内庁長官の発言、識者の考えるその意図  政府はこれまで、空港検疫で陽性者が確認された際の対応について「ホストタウンの受け入れ責任者が、責任を持って保健所と連携し、濃厚接触者に関する調査をする」(加藤勝信官房長官)などと説明していた。  実際、陽性者が出たウガンダ選手団は、濃厚接触者にあたるかどうかの調査を受けないままホストタウンの大阪府泉佐野市へ移動。そうした政府の対応には批判が集まっていた。  大会関係者によると、今後は空港検疫で陽性者が判明した場合、新たに設置する担当者が搭乗中の機内の座席状況などを確認し、濃厚接触の疑いがある同行者を特定する。特定された同行者は、新たな感染者や濃厚接触者を増やさぬよう滞在先まで専用バスで移動させる。その後、宿泊施設で隔離され、自治体の保健所が濃厚接触者かどうかを最終判断するという。  このほか、濃厚接触の疑いがある同行者を滞在予定の自治体には移動させず、組織委などが指定した宿泊施設で経過観察する案も検討されている。

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50人超のコロナ患者にイベルメクチン投与の現場の医師 厚労省が認めるも“ノータッチ”の医師会に苦言

https://news.yahoo.co.jp/articles/9e58cc4a02b7dc6186c6c96914a5c631d805a33c

2021/6/26(土) 8:00配 AERA.dot

 新型コロナウイルスへの改善効果が期待されている、抗寄生虫病の特効薬「イベルメクチン」。インドやペルーで投与後に一定の効果が見られたことや、世界56カ所での臨床研究で改善データが集まっていることについては、当サイトの記事「日本発『イベルメクチン』インドがコロナ治療で感染者数減もWHO『反対』のナゼ」で報じた。 【図】ペルーのイベルメクチン投与の推移

 厚労省は「コロナ治療に対するイベルメクチンの保険適用」を認めており、すでに現場ではイベルメクチンを投与している医師もいる。先駆けて100人近くの自宅療養者にイベルメクチンを処方してきた兵庫県尼崎市の「長尾クリニック」院長・長尾和宏医師が、イベルメクチンについて見解を語った。 ――これまでに何人ほどのコロナ患者にイベルメクチンを投与してきたのでしょうか。  処方したのは100人ほどで、実際に飲んでいただいたのは50~60人の患者さんです。重症化してからの処方では遅いので、第4波からは陽性が判明した時点でほぼ全員に処方しています。中等症2以上の方には最初から飲んでもらうし、軽症または中等症1の方には、中等症2になった時点で飲めるように、最初から手持ちにしておきます。一人暮らしの高齢者の方、特に認知症の方は飲むのを忘れてしまいかねないので、私が実際に家に行って、目の前で飲んでもらっています。  イベルメクチンは一方的に処方するのではなく、患者さんに説明して、事前に承諾を得た上で出しています。「賛否両論あるけれど、インドでは飲んで良かったという報告がある」「一般の薬のような副作用はあるけれど、この量だったらまず大丈夫だと思いますがどうですか」と伝えています。 ーーコロナ禍の早い段階で投与を始めたからか、注目を浴びることも多いですね。  以前出演したテレビ番組で、ステロイドや酸素とともにイベルメクチンを投与していていることを軽い気持ちで言ったら、ステロイドや酸素には反応しないのに、イベルメクチンだけには過剰に反応されるので、私としてはびっくりしています。イベルメクチンは皆さんにとっては言葉が目新しいのか、すごい反響なのですが、私にとっては普段から使っている薬なので、特別なことをしているという意識はまったくないのです。

 イベルメクチンはダニが人の皮膚に寄生しておこる病気「疥癬」(かいせん)の特効薬で、在宅医療の現場では、普段から使っている薬。新しい薬でも珍しい薬でもなんでもなくて、普段使っている薬をコロナの患者さんにも飲んでもらう、ただそれだけなんですよね。 ――賛否両論ある中でイベルメクチンを投与するということは、リスクよりも期待できる効果が上回るという考えのもとなのでしょうか。  そうです。私は第1波の時からステロイドを使ってきましたが、ステロイドに比べれば、イベルメクチンの方が薬剤としての重さ・副作用が軽微です。風邪薬とは言いませんが、普段から使っている薬で、常備薬に近い。今まで使っていて、副作用や困ったことは何もありません。  私は専門家でもなんでもないし、ただの町医者です。イベルメクチンについてはいろんな議論がありますし、効くと唱える人もいれば、効かないと言う人もいる。ただ、私は医師として、「やるべきことは全部やる」という意識を持っています。イベルメクチンというのは数少ない武器の一つで、安価で低リスクのもと使える薬です。もし使わずに自宅で亡くなられでもしたら、悔やまれると思うんです。急性の病気に対する医療では、病院でも自宅でも、やるべきことを全部尽くしていくのが基本です。そういった意味で、イベルメクチンは外せないものだと思っています。 ――イベルメクチンを使っていく中で、効果を実感されたタイミングはありましたか。  過剰にとらえて欲しくないので、私のブログではあえて「おまじない」と言うようにしていますが、効果を実感したことはありますね。自宅療養の患者さんから「苦しい」と電話があり、イベルメクチンを飲んでもらうことがありますが、翌日には元気になって食事できるようになっていることも経験しました。 ――WHOはエビデンスの不足などを理由に反対姿勢をとっていますが、改善データが増えてきたことで、イベルメクチンをめぐる情勢も日々変わってきていますね。  3月の参議院予算委員会で、田村憲久厚労大臣が「イベルメクチンを新型コロナの治療に使っていい」「保険請求もしていい」と答弁されました。それに対して(医師でもある)梅村聡議員が「では、なぜ政府としてもっと大きな声で言わないのか」といった旨の質問をしたところ、「国としてエビデンスが不十分だから、推奨しているわけではない」という答弁でした。つまり、「使いたければ使っていただいて、保険請求していただいていい」ということです。

