カテゴリー
感染症 社会問題

ウィズコロナ時代が見えてきた ~英国で社会実験、マスク着用など継続か?~

https://news.yahoo.co.jp/articles/77a090326c15a6df3d55a697b1a0bfb4e21ea9aa

2021/7/29 JIJI.COM

 7月以降、日本だけでなく世界的に新型コロナウイルスの感染が再燃しています。これはインド由来のデルタ型変異ウイルスの流行拡大によるものです。デルタ型は従来のウイルスに比べて感染力が強いだけでなく、重症化も起こしやすいという報告が見られています。その一方で、デルタ型には日本で使われているファイザー社やモデルナ社などのワクチンが有効なようです。このため、世界的に感染者数は増加していますが、ワクチン接種が進んでいる国では死亡者数の増加が抑えられています。この「感染者は多いが死亡者は少ない」という状況は、今後のウィズコロナ時代を予測するための鍵になるかもしれません。今回はデルタ型の流行状況から垣間見える、コロナウイルスとの共存について解説します。

 ◇デルタ型の世界拡大

 デルタ型の変異ウイルスは2020年10月ごろにインドで初めて見つかりました。2019年12月に中国で新型コロナウイルスの流行が発生してから、ウイルスは何回も変異を起こしており、2020年秋には英国由来のアルファ型や南アフリカ由来のベータ型とともに、このデルタ型も誕生しました。ヒトに感染したばかりのウイルスは、変異を繰り返しながら、ヒトの体内で増殖しやすいタイプが主流になっていきます。これが2021年5月ごろまではアルファ型で、日本で見られた第4波の流行も、この変異ウイルスによるものでした。  ところが、同年4月にインドでデルタ型が大流行を起こしてからは、この変異ウイルスが世界的な拡大を始めたのです。7月中旬に世界保健機関(WHO)が発表したデータでは、世界124カ国で流行が確認されており、東京でも7月から起きている第5波がデルタ型によるものです。  WHOの報告では、デルタ型は今までのウイルスに比べて感染力が強く、感染者の体内でも増殖しやすいとされています。ある調査では、デルタ型の感染者から従来型より約1000倍も多いウイルスが排出されていました(WHO 2021年7月20日)。  このように7月末の時点では、デルタ型が世界制覇を果たしている状況ですが、今後、ウイルスはさらに変異を繰り返し、ヒトの体内で増殖しやすいウイルスに置き換わっていくことでしょう。

 ◇二つの流行パターンに

 世界的な新型コロナの流行状況を見ると、2021年5月ごろから、ワクチン接種が広がった効果で新規感染者数は減少していました。しかし、6月末からデルタ型の拡大により再び増加傾向になっています。  地域別では、今まで流行が抑えられていた東南アジアで感染者数が増加しており、特にインドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムなどで急増しています。また、ワクチンで流行が収束しつつあったヨーロッパ諸国や米国でも感染者数が増加しており、中東やアフリカでも流行再燃が起きています。  このようにデルタ型の流行が拡大している国は数多くありますが、それを二つのパターンに分けることができます。  第1のパターンは、感染者数が増加しているにもかかわらず、死亡者数が増えていない国。例えば、英国やスペインなどヨーロッパの国々がこのパターンになります。米国も7月から流行の再燃が見られていますが、死亡者数はあまり増えていません。日本も第5波の流行で感染者数が急増している中、死亡者数には大きな変化が見られていません。  第2のパターンは、感染者数が増加するに従って、死亡者数も増えている国です。これには、東南アジアや中東の国々、さらにはロシアや南アフリカが入ります。

 ◇ワクチン接種状況の違い

 こうしたパターンの違いには、ワクチンの接種状況が影響していると考えられます。第1パターンの国々では、国内でワクチン接種が進み、デルタ型に感染しているのは未接種者や接種途中の人が中心になっています。特に重症化を起こしやすい高齢者は接種を完了しているので、死亡者が少ないのです。接種を受けている人がデルタ型に感染することも時にありますが、重症化は抑えられています。  日本ではワクチンを完了している人が約20%とまだ低いのですが、高齢者はほぼ終了しているため、重症化する人はあまり多くありません。その結果、死亡者数も少なくなっているのです。  一方、第2パターンの中には、ワクチン接種率が1割にも満たない国が多く、また、接種率が高かったとしても、中国製やロシア製などのワクチンを使用している国が見られます。例えば、ロシアは接種を完了した人が約15%いますが、自国で開発したワクチンを使用しています。また、東南アジアや中東では、主に使用されているワクチンが中国製です。中国製もロシア製も、従来型のウイルスには一定の効果が確認されていますが、デルタ型についてはほとんど評価されていません。効果が弱くなっている可能性もあるのです。

 ◇感染者増でも重症化を抑えること

東京五輪の開会式で入場行進を終え、記念撮影する各国選手団=7月23日、国立競技場

 このように、ファイザー社やモデルナ社など、デルタ型に一定の効果が確認されているワクチンを接種しておけば、感染者が増えたとしても、重症者の急増は抑えられ、医療の崩壊を防ぐことができます。そして、最終的には死亡者の増加を抑えることになります。  こうしたワクチンによる制圧を図る場合に考えなければならないのは、ワクチンがどれだけの期間、効いているかという点です。現在までの知見では、効果は半年~1年と見られており、それを越えると追加接種が必要になるでしょう。もう一つ懸念されるのは、ワクチンに抵抗性の変異ウイルスが、今後、誕生する可能性です。これに備えるには、常に変異ウイルスの動向をモニターし、ワクチンに抵抗性のウイルスが出現すれば、新たなワクチン製造を開始することです。ファイザー社やモデルナ社のmRNAワクチンであれば、ウイルスの変異に応じて、新しいワクチンを迅速に開発することができます。

