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血管への後遺症「ドイツでは回復者の6割以上に心臓の異常」【新型コロナ後遺症の正体】

https://news.yahoo.co.jp/articles/610b087ef0c949dd9f3c20d0901ecd314c2370af

2020/8/24(月) 15:00配信 日刊ゲンダイデジタル

 新型コロナウイルスの細胞への入り口であるACE2は当初、のどや鼻、肺の奥と言われてきた。ところが、その後の研究の結果、ACE2は全身の血管の内側の血管内皮にも存在することがわかり、新型コロナウイルス感染症患者の多くは全身の血管にダメージを受けることがわかっている。  例えば、川崎病に似た症例が世界各地の新型コロナウイルス感染症患者から報告されている。  川崎病は全身性の血管炎症候群で、発熱、両側眼球結膜の充血、いちご舌などの口唇・口腔所見、発疹、手足の硬性浮腫などの四肢末端の変化、非化膿性頸部リンパ節腫脹の6つが主要症状とされ、5症状以上を呈する場合に川崎病と診断される。その原因は明らかでないが、細菌あるいはウイルス感染、スーパー抗原、自己抗原などが原因として考えられている。  日本川崎病学会は5月7日の段階で日本に新型コロナウイルス感染症に関連する川崎病の症例報告はないとしているが、それは日本でのPCR検査件数が極端に少ないためかもしれない。  川崎病になると、冠動脈などの血管炎や冠動脈瘤が生じることがあるが、 細い血管の炎症が原因とみられる皮膚症状が、特に若い新型コロナ患者で出現するとの報告が寄せられている。  新型コロナウイルスが体内に侵入すると、その防御反応として免疫組織が働き、炎症が生じる。その炎症で内皮細胞が傷つき、サイトカインで血管内部が活性化されると、血小板は凝集を起こしやすくなる。血管壁にもくっつきやすくなり、血栓が容易にできる環境となる。冠動脈などの小さな血管が感染すれば川崎病のような血管炎が起き、冠動脈瘤や心筋梗塞が生じる可能性がある。  新型コロナウイルスは全身に炎症と血栓症を起こす可能性がある。心筋梗塞以外にもエコノミークラス症候群(肺血栓塞栓症)、脳梗塞について大人も注意する必要がある。  実際、新型コロナウイルス感染者では、免疫力があることで却って免疫の暴走が起きやすい、若い人に脳梗塞が生じることが米国ニューヨークなどから報告されている。   国際的には、急性期脳卒中(主に脳梗塞)発症率は中国武漢からの報告に基づいて4・9%(95%信頼区間 2・8~8・7%)と推測されている。  一般に呼吸器疾患に罹った初期の3日間に脳卒中発症リスクが3・2~7.8倍増えると報告されている  問題は、新型コロナウイルス感染症で川崎病類似症やエコノミークラス症候群、脳梗塞や心筋梗塞の症状があらわれた人やその予備軍の人たちにどのような後遺症があらわれるかである。 ■動くと心臓が苦しく、息切れ  川崎病に似た症状の発熱や発疹などが数週以内に軽快したとしても、冠動脈や心筋の炎症による冠動脈瘤や心機能低下が生じる可能性は残る。冠動脈瘤の先は血栓や炎症で狭くなっていることがあり、運動すると苦しくなる狭心症状が出ることもある。  エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)では、肺の梗塞により肺機能が落ちるだけでなく、肺動脈血流も減る。重症の後遺症として、低酸素症によるふらつき、息切れ、呼吸困難が起こる。最新の治療によりかなりの血栓は溶かされるので、肺梗塞、肺高血圧症や心不全が残らなければ、日常生活を取り戻せることが多い。しかし今までの報告をまとめると、感染者の3~5割の人に何らかの呼吸器障害が残っているので、正確な早期診断と慎重な経過観察が必要だ。 ■足のむくみ、色素沈着、皮膚炎、湿疹が起きる  血栓後症候群では、静脈高血圧のため下肢の浮腫だけでなく皮膚表在静脈に静脈瘤が出来たり、色素が沈着、皮膚炎や湿疹を起こしやすくなったり、難治性潰瘍が出来たりすることもある。造影CT検査などによる肺炎と肺血栓塞栓症の正確な診断と慎重な経過観察が必要であろう。2カ月以内に回復しない場合、後遺症は長期間残る可能性が高いので、適切な治療をしなければならない。  脳梗塞で運動神経麻痺や認知機能障害などの後遺症が残れば、リハビリで治療するしかないが、再発リスクはほとんどない。しかし、3割程度の人に何らかの脳神経症状が残存していると推測されているので、このウイルスによる慢性の脳炎や神経炎なども加味した経過観察をしなければならない。  急性心筋梗塞の後遺症は虚血、心機能低下や不整脈であり、動いたときに動悸息切れや胸痛などを感じる。動脈硬化性のものと異なり、責任冠動脈以外の血管が狭くなって虚血や再梗塞が起こることはない。適切な内服治療で心不全予防を行えば、普通の心筋梗塞より予後は良いと考えられる。ただ、心筋炎が慢性化して持続する可能性は残されており、ごく最近のドイツの報告では感染回復者の6割に心筋炎がみられたとのことである。このような場合は、心電図や心臓超音波検査だけでなく、炎症マーカー、トロポニンやBNP等の血液検査で心筋炎の経過を定期的にチェックする必要があろう。https://news.yahoo.co.jp/articles/610b087ef0c949dd9f3c20d0901ecd314c2370af