 この答弁について、私は理解できます。国からしたら、まだよく分からないものに対して良い・悪いについては言及できない。でも、とりあえず「お墨付きを与えたわけではないけれども、使ってもいいよ」ということは、非常時にはあると思うんですね。そういう言質をしっかりとっているわけです。 ーー国が言及したことは普及の後押しになりますか。  そうですね。ただ、間違ってはいけないのは、ワクチンの代わりのように思ってしまうことです。いざという時のために予防的に所持しておきたいという人が非常に多いですね……。予防投与をしたいという気持ちはわかるのですが、そもそも保険診療のルールというのは「治療」に対して保険が適用されるのであって、「予防」に関しては基本的に認められていない。例えば「下痢をした時のために下痢止めを先にください」「風邪をひいた時のために風邪薬を先に下さい」「がんになるかもしれないから抗がん剤を先に出してください」などといったことはできませんよね。インフルエンザの治療薬であるタミフルやリレンザは、特例として予防投与も認められていますが、イベルメクチンはコロナの発症予防としての予防投与が保険で認められていない。  では、「自費診療」なら予防投与として出していいのかという点ですが、自費診療といえども、ちゃんと診て処方しないといけません。診察せずに処方箋を出してしまえば、「無診察投薬」といって、医師法第20条違反に問われてしまいます。私のもとには「自費で構わないから処方箋を書いて送ってくれ」といったメールや手紙がたくさん届くのですが、今の医療のルールでは一切してはいけないことなのです。処方の対象者はあくまでも、診察した患者さんのみです。市販でも売っているようですから、買って独自で飲んでいただく分には自己責任です。 ――厚労省が保険適用を認めていながら、なぜ、イベルメクチンを処方する医師が少ないのでしょうか。  それは、裏を返せばコロナ患者を診ている医師が少ないからです。日本に10万件の開業医があったとして、そもそもコロナ患者を診る開業医=発熱外来をやっている診療所は1割にも満たない。おそらく5%程度でしょう。これは、「自院の患者で発熱した患者がいたら診ます」という所も含むわけです。そして、初診の発熱患者を診る機関はもっと少ない。診断まではするというのが3%だとして、その後のフォローをする機関はさらに少なくなる。

 私は第1波の昨年4月から、コロナ患者に携帯電話の番号を教え、24時間自宅療養者を管理できる体制をとってきました。400人以上の患者さんに番号を教えて、「何かあったら夜中でもかけてきて」と伝えています。実際、私の携帯電話には、患者さんから夜中にかかってくることもあります。保健所に電話しても電話が通じないし、救急車を呼んでも運んでくれないからです。発熱患者が保健所やかかりつけ医に電話相談しても治療が施されず、たらい回しにあっているような状況がいまだにあるわけです。そもそも診療していないので薬が出るわけがないんですよ。  本来であれば、それを戒めるのが日本医師会の役割だと思うのですが、なんのメッセージも出していない。 ――日本医師会はイベルメクチンについて、どのような対応をとるべきだと考えますか。  コロナと診断して重症化するような人、あるいは自宅待機になりそうな人には、イベルメクチンを出しておけばどうなんですかと、一言レコメンデーションを出しておけばいい話。もしくは医師会が自宅療養者やホテル療養者にイベルメクチンを配布して「良かったら飲みませんか」と声かけをする。あるいは「イベルメクチンのこういう使い方は良くない」とか「副作用はこうですよ」といった注意喚起をする。これだったら納得しますが、まったくそういうこともしていない。  先ほども言いましたが、田村厚労大臣は国会の場で「イベルメクチンを医師の判断で使ってもいい」「保険請求して構わない」と明言している。それにもかかわらず、プロ集団である日本医師会からイベルメクチンに関して何か一言でもコメントを発しましたか? ノーベル賞を取った、日本が世界に誇るメイドインジャパンの薬がすぐそこにあるのに、なぜ、それに関して日本医師会が一言も言及していないのか。僕は理解できません。現に、多くの人たちが薬を欲しがっている。それに関してコメントやメッセージを発したり、政府に働きかけたりといったこともしない。多くの市民が医師会の士気の低さを批難しているので、具体的な行動で名誉挽回をはかるべきです。

――最後に、医師として伝えたいメッセージなどがあればお願いします。  イベルメクチンを分けてくれと殺到するのを見て私は驚くばかりで、近くのかかりつけ医に相談すればいいのではと思うのですが、よく考えてみれば、そういうことをやっている医者がいないということの裏返しなんですよね。そもそも医者は何のためにいるのか? 病んでいる患者のためにいるわけでしょう。ですが、患者が本当に困っている時にかかりつけ医の役割を本当に果たせているのでしょうか。第一線の開業医の脆弱さや、日本医師会の関心の低さ……こうした現状が、イベルメクチンをめぐる状況を通して透けて見えてくるのではないでしょうか。 >>日本発「イベルメクチン」 インドがコロナ治療で感染者数減もWHO「反対」のナゼ(北里大・花木教授の見解へ続く) (構成=AERA dot.編集部・飯塚大和) ●長尾和宏(ながおかずひろ) 1958年香川県生まれ。医療法人社団裕和会理事長、長尾クリニック院長。医学博士、関西国際大学客員教授。複数医師による年中無休の外来診療と在宅医療に従事。新型コロナウイルス蔓延以降、自宅療養のコロナ患者も精力的に往診している。