 ◇ウィズコロナのためのチャレンジ

 変異ウイルスが次々に誕生している状況を考えると、新型コロナウイルスの流行を完全に終息させることは恐らく困難でしょう。それであれば、インフルエンザの流行と同じように、新型コロナの流行と共存することを考えるべきです。  そのためには、ワクチン接種を中心にした戦略を練ることになりますが、同時にマスク着用やソーシャルディスタンスなど、生活面の注意も続ける必要があるのでしょうか。この答えを出すために、英国では今年の7月中旬から多くの生活面での制限を解除しています。このチャレンジの結果が明らかになるには、もうしばらく時間がかかるでしょう。  日本はワクチン接種率がまだ低い上に、東京五輪という大きなイベントの最中にあります。今はワクチン接種を進めるとともに、引き続き生活面の注意を継続することが必要です。特にデルタ型は若年者にも重症化を起こすことがあるため、油断は禁物です。もうしばらくは緊張した日々を送らなければなりません。(了)

 濱田 篤郎 (はまだ あつお) 氏

濱田 篤郎 特任教授

 東京医科大学病院渡航者医療センター特任教授。1981年東京慈恵会医科大学卒業後、米国Case Western Reserve大学留学。東京慈恵会医科大学で熱帯医学教室講師を経て、2004年に海外勤務健康管理センターの所長代理。10年7月より東京医科大学病院渡航者医療センター教授。21年4月より現職。渡航医学に精通し、海外渡航者の健康や感染症史に関する著書多数。新著は「パンデミックを生き抜く 中世ペストに学ぶ新型コロナ対策」(朝日新聞出版)。

カテゴリー
ワクチン 感染症ニュース

コロナワクチンの「接種後感染」、重症化は極めてまれ、米CDC

https://news.yahoo.co.jp/articles/8150b80b1c0978d4aa55958b7bae37d276bb5a68

2021/7/28 NATIONAL GEOGRAPHIC

米疾病対策センターがデータを発表、ワクチンはデルタ株にも依然有効

米カリフォルニア州サンタモニカのAppleストア内で、新型コロナ感染予防のためにマスクを着けて順番を待つ人々。専門家は、ワクチンの接種を完了してもマスクを着けてウイルスを防ぐよう推奨している。(PHOTOGRAPH BY GENARO MOLINA)

 米国ワシントンD.C.の国会議事堂から東京のオリンピック選手村まで、ワクチン接種を済ませた人々の間で新型コロナ検査の陽性例が出ていることから、いわゆる「接種後感染(ブレイクスルー感染)」への懸念が高まっている。それにともない、新たな変異株へのワクチンの効果や、効果の持続期間などが取り沙汰されるようになった。 ギャラリー:腸チフスのメアリーから不遇の天才医師まで「感染症、歴史の教訓」 画像20点  米国内でブレイクスルー感染がどれほど起こっているかは、正確には判断できない。なぜならデータは不完全で、一貫した追跡調査も行われていないからだ。しかし、米疾病対策センター(CDC)がこのたび発表した7月19日時点のデータによると、重いブレイクスルー感染が起こる割合は極めて低い。  1億6100万人を超える米国内のワクチン接種完了者のうち、新型コロナ検査で陽性だった入院および死亡例の報告は5914件であり、これはワクチン接種を完了した人の0.004%未満だ(編注:ほかの疾患で入院または死亡し、検査の結果陽性が判明した例も含む)。  一般に「ブレイクスルー感染」とは、ワクチンを適切に接種した人々が新型コロナに感染した例(無症状例含む)を意味し、「ブレイクスルー疾患」は、そのうち体調が悪くなった例を指す。疾患にまで至るのは、ワクチンで強い免疫が得られない場合、免疫が時間とともに低下した場合、もしくはワクチン接種によって得られた抗体を避けるように進化したと思われる株にさらされた場合だと、ニューヨーク、ロックフェラー大学の臨床医科学者ロバート・ダーネル氏は述べている。  100%有効なワクチンというものは存在しない。ブレイクスルー感染や疾患はどんな病気でも起こり得る。なぜならウイルスは常に進化しており、インドで最初に報告され、現在は米国の新規感染例の83%を占めるデルタ株のような、ワクチンを回避する能力が高い新たな株が登場するからだ。  それでも、米国で認可されているワクチンはどれも、新型コロナ感染症による入院や死亡のリスクを大幅に軽減してくれる。現在新型コロナで入院している患者の97%以上はワクチンを接種していない人たちだと、CDC所長のロシェル・ワレンスキー氏は言う。 「感染者の割合は、ワクチンを接種していない人の方が圧倒的に高く、接種済みの人は低いという状態が続いています。接種した人も感染するというのは、単にゼロではないという意味です」と、テキサス、ベイラー医科大学の感染症内科医ステイシー・ローズ氏は述べている。 「わたしが懸念するのは、ブレイクスルー感染があるならワクチンを受けてもしょうがないという印象を人々が持ってしまうことです。ワクチンを接種すれば、たとえそれがデルタ株であっても、新型コロナに感染するリスクを下げてくれるのは事実です」

