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コロナワクチン接種後の死亡者550人超を分析 既往症、常用薬などに注目

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2021.07.17 07:00  女性セブン

 ワクチンにはかならずメリット(感染防止)とリスク(副反応)がある。国や医療機関はそのリスクを正しく評価し、調査し、公表すべきであり、私たちもそれを知った上で「打つべきか、打たざるべきか」を判断すべきだ。ワクチン接種後に急死した日本人は、すでに550人以上。だが、その現実も、詳細データも、新聞・テレビではほとんど伝えられない。『女性セブン』が独自に徹底分析した。

 いよいよワクチン接種の証明書が発行される。加藤勝信官房長官は7月12日、新型コロナウイルスワクチンの接種歴を証明する「ワクチンパスポート」について、当面は発行手数料を無料にすることを明らかにした。

 パスポートは7月26日から全国の市区町村窓口で申請受付が始まる。まずは海外に渡航する人が防疫措置の緩和を受ける際に利用されるが、国内でも民間企業などが優遇措置を検討する動きがある。

 パスポート発行の動きが加速する一方で、置きざりにしてはいけないのが、ワクチン接種のリスク「副反応」だ。7月7日、厚生労働省の専門部会は、ファイザー製とモデルナ製のワクチン接種後の「心筋炎」や「心膜炎」について注意を促す内容が、両製品の添付文書に追加されたことを明らかにした。

 また同日、厚労省は国内で2月17日から7月2日まで、ワクチン接種後に死亡が報告された事例が556人に達したことを明かした。6月18日までの報告数355人と比べて、2週間で200人以上増えたことになる。

 556人の内訳は、ファイザー製554人、モデルナ製2人(モデルナ製は5月24日に接種が始まったため、報告数が少ないと思われる)。『女性セブン』は厚労省の報告書をもとに、ファイザー製を接種後に死亡した554人の「性別」「接種回数」「既往症」「常用薬」などを分析した。

 まず性別は男性277人、女性275人、不明2人。これまで女性の副反応が多いとされたが、今回の報告では男女がほぼ同数となった。年代・性別でみると80代男性が118人と最も多く、80代女性(101人)、90代女性(101人)、70代男性(82人)が続く。高齢者が多いのは65才以上から優先接種が始まったことが理由だろう。

 接種回数ごとの死者数は、1回目397人、2回目125人、不明32人。接種から亡くなるまでの期間は「翌日」が108人で最も多く、「8~14日後」(84人)、「2日後」(75人)、「3日後」(52人)が続く。なお「接種当日」は41人だった。

 7月4日には高知県南国市の集団接種会場で、60代男性が接種直後に倒れ、搬送先の病院で死亡した。因果関係は確認されていないが、そうした突然死も発生しているようだ。

 主な死因のトップは不明(129人)で、心肺停止(39人)、心不全(32人)、急性心不全(28人)、心筋梗塞(21人)が続く。気になるのは、「不明」が多数を占めることだ。医療ガバナンス研究所理事長で医師の上昌広さんが指摘する。

「接種と関係のない自然死か、あるいは接種と関係するかもしれない死か、きちんと調査されていないので『不明』となっています。ただの怠慢でしょう。厚労省は国民の不安を払拭するためにも、死亡届を確認して調査すべきです」

 国がワクチン接種時のリスク要因と認めるのが基礎疾患だ。厚労省は接種に際し、「心臓、腎臓、肝臓、血液疾患などの基礎疾患がある人は注意が必要」としている。

 実際に報告書をチェックすると、基礎疾患を持つ人が死者の多数を占める。最も多いのが高血圧の142人で、糖尿病(72人)、アルツハイマー病・認知症(69人)、心不全(60人)、脳梗塞(59人)が続く。5月28日には、兵庫県神戸市の73才女性がワクチン接種後に呼吸が荒くなり、緊急搬送先で死亡した。その女性には糖尿病の持病があった。

「高血圧や糖尿病、肥満などの生活習慣病があると、動脈硬化が進んで血管にダメージが蓄積します。そういう人がワクチン接種後に免疫性の反応による副反応が起こると、血栓や出血のリスクが高まる可能性があり注意が必要です」(医療経済ジャーナリストの室井一辰さん)