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ワクチン 社会問題

世界中で次々明らかになる「中国製のコロナワクチンは役立たず」 更に安全性にも問題

https://news.yahoo.co.jp/articles/12eaca5b7e3023188510b20ae1b08f4a7c5d1854

2021/6/27(日) 5:57 デイリー新潮

 中国政府は6月上旬「中国は既に全世界に3億5000万回分のワクチンを提供した」ことを明らかにした。中国国内のワクチン開発企業は24時間フル稼働で生産に当たっており、ワクチン生産量は大幅に増加している。中国は40カ国以上にワクチンを輸出しており、世界保健機関(WHO)も「一般的な冷蔵庫で保管できる」メリットに着目して中国製ワクチンについての緊急使用を承認した。

 ワクチン生産大国であるインドが自国の感染爆発のせいで海外への輸出を停止する中で中国製ワクチンの存在感が高まっているが、輸入国から「感染拡大防止の効果が疑わしい」との声が高まっている。  まず最初に問題になったのはチリである。チリはワクチン接種が最も進んでいた国の一つだったが、4月に入ると国内で感染が再び拡大し、チリ政府は6月10日、首都サンチャゴの全域にロックダウンを再導入すると発表した。チリで接種されているワクチンの9割が中国のシノバック製ワクチンである。  バーレーンでも同様の問題が起きている。バーレーンは中国のシノファーム製ワクチンの接種率が極めて高いのにもかかわらず、感染者が急増している事態を受けて、ワクチンの2回接種を完了した人を対象に米ファイザー製ワクチンの追加接種を開始した。  インドネシアでは中国製ワクチンを接種した医療関係者数百人が新型コロナウイルスに感染したことが明らかになっている(6月18日付ロイター)。  新型コロナワクチンの有効性に関する報告書の公表がこのところ相次いでいる。  JPモルガン・アセット・マネジメントは11日「欧米製ワクチンを採用している国々(米国、英国、フランスなど9カ国)では人口の40%以上に接種した後、感染者が大幅に減少したのに対し、中国製ワクチンを採用している国々(9カ国)ではワクチン接種後に感染者が減少したのはハンガリーのみであり、特にバーレーン、モルデイブ、セイシェルでは感染拡大が深刻化している」との分析結果を公表した。  オックスフォード大学も「世界で最も感染率の高い上位10カ国のうち、パラグアイを除く9カ国が中国製ワクチンを採用している」との調査結果をまとめている。  フランス政府はワクチンを接種した入国者に対する緩和措置を発表したが、中国製ワクチンは対象外となったことから、在仏中国大使館はフランスに対して「同等の制裁」を行うと抗議した。  韓国政府もワクチンを接種した入国者に対する緩和措置を公表したが、欧米製ワクチンに加えて中国製ワクチンも対象とした。これについて中国政府は歓迎の意を表したものの、韓国国内では「再び感染が拡大する」との不安が広がっている。  中国国内に目を転じると、自国製ワクチンの接種が猛烈な勢いで進んでいる。1日平均のワクチン接種回数は2000万回以上であり、人口の40%以上がワクチンを1回以上接種した。総接種回数も10億回に到達し、世界全体の接種回数である25億回の4割近くを占めている。  ワクチン接種が進むにつれて、マスク着用や社会的距離確保の方針が緩和されている欧米諸国とは対照的に、中国国内の移動制限措置などはいまだに厳格なままである。最近も広東省でインド由来の変異株(デルタ)の感染者が発見されると、大規模なPCR検査が実施されるなどの強硬な手段を講じられている状況を見るにつけ、「中国政府自身も自国製ワクチンの有効性を信じていないのではないか」と思いたくなる。  中国の疾病対策当局も4月に「中国製ワクチンの効果は小さい」との見方を示していた。その直後にこの発言は撤回されたが、中国当局もバーレーンのようにファイザー製などのワクチンの追加接種を検討しているようである。  ファイザー製などのワクチンの有効率が90%以上であるのに対し、中国製ワクチンの有効率が50%程度(WHOが定めた最低水準)と低い原因はその製造方法にある。  中国企業が開発したワクチンは不活化ワクチンである。熱やアンモニアなどで不活化した(殺した)ウイルスを体内に投与して抗体をつくるという従来の製造方法である。この方法はインフルエンザワクチンなどで使われているが、インフルエンザウイルスに比べて増殖の速度が遅い新型コロナウイルスでは体内で抗体ができにくい。このためワクチンの有効性が低いとの判断から、欧米のワクチンメーカーはこのやり方を採用しなかった。現在の状況にかんがみるとその予測が正しかったと言えるだろう。  中国製ワクチンの問題は有効性の低さにとどまらない。中長期的なスパンで見た安全性についての疑義もある。筆者が懸念しているのはADE(抗体依存性感染増強現象)である。ワクチン接種によってつくられた抗体がウイルスの細胞への侵入を防ぐのではなく、逆に細胞への侵入を助長する現象のことである。大阪大学の研究チームが最近、新型コロナウイルス感染者の体内に「感染増強抗体」がつくられていたことを突き止めていることから、ADEに対する懸念が深まっている。  ファイザー製などのワクチンでもこのリスクはあるが、不活化ワクチンについては新型コロナウイルスと遺伝情報が類似しているSARSウイルスのワクチンを研究している際にADEが生じ、その開発が断念されたという経緯がある。  中国製ワクチンは感染防止に役立たないばかりか、ADEのリスクが高まる危険な代物かもしれないのである。中国政府は一刻も早くワクチンの有効性や安全性に関する情報公開を行うべきではないだろうか。 藤和彦 経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。 デイリー新潮取材班編集 2021年6月27日 掲載