ブレイクスルー感染例の把握が難しい理由

 CDCは当初、軽症や無症状のブレイクスルー感染の報告も集めていたが、その方針を5月に変更し、ブレイクスルー感染による入院または死亡例のみを対象とするようになった。  ブレイクスルー感染に統一された基準がなければ、感染者数の確認は、州、病院、個々の施設などそれぞれのやり方に委ねられる。そのせいで、各ワクチン間での比較が難しくなったと、カリフォルニア大学サンディエゴ校の感染症内科医・病院疫学者のフランチェスカ・トリアーニ氏は言う。  施設によっては、無症状例の検査を行っている。その一方で、症状がある場合のみ検査をする施設もあるが、その基準でさえ施設によって異なる。  また、ワクチン接種率が低く、感染率が高い地域ではブレイクスルー感染が起こりやすい。各自の行動や免疫が原因で、そもそもより感染しやすい人々もいる。こうした条件の違いがあると、ワクチンの効果の比較は難しくなる。  そして、ワクチン未接種で感染の可能性が高い人たちが一定数いるという状態は、コロナウイルスに対し、今後もワクチンを回避できるよう進化するチャンスを与え続けてしまう。 「全員がワクチンを接種すれば進化は起こらず、ウイルスは去っていくでしょう」とダーネル氏は言う。「ワクチン接種は、麻疹(はしか)を基本的に根絶させ、ポリオ(小児まひ)をほぼ根絶に追いやった手段です。それはコロナでも可能です。この状態に終止符を打てるのです」  7月22日付けの医学誌「New England Journal of Medicine(NEJM)」に、医療従事者、救急隊員、現場作業員ら、定期的に検査を受けている約4000人のうち、204件の感染例があったという論文が発表された。感染者のうちワクチンの接種を終えていたのはわずか5人(2.4%)だった。

ワクチンによる差はあるのか

 一部のデータや記事では、特定のワクチンが、特に新たな変異株に対して効果が低いことが示唆されている。しかし、情報は急速に変化しており、変動する要素が多く、データも不完全なことが多いと、ダーネル氏は言う。  多くの州が州内におけるブレイクスルー感染例をカウントしているものの、地域レベルであっても、データはワクチンの種類別に記録されているわけではないと、ワシントン州保健局の広報担当者テリーザ・マッカリオン氏は言う。また、接種スケジュールのばらつきや、各ワクチンを接種した人の数や集団の違いといったさまざまな要因が、統計の処理を難しくする。 「ワクチンの種類別のデータを示すことはしません。なぜなら、ブレイクスルー感染は現在承認されている3つのワクチンすべてに関連が見られるからです」とマッカリオン氏は言う。「それが、ブレイクスルー感染の数をワクチン間で直接比較することを難しくしています」  ワクチンの種類別のブレイクスルー感染に関する一貫したデータがないことから、一部の研究者は、別の方法でワクチンの有効性を調査している。  まだ査読前であるものの、7月21日付けで論文投稿サーバー「bioRxiv」に、ある研究結果が発表されて注目を集めた。ジョンソン・エンド・ジョンソン社のワクチンを1回接種した10人と、ファイザー社のワクチンを2回接種した17人の血液サンプルを分析したところ、前者の方が、デルタ株を含む新規変異株に対する抗体の反応が弱かった。  この研究はニューヨーク・タイムズ紙をはじめメディアで大きな話題となったが、サンプルが少ないこともあり、結論を出すには早すぎるとダーネル氏は言う。ほかの研究ではこれと相反する結果が出ているとも、氏は付け加えている。  2021年3月に行われた、カリフォルニア大学サンディエゴ校およびロサンゼルス校で定期的に検査を受けていた1万5000人近くの医療従事者の分析では、ワクチン接種から15日以上経過した後、検査で陽性を示したのはわずか7人であり、陽性率は0.005%だったと、トリアーニ氏らは5月6日付けで「NEJM」に発表している。  サンディエゴ校では現在、デルタ株が主流となっているが、ブレイクスルー感染はワクチンを接種していない人たちが感染した場合に比べるとはるかに症状が軽く、回復も早いという。ワクチンを接種した人の入院は極めてまれであり、死亡した例もない。  デルタ株には警戒が必要だ。デルタ株はどうやらあらゆるワクチンを回避する能力にすぐれており、また、米国内でブレイクスルー感染者の周りで感染者が増加しているという事実は、ワクチンを接種した人たちもウイルスを感染させる可能性があることを示していると、ダーネル氏は言う。そして、デルタ株はとりわけ感染力が強い。  それぞれのワクチンに違いはあっても、正確な比較にはさらなる研究が必要だ。ダーネル氏は言う。「産業界の企業と学術界の臨床医科学者とが協力できれば非常に有益でしょう。われわれにはもっと科学が必要なのです」  データが蓄積されるのを待つ間、子どもや免疫系が弱い人たちを含むあらゆる人を守るうえで、ワクチン接種が最善の方法であることに変わりはないと、ローズ氏は言う。  ワクチンを接種することの方が特定のワクチンを選ぶことよりも重要であり、「どのワクチンも優秀です」とトリアーニ氏は指摘する。

