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社会問題

2021年、日本が決めるべき「コロナ対策」は、単純明快だった…!

https://news.yahoo.co.jp/articles/4ce1c7915e45f1ea6372d07ea468bf90562c22e7

2021/1/4(月) 5:01 現代ビジネス

重苦しい一年の幕開けで…

写真:現代ビジネス

 なんとも重苦しい新年だ。大晦日、東京都では過去最高の1337人もの新規感染者を記録し、新年はじめのお参りも自粛ムードだ。 【写真】死ぬ瞬間はこんな感じです。死ぬのはこんなに怖い  新年早々の1月2日、東京都の小池百合子知事や神奈川県の黒岩祐治知事、埼玉県の大野元裕知事、千葉県の森田健作知事の首都圏1都3県の各知事が、政府に緊急事態宣言発令の検討を要請した。西村康稔経済財政・再生相は「国として要請を受け止め、検討していく」と語った。  筆者は例年通りに元旦の早朝にお参りした。その時間は、連年でもお参りする人は少ない時間帯だ。いつも以上に少なかったが、それでもソーシャルディスタンスを保ってお参りした。今年こそはコロナが終息することをお祈りせざるを得なかった。  政府は、昨年12月14日に年末28日からのGoToトラベルの一律一時停止を発表して以来、繰り返し「静かな年末年始を」と呼びかけてきたが、相変わらず新規感染者は増加の一途だ。  国民の願いは、新型コロナの押さえ込みと政府による説明だ。GoToトラベルによる移動者は、日本全体から見ればごくわずかにすぎない。  国土交通省の鉄道輸送統計と航空輸送統計によれば、GoToトラベルの行われていた8~10月の旅客輸送数は50億人弱だ。一方、同じく国土交通省によるGoToトラベル事業における利用実績は、7/22~10/31で3976万人だ。  これは鉄道・航空輸送の1%程度しかない。このGoToトラベルを停止したところで、人の移動に対する影響はたいしたことがないのは明らかだろう。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長もエビデンスはないと公言しているほどだ。

逆の批判に…

写真:現代ビジネス

 それでも、マスコミはGoToトラベルをやり玉に挙げて政府を批判し、政府は一律一時停止を決めると、マッチポンプのように手のひらを消して、旅行飲食事業者はどうするかとの逆の批判に転じた。  こうした時には、政府による筋の通った上で、丁寧かつ責任ある説明が必要だった。GoToトラベルの一律一時停止について、筆者は「よくわからないけど、止めてみる」と考えた。政府の説明はちょっと歯切れが悪かった。  新型コロナの世界の現状を見てみよう。  これと同じ図は、昨年の11月16日付け本コラムでは以下の通りだ。  2つを比べると、各国の位置関係は驚くほど似ていて、横軸が右に伸びているのがわかる。つまり、世界各国で似たように感染拡大になっているのだ。  これらの国の対応は様々だ。新型コロナ感染拡大を抑え込むことに比較的成功している世界の国々は、水際対策の早期強化(オーストラリア)、感染初期に政府権限や罰則等のガバナンス強化(中国)を行っている。  日本の感染症対応体制は、1897年に制定された旧伝染病予防法以来120年の間、地方行政だった。1937年の旧保健所法からは、知事の下の保健所中心の法制だった。1994年には、県型保健所は、政令指定都市・特別区・中核市などの市型保健所へ移管されていった。  その上で、今の新型コロナ特別措置法は、国は緊急事態宣言発出、基本方針策定、都道府県の総合調整を行い、都道府県知事は団体・個人への協力要請、緊急事態時に外出自粛、休業の要請・指示を行うとされている。