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五輪選手団の濃厚接触者、空港で特定へ 政府、方針一転

https://news.yahoo.co.jp/articles/b810be0ea1c2b97630eb47b55b42771a1e6abb8e

2021/6/26(土) 21:00 朝日新聞デジタル

 東京五輪・パラリンピック選手団の入国について、政府や大会組織委員会は、空港検疫で新型コロナ陽性者が判明した場合、濃厚接触の疑いがある同行者を速やかに空港内で特定する対応をとる方向で調整していることがわかった。 【画像】「お気持ち表明」の前例ある 宮内庁長官の発言、識者の考えるその意図  政府はこれまで、空港検疫で陽性者が確認された際の対応について「ホストタウンの受け入れ責任者が、責任を持って保健所と連携し、濃厚接触者に関する調査をする」(加藤勝信官房長官)などと説明していた。  実際、陽性者が出たウガンダ選手団は、濃厚接触者にあたるかどうかの調査を受けないままホストタウンの大阪府泉佐野市へ移動。そうした政府の対応には批判が集まっていた。  大会関係者によると、今後は空港検疫で陽性者が判明した場合、新たに設置する担当者が搭乗中の機内の座席状況などを確認し、濃厚接触の疑いがある同行者を特定する。特定された同行者は、新たな感染者や濃厚接触者を増やさぬよう滞在先まで専用バスで移動させる。その後、宿泊施設で隔離され、自治体の保健所が濃厚接触者かどうかを最終判断するという。  このほか、濃厚接触の疑いがある同行者を滞在予定の自治体には移動させず、組織委などが指定した宿泊施設で経過観察する案も検討されている。

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1回で安心できず? コロナワクチン、効果はいつから? マスクなしに戻るのは…

https://news.yahoo.co.jp/articles/90d36fadc72ff2166c6c2597f115a919d1ae3306?page=1

2021/6/26(土) 6:10 大人んサー

 新型コロナウイルスワクチンの職域接種が6月21日から本格化し、医療従事者や高齢者だけでなく、若者や壮年層でも、1回目のワクチン接種を受けた人が増えてきています。日本で使用されているワクチンは一定期間を空けて2回目を打ち、しばらくしたら効き目があるとされるものですが、1回目のワクチンを打っただけで「もう、マスクなしで飲み会ができる!」と勘違いする人もいるようです。 【表】新型コロナウイルス用ワクチンの特徴  ワクチンの効果が出る時期や、マスクなしの生活に戻れる時期などの疑問について、医療ジャーナリストの森まどかさんに聞きました。

1回で十分な抗体できず

Q.日本で接種が進む2種類の新型コロナ用ワクチンについて、改めて教えてください。 森さん「日本では、ファイザー・ビオンテック社製(以下、ファイザー製)とモデルナ社製のワクチン接種が進んでいますが、どちらも『mRNAワクチン』といわれるものです。新型コロナウイルスの表面にある『スパイクタンパク質』の“設計図”のようなものを投与することで、体内でこのタンパク質が合成されて免疫反応を起こし、ウイルスに対する中和抗体が作られるという仕組みです。 2社のワクチンはどちらも筋肉注射で、一定の間隔を空けて2回、同じ製造元のワクチンを接種します。効能、効果、安全性についてはほぼ同様といえます。2回接種後に一定期間を経た後、発症を抑える効果は海外の臨床試験でファイザー製95%、モデルナ製94%とどちらも高い効果を示しました。イスラエル、アメリカなどでは一般への接種でも、発症を抑える効果が9割以上と報告されています。 主な副反応は接種部位の痛みや腫れ、発熱などですが数日で回復しています。重い副反応としてアナフィラキシーがあり、アメリカで2月に発表された論文では、ファイザー製で100万回につき4.7回と報告されていますが、治療によって全例が回復しています。また、ファイザー製の接種後に心筋炎などの症状が6月13日までに11例確認されたことが、厚生労働省から報告されました。アメリカでも少数ながら、同様の報告があります。現在、因果関係などを評価するための情報収集、調査が続けられています」 Q.1回目のワクチンを打っただけで安心してしまう人もいるようです。2回目を打って、その後、一定期間を経過した人もですが、マスクを外して会食してもよいのでしょうか。 森さん「日本でもワクチン接種が進んできましたが、接種した人でもしばらくは、基本的な感染対策を続ける必要があると考えられています。個人に対するワクチンの効果という点では、先述した高い効果は『2回接種が完了してから一定期間が経過した人』でのデータであり、1回だけでは、個人差はあるものの、十分な抗体ができないと考えられています。 医学雑誌『ランセット』掲載のイスラエルの報告では、1回接種のみでのワクチンの有効性は発症、感染、重症化のすべてで2回接種より劣るそうです。1回でも接種することで心理的な負担が軽減する人は多いと思いますが、その時点では十分な予防効果が得られていないと認識することが重要です。 また、『マスクを外しての会食』が可能になるには、個人だけでなく、社会全体にワクチン接種の効果が表れる必要があります。6月23日現在、日本で2回接種が完了した人の割合は8.66%で、完了していない人の方が圧倒的に多い状況です。 『接種しない』という選択をする人もいますし、既往歴などで接種できない人もいます。さまざまな人が集まり接触する場所では、接種した、しないにかかわらず、引き続き感染対策が求められます。なぜなら、ワクチンは高い感染抑制効果が報告されてはいますが100%ではないため、ワクチン接種後も感染する可能性はありますし、接種後に感染して、無症状や軽症で自覚症状がない人が感染を広げる恐れもあるからです。 さらに、ワクチンの効果がどのくらいの期間続くかも正確には分かっていません。変異ウイルス(変異株)に対して効果が低下する可能性もあるため、コロナ禍以前のように『マスクなしで、大人数で気兼ねなく会食』が可能になるにはもう少し時間がかかりそうです」 Q.2回目のワクチン接種から20日ほど経過していた香川県の男性が感染したとの報道もありました。 森さん「ワクチン2回接種後も発症するケースはあります。もともと、ワクチンで『100%』防げることはないため、20日後に感染することも考えられるのです。また、接種時期に感染していて無症状の場合、気付かずに接種して、数日後に感染が判明することもあり得ます。接種から抗体ができるまでには1週間から2週間かかると考えられており、接種直後、抗体ができる前に感染するということも考えられます」