文=EMILY SOHN/訳=北村京子

カテゴリー
感染症ニュース

都内の感染最多「高齢者の割合低い」 局長が異例の説明

https://news.yahoo.co.jp/articles/a28e04e5b6b46f85897805f436d6adbdf0115d78

2021/7/28 朝日新聞DIGITAL

 東京都で27日、新型コロナウイルスの感染者が過去最多となる2848人確認されたことを受け、都の吉村憲彦福祉保健局長が同日夜、記者団に説明する場を設けた。吉村局長は、重症化しやすい高齢者の感染が減っていることなどを挙げ、「第3波のピークとは感染状況の質が違う。医療に与える圧迫は違うと考えている」と述べた。 【写真】東京都の新規感染者数の推移  1日あたりの新規感染者数をめぐって、担当局長が取材に応じるのは異例。  吉村局長は、第3波で感染者数がピークとなった1月7日(2520人)では全体の14%を占めた60代以上の感染者が、7月27日には5%まで減ったと強調。「医療提供体制がにっちもさっちもいかなくなって、死者がばたばた出ることは現状ないと思っている。いたずらに不安をあおるようなことはしていただきたくない」と訴えた。 ■「五輪、大きな影響あるとは考えず」  病床が逼迫(ひっぱく)した第3波では、高齢の感染者の入院先が見つからず、自宅待機中に亡くなるケースも相次いだ。

朝日新聞社

カテゴリー
ワクチン

鼻で吸うコロナワクチンが臨床試験へ、高い効果が期待されるこれだけの理由

https://news.yahoo.co.jp/articles/fe45753b1848d5740f6637345a0e05d66782477b

2021/7/27 NATIONAL GEOGRAPHIC

注射器不要のうえ腕への接種より効果的、「一石二鳥」と専門家

研究者たちは、経鼻ワクチンが新型コロナウイルスの感染をどの程度防ぐことができるかを調査している。(PHOTOGRAPH BY RJ SANGOSTI, THE DENVER POST, GETTY IMAGES)

 現行の新型コロナウイルスワクチンは、重症化や死亡を防ぐ効果に優れ、変異型のウイルスに対してもかなりの防御力を発揮する。しかし、感染を100%防げるわけではない。そこで科学者らは、より強力で長続きする免疫をもたらす新しいワクチンの投与方法を模索している。有望な方法の1つは、腕に注射する代わりに、鼻の中に噴霧する「経鼻ワクチン」だ。 ギャラリー:人類が地球を変えたと感じる空からの絶景 写真23点  免疫学者によると、経鼻ワクチンはウイルスが鼻や上気道の粘膜を介して自然に感染する方法に近いため、より優れた予防効果が得られる可能性がある。どこから投与するかは、免疫反応に違いをもたらすのだ。現在、鼻腔スプレーによって投与される6種の新型コロナワクチン候補で第1相臨床試験が行われている。 「持続的かつ長期的な免疫反応を起こしたいのであれば、局所的にワクチンを接種する必要があります」と話すのは、米ハーバード大学で腸や鼻の粘膜組織における免疫を研究する免疫学者、ホセ・オルドバス・モンタニェス氏だ。  腕にワクチンを打てば、抗体やT細胞(病原体に感染した細胞の除去や免疫の調整などを担う重要な免疫細胞)が血管全体に分布するような、全身的な規模での免疫を作り出す。だがこの方法では、免疫細胞がウイルスの侵入箇所に集中しないため「最適ではない」という。  一方、経鼻ワクチンは、上気道や、可能性としては肺の免疫も大幅に向上させ、局所的な抗体の反応やT細胞の応答を引き起こす。おかげで免疫細胞は、ウイルスが到着してすぐにそれを捕らえ、破壊できるようになる。 「大きな利点は、感染部位で免疫を生み出すところだと思います」と米コロンビア大学の免疫学者、ドナ・ファーバー氏は語る。「ウイルスが入ってくる場所にこそ免疫が必要です」  腕への接種は、体の芯から外側に向かってワクチンを行き届かせるようなものだ。まず体全体で免疫を作り、その抗体の一部が気道や鼻腔に流れ込む。しかし、鼻腔スプレー方式はその逆で、免疫力が高まるのは感染部位が先、他の部分が後だ。「基本的に一石二鳥です」と米アイオワ大学の小児呼吸器科医ポール・マックレイ氏は話す。  マックレイ氏らは、経鼻ワクチン候補をマウスやフェレットに1回投与するだけで重症化を防げるという論文を、7月2日付けで学術誌「Science Advances」に発表した。7月中には米国内の3つの施設で、18~75歳の健康な成人80人を対象に臨床試験を開始する予定だ。また、7月19日~23日に開催された米国ウイルス学会の年次大会で、米メイッサ・ワクチン社は、同社の新型コロナ用の経鼻ワクチン候補をアフリカミドリザルに1回投与したところ、有望な結果が得られたと発表した。

より実用的なワクチンを目指して

 粘膜をターゲットにしたワクチンは新しいものではない。承認されている経口ワクチンは、ポリオ(小児まひ)用やコレラ用など数多くある。経鼻ワクチンが呼吸器系の免疫を強めるように、経口ワクチンは腸管の粘膜組織の免疫を強める。  経口生ポリオワクチンをはじめ、経口ワクチンは多くの場合、注射よりも効果がある。しかし、経鼻ワクチンはワクチン全体の中ではまだ珍しい存在だ。今回の新型コロナのパンデミック(世界的大流行)でその状況が変わることを期待している人は多い。 「新型コロナによって、今まで目の前にありながら目立たない存在だったものが、加速度的に開発されるようになりました」と米ワシントン大学の遺伝子治療研究者、デビッド・キュリエル氏は語る。氏は、アカゲザルに経鼻ワクチンを投与したところ良好な免疫反応が得られたという研究結果を、3月17日付けで学術誌「Cell Reports Medicine」に発表した。  また氏は、接種が簡単になることがこの手のワクチンのもう一つの利点だと指摘する。医療システムが確立されていない国々では特に大きなメリットだ。  現在承認されているワクチンは非常に有効だが、世界中の全人口に接種するには量が足りない。一方で、パンデミックは収束にはほど遠く、特にインドや一部のアフリカ、南米の国では深刻だ。注射針は供給不足になる可能性があるが、それを使わずにすむことは有利に働くだろう。新型コロナワクチンは、経鼻や経口ワクチンによる「粘膜免疫」の新たな時代をもたらすかもしれない。