一貫した考えとして

 知事の権限は比較的強化されているが、休業要請どまりであり、財政余力がない地方自治体では休業補償しにくいので休業要請の実効性が出ない。そのうえ、国は地方にカネをださないが、口を出す。  筆者は、新型コロナ対策のようなものは「戦時体制」に準じたものと考えている。であれば、国は地方に口を出さないまでもカネは十分に出していいと思っている。これは、新型コロナが発生したときから、筆者の一貫した考え方である。  本物の「戦時」であれば、生産拠点がやられて生産力が落ちるので、国によるカネを刷って有効需要を作る財政政策と金融政策の同時発動(マネー・プリンティング政策)は悪性のインフレを発生させる可能性があるが、コロナ対策では幸いにして生産力は落ちずに需要蒸発のような状態なので、悪性インフレのおそれは少ない。実際、こうした筆者の見通しは外れていない。  新型コロナの場合、他の事例での死者数など例示しいくら致死率が低いと説明しても、ワクチンと新薬が開発されるまで人びとの不安は、そう簡単に解消するものではない。ワクチンは既に欧米では接種が開始されており、日本でも早ければ2月下旬から接種が開始される。  それまでの間、新型コロナへの不安は、一般的な各種の消費需要を減退させる。例えば飲食業の中でもデリバリーなど一部のニッチなビジネスは儲かっているが、飲食業全体としてみると消費需要は落ち込んでいるという状態だ。  しかも、ビジネスを推進しようとすると、新型コロナ防止策にマイナスの影響もあり、かえって景気回復が遅れる。その場合、ビジネスを最低限で支え、新型コロナ防止策を優先すべきだ。というわけで、筆者は休業補償について前向きなのだ。  さらに国は、財政政策と金融政策の同時発動を発動すれば、同時に通貨発行益を享受できる。これは、将来世代の負担を考慮することなく、財源が作れるので、これを交付税交付金として地方に配分し、地方は自由にそれを使えばいい。この地方政府にはない国の通貨発行益を利用すべきだ。

特措法にも規定すべきでは?

 実際、新型コロナ対策の臨時交付金が1、2次補正予算で3兆円計上されているが、発行国債は日銀が買い受けるために将来世代の負担はない。3次補正や新年度予算でも予備費が10兆円計上されているが、こうした国と日銀の連合軍によって、新型コロナ対策の臨時交付金として地方自治体へ交付できるようになる。  また、地方自治体が地方債を発行し、それを日銀が買取対象にすることも考えられる。地方自治体は日銀に利払いをしなければいけないが、それは政府に対する税外収入の納付金になるので、政府はそれを臨時交付金として地方に還元するのもいい。こうした仕組みにより、地方自治体は地方債の利払い負担を考慮せずに地方債を発行できるようになる。  こうした観点から、都道府県知事の休業権限と、国から地方への休業補償のためのカネを十分に交付することを、新型コロナ特措法にも規定すべきである。  幸いにも、政府の中にも、新型コロナ対策として私権制限、行政罰の導入とともに、地方自治体の休業補償に対する国の財政支援の規定も盛り込んだ新型コロナ特措法の改正の機運が出ている。これらは、全国知事会も政府に要請していた事柄でもある。  その上、冒頭に述べたように、2日の首都圏1都3県の各知事が、政府に緊急事態宣言発令の検討の要請もある。これは、4日に霞ヶ関は仕事はじめだが、それこそ正月気分なしですぐに回答が求められている。  それは、上に述べたように、新型コロナ特措法改正を事実上先取りしていくことになるだろう。  そのために、カネのことだけは心配要らないように、3次補正と新年度予算で10兆円の予備費を積んだのだ。  1、2次補正でも10兆円の予備費を計上したが、一部野党とマスコミは予備費が大きすぎると批判した。その結果、予備費の消化が十分にできなかった。主として厚労省関係で「予算の目詰まり」があったともいわれている。  本来であれば、予備費は、医療崩壊を防ぐために使われているべきだったが、欧米と比べて日本は新型コロナ感染の程度は低いのに、医療崩壊というのは情けない。今度も、一部野党とマスコミはまた予備費が大きいという批判をするのだろうか。

いろいろなメッセージが…

 ただし、今になって4、5月の1、2次補正の予備費問題をぶり返しても意味がない。今できることは、東京などで飲食店などで営業時間の短縮などを要請し、それに対する補償・協力金を支給することくらいだ。これで、新型コロナの感染拡大を抑え込むのがいい。  最後に、新型コロナ特措法の改正では、新型コロナ対策の意思決定も見直したらいい。今は、新型コロナ対応にあたる政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会(尾身茂会長)がいろいろなメッセージを出すが、政府の方針と地方自治体の対応とスムーズに連携していない。  豪州では、今年の3月から「National Cabinet」と称し、新型コロナ対策関係閣僚に8人の州知事全員を加えた新たな国家の意思決定機関を立ち上げ、コロナ対策は全てここで決定している。もちろん、そこへの専門家のアドバイスもある。政府も、その例を参考にして、新型コロナ対策の意思決定を国民に見えるようにしたほうがいいだろう。

髙橋 洋一(経済学者)