「ノーマスクには2~3年」説も

Q.「ワクチンを打っても、マスクをしたり、飲み会をしてはいけなかったりするなら、副反応も怖いし、ワクチンは打たない」と思う人もいるようです。ワクチンを打つ意味は。 森さん「ワクチン接種の効果とリスクをどう捉えるかは個々の価値観ですし、誰かに強要されるものでもありません。ただ、“意味”を考える前提として知っておく必要があるのは、今回のワクチン接種は『感染症のまん延予防の観点から、緊急に実施するもの』であるという点です。予防接種法の『臨時接種の特例』に位置付けられ、接種を受けるよう努めなければならない『努力義務』があるとされています。 一般的に打つ“意味”はいろいろあります。感染した場合の隔離や、身近な人への影響をなるべく避けたいとワクチン接種の意味を感じる人もいるでしょう。重症化のリスクが高い高齢者は、ワクチンを打つことが『命を守る』ことに直結するともいえます。 社会全体では、接種率が高まることで社会・経済活動の制限緩和につながり、少しずつでも日常生活が正常化することが期待できますし、発症や重症化を抑えることで医療現場の負担を軽減し、新型コロナ以外の手術や検査、入院が延期されるといった、通常医療への悪影響がなくなることも大きな意味を持つと思います」 Q.「変異ウイルス(変異株)によってはワクチンの効き目が薄れる可能性がある」と国立国際医療研究センターのチームが発表しました。仮にワクチンの効果が低くなったとしても、打った方がよいのでしょうか。 森さん「現在、東京で流行の主体とされる『アルファ株(イギリスで最初に確認された変異ウイルス)』は、ファイザー製ワクチンの有効性に大きな低下はないと考えられています。感染力が強く、日本でも確認数が増え警戒されている『デルタ株(インドで最初に確認された変異ウイルス)』には、効果が若干低下するものの、2回の接種完了によって有効と確認されています。 南アフリカで最初に確認された『ベータ株』やブラジルで最初に確認された『ガンマ株』も効果の低下が指摘されていますが、ある程度の予防効果は保てるのではないかと考えられています。こうした報告を総合的に見ると、現在確認されている変異ウイルスを理由に接種を取りやめる必要はないと思います」 Q.マスクなしで暮らせるのはどういう条件が整ったときで、どのくらい先になりそうでしょうか。 森さん「『屋内でも屋外でも完全にマスクを着用しなくてよい』という状況は、どのくらいの人が免疫を持つ状態になるかに委ねられています。『2~3年かかる』という見解を示す専門家もいます。海外の状況を見ると、ワクチン接種率が40%を超えたあたりで流行が沈静化しています。日本は欧米より感染者の割合が低く、現時点で国民の約0.6%であることを考えれば、ワクチン接種率が50%くらいになれば流行が沈静化し、屋外ではマスクなしで暮らせるようになるかと思います。 日本でのワクチン希望者の数にもよりますが、年内には希望者への接種が一通り完了するのではないかと予想しています。免疫を持つ人が60%から70%を超えれば、いわゆる『集団免疫』の獲得を期待できると言われていますが、集団免疫の効果がどれほどか、まだ分かっていませんし、若い世代の接種率は高齢者ほどではないと予想されていて、集団免疫によってマスクを完全に外せるほどの高いワクチン接種率を達成するのは少々、ハードルが高いと思います。 とはいえ、高齢の家族がワクチンを接種していれば、年末年始の帰省や親戚の集まり、少人数での会食などは問題ないといえる状況にはなっているかと思います。まずは、不特定多数の人が交わる場所でのマスク着用、手洗い、換気などの基本的な感染対策をしていれば、ある程度制限なく生活できるという状況が年内に戻ってくることを願っています」

オトナンサー編集部

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「私はファイザーだった!」声高に喜ぶ人の心理とは?イタリアでなぜ「アストラゼネカ」が不人気なのか

https://news.yahoo.co.jp/articles/61ce0191bcf9d09bf15637f9285ebcab850b3150

2021/6/25(金) 15:01 東洋経済オンライン

 イタリアで今、ワクチン接種がどんどん進んでいる。  人に会ったときの挨拶は、ちょっと前までの「今日って、何色ゾーンだっけ?」から「ワクチンした?」「ファイザー?  モデルナ?」に変わった。感染状況によって各地を赤、オレンジ、黄色のゾーンに分け、行動規制がしかれていたつらい日々は過去になりつつある。 【写真】ダウンロードした接種票と当日会場でもらった番号札  6月21日からはイタリアのほぼ全土がホワイトゾーンになり、夜間の外出禁止も、レストラン等の営業時間規制も解除された。

 そんな中、私もワクチンの第1回接種を受けた。外国人である私がイタリアで16カ月に及ぶコロナ禍を過ごし、ロックダウンを切り抜け、そして今、イタリア人たちに混ざって接種を受けたことは、なんとなく感慨深いものがある。 ■突然、接種スピードが上がった  今からほぼ半年前の12月28日、EU加盟諸国で一斉に始まったワクチン接種だが、イタリアでは4月になってもワクチンの入荷遅れや接種スタッフ不足、連絡ミスなどが連発し、接種は遅々として進まなかった。オックスフォード大学Our World In Dataによると、4月16日のデータでは二度の接種を「完了」していたのはイタリア全国民のたった7%というお粗末さで、EUを離脱したばかりのイギリスやイスラエルから大きく遅れをとっていた。

 ところが4月後半ごろ、ある日突然、という感じで接種スピードがアップし始めた。政府は1日50万人接種という目標を掲げながらずっと到達できず、メディアから散々たたかれていたが、その数字も5月26日にクリア、6月10日には58万5639人まで増大した。1回目の接種を受けた人は国民の50%を超え、接種を完了した人(2回接種済み、または1回接種タイプのワクチンを接種)は6月22日の時点で26.27%までになった(オックスフォード大学Our World In Data)。