組織に“定住”している免疫細胞

 免疫系の話になると、多くの人は血液を思い浮かべるだろう。免疫細胞は、血管内をパトロールして侵入者を探す監視員に例えられる。しかし、過去10年以上の間に免疫系に関する理解が進んだ結果、多くの免疫細胞は組織の中にあることがわかってきた。  例えば、T細胞の95%以上は組織や臓器に“定住”し、皮膚、腸、脳、肝臓、肺にそれぞれ異なる集団が存在する。主に抗体をつくるB細胞やT細胞と同じリンパ球の仲間であるナチュラルキラー細胞(NK細胞)のうち、子宮NK細胞は妊娠中に子宮の組織の再構築を担う。また、ミクログリアと呼ばれる免疫細胞は脳にあるが、決して血管内に入ることはない。胎児期の早い段階で中枢神経系に移動し、個体が生きている間、ずっとそこに留まる。  このような組織に特異的な免疫細胞は、病原体を記憶するだけでなく、その病原体が最初に体内に侵入した場所も記憶しているので、ワクチンにとっては好都合だ。  免疫系はこのような“インプリンティング(刷り込み)”と呼べるような洗練された方法を身に付けたのだと、ハーバード大学の免疫学教授、ウルリッヒ・フォン・アンドリアン氏は説明する。氏は、特定の病原体が体内に侵入した場所を免疫系が記憶していることを、マウスを使って初めて実証した研究者だ。  免疫系が新たな脅威に対して活性化するのは、「抗原提示細胞」と呼ばれる特殊なマクロファージなどの細胞が、体内に散らばったウイルスの小さな断片を拾い上げ、T細胞に提示したときだ。いわば免疫系による“インテリジェンス・ブリーフィング(情報説明)”だ。  これはリンパ節で行われる。リンパ節は全身に存在するが、特に首、脇の下、そして鼠径(そけい)部(太ももの付け根のお腹側)に多い。提示で伝えられる内容には、特定の脅威についてだけでなく、それが最初に発見された場所の情報も含まれていることを、フォン・アンドリアン氏は画期的な実験で示した。  2003年に氏らが行った実験では、マウスから取り出したT細胞を別々のシャーレに入れ、それぞれリンパ節、皮膚、腸から採取した抗原提示細胞と混ぜ合わせた。約1週間後、T細胞を再びマウスに注入すると、腸の抗原提示細胞から情報を提供されたT細胞は、すぐさま腸へと戻った。そして、長い間そこに留まり、侵略に備えていた。  フォン・アンドリアン氏によると、病原体と最初に遭遇した部位へ移動する方法をT細胞が教わるのもリンパ節だ。鼻の組織に最も近いリンパ節は首にあり、ワクチンを打つ場所である腕につながるリンパ節は「町内の別の地域」にあるようなものだという。 「感染症にかかったら、鼻腔内の粘膜表面が感染し、まず上気道のT細胞や免疫系が準備します。その後、これらの細胞はその場に留まり、常駐して、番兵のように機能することになります」。そう話すのはスウェーデン、カロリンスカ研究所の免疫学者で、T細胞を研究しているマルカス・ブッゲルト氏だ。「腕にワクチンを接種しても、そのようなT細胞応答は得られません」

文=MONIQUE BROUILLETTE/訳=桜木敬子

カテゴリー
感染症ニュース

【解説】デルタ株“水ぼうそうに匹敵”の強い感染力か 1人の感染者から『5人~9.5人』

https://news.yahoo.co.jp/articles/1855812a9506e6ae78c160e32734b60ce0d7b29b

2021/8/2 0テレNEWS24

2日から緊急事態宣言の対象地域が拡大されました。これまでにない新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、デルタ株の感染力の強さを示すデータが明らかになりました。 【動画でみる】デルタ株感染力 1人から9人に?     ◇

都内の自宅療養者急増 過去最多に

日テレNEWS

まずは最新の感染状況です。東京では1日、新たに3058人の感染が確認されました。3000人を超えるのは5日連続。先月31日には、初めて4000人を超えました。 そして、都内の重症者は101人となりました。100人を超えるのは2月14日以来で、この1か月でみると2倍にまで増えています。一方で自宅療養者も急増していて、1万1018人と過去最多となりました。 医療現場の負担、自宅療養者をフォローする保健所の負担が増加する中で、都の担当者は「こういった状況がいつ収まるのか予測できない」と危機感を募らせています。

都内の人出 繁華街は減少も行楽地は増加

そして、夏休みシーズンで街の人出がどうなっているか。都内の1日午後3時台の人出です。 1週間前と比べて、渋谷センター街でマイナス21.7%など、データが公開されている22地点のうち、16地点で減少していました。一方、お台場でプラス17.8%、神奈川・江の島でプラス65.8%と行楽地で増加している状況です。 専門家からは「危機感が伝わりにくい状況だ」という指摘がありますが、感染状況はどんどん深刻化しているのが現実です。 1日は全国で新たに1万176人の感染が確認され、4日連続で1万人を上回っています。そして、5人の方が亡くなりました。 2日から緊急事態宣言の対象となった地域をみていくと、神奈川は1258人、埼玉は899人と日曜日としては過去最多の人数となりました。千葉は3日連続で700人台、大阪は890人でした。

