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民間病院「コロナ受け入れ」動かない理由 コロナ「4月感染再爆発」予測も… 日本の医療体制が抱える根本的な問題

https://news.yahoo.co.jp/articles/0abd993f36d8b9cf1ed3f44c78fc41371971893e

2021/1/14(木) 16:56 夕刊フジ

 政府は新型コロナ特措法に基づく緊急事態宣言の対象を11都府県に拡大した。期間は2月7日までだが、同月中に解除した場合、4月に感染が再爆発するとの試算もある。日本医師会は「医療崩壊から医療壊滅になる」と危機感を示すが、コロナ患者を受け入れる民間病院は依然少ない。なぜ動かないのか。  菅義偉首相は13日の記者会見で、宣言の対象追加は「厳しい状況を好転させるためには欠かせない措置であることを理解してほしい」と述べた。  東京都の新規感染者数が1日500人以下というのが宣言解除の目安だ。「8割おじさん」こと西浦博・京都大教授(感染症疫学)は、1人から何人に感染が広まるかを示す「実効再生産数」が宣言前の1・1から0・88まで下がった場合、2月24日に500人を下回ると試算。だが、その直後に解除すれば4月14日には1000人以上の新たな流行が発生するとした。  現状の感染者数は高止まりが続く。日本医師会の中川俊男会長は13日の記者会見で、「医療崩壊が進行している」と強調、「今後の状況によっては全国的な緊急事態宣言も選択肢の一つだ」との見解を示す。  日本は経済協力開発機構(OECD)加盟国で人口当たりのベッド数が最も多く、一般病床と感染症病床で計約90万床に上るが、コロナ患者用のベッドは6日時点で2万7650床(約3%)にとどまる。  日本には中小の民間病院が多いという事情もある。中川会長は、民間病院は規模が小さく、医師数や病棟も少ないため、コロナ専用病棟などの対応が難しいと指摘。「民間病院は『コロナ以外』の救急や入院が必要な患者の医療を精力的に担っている」と強調した。  一方、元厚生労働省医系技官の木村盛世氏(感染症疫学)は、「日本は民間医療機関が多く、コロナ患者を受け入れると赤字を懸念する医療機関があるためだ」と指摘する。「本来は春から夏にかけて病床や医療機関、人材の確保を優先しておくべきだった。経済を止めるリスクの方が大きいが、医療体制が逼迫(ひっぱく)する中で自粛せざるをえない状況に追い込まれた」  今優先すべきなのは、重症患者を緊急事態宣言が発令されていない地域に搬送する仕組み作りや、宅食業者による高齢者家庭への配膳、外来患者の減った病院などの医療従事者による在宅医療などの施策だと木村氏は提言する。その上で、日本の医療体制が抱える根本的な問題にも着手すべきだと強調した。  「医師会は、約5兆円の政府の予備費から、民間病院の損失補填(ほてん)ができるような規制緩和を求めたり、基金の立ち上げなどに取り組むべきだ。何もしないと医療体制が逼迫するたびに緊急事態宣言を繰り返すことになる」