 集団免疫が作れるという8割にはまだ遠いが、感染者数も重症者、入院者、死者ともにどんどん減少し、6月21日には1日の感染者数がついに495人に。これは去年の8月以来の低い記録となった。各地でOPEN DAYなどが企画され、予約なしでも接種が受けられたり、12歳以上~18歳までの子どもたちもどんどんワクチンが打てる体制になってきている。  私はといえば、超高齢者の予約が一段落した後にスタートした一般予約開始日に、ピエモンテ州の予約専用サイトを軽い気分でのぞいてみた。モノは試しと名前、生年月日などの必要データを入力してみたら、拍子抜けするほど簡単に予約ができてしまった。

 イタリアでは、公的な手続き関係は複雑で一筋縄ではいかないことがとても多いから、ワクチンのネット予約もさぞかし複雑だろうと覚悟していたのだが、始めてからものの5分ほどで手続き終了。「あなたの予約を受け付けました」という予約番号とともに、「接種当日に必要な書類」「接種会場までの公共交通機関の無料バウチャー」がダウンロードできるようになっていた。  本当のことを言えば、絶対に安全かどうかわからないものを身体に入れていいのか、という不安がないとは言い切れない。予約できちゃったのか、じゃあ、行こうかな。そんなのが正直な気持ちだった。いい加減と言われるかもしれないが、考えても、どんなに調べても、科学者でもない私には本当のところはわからない。ただわかっているのは、今はワクチンをしなければ前に進んでいけないこと、それだけだ。

 それから10日後、スマホに予約日時を知らせるSMSが届いた。6月14日18時10分、会場は自宅から車で20分ほどのところにある、トリノの老舗コーヒー・メーカー「ラヴァッツァ」本社とのこと。 ■アストラゼネカの恐怖 イタリアには「NO VAX」というワクチン絶対拒否派が国民の7.5%ほどいるそうだが、絶対拒否ではなくとも、できれば接種したくないという人はもっとたくさんいるだろう。  イタリアで使用されているワクチンは、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ、そしてジョンソン&ジョンソンの4種類(日本はファイザー、モデルナ、アストラゼネカの3種類が薬事承認されているが、アストラゼネカについては審議中)だが、毎日のように報道される、ワクチン接種による副反応や死亡事故のニュースを見聞きすれば、不安になり、接種をためらうのは当たり前だ。

 そんな不安の中でも、ダントツはアストラゼネカ製のワクチンに関するものだ。イタリアでアストラゼネカが承認され使用が開始された直後は、高齢者の治験データがないから55歳以上には使用しないということだった。  ところが40~50代の接種者であいついで血栓症が起き、死者も出た。すると今度は60歳以上の人にのみ使用すると180度方針が変わった。だが接種スピードが増していくにつれて、いつのまにか60歳以下も使用OKとなった。二転三転するワクチン政策、そして「ワクチンをして得られる安心と、ごく稀にしか起こらないワクチンによる被害を天秤にかけて考えてください」などという一か八か的な説明に、政府やEUに不信感を抱く人がどんどん増えていった。ごく稀だって、それが自分に起きないとは限らない。

 値段が安いこと、ファイザーやモデルナに比べて効果が低いこと、そして1回目と2回目のインターバルが28日以上84日以内と長すぎる(ファイザーは21日、モデルナは28日)のもアストラゼネカの不人気に拍車をかけていた。ワクチン接種に行ってアストラゼネカとわかると拒否して帰ってしまう人、自分の予約日が近づくにつれ、「アストラゼネカと言われたらどうしよう」と悩む人が私の周りにもたくさんいた。  イタリアでは基本的に接種当日、会場に行くまで何を接種されるかはわからないし、自分で選ぶこともできない。だからファイザーやモデルナの接種を受けられた人たちは、まるでブランド物を自慢するように「私はファイザーだった!」と声高に喜んでいた。

 そんなとき、アストラゼネカのワクチンを接種した女性が血栓症で死亡するという事故が起きた。健康体の18歳だったことを重く見た政府は、即座にアストラゼネカの使用をストップ。60歳以下への接種には今後アストラゼネカを使用しないと即時決定した。まだ一度も接種を受けていなかった60歳以下の人たちはホッとしたかもしれないが、すでに一度目の接種をアストラゼネカで済ませている人たちはどうするのだという大議論が巻き起こった。今のところ、違うワクチンを混ぜたくないという人にはアストラゼネカを許可し、そうでなければファイザー、またはモデルナで、ということに一応落ち着いている。

■そして私の接種日がやってきた  私は花粉やハウスダスト、犬猫の毛などにアレルギーがあって、喘息気味である。それで一応ホームドクターに相談してみると、「喘息があるなら接種24時間前と1時間前、接種後4日間抗ヒスタミン薬を飲みなさい」と指示された。とても忘れっぽい私は、前日からアラームをセットしてキッチリ服用した。だが接種前の問診で「アレルギーは薬品アレルギーのみ気をつける必要があるんです。花粉や犬猫は関係ないですね」と医師から言われがっかりすると同時に、ホームドクターへの情報の不徹底にあきれることになった。

 接種会場のLavazza(ラヴァッツァ)は、1895年にトリノで創業したコーヒー・メーカー。会社のイベントスペースを接種会場として提供したようだ。広い敷地に到着してみると、「入口」と「出口」に分かれていて、人の流れが交差しないようになっているのは、もはやコロナ時代の常識。  入口へ行くと数人が並んでいたが、10分もしないうちに建物の入り口に到着。そこで必要書類を持っているか、すでに記入してあるかのチェックを受けてから、受付ブースに案内される。待つことなく番号札をもらい、いよいよ待合室へ。