全国知事会 都道府県境をまたぐ移動、原則『中止か延期』を

日テレNEWS

深刻な状況が続く中、1日開かれた全国知事会で知事らは危機感をあらわにしました。 大阪・吉村知事「デルタ株の感染拡大力は非常に強い、非常に危機的な状況」 神奈川・黒岩知事「医療崩壊が直前に迫っている」 全国知事会では、国に対する緊急提言が取りまとめられました。 提言では、お盆の帰省を含め、夏休み中の都道府県境をまたぐ移動は原則中止か延期にするよう、国民に対し強く呼びかけるよう求めています。 緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が出されている地域に限った話ではなく、すべての都道府県に対してです。 ただ、特に感染が拡大している地域からそうでない地域に感染を広げることは避けなければなりません。

『デルタ株』 水ぼうそうに匹敵の強い感染力か

日テレNEWS

東京都の小池知事は1日、都民に対して改めて感染対策の徹底を求めたうえで、「いつかかってもおかしくない。若くても重症化するぐらいの威力を持った『デルタ株』を相手に我々は今、闘っている」「デルタ株は非常に強敵なんだという認識を共有したい」と話していました。 このデルタ株が、いかに脅威かを示すデータが明らかになりました。アメリカのCDC(=疾病対策センター)の報告書です。 1人の感染者から何人に感染を広げるか。 通常の風邪は『2人』。季節性インフルエンザは『1人強』。そして、新型コロナウイルスの従来株は『1.5人~3.5人』とされています。しかし、デルタ株では『5人~9.5人』という結果でした。 身近なところでいうと、極めて感染力が強い水ぼうそうが『8人強』なので、水ぼうそうに匹敵するということです。 さらに、デルタ株の場合「ワクチン接種を終えた人でも、接種をしていない人と同じように感染を広げる可能性がある」という報告もありました。 ワクチン接種により、重症化するリスクは10分の1に減るということですが、ただ、感染するリスクは3分の1程度にとどまるという結果だったんです。 つまり、ワクチン接種は感染自体の予防としてはそこまで効果がない可能性があるというんです。とはいえ、3分の1にまでは抑えられる、ということもおさえておきたいです。

ワクチン接種も“感染広げるリスク”高い

日テレNEWS

さらに、感染を広げるリスクについて。 ワクチン接種した後に感染した場合と、接種していない状態で感染した場合を比べた時に、体内に保有するウイルス量は『同じ程度』ということも明らかになりました。つまり、ワクチンを接種しても感染を広げるリスクが高いということです。 CDCは「ウイルスとの戦いが変化したと認識すべき」としています。 ワクチンの効果はありますが、接種したあともマスクなどの感染対策を続けることが重要だということです。 都の担当者は「いままで以上に、どこで感染するかわからないぐらい市中に感染が広まっていることを認識してほしい」と話していました。 ひとりひとりが、この危機的状況を自分事だととらえて、この夏を過ごすことが収束へのカギとなります。

2021年8月2日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より

カテゴリー
対策 感染症

新型コロナ デルタ型変異ウイルス 感染力、重症化リスク、ワクチンの効果など 現時点で分かっていること

https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20210801-00250999

2021/8/1 忽那賢志
感染症専門医
デルタ型変異ウイルスの広がりやすさ(ECDC、CDCの資料を元に筆者作成)

日本国内でもデルタ型と呼ばれる変異ウイルスが広がってきています。

このデルタ型変異ウイルスの特徴について、感染力、重症化リスク、ワクチンの効果など、現時点で分かっていることをまとめました。

東京都ではデルタ型が主流に

東京都におけるL452R(デルタ型)陽性率の推移(第56回東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料より)
東京都におけるL452R(デルタ型)陽性率の推移(第56回東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料より)

東京都では新規感染者数が急増していますが、その要因の一つとしてデルタ型変異ウイルスの増加が挙げられます。

第4波以降、従来の新型コロナウイルスよりも感染力の強いアルファ型と呼ばれるイギリスから広がった変異ウイルスが主流になっていましたが、現在はアルファ型よりもさらに感染力が強いデルタ型と呼ばれるインドから広がった変異ウイルスが主流になりつつあります。

東京都では7/12〜18の週ではすでに全体の46.3%を占めており、8月1日現在はすでにデルタ型が半分以上を占めていると考えられます。

関西は関東よりも少し遅れてデルタ型が増えてきていましたが、大阪府でも7/22〜28に行われた変異ウイルスのスクリーニング検査で23.6%に達しており、急激に増加していることが窺えます。

このように、日本全国で急速にアルファ型からデルタ型への置き換わりが進んでいます。

世界でもデルタ型変異ウイルスは拡大しており、すでに134カ国で検出されています。

またイギリスではすでに検出される新型コロナウイルスの99%がデルタ型になっており、アメリカでもデルタ型が急速に増加しておりすでに83%を占めています

これまでデルタ型がすでに広がっている国や地域に他の変異ウイルスが拡大した事例はなく、現時点ではデルタ型が最も感染力が強い変異ウイルスと考えられます。

デルタ型の感染力は従来のウイルスより大幅に増している

さまざまな感染症の感染力と重症度(文中に示したCDC報告書より)
さまざまな感染症の感染力と重症度(文中に示したCDC報告書より)

デルタ型変異ウイルスは従来の新型コロナウイルスよりも感染力が43~90%強いと報告されていたアルファ型よりも、さらに64%感染力が強いとされています。

CDCの報告書によると、従来の新型コロナウイルスは1人の感染者から平均1.4〜3.5人くらいに感染していましたが、デルタ型は1人の感染者から平均5〜9人に感染すると算出しています。