 ワクチン接種後に死亡するのは高齢者が多いが、その年代は毎日たくさんの薬を服用するケースが多いことでも知られる。そこで注目されるのが、死亡者の「常用薬」だ。

 薬の種類別では、最多が「血液をサラサラにする薬(抗凝固薬など)」の87人で、以下、「高血圧治療薬」の66人、「制酸薬」(38人)、「胃酸分泌抑制薬」(26人)が続く。4月2日には、前日に2回目の接種を受けた62才男性が自宅の浴槽で意識を失って死亡した。男性は肥満体形で糖尿病を患い、血液をサラサラにする抗血栓薬を服用中で、ワクチンによって血管性の疾患が生じた疑いがある。

「不整脈や血栓症などに処方される抗凝固薬や抗血栓薬などの『血液をサラサラにする薬』は、血管からの出血が止まりにくくなります。ワクチンの免疫反応と出血との関連性も指摘されており、脳出血などのリスクが増す可能性があります」(室井さん)

血小板減少性で血が止まりにくくなる

 報告された死亡事例について、厚労省はこれまで一貫して「ワクチンと症状名との因果関係が認められないもの」もしくは「情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係が評価できないもの」としてきた。だが7日の専門部会で異変が起きた。これまで頑なに因果関係を認めなかった厚労省が、ある女性の死亡例について、「接種との因果関係を否定できない」と報告したのだ。

 対象となったのは、関節リウマチや慢性腎臓病などの持病がある80才の女性で、5月20日に2回目の接種を受けたのちに血小板減少症やくも膜下出血などを発症し、7日後の27日に死亡した。そのうち血小板減少症について、厚労省は「持病やその治療薬が影響した可能性もあるが、ワクチンが誘因になった可能性も否定できない」とワクチンとの因果関係を排除しない判定を下した。

 ワクチンが引き起こしたかもしれない血小板減少症とは、どのような病気か。新潟大学名誉教授の岡田正彦さんが指摘する。

「体内に出血が起きたとき、血小板は出血を止めるために働きます。そうした血小板が何らかの理由で少なくなった状態が血小板減少症で、従来ならすぐに血が止まった症状でも、発症すると出血が止まらず、大事にいたりやすくなります」

 なぜ、ワクチン接種で血小板減少症が生じるのか。「あくまで仮説ですが」と断ったうえで岡田さんが語る。

「ファイザー製とモデルナ製のワクチンは、遺伝子の設計図を体内に打ち込む『mRNAワクチン』です。そのワクチンを接種すると細胞内にウイルスのスパイクたんぱく質が形成され、それが体内の免疫反応を引き起こします。従来は安全だと考えられていたスパイクたんぱく質が血小板の細胞表面にある『糖鎖』と呼ばれる突起を切断してしまい、その免疫細胞が血小板を『異物』とみなして攻撃してしまう。それによって血小板が減少するというメカニズムが考えられます」

 mRNAワクチンは、新型コロナで初めて人類が接種したワクチンのタイプなので、副反応のメカニズムがはっきりしないことも不気味だ。

 改めて554例の死因を見ると、脳出血(18人)、くも膜下出血(16人)と頭蓋内出血が目立つ。

「それも血小板減少症が関係しているかもしれません」

 と指摘するのは室井さん。

「頭蓋内出血のリスクはワクチンの治験段階ではあまり報告されませんでしたが、実際には接種後に脳出血やくも膜下出血で亡くなった人が問題になっています。ワクチン接種後に血小板減少症が生じて血が止まりにくくなり、頭蓋内出血が重症化した可能性があります」(室井さん)

 アメリカ・ペンシルベニア州に住む65才男性は、モデルナ製のワクチンを接種した後、重度の血小板減少症を発症し、その後に脳症を発症して死亡したと報じられた。男性には慢性的な高血圧と高脂血症の既往歴があったという。室井さんは、その男性のような生活習慣病に注意を促す。

「生活習慣病は動脈硬化が進み、血液が凝固しやすいので、血を固まりにくくする抗凝固薬をのむケースが多い。そうした人がワクチン接種で血小板減少症を起こせば、ますます出血が止まりにくくなって、くも膜下出血や脳出血のリスクが増す恐れがあります」

 7日の専門部会で厚労省は、6月27日までに報告された453件のうち、7件の死亡例について、「ワクチン接種とは無関係」と評価。だが逆にいえば、その他の死亡例については、接種との関連が不明なままだ。岡田さんが指摘する。

「ワクチンは予防のために接種するのであり、予防のためのワクチンで人が亡くなることは最大限の努力で防がねばなりません。今回、厚労省が接種と血小板減少症が関連する可能性を認めたのは一歩前進であり、今後もさらなる安全性の検証が求められます」

 ワクチンの安全性にも「証明書」が求められている。

※女性セブン2021年7月29日・8月5日号