 距離を開けて40~50人ほどが座って待っている。ファイザーだと思い込んでいるけど、本当にそうだろうか?  アストラゼネカと言われたらどうする? という不安が一瞬頭をよぎる。  15分ほどで順番が回ってきた。ブースに入ると、年配の女性医師と若い女性アシスタントのような人が「大変お待たせして申し訳ありません、どうぞおかけください」と、とてもにこやかだ。イタリアの病院といえば、医療スタッフはみんな無愛想で、時には意地悪とも言えるほど雑な対応なことが多い。普段とのあまりの違いにびっくりすると同時に、緊張がすっとほぐれる。そして「シニョーラ(奥さん)は日本のどちら出身ですか?  へー、東京なんですね。死ぬまでにぜひ一度行かなきゃいけないと思っているところですよ」なんておしゃべりしながら、簡単な問診が始まった。

 そして「ファイザーを接種しますね」というドクターの一言。ファイザーだからといって副反応がないわけではないが、やっぱり肩の荷が少し軽くなった気分だ。注射はまったく痛くなく、さっと終わった。別の出口から接種後の待機室に案内される。15分待つ間に次回の予約表と、ラヴァッツァのコーヒーチケットをくれた。最近バールも普通に営業が再開されたから、帰りに一杯飲んで行こうかな、などと考えていたら、私の後ろに座っていた若い女性が具合が悪くなり、床に倒れこんだ。やっぱり何か起こる人には起こるんだな、と少し焦るが、私はなんともなく、15分後、無事帰途についた。

 翌朝、注射されたあたりがとても痛くて腕が上がらないが、それ以外は普通に元気に目がさめた。だが接種からちょうど24時間経った頃から、なんだか頭がふわふわし始めた。インフルエンザで高熱が出たのを解熱剤で無理やり下げている、そんな感じに似ただるさと力の入らない感じが丸2日間続き、そしてそれも消えた。 ■屋外でのマスク着用義務が解除される  6月に入り、真夏のような気温が続いている最近のイタリアで、ついに6月28日からは屋外でのマスク着用義務が解除されることになった(ただし密が発生する場所では屋外でも引き続きマスク着用義務)。

暑い時期のマスクはつらい。特に、もともとマスクをする習慣のない欧米人たちがマスクを早く外したいと思う気持ちは理解できるが、ワクチンを済ませてもすぐにマスクを外してはダメ、と専門家たちが口を酸っぱくして言っていたのを思い出す。ワクチンは発症と重症化を防ぐが、感染を防ぐかどうかははっきりわかっていない。他人に感染させることはありうるし、そもそも発症を防ぐのも100%ではないからと言っていたはずだ。今、増えつつあるデルタ変異株(インド株)に至ってはファイザーで79%、アストラゼネカなら60%まで効果が下がってしまうという(イルジョルノ紙)。

 せっかくワクチン接種を受けたのに、ちょっと先を急いだせいで再びパンデミック再燃なんて、絶対やめてほしい。

宮本 さやか :フードライター

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ワクチン接種が成功しているところは民間のサポートがうまく行っている~新しい公共を考える

https://news.yahoo.co.jp/articles/dbf4a25e8b02918fa0a68a19f60f27f8083f0f67

2021/6/25(金) 17:35 ニッポン放送

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月25日放送)に元内閣官房副長官で慶應義塾大学教授の松井孝治が出演。「新しい公共」について解説した。