これは、MERSやSARSといった同じコロナウイルス感染症、季節性インフルエンザ、エボラ出血熱などよりも感染力が強く、空気感染する水痘(水ぼうそう)と同等と考えられます。

デルタ型の感染力が強い理由として、従来の新型コロナウイルスよりも感染者の体内でのウイルス量が1000倍以上多くなることで、感染者が周囲に撒き散らすウイルスの量が増えるのではないかとする査読前の研究が中国から報告されています。

また、同研究では、デルタ型は従来のウイルスよりも、感染してからウイルスが検出されるまでの期間が約2日間短くなることも感染者の爆発的増加に寄与しているのではないかとしています。

さらに、ウイルスを排出する期間も長くなる可能性が示唆されており、感染者の体内のウイルス量が高くなることに加えて、ウイルスの排出期間が長くなることがデルタ型の感染力の強さの原因なのかもしれません。

デルタ型変異ウイルスに感染すると重症化しやすい

海外からの報告では、デルタ型変異ウイルスはこれまで以上に感染した際に重症化するリスクが高くなると言われており、

従来の新型コロナウイルスと比べて、

カナダ:入院リスク2.2倍、ICU入室リスク3.87倍、死亡リスク2.37倍

シンガポール:酸素投与が必要、ICU入室、死亡のリスクが4.9倍

アルファ型と比べて、

イギリス:入院リスクが2.61倍

スコットランド:入院リスクが2.39倍

と報告されています。

特にワクチンを接種していない人はこれまで以上に警戒しなければなりません。

ワクチン接種しても感染することはあるが、重症化は防げる

ファイザー社のmRNAワクチンのデルタ型変異ウイルスに対する効果(文中のCDC報告書より)
ファイザー社のmRNAワクチンのデルタ型変異ウイルスに対する効果(文中のCDC報告書より)

感染や発症を予防する効果については、デルタ型変異ウイルスが広がっている各国からそれぞれ報告されています。

例えば、ファイザー社のmRNAワクチンのデルタ型に対する効果は、

イギリス/スコットランド:感染予防効果 79%、発症予防効果 88%、入院予防効果96%

カナダ:発症予防効果 87%、入院/死亡の予防効果 100%

イスラエル:感染予防効果 64%、発症予防効果 64%、入院/死亡の予防効果 93%

となっており、これまでのところ、mRNAワクチンなどの新型コロナワクチンは、感染予防効果や発症予防効果が低下する可能性はあるものの、重症化予防効果は保たれていることが示されています。

例えば、アメリカのマサチューセッツ州で発生したクラスター469人のうち、346人 (74%) はワクチン接種を完了していたにもかかわらず新型コロナを発症していた、という事例が報告されました。

このクラスターのうち9割はデルタ型が原因であることが分かっており、デルタ型に感染した人はワクチン接種を完了している人のウイルス量は、接種していない人と大差なく、ワクチン接種をした人もデルタ型に感染した場合周囲に感染を広げる恐れがあると考えられます。

アメリカのCDCは、これまでワクチン接種後はマスクの着用は不要という指針を出していましたが、デルタ型の感染力やワクチン効果の低下を鑑みて先日「ワクチン接種者も屋内ではマスク着用」という推奨に変更しました。

ワクチン接種を完了しても、デルタ型が広がっている今、これまで通りの感染対策を続ける必要があります。

デルタ型変異ウイルスが広がった今、より厳格な感染対策を

スイスチーズモデルで見た新型コロウイルス予防策(林淑朗医師、トクマタカシ氏 作成)
スイスチーズモデルで見た新型コロウイルス予防策(林淑朗医師、トクマタカシ氏 作成)

デルタ型変異ウイルスに対しても基本的な感染対策は変わりません。

ただし、これまで以上に感染しやすくなると考えられていますので、より厳格な感染対策が求められます。

図は新型コロナの感染対策をスイスチーズモデルで見たものですが、手洗いや3つの密を避ける、マスクを着用するなどの感染対策を、どれか特定の感染対策だけをするのではなく、組み合わせて実施することが重要です。

また、ワクチンはデルタ型変異ウイルスに対しても有効です。接種できるタイミングがあればぜひ接種をご検討ください。ただし、ワクチン接種後もこれまで通りの感染対策は続けるようにしましょう。

手洗い啓発ポスター(羽海野チカ先生作)
手洗い啓発ポスター(羽海野チカ先生作)

忽那賢志感染症専門医

感染症専門医。国立国際医療研究センターを経て、2021年7月より大阪大学医学部 感染制御学。感染症全般を専門とするが、特に新興感染症や新型コロナウイルス感染症に関連した臨床・研究に携わっている。『専門医が教える 新型コロナ・感染症の本当の話』発売中ッ! ※記事は個人としての発信であり、組織の意見を代表するものではありません。本ブログに関する問い合わせ先:kutsuna@hp-infect.med.osaka-u.ac.jp

