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若者の“ワクチン不安”に専門家「身体中にウイルス遺伝子がばら撒かれるよりはマシ」

https://news.yahoo.co.jp/articles/166f62fbc60f515d3bffe4d202c0bbe391ead42e

2021/6/27(日) 9:36配信 AMEBA TIMES

 河野太郎ワクチン接種担当大臣は、25日の会見で「勝負の中身は、いま自治体で組んでいる接種体制、接種スピードを落とさないようにするかに変わってきた」と言及した。 【映像】「若者はコロナになっても重症化しない」は間違い! 専門家「ワクチンは打つメリットの方が圧倒的に大きい」  自衛隊の大規模接種センターでは、26日午前0時からホームページとLINEで増員分の予約受け付けを開始したところ、東京会場の計2100人分が約9分で、大阪会場の計525人分が3分で埋まった。  接種スピードが加速する中、ネット上には「女性は不妊になる」「遺伝子が書き換えられる」など、真偽不明な情報が流れている。この事態を受け、河野大臣は横行するワクチンデマを否定。自身のブログでも、誤った情報に惑わされないよう、注意を呼びかけた。  どうすれば若者が安心してワクチンを接種できるようになるのか。『ABEMA Prime』では、Twitterアカウント「手を洗う救急医Taka」としても知られる、新型コロナワクチン公共情報タスクフォース(CoV-Navi)副代表幹事の木下喬弘医師とともに考えた。

■ 手を洗う救急医Taka「若者が重症化しないは間違い」

ワクチン接種率70%を超えるには?

 新型コロナワクチンについて、木下氏は「今回のワクチンの本当のすごさは、重症化予防に効果があらわれている点だ。ニューヨークで僕の仲のいい医師が働いているが、ワクチン接種が進んだことで新型コロナの入院患者が激減していて『かなり診療が楽になった』と言っていた。医療の供給体制を楽にしている効果は、ものすごく大きい」と説明する。  日本のコロナワクチン接種状況を見ると、6月24日までに高齢者は1回目を打ち終わった人が約53%、2回目は約19%と、着実にワクチン接種が進んでいる。しかし、全体の接種率を見ると日本は5.5%程度で、高齢者全員が打ち終わったとしても全体で約28%、30代以上の国民全員が打ってようやく約73%になる。20代、30代でワクチンを「打たない」と答えている人が2割以上いた

 この現実に加藤勝信官房長官も24日の会見で「首相官邸Twitterの専用アカウント、テレビCMなど、さまざまな媒体を活用しながら、特に若い方を含めて、国民の皆さんに対してできるだけ正確な情報を発信するように努めているところだ」とコメント。若い世代に向けた接種の呼びかけを強化すると明かしている。  一方、筑波大学の原田隆之教授が発表した「ワクチンを接種したくない人の心理」の調査データでは、20代、30代でワクチンを「打たない」と答えている人が2割以上いた。  なぜ若者たちの中にワクチンを「打ちたくない」と思う人がいるのだろうか。Twitterに寄せられた理由を見てみると「若者は重症化しないのに打つ必要がどこにあるのか?」「わざわざ倦怠感が出るものを身体に入れたくない」「高齢者が全員打ち終われば医療崩壊しない」といった内容が投稿されていた。  若者は新型コロナにかかっても本当に重症化しないのだろうか。これに木下氏は「明らかに間違いだ」と否定する。 「若者も重症化する場合がある。ワクチンを打つと倦怠感が出ることもあるが、どう考えても新型コロナに感染するよりはマシだ。新型コロナに感染すると、体にどのような反応が起きるか。少しだけ説明すると、まず、新型コロナに感染すると、人間の細胞にコロナウイルスが入ってくる。コロナウイルスはRNAという遺伝子を持っていて、その遺伝子が人間の細胞の中でRNAをばら撒きまくる。ウイルスを僕らが作らされるようになる。それが何百万という単位になって細胞を殺す」  その上で、木下氏はワクチンの内容について「打つメリットの方が圧倒的に大きい」とコメント。「今回のワクチンは、コロナウイルスの“スパイクタンパク”という表面にある突起の部分の遺伝子だけをワクチンに入れている。しかも、遺伝子の個数は勝手に増えず、人間の細胞の中でウイルスの一部分だけを作って、身体に戦い方を覚えさせるもの」と説明した。 「遺伝子のワクチンと聞くと『気持ち悪い』と思う人もいるかもしれないが、新型コロナのウイルスに感染すると自分の身体の中にウイルスの遺伝子がばら撒かれまくる。そっちの方がよほど気持ち悪いし、どう考えてもリスクが高い。実際に若い人で亡くなっている人もいる。個人レベルで考えても、ワクチンは打つメリットの方が圧倒的に大きい。まずそこははっきりさせる必要がある」

 また、若い世代がワクチン接種を怖がる要因として、挙げられるのが副反応(アナフィラキシー)への懸念だ。厚生労働省が発表した「健康観察日誌集計の中間報告(6月23日)」の資料を見ると、若者の副反応は高齢者よりも出やすいことが分かっている。  若い人に顕著に副反応が出るのはなぜなのだろうか。「若い人に打つワクチンの量が多いのではないか?」といった声もあるが、木下氏は「基本的にワクチンは倍ぐらい体重が違っても、同じ量を使うもの」と断言する。 「若い人は免疫反応が出やすいので、高齢者と比べて副反応が出やすくなるといったデータと関係があるかもしれない。しかし、ワクチンは通常、男性と女性の体重差や、若者と高齢者の体格差を気にせずに使うもの。しっかり免疫が反応すると抗体も高いが、大きく効果が変わるわけではない」  番組中、視聴者から“賛成派”の意見として「ワクチンの効果で、医療の逼迫が抑えられるなら受けるべき」「倦怠感は2~3日だけど、かかったら後遺症でずっと苦しむ」といったコメントが寄せられた。ワクチン接種以外に新型コロナを収束させる方法はないのだろうか。この質問に木下氏は「クイックアンサーでは『ない』といえる」と答える。 「ワクチン以外では絶対無理だと思う。治療薬を作れと言う人もいるが、僕はワクチン以外で収束は絶対にないと思っている。なんとかしてワクチンを普及させないと元の生活に戻ることはないと思う」  過去にアレルギー反応の既往歴を持つ人もおり、基本的にワクチンを打つかどうかは個人の判断に委ねられているが、正しく理解していれば過度に怖がる必要はない。若い世代への接種を進めるには、正しい知識を普及し、デマ情報をなくていくことが大事だ。 (ABEMA/『ABEMA Prime』より)