「新しい公共」とは何か

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

この時間はコメンテーターの松井孝治氏に、「新しい公共」というテーマについて訊く。 飯田)松井さんは、PHPから刊行されている「Voice」7月号に寄稿されていますが、このコロナ禍でさまざまな面が浮き彫りになりました。行政がどういう仕事をするべきなのか、あるいは我々にとって、どういう位置づけなのかということも議論になっています。そのなかで、政治家との関係等々でも疲弊している官僚の方々の苦境などが伝わって来ました。そこで「全体をどう変えて行くべきなのか」ということが議論されて来ましたが、松井さんは民主党が政権を担っていた時代、その前の野党側から政策を提言されていたころも含めて、ずっとこの問題に関わっていらっしゃいます。 松井)阪神淡路大震災のときに私は官邸に勤務していたのですけれど、初動が悪くて、皆さん一生懸命やるのだけれど、うまく立ち行かない。そのとき、学生がリュックを背負って来て、長靴を履いて現地に入り、救命救援活動を一生懸命やってくれたのです。反社会的勢力の方々ですら炊き出しをしていました。 飯田)そうでした。 松井)そのとき、私は官邸という権力の中枢にいて思ったのですけれど、国民の生命や財産を守るのは政治の役割だと言います。しかし、それですら人々の力を借りた方がいいし、人々は自分の行動が世の中の役に立っていると、しんどいけれども生き生きするのです。震災対応や災害ボランティアもそうですけれど、それだけではないですよね。 松井)学校の教育でコミュニティ・スクールというものがあります。学校と地域の人たちが、一定の権限を持って運営に参加するものですが、「先生方や教育委員会、文科省が悪い」と言っているだけではなくて、学校教育に自分たちができることで協力して行く。親御さんだけではなく、自分の子どもはとっくの昔に卒業してしまったというおじいちゃん、おばあちゃんもそうだし、若い夫婦でまだ子どもがいないという人もいらっしゃいます。そういうところで総合学習の手伝いをする。あるいは防犯ネットワークをつくって見守りをして、警察官のパトロールを補助するなど、自分たちができることをやろうとする動きが全国的にあるのです。 飯田)防犯のネットワーク。 松井)今回のワクチンもそうです。もちろん医師会の先生方は公共的な仕事ですが、うまく行っているところは、自衛官のご家族の方々が大規模接種会場の整備にボランティアで参加されるなどしています。官だけが社会のために役立つということではなく、人々は、「あるときは支えてもらうけれども、あるときは支える側に回る」ということを上手にオーガナイズできているところが、町で言うと栄えている。行政サービスや公共サービスが豊かになっているのです。 松井)行政や公務員だけが行政サービスや公共サービスをつくるということではなく、公共輸送も株式会社、または地域の第三セクターなどが一生懸命やっているわけですから、それを少し捉えなおす。「人の役に立つということが、自分のある種の充足感になるような社会をどうつくって行くか」。それがうまく行っている学校などは、進学成績までよくなっているのです。うまく行っている地域では、荒れている部分がなくなって行くのです。 飯田)人の役に立つということが。 松井)私がそうでしたけれど、22歳で大学を卒業して試験に受かった公務員の人たちが、一生支えるということではなく、一部の野党議員がしているように、その人たちだけに重しを全部被せていじめるということではなく、もっと民間の知恵のようなものをサポートして行く。そのような社会における公務員のあり方も、変えて行かなければいけない時期に来ているのだと思います。 松井)フルタイムの公務員だけがお役所仕事をやるのではなく、ワクチン接種がうまく行っている自治体のように、いろいろな方々が協力して「何ができるのか」を考えて行く。行政を提供する側と受ける側の垣根をなくすことが必要なのです。受ける側は提供する側に文句ばかり言っているのではなく、自分たちに何ができるかを考える。そして行政マンは、謙虚になって自分たちの仲間として受け入れて行く。 飯田)垣根をなくす。 松井)そこの感覚を変えて行くべきなのです。役人だけを叩いたり、一生懸命汗をかいている方を叩くだけではなくて、「自分たちに何ができるのか」という、ケネディ大統領の話と一緒ですよ。 飯田)まさにそれを思いました。自分たちに何ができるのか、してもらうのではなくてという。 松井)アメリカで、ドラッグストアの人などが集中的に研修を受けてワクチンを打つ側に回っているのは、彼らのよさがあるわけです。我々もいま、うまく回り始めているのはいいことですから、これを機に、公共のあり方を考えて行くべきです。「官を開く」という言い方を私はするのですが、「お役所を開いて行く」という感じで、もっと人々の協力を得るべきなのです。 飯田)野党などの国会対応で、「民間の人を入れる」ということは過去も検討されています。官僚や内閣人事局にいた人などと議論したりすることがあるのですが、国会対応で、ある程度の地位まで行くと答弁もしなければいけない。しかし、ここは民間の人にできるかというと難しいかも知れないと。松井さんが前にこの番組にご出演されたとき、国会対応は毎日株主総会で吊し上げられるようなものだとおっしゃいました。民間の人たちがそれに耐えられますか? 松井)なかなか耐えられない。あんなことをやっていたら有能な人は来てくれないですよ。誰かを叩いて溜飲を下げるようなことをやったって、それで人々が幸せになるならいいですけれど、なりません。「私は国会に出て答弁するようなことはできないけれど、自分のできる知恵を出せます」という人、「世界の情勢を知っているから、それをインプットします」という形で知恵を出してくれる人がいてもいいと思います。行政の現場で最近、PPP(官民連携)という概念もありますけれど、街づくりなどでは、お役所の人よりも地域の人の方が、実際の街づくりで商店街を再活性化することができるかも知れません。 松井)大阪の上方落語専門の寄席「天満天神繁昌亭」をつくったのは、天神橋筋商店街の理事長で瀬戸物屋さんをやっている、土居さんという方です。「かせぎができて半人前、つとめができて半人前、両方合わせて一人前」、要するに難波の商人は稼ぐだけではなく、「務め」を果たさなくてはいけないというのは、土居さんから教えてもらったことです。 飯田)務めというのは仕事の話ではなくて。 松井)そうです。例えば街づくりのために、何か役に立つようなことまでやらないといけない。自分の商売だけやればいいというものではない、それは野暮というものですよと。日本人には本来、その感覚があるのです。 飯田)近江商人にも世間よしというのがありますものね。 松井)そうです。三方よし。それをみんな持っているのです。近代国家を形成して、官僚を養成した人たちが国家を担うというのは、それ自体はいいことです。いいことだけれども、いま官僚だけに重荷を背負わせてしまって、ほとんど死にそうになっている。『ブラック霞が関』という本を書いて、役所を辞めてしまった千正くんという、とても素敵な相撲部出身の男がいるのですけれど、本当に繊細で優しい男で、彼は自分の身を投げうって役所の人たちがもっと生き生きと働ける環境をつくりたいと、自分の生涯をそれに捧げるという人です。 飯田)成功や光の芽のようなものを、1個1個大切にして行かないと、それをまた批判で潰すことをして行くとこの先は暗いですね。 松井)それと同時に役所の人たちも、もっと人々に交わるということをしないといけないですよね。もちろん高額接待は論外ですが、「みんな寄席に行け」と言いたい。人々がどこで笑い、どんな毒舌に頷いているのか、もう少し世間を知らないとダメだし、彼らに世間を知るだけの余裕を与えてあげないといけません。週末もなく、昼も夜もなく働きづめで叩かれて、心を病んで辞めて行く人をつくるような社会は幸せにならないですよ。 飯田)まさに千正さんもインタビューで答えていらっしゃったと思いますけれども、厚労省はソーシャルワーカーなどの現場の人たちのところに行って話を聞いて来て、それを政策に活かすという役所だから面白かったのに、いまはそれができないと。 松井)「それができるなら、いくら残業しても私たちは平気です」と彼は言います。そうではなく、叩かれて、ミス探しを徹夜でして、みんな心を病んで行くのです。「現場の悩みを聞いたり、相談に乗ったりするのであれば、私たちは休日だって働きますよ」と。あまり働かせ過ぎてもよくないけれど、そういう心意気を引き出すような社会や国をつくらないとダメだと思います。