カテゴリー
ワクチン

米CDC「デルタ株感染のワクチン完了者も他人にうつすリスク」

https://news.yahoo.co.jp/articles/44f134a088b3a7ab27e1dcdec2f229280757a6ae

2021/7/31 TBS NEWS

 新型コロナのワクチン接種を完了した人がインド型変異ウイルスデルタ株に感染した場合、未接種の感染者と同じ程度のウイルス量があり、人にうつす可能性があるとアメリカのCDC=疾病対策センターが警戒を呼びかけました。  CDCの発表によりますと、マサチューセッツ州で今月開催された複数の大規模な集会の後469人の感染が確認され、その74%にあたる346人がワクチン接種を完了していた人でした。このうち274人に症状が現われ、4人が入院しました。デルタ株の感染が多く、127人のウイルスの量はワクチン未接種で感染した人とほぼ同程度だったということです。  この調査結果を受けて、CDCはワクチン接種を完了した人でもデルタ株に感染した場合、他の人にうつす可能性があるとして、接種の有無にかかわらず感染リスクの高い地域の「屋内」の公共施設ではマスク着用を推奨することを決めたとしています。またCDCは、デルタ株に対しても重症化を防ぐためにはワクチン接種が最も重要だと強調しています。(31日15:31)

カテゴリー
社会問題

1年半ぶり再開のブロードウェーミュージカル 観客にワクチン接種証明を求める方針 12歳未満は陰性証明

https://news.yahoo.co.jp/articles/b632eb9439df4cf97bf9e4b728abb4430e51729e

2021/7/31 FNNプライムオンライン

今年9月に再開するアメリカ・ニューヨークのブロードウェーでは、観客らに新型コロナウイルスワクチンの接種証明の提示を求める方針を決定した。 【画像】 ブロードウェーミュージカルの劇場などが加盟する業界団体は30日、観客が劇場に入場する際、ワクチンの接種証明の提示を求め、接種対象外の12歳未満には検査の陰性証明を求めると発表した。 また劇場内では飲食時以外のマスクの着用も義務づける。 ブロードウェーミュージカルは9月、およそ1年半ぶりに『ライオンキング』や『ウィキッド』など主な劇場が公演を再開する予定。

国際取材部

カテゴリー
ワクチン

デルタ株「ワクチン接種後もうつす可能性」 米CDC

https://news.yahoo.co.jp/articles/64c4d4ed44856b33e012fe8d56c726079618512b

2021/7/31 テレ朝news

 アメリカの保健当局は7月に国内で発生した新型コロナの集団感染を分析し、デルタ株の場合、ワクチンを接種した人もウイルスを感染させる可能性があると明かしました。  アメリカCDC(疾病対策センター)は30日、7月に東部マサチューセッツ州で集団感染が確認された469人のうち、約74%がすでにワクチンの接種を終えていたとする分析結果を公表しました。  CDCのワレンスキー所長は声明で、「デルタ株に感染した場合、ワクチンを接種した人もしていない人と同等にウイルス量が高くなることが明らかになった」「デルタ株に感染したワクチン接種者がウイルスを他の人に感染させる可能性がある」と指摘しています。  この分析結果をもとに、CDCは27日、感染が拡大する地域では屋内でマスクを着用するよう指針を見直しました。  ワクチンについてはデルタ株にも重症化を防ぐ効果があると訴え、早期に接種するよう呼び掛けています。

テレビ朝日

カテゴリー
社会問題

「意外とブスと思われたら…」マスクを外すのが怖いという新たな問題

https://news.yahoo.co.jp/articles/7a2468f84a9495b898b14f452fb3ae41a26802e9

2021/7/30 NEWSポストセブン

 昨年、日本中で品薄となり、争奪戦が繰り広げられた「マスク」。息苦しいし、暑いし、肌荒れの原因になるからと、当時はつけることに抵抗を感じる人が多かった。しかし、約1年半が経過したいまでは、“感染症対策”という視点に限らず、マスクを外したがらない人が増えていた──。 【グラフ】マスクを「着けていない時のほうが違和感があるくらい慣れた」35.8%…調査結果

 熱中症のリスクも指摘されているマスクだが、ワクチンの接種が進めば、着用が緩和される見通しだ。すでにイギリスやアメリカなどの大規模スポーツイベントでは、大勢の観客が詰め掛け「ノーマスク」「ノーディスタンス」を楽しんでいる姿が報道され、「早く日本もこうなってほしい」と願っている人もいるだろう。  しかし一方で、「ノーマスク」を恐れる人たちが増えているという。コロナ禍に転職した大川美奈さん(仮名・33才)も、「憂うつ」と話す。 「入社して10日近く経つのですが、みんなマスクで顔がわからず、名前と顔が一致しなくて本当に苦労しています。  先日は、親睦会の意味も込めて直属の男性の上司とランチに行ったのですが、入社して初めてマスクを外した上司の顔を見て、『こんなにおじさんだったの!?』と衝撃を受け、戸惑ってしまいました。  相手も私の顔を見て同じことを感じているんだろうなと思うと、食事中も目が合わせられず、リラックスして会話することができませんでした。これからワクチンの接種が進んでマスクを外す風潮になったら、私も社内の人たちから『意外とブス』とか『意外と老けてる』などと思われるのかもしれませんね……」  このケースを受け、精神科医の片田珠美さんが話す。 「昔から、“マスクをつけていると美人度が3割増しになる”といわれてきたほど、マスクは顔の印象を変えます。相手の顔がはっきりとわからないコロナ禍の約1年半、私たちは『仮面舞踏会』をやっているようなものなのです」 “仮面”をつけることが、安心感につながる人もいる。精神科医の和田秀樹さんが言う。 「マスクは、“自分が何者であるか”を隠すことができる。コミュニケーションが苦手な人にとっては、とても便利な道具です」  感染症対策以上の効果をマスクに求める人たちが、コロナ禍によって増加しているが、いずれ多くの人がマスクを手放す日はやって来る。「マスクを取るのが怖い」という“コロナ被害”が、すぐそこまで迫っているのだ。

※女性セブン2021